fc2ブログ

東芝の上場維持目的の第三者割当増資?


【 東芝、6000億円の増資決議 】


1.上場廃止基準
 
http://www.jpx.co.jp/equities/listing/delisting/

[ 債務超過 ]
・債務超過の状態となった場合において、1年以内に債務超過の状態でなくならなかったとき(原則として連結貸借対照表による)


[ 連結決算 ]
    当期包括損失  株主資本合計
 15/3期   906億円 (+)1兆840億円
 16/3期 △7,525億円 (+) 3,289億円
 17/3期 △8,446億円  △5,529億円


2.東芝のプレスリリース

(1)新株式発行
 
http://www.toshiba.co.jp/about/ir/jp/news/20171119_1.pdf

(2)第三者割当増資
 
http://www.toshiba.co.jp/about/ir/jp/news/20171119_2.pdf
・新株式の払込金額:262.8円/株(11/17終値@292×90%)
・発行新株数:2,283,105千株
・発行総額:約6,000億円


(3)筆頭株主の異動   
 
http://www.toshiba.co.jp/about/ir/jp/news/20171119_3.pdf


3.ECMマスター・ファンド(業務執行組合員:エフィッシモ キャピタル マネジメント Pte Ltd)の保有比率の推移

(1)大量保有報告書(変更)
・報告義務発生日:2017/3/15・2017/3/31
・保有株式数*:345,049千株・417,185千株
・保有割合:8.14%・9.84%
・保有目的:純投資(*1千株)、それ以外は投資一任契約に基づく顧客資産運用のため

(2)増資後の保有割合
・保有株式数/保有割合:737,184千株/11.34%


4.キングストリート・キャピタル・マネージメント L P

[ 大量保有報告書(変更) ]
・報告義務発生日:2017/7/31
・保有株式数*:246百万株(6/2~7/31に取得)
・保有割合:5.81%
・取得価格:64,753百万円(簿価@263円)
・保有目的:純投資(提出者は投資一任契約に基づき投資権限を有する)


5.参考記事(2017/11/19付)

・東芝、6000億円の増資決議 今期末の債務超過回避
 
https://www.nikkei.com/nkd/company/article/?DisplayType=1&n_cid=DSMMAA13&ng=DGXMZO23667640Z11C17A1MM8000&scode=6502&ba=1


・11月20日終値:275円(前営業日比▲17円)



<感想>
 通常、各種ファンドを割当先とした第三者割当増資を行うことは考え難い。半導体メモリー事業の売却時期の目途がつかない今、期末までの債務超過解消による上場維持のために、それだけ切羽詰まった状況に陥っていると考えらよう。

----------------------------------------------------------------------
元証券マンが「あれっ」と思ったこと
発行者HPはこちら
http://tsuruichi.blog.fc2.com/
----------------------------------------------------------------------

無担保社債が預金担保付社債に?


【 東芝無担保社債 】

 2017/6/7、日経新聞朝刊19面に、表題『東芝債、個人向け利回り急低下 特約発動 担保付きに プロ向けと安全性に格差』とする記事が掲載されていた。

 担保付社債に切り替わったのは何故か?

1.社債管理者設置債か不設置(財務代理人)か
 東芝が発行する社債には社債管理者が設置されているものと不設置のものと2種類ある

(1)会社法第702条
 各社債の金額が1億円以上かその他法務省令(会社法施行令第169条)で定める以外は社債管理者の設置が必要
令169条:ある種類の社債の総額を当該種類の各社債の金額の最低額で除した数が50を下回る場合とする(≒投資家が最大49人まで)

 ⇒(東芝の場合)各社債の金額が1億円未満の個人投資家向けにだけ「社債管理者」を設置している(それ以外(機関投資家向け)の各社債の金額は1億円)

(2)同704条第1項・2項
 社債管理者は、公平かつ誠実な社債の管理と善良な管理者の注意をもって社債の管理を行う義務を負っている

 ⇒社債管理者(第57回債:三井住友銀行、第60回債:みずほ銀行)がメインバンクを兼ねるケースも多く、「利益相反状態」に陥ることを前提に善管注意義務等を課して、社債権者の権利保全を図る建てつけになっている

(3)同710条第2項
 社債管理者は、社債デフォルト前後3ヶ月以内に担保の供与を受けた場合等、社債権者に連帯して損害賠償する責任を負う


2.担保(社債間同順位特約付)

(1)第57回債
 三井住友銀行の定期預金300.93億円(年利0.62%の半年分の利払含む)

(2)第60回債
 みずほ銀行の定期預金300.18億円(年利0.4%の1.5年分の利払含む)

 
http://www.toshiba.co.jp/about/ir/jp/stock/pdf/tepub20170428.pdf


3.担保付の前後

(1)社債利回りの低下
 担保設定により安全性が高まった結果、社債利回りが低下
 ⇒流動性が高くないため、利益を得た人は限定的か

(2)社債格付の引き上げ
 R&I:(Bー)格下げ方向→(BB)格下げ方向
 
https://www.r-i.co.jp/jpn/body/cfp/news_release_A/2017/05/news_release_2017-A-0418_01.pdf

<感想>
 社債要項を熟知して担保付に切り替わることを予測して、(低い流動性ながらも)利益を得た人がいたとしたら素晴らしい

----------------------------------------------------------------------
元証券マンが「あれっ」と思ったこと
発行者HPはこちら
http://tsuruichi.blog.fc2.com/
----------------------------------------------------------------------

FC2プロフ
プロフィール
最新記事
月別アーカイブ
カテゴリ
CEO (4)
夢 (8)
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR