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株主総会で社長が解任?


【 JPHD(2749):株主総会で社長が解任 】


 2018/6/29、日経電子版に「JPHD、混乱収拾が急務 株主総会で社長解任」と題する記事が掲載された。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO32372480Y8A620C1L91000/

 以下はプレスリリース等の概要。


1.株主総会決議通知
http://www.jp-holdings.co.jp/wordpress/wpcontent/uploads/2018/06/20180628-2.pdf

(1)会社側提案の取締役

 荻田和宏社長を含む取締役6人の選任が否決
 古川新社長と西井氏の選任のみ可決


(2)株主提案の取締役

 筆頭株主の投資会社マザーケアジャパンの坂井徹代表と福岡氏の選任案が可決


2.大量保有報告書
http://www.kabupro.jp/edp/20180119/S100C5EY.pdf

 提出者:マザーケアジャパン
 報告義務発生日:2018/1/18
 保有株式:24,074,800株(27.4%)
 取得価格:337円/株(6/29終値@353)
 借入:81.1億円全額(未来キャピタルより)
※山口洋前社長から19,931,600株(22.7%)市場外で取得

(ご参考)
 
http://tsuru1.blog.fc2.com/blog-entry-328.html


<感想>
 本件は、資本の論理で、株主総会で現社長が解任された事案。
 山口前社長時代からの国内 or  国外主体の経営方針の違いも背景にあったようだが、今後は安定した経営が可能になることを期待している。

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130%コールオプション行使の権利が発生?


【 スターゼン:ユーロ円CBの130%コールオプション 】


 2018/6/25、スターゼン(8043)が、第1回CBの130%コールオプション条項の権利発生について開示した。
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120180625470212.pdf


1.第1回CB発行概要
http://pdf.irpocket.com/C8043/iQkZ/viKX/Fdma.pdf

(1)転換価額:4,530円(当初453円⇒株式併合:10→1)
(2)株価推移(5/29~6/25): 5,920円(>5,889=4,530円×130%)~6,640円

< 12.償還の方法及び期限 >
(6) 130%コールオプション条項
 当社は、東証終値がある20連続取引日にわたり、当該終値が転換価額の130%以上であった場合、平成29年3月31日以降いつでも、当該20連続取引日の最終日から15日以内かつ当該償還期日に先立つ30日以上60日以下の期間内に必要な事項を公告した上で、その時点において未償還の本社債の全部(一部は不可)を繰上償還することができる

⇒ 平成30年6月25日に充足され、今後、残存する本社債の全部を各社債の金額100円につき金100円で繰上償還する権利が発生

⇒ 6月25日より15日以内の7月10日までに、当該権利を行使するか否かを決定する必要あり


2.会社の選択肢/メリット・デメリット
(1)コールオプションを行使する
 メリット:株式への転換による早期自己資本拡充
 デメリット:ROE等の数値の悪化

(2)同 行使しない
 メリット:ROE等の数値へ悪影響なし
 デメリット:早期自己資本拡充が出来ない


<感想>
 本件は、130%コールオプション行使の権利発生に関するプレスリリース。
 行使する/しないのメリット・デメリットは、トレードオフの関係にある。
 会社が最終的にどちらを選択するのか。
 その理由を含めて大いに気になる。

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ネスレグループの人事考課システム?


【 高岡浩三ネスレ社長:ゲームのルールを変えろ 】

 以下は、「ゲームのルールを変えろ」(高岡浩三著、ダイヤモンド社)からの一部抜粋。


第6章 採用・育成・評価で会社は決める
~ストーリーを共有、ただしコンセンサスは必要ない~



イノベーションを起こす人材を集めるために

 過去にどんなに素晴らしい実績を上げたからといって、そのモデルは永遠に続くわけではない。

 だからこそ、常に人と違うことをやる人材が必要なのだ。さもなければ、企業は持続的に発展しない。


社員の能力は人事次第で開花する

 ネスレグループにはグローバルに定められた人事考課システムがある。いくつかの項目が設定され、それぞれが、売上等の数値的な目標を含む「ビジネス上の目標」、より定性的な「目標達成のための行動・態度」という2つの軸で評価され、その点数の合計で最終評価が決まる。基本的にはネスレ日本でもその線に沿って社員を評価してきた。

 すると、グローバルと比較して日本人だけが著しく低い項目が如実に浮き彫りになった。それは、「イノベーションを起こす力」、「リーダーシップ」、やると宣言したことは必ずやるという「コミットメント」の3点である。この点が弱いのは、ネスレ日本の社員だけではなく、日本企業に勤務する日本人全体に言えることだろう。

 これを何とかしなければ、ネスレ日本は成長しない。そう考えた私は、弱点である3点の強化項目の配点を倍にするよう仕組みを変えた。繰り返しになるが、ネスレのグローバル基準に則りながらも、日本流にアレンジすることは許されている。

 ちなみに、評価方法を意外と簡単だ。社員のパフォーマンスが期待通りであれば、「2」、期待以上であれば「3」、期待以下であれば「1」という3段階しかない。そこで、3点の項目については、「1」の評価は「2」に、「2」の評価は「4」に、「3」の評価は「6」と、それぞれ倍にするように指示した。この変更によって、この3項目の評価が高い社員の合計点数が必然的に押し上げられることになる。

 うまくいっていない企業は、人事が機能していない。逆に言えば、人事がうまく機能すれば、社員の能力はいくらでも開花させられるのではないだろうか。


変革にコンセンサスは必要ない

 企業がこうした変革をしようとして失敗するのは、説明不足が原因だ。変革に手をつけるときは、社員に大きなストーリーを話すことが大事だと私は思っている。


<感想>
 イノベーションを起こす人材を集め、育成し、人事で能力を開花させることが出来れば、良い会社に発展していくに違いない。

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自衛のための核兵器保有?


【 エマニュエル・トッド:日本は核を持つべきだ 】


 文藝春秋2018/7に、エマニュエル・トッドの「日本は核を持つべきだ」とする記事が載っていた。
 以下はその概要。


1.ありがちな誤り

・「イランには攻撃的な態度に出る一方で、北朝鮮とは歩み寄って交渉し、そうやって米国はバランスを取っている」という見方は誤り

⇒ 米国は、核兵器を持った相手(北朝鮮)とは交渉し、核兵器を諦めた相手(イラン)には攻撃的に出ている。

⇒ 米国は、核保有国には和平的な態度を取るが、非核保有国には威圧的な態度に出るというわけで、「米国と和平的交渉をしたいならば、核兵器を持った方がいい」というメッセージを全世界に向かって発しているのも同然


2.米国の核の傘は存在しない

・核は例外的な兵器で、これを使用する場合のリスクは極大

⇒ ゆえに、核を自国防衛以外のために使うことはあり得ない

⇒ 「米国の核の傘」はフィクションにすぎず、実は存在しない


3.核とは戦争を不可能にするもの

・パワーゲームの埒外に自ら置くことを可能にするのが核兵器

⇒ 核とは戦争を不可能にするもの


<感想>
 本件は、日本は自衛のために核兵器を保有すべきだとするエマニュエル・トッドの主張。米国の核の傘はフィクションだという内容も含めて、説得力があるように思われる。

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IPOよりM&A?


【 スタートアップ企業:IPOよりM&A 】


 2018/6/21、日経新聞朝刊1面に「スタートアップ、上場より大企業に売却 初の逆転」という記事が載っていた。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO32033000Q8A620C1MM8000/

 以下はその概要。


1.大企業宛て売却のメリット
(1)資金調達面
・IPO:準備に2年程度の時間がかかる
・大企業:手元資金潤沢

⇒ 短期間で急成長のための調達が可能

(2)大企業との相乗効果
・大企業:人材やグローバルな販路などでも蓄積がある

(3)大企業側のメリットも
・大企業側:新たな事業領域の拡大などを期待

⇒ 「IoT」や人工知能(AI)の重要性が増す中、大企業と若い企業が組む動きが広がる


2.米国との比較
(1)M&A
・米国:スタートアップが投資を回収する「出口」の9割がグーグルなど大企業によるM&A(合併・買収)

⇒ グーグルやアップルなど巨大ネット企業がスタートアップを次々と傘下に収め「勝者総取り」との批判も

(2)VC投資額
・日本:年1500億円規模
・米国:日本の50倍

(3)ユニコーン
 =10億ドル(約1100億円)以上の価値を持つ未上場企業数

・米中:70~120社
・日本:19日に上場したメルカリを含めても数社しかない


<感想>
 今日、複雑多岐な時代になって、以前に比べて、小規模の会社が単独で生き残り続けることが難しくなってきたようだ。
 本記事はそんな時代背景を反映したものであるように思われる。

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「コーポレートガバナンス・コード」の改定によるガバナンスの強化(2)?


【 「コーポレートガバナンス・コード」の改定 】


 2018/6/1、東証は、「コーポレートガバナンス・コード」を改定した。
http://www.jpx.co.jp/equities/listing/cg/tvdivq0000008jdy-att/20180601.pdf

 以下は、新旧対照表からの主なポイントの抜粋(第2回目)。
http://www.jpx.co.jp/rules-participants/rules/revise/nlsgeu0000034ytw-att/sinkyu.pdf


4.CEOに関する取締役会の監督内容を追記

(1)補充原則4-1(3)
 取締役会は、会社の目指すところ(経営理念等)や具体的な経営戦略を踏まえ、最高経営責任者(CEO)等の後継者計画(プランニング)の策定・運用に主体的に関与するとともに、後継者候補の育成が十分な時間と資源をかけて計画的に行われていくよう、適切に監督を行うべきである。

(2)4-3(2)
 取締役会は、CEOの選解任は、会社における最も重要な戦略的意思決定であることを踏まえ、客観性・適時性・ 透明性ある手続に従い、十分な時間と資源をかけて、資質を備えたCEOを選任すべきである。

(3)4-3(3)
 取締役会は、会社の業績等の適切な評価を踏まえ、CEOがその機能を十分発揮していないと認められる場合に、CEOを解任するための客観性・適時性・透明性ある手続を確立すべきである。

⇒ ※積水ハウス問題等を受けての新設かと思われる
http://tsuru1.blog.fc2.com/blog-entry-491.html


5.【原則4-11.取締役会・監査役会の実効 性確保のための前提条件】

 取締役会は、その役割・責務を実効的に果たすための知識・経験・能力を全体としてバランス良く備え、ジェンダーや国際性の面を含む多様性と適正規模を両立させる形で構成されるべきである。また、監査役には、適切な経験・能力及び必要な財務・会計・法務に関する知識を有する者が選任されるべきであり、特に、財務・会計に関する十分な知見を有している者が1名以上選任されるべきである。

⇒ 女性や外国人を取締役に就任することを奨励


6.【原則5-2.経営戦略や経営計画の策定・ 公表】

 経営戦略や経営計画の策定・公表に当たっては、自社の資本コストを的確に把握した上で、収益計画や資本政策の基本的な方針を示すとともに、収益力・資本効率等に関する目標を提示し、その実現のために、事業ポートフォリオの見直しや、設備投資・研究開発投資・人材投資等を含む経営資源の配分等に関し具体的に何を実行するのかについて、株主に分かりやすい言葉・論理で明確に説明を行うべきである。

⇒ 資本コストの把握や事業ポートフォリオの見直し等の説明要請を追記


<感想>
 「コーポレートガバナンス・コード」の改定により、事業ポートフォリオの見直しや経営資源の配分等に関する株主宛て説明の要請等は評価に値する内容と言えよう。

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「コーポレートガバナンス・コード」の改定によるガバナンスの強化(1)?


【 「コーポレートガバナンス・コード」の改定 】

 2018/6/1、東証は、「コーポレートガバナンス・コード」を改定した。
http://www.jpx.co.jp/equities/listing/cg/tvdivq0000008jdy-att/20180601.pdf

 以下、新旧対照表から、主なポイントを2回に分けて、抜粋してみる(第1回目)。
http://www.jpx.co.jp/rules-participants/rules/revise/nlsgeu0000034ytw-att/sinkyu.pdf


1.【原則1-4.政策保有株式】


 上場会社が政策保有株式として上場株式を保有する場合には、政策保有株式の縮減に関する方針・考え方など、政策保有に関する方針を開示すべきである。


⇒  「政策保有株式の縮減」部分追記

 次の補充原則も新設された。
 1-4(1) 上場会社は、自社の株式を政策保有株式として保有している会社(政策保有株主)からその株式の売却等の意向が示された場合には、取引の縮減を示唆することなどにより、売却等を妨げるべきではない。

 1-4(2) 上場会社は、政策保有株主との間で、 取引の経済合理性を十分に検証しないまま取引を継続するなど、会社や株主共同の利益を害するような取引を行うべきではない。


2.【原則2-6.企業年金のアセットオーナー としての機能発揮】(新設)

 上場会社は、企業年金の積立金の運用が、 従業員の安定的な資産形成に加えて自らの 財政状態にも影響を与えることを踏まえ、企業年金が運用(運用機関に対するモニタリングなどのスチュワードシップ活動を含む)の 専門性を高めてアセットオーナーとして期待される機能を発揮できるよう、
運用に当たる適切な資質を持った人材の計画的な登用・配置などの人事面や運営面における取組みを行うとともに、そうした取組みの内容を 開示すべきである。その際、上場会社は、企業年金の受益者と会社との間に生じ得る利 益相反が適切に管理されるようにすべきである。

⇒ 企業年金の運用担当等に関する開示要請を新設


3.第3章 適切な情報開示と透明性の確保

< 考え方 >
 会社の財政状態、経営戦略、 リスク、ガバナンスや社会・環境問題に関する事項(いわゆるESG要素)などについて 説明等を行ういわゆる非財務情報を巡っては、ひな型的な記述や具体性を欠く記述となっており付加価値に乏しい場合が少なくない、との指摘もある。取締役会は、こうした情報を含め、開示・提供される情報が可能な限り利用者にとって有益な記載となるよう積極的に関与を行う必要がある。

⇒ 「(いわゆるESG要素)」の部分まで追記


<感想>
 「コーポレートガバナンス・コード」導入から3年が経過しての初めての改定。

 時代の流れを反映した内容になったと言えよう。

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東芝が7千億円の自己株式を取得?


【 東芝:自己株式取得に至る経緯 】


 2018/6/13、東芝(6502)が7,000億円の株主還元策を発表した。
https://www.toshiba.co.jp/about/ir/jp/news/20180613_1.pdf


< 上場廃止基準:債務超過 >
http://www.jpx.co.jp/equities/listing/delisting/

・債務超過となった場合において、1年以内に債務超過でなくならなかったとき(原則として連結貸借対照表による)

[ 株主資本 ]
16/12期末: 299億円
17/ 3期末:△2,757億円
18/ 3期末:1兆107億円


1.2017/11:第三者割当増資の実施
https://www.toshiba.co.jp/about/ir/jp/news/20171119_2.pdf

(1) 目的
1年以内の債務超過解消による上場廃止の回避

(2) 概要
発行数:2,283,105,000株
発行価格(払込金額):
262.8円/株
総額:6,000億円


2.2018/6/1:東芝メモリー(「TMC」)株式の売却
https://www.toshiba.co.jp/about/ir/jp/news/20180601_1.pdf

(1) 目的
もともと上記1なしでの債務超過の解消

(2) 概要
TMC株式の売却:約2.3兆円
譲渡先への出資:約3,505億円(株式保有比率40.2%)
ネット:約1.9兆円
⇒ 純利益:約1.2兆円


3.2018/6/13:株主還元策の発表

(1) 目的
上記2の売却に伴う利益(一部)の株主還元

(2)概要
自己株式取得:7,000億円程度
手法:今後、ToSTNeT-3を含めた手法から選択予定


<感想>
 本件は、半年前の増資分にほぼ見合う、行って来いの株主還元。TMC株式が18/3期末までに売却できていたら、不要だった増資&自己株式取得でもあり、東芝は複雑な思いであるに違いない。

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デフレ脱却のための骨太の方針?


【 骨太の方針2018 】

 2018/6/7、藤井聡内閣官房参与(京都大学大学院教授)が、『「骨太の方針2018」で、デフレ脱却は出来るのか?』の記事を発表した。
https://38news.jp/economy/12019

 ここでは、「経済財政運営と改革の基本方針 2018(仮称) (原案)」P46の一部を抜粋して、主なポイントを考えてみたい。
http://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2018/0605/shiryo_01.pdf


1.P46 第3章 「経済・財政一体改革」の推進
3.新経済・財政再生計画の策定
(1)基本的考え方

2)需給ギャップが縮小する中、600兆円経済を実現するためには、サプライサイドの強化が不可欠である。生産性革命、人づくり革命などに経常的に必要となる予算は当初予算に計上し、重点的に取り組むとともに、中長期の視点に立ち、将来の成長の基盤となり豊かな国民生活を実現する波及効果の大きな投資プロジェクトを計画的に実施する。成長と分配の好循環拡大に向け、可処分所得の拡大、企業の設備・ 研究・人材への継続的な投資拡大等に向けた取組を推進する。

[ ポイント1:サプライサイドの強化が不可欠 ]

< ことバンク:サプライ・サイド経済学 >
https://kotobank.jp/word/%E3%82%B5%E3%83%97%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%BB%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%89%E7%B5%8C%E6%B8%88%E5%AD%A6-69631

・サプライ・サイド経済学の核心:減税による供給効果
⇒ 減税によって貯蓄を増やし,労働意欲を高め,企業投資を促進させて,生産力,供給力の拡充をはかる考え方


2.P55 4.主要分野ごとの計画の基本方針と重要課題
(2)社会資本整備等
(基本的考え方)

 財政制約の下、予算の重点化に加え、公的資産や民間資金の有効活用など新たな投資財源を確保しつつ、中長期的な見通しの下、安定的・持続的な公共投資を推進しつつ戦略的・計画的な取組を進める。また、事業採択・執行に当たっては、平準化や計画的な取組を進めるとともに、インフラ維持管理に当たって早期発見・予防保全を徹底する。

[ ポイント2:安定的・持続的な公共投資を推進 ]

・上記1においても、「豊かな国民生活を実現する波及効果の大きな投資プロジェクトを計画的に実施する」とある



<感想>
 骨太の方針2018への取り組みにより、今年こそデフレ脱却が達成できるか。サプライサイドの強化というならいっそのこと増税の凍結と、思い切った公共投資の実施を強く望む。

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是枝監督のドキュメンタリーに対する思い?


【 是枝裕和監督:ドキュメンタリーをつくる時 】


 1992年の是枝裕和監督著「しかし…─ある福祉高級官僚 死への軌跡」(あけび書房)を読了した。
 以下は、同書からの一部抜粋。


P179
 しかし、果たして国は「行政指導を中心にできる限りの対応をした」だろうか。
果たしていつを指して「原因物質もあきらかになっていなかった」と言っているのだろうか。

 歴史的な事実からいって、国は通産省を中心に、明らかになっていた原因物質の隠蔽に奔走し、意図的に有機水銀説を山に葬ったのではなかったか。そのために御用学者を動員し、非水銀説をマスコミ等で大きく取り上げるよう、「できる限りの対応をした」のではなかったか。そこには行政指導を怠ったという消極的な責任ではなく、経済成長の代償として水俣病の発生に目をつぶり、患者の拡大をまねいたという、積極的、犯罪的責任があったのではなかっただろうか。

 少なくとも当時、厚生省に在籍して、水俣病原因究明の過程を目の当たりにした人間であれば、当時の通産省や経済企画庁が何をしたのか、そして厚生省は何ができなかったのか、理解していたはずである。公害課課長補佐を経験している山内はそのひとりだったと言えるだろう。

 この頃、仕事がうまくいかない、と山内は珍しく知子に愚痴をこぼしている。患者との交渉がうまくいかないのかと思って尋ねた知子に、
「やりにくいのは外部じゃなくて内部なんだよ」
と、山内はもらした。知子はそのひと言だけでは詳しい事情はわからず、山内もそれ以上は話そうとしなかった。


あとがき(P247)

 1991年1月10日午後5時。
 僕はテレビのドキュメンタリー番組の取材のため、町田駅からバスで薬師台へ向かっていた。訪問先は山内知子さん。彼女は1か月前に自殺というショッキングな出来事で夫を失ったばかりだった。

 ドキュメンタリーをつくる時に、弱者と強者、善と悪の色分けをあらかじめしてしまうと、制作者として楽である。
行政、官僚を悪と決めつけ、善良な市民の側から告発する、企業を悪と決めつけ、消費者の側に寄り添いながら描写する。
たとえ、それが真実であるとしても、このような「安直な図式」に社会をはめこむことで、ぎゃくに見えなくなるものがある。山内豊徳というひとりの官僚は、そのことを僕に気づかせてくれた。


<感想>
 本書は、是枝監督の1992年の著書。
 当時の経済成長推進派の通産省・経企庁 vs  厚生省の構図、自殺された山内局長の奥様との対話。
 今度はこのドキュメンタリー番組を見てみたい。

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東邦HDがリキャップCBをローンチ?


【 東邦HD:リキャップCB 】


 2018/6/7、東邦ホールディングス(8129)が、ユーロ円CBをローンチした。
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120180607460010.pdf


1.ユーロ円CB概要
(1)発行金額:200億円

(2)年限:5年

(3)クーポン:0%

(4)募集価格/払込金額:103%/100.50%

(5)転換価額/アップ率:3,348円/23.0%(6/7終値2,722円対比)

(6)120%コールオプション:資本増強必要時の早期転換促進を目途

(7)資金使途:設備投資・自己株式取得に各100億円


2.自己株式取得概要
(1)目的:CB発行に伴う株式需給への短期的な影響の緩和

(2)取得総額(上限):100億円

(3)取得期間:2018/6/8~2018/12/31

(4)自己株式立会外買付取引(ToSTNeT-3):
2018/6/8に1,240,500株(@2,722円、総額約33.8億円)


<感想>
 本件は、調達額の半分を自己株式取得に活用する所謂リキャップCB。
 自己株式取得により、CB投資家のデルタヘッジに伴う現物株売りの受けや発行会社自身の資本効率向上(ROEアップ等)などの意義が認められる。

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是枝監督の変わらない考え?


【 是枝裕和監督:変わらない考え 】


 是枝裕和監督作品「万引き家族」が、第71回カンヌ国際映画祭コンペティション部門のパルムドールを受賞した。以下は、是枝裕和著「映画を撮りながら考えたこと」(2016/6、ミシマ社)からの一部抜粋。


P144
「殺意や戦争といった自分の思考の外にあるものについて、その番組を見た人間が自分の中に想像としてきちんと立ち上げていくこと。そこへ向かわせる力を持った表現が、きっとテレビには欠けているんだと思う。そういうものと出会う場所を確保することが、最終的には共同体自体を豊かにすると思うし、個人を豊かにすると思っている。それがパブリックであるテレビの果たすべき役割だと思う。」『論座』2005年4月号

 この考えは十年経ったいまも変わりません。


P176
『誰も知らない』はカンヌ国際映画祭で80近い取材を受けましたが、いちばん印象的だったのは、「あなたは映画の登場人物に道徳的なジャッジを下さない。子どもを捨てた母さえ断罪していない」という指摘でした。ぼくはこのように答えました。

 映画は人を裁くためにあるのではないし、監督は神でも裁判官でもない。悪者を用意することで物語(世界)はわかりやすくなるかもしれないけど、そうしないことで逆に観た人たちがこの映画を自分の問題として日常にまで引きずって帰ってもらえるのではないだろうかーー。

 その考えはいまも基本的に変わりません。映画を観た人が日常に帰っていったときに、その人の日常の見え方が変わったり、日常を批評的に見るためのきっかけになったりしてくれたら、といつも願っています。


<感想>
 オリジナルの原案、脚本、監督をこなす是枝監督。
 1992年の「しかし…─ある福祉高級官僚 死への軌跡」(あけび書房)を読書中であるが、テレビ、映画と同様の考え方が伺える。
 当面、是枝作品から目が離せなくなりそうだ。

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マーケティングとは「組織革命」?


【 森岡毅:マーケティングとは「組織革命」である 】


 2018/6/1、DIAMOND online に、森岡毅さんの記事が掲載されていた。
https://diamond.jp/articles/amp/171337?page=3&skin=amp

 以下は、日大アメフト事件、組織論に関する部分の概要の抜粋。


1.日大アメフト事件

< マーケティング的な見地 >

(1)会見の目的

本来:日大のブランドを守ること

実際:偉い人を守ること

< 広報部員の意識 >

・大学に勤めているのではなく、権力者に仕えているということ

⇒ 実は組織の問題


(2)最重要なのはスピード

・事件が発覚したらすぐに責任者が出て行って、起こってしまった事実に対して頭を下げ、謝罪し尽くすこと

⇒ それだけで世間の反応はかなり違ってくる(真相は後の調査で明らかにすればいい)


2.組織をどう作るか

(1)目的の明確化

・組織が達成したい目的を明確にすること。そしてその目的に対して、達成確率が高い組織を作る

・一人ひとりの構成員の力を最も引き出せるのはどういう構造かということを考える


(2)組織の構築方法

・一人でできることには限界がある。それより、チームのメンバーを最適な配置にして、最適な仕事をやらせる方が大きな実績が積めるはず

・組織をどう構築するか、組織をどう運用するか、どう人を雇うか、どう人をトレーニングするか。そのスキルを磨くべき


(3)人間の本質「自己保存」を逆手にとる

・例えば、意見を言って貢献した人は評価して、意見を言わない人は評価を下げるという厳格なルールを作って運用すればいい

・自己保存の本能を逆手にとって、会議では「発言しないほうが安全」から「発言したほうが安全」とする他、会社のすべてのルールを変えて行く


<感想>
 森岡さんは、中長期でマーケティングが持続できる組織に作り変えることに意味があると言う。
 日大アメフト事件のようにならないよう、目的を明確化した上で、一人ひとりの力を最大限引き出せる組織を構築して行きたい。

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JVCケンウッドがMSWTを発行?


【 JVCケンウッド:行使停止&行使停止付き新株予約権 】


 2018/5/31、JVCケンウッド(6632)が第三者割当新株予約権(「WT」)の発行を開示した。


1.発行概要
(1)WT:25万個(100株/WT1個。2500万株(発行済株式の18%)相当)

(2)割当先:野村證券

(3)WT行使価格:当初361円(5/31終値)。2018/6/20以降、WT行使請求通知日直前の終値の92%に修正される。下限価格289円(361円×80%)

(4)行使期間:3年

(5)当社による行使指定:2021/5/21までの間、当社の判断により、割当先に対してWTを行使すべき旨及び行使すべきWTの数を指定することができる

(6)当社による行使停止:2018/6/22~2021/5/18、当社はWTの全部or一部を行使できない期間を指定することができる

(7)資金使途:各種開発・事業投資


2.主な特徴
 約3年間にわたり発生する資金調達ニーズへの柔軟な対応が可能

⇒ WTは、発行後の株価や当社の資金ニーズが高まるタイミングを考慮し、行使指定や停止指定を行うことを通じて、臨機応変に資金調達を実現することが可能な設計になっている


3.株価推移
 5/31 361円、6/1  321円(△11.1%<希薄化率18%)


<感想>
 本件は、所謂MSWT(Moving Strike型WT。8%ディスカウント)であるが、会社からWT行使停止や行使指定が可能なタイプ。
 株価水準や資金ニーズに応じてエクイティ調達が可能で、会社にとってはフレキシブルな仕組みであると言えよう。

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優先株式発行による純資産毀損分の補填?


【 シダックス:A種優先株式の発行】

 2018/5/30、シダックス(4837)が、子会社売却に伴う資本減少(←損失計上)に対応するために、A種優先株式発行のための定款変更等を開示した。
 
https://www.shidax.co.jp/upload/1118/201805303.pdf

 以下はその概要。   


1.発行理由
< 損失の発生⇒純資産の毀損⇒優先株式による毀損分の補填 >

・連結子会社シダックス・コミュニティーの株式(81%)譲渡、SC社及び関連会社であるシダックストラベラーズコミュニティーに対して当社が保有する債権(97億円)のB&Vへの譲渡に伴い、損失が発生し純資産が毀損

⇒ A種優先株式発行により、(1)純資産の毀損分の補填、(2)資金調達方法の多様化を図ることが可能


2.A種優先株式概要
(1)発行金額:25億円(10百万円×250株)

(2)第三者割当予定先:UDS コーポレート・メザニン4号投資事業有限責任組合 165株、ブルーパートナーズ第二号投資事業有限責任組合 85株

(3)優先配当率:年率8%

(4)当初転換価額:435.1円(5/29終値458円×95%)。2019 /3/31及びそれ以降の毎年3/31及び9/30に、その時の時価の95%に修正される。修正の下限は当初転換価額の50%(下限転換価額)

(5)取得条項:2023/12/29以降、基準価格÷上記転換価格の普通株式を対価とした取得条項あり


3.連結純資産の推移
 15/3期 26,133百万円、16/3期 11,445百万円
 17/3期 7,403百万円、18/3期 5,040百万円


<感想>
 本件は、株式・債権譲渡に伴う純資産毀損補填のための優先株式の発行。
 (1)第三者割当先(投資家)の確保、(2)株主総会特別決議での定款変更を前提として、(3)当面希薄化のない、比較的フレキシブルな商品設計が可能となるため、今後もこの種の優先株式の発行は一定程度継続して行くものと思われる。

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