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フロネティック・リーダーが持つ6つの能力?


【 失敗の本質 戦場のリーダーシップ篇 】

 


 先日、「失敗の本質 戦場のリーダーシップ篇」(野中郁次郎編著、ダイヤモンド社)を読み返してみた
https://www.diamond.co.jp/book/9784478021552.html

 

 以下は、フロネティック・リーダーに触れた部分からの一部抜粋

 


 アリストテレスが提唱したフロネシス(賢慮)という概念がある。

 

 そのフロネシスを備えたリーダーを、私はフロネティック・リーダーと名づけた。そうしたリーダーは、以下6つの能力を備えている。

 

 1.「善い」目的をつくる能力
 2.場をタイムリーにつくる能力
 3.ありのままの現実を直観する能力
 4.直観の本質を概念化する能力
 5.概念を実現する政治力
 6.実践知を組織化する能力

 

 チャーチルこそ、その典型といっていいだろう。彼は民主主義という公共善を守るため、対ドイツ戦を断固決意し(1)、国民から「見える首相」であることに気を配り、共感のための場つづくりに長けていた(2)。頻繁に現場に足を運んでは軍司令官と対話し(3)、歴史という大きな物語に自分を位置づけることをけっして怠らず(4)、みずから国防相を兼務しつつ、たえず現場との対話を重ね(5)、人材抜擢にも余念がなかった(6)。

 


<感想>
6つの能力を備えるフロネティック・リーダーが率いる会社は強いに違いない

 

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売出しに伴う需給悪化で株価が急落?

 

【 サンリオ:政策保有株式の売出し 】

 


 2024/11/26、サンリオが「株式の売出しに関するお知らせ」をリリースした
https://ssl4.eir-parts.net/doc/8136/tdnet/2534157/00.pdf

 

 以下は一部抜粋等

 


2024/11/26 取締役会:当社普通株式の売出しについて決議

 

企業理念:「みんななかよく」


ビジョン:「One World, Connecting Smiles.」

 

目標:グローバルエンターテイメント企業として、一人でも多くの人を笑顔にし、世界中に幸せの輪を広げていくこと

 

3本柱:「組織風土改革」「国内外構造改革の着手・完遂」「再成長の戦略や成長市場への種まき」

 

2021年3月期:営業赤字
2024年3月期:過去最高の営業利益を達成

2024年5月:新中期経営計画(2025年3月期~2027年3月期)

 

テーマ:不確実な成長から、安定・永続成長サイクルを創る、 “投資と拡大の3年”

 

3本の矢:「マーケティング・営業戦略の見直しによるグローバルでEvergreen な IP 化」「グローバルでの成長基盤の構築」「IP ポートフォリオ拡充とマネタイズ多層化」
→ 安定・永続成長を目指す

 

また、当社は企業理念を達成するため、長期にわたるサステナブルな企業価値の向上を目指して、10年先にわたる事業環境分析を行い、創出価値とESGの2つの観点で解決に取り組んでいくグローバルな10の重要課題である「サンリオ・マテリアリティ」を特定

 

内、ガバナンスの透明性・可視化:新中期経営計画においてもガバナンスの強化を掲げ、ROEなどの指標開示やキャピタルアロケーション方針開示等、資本市場への説明責任を果たす
→グローバル水準のコーポレートガバナンスを追求

 

< 売出しの背景 >


株式市場:コーポレートガバナンスの充実を実現する観点から政策保有株式を見直す動きが進んでいる

 

当社:一部の株主と継続的な議論を重ね、
1)当社株式に係る政策保有株式を早期に縮減させる
2)株主層の裾野の拡大及び多様化
→当社の企業経営に対する規律を一層高めるべく本売出しの実施を決定

 

本売出しを通じて、
1)当社株式の流動性を向上させる
2)当社の長期的な戦略をご支援いただけるグローバル優良機関投資家の取り込みを図りつつ、幅広い投資家の方々に当社株式を保有いただく
→株価のボラティリティの抑制と資本コストの低減を図り、更なる企業価値向上を実現することを目指す

 

<株価終値推移 >
11/26 5,160円、11/27 4,402円(▲14.7%)

 

ご参考)サンリオ株価急反落 三菱UFJ銀行などが保有株売り出し
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFL271BO0X21C24A1000000/

追加売り出し分も含めると、最大で発行済み株式数(自社株除く)の12.6%

 


<感想>
売出し
(含む、辻社長100万株)に伴う目先の需給悪化要因で株価は急落した

ガバナンス的には政策保有株式の売却ニーズは高いため、今後も同様な案件が増えるものと思われる

 

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弁証法的対話を通じた螺旋的発展?


【 使える弁証法 】

 


 先日、「使える弁証法」(田坂広志著、東洋経済新報社)を読み返してみたhttps://str.toyokeizai.net/books/9784492042427/

 

 以下は、最後半部分の一部抜粋

 


 弁証法とは、「正」(テーゼ)「反」(アンチテーゼ)「合」(ジンテーゼ)というプロセスで思考を深めていく方法

 

 分かりやすく言えば、一人が語った意見(正)に対して、もう一人が、その反対の意見(反)を語り、それぞれの意見にもとづく対話を通じて、二人がともに、二つの意見を包含し、統合し、止揚した、さらに深い理解(合)に到達するという方法 

 

 単に意見を戦わせる「討論」(ディベート)でもなく、単に意見を交換する「議論」(ディスカッション)でもない、互いの思考が深まっていくという意味で極めて創造的な「対話」(ディアレクティク)の方法

 

 もし、我々が日常の「議論」の場において、この「弁証法的対話」の方法を用いているならば、その議論は、かならず創造的な議論になっていく

 

 しかしながら、いま世の中で流行っているのは、いかにして相手を議論で打ち負かすかという「討議」(ディベート)の方法や、いかにして論理的に正しい結論に到達するかという「論理思考」(ロジカル・シンキング)の方法

 

 「討議」の方法:多くの場合、相手の意見の問題を指摘し合い、自分の意見の優越性を主張し合うにとどまってしまい、互いが、謙虚に学び合い、さらに深い思考に向かうことのできない。不毛なものになってしまう

 

 「論理思考」の方法:そもそも「論理的整合性」を重視し、「矛盾」を排除する思考であるため、物事の発展の原動力であり、生命力でもある「矛盾」について、それを「止揚」する視点をもたない そのため、素朴な問題の解決には、ある程度、役に立つが、難しい問題を深く考え、答えの無い問いを問うという「知の技法」としては、あまり役に立たない方法

 

弁証法という「知の技法」を身につけたとき、初めて、我々の前に、素晴らしい「知の世界」の扉が開かれる

 


弁証法を知ると「歴史観」が見につく

 ヘーゲルの弁証法とは、壮大な「歴史哲学」として語られた思想 それゆえ、もし我々が、この弁証法を深く学ぶならば、歴史の未来が見えてくる それは「螺旋的発展」 

 


歴史もまた、螺旋的に発展していく 

 ソクラテスの弁証法:対話を通じて「正」「反」「合」のプロセスでの進化が起こり、思考そのものが、螺旋的に発展していく

 

 ヘーゲルの弁証法:歴史もまた、「正」「反」「合」のプロセスを経て、螺旋的に発展していく

 

 その「歴史哲学」で、これからの人類の未来を見るならば、「東洋文明」と「西洋文明」の止揚が起こる

 

 インターネット革命によって、「規律」「階層」「管理」にもとづく「機械的システム」から、「自由」「平等」「創発」にもとづく「生命的システム」へと、いま、資本主義が、経済が、社会が進化(「螺旋的発展」)しようとしている

 

 西洋文明が開化させた最先端の科学技術と資本主義 東洋文明の根本にあった生命的世界観と精神性 その二つが、結びつき、融合し、21世紀の新たな文明を生み出そうとしている

 

 この歴史の壮大な螺旋的発展において、21世紀、日本という国の果たすべき役割は、何か 21世紀の世界における、日本の歴史的使命は、何か

 

 もし、我々が、この国の歴史的使命についてのビジョンを描きたいと思うならば、まず学ぶべきは、「歴史哲学」としての「弁証法」・弁証法の根本にある「螺旋的発展」の法則

 


<感想>
「討議」や「論理思考」ではなく、「弁証法」の創造的な「対話」を通じて、「知の世界」の扉を開けて、螺旋的発展を遂げてみたい

 

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他人の利益を図らずして自らの繁栄なし?

 

【 直観の経営:善の循環 】

 


 先日、『直観の経営「共感の哲学」で読み解く動態経営論』(野中郁次郎・山口一郎著、KADOKAWA)を読み返した
https://www.kadokawa.co.jp/product/321805000854/

 

 以下は、善の循環部分の一部抜粋

 


直観の経営 
善き生の社会の実現に向かって

 

 YKKの「森林経営」には、大きく分けて二つの特徴があります。その一つは精神的な要素で、「善の循環」という起業精神を組織で共有するこによって、精神的な一体感を生む出しているのです。自律分散型の組織においては、つねに「全体のベクトル合わせをどうするか」という意識をもっておく必要があります。「正しく真なる信念」が、社員はもちろん、顧客・社会を含めた幅広いステークホルダーにとって魅力的なものかどうかがきわめて重要となりますが、「善の循環」は大きな求心力をもった起業精神です。
 「善の循環」には、「他人の利益を図らずして自らの繁栄はない」というサブフレーズがあります。つまり、企業は社会の重要な構成員であり、共存してこそ存続でき、その利益を分かち合うことにより、社会からその存在価値が認められるというのが、「善の循環」の考え方です。

 

 もう一つは構造的な特徴で、社員・株主・経営陣が独特の方法で融合されているということです。いまでも経済学者や経営学者は「企業組織とは誰のものか」という議論を続けています。「株主中心」対「企業中心」の構造的な対立項をめぐる論争にいまだ、決着がついていないのです。この二項対立を実践的に総合したのが、画期的なYKKのビジネスモデルです。「株は事業の参加証」という独自の考えに基づき、YKKでは社員・株主・経営陣の関係性が緩やかで、分け隔てのない組織として成り立っています。
 こうした論争は、「あれかこれか(either or)」のデカルト的な二者択一論のもとにすすめられているからですが、YKKのシステムは違っています。まさしく二項動態「あれもこれも(both and)」の考え方で、それぞれを対立させるのではなく、融和させるような構造にあります。

 

 「森林経営」の最大の本質は、第一の要素である「善の循環」の内面化です。すべての経営構造や会社の取り組みは「善の循環」を促進し、大きな目標の実現をめざすうえで採用、実践されています。つまり「善の循環」を組織内の一人ひとりが自己の深いところで共有できているのです。YKKの会社としての目標が組織メンバーに共有されているからこそ、株主・社員・経営陣を構造的に融合する経営が可能になったと考えます。そして、「善の循環」にしても「森林経営」にしても、実践のなかで生まれたものです。 もともとが理論に理論を重ねて構築されてきた考えではなく、あくまでもビジネスを現実に展開していくなかで、品質・コスト・海外市場との激しい戦いのなかから生まれ、物語的に磨き込まれてきた実践哲学なのです。

 

 未来に向けた戦略的物語では、より善く生きる未来に向けた目的とそれを実現するための多様な手段を、そのつどの文脈と関係性のなかでダイナミックに考え、知力を共創し、自分を取り巻く大きな関係性のなかで実践することで、「生き方」のより善い高次の意味がつくられ、この「より善い」を無限に追及しています。
 これは上位の目的に向かう上昇運動と、その目的実現のための多様な手段を考える下降運動が、一気に駆動し、目的と手段の階層構造が一気に広がるプラグマティズムの目的転換と同じ構造です。同時に部分と全体を往還する暗黙的知り方と同様の動きです。

 

 知識は関係性のなかでつくられます。知識創造にかかわるすべての人々は、相互主観をもとにして関係性をダイナミックに生成し、変容させていきます。これからの日本企業には、この知識創造プロセスに産・官・学・民すべてを巻き込み、組織的な壁を超越し、オープンにかつ共同体主義的に協働・共創することが求められます。世界との積極的なかかわりを通じて、先の見えない状況でも創造性と探求心を働かせて、道徳的な社会の発展を遂げることに邁進するのです。これを実現させる知の社会的エコシステムを確立することが、経済の繁栄をもたらします。
 つまり、共創を通じたこれらの実践こそが、アリストテレスがいう善き生(good will)を生きる社会の実現につながっていくのです。

 

 時空間の広がりをもつ物語りのどこに自分を位置づけるのか、それは個人の経営の深さや思いの高さによるでしょう。大切なのは、現在の危機的状況や矛盾を直視する勇気とそれを解決すべく未来に向けて挑戦し続けるコミットメントです。我々はより善い「生き方」を問い続けなければなりません。

 


<感想>
1)他人の利益を図らずして自らの繁栄はない、2)社会と共存してこそ、社会からその存在価値が認められるという「善の循環」に沿った運営を目指したい

 

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建物より誰と暮らすかが大事?

 

【 今泉力哉監督:1122 いいふうふ 】

 


 高畑充希&岡田将生の結婚報道を受けて、きっかけとなった「1122 いいふうふ」(監督:今泉力哉、原作:渡辺ペコ、脚本:今泉かおり)を観た
https://1122-drama.com/

 

 以下は、第7話の冒頭、新居に関する夫・ニ也(岡田将生)の台詞

 


(ニ也)うーん・・・
台所が使いやすいといいかな

でもやっぱり入れ物より中身
ハードよりソフトだよ
建物より誰と暮らすかだから

 


<感想>
上記は、妻・一子(高畑充希)が 2人が暮らしたマンションを手放したくないと思うキーワード
2人が実際に夫婦になった姿が想像できるような素敵な今泉力哉監督作品だった

 

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思わず人に話したくなるストーリー?

 

【 ストーリーとしての競争戦略 】

 


 先日、「ストーリーとしての競争戦略 ~優れた戦略の条件~ 」(楠木建著、東洋経済新報社、https://str.toyokeizai.net/books/9784492532706/)を読み返してみた

 

 以下は一部抜粋(その7)

 


戦略ストーリーの「骨法10カ条」
あらゆるジャンルに共通した原理原則

 

骨法その8 競合他社に対してオープンに構える 
「オープンに構える」というのは、競合他社に対して防御的(defensive)な構えをとるべきではないという意味です。 自信を持てるストーリーさえあれば、競争相手の反応に対して鷹揚に構えていることができます。逆にいえば、競争相手に対してオープンな構えを自然に取れる程度に自信を持てるストーリーを描くことが大切だということです。
 反対に、ストーリーの一貫性よりも特定の構成要素に強みを大きく依存している企業は競合他社に対して防御的にならざるをえません。 まずは自分の頭を使って、自分の言葉で、自分だけのストーリーをつくることが先決です。
 自信を持てるだけのストーリーの原型をつくることが大切です。ストーリーの原型ができてしまえば、あとは業界の一時的な流行や競争相手の短期的な行動に振り回されることなく、試行錯誤を重ねながらストーリーがより強く、太く、長くなるように磨きをかけることが大切です。

 

骨法その9 抽象化で本質をつかむ
 他社の成功要因を自分のストーリーに水平的に応用しようとしても、異なった文脈をまたぐことになるので、そのままでは無理があります。具体的事象の背後にある論理を汲み取って、抽象化することが大切なのです。具体的事象をいったん抽象化することによって、はじめて汎用的な知識ベースとなります。汎用的な論理であれば、それを自分の文脈で具体化することによって、ストーリーに応用することができます。 
 ストーリーの本質を抽象論理で押さえておくと、一見関係のなさそうな他の業界にも、同じようなストーリーがあることに気づきます。 他社のストーリーを読解するときは、このような抽象化が欠かせません。抽象化すれば、汎用的な知見を手に入れる可能性が飛躍的に高まります。一見何の関連もなさそうな業界の事例や、時代遅れに見える遠い昔の事例から、自分のストーリーづくりに役立つさまざまなヒントが得られるはずです。抽象的な論理こそ実用的なのです。

 

骨法その10 思わず人に話したくなる話をする

 「強さ」と「太さ」と「長さ」の三つが戦略ストーリーの評価基準だという話をしましたが、一番手っ取り早くわかる優れたストーリーの条件は、そのストーリーを話している人自身が「面白がっている」ということです。自分が面白がっているからといって必ずしも成功するとは限りませんが、このことは優れたストーリーの必要条件として最重要なもののひとつであることは間違いありません。
 自分で面白いと思えるということは、少なくともその人の頭の中では、ストーリーを構成するさまざまな決めごとや打ち手が論理で無理なくつながっているということを保証しています。
 ビジネスも総力戦です。「何を」「どのように」も大切ですが、それ以前に「なぜ」についての全員の深い理解がなくては実行にかかわる人々のモチベーションは維持できませんし、総力戦にはなりえません。
 ストーリーを全員で共有していれば、自分の一挙手一投足が戦略の成否にどのようにかかわっているのか、一人ひとりが根拠を持って日々の仕事に取り組めます。戦略がどこか上のほうで漂っている「お題目」でなく、「自分の問題」になります。自分がストーリーの登場人物の一人であることがわかれば、その気になります。こうしてビジネスは総力戦になるのです。
 戦略ストーリーは社内の人々を突き動かす最強のエンジンです。経営者から出てくる戦略が機能部門ごとの無味乾燥な静止画の羅列であれば、総力戦はとうてい期待できません。インセンティブ・システムなどさまざまな制度や施策も必要でしょうが、そんな細部に入り込む前に、人々を興奮させるようなストーリーを語り、見せてあげることが、戦略の実効性を確保するうえでとても大切です。
 リーダーが自ら面白いストーリーを語り、ストーリーで人々を突き動かし、現場の日常のコミュニケーションでストーリーが飛び交い、全員が一つのストーリーを共有し、「共犯意識」を持っている。これが私の思い浮かべる理想的な組織のイメージです。 思わず人に伝えたくなる話。これが優れたストーリーです。逆にいえば、誰かに話ししたくてたまらなくなるようなストーリーでなければ、自分でも本当のところは面白いと思っていないわけです。
 ストーリーという戦略の本質を考えると、「話の面白さ」はリーダーシップの最重要な条件の一つです。


一番大切なこと
 戦略ストーリーにとって切実なものとは何か。煎じ詰めれば、それは「自分以外の誰かのためになる」ということだと思います。直接的にあ顧客への価値の提供ですが、その向こうにはもっと大きな社会に対する「構え」なり「志」のようなものがあるはずです。「社会貢献」とか「世のため人のため」というと何やらきれいごとに聞こえるのですが、自分が楽しい、自分のためになるということだけ、スタートダッシュは効いても、決して長続きしません。
 変化の激しい時代だといいます。しかし。人間の寿命は延びている。ほとんどの人が数十年間は仕事をするわけです。事業や会社はもっと長続きするべきものです。切実なものとは、結局のところ「世のため人のため」なのです。 少なくとも自分では「世のため人のため」と信じられることでなくては、10年、20年続く仕事としてもたないのではないでしょうか。
 「すきこそものの上手なれ」です。 自分が好きで、心底面白いと思えることであれば、人は持てる力をフルに発揮できます。その結果、良い仕事ができるし、自分以外の誰かの役に立てる。人の役に立っているという実感が、ますますその仕事を面白くする。 
 優れた戦略ストーリーを読解していると、必ずといってよいほど、その根底には、自分以外の誰かを喜ばせたい、人々の問題を解決したい、人々の役に立ちたいという切実なものが流れていることに気づかされます。

 


<感想>
思わず人に伝えたくなる、話したくてたまらなくなるような、(世のため人のためになる)面白いストーリーを語ってゆきたい

 

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取締役会の合理的判断?


【 富士ソフト:取締役会の判断 】

 


 2024/11/19、日経電子版に、「富士ソフトへ2回目TOB 米KKR、20日から」の記事が掲載された。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB19BTY0Z11C24A1000000/

 

米投資ファンドのKKRは19日、富士ソフトへの第2回TOB(株式公開買い付け)を20日から始めると発表した。TOBの期限は12月19日。対抗する米ベインキャピタルの提案より1円高い1株あたり9451円で募る。

 

KKRはTOBを2段階で進める。9月5日〜11月5日に実施した第1回のTOBは1株8800円での買い取りを提示し、発行済み株式の33.86%を取得した。第2回TOBは当初、第1回と同額で募集する予定だったが、ベインキャピタルが9450円で提案していたことを踏まえ、11月15日に価格引き上げを表明した。

 

富士ソフトは同日の取締役会で、KKR案への賛成とベイン案への反対を決定した。

 


ご参考)2024/11/19 富士ソフトのリリース
「(追加)FK株式会社による当社株券等に対する第2回公開買付けに関する賛同の意見表明及び応募推奨のお知らせ」

https://www.fsi.co.jp/company/news/2024/20241119_4.pdf

 


<感想>
富士ソフト側からの要請を受けて、KKRがTOB価格をベインキャピタルの9450円を上回る9451円に決定したものと思われる
富士ソフトの取締役会が、このタイミングで、KKR案への賛成とベイン案への反対を決議したのは、極めて合理的だったと言える
第1回目のTOB価格8800円で応募した投資家(3Dインベストメント・パートナーズ、ファラロン・キャピタル・マネジメント等)は、複雑な思いであるように思われる

 

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普通の人々の本性を直視して考え抜く?


【 ストーリーとしての競争戦略 】

 


 先日、「ストーリーとしての競争戦略 ~優れた戦略の条件~ 」(楠木建著、東洋経済新報社、https://str.toyokeizai.net/books/9784492532706/)を読み返してみた

 

 以下は一部抜粋(その6)

 


戦略ストーリーの「骨法10カ条」 
あらゆるジャンルに共通した原理原則

 

骨法その1 エンディングから考える
 戦略の目的は、長期利益の実現です。 戦略ゴールは長期利益にあります。この「ゴール」という言葉を「目標」と「目的」に分けて考えてみましょう。厳密な言葉の定義はさておき、語感としていえば、このうちの目標に相当するのが長期利益です。この目標を達成する理由であり、手段となるのが競争優位です。 一方のコンセプトは目標というよりも目的という言葉がしっくりきます。目標が客観的にどちらかというとドライでクールなゴールだとすれば、目的はストーリーの実現にかかわる人々が自ら主体的にコミットするべきホットなゴールです。
 コンセプトはストーリーの終点であり、起点です。個別の具体策に手を出す前に、確信が持てるまでコンセプトを考え抜く、あらゆるストーリーづくりはそこから始まります。

 

骨法その2 「普通の人々」の本性を直視する
 コンセプトを構想するためには、「誰をどのように喜ばせるのか」をはっきりとイメージしなくてはなりません。そこでは「誰に嫌われるか」という視点が大切です。 八方美人は禁物です。 コンセプトを固めるときは、あくまでも「普通の人々」を念頭に置き、普通の人々の「本性」を直視することが大切です。普通の人々が確かに必要とすること、欲しがるものを価値の中心に据えるべきです。
 コンセプトは「今そこにある価値」を捉えるものでなくてはなりません。 人間の本性はそう簡単には変わりません。表層的な現象にとらわれると、骨太のコンセプトはかえって生み出しにくくなります。 人間の本性を捉えたコンセプトにするためには、人間の本性をしっかり見つめることが大切です。スターバックスの「第三の場所」やガリバーの「買取専門」、こうしたコンセプトの表現には、それ自体で肯定的な意味を持つ形容詞が一切使われていません。だからこそユニークな価値を捉えられたのです。
 「業界ナンバーワン」とか「世界最高水準」といったベタベタに肯定的な価値を含んだ言葉を使ってしまうと、それ自体が「良いこと」に決まっているので、その時点で思考停止に陥りがちです。 「言われたら確実にそそられるけれども、言われるまでは誰も気づいていない」、これが最高のコンセプトです。

 

骨法その3 悲観主義で論理を詰める
 優れた戦略ストーリーの条件は一貫性にあります。一貫性の高いスト-リーをつくるためには、打ち手をバラバラと箇条書きするだけでなく、その間にある因果論理をよくよく考えなければなりません。ここで大切なことは、打ち手をつなぐ因果論理を詰めるときは悲観主義で臨むべきだということです。
 ここでいう「悲観主義」は「弱者の論理」と言い換えてもよいでしょう。ヒト、モノ、カネの制約に苦しんでいる会社であれば、「どうにかなるさ」とは言ってられません。ストーリーが本当に作動するかどうか、打ち手をつなぐ論理を突き詰めて考えざるをえません。そもそも、あらゆる戦略は利用可能な資源の制約を前提にしています。無尽蔵に資源を使えるのであれば(そんなことは現実にはないのですが)、戦略は必要ありません。

 

骨法その4 物事が起こる順序にこだわる
 因果論理の組立てに不可欠の条件は、共変関係(AとBが連動する)だけでなく、時間的先行性(AがBに先行して起こる)があることです。戦略ストーリーを考えるときは、いつも頭の中に時間軸がなければなりません。要するに、物事が起こる順序にこだわるということです。ビジネスモデルの概念は、確かに全体の「かたち」を捉えるものですが、構成要素の因果論理が巻き起こす「流れ」や「動き」の側面を捉えにくいというきらいがあります。
 戦略ストーリーは物事が起こる順序をよく考えながら練り上げていくものです。
 
骨法その5 過去から未来を構想する
 ストーリーという戦略思考からすれば、事業の成長は、非連続的な「革命」(revolution)というよりも、連続的な「進化」(evolution)の結果です。「これから」は「これまで」と無関係には考えられません。裏を返せば、戦略ストーリーは一面では成長の制約要因にもあるということです。どこまでもストーリーを拡張していくのが理想なのですが、無限の拡張性を持ったストーリーはありません。

 

骨法その6 失敗を避けようとしない
 どんなに秀逸な戦略ストーリーでも、それが本当に成功するかどうかは事前には把握できません。最後のところは、やってみるしかないのです。この意味で、実験の規模に違いがあるにせよ、あらゆるビジネスは本質的に実験であるといえます。だとしたら、事前にできること、するべきことは次の二つです。一つは事前に戦略ストーリーを持ち、組織でしっかりと共有すること。もう一つはストーリーの作り手が失敗を事前に明確に定義しておくことです。
 大切なことは、失敗を避けることではなく、「早く」「小さく」「はっきりと」失敗することです。
 
骨法その7 「賢者の盲点」を衝く
 「他社と違った良いことをやる」、これが戦略です。「違ったこと」をやらなければならない。 個別の構成要素の一団上にあるシンセシス(綜合)のレベルで戦略の宿命的なジレンマを解決する。ストーリーの戦略論の腕の見せどころはここにあります。戦略のある要素が非合理であれば、他社はその部分については模倣しようという動機を持ちません。むしろ、意図的にそこから離れようとします。あからさまに「良いこと」をやるのと比べて、違いを持続することができます。もちろん、それだけでは非合理なので、長期利益にはなりません。
 しかし、ストーリー全体の流れの中で部分の非合理を全体の合理性に転嫁することができれば、「良いこと」と「違ったこと」の矛盾が解け、この両者を同時に、しかも長期的に維持できるわけです。
 「なぜ」の積み重ねは当事者の頭の中にしかない、ということを改めて強調したいと思います。 キラーパスのストーリーは、出来合いの情報ばかり集めている素人の発想が及ばないところにあります。その意味で、キラーパスは玄人好みの戦略なのです。

 


<感想>
「普通の人々」の本性を直視して、長期利益を実現する(=目的)ための、確信が持てるストーリーを考え抜いてみたい

 

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戦略ストーリーのクリティカル・コアをじっくり考える?

 

【 ストーリーとしての競争戦略 】

 


 先日、「ストーリーとしての競争戦略 ~優れた戦略の条件~ 」(楠木建著、東洋経済新報社、https://str.toyokeizai.net/books/9784492532706/)を読み返してみた

 

 以下は一部抜粋(その5)

 


コンセプトを自分の頭で深くじっくりと考える 

クリティカル・コア(戦略ストーリーの一貫性の基盤となる中核的な構想要素)を見つめる 

 

 どんなに投資をしても自分の頭を使わなければコンセプトは構想できません。流行の画期的な技術やそのときに華々しく成長している市場セグメント、今そこにいる顧客の声、こうした「外部の事情」に惑わされてはなりません。人間の変わらない本性を見つめるためには、そのような表面的な誘惑や情報の洪水を意識的に遮断することがむしろ大切です。

 

 人間の本性を捉えた骨太のコンセプトをつくるために、その製品やサービスを本当に必要とするのは誰か、どのように利用し、なぜ喜び、なぜ満足を感じるのか、こうした顧客価値の細部についてのリアリティを突き詰めることが何よりも大切です。繰り返しお話してきたように、特に大切なのは「なぜ」についてのリアリティです。

 

 およそあらゆる人にとって、一番リアリティのある「なぜ」は自分自身の生活や仕事の中にあるはずです。自分自身ほどリアリティを持って理解できる「顧客」は他にはありません。

 

 ごく日常の生活や仕事の中で、嬉しかったこと、面白いと思ったこと、不便を感じたこと、頭にきたこと、疑問に思ったこと、そうしたちょっとした引っかかりをやり過ごさず、その背後にある「なぜ」を考えることを習慣にする。回り道のように見えて、これがコンセプトを構想するために最上にして最短の道だというのが私の意見です。どんなに画期的なコンセプトも、発想の初めの一歩はそうした日々の習慣の積み重ねの中から生まれるものだと私は思っています。

 

 戦略ストーリーの五つのCの残された一つ、「クリティカル・コア」(critical core)についてじっくりお話したいと思います。もったいぶるわけではありませんが、この起承転結の「転」にあたる部分がストーリーづくりの一番おいしいところであります。
 
 戦略ストーリーの起承転結です。戦略ストーリーの5Cを思い出してください。筋の良い戦略ストーリーをつくるためには、この五つのCをきちんと押さえることが大切です。

 

 起承転結がきちんとしているというのは、古今東西の優れたお話の基本条件ですが、その中でもとりわけ重要なのは、読み手の心をがっちりつかむような「起」と、ストーリー展開のツボとなる「転」の二つです。 クリティカル・コアは「転」にあたります。ストーリーのヤマといってもよいでしょう。コンセプトと並んで、クリティカル・コアは戦略ストーリーの優劣を決めるカギとなります。

 

 サッカーにたとえれば、ゴール(長期利益)へのシュート(競争戦略)に向けてさまざまなパス(構成要素)を繰り出すわけですが、その中でも「キラーパス」となるのがクリティカル・コアです。

 

 「戦略ストーリーの一貫性の基盤となる中核的な構成要素」、これがクリティカル・コアの定義です。 第一の条件は、「他のさまざまな構成要素と同時に多くのつながりを持っている」ということです。クリティカル・コアは文字通りストーリー全体の中核、つまり他のさまざまな構成要素と深いかかわりを持ち、「一石で何鳥にもなる」打ち手です。これは前段の「ストーリーの一貫性」に関連しています。

 

 第二の条件は、「一見して非合理的に見える」ということです。ストーリーから切り離してそれだけを見ると、競合他社には「非合理」で「やるべきではないこと」のように見える。しかし、ストーリー全体の中に位置づければ、強力な合理性の源泉になる。クリティカル・コアの特徴はこの二面性にあります。この意味で、クリティカル・コアはストーリーに「ひねり」を利かすものであり、起承転結の「転」なのです。この第二の条件は、定義の後段の「持続的な競争優位」に関連しており、とりわけ重要な意味を持っています。

 

 概念的な定義だけではわかりにくいので、以下では、スターバックスコーヒーの事例で見ていきましょう。スターバックスの戦略ストーリーを、例によってエンディングのほうか読み解いていくことにします。

 

 スターバックスの意図する最終的な競争優位はWTP(Willingness To Pay:顧客が支払いたいと思う水準)の増大にありました。 顧客がより大きなWTPを感じるということは、スターバックスにそれだけプラスアルファの価値があるということです。その価値の本質は何か。この問いに対する答えがコンセプトです。すでにお話したとおり、「第三の場所」(third place)、これがスターバックス独自のコンセプトでした。

 

 つまり、コーヒーを売るのではなく、ゆったりとした雰囲気の中でリラックスするという経験なり文化なりを売るということで、コーヒーそのものは、そのための手段であるという考え方です。

 

 第三の場所というコンセプトの定義は、単価を上げるだけでなく、顧客の来店頻度を上げるという意味でもWTPの増大に貢献します。日常的な避難場所として顧客は習慣的にスターバックスに来るようになります。 サッカーにたとえれば、WTP(競争優位)と第三の場所(コンセプト)がスターバックスの戦略ストーリーのツートップだということです。このツートップで長期利益のゴールにボールをたたき込もうというのがストーリーのエンディングの部分です。

 


<感想>
戦略ストーリーの一貫性の基盤となる中核的な構想要素 (クリティカル・コア。「転」)について、深くじっくりと考えてみたい

 

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賞味期限の長い独自のコンセプト?

 

【 ストーリーとしての競争戦略 】

 


 先日、「ストーリーとしての競争戦略 ~優れた戦略の条件~ 」(楠木建著、東洋経済新報社、https://str.toyokeizai.net/books/9784492532706/)を読み返してみた

 

 以下は一部抜粋(その4)

 


すべてはコンセプトから 
筋の良いストーリーに独自のコンセプトは欠かせない

 

 戦略ストーリーにおけるコンセプトの重要性はいくら強調してもし過ぎることがありません。

 

 第一は、すべてはコンセプトから始まる、ということです。幸いにして、コンセプトづくりにはたいして投資は必要ありません。使うのは自分の頭だけです。 思いついたアイディアがうまく転がっていかなくても、また考え直せばいいだけです。

 

 反対に、コンセプトをないがしろにしたままストーリーづくりに取りかかってしまうと、失敗は高くつきます。勝ち目のない事業に進出したり、誰も欲しくないような製品を開発したり、工場や従業員などの固定投資をドブに捨てるといった、取り返しのつかないことになりかねません。コンセプトの構想はある意味で「安上がり」な仕事ですが、逆にいえば、どんなに投資をしても、頭を使わなければ筋の良いコンセプトは生まれません。急ぐ必要はありません。コンセプトの構想にじっくりと時間をかけるべきです。本質的な顧客価値を捉えていると確信できるコンセプトが固まるまでは、ストーリーの細部を考えても意味がありません。コンセプトがしっかりしていないストーリーはしょせん砂上の楼閣です。

 

 スターバックスの意図する最終的な競争優位はWTPの増大です。「第三の場所」を提供することができれば、単にコーヒーを飲ませるよりも単価を高くすることができます。しかも、第三の場所は南の島のリゾートに行ってリラックスするという非日常ではありません。あくまでも日常的な経験ですから、顧客は習慣的に第三の場所に来るようになります。事実、1990年代後半には、スターバックスにの顧客は平均して週に18回来店するようになっていました。「高品質でおいしいコーヒーの提供」という見たままのコンセプトであれば、スターバックスはいまだにシアトルのローカルなコーヒー豆小売業者のままだったかもしれません。

 

 戦略のもう一つの本質である因果論理のシンセシスという意味でも、コンセプトは重要な役割を担っています。
 
 戦略の本質が因果論理のシンセシスにあるからこそ、コンセプトが大切になります。戦略ストーリーのシンセシスの基盤となるという意味で、コンセプトは「扇の要」の役割を担っています。ストーリーの起点がしっかりしていれば、そこから出てくる構成要素には初めから骨太の因果論理が備わってくるものです。「ユニークなコンセプトが固まれば、ストーリー作りの半分は終わったも同然」というのは、このことを指しています。

 

 「すべてはコンセプトから」ということは、裏を返せば、「すべてはコンセプトのために」ということでもあります。ストーリーに含まれるあらゆる構成要素が、コンセプトの実現に向かっていなければなりません。そうでなければシンセシスの一貫性が崩れてしまいます。筋の良いストーリーをつくるためには、コンセプトと因果論理でつながらない構成要素は意識的に切り捨てるという姿勢が大切になります。

 

 コンセプトは、顧客の喜ぶ姿が映画のシーンのように浮かび上がってくるような言葉でなくてはなりません。そのためには、そもそも誰を喜ばせるか、価値を提供するターゲットをはっきりさせる必要があります。

 

 「誰に嫌われるか」をはっきりさせる、これがコンセプトの構想にとって大切なことの二つ目です。ターゲットを明確にするということは、同時にターゲットでない顧客をはっきりさせるということでもあります。

 

 筋の良いコンセプトを構想するために大切なことの三つ目、たぶんこれが最も大切なことだと思うのですが、それは「コンセプトは人間の本性を捉えるものでなくてはならない」ということです。

 

 人間の本性とは、要するに、人はなぜ喜び、楽しみ、面白がり、嫌がり、悲しみ、怒るのか、何を欲し、何を避け、何を必要とし、何を必要としないのか、ということです。

 

 できるだけ賞味期間の長いストーリーをつくるためにも、人間の変わらない本性を捉えたコンセプトが大切になります。事業を取り巻く環境や機会は常に変化するものです。

 

 だから、「変わらないもの」としての人間の本性を捉えたコンセプトが必要なのです。

 


<感想>
賞味期限の長い、人間の本性を捉えた、筋の良い独自のコンセプトを創ってゆきたい

 

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戦略ストーリーを終わりから発想?

 

【 ストーリーとしての競争戦略 】

 


 先日、「ストーリーとしての競争戦略 ~優れた戦略の条件~ 」(楠木建著、東洋経済新報社、https://str.toyokeizai.net/books/9784492532706/)を読み返してみた

 

 以下は一部抜粋(その3)

 


競争優位の源泉
SPが明確でOCも強い
これが最強の状態

 

 その業界で競争している他社に対して違いをつくる。これが戦略の本質でした。厳しい競争構造に置かれた業界であっても、戦略で競争優位を構築できれば、持続的な利益を手に入れられます。「違いのつくり方」にSPとOCという二つの違った思考がありました。競争優位という山に登るには、SPとOCという二つのルートがあるわけです。SPとOCそれぞれの競争優位に対する構えを理解すること、これが思考の基盤です。

 

 戦略を構成する要素は競合他社とのさまざまな違いです。SPに基づく違いもあれば、OCに基づく違いもあります。こうしたいくつもの違いを因果論理で結びつけ、そこに流れと動きをつくっていくのがストーリーの戦略論です。
 

ストーリーの競争優位
戦略の5C 
シュートの軸足を決める

 

 ・ 競争優位(Competitive Advantage)  
ストーリーの「結」……利益創出の最終的な論理

 ・ コンセプト(Concept) 
ストーリーの「起」……本質的な顧客価値の定義

 ・ 構成要素(Components) 
ストーリーの「承」……競合他社との「違い」 
 SP(戦略的ポジショニング)もしくはOC(組織能力)

 ・ クリティカル・コア(Critical Core) 
ストーリーの「転」……独自性と一貫性の源泉となる中核的な構成要素

 ・ 一貫性(Consistency) 
ストーリーの評価基準……構成要素をつなぐ因果論理

 

WTP(Willingness To Pay)― C(Cost)=P(Profit)

 

 これが最も根本的な利益(P)の定義です。この式にあるWillingness To Pay すなわち顧客が支払いたいと思う水準を意味しています。顧客が何らかの価値を認めるから収入が発生するわけで、その大きさはWTPによって決まります。当然WTPを獲得するためには何らかのコスト(C)がかかります。煎じ詰めれば、利益は「WTPからそれにかかるコストを引いたもの」です。
 
 このように利益を定義すると、利益創出の最終的な理屈は、競合よりも顧客が価値を認める製品やサービスを提供できるか、あるいは競合よりも低いコストで提供できるかのいずれかとなります。つまりゴール直前のシュートには、大別して「WTPシュート」もしくは「コストシュート」の二つがあるということです。

 

 ストーリーを構想する第一歩としてシュートの軸足を定めなければならないのは、1)WTP、2)コスト、3)ニッチ特化による無競争、の三つのシュートの間にトレードオフの関係があるからです。もちろん1)と2)を同時に実現できればそれに越したことはないのですが、あちら立てればこちらが立たぬの関係があるのが普通です。

 

 繰り返し強調しますが、戦略ストーリーは終わりから組み立てていくべきものです。起承転結の「結」をまずはっきりイメージすることが先決です。シュートの軸足の選択は、ストーリーの基本的な性格を決め、ストーリーを構成するあらゆる要素に影響を及ぼすという意味で、重要な分かれ道になります。

 

 トヨタにしても、WTPをシュートにするブランドとしてレクサスを立ち上げたときは、シュートの軸足がぶれないように、わざわざ従来のトヨタと違ったストーリーを別建てで用意するという大変な投資をしています。最終的に意図する競争優位の変更は、このようにストーリーの全面的な書き換えを必要とするのが普通です。シュートのありようはその手前にあるあらゆるパスを規定します。だからこそ、ストーリーは終わりから発想するべきなのです。

 


<感想>
戦略の5Cについて、戦略ストーリーの「結」(終わり)から発想して、構成要素を因果論理でつないでみたい

 

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独自の強みを活かした模倣の難しさ?

 

【 ストーリーとしての競争戦略 】

 


 先日、「ストーリーとしての競争戦略 ~優れた戦略の条件~ 」(楠木建著、東洋経済新報社、https://str.toyokeizai.net/books/9784492532706/)を読み返してみた

 

 以下は一部抜粋(その2)

 


ポジショニングと組織能力 
ポジショニング(SP)とは「位置取り」のこと 
組織能力(OC)のカギは「模倣の難しさ」

 

 レストランの例を考えましょう。料理がとてもおいしいという評判で流行っているレストランがあるとします。なぜ評判が良いのでしょうか。その料理を考案したシェフのレシピが優れているのかもしれません。使っている素材や料理人たちの腕やチームワークが良いのかもしれません。シェフのレシピに注目するのがポジショニング(SP:Strategic Positioning)の戦略論です。これを、以下ではSPの戦略と呼びます。厨房の中に注目するのが組織能力(OC:Organizational Capability)に注目した戦略で、これをOCの戦略と呼びます。

 

 ポジショニングとは「位置取り」のことです。SPの戦略論では、戦略とは企業を取り巻く構想環境の中で「他社と違うところに自社を位置づけること」です。もっと平たくいえば「他社と違ったことをする」、これがSPの戦略論の考える競争優位の源泉です。

 

 かつての松井証券は小さな「株屋さん」でしたが、個人の株取引では大手企業をしのぐ存在になりました。

 

 松井道夫料理長の描いた「レシピ」に注目するのがSPの戦略論です。 何をやるかをはっきりさせて、違ったことをやろうというのがSPの発想です。「選択と集中」という言葉は、SPを意味しているといってよいでしょう。

 

 SPの戦略とは活動(activity)の選択、つまり「何をやり、何をやらないか」を決めるということです。 明確なポジショニングによる違いを構築するためには、「何をやるか」よりも、「何をやらないか」を決めることがずっと大切です。

 

 なぜかというと、SPの戦略論を支えているのは「トレードオフ」、つまり「あちら立てればこちらが立たぬ」という論理だからです。

 

 SPとは、競争上必要となるトレードオフを行うことにほかなりません。 「何をやらないか」という選択が大切になるのです。ポジショニングの戦略論の根底には、このシンプルな論理があります。

 

 SPが「他社と違ったことをする」のに対して、OCは「他社と違ったものを持つ」という考え方です。SPがシェフのレシピだとすれば、OCは厨房の中に注目する視点です。冷蔵庫の中にある素材とか料理人の腕前に違いの源泉を求めます。

 

 SPの戦略論が企業を取り巻く外的な要因(その際たるものが業界の競争構造)を重視するのに対して、OCの戦略論は企業の内的な要因に競争優位の源泉を求めるという考え方です。

 

 「競争に勝つためには独自の強みを持ちましょう」という考え方です。 大切なのは、ここでいう「独自の強み」とは何なのかということです。
 
 さまざまな経営資源の中で、「組織特殊性」(firm-specificity)の条件を満たすものを、一般の経営資源と区別してOCといいます。組織特殊性とは、平たくいえば「他社が簡単にはまねできず(まねしようと思っても大きなコストがかかる)、市場でも容易には変えない」ということです。SPがトレードオフを強調するのに対して、OCのカギは「模倣の難しさ」にあります。

 

 他社がそう簡単にはめんできない経営資源とは何でしょうか。組織に定着している「ルーティン」だというのが結論です。ルーティンとは、あっさりいえば「ものごとのやり方」(ways of doing things)です。さまざまな日常業務の背景にある、その会社に固有の「やり方」がOCの正体であるいことが多いのです。

 

 なぜ、このようなルーティンとしてのOCは模倣が難しいのでしょうか。 第一の理由は、暗黙性です。「因果関係の不明確さ」といってもよいでしょう。 第二の理由は、経路依存性(path dependency)です。その企業のそれまでのビジネスの経験や経路と切り離しては考えられません。 第三の理由は、OCそのものが時間とともに変化するということです。

 


<感想>
他社と違った独自の強みを活かして、模倣が難しいもので競争を優位に進めてみたい

 

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ストーリーとしての競争戦略を組織で共有?


【 ストーリーとしての競争戦略 】

 


 先日、「ストーリーとしての競争戦略 ~優れた戦略の条件~ 」(楠木建著、東洋経済新報社、https://str.toyokeizai.net/books/9784492532706/)を読み返してみた

 

 以下は一部抜粋(その1)

 


優れた戦略の条件とは何か

 

戦略が「ストーリーとなっているか」 
戦略に生き生きと動く「ストーリー」が見えるか 
戦略の優劣の基準はここにある

 

 ここで問題にしているのは、戦略の「当たり外れ」ではなく、あくまでも「優劣」です。「優れた戦略」が現実に成功するかどうかはわかりません。戦略が優れていても、失敗することは少なからずあります。顧客と競争相手という、直接的にはコントロールの利かない相手がいる話ですし、未来のことはどっちにしても不確実です。ビジネスの成功・失敗は、「やってみなければわからない」としか言いようがありません。しかし、それでも「優れた戦略」を持つことには意味があります。

 

 戦略を構成する要素がかみあって、全体としてゴールに向かって動いていくイメージが動画のように見えてくる。全体の動きと流れが生き生きと浮かび上がってくる。これが「ストーリーがある」ということです。

 

 戦略がこの意味でのストーリーになっているかどうかは、内容はもちろんですが、戦略のプレゼンテーションをする人の表情や声、雰囲気にも注意して聞いていれば、一目瞭然です。そこにストーリーがあれば、その戦略をつくっている人自身がストーリーに興奮し、面白がり、実に楽しそうに戦略を「話して」くれるからです。
 ストーリーなしのアクションリストの場合は、「中期経営計画を取りまとめなければいけないので、まぁ、一応……」という感じで、プレゼンテーションをする当人がまるで他人事のように話を進めるものです。当事者がそもそも面白がっていない。これがストーリーになっていない「戦略」に共通の特徴です。

 

 ここでお話したいのは、競争戦略を「ストーリーづくり」(story-telling)として理解する視点と、その背後にある論理です。ストーリーという視点に立てば、競争戦略についてこれまでと違った景色が見えてくるはずです。

 

 ストーリーとしての競争戦略は、「違い」と「つながり」という二つの戦略の本質のうち、後者に軸足を置いています。競争戦略は、「誰に」「何を」「どうやって」提供するのかについての企業のさまざまな「打ち手」で構成されています。戦略は競合他社との違いをつくることです。さまざまな打ち手は他社との違いをつくるものでなくてはなりません。

 

 戦略をストーリーとして語るということは、「個別の要素がなぜ齟齬なく連動し、全体としてなぜ事業を駆動するのか」を説明するということです。それはまた、「なぜその事業が競争の中で他社が達成できない価値を生み出すのか」「なぜ利益をもたらすのか」を説明することでもあります。個々の打ち手は「静止画」にすぎません。個別の違いが因果論理で縦横につながったとき、戦略は「動画」になります。ストーリーとしての競争戦略は、動画のレベルで他社との違いをつくろうという戦略思考です。

 

 ストーリーとしての競争戦略とは、「勝負を決定的に左右するのは戦略の流れと動きである」という思考様式です。

 

 個別の要素についての意思決定(たとえば、ある製品の生産を社内でやるか、それとも外部企業に任せるか)は、基本的に what や who(whom) や how や where や when を確定するということです。こうした個別の打ち手に対して、戦略ストーリーが問題にするのは why です。右で「線」とか「流れ」といっているのは、なぜある点がもう一つの点につながるのか、ある打ち手がなぜ次の打ち手を可能にするのか、という因果論理に注目しています。戦略を一連の流れを持つストーリーとして考えなくてはならないゆえんです。

 

 戦略をストーリーとして語り、組織で共有するということは、戦略の実効性を大きく左右します。

 

 自分の仕事がストーリーの中でどこを担当しており、他の人々の仕事とどのようにかみ合って、成果とどのようにつながっているのか、そうしたストーリー全体についての実感がなければ、戦略の実行にコミットできません。戦略ストーリーをつくる立場にいるリーダーだけでなく、ミドルマネジメント以下の人々も仕事に向かって突き動かされるような面白いストーリーを強く求めているはずです。

 


<感想>
実効性を大きく左右する、面白いストーリーとして語り、ミドルマネジメント以下の人々も共有する戦略を実行してみたい

 

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社会に貢献する企業だけが存在を許される?


 ワイズカンパニー:社会に貢献する 】

 


 先日、ワイズカンパニー(The Wise Company)(野中郁次郎著/竹内弘高著/黒輪 篤嗣訳、東洋経済新報社、https://str.toyokeizai.net/books/9784492522301/)を読み返してみた


 以下は「共通善」に関する部分の一部抜粋(その2)

 


ワイズカンパニーの6つのリーダーシップの実践


生き方として共通善を追求する

 

もう一人の手本である柳井正も、理想主義や、未来や、共通善について同じようなメッセージを発している。柳井は『経営者になるためのノート』で次のように論じている。「使命が、社会をよくする方向に持っていく使命であればあるほど、それを具体化した商品やサービス、商売に対して、社会は共感してくれるのです。待ってました、素晴らしい、と拍手喝采で迎えてくれるのです。結果的に数値もついてくるというわけです」

 

柳井は、企業は利益をあげなくてはならないが、社会に貢献する企業だけが生き残れるということをはっきり述べている。つまり儲けることがすべてであるとか、儲けるためだったら何をやってもかまわないとか、すべてはお金のために経営するとかという考えは、きっぱりと否定している。

 

「こういう会社は、すぐに駄目になります。やはり会社というのは、社会に貢献できて初めて、社会から存在が許される、認められるものだと思います。会社は、生まれた瞬間から社会の公器です。ですから、社会に貢献できる会社だけが、時代を超えて、『社会にいていいよ』と言われるようになっていると思います。それだけ社会は厳しい、お客様は厳しいということです。会社によって儲けることは重要なことですが、それ自体は手段にすぎません。会社の最終目的は『人間を幸せにするために存在している』という使命の実現にあるべきなのです。
(中略)お金だけを追いかけるとお金に逃げられるのです」

 


<感想>
「社会に貢献する企業だけが時代を超えて、社会から存在が許される」というユニクロ・柳井正の言葉を肝に銘じてゆきたい

 

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他人の利益を図らずして自らの繁栄なし?


【 ワイズカンパニー:他人の利益を図る 】

 


 先日、ワイズカンパニー(The Wise Company)(野中郁次郎著/竹内弘高著/黒輪 篤嗣訳、東洋経済新報社、https://str.toyokeizai.net/books/9784492522301/)を読み返してみた

 

 以下は「共通善」に関する部分の一部抜粋(その1)

 


ワイズカンパニーの6つのリーダーシップの実践

ワイズリーダーは、自社や社会によってーー株主にとってばかりではなくーー何がよいことかを見極める。

 

「リーダーは絶え間ない変化の中で判断を下し、行動を起こすことを求められる。判断を下すとき、広い視野に立って、社会にとっての善をなそうとするのが、われわれが考えるワイズリーダーである。

 

ワイズリーダーには道徳的な目的がある。 ビジネスリーダーは資本主義の担い手としては、自社にとってよいことをして、利益をあげ、株主価値の最大化を図らなくてはならない。

 

しかし同時に、常に社会にとってよいこと、全人類にとってよいこともしなくてはならない。

 


生き方として共通善を追求する

ワイズリーダーシップのこの実践の手本として、ここでは巨大企業の創業者二人を紹介しよう。

 

一人は世界一のファスナーメーカー、YKKの創業者、吉田忠雄。もう一人は、日本で最も急速な成長を遂げたアパレルブランド、ユニクロの運営会社ファーストリテイリングの創業者柳井正である。 

吉田は1934年、YKKを創業後に間もなくも、「善の循環」という経営哲学を打ち立てた。 企業は社会とともに反映することによってのみ生き残れるということだった。

 

「善の循環」の哲学は、「他人の利益を図らずして自らの繁栄はない」という吉田の考えと密接に結びついている。消費者と、供給業者や流通業者を含む関連産業と、社員の三社に利益が分配される「成果の三分配」が果たされるとき、企業の存在価値を社会に認めてもらえるというのが吉田の持論だった。

 


<感想>
「他人の利益を図らずして自らの繁栄はない」というYKK創業者の言葉を肝に銘じてゆきたい

 

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ストーリーブランディングによる圧倒的なファン化?

 

【 ストーリーブランディング 】

 


 以下は、ストーリーブランディングに関するWebサイトからの一部抜粋。


映画『海賊と呼ばれた男』にみるストーリーブランディングとは?
https://www.b-i-o-s.co.jp/column/290-2/)


< ツイッター投稿 >
海賊と呼ばれた男 めったな事では泣かないぐらっぺですが泣きました! 愛国者は見るべし 日本男児の男の本懐ここに有り 車乗る人は出光でガソリンを入れるべし(ФωФ) まだじんわり目に涙が(ToT)

 

“車乗る人は出光でガソリンを入れるべし”

 

完全に出光のファンになってる そして、他人に勧めている これ結果的に、ブランディング手法でいうところのストーリーブランディングと言える

 


< ストーリーブランディングとは? >
「物語調で企業の価値を伝え、読者を惹き込みファン化させる手法」

 

サービスや商品が世の中に溢れかえり、他商品との差別化が難しいいわゆる“コモディティ化”が進む昨今、注目されているのが、このストーリーブランディング

 

まさに、ガソリンって差別化が難しい あそこのガソリンは質が良いとか考えたことないし 最近は、セルフスタンドが増えてきてるので、窓拭いてくれたりなどのサービスもなくなってきたし。

価格もそんなに変わらないし 強いて言えば、立地が大きな選択の基準か あとは会員カードとかポイントとか

 

でも、このツイッターの方は、“出光でガソリン入れるべし”と 出光の社員でもないのに(たぶん)、みんなに勧めている

 

つまり、この映画を通して、創業者の苦悩と挫折、それを乗り越える努力、そして成功 という、唯一無二のストーリーを体感し、ファンになったから ここに、圧倒的な他社との差別化が形成されている(ニッカウヰスキー創業者を題材にしたNHKの朝ドラ『マッサン』のときも、商品が売れすぎて、生産が間に合わなかった)

 

つまり、ストーリーには、人を惹きつけファン化させる力がある そして、ファンになった方は、購買し友達や家族とかに話したり、SNSで拡散までしてくれる

 

アメリカのデータ分析会社One Spotが発表した「ストーリーテリングを科学する(The Science of Storytelling)」によると ストーリーを感じる広告をブランドに求める消費者の割合は92%という数値が出ている といっても、、、 うちの会社にそんな感動的なストーリーなんてないし と多くの方が思うかもしれない

 

私は、そんなことはないと思う 意外と当事者は気づいていないだけで、創業の想いや、日々の営業、商品開発の過程、お客様との日常的なコミュニケーションの中に 必ず、それぞれのストーリーがあるはず ちょっと視点を変えることで、見えてくることがある もしかしたら、そんな埋もれているストーリーが書籍化され、映画化し、岡田くんがあなたの役を演じるかもしれない

 


<感想>
“コモディティ化”が進む同業種の中で、圧倒的なファン化させる力に繋がる「ストーリーブランディング」を手に入れたい

 

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トランプの政策が与える経への影響?


【 トランプの政策が与える経済への影響 】

 


 以下は、2024/11/10の日経新聞電子版からの一部抜粋。

 


「言行不一致」のトランプ円安 ドル安志向vs.インフレ再燃
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB076E10X01C24A1000000/

 


1.減税の継続・拡大
トランプ氏は前政権時の目玉政策として17年に減税・雇用法(トランプ減税)を成立させた。個人所得税の最高税率を引き下げたほか、相続税や贈与税の基礎控除をほぼ倍増させた。このうち25年末に期限が切れる分の恒久的な延長を打ち出している。さらに法人税を引き下げる意向も示している。

 

2.関税の引き上げ
自称「関税男(Tariff Man)」のトランプ氏は日本製を含む全ての輸入品に一律で10〜20%の関税をかけると主張している。

 

3.移民対策の強化
前政権時代にメキシコとの国境で壁の建設を進めたトランプ氏は、今回も不法移民対策の強化を掲げている。移民の流入は米企業の人手不足を緩和し、米国内の賃金上昇を和らげてきた。強制送還や流入阻止によって移民の数が減れば、米国内の人手不足が深刻化する。

 


<感想>
上記の、関税の引き上げ→減税の継続・拡大、移民対策の強化→人手不足の深刻化が、米国経済に与える影響や為替への影響を注視してまいりたい

 

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公の便益に訴えた提案?

 

【 森岡毅:「公の便益」に訴える 】

 


 以下は、『マーケティングとは「組織革命」である。』(森岡毅著、日経BP社)からの一部抜粋。

 


何が相手に響くのか?(WHAT)
「公の便益」に訴える

 

 万事において、私は戦う前に成功確率を上げることを重視します。できるだけ勝てる戦いを選び、一見勝てそうにない戦いを勝てる戦いに帰る方法を考えたいのです。・・・(成功すれば投資、失敗すれば消費)・・・手足を動かす前にまずはじっくりと頭を使うことにしています。

 

 “公の便益”とは、組織全体のメリットです。この提案を実行すれば、会社や部やチームなどの共同体にとって良い結果がもたらされることを訴求します。売り上げやシェアが上がる、コストセービングになる、組織モラルが高まるなど、経営学として”正しいこと”が主に挙げられます。

 

 なので「公の便益」は憚られることなく、提案が買われて実行される際に表向きの理由になります。これが弱いとターゲットを説得する確率が下がり、たとえ説得できても実行させる際の推進力が不足します。人々が情熱を傾けるには強い“大義名分”を必要としますので、多役の便益がクリアに強いことは大切です。

 

 便益そのものの魅力はTarget Analysisの精度次第です。相手が気にしていることや信じていることにひっかけて、その文脈で語ると魅力度は増します。・・・主な便益の一つにターゲットが気にしているタイムリーな共同体の目的を組み込めればベターなのです。ターゲットにとって、上に提案を通しやすいと感じますし、上からの評価にプラスなので自己保存に繋がるからです。

 

 実現可能性を高めるためにはどうすれば良いか? その魅力ある便益が達成可能だと相手に信じさせるためには何が必要か? そのために“戦略”を組み立てて相手にまざまざと見せるのです。どんな高い壁でも階段さえ作れば上ることができます。“便益”を目的とした、達成のための会談を戦略化し、どうやれば辿り着けるのか、自分自身の中で自信の持てるレベルまで策を練るのです。そしてその道筋を相手に理解させます。そうすると相手はその魅力ある便益が達成可能に思えてきます。そして便益の魅力が強いほど、その階段を自ら登りたくなってきます。

 

 多くの人が提案を通すのが苦手なのは、魅力的な便益を見つけることができないことが原因ではありません、“実現可能性を明確に示すスキル”が不足しているのです。夢を見つけて語ることはできても、どうすれば実現できるか説得力のある道筋を示せない。だから相手は提案の便益を「手に入るもの」として認識することができません。

 

 魅力的な「行先」がある時、「行けるのではないか?」とさえ思えば人は行ってみたくなるものです。つまり「公の便益」を強くするカギは、実現可能性の説得力なのです。

 


<感想>
組織全体のメリットである「公の便益」をしっかり考えた内容を盛り込んだ提案を心掛けてゆきたい

 

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石破総理宛て「辞意表明すべき」と直言?


【 青山繁晴参議院議員の発言 】

 


 2024/11/7の自由民主党両院議員懇談会で、青山繁晴さんが、石破総理宛てに「辞意表明すべき」と言った。

 

 以下は、ご自身のブログからの一部抜粋。

 


【推敲しました】  補正予算を上げたら自ら辞意表明すべきという趣旨を、石破総理の目を見て申しあげました
https://shiaoyama.com/essay/detail.php?id=5494

 

 9人目ぐらいだったでしょうか、わたしに当たり、以下のように発言しました。(趣旨です)

「全国を応援遊説した肌感覚と、憲政の常道、あるいは王道から発言します。
 石破総理におかれては、しかるべき時期に潔く辞意を表明すべきだと考えます。
 公明党 ( 8議席減 ) は石井代表が辞め、野党でも維新 ( 6議席減 ) の馬場代表が事実上の辞意表明をされ、議席が減ってもトップが責任取らないのは自由民主党 ( 56議席減 ) と共産党 ( 2議席減 ) だけになるのはいけません。共産党は共産党の判断でいいのですが、自由民主党は違います。政権選択選挙で政権党が負けているのに、総理が責任を取らないのでは民主主義が成り立ちません。

 

 一方で、世論調査結果の傾向は『総理は辞める必要がない』という意見が6割、7割です。メディアの世論調査には当てにならない面がありますが、この調査結果もむしろ謙虚に受け止めるべきです。すなわち当面は混乱を招くなという民意であって、年末に行う来年度に向けた税制改正や、同じく年末の来年度予算編成まで石破総理にやって欲しいという民意では無いと考えるべきです。
 来年夏の都議選や参院選を現総理でやって欲しいという民意でも無いと考えるべきです。
 能登で苦しむ同胞のためもあって急いで補正予算を上げるまでは、混乱や遅滞を避けるために現総理で行って、4日後の11月11日に迫る首班指名選挙もそのことを考えて対処しても、補正予算が上がってからは違います。

 

 石破総理。
 不肖わたしは民間専門家の時代が長く、石破総理とも安全保障を軸に四半世紀を超えるお付き合いがあります。
 その石破総理のためにも、申しあげます。辞職の表明を潔く行ってください。
 最後に、落選なさった議員や新人候補にも、総理に意見を言える機会をつくってください。すでに森山幹事長が準備なさっているようですが、必ず、早く、行うべきです」

 


ご参考)NHKニュース 青山繁晴参院議員「石破首相は辞意を表明すべき」
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241107/k10014631771000.html

 


<感想>
青山繁晴参議院議員の言う通りで、石破総理は補正予算成立後に辞意表明すべきである

 

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戦略的勝利のトランプ?

 

【 米大統領選:トランプの勝利 】


 米大統領選で、トランプが勝利した。
 以下は、添付Webニュースからの一部抜粋。

 


米大統領選、トランプ氏が勝利宣言 識者の見方
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCB069DI0W4A101C2000000/

 

 

「分断利用し勝利」 

トランプ氏は「分断」を利用して票を積み重ね

勝因はハリス氏の支持層を分裂させたトランプ氏の戦略

 

合法的に米国に移り住んだヒスパニック(中南米系)の有権者を念頭に「不法移民と同じでいいのか」と国境管理を厳格にする施策を前面に

 

経済政策を巡っても平等を重んじるハリス氏の政策を「社会主義的で米国は望んでいない」と批判 ポピュリスト(大衆迎合主義者)ともとれる言説 → ハリス氏に投票するか迷っていた有権者にも響いた

 

ハリス氏の敗因 米国の分断の中で固めるべき票を固め切れなかった 民主主義を守るというメッセージは効果が薄かった

 

副大統領を務めたバイデン政権下で進んだインフレは政策以外の外的要因が大きいにもかかわらず、自身の支持層も十分に説得しきれなかった

 

トランプ氏は大統領就任後、1期目の在任時に達成できなかった政策に取り組むだろう 不法移民の強制退去や関税の引き上げなど大統領権限でできることから着手する可能性はあるだろう

 


「民主の過度なリベラリズムに反感」

民主党のハリス氏の敗北 長引いたインフレ下で、国民の中に生活を直撃する痛みがあった 有権者にとって民主党政権を維持したいという思いが働かなかった結果

 

民主の失策はリベラルな政策に振れすぎてしまった戦い方に原因 移民や環境問題を巡って「米国が変わってしまうのではないか」という恐れを招き、行き過ぎたリベラリズムへの反感を買った

 

ハリス氏はバイデン大統領から距離を置くのと同時に、変革のシンボルになる必要があった 現職の大統領の後継として、予備選挙を経ずに候補者になったためシンボルになりきれなかった

 

民主の岩盤支持層はハリス氏をしっかりと支援 半面、どちらの候補に票を入れたらよいか分からない人にとってハリス氏は未知の人にとどまってしまった

 

ハリス氏は「よく分からない人」というイメージを払拭しようと様々なメディアに出演したが、アドリブで答えるだけの知識と経験の不足がかえって露呈

 

トランプ氏はバイデン政権とハリス氏を結びつけることに大きなエネルギーを割き、その戦略が奏功 テレビ討論会ではハリス氏が一定の評価を得たが、トランプ氏がハリス氏との2回目のテレビ討論会を拒否したのも有効だった

 


<感想>
米大統領が再選失敗後に返り咲くのは132年ぶり、2人目だという
バイデン政権のマイナス部分をハリスに結びつけた戦略勝ちの様相が濃いトランプの政策に注目していきたい


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今に続く過去をちょっと思い出しただけ?

 

【 松居大悟監督・ちょっと思い出しただけ 】


 先日、松居大悟監督作品「ちょっと思い出しただけ」を観た。

 

 以下は公式サイトの主演二人のコメントより。
https://choiomo.com/

 


池松壮亮
思い出せないことと、忘れられないこととが、人生そのものをかたどっているように思います。過去にしがみつくではなく、過去を無かったことにするではなく、全ての地続きに今があると信じています。あらゆる人の人生の過去が、その人の人生にあったことを感謝出来ますように。過去と今が、無かったことになりませんように。昔の気持ちを思い出して、色々あったけど今はもう大丈夫。でも、ちょっと思い出しただけ。そんな私たち自身についての映画になってくれることを願っています。

 


伊藤沙莉
綺麗事を言うつもりなんてさらさらないし、ポジティブ、ネガティブな出来事を全て肯定するべきなんて全く思いませんが、私は確かに過去に存在したそれがあっての今なんじゃないかな、と常々思っています。
そういう過ぎた思い出や記憶を、ちょっと思い出しただけな時間もまた、悪くない一瞬だと思います。
ああ、あったなこんな時。とか
ああ、あの人元気かな。とか
そんな悪くない一瞬を、2人の時間を通してふと感じていただけたらいいなぁと思います。

 


ご参考)『ちょっと思い出しただけ』松居大悟監督とジャームッシュを繋ぐ、星の一角の恋愛物語
https://fansvoice.jp/2022/02/19/choiomo-matsui-interview/

 


<感想>
2人の過去の地続きに今があり、過去の悪くない思い出や記憶をちょっと思い出しただけの本作を何度も見直していた・・・

 

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藤井風が情熱的だった自分を振り返る?

 

【 藤井風:自分の人生を振り返る 】

 


 先日、NHK MUSIC SPECIAL 「藤井 風 ~登れ、世界へ~」を観た。
https://www.nhk.jp/p/ts/R6R5RGQNJZ/blog/bl/pGEXKklkwn/bp/pVGNLjojDe/

 

 以下は、番組の内容から。

 


(藤井風)
more energetic(もっとエネルギッシュ)で more passionate(もっと情熱的)だった頃の自分が今必要だと思って
そう思えたのもなんか
最近ずっと振り返っていて自分の人生を
・・・
それを見たらなんかデビューする前は
ちゃんとギラギラしてたなと思って
・・・
その忘れかけていた 情熱的な自分に戻ってきてほしい

 


(ナレーション仲野太賀)
今の自分に必要なもの。
それは 過去の自分が持っていたパッション。
だから「I Need You Back」。

 


(藤井風)
Passionがあるので
できるとこまで突き進んでやろうかなと
思ってます。

 


ご参考)藤井 風、制作現場にカメラ初潜入 アメリカでの楽曲制作裏側・こだわり語る
https://mdpr.jp/music/amp/4415481

藤井は「自分の今までの常識を破るような曲があってもいいのかな」と話し、・・・
「My passionですね、ひと言で言うと。本当に自分が『最高』って思えるようなものにしたい」と、力強く語った。

 


<感想>
10代の頃の自身のパッションが今必要だと振り返る藤井風、現在27歳(まだ若いのに・・・)
還暦を越え、いつまでも10代の頃のパッションを忘れずにいたいと思う

 

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東証が将来予測情報の積極的な開示を要請?

 

【 東証:将来予測情報の積極的な開示の要請 】

 


 3月決算会社の第2Q決算短信のリリース時期に当たり、東証の「決算短信等の開示に関する要請事項」を確認してみた

 


「決算短信等の開示に関する要請事項」
https://faq.jpx.co.jp/disclo/tse/web/knowledge7142.html

 

上場会社の決算に関する情報は、投資者の投資判断の基礎となる最も重要な会社情報であることを踏まえて、東証では、決算短信等の開示について、以下のような要請を上場会社に対して行っています。

 


< 将来予測情報の積極的な開示の要請 >
・ 我が国では、上場会社が自社の将来の経営成績・財政状態等について、主要な経営指標(例えば、売上高、利益、ROEなど)の見込みや、将来の経営成績に影響を与える財務指標(例えば、設備投資や研究開発に係る支出など)の見込みその他の将来の見通しに係る情報(以下「将来予測情報」といいます。)を開示することが、長年に亘る実務慣行として広く定着しています。

 

・ 投資者の投資判断は、一般に、上場会社の将来の企業価値(株式価値)の予測に基づいて行われることとなりますので、自社の状況及び将来の経営方針に関して最も詳細かつ正確な情報を有する上場会社自身によって開示される将来予測情報は、証券アナリスト等の高い企業分析能力を有する専門家によっても、完全に代替生産することは困難であり、投資者にとって有用な投資判断情報であると位置付けられます。

 

・ 東証では、上場会社と投資者との間の重要な情報格差を解消し、投資者との充実した対話を通じて証券市場における公正かつ円滑な価格形成を確保する観点から、上場会社が、それぞれの実情に応じて将来予測情報の積極的な開示に取り組むよう要請しています。


・ また、将来予測情報の開示内容や開示形式の変更を行う場合には、過去の実績数値や同業他社の開示内容との間の比較可能性の低下など、投資者の利便性にも影響が生ずることが想定されますので、
例えば、設備投資計画やそれに伴う減価償却負担の変動見込み、事業環境に係る見通し(前提条件)や前提条件の変動による業績の感応度など、投資者の投資判断に有用な将来予測情報の開示の継続及び一層の充実のほか、「次期の業績予想」を含む将来予測情報の開示全般に関する自社の考え方の提示など、投資者との積極的なコミュニケーションの実践を通じて、安易な情報開示の後退との批判を招くことのないよう留意してください。

 


ご参考)「連結業績予想などの将来予測情報に関する説明」事例

通期の連結業績予想に対する当中間期末における進捗率(利益ベース)は約85%となり、極めて高い進捗率に達しましたが、当社グループの業績は短期的には為替相場の変動率の影響を大きく受けることから、下期の相場状況を正確に予測することは困難であり、収益予測の不確実性が高い状況であると認識しております。

従って、今回は通期の連結業績予想を修正せず据置くこととし、第3四半期までの状況を総合的に勘案して、改めて通期の連結業績予想を見直すことといたします。

 


<感想>
東証の開示要請に基づいて、将来予測情報に関する説明を以前と比べて充実させる会社が増えているものと思われる

 

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FX専業会社を伊藤忠系がTOB?


【 マネーパートナーズ TOB by 外為どっとコム】

 


 2024/10/31、外為どっとコム(「外為.com」)が、マネーパートナーズグループ(「マネパ」)のTOBを発表した
https://www.moneypartners-group.co.jp/ir/

 

 以下は、その概要

 


< TOB概要 >
公開買付者
:外為.com(トラディション・ジャパン・FXHD44%,伊藤忠40%)
TOB価格:475円(10/30終値205円の131.7%のプレミアム)
TOB期間:24/11/1~12/13(30営業日)  
TOB代理人:SMBC日興証券
買付予定数下限:21,733千株(66.67%)(全株取得時:約155億円)
TOB資金:自己資金及び三井住友銀行からの借入れにより賄う予定
TOB実施後:スクイーズアウト手続きによる完全子会社化&吸収合併

 

TOBの背景・目的等:1)FX事業の強化、2)収益源の多角化、3)システム統合によるコストシナジー、4)公開買付者の大株主である伊藤忠商事との連携

 

1.2020年前後に誕生したFXビジネスは20数年を経て成熟期に入りつつあり、大手オンライン証券のFX事業強化などの影響により、新規顧客獲得のハードルも年々高まり、独力での成長には限界があること

 

2.FX事業の競争力を強化するため、規模の経済によるシナジーを最大限に顕在化して、事業基盤の安定化や顧客サービスの改善、積極的な事業展開につなげること

 

3.経営資源を統合することで、より強固な経営基盤を確立し、相互の知見やノウハウを活用したより付加価値の高い商品・サービスを開発可能なこと

 

4.システム統合によるコストシナジーと抑制される費用を原資に積極的な新規顧客開拓のためのプロモーション⇒認知度向上を通じたブランド価値の最大化を図れること

 

5.収益性へのインパクトが大きいディーリング部分の統合⇒取引量増加を通じたカバー先の金融機関への価格交渉力向上等のシナジーが得られること

 


< TOBに至る経緯 >
1.外為.com ⇒ マネパ

2023/03 TOBを提案(マネパ:みずほ証券(FA)宛て、非公開化の是非等の相談)
2023/06 TOB・スクイーズアウト手続きによる完全子会社化の意向表明書を提出

 

2.マネパ
2024/03 入札プロセスによる戦略的パートナー候補との協議及び交渉を進める方針を決定
2024/06 第一次入札プロセス開始(事業会社4社が参加に関心あり、@412)


2024/09 第二次入札プロセス参加の2社から最終意向表明書を受領、@429
⇒ 修正提案書(@475)の外為.comを選定

 


< 両社沿革 >
外為.com
:2002/4 設立、2021/4 上田ハーローを完全子会社化、2022/9 伊藤忠の持分法適用会社に

 

マネパ:2005/6 設立、2007/6 ヘラクレス上場、2012/5 東証2部上場、2013/5 東証1部指定、2022/4 東証プライム移行、2024/10 東証スタンダード移行

 


<感想>
FX専業会社がまた一つ消滅した
マネパを買収した外為.comの今後の業績推移等に注目したい

 

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長期利益創出への血気と欲が大切?


【 楠木建:長期利益経営 】 

 


 先日、楠木建 一橋ビジネススクール特任教授のセミナーを聞いた
https://www.youtube.com/watch?v=fswOoeW2UK8

 

 以下は、セミナー資料「構造改革の先にあるもの」からの一部抜粋

 


P6 シンプルに考える 
 勝利条件(=長期利益)が明確
 余計なことを考えないほうがイイ
 「長いこと儲かるためには・・・・・・」さえ考えておけば だいたいのことがうまくいく

 

P7 長期利益=ESG
 長期利益経営はほぼ自動的にESG条件を満足させる
 企業は社会の中にある社会的存在 社会があって企業がある
 Eがダメだといずれ顧客に選ばれなくなる=儲からない
 Sがダメだといずれ働き手に選ばれなくなる=儲からない
 Gがダメだといずれ株主に選ばれなくなる=儲からない
  
P9 利益の源泉の階層
利益の持続性 
  最高 レベル4 戦略ストーリー → 一貫性・好循環
   高  レベル3 ポジショニング → 独自性
   低  レベル2 事業立地 → 先行性
  最低 レベル1 外部環境 → 追い風

 

P13 競争戦略の基本論理
 競合他社との違いをつくる

 

P16 競争と戦略の原点に立ち戻る
 他社ができないことをする
 他社がやらないことをする

 

P18 結論 
 目先の小さな損得に流れない
 将来に向けた戦略ストーリーを構想する
 攻めの投資に踏み切る
 厳選した経営チームで戦略を断行する
 次世代の経営者を育成する
 すべては経営者次第 
 長期利益創出への血気と欲
 自信と気概がない経営者は今すぐに他の人に代わってもらうべき

 


<感想>
「ストーリーとしての競争戦略」の楠木先生の分かり易いセミナー 特に、「ESGがダメだと、顧客/働き手/株主に選ばれなくなり、儲からない」や、経営者には「長期利益創出への血気と欲」が必要、との指摘は理解し易い

 

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