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経常利益次第で行使可能割合が決まるストック・オプション?


【 業績目標連動型ストック・オプション 】



 以下は、駐車場の上部空間店舗をプロデュースするフィル・カンパニー(3267)が発行したストック・オプションの概要。


1.ストック・オプション

(1)第7回新株予約権(#7回「WT」)
 a)WT数:151個(151,000株:1→2分割後302,000株)
 b)発行価格:無償
 c)行使価格:330円/株(分割後@165)
 d)割合対象:取締役2名、従業員7名
 e)行使期間:2016/2/20~2023/11/15

(2)第8回WT
 a)WT数:69個(69,000株:分割後138,000株)
 b)発行価格:無償
 c)行使価格:330円/株(分割後@165)
 d)割合対象:取締役2名、従業員8名
 e)行使期間:2016/2/20~2023/11/15

(3)第9回WT
 a)WT数:2,330個(233,000株:分割後466,000株)
 b)発行価格:有償600円/WT1個(6円/株)
 c)行使価格:3,370円/株(1→2分割後@1,685円)
 d)割合対象:取締役4名1500個、監査役3名160個、従業員10名650個、子会社従業員2名20個)
 e)行使期間:2019/2/1~2027/1/31
 f)業績目標(経常利益)⇒行使可能割合
 (i)2018 or 19/11期(5億円)⇒50%
 (ii)同(10億円)⇒100%



2.能見社長のWT等保有状況(大量保有報告より)


(1)WT取得状況(分割前)
 ・2014/ 2/19(#7回):24,000株(無償)
 ・2014/11/14(#8回):10,000株(無償)
 ・2017/ 1/30(#9回):100,000株(有償)

 ・2017/2/22:25,000株売却(×@3,986=99.7百万円)
 ⇒ 下記(2)の一部:25,000株×@330=8.3百万円
 ⇒ 上記差額:91.4百万円(25,000株の売買に対してのグロス手元資金)

(2)2017/3/22:WT行使(@330)により36,000株取得(⇒11.9百万円)

(3)保有株式
 ・65,000株(×@200.2円=13,010千円)
 ・134,000株(潜在株×@6=804千円⇒36,000株行使済⇒潜在株は98,000株?)
 ・合計 199,000株(7.68%。⇒163,000株?取得資金合計13,814千円⇒13,598千円?)


<感想>
 有償ストック・オプションは、本件のように自由な
条件設定(業績目標連動型等)も可能で、かつ、行使金額の制限もないため、今後も取組件数の増加が想定される。

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麻生グループが筆頭株主?


【 自己株式の処分 】


 2017/10/27、都築電気(8157)が、以下内容のプレスリリースをしていた。
 
http://www.tsuzuki.co.jp/ir/pdf/2017/20171027_3.pdf


1.麻生グループとの資本業務提携契約

(1)2017/1/5開示内容
・麻生グループが有する医療・介護関連等の事業ノウハウ及び顧客基盤、並びに当社が有するICT 技術、医療事業者向けの商品ラインナップ及び全国規模の営業拠点網を掛け合わせ、更なる事業展開並びに両社の企業価値向上を目指し、デジタルトランスフォーメーションを基本コンセプトに掲げ、定期的に分科会を設け、協業体制の構築を図っている

(2)資本的な結びつきをより強固に
・ICT 関連サービス業界は市場環境の変化のスピードが非常に早く、当社は競争環境の変化に対応し得る体制の構築が急務である

・当社が麻生グループとの協業を通じて新たに創出される事業機会を活かし、より企業価値を高めるためには、資本的な結びつきをより強固なものにする必要があるとの結論に至る


2.自己株式に関する主な経緯

 時期   手法    対象株式数  割合  価格(⇒第三者割当先)
 2008/ 3 ToSTNeT-3 2,809,000株 11.06% @310
 2009/10  同 上   300,000株  ー   @366

 2010/12 都築電産の株式交換による完全子会社化に伴う
      自己株式処分 3,532,621株
      新株発行    313,846株

 2012/ 5 自己株式TOB 13,393,525株 52.16% @770
 (内、タワー投資顧問の応募:11,861,490株、簿価@499→売却益約33億円)

 2014/12 自己株式処分 730,000株(@464円)⇒従業員持株ESOP信託口

 2017/ 1 自己株式処分 2,300,000株 8.96% @556⇒麻生グループへ

 2017/11 自己株式処分 2,200,000株 8.57% @966(10/26終値)⇒麻生グループへ
       同 上   300,200株(@966)⇒役員報酬BIP信託口へ
       同 上   483,400株(同上)⇒株式付与ESOP信託口へ

 2017/11 自己株式消却 1,000,000株 3.89%

 ⇒ 上記処分・消却後の自己株式数 6,489,481株 26.30%
   (2012/5の52.16%から半減)

3.B/Sの推移(⇒自己株式部分のみの試算)
       株主資本(自己株式)(単位:百万円)
 2016/3期  17,428(△10,056) 
 2017/3期  21,949(△ 8,223)(簿価@785円)
 ⇒ 上記処分・消却後 25,370(△5,096)


<感想>
 株価(割当価格@966)が自己株式の簿価(@785)を越えて、自己株式を有効活用した事例。

(1)(本件の)自己株式処分による資本業務提携の強化や資本増強による会社側のメリット
(2)(自己株式処分相当分を)消却した場合の希薄化抑制による投資家側のメリット

 マーケット(株式市場)はどちらをよりメリットと見るのか、10月30日以降の株価動向が注目される。
(高く推移:(1)>(2)、安く推移:(1)<(2))

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株式付与ESOPによるインセンティブ・プラン?


【 株式付与ESOP信託 】

 2017/10/27、グリー(3632)が以下内容のプレスリリースをしていた。


1.第三者割当による自己株式処分に関するお知らせ
 
http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=tdnet&sid=1523125


(1)処分期日:2107/11/16
(2)処分株式数:普通株式1,270,600株
(3)処分価額:1株につき787円
(4)処分価額の総額:999,962,200円
(5)処分予定先:日本マスタートラスト信託銀行(株式付与ESOP信託口2)


2.「株式付与ESOP信託」の導入に関するお知らせ
 
http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=tdnet&sid=1523124


(1)インセンティブ・プラン
 目的:従業員の当社の業績や株価への意識を高めることにより、業績向上を目指した業務遂行を一層促進するとともに、中長期的な企業価値向上を図ること
 
(2)株式付与ESOP(Employee Stock Ownership Plan)信託
・米国のESOP制度を参考にした従業員インセンティブ・プラン


・ESOP信託が取得した当社株式(上記1)を、予め定める株式付与規程に基づき、一定の要件を充足する従業員に交付するもの


・当該信託が取得する当社株式の取得資金は全額当社・当社グル-プ子会社が拠出(従業員の負担はなし)

(3)企業価値向上プラン
・従業員は当社株式の株価上昇による経済的な利益を収受することができるため、株価を意識した業務遂行を促すとともに、従業員の勤労意欲を高める効果が期待できる

・ESOP信託の信託財産に属する議決権行使は、受益者候補である従業員の意思が反映される仕組みで、従業員の経営参画を促す企業価値向上プランとして有効


3.自己株式取得状況


         自己株式  B/S計上額
 2013/6期末 2,302千株 4,652百万円(@2,021)
 2017/6期末 5,926千株 6,229百万円(@1,051)
 ⇒この内、 1,270,600株 1,000百万円(@787)を株式付与ESOPへ
 ⇒差額▲264円/株(総額▲336百万円)は資本剰余金が減少する


4.ご参考(各種株式報酬のインセンティブ等の比較)
 
http://www.dir.co.jp/research/report/law-research/tax/20161121_011424.pdf

(1)株式付与信託(P14~P17)
・株式付与信託の受益者(従業員)の課税イメージ(P17)
 1)受益者確定時:受益者(従業員)に給与/退職給与所得課税発生(その時点の株価ベース)
 2)株式売却時:「売却時点の株価-上記1)の株価」に分離課税(20%+復興税)

(2)譲渡制限付株式(P17~P20。Restricted Stock。「RS」)
 ・RSの課税イメージ(P20)
 1)譲渡制限解除時:給与/退職給与所得課税発生(その時点の株価ベース)
 2)株式売却時:「売却時点の株価-上記1)の株価」に分離課税(20%+復興税)

(ご参照:税制改正大綱を踏まえた役員向け株式報酬の留意点)
 
https://www.dir.co.jp/consulting/insight/personnel/20170111_011581.html

⇒ 譲渡制限解除時点では株価が上昇している可能性が高いため、本当は上昇前の株価で所得課税が発生するような枠組みへの変更が必要なように思われる


<感想>
 株式付与信託は、RSの変形版であるように思われる(その逆かもしれないが)。個人的には、所得課税が発生しない「有償ストックオプション」(譲渡益に分離課税されるのみ)の方がもらう方にとってはありがたい枠組みであるように思う。

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コーポレートガバナンス・コードに基づく持ち合い解消?


【 持ち合い解消のための投資有価証券売却 】


 2017/10/25、ユーシン(6985)が投資有価証券売却に関するプレスリリースをしていた。
 

Ⅰ.特別利益(投資有価証券売却益)の計上に関するお知らせ
 
http://www.u-shin-ltd.com/LinkClick.aspx?fileticket=7JHpPL8%2fYfg%3d&tabid=220&mid=385


1.投資有価証券売却の理由
 コーポレートガバナンス・コードに基づく政策保有株式の見直し、財務体質の強化及び資産効率の向上を図るため。

2.投資有価証券売却の年月日
 2017年9月29日~2017年10月25日

3.投資有価証券売却の内容
(1)売却資産の種類:当社保有上場有価証券3銘柄
(2)投資有価証券売却益:392 百万円
 ※ 売却益(累計額):2,813 百万円

4.今後の見通し
 上記の投資有価証券売却益は、2017 年 12 月期通期の連結決算及び単体決算において特別利益に計上いたします。なお、2017 年 12 月期通期の連結業績予想に織り込み済みであり、業績 予想の変更はありません。

⇒ 株式売却益を織り込んだのは、(1)期初からだったのか、(2)期中なのか(もし(1)ではなく(2)だとすれば、業績がその分下振れたということか)


Ⅱ.2017年6月以降の売却銘柄数/売却益(日付はプレスリリース日)


 7/25 8銘柄/ 369百万円
 8/ 2 8銘柄/ 455百万円
 8/ 7 6銘柄/ 437百万円
 8/22 6銘柄/ 366百万円
 9/ 4 5銘柄/ 422百万円
 9/28 5銘柄/ 369百万円
 10/25 3銘柄/ 392百万円  
合計 延41銘柄/2,813百万円


Ⅲ.株式の保有状況(2016/11有報)


1.投資株式のうち保有目的が純投資以外の目的であるものの銘柄数及びBS上の合計額

 ・78銘柄 12,220百万円

 なお、当事業年度において、当社が保有する保有目的が純投資目的である投資株式はありません。



2.保有目的(各々以下3つに分類)


(1)安定株主として長期保有を目的とする政策投資
(2)取引関係の強化
(3)取引関係の維持

⇒ 持ち合い解消になり易い順(想定)
  (3) > (2) > (1)


Ⅳ.ユーシンのコーポレートガバナンス・コード
 
http://resource.ufocatch.com/pdf/cg/CG2017031000006

原則1ー4 いわゆる政策保有株式

(1)政策保有方針
当社では、取引先その他当社の持続的成長に基づく企業価値向上に資すると認められる相手先との関係を維持及び強化することにより、当社の持続的成長に基づく企業価値向上を図ることを目的として、当該相手先の株式を保有することがあります。

(2)保有意義・合理性検証
当社では、取引先その他当社の持続的成長に基づく企業価値向上に資すると認められる相手先との関係を維持及び強化について、当社の持続的成長に基づく企業価値向上と当該株式の保有のリスクを勘案した上で、資本の効率性、相手先の成長性、当該株式保有による収益性等を考慮し、中長期的な経済合理性を検証しております。

⇒ 資本の効率性や収益性等の検証により、持ち合い解消を図ることもあり得るということ


<感想>
 本件のように、コーポレートガバナンス・コードに基づいた、資産効率向上等を目的とした持ち合い解消は、今後、益々増えて行くことが想定される。

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落としたタイヤの法的責任?


【 落としたタイヤの法的責任 】


 2017/10/18、中国自動車道路上に落ちていたタイヤに乗り上げて車が動かなくなっていたため避難していた親子2人が、同じタイヤに乗り上げて横転した大型トレーラーにはねられて亡くなった。落としたタイヤの運転手の法的責任とは?

 以下は、添付記事に基づいた関連法令概要のまとめ。


『 トレーラー横転の原因「落ちていたタイヤ」、法的責任はどうなる? <中国道死亡事故> 』
 
https://c-2.bengo4.com/n_6838/


1.道路交通法
(1)高速道路での運転者の遵守事項(第四章の二 高速自動車国道等における自動車の交通方法等の特例、第三節 運転者の義務)

(自動車の運転者の遵守事項)
第七十五条の十 自動車の運転者は、高速自動車国道等において自動車を運転しようとするときは、あらかじめ、燃料、冷却水若しくは原動機のオイルの量又は貨物の積載の状態を点検し、必要がある場合においては、高速自動車国道等において燃料、冷却水若しくは原動機のオイルの量の不足のため当該自動車を運転することができなくなること又は積載している物を転落させ、若しくは飛散させることを防止するための措置を講じなければならない。

⇒ 高速道路にスペアタイヤを落下させた場合、積載物の転落防止措置義務に違反する。

(2)罰則(免許の取消し、停止等)

第百十九条 次の各号のいずれかに該当する者は、三月以下の懲役又は五万円以下の罰金に処する。

十二の三 第七十五条の十(自動車の運転者の遵守事項)の規定に違反し、本線車道等において当該自動車を運転することができなくなつた者又は当該自動車に積載している物を当該高速自動車国道等に転落させ、若しくは飛散させた者

2 過失により前項第一号の二、第二号(第四十三条後段に係る部分を除く。)、第五号、第九号又は第十二号の三の罪を犯した者は、十万円以下の罰金に処する。

⇒ 刑法38条(下記2(2)参照)にある通り、基本的には故意(罪を犯す意思≒わざと)でないと罪には問えない。但し、本条のように、法律に別途特別の規定(過失(≒うっかりなど)による罰則)を設けている場合は除く。

1)故意(≒わざと)に転落防止措置義務に違反して、その結果として、積載物を転落させた場合、3か月以下の懲役または5万円以下の罰金(法119条1項12の3)

2)過失(≒うっかりなど)による場合は、10万円以下の罰金(同2項)


2.刑法
(1)過失傷害(第二十八章 過失傷害の罪)

(過失傷害)
第二百九条 過失により人を傷害した者は、三十万円以下の罰金又は科料に処する。
2 前項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。

(過失致死)
第二百十条 過失により人を死亡させた者は、五十万円以下の罰金に処する。

(業務上過失致死傷等)
第二百十一条 業務上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、五年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。重大な過失により人を死傷させた者も、同様とする。

⇒ 罰則:過失運転致死傷罪が成立した場合、刑事罰は5年以下の懲役・禁固または100万円以下の罰金


(2)罪を犯す意思

第七章 犯罪の不成立及び刑の減免
(故意)
第三十八条 罪を犯す意思がない行為は、罰しない。ただし、法律に特別の規定がある場合は、この限りでない。

第二十六章 殺人の罪
(殺人)
第百九十九条 人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。

(傷害致死)
第二百五条 身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、三年以上の有期懲役に処する

⇒ 殺人罪や傷害致死罪:故意(罪を犯す意思)であることが大前提


3.民法
(1)不法行為(第五章)

(不法行為による損害賠償)
第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

⇒ 罰則:民法上では故意・過失を問わず、高速道路を運転中、スペアタイヤを落下させることは、不法行為(民法709条)となり、それによって生じた死亡、傷害、車両損傷などの損害について、運転者には、害者に対する損賠責任が生じる。


(2)相殺過失(第二節 債権の効力、第一款 債務不履行の責任等)

(損害賠償の方法)
第四百十七条 損害賠償は、別段の意思表示がないときは、金銭をもってその額を定める。

(過失相殺)
第四百十八条 債務の不履行に関して債権者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の責任及びその額を定める。

(損害賠償の方法及び過失相殺)
第七百二十二条 第四百十七条の規定は、不法行為による損害賠償について準用する。
2 被害者に過失があったときは、裁判所は、これを考慮して、損害賠償の額を定めることができる。

⇒ 後続車にも、前方を注視し、制限速度を順守しながら走行して、仮に落下物があっても衝突を避けられるように安全運転をすべき義務があると考えられ、後続車にも過失(故意ではない)があったとして、『過失相殺』で損害額の一部が自己責任となる可能性がある。


4.自動車損害賠償保障法(第二章 自動車損害賠償責任)
(自動車損害賠償責任)
第三条 自己のために自動車を運行の用に供する者は、その運行によつて他人の生命又は身体を害したときは、これによつて生じた損害を賠償する責に任ずる。ただし、自己及び運転者が自動車の運行に関し注意を怠らなかつたこと、被害者又は運転者以外の第三者に故意又は過失があつたこと並びに自動車に構造上の欠陥又は機能の障害がなかつたことを証明したときは、この限りでない。

⇒ 車の所有者にも、自動車損害賠償保障法3条の責任(運行供用者責任・無過失でも負う責任)が生じる(第三者に故意又は過失等があったことを証明した場合を除く)。


<感想>
 過失致死傷罪の刑事罰は5年以下の懲役・禁固または100万円以下の罰金である。親子2人が亡くなったのに対して、故意ではなく過失の場合の罰則が軽すぎるように思われる。

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あれっ、CBにも上場廃止基準あり?


【 国内CBの上場廃止基準 】

 2017/10/24、共立メンテナンス(9616)が、国内CBの上場廃止をプレスリリースした。

1.第3回無担保転換社債型新株予約権付社債(「CB」)の上場廃止に関するお知らせ
http://www.kyoritsugroup.co.jp/ir/press/pdf/2017/171024.pdf

(1)発行残高:2.82億円(平成 29 年 10 月 20 日現在。当初150億円)
(2)転換価格:1,934 円 60 銭
(3)上場廃止日:平成29年11月25日
(4)クーポン:0%
(5)償還期日/償還価格:平成30年12月28日/@100円

ご参考:
(a)平成25年12月発行時プレスリリース
 
http://www.kyoritsugroup.co.jp/ir/press/pdf/2013/131202.pdf

(b)東証のCB上場廃止に関するニュース等
 
http://www.jpx.co.jp/news/1021/20171024-01.html
 http://www.jpx.co.jp/equities/products/cb/listing/


2.CB保有者の選択肢(以下の3つ)

(1)CBのまま市場売却
 (a)市場価格:@179円(*10/25 12:47時点)
 (b)パリティ:約184円(10/25終値3,560円÷1,934.6円×100)
  *
http://quote.nomura.co.jp/nomura/cgi-bin/qsearch.exe?TEMPLATE=nomura_tp_cb_11&KEY1=96169.3&KEY2=T

(2)CBを株式に転換して株式を売却
 ・空売り(借株売却)しない場合は、CB転換請求(T日)から株式受領(**T+5営業日)までの価格変動リスクあり
  **ご参考:
http://www.jasdec.com/download/finance/CB20011015.pdf の(5)ページ

(3)償還時点まで継続保有
 ・クーポン0%で、来年末に@100円で償還されるため、この選択肢はない


<感想>
 倒産リスクが低い銘柄であれば、低金利下におけるCB(ゼロクーポンでも)は魅力的な投資対象であると言えよう。

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自己株式取得でROEが向上?


【 自己株式取得信託 】

 2017/10/23、野村ホールディングス(8604)が、自己株式取得終了に関するプレスリリースを発表した。


1.自己株式取得終了のプレスリリース
 
http://www.nomuraholdings.com/jp/news/nr/holdings/20171023/20171023.pdf

(1)取得株式:1億株
(2)取得総額:約623.5億円(平均単価@623.5円)
(3)期間:2017/8/15~10/23
(4)方法:信託による市場買付


2.自己株式取得信託
(1)委託者:野村HD
(2)受託者:信託銀行(野村信託 or りそな?)
(3)目的:自己株式の取得(契約時点でインサイダー情報がなければ、それ以降、野村HD側にインサイダー情報が発生したとしても、受託者裁量にて自己株式取得が継続可能)
(4)取得価格の上限(想定):5/17~7/31(647.5~700.9)までの取得がゼロだったことを考えると、上限を650円程度に設定しているものと思われる。

⇒信託活用時のメリット:取得価格の上限を設定した上で、受託者裁量にてインサイダー・フリーで自己株式の取得が可能

⇒前期配当20円÷650円≒3.1%(手元余剰資金(現預金)活用時の想定利回り(税引後)が3.1%未満であれば、自己株式取得をすべき)


3.自己株式取得:2015/3~2017/10(終了時点ベース)の累計
(1)取得株式:約2.85億株
(2)取得総額:約1,723億円
(3)平均単価:@603.9円


4.2017/6期(四半期)末時点の自己株式/ROE
(1)自己株式:約2.75億株、B/S上:約1,711億円(平均単価@621.5円)
(2)ROE:4.62%(前期当期利益約1,316億円÷株主資本約2兆8,470億円)

<上記自己株式(=株主資本の部のマイナス項目)がなかったとしたら>

・株主資本が当該相当額増える
⇒ ROEが低下(分母が大きくなるため)
⇒ ROE:4.36%(約1,316億円÷約3兆181億円)


5.東証の主体別株式シェア(下記2-5)
 
http://www.jpx.co.jp/markets/statistics-equities/examination/01.html

 [ 事業法人等の比率の変化 ]
 30.3%(1987)⇒20.8%(2006)⇒22.1%(2016)

 [ 想定 ]
 事業法人等の比率は、バブル期前(1987)に30.3%だったが、持合解消売りの進展に伴い20.8%(2006)まで低下。一方、自己株式取得(>持合解消売り)が進んだため、近年、22.1%(2016)まで上昇したものと思われる。


< 感想 >
 ROEが重要視される中、手元余剰資金(現預金)活用時の想定利回り(税引後)と比較して有利であると判断される状況下では、益々、自己株式取得が進展するものと思われる。

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立憲民主党勝利にスマホ戦略あり?


【 東京都市部の自民敗北エリアの特徴 】

 自民党は、今回の衆院選において、全国的には圧勝した一方で、東京の小選挙区では5地区で敗北した。


 想定される敗北の背景とは何だったのだろうか?


1.東京小選挙区で勝利した党/自民との票差
(1)1区:立憲民主党/3,021票
(2)6区:同上/1,978票
(3)7区:同上/31,827票
(4)18区:同上/1,046票
(5)21区:希望の党/3,767票


2.2017/1/1現在の東京都の人口(推計)(上記に含まれるエリア)
 
http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2017/01/30/08.html

(1)港区:対前年同月比の人口増加+5,265(5位)
(2)世田谷区:同+9,246(1位)
(3)杉並区:同+5,662(4位)
(4)府中市:人口261,175(市町村3位)
(5)八王子市:人口577,960(同1位)

⇒ いずれも、人口が増えたり、人口が多かったり、若者の比率が高かったり、若者の人口が多いエリアであろうと思われる。


3.立憲民主党のSNS活用戦略に関する参考記事

(1)立憲民主党・枝野代表「ツイッターを担当してくれたチームが非常に優秀だった」
  選挙戦でのSNS運用を振り返る
 
http://lite.blogos.com/article/254050/

(2)SNSに投稿することで、党を応援する活動に自ら参加できる。
  その映像が話題となって、さらに人が集まる。人が人を呼ぶムーブメント
 
https://www.buzzfeed.com/jp/saoriibuki/cdp-ldp-gaisen?utm_term=.fkaRy3p71#.piEvwYdxo


4.スマートフォン利用者(15歳~69歳の男女1,100名を対象)の情報収集ソース
(出所:
https://www.nikkei.com/article/DGXLRSP438813_Y7A300C1000000/

<ニュースなどの情報収集目的で1日にもっとも接触する頻度が高いメディア>
(1)スマートフォンからのインターネットやアプリ:44.9%
(2)パソコンからのインターネット:24.9%
(3)テレビ:24.4%
(4)新聞や雑誌、ラジオ:10%未満

<スマートフォン利用者(10代)>
(1)SNSの投稿やニュースコンテンツ:69.2%
(2)インターネット:67.3%


<感想>
 上記4によれば、スマートフォン利用者は、ニュースなどの情報を、既存メディア(テレビ、新聞、雑誌、ラジオ)からよりも、スマートフォンからより多く収集しているという。立憲民主党のSNSの有効活用もこの流れに乗ったものと言えよう。この傾向は、今後全国的に広まっていくことが想定されるため、これまでは有効だった(かもしれない)電話や紙ベースから、スマートフォン主体(SNS等活用の選挙戦術)への抜本的改革が必要になるのではなかろうか。

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「編集者×装丁家」のトークイベント?


【 直木賞・佐藤正午『月の満ち欠け』を担当して 】


 2017/10/21、直木賞・『月の満ち欠け』の岩波書店編集者・坂本政謙さん(大学時代からの友人)と装丁家・桂川潤さんのトークイベント(大雨にも関わらず大盛況!)に参加した。
 
https://www.iwanami.co.jp/news/n21722.html


1.装丁

(1)佐藤正午本の装丁(装丁家・桂川潤)
 (出所:『出版ニュース』2017年7月上旬号)

『登場人物を暗示する線画イラストをレイアウトした第一案は、版元・著者の双方から却下された。そう、装丁に要求されるのは内容の「説明」ではなく「予感」だったのだ。

編集者からは「ズバリ月で行きませんか」と提案されたが、これもベタな「説明」になりかねない。作中の重要な舞台となる東京駅に十六夜の月を組み合わせたり、ギリギリまで粘ったものの、内容と拮抗する衝撃の「予感」が生まれない。

悶々としていた締め切り直前、数年前に求めた宝珠光寿さんの版画が頭に浮かんだ。「何もない空いっぱいに」という画題どおり、月はどこにもなく、空にまばらな雲以外見あたらない。ニードルで刻み込まれた線画の男女に不穏な空気が流れる。そのままでは書名すらレイアウトできない構図だが、画の周囲に黒の色面を置き、そこに原画にはない月を空いたらどうだろう。いや、それは禁じ手だ。オリジナルの作品世界をデザイナーが改変するなど許されるはずがない。

激しい葛藤に苛まれつつ、ラフを見るほどに「この案以外はない」と思えてくる。“ダメ元”と腹をくくって宝珠さんに装画使用の可否を伺ったら、何と「考えもしなかった構図」と快諾をいただけた。著者、編集者も「この本のために描き下ろした画のよう」と文句なしで装丁が決定。九回二死からの逆転ホームランというべきか。』

(ご参考:
https://twitter.com/mitsuhisa_hosu/status/887636492692078592http://www.asahi-net.or.jp/~pd4j-ktrg/bookindx.html


⇒ 第一案(説明的な2つの案)が却下され、駅をバックの装丁に決まりかけた最終段階で、「この案以外はない」と宝珠光寿さんの装画使用のご快諾(イベントでご発言も)。装丁が出来上がるドラマを感じる


(2)夏目漱石の「心」

 桂川さんが冒頭で、夏目漱石が(自費出版での)装丁を自ら手掛けた「心」(大正3年(1914)4月20日~8月11日まで朝日新聞に連載)のお話をされていた。

(a)『心』自序
 http://www.aozora.gr.jp/cards/000148/files/4688_9466.html

『 装幀の事は今迄専門家にばかり依頼してゐたのだが、今度はふとした動機から自分で遣つて見る気になつて、箱、表紙、見返し、扉及び奥附の模様及び題字、朱印、検印ともに、悉〔ことごと〕く自分で考案して自分で描いた。
 木版の刻は伊上凡骨氏を煩はした。夫から校正には岩波茂雄君の手を借りた。両君の好意を感謝する。

 大正三年九月 』


(b)祖父江慎ブックデザイン『心』
 https://www.iwanami.co.jp/book/b263835.html

『たとえば,函や表紙,背の書名.漱石が自ら装丁した初版では,「心」「こゝろ」など,いろいろな表記や字体が入り混じっています.その“心”揺れる『心』であることを生かし,祖父江さんはプランを作ってこられました.』


⇒ 漱石自身の手による「心」「こゝろ」の装丁。装丁の重みを改めて感じる


2.「月の満ち欠け」の帯

(1)背表紙

 『君にちかふ。』


(2)表紙

『 欠けていた月が満ちるとき、
      喪われた愛が甦る。

              新たな代表作の誕生は、
      円熟の境に達した20年ぶりの書き下ろし。
さまよえる魂の物語は、戦慄と落涙、衝撃のラストへ。

     あなたを/の 愛している人は、誰ですか?』


(3)裏表紙

『この娘が
  いまは亡き我が子?
   いまは亡き妻?
    いまは亡き恋人?

  そうでないなら、
    はたしてこの子は
      何者なのか?

自分が命を落とすような
ことがあったら、
もういちど生まれ変わる。

月のように。
いちど欠けた月が
もういちど満ちるようにーー

そして、
あなたの前に現れる。』


⇒ 編集者坂本さんの熱き想いを改めて感じる
 (ご参照:
https://ameblo.jp/tsuruichi1024/entry-12300306071.html


<感想>

 この五十数年、恥ずかしながら、「装丁」を考えてみたことがなかった。

 今回の「編集者×装丁家」のトークイベントで、編集者坂本さんが

 (1)いかに装丁を大切に考えているか
 (2)いかに装丁家桂川さんに全幅の信頼を寄せているか

 等、作品が生まれるプロセスを知ることができて、有意義だった。

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神戸鋼のコーポレート・ガバナンス?


【 神戸製鋼所(5406)のコーポレート・ガバナンス 】

1.自主点検における妨害行為

(1)2017/10/20の日経新聞電子版
 
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO22535210Q7A021C1TJ2000/

『 神戸製鋼所、梅原副社長「不正発覚免れる行為あった」

 ──不正の隠蔽を具体的に説明してほしい。

 「アルミ・銅事業の自主点検中、長府製造所(山口県下関市)で管理職を含むグループ従業員の妨害があった。点検過程で不適合品のデータを報告せず隠していた。19日、社内の相談窓口に情報提供があり判明した」 』


(2)会社プレスリリース
 
http://www.kobelco.co.jp/releases/files/20171020.pdf


2.神戸製鋼所の「コーポレート・ガバナンス」(⇒以降は個人的感想)
http://www.kobelco.co.jp/about_kobelco/kobesteel/governance/__icsFiles/afieldfile/2017/06/21/170621_cgreport.pdf

(1)企業理念・経営ビジョン

 [企業理念]
 当社グループは、下記の企業理念のもと、株主、投資家、顧客や取引先、従業員、地域社会など、あらゆるステークホルダーの皆様に対して、企業としての社会的責任を全うできるよう努力を続けることにより、持続的な企業価値の向上を目指してまいります。
⇒ 本当に「企業としての社会的責任を全うできる努力」をしているのか?


(2)KOBELCOの3つの約束 

 1.信頼される技術、製品、サービスを提供します 
 2.社員一人ひとりを活かし、グループの和を尊びます 
 3.たゆまぬ変革により、新たな価値を創造します
 ⇒ 本当に、「信頼される製品、サービスを提供」しているのか?


(3)KOBELCOの6つの誓い

 私たち神戸製鋼グループに属する全社員は、KOBELCOの3つの約束を果たすために、以下を宣誓します。 

1.高い倫理観とプロ意識の徹底   
 私たちは、法令、社内ルール、社会規範を遵守することはもちろんのこと、高い倫理観とプロとしての誇りを持って、公正で健全な企業活動を行います。
⇒ 本当に、「高い倫理観とプロとしての誇りを持って」いるのか?

2.優れた製品・サービスの提供
 私たちは、安全かつ安心で、優れた製品・サービスを提供し、社会に貢献します。
⇒ 本当に、「安全かつ安心で、優れた製品・サービスを提供」しているのか?

3.働きやすい職場環境の実現
 私たちは、安全で安心して働くことができる職場環境を実現します。(以下略)
⇒ 本当に、「安全で安心して働くことができる職場環境」になっているのか?

4.地域社会との共生(文章略)
5.環境への貢献(文章略)

6.ステークホルダーの尊重
 私たちは、顧客、取引先、社員、株主等を含む幅広いステークホルダーを仲間として尊重し、健全かつ良好な関係を築きます。
⇒ 本当に、「顧客、取引先を仲間として尊重」しているのか?


(4)中長期経営ビジョン
(冒頭略)
・グローバル市場において存在感のある企業グループ
・安定収益体質と強固な財務基盤を備え持つ企業グループ
・株主・取引先・従業員・社会と共栄する企業グループ
の3つを将来の神戸製鋼グループ像として目指すものです。

⇒ 本当に、「取引先・従業員と共栄する企業グループ」になっているのか?


<感想>
 (美辞麗句を並べ立てた)「コーポレート・ガバナンス」を設定するだけでは意味がない。「不祥事を防ぐ組織風土」*を企業グループ全体の隅々にまで浸透させられなければ、再び同様の不祥事が起こり得る。
*
https://ameblo.jp/tsuruichi1024/entry-12317095620.html

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CB保有者がプット・オプション を行使?


【 CBのプット・オプション 】


 2017/10/19、アルデプロ(8925)が以下内容のプレスリリースをしていた。


1.プレスリリース概要
http://www.ardepro.co.jp/files/ir/press/2017/1019.pdf

『 第 3 回無担保転換社債型新株予約権付社債(「CB」)の一部繰上償還に関するお知らせ

 発行金額:40億円
 繰上償還額:5億円
 発行日:2014/12/29
 償還日:2017/12/29
 繰上償還予定日:2017/11/20
 繰上償還金額:各社債の金額100円につき金100円
 クーポン:0%
 転換価額:174.1 円(発行決議日前日終値の▲1.1%)
 第三者割当先:EVO FUND(アジア株を中心に運用を行うファンド)
 プット・オプション :本社債権者(CB保有者)は、終値が転換価額を下回った場合、2016/12/30以降、20営業日~30営業日の事前の通知を行うことによ り、その保有する本社債の全部又は一部を額面 100 円につき金 100 円で繰上償還することを当社に対し請求することができる 』

⇒ 繰上償還後のCB残存額:6億円(昨年12月以降、継続的にプット・オプションが行使された)

(発行時プレスリリース:
http://www.ardepro.co.jp/files/ir/press/2014/1212_02.pdf


2.投資家(割当先)の3つの選択肢(:以降は個人的感想)

(1)償還時まで継続保有:×
・10/20終値:105円(パリティ:約60円。年初来高値:3月9日175円)
⇒ 転換による差益の可能性がない中、ゼロクーポンで継続保有する意味はない

(2)市場売却:×
・債券的価値分のディスカウントの差損を出してまで売る意味はない(非上場で流動性もない⇒相対の投資家がいない可能性も)

(3)プット・オプション行使:○
・これしか選択の余地なし


3.プット・オプション (野村證券のHPより)
https://www.nomura.co.jp/terms/japan/o/opusyon.html

・プット・オプション:「ある決められた日」に(までに)「ある決められた価格」で、原資産を売却する『権利』

・アメリカンタイプ:オプションの存続期間中いつでも行使可能なタイプ


<感想>
 期間3年の第三者割当CB発行に当たって、2年後以降、投資家に付与されたプット・オプション (@100)を行使したもの。プット・オプションは投資家側にメリットがあるスキーム。CBの発行条件(クーポン、発行価格、各種オプション等)は、発行会社と投資家間の受給バランスで決定される。

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株式併合に伴う端株の買い取り?


【 単元株100株への変更に伴う株式併合 】


 最近、「1株未満の端数処理に伴う自己株式買取」のプレスリリースをよく見る。先月、日経平均225銘柄の内、35銘柄が株式併合に伴ってみなし額面変更されていた。その率15%超。株式併合する理由とは?


1.株式併合(以下の野村證券の添付HPからの概要)
 
https://www.nomura.co.jp/terms/japan/ka/kabu_heigo.html

・既存の数個の株式を1株に統合すること
 ⇒ 発行済み株式数を減らす方法(理論上、株式併合自体は株式価値には影響を及ぼさない)

・日本:2001年の商法改正により、単位株制度廃止⇒単元株制度が新たに導入されるなど、株主制度の自由度が高まる中、株式併合を必要とする理由を開示して、株主総会の特別決議による承認を得れば、さまざまな目的で実施することが可能に

・米国:2000年以降、株価が低迷すると、株式併合する企業が増加(1990年代の株価上昇局面では、個人投資家の株式投資を促進するために、株式分割を積極的に行い、株価を引き下げた)


2.証券取引所の方針

(1)「売買単位の集約に向けた行動計画」(「計画」)
 
http://www.jpx.co.jp/equities/improvements/unit/tvdivq00000050ft-att/20151217-1.pdf

・上場する国内会社によって異なる普通株式の売買単位(単元株式数)を投資家にとって分かりやすく、売買し易くするため、100株に統一する(期限:2018/10/1)

(2)望ましい投資単位の水準:5万円~50万円
 
http://www.jpx.co.jp/equities/improvements/unit/02.html

・投資単位は株価によって変動するため、強制はしていない


3.住友金属鉱山(5713)の例(5/24付プレスリリースより)
 
http://www.smm.co.jp/news/release/uploaded_files/170524-1.pdf

(1)単元株式数の変更の理由
  上記取引所の計画に基づき、東京証券取引所に上場する企業として、単元株式数を100株に変更するもの

(2)株式併合の目的
 単元株式数を100株に変更するにあたり、投資単位(単元株式数あたりの購入金額)を適切な水準に調整すること


4.同社の9/14付プレスリリースより
 
http://www.smm.co.jp/notice/pdf/170914.pdf

(1)単元株式数の変更と株式併合
 効力発生日:2017年10月1日
 単元株式数:1,000株から100株に変更
 株式併合:当社普通株式2株を1株にする

(2)株式併合(2株→1株)に伴う株価水準の変動(併合前株価の前提:1800円)
 理論上株価は2倍に:1800円 ⇒ 3600円
 (時価総額不変で発行済株式数が半分になるため)

(3)単元株式数変更(1,000株→100株)に伴う投資単位の低下
 100株単位で売買が可能に:株式併合前180万円 ⇒ 株式併合後36万円

(4)株価(終値)推移(調整後)
 5/24:2,763円 ⇒ 6/5:2,642円(安値) ⇒ 10/19:4,221円(高値)


5.参考記事
(1)日経電子版
 
http://mw.nikkei.com/sp/#!/article/DGXLASGD05H2C_V00C17A9EN2000

『 日経平均35銘柄、みなし額面変更 27日から

 日本経済新聞社は5日、日経平均株価を構成する35銘柄のみなし額面を変更すると発表した。

 各社が実施する株式併合に対し、それぞれの併合比率に応じてみなし額面を変更する。35銘柄の現在のみなし額面はすべて50円。変更後のみなし額面は次の通り。実施は27日の算出から。

【変更後のみなし額面が100円】東ソー、住友金属鉱山、大日本印刷、三菱倉庫

【同250円】大成建設、トクヤマ、デンカ、三井化学、DOWAホールディングス、オークマ、住友重機械工業、東武鉄道、京王電鉄、東京ガス、大阪ガス

【同500円】東洋紡、ユニチカ、宇部興産、太平洋セメント、大平洋金属、三井金属、東邦亜鉛、古河機械金属、NEC、三井造船、三菱重工業、川崎重工業、IHI、新生銀行、あおぞら銀行、日本通運、日本郵船、商船三井、川崎汽船、ANAホールディングス 』

(2)Newsweek日本版
 
http://www.newsweekjapan.jp/stories/business/2017/08/post-8114_3.php


<感想>
 端株の買い取りは、証券取引所の方針に沿った、(1)単元株数の変更(1,000株→100株)及び(2)望ましい投資単位の水準(5万円~50万円)に合わせた、株式併合(2株→1株、5株→1株、10株→1株)によるもの。投資単位を小さくすることは、株式流動性向上の観点からも意義があるものと思われる。

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信託銀行とネット証券のコラボ?


【 株式一括売却信託/立会外トレードサービス 】


 2017/10/17、三井住友信託銀行がSBI証券と下記商品の取り扱いを開始した。
http://www.smtb.jp/corporate/release/pdf/171017.pdf

 以下はその概要。


「株式一括売却信託/立会外トレードサービス」の取扱開始について 

1.コンセプト
(1)形態
・信託(株式一括売却信託)とネット取引(立会外トレードサービス)の融合

(2)ターゲット
・事業法人の持ち合い解消のための「株式売却ニーズ」と、個人投資家の「株式投資ニーズ」のマッチング


2.スキーム
(1)株式信託の設定
・委託者:株主
・受託者:三井住友信託銀行
・目的:株式の一括売却

(2)売却方法のステップ
その1)SBI証券
・対象株式の売却について自社に口座を開設している個人投資家に対して売却銘柄情報を提供

その2)三井住友信託銀行
・委託者(株主)からの指図に基づいてSBI証券に株式を※ToSTNET-1にて売却(市場価格(終値)ー@ディスカウント=x円。ディスカウントは売出時(引受手数料4%+ディスカウント率3%=7%)よりも小さい)

その3)SBI証券
・個人投資家に株式を※ToSTNET-1にて売却(x円+α円<市場価格:αがSBI証券の手数料)

※ToSTNET-1(市場内立会外取引):証券取引所(金融商品取引所)内でオークション(競争)方式による売買を行う立会取引時間を避けた相対取引(立会時間内での取引では、株価に直接、多大な影響を及ぼすこと等が想定される場合等に利用される)


3.メリット
(1)委託者(株主)
・市場への影響(⇒株価下落)を抑えつつ、大量の株主を一括売却可能
⇒①市場での売却や②公募売出しに見られる公表~条件決定までの、需給インパクト(⇒株価下落)なし

(2)個人投資家
・ディスカウント価格で株式を取得できる


<感想>
 本件は、大手証券でブロックトレードの一環として、個人投資家向けに取り扱っていた仕組みを「信託銀行とネット証券の協働」によるスキームに改良したもの。

 売却に伴う価格下落リスクを排除したり、個人投資家の数が増える等、発行会社サイドにとっても、市場売却や公募売出しよりもメリットのある手法と考えられる。

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自己株処分で資本剰余金が増加?


【 自己株処分による資本剰余金増加 】

 2017/10/16、ネクステージ(3186)が公募増資と自己株式処分(野村證券主幹事)を公表した。
http://contents.xj-storage.jp/xcontents/31860/2d5922c8/9c89/4e4d/8c94/3bd13a648165/140120171016491205.pdf

 今日は、自己株式を処分した場合のバランスシート(BS)の変化を考えてみる。なお、資本取引なので、損益計算書(PL)上の利益への影響はない。


[ 自己株式処分時のBSへの影響 ]

1.自己株式
(1)BS上の記載(17/8第3Q決算短信)
 
http://contents.xj-storage.jp/xcontents/31860/afb352bd/894e/4807/88ed/b7fe13880255/140120171007486985.pdf
 自己株式数:1,097,074株(a)
 BS計上額:△397,405千円(b)
 簿価:362円/株(c= b÷a)

(2)売出価格例(引受手数料差引後ネット):2,500円(10/15終値2,651 (前日比▲337)円×94.3%)(d)(一般的な条件決定例:条件決定日終値の①ディスカウント率3%、②引受手数料4%)
 自己株式処分差益:2,138円/株(e=d-c)
 自己株式処分株数:1,097,000株(f)
 同総額:2,345百万円(g= e×f)
 ⇒ その他資本剰余金へ計上

(3)株主資本
・自己株式処分前:7,127百万円(h)
 ⇒ 同処分後:9,870百万(i=h+g-b×f÷a)へ増加

3.参考記事
「自社株売り -損益計算書には反映されない処分差益」
 
http://president.jp/articles/-/12778?page=2&dt=2050/12/31%2023%3A59&pskinset=asari


[ネクステージの事例]

1.公募増資の概要
(1)普通株式:1,503,000株(発行済株式の7.2%)
(2)条件(ディスカウント率)決定日:10/23~26(通常は初日に決定)

2.自己株式処分の概要
(1)普通株式:1,097,000株(発行済株式の5.2%)
(2)条件(ディスカウント率)決定日:10/23~26

3.オーバーアロットメント*に伴う株式売出しの概要
(1)普通株式:390,000株
(2)発行金額(株数)決定日:上記1・2の条件決定日と同日
(3)株式(=主幹事証券が株主から借株)の返済方法:第三者割当増資 or 市場調達(シンジケートカバー取引時)

*https://www.nomura.co.jp/terms/japan/o/overallotment.html


4.上記資金使途

・最大67億円:設備投資(42億円)、運転資金(25億円)等

5.2017/10/17のニュース
https://www.nikkei.com/article/DGXLASFL17HLM_X11C17A0000000/


<感想>
 インサイダー情報が発生していない段階で、(1)株価低迷時に自己株式を取得し、(2)株価上昇後に処分(売出し)することにより、株主資本の増強(←自己株式処分差益)を図ることができる。しかし、投資家から見れば、配当原資となる一方、希薄化(自己株消却対比)やROEの悪化にも繋がる。資本政策としての自己株式や増資は、調達資金の使い途を含めたエクイティ・ストーリーが描けない限り、実施すべきではないだろう。


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もうはまだなり まだはもうなり?


【 日米で景気の好循環 】



 米国CNNのインタビュー*で、ティラーソン米国務長官が、"Those diplomatic efforts will continue until the first bomb drops," と発言した。

*http://edition.cnn.com/2017/10/15/politics/rex-tillerson-north-korea-cnntv/index.html

 北朝鮮情勢は依然として、緊迫状況が続いているものの、2017/10/16の日経平均株価は続伸し、前週末比100円38銭(0.47%)高の2万1255円56銭で終えた。年初来高値を連日で更新し、1996年11月27日(2万1345円)以来、約21年ぶりの高値を付けた。

 この背景は何か。添付記事(「日米で景気の好循環 株の同時高をけん引(武者陵司)」)**から概要をまとめてみる。

**https://style.nikkei.com/article/DGXMZO22116070R11C17A0000000?channel=DF280120166593&style=1


1.日本の現状
(1)9月の短観(10月2日日銀発表)

http://www.boj.or.jp/statistics/tk/gaiyo/2016/tka1709.pdf
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO21768110S7A001C1MM0000/
・企業の景況感を示す業況判断指数(DI)
⇒ 大企業・製造業で10年ぶりの高水準に
⇒ 特に化学、電気機械、生産用機械、業務用機械といったグローバルな設備投資関連の好調ぶりが顕著

(2)大企業・製造業の売上高経常利益率
・17年度見通し:7.47%
⇒ リーマン・ショック直前(06年度)の6.76%やバブル景気ピーク(1989年度)の5.75%を大幅に上回る見通し
⇒ かつて日本企業はアジア勢に価格競争で敗退したが、最近は事業の高付加価値化、好採算化にシフトしている様子がうかがわれる

(3)17年度の設備投資計画額(土地を除き、ソフト・開発研究を含む)
・大企業:前年度比7.5%増、中堅企業:14.0%増、中小企業:4.7%増
⇒ 利益増からいよいよ投資増へと、日本の景気拡大に弾みがつきつつある


2.米国の現状
(1)9月の米製造業景況感指数(10月2日発表)

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO21817190T01C17A0EAF000/
・約13年ぶりの高水準
⇒ 特に新規受注はリーマン・ショック以降最高
⇒ 耐久財、資本財受注の伸長など経済拡大のけん引役が設備投資に移りつつある姿が垣間見える
⇒ 米国ではインフレ圧力が水面下で着実に高まりつつあることは疑いない(歴史的低水準にあった労働分配率が、ここにきて上昇し始めていることがそれを示唆)
⇒ FRBの利上げトレンドは、次期議長が誰であれ継続されるとみるべきであろう

(2)米税制改革
・大幅な企業減税(連邦法人税で35%→20%)
⇒ 実現すれば、米企業の1株利益(EPS)は少なくとも10%程度は上昇し、PER(株価収益率)は現行の18倍から16倍へと低下するだろう

・「リパトリ(本国回帰)」減税
⇒ 実現すれば、巨額の海外留保利益の国内還流が実現し、膨大な自社株買いの原資になるだろう

・個人所得減税と基礎控除上限の大幅引き上げ(1万2700ドル→2万4000ドル)
⇒ 消費に寄与しよう

(3)ドル相場
・財政拡大と金融引き締めのポリシーミックスが打ち出された
⇒ 米長期金利は上昇トレンドを強め、日米の金利差は拡大
⇒ 再度ドル高・円安基調となり、日本株にも追い風となろう


3.日経平均
・日米の好景気、10月22日投開票の衆院選での与党勝利
⇒ これらを前提にすると年末にかけて日経平均は上昇基調が鮮明になろう
⇒ 北朝鮮問題で不測の事態が起きない限り、来年3月末には2万3000~2万5000円まで上昇するとみている


4.ご参照
「日経平均は20年に4万円も」武者陵司氏の強気予測

https://style.nikkei.com/article/DGXMZO12097750V20C17A1000000?channel=DF280120166590


<感想>
 以前から強気の武者さん。たくさんのif、北朝鮮問題が収束し、週末の衆院選で与党が勝利し、設備投資が本格化すれば、確かに上値はあり得るのだろう。
「もうはまだなり まだはもうなり」

http://www.jsda.or.jp/manabu/proverb/contents/proverb21.html

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東証1部の外国人の売買シェアは70%?


【 株式市場における外国人の影響 】


 以下は、添付取引所の「投資部門別東証1部売買状況」の内訳。

1.投資部門別東証1部売買状況(年間)
 http://www.jpx.co.jp/markets/statistics-equities/investor-type/00-02.html
(1)2016年 売買合計(シェア)/ネット
 自己   201兆円(16%)/+2.5兆円
 委託  1,051兆円(84%)/▲2.2兆円

(2)2007年 vs 2016年の東証1部「委託」売買合計内訳
        2007年売買合計(シェア)/ネット   2016年同左 
 法 人    113兆円(12%)/+0.1兆円  89兆円( 9%)/+4.7兆円
 個 人    223兆円(24%)/▲3.0兆円 176兆円(17%)/▲3.2兆円
 海外投資家 599兆円(63%)/+4.8兆円 776兆円(74%)/▲3.6兆円
 証券会社   12兆円( 1%)/+0.0兆円   10兆円( 1%)/▲0.1兆円


2.2017/9/25以降の東証1部「委託」売買合計内訳(週間)
 http://www.jpx.co.jp/markets/statistics-equities/investor-type/index.html
 売買合計(シェア)/ネット    
       9/25-9/29          10/2-10/6
 法 人     2.3兆円(10%)/▲0.4兆円  2.1兆円(10%)/▲0.1兆円
 個 人     4.2兆円(18%)/▲0.2兆円  4.2兆円(20%)/▲0.4兆円
 海外投資家 16.7兆円(71%)/+0.2兆円 14.3兆円(69%)/+0.7兆円
 証券会社   0.2兆円( 1%)/▲0.0兆円  0.2兆円( 1%)/▲0.0兆円

⇒ (委託の)海外投資家売買シェア:70%程度で株価への影響大


 一方、以下は、2017/10/14の表題「平成の軌跡(下)持ち合い株解消137兆円 受け皿の外国人、持ち株比率3割に」の日経電子版記事*からの概要。
 *https://www.nikkei.com/article/DGKKASGD10H0B_S7A011C1DTA000/

1.株式の持ち合い解消の受け皿:外国人
・1980年代に株高を演出した企業:取引先や金融機関との株式持ち合いを解消
 ⇒ 90年~2017年3月末までの売却額:137兆円
 ⇒ 同期間の外国人の買い増し額:150兆円強

2.持ち合い解消の背景
(1)時価会計の影響
・金融機関に続いて00年度から事業会社に導入された時価会計
 ⇒ 簿価のままだった株式を毎期末、時価に改める
 ⇒ バブル崩壊で含み益経営は行き詰まり、企業は株安局面でも株を売らざるを得なくなった

(顕著な事例)
・キリンホールディングス:過去10年で保有株を簿価ベースで4割削減
・三菱東京UFJ銀行:三菱ケミカルホールディングス株、三菱ガス化学株を減らした

(野村証券調べ)
・日本企業の持ち合い株は17年3月末時点で82兆円
 ⇒ 91年3月末に比べ6割、137兆円減
 ⇒ 東証1部の時価総額(13日時点で630兆円)の2割に相当する株式が移動(年金向けの退職給付信託に拠出したところも多い)

(2)自己資本利益率(ROE)や企業統治の重視
・取引関係の維持や買収防衛を目的にした持ち合い株の削減を促した
 ⇒ 業績の改善と相まって、長く5%以下だった日本企業のROEは10%近くに

3.外国人の日本株保有額
・平成に入り21兆円から174兆円に拡大
・持ち株比率は5%から30%に上昇(今や金融機関を抜き日本株最大の買い手)

 参考資料 東証上場会社ベースの株式分布状況(http://www.jpx.co.jp/markets/statistics-equities/examination/01.html

 2016年度の投資部門別株式保有金額(東証1部)
  外国法人等  170.5兆円(30.5%)
  金融機関   162.7兆円(29.2%)
  事業法人等  121.5兆円(21.8%)
  個人・その他 90.2兆円(16.2%)
  その他合計  558.2兆円(100%)

4.事例等
(1)英シュローダーズのアンドリュー・ローズ氏
「業績に比べ割安な銘柄が多い。海外の投資家向け広報(IR)も充実してきた」と評価する(投資対象はTDK、KDDIなど、資本効率が改善傾向にある大型株)

(2)ファンド
・米リップルウッド:98年に破綻した旧日本長期信用銀行(現新生銀行)を買収した
・米スティール・パートナーズ:物言う株主として知られる
・村上ファンド:00年、昭栄(現ヒューリック)に国内初の敵対的TOB(株式公開買い付け)を仕掛ける(結果は失敗)

(3)株価等の推移
・日経平均:2017/10/13 2万1155円、1989年末 3万8915円
・日経平均を一つの銘柄に見立て89年末から月1万円ずつ投資してきた場合:配当を含む投資リターンは1.75倍になる

 ⇒ 長期投資の広がりが日本企業と株式市場の活性化を促す


<感想>
 グローバル市場における日本人が持つ資産の相対的シェアが低下していくことを考えると、今後も外国人の売買動向には注目して行かざるを得ないだろう。

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デジタル時代でも重要なのは人間の知恵?


【 不確実性を勝ち抜くためのCEOの役割 】



 2017/10/14、大学の竹内弘高ゼミのOB会ゴルフコンペに参加した。同組で回った71歳になる先生にグロスでこれまで一度も勝てたことはない。

 以下は、KPMGコンサルティング株式会社主催の「不確実性の時代を勝ち抜くためのCEOの役割」と題する経営フォーラムの2017/10/11付け日経新聞広告書面(P22)や添付記事*からの概要。

 *ハーバード大学院の竹内教授が斬る「デジタル時代の経営イノベーションのあり方」
 
http://it.impressbm.co.jp/articles/-/15063


1.不確実性が高まる世の中でイノベーションを考える際の重要なポイント

 ・世の中の矛盾は、人間の知恵でしか解決できない
 (人工知能(AI)等のテクノロジーがいくら進化しようとも)

 ⇒ 0を1にする、9を10にすることは人の役割であり、経営イノベーションには人間力が重要である

 <事業を0から10までの段階に分けた場合の担い手>
 (Innovation in the Day and Age of High-velocity change)

 0~1:人間(Human)(無から有を生み出す(=何をするか))

 1~9:ビッグデータとAI(Big Date, AI)(AIやビッグデータ(それらを駆使できる人)に任せる)

 9~10:人間(Human)(顧客へのハイタッチ)


2.ミッション、ビジョン、バリューを明確にする

 ・ミッション(Mission):何のために存在するのか?(Why do we exist?) 

 ・ビジョン(Vision):どのような未来を創造したいのか?(What kind of future do we want to create?)

 ・バリュー(Value):どのような価値観や思いを大切にしているのか?(What values and beliefs do we hold dear?)


 <ホンダのケース>

 ・ミッション:世のため、人のためにモビリティーを高める
  スーパーカブ(60年前)⇒バイク⇒自動車⇒小型ビジネスジェット(全米を席巻中)

 ・ビジョン:小型ビジネスジェット開発により、飛行場で長い待ち時間に耐えるビジネスリーダーの利便性を高めたい

 ・バリュー:待ち時間を減らすことで、ビジネスリーダーは、家族とより多くの時間を共有できる


3.賢慮のリーダーが実践する6つの項目

(1)「善」を判断できる
 ・日本では当たり前だが、米国ではそうではない

(2)本質を把握できる
 ・分析的ではなく、直感的に把握できる必要がある

(3)場をつくる
 ・公式、非公式な場を絶えずつくる

(4)本質を伝える
 ・メタファー(比喩)やストーリー(物語)を駆使し、個人やグループの暗黙知にまで持っていく

(5)政治力を行使する
 ・相反する考えの人を束ねる

(6)実践知を育む
 ・徒弟制やメンタリングを通じて、他者(特に現場社員)の実践知の養成を促す


[ご参照]
「ハーバード竹内教授の原点。手紙と交渉で勝ち取った外資系の内定」
https://newspicks.com/news/1365612
「マッキンゼーとハーバードからオファー。てんびんにかけて下した決断」https://newspicks.com/news/1367747/body
「ハーバードの学生に人気の「インサイド・アウト」の授業」https://newspicks.com/news/1369968/body


<感想>
 野中郁次郎先生との共著「知識創造企業(Tne Knowledge Creating Company)」が出版されてから早20年。現在、来年の出版を目指し、その続編を野中先生と相談中とのこと。その野中先生は、カリフォルニア大学バークレー校ハースビジネスクールの「Lifetime Achievement Award(生涯功労賞)」を学者として初受賞*された。今から続編が楽しみである。
*
http://www.ibs.ics.hit-u.ac.jp/jp/news/2017/07/19105621.html

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株式譲渡の検討開始段階での適時開示?


【 検討開始段階での適時開示 】


 2017/10/12、アサヒビールホールディングス(「アサヒ」)(2502)は、株式譲渡の検討を開始したとして、その内容を公表した。


1.アサヒのプレスリリース

http://www.asahigroup-holdings.com/ir/17pdf/171012.pdf

 以下は、上記からの一部抜粋。

[ 持分法適用関連会社の株式譲渡検討開始に関するお知らせ ]

 当社が保有する青島ビールの株式の全部または一部を第三者に譲渡する検討を開始いたしました。

(1)本譲渡検討開始の理由

 持続的な企業価値向上への貢献を判断基準として、「資産効率を重視した事業ポートフォリオの再構築」にも取り組んでおり、今回、中国のビール事業への投資についても再検討した結果、青島ビール株式の全部または一部の譲渡について検討を開始することにいたしました。

(2)本件の概要

 譲渡対象株式: 青島ビール株式(香港証券取引所上場株式:H 株)270,127,836 株、発行済株式の約19.99%
売却先: 売却先については今後決定します。
売却条件: 売却の諸条件については今後当事者間で協議・交渉されます。


2.アサヒの適時開示体制

http://www.asahigroup-holdings.com/company/governance/disclosure.html

 上記より一部抜粋。

(1)情報収集について
 情報の集約・管理は、法務担当役員又は総務法務部門とします。

(2)情報開示手続きについて
 アサヒ各部門及びグループ各社より法務担当役員又は総務法務部門に集約された情報について、総務法務部門が主管となり、適時開示事項に該当するか否かの基本的な判断を行っています。

(3)証券取引所への適時開示について
 情報取扱責任者は、適時開示が必要と判断された事実について、発生後遅滞なく適時開示を行います。


3.インサイダー取引規制における「決定」のタイミング

 以下は、「インサイダー取引規制における『決定』と実現可能性 いわゆる村上ファンド事件最高裁決定」*からの一部抜粋。
 *
http://www.dir.co.jp/souken/research/report/law-research/securities/11061601securities.html


『 問題は、「予備・準備行動」の着手決定から「実行行動」の着手決定までの間に、通常、様々な調 査、検討、交渉作業などを通じて、M&Aに向けた「意思」の確定(「どこかよいターゲットはな いか?」⇒「A社がよさそうだ」⇒「A社を是非買収したい」......)や「能力」の確保(資金調達、 スキームの確定......)が徐々に進行していく点にある。

 しかも、こうした「意思」の確定や「能力」の確保は、白から黒にデジタルに切り替わっていくとは限らず、むしろ白からグレーゾーンを経て徐々に黒へと変わっていくことが多いと考えられる。 そのため、「予備・準備行動」の着手決定から「実行行動」の着手決定までの間の、どの時点において「公開買付け等を行うことについての決定」があったと機械的に処理することは困難である。

 そのような状況の下で、『実現可能性が全くあるいはほとんど存在』しない場合を除き、『実現可能性があることが具体的に認められることは要しない』という最高裁決定の考え方が示された以上、 M&A及び企業コンプライアンスの実務現場は、自己防衛的な行動に走る可能性が高いもの思われる。即ち、インサイダー取引規制に抵触するおそれのある「公開買付け等の実施に関する事実」や 「決定事実」について、できるだけ前倒しで「決定」があったものと考えて対応しておくということである。 』


<まとめ>
 実現可能性がある「決定事実」については、できるだけ前倒しで「決定」があった(⇒この段階で「重要事実*」に該当する)ものと考えて対応しておく(⇒適時開示を行う)ことが望ましい

*重要事実:アサヒのケースは、添付(4)のいわゆる「バスケット条項」に該当
http://www.daiwa.jp/olt_help/etc/h_00h_ntc0403-01.html


4.最高裁判決(平成23年(2011年)6月6日決定(いわゆる村上ファンド事件))

http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/389/081389_hanrei.pdf


<感想>

 本件は、アサヒのディスクロージャーポリシー(
http://www.asahigroup-holdings.com/ir/disclosure/)に沿って、株式譲渡の検討を開始した段階で適時開示した事例。

 本件のように(上記3にもある通り)、決定事実(含む、発生事実)については、可能な限り、早めに公表することが良いと思われる。

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公表前の風説の存在可能性が払拭できない?


【 青森銀行の新株式発行・売出しの中止 】


 2017/10/11、青森銀行(8342)が10/3に公表した「新株式発行・売出し」の中止を発表した。


1.青森銀行のプレスリリース

(1)2017/10/3(15:30):「新株式発行及び株式売出しに関するお知らせ」
http://www.a-bank.jp/contents/cms/article/20171003002/attachment.pdf

(2)2017/10/11(15:45):「新株式発行及び株式売出しの中止に関するお知らせ」
http://www.a-bank.jp/contents/cms/article/20171011001/attachment.pdf

 [新株式発行及び株式売出し中止の理由](一部抜粋)

 本件新株式発行及び株式売出しの決議後、新株式発行等に係る風説が公表前から存在していた可能性があるなど、公正な株価形成に疑義が生じました。当行においても調査を行いましたが、その可能性を明確に払拭できない状況等を受け、主幹事証券会社である野村證券株式会社との協議の結果、投資家保護の観点から、本件新株式発行及び株式売出しの中止を決定いたしました。


2.株価推移(調整後終値。9/27に株式併合:10株⇒1株)

(1)2017/9/19以降の終値推移

  9/19〜22:@4,370、@4,270、@4,240、@4,210
  9/25〜29:@4,230、@4,210、@4,020、@4,025、@3,930
 10/  2〜 6:@3,850、@3,840、@3,840、@3,495、@3,410
 10/10〜12:@3,435、@3,360、@3,740

(2)9/19から10/3までの株価下落率

 ▲12.1%((3,840-4,370)÷4,370)

 (その間の日経平均:+1.6%)


3.インサイダー取引規制

 以下は、「いまさら人には聞けないインサイダー規制のQ&A」*からの一部抜粋。
 *
http://www.dir.co.jp/souken/research/report/law-research/securities/12062001securities.pdf

Q4:「会社関係者」から情報を伝えられた者も規制対象となるのか?
A4:「会社関係者」や「元会社関係者」から直接、「重要事実」を伝えられた者(いわゆる「第一次情報受領者」)も、インサイダー取引規制の対象となる。

(1)情報受領者について
○わが国のインサイダー取引規制においては、「会社関係者」や「元会社関係者」だけではなく、これらの者から直接、「重要事実」を伝達された者(いわゆる「第一次情報受領者」)も、規制の対象とされている(金融商品取引法166 条3項)。

○加えて、職務上、「重要事実」の伝達を受けた者が所属する法人における他の役職員などについても、「その者の職務に関し」、その「重要事実」を知った場合は、同様にインサイダー取引規制の対象とされる(金融商品取引法166 条3項後段)。


Q6:「重要事実」とは何か?
A6:投資者の投資判断に影響を及ぼす可能性のある上場会社等の業務等に関する事実である。会社の意思決定に関わる事実(新株発行など)、会社に発生した事実(災害に起因する損害など)、会社の決算に関わる事実(業績予想など)、その他の事実が、広範に定められている。

(1)「重要事実」とは
○「重要事実」とは、投資者の投資判断に影響を及ぼす可能性のある上場会社等の業務等に関する事実として、金融商品取引法及びその関連法令に規定されているもののことである。具体的には、次の8種類に分類されている(金融商品取引法166 条2項)。

1)上場会社等の決定事実(新株発行・自己株式処分、資本金の額の減少、自己株式の取得、合併など)
(以下、略)


4.過去のインサイダー取引事例

 以下は、「増資インサイダー問題、運用4社に課徴金へ 監視委勧告」記事**からの一部抜粋。
 **
http://mw.nikkei.com/sp/#!/article/DGXNZO63420480Q3A131C1NN1000/


『 増資インサイダー問題は、野村証券の営業マンが10年、国際石油開発帝石の公募増資に関する情報を公表前に外部に提供したことがきっかけ。

 金融庁は昨年夏に野村証券に業務改善命令を出し、再発防止を図るため、重要情報を提供した側にも課徴金を課せるように金融商品取引法を改正し、来春施行する予定。 』



<感想>

 本件は、10/3の「新株発行(=公募増資)」の公表前に、「公募増資」の風説が存在(⇒「公募増資=希薄化」に伴う株価下落前に誰かが現物株/空売りを実施)していた可能性を明確に払拭できないとして、「公募増資」が中止された事案。

 「公募増資」の公表(ローンチ)前には、引受主幹事証券会社が、このような可能性の存在の有無を(引受)審査するが、審査の段階では問題なしと判断されていたもの。

 決定事実としての「重要事実」(新株発行)が公表される前のインサイダー取引規制に抵触した可能性がある中では、公募増資の中止は自明であろう。何がきっかけで(主幹事野村證券の審査でも問題なかった)風説を感知することになったのか、こちらはとても興味がある。

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適時開示的に問題あり?


【 神戸製鋼所の適時開示 】


 神戸製鋼所(5406)のデータ改ざんに関する一連の報道は以下の通り。


1.会社関連

(1)2017/10/8(8:30)のプレスリリース
http://www.kobelco.co.jp/releases/1197805_15541.html

「当社が製造したアルミ・銅製品の一部に関する不適切な行為について」

 主な製品:アルミ板、アルミ押出品、銅板条、銅管及びアルミ鋳鍛造品 
 出荷期間:2016年9月1日~2017年8月31日 
 数量等  :アルミ製品(板、押出品)約19,300t
      銅製品(板条、管)     約 2,200t
      アルミ鋳鍛造品     約19,400個


 

22017/10/8の梅原尚人副社長の記者会見


http://www.asahi.com/articles/ASKB85GB7KB8ULFA004.html



 ──いつ報告があったのか。

 「アルミ銅部門が自主的に点検して発覚した。われわれが知ったのが8月30日。アルミ銅部門の管理職が幹部に言い、それが取締役レベルに上がってきた。調査中だが、現場の管理職にはすでに知っていたという人たちがいる。わけがあって言い出せなかった、という」

 ──なぜ公表まで1カ月超もかかったのか。

 「まず事態がどんなものか、われわれが把握しないといけない。お客様にも一報をしないといけない。これだけ重大なことなので、何らかの形で早く公表しようと考えていた。ただ、お客様がいろいろな動きをされたので、中途半端だが、今日緊急に発表した」

 ──国への報告は。

 「経済産業省に報告し、いくつか指摘をいただいた。法令違反や安全性の事実関係の究明、お客様への丁寧な誠意ある対応、こういう形でのみなさまへのお知らせ、可能な限り原因究明と再発防止策を、と」


(3)2017/10/10(15:30)の経済産業省の会見
 
http://blogos.com/article/251396/

 2017/9/28:経済産業省へ報告があった日

 神戸製鋼への要請*
1)違法性の有無や、安全性上問題がないかを含めて事実関係を明らかにする
2)顧客に情報提供し、適切に対応する
3)今回の事案を公表する
4)できるだけ早く原因究明と再発防止策を講じる
*
http://www.asahi.com/business/reuters/CRBKBN1CF0G1.html


[データ改ざん:まとめ]

2017/8/30 報告:アルミ銅部門の管理職⇒幹部⇒取締役レベルに(現場の管理職はそれ以前からすでに知っていた模様)

2017/9/28 会社⇒経済産業省へ報告

2017/10/8 会社プレスリリース、記者会見



4) 適時開示に係る社内体制

http://www.kobelco.co.jp/about_kobelco/kobesteel/governance/__icsFiles/afieldfile/2017/06/21/170621_cgreport.pdf


(最終ページ)
 法務部において適時開示が必要と判断した場合、「決定事実に関する情報」、「決算に関する情報」等については、本社および各事業部門の決裁がなされた時点において、また、「発生事実に関する情報」については、その発生を認識した時点において、法務部が速やかに開示手続き(TD net)を行ないます。


2.東京証券取引所の規則

(1)会社情報の適時開示が求められる会社情報
 
http://www.jpx.co.jp/equities/listing/disclosure/01.html

[上場会社の発生事実]
 27.その他上場会社の運営、業務若しくは財産又は当該上場株券等に関する重要な事実

(2)罰則規定(実効性の確保手段):適時開示違反の公表措置や上場契約違約金
 
http://www.jpx.co.jp/equities/listing/measure/02.html


3.会社の株価(終値)推移
 
 2017/8/30 @1,286 ⇒ 9/28 @1,285 ⇒ 10/6 @1,368 
 10/10 @1,068(ストップ安)⇒ 10/11 @878(年初来安値)


4.ご参考


「企業不祥事が生じた場合の適時開示について」**からの一部抜粋
 **
https://www.pwc.com/jp/ja/japan-knowledge/pwcs-view/pdf/pwcs-view201609-13.pdf

『 適時開示が求められる会社情報は、1)上場会社に関する情報、2)子会社に関する情報、3)非上場の親会社に関する情報の、各決定事実、発生事実、決算情報です。これらの情報を「適時に」開示するとは、会社が当該事実を認識した 時点で「直ちに」開示することです。

 また、「適切に」開示するとは、1)開示する情報の内容が虚偽でないこと、2)開示する情報に投資判断上重要と認められる情報が欠けていないこと、3)開示する情報が投資判断上誤解を生ぜしめるものでないこと、4)開示の適正性に欠けていないことです。』


<感想>
 本件は、
上記21)の「[上場会社の発生事実]27.その他上場会社の運営、業務若しくは財産又は当該上場株券等に関する重要な事実」に該当する事案であろう。

 個人的には、上記1(4)にもある通り、経営陣が
「重要な事実」の発生を認識した

2017/8/30に、10/8付プレスリリース内容の簡易版を開示すべきであったように思う。

 なお、上記4後段にあるように、8/30時点では「適切」な開示に足る情報の収集が未済で、「適切に」開示できるタイミングを
待っていた(開示内容が中途半端なことで、逆に投資家に誤解を与える恐れもあった)可能性もあり得たことを

付言しておきたい。

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消費税の使途より北朝鮮の脅威?


【 衆院選の争点:消費税の使途<北朝鮮の脅威 】


 2017/10/10、衆院選が公示され、友人の越智隆雄さんが小選挙区東京第6区の自民党公認候補として立候補した。


1.第48回衆議院議員総選挙公示にあたって

・2017/10/10付自由民主党HP(
https://www.jimin.jp/s/news/discourse/135894.html)における2つの主張の概要


(1)2019年10月に予定する消費税率10%への引上げによる財源の活用

・国民の皆様と約束した消費税の使い道を思い切って変え、「全世代型社会保障」の実現、そして財政再建を確実に実現していく


(2)北朝鮮の脅威への対応

・全ての核、弾道ミサイル計画を完全な、検証可能な、かつ不可逆的な方法で放棄させ、拉致問題の解決に国際的なリーダーシップを発揮していくためにも、国民の皆様の圧倒的で、力強い信任が不可欠


2.高橋洋一さんの記事
http://www.zakzak.co.jp/soc/news/171004/soc1710040006-n1.htmlの概要

(1)現状の争点:消費増税の使いみちの変更(=優先順位の低い話)

・実質的な規模で1兆円程度の予算の話

⇒ この程度であれば毎年の予算編成で処理できる

⇒ 昨年の補正予算で使った財投債スキーム*を教育支出に応用すれば、増税なし、プライマリーバランス(基礎的財政収支)悪化なしで財源が作れる。しかも、この話は2年先のことなので、それまでに準備できる


(2)望まれる争点:北朝鮮の脅威への対応力(=今そこにある危機であり、まさに日本にとっての国難であり、その対応のための政府の体制づくりこそ総選挙の争点であるべき)

・国家としては、安全保障が第一で、それが確保された上での経済である

⇒ こうした国難のときに、日本の首相がトランプ米大統領、中国の習近平国家主席と互角に渡り合っていけるかどうか、そのために誰が適任かを問う総選挙である

⇒ 北朝鮮問題という希有な国難に対して、どうするのか、それをなすためにはこの国のリーダーとして誰がふさわしいのか。そうした国の基本を愚直に訴えないと、悪いポピュリズムで流されてしまうだろう

 *添付P8の図表3参照(財源:2.75兆円の建設国債)  
 
http://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/rippou_chousa/backnumber/2016pdf/20161003003.pdf


3.特定秘密保護法の成立背景

 『特定秘密保護法は「日米同盟の強化」のために作られる?【争点:安全保障】』の記事(
http://m.huffingtonpost.jp/2013/10/04/japan-nsc_n_4041820.html)ご参照


4.特定秘密の保護に関する法律

 
http://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=425AC0000000108


<感想>
 希望の党(
https://kibounotou.jp/pdf/policy.pdf)が「消費税増税凍結」を打ち出した今となっては、もはや「消費税増税の使途」は争点にはなり得ないように思う。自民党は、高橋さんの言うように、国としてより優先順位の高い、「北朝鮮の脅威」への対応力(=党としての取組が他党対比、相対的に優位であること)をより前面に出して戦うべきではないだろうか。東京第6区は、希望の党、立憲民主党も候補を擁立する3極対決地区になったが、越智さんが負けることはないと信じている。

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知事職に専念するための代表辞任だったはず?


【 都民ファーストの会・離党の理由 】


 以下は、「都民ファーストの会」の政策パンフレット*より。
 *
https://tomin1st.jp/wp/wp-content/themes/tomin1st/seisaku.pdf

『 「東京大改革」の大原則は、
  「都民ファースト」「情報公開」「賢い支出ワイズスペンディング)」です。 』


 以下は、2017/10/5付で「都民ファーストの会」を離党した、おときた駿都議会議員のブログ(
http://otokitashun.com/blog/daily/16201/)からの概要。(上田令子議員も同日付で離党。http://blog.livedoor.jp/edomam/archives/52420733.html


『 離党を決断した理由(おときた)

・「都民ファーストの会」の情報公開の不徹底
(数度にわたる突然の代表交代が、いずれもわずか数名の役員によって決定される、等)

・国政政党「希望の党」への抵抗感
⇒選挙目当ての野合のようにしか思えず、希望の党を姉妹政党として、無条件で応援することは、政治家として許容できる範囲を超えている

・小池知事の都政に対する姿勢への疑問
⇒都民ファーストの会の代表を、「知事職に専念するため」という理由で都議選の翌日に退任されている一方で国政政党を立ち上げて代表になることを受けとめきることができない 』


<感想>
 おときた都議会議員のブログを見る限り、冒頭の2つの大原則は「都民ファースト」⇒「国民ファースト」、「情報公開」⇒「情報非公開」と言わざるを得ない。本日2017/10/10は第48回衆議院議員総選挙の公示日。10/22の投票日に向けて、国民一人ひとりが(マスコミに踊らされることなく、)賢明な選択をする必要があるものと思われる。

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「君の名は。」は「秒速5センチメートル」のオマージュ?


【 秒速5センチメートル 】


 以下は、「小説 秒速5センチメートル」(新海誠著、角川文庫)からの一部抜粋。


『  第1話 「桜花抄」


 「ねえ、秒速5センチなんだって」 
 「桜の落ちるスピードだよ。秒速5センチメートル」

 「貴樹くんはこの先も大丈夫だと思う」と明里は言った。


  第2話 「コスモナウト」

 せめて私だけは、この先の人生でどんな人とデートすることになろうとも、その人と一緒にいる時間は全力で相手のことだけを見ていよう。携帯なんか絶対に見ないようにしよう。この人は自分じゃない他の誰かのことを考えているなんていう不安を、相手に与えない人間になろう。


  第三話 「秒速5センチメートル」

 目の前からひとりの女性が歩いてきていた。白いミュールがコンクリートを踏むコツコツという気持ちの良い音が、踏切の警報音の隙間に差し込まれていく。そして踏み切りの中央でふたりはすれ違う。

 その瞬間、彼の心でかすなか光が瞬く。

 そのまま別々の方向に歩き続けながら、今振り返れば──、きっとあの人も振り返ると、強く思った。なんの根拠もなく、でも確信に満ちて。

 そして踏切を渡りきったところで彼はゆっくりと振り返り、彼女を見る。彼女もこちらをゆっくりと振り返る。そして目が合う。

 心と記憶が激しくざわめいた瞬間、小田急線の急行がふたりの視界をふさいだ。


 この電車が通り過ぎたら前に進もうと、彼は心を決めた。


  あとがき

 映像で表現できることと、文章で表現できることは違う。表現としては映像(と音楽)の方が手っ取り早いことも多いけれど、映像なんかは必要としない身上、というものもある。本書を執筆する作業は、かんがえさせてくれる刺激的な経験でもあった。これから先もきっと、僕は映像を作ったりそれが物足りなくて文章を書いたり、あるいはその逆をしたり、はたまた文章的な映像を作ったりということを、繰り返していくのだと思う。


2007年8月  新海 誠 』


 以下は、山崎まさよしの「One more time, One more chance」からの一部抜粋。

『いつでも探しているよ どっかに君の姿を
 向かいのホーム 路地裏の窓
 こんなとこにいるはずもないのに
 願いがもしも叶うなら 今すぐ君のもとへ
 できないことは もう何もない
 すべてかけて抱きしめてみせるよ

 いつでも探しているよ どっかに君の姿を
 交差点でも 夢の中でも
 こんなとこにいるはずもないのに
 奇跡がもしも起こるなら 今すぐ君に見せたい
 新しい朝 これからの僕
 言えなかった「好き」という言葉も』


<感想>
 新海誠監督作品。「秒速5センチメートル」⇒「言の葉の庭」⇒「君の名は。」の流れが好きだ。「秒速5センチメートル」の貴樹と明里、「君の名は。」の瀧と三葉が、それぞれ踏切と階段ですれ違う。山崎まさよしの歌の「いつでも探しているよ どっかに君の姿を」のフレーズが印象的だった。

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「坊っちゃん」の時代背景?



【 漱石激読 石原千秋×小森陽一 】


 以下は、「漱石激読」(石原千秋・小森陽一著、河出ブックス)(第2章『坊っちゃん』──一気書き、一気読み)の内容の概要。(その2)


1.清をめぐる深い謎

(1)同時代的な関わり
・「佐幕派の文学」(平岡敏夫)
・東京帝国大学に対する鬱憤が一気に吐き出された小説

(2)家族の問題
・次男坊の悲哀をはじめて書いた小説
⇒ 冒頭の「親譲りの無鉄砲で」の親とは、(可愛がってもらえなかった)親父(えこひいきのない男) or 清なのか

(3)清の存在:幕府が「瓦解」(「維新」「ごいっしん」ではない)して、(元旗本の)父親が清を受け入れた?
⇒ 清「御墓のなかで坊つちゃんの来るのを楽しみに待つて居りますと云つた」
⇒ 清は菩提寺・養源寺の「坊ちゃんの家」の墓のなかで待っているか?


2.清に出し損ねた手紙

(1)『坊っちゃん』という手記は清に出し損ねた手紙

(2)無自覚な<坊っちゃん>が書いていながら、実は本人以外のところで(山嵐と赤シャツの)権力闘争がおこなわれているとわかるように書かれているところが漱石の手腕


3.エリートたちの生存競争生存競争

(1)宿直(=教育勅語の謄本と天皇の御真影を命がけで守る)中に温泉に行くとろころを校長に見つかる

(2)物理学校の成績が後ろのほうから数えたほうが早いにもかかわらず3年で卒業
⇒ 卒業して3日で校長に呼ばれて就職を斡旋されている
⇒ 四国とはいえ、今で言う学校推薦 → 決して自分で言うほどの劣等生ではない
⇒ 遺産の600円を学費と生活費に3年に分けて、残った分は四国に行くとき贅沢をする

(3)ステータスの違い
・中学校と師範学校(「地方税の癖に」の一言)が喧嘩する
・師範学校:地方税でまかなわれているから学費がタダで、しかもお小遣いまでもらえる → そのかわり、地方の小学校の教員を何年かやらなければならない
⇒ 貧乏な子たちが通っている(その先の進学はない人たち)

・中学校:学費は払うけれどもその先の進学の可能性がある人たち
・<坊ちゃん>のような物理学校という専門学校出身出の理系教員 vs 赤シャツのような東京帝国大学の文科大学を出た人

(4)日本の中心である東京という概念と江戸時代という概念
・前半:「俺は東京から来たんだ」という意識で心のなかで「江戸っ子」と言っている
・後半:「会津っぽ」と「江戸っ子」が対に
⇒ 四国に行ったから「江戸っ子」という意識を内面化できた
⇒ 「江戸っ子」は明治の世では出世しない、出世しなくてもいいんだということを自覚する小説

(5)教師辞職後、街鉄技手に
・街鉄が電化(馬車鉄道の馬が全部軍隊にとられた日露戦争時の電化。日露戦争の祝勝会も書き込まれている)
⇒ 街鉄の技手:日露戦争後の街鉄は、まさに闘う労働者階級の現場


[小森氏の主張]

・一気書き小説であるがゆえに、漱石の明治への全体認識が正確に見えてくる小説で、もっと細部を大切にして読むべきだと思う


<感想>
 時代背景を理解した上でないと著者が伝えたいことを正確には理解できない。現代においても、例えば、その企業の歴史・背景等を把握しておかないと、ある行為を選択した意図を確り把握できないことは同様であろう。30年以上ぶりに「坊っちゃん」を改めて読んでみようと思う。

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コンプライアンス重視の組織風土の浸透?


【 不祥事を防ぐ組織風土の浸透 】


 以下は、本来の制度(社内認定を受けた社員による検査)に違反した日産自動車の不祥事に関連するプレスリリースと記事からの一部抜粋。



1.2017/10/2の日産自動車会社プレスリリース
https://newsroom.nissan-global.com/releases/release-478cd687bfbb56a5ee91fbd8e2012c65-171002-02-j?lang=ja-JP

 当社製造の在庫車(未登録車)の再点検実施、登録再開ならびに既登録車の対応について

 本件に関連する原因調査および再発防止策については現在、第三者を含むチームによる調査を進めております。』

⇒ 原因調査中


2.2017/10/5の日経電子版記事
http://mw.nikkei.com/sp/#!/article/DGXMZO21942590V01C17A0TJ2000

 日産、無資格検査なぜ起きた? メーカー任せに盲点

 Q 不備が見つかったのはどんな検査工程だったのか。

 A 大量に生産する車を効率良く消費者に届けるために、本来は国の機関で1台ずつ実施するブレーキなどの安全性の検査を車メーカーが代行することが認められている。日産のずさんな検査はこの工程で見つかった。

 法令に基づく通達では、社内の認定を受けた従業員だけが検査できることになっている。日産では認定を受けていない従業員が検査に携わっていた。ルール通りに検査することを前提にメーカーに検査を任せていたことで、結果的にチェックが甘くなった。石井啓一国土交通相は「制度の根幹を揺るがす行為だ」とのコメントを出した。』

⇒ 制度的なコントロール手法(セルフチェック)にも問題あり?



3.2017/10/4の日経電子版記事
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO2183242003102017KE8000/

『 不祥事を防ぐ組織風土追求を
 西村あさひ法律事務所弁護士 木目田裕



[不祥事防止の仕組み]

(1)社内規定**による行動規範の明示と事前チェック手続の整備

(2)役職員に対する研修を通じた社内規定の浸透とコンプライアンス教育

(3)事後監査・内部通報による事後チェックとけん制

 **社内規定:各企業の各部署の具体的・日常的な場面に即した行動規範でなければ役に立ちにくく、不断の見直しも必要



[真のコンプライアンス]

 仕組みの整備に加えて、コンプライアンスを重視する組織風土(文化)を企業の隅々まで浸透させる

⇒ コンプライアンスについて、仕組みに加え、もう一歩踏み込んで考える

例1:「顧客目線で顧客のためを考える」という企業の原点に立ち返る組織風土をつくり、製品などの不適正表示や性能偽装を防ぐ

例2:「とにかく隠すな。それだけでよい」を絶えず繰り返す

⇒ 経営陣たちがシンプルなメッセージを繰り返すことが大事


4.2016/5の三菱自動車との戦略的アライアンス
https://newsroom.nissan-global.com/releases/release-dc1b83f7fb5cb4016e1fe84f81008383-160512-02-j?year=2016&month=5



<感想>
 「やっちゃえ日産」ならぬ「やっちゃった日産」の事例。昨年5月に、燃費データ不正を端緒とした、日産による三菱自動車の救済は記憶に新しい。西村あさひの先生の言うように、真の「不祥事を防ぐ組織風土」を企業グループ全体の隅々にまで浸透させることが、最良の「再発防止策」なのであろう。

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提携解消目的の新手のTOB?

 

【 アサツー ディ・ケイ(9474)へのTOB 】


 以下は、アサツー ディ・ケイ(9747)(「アサツーDK」)株式のTOBに関する関連記事等。



1.2017/10/3~10/5の日経・Bloomberg電子版


(1)広告世界大手から独立へ アサツーDK、ベインがTOB

 https://www.nikkei.com/article/DGKKZO21789030S7A001C1TI1000/


(2)WPP、「アサツーDK株へのTOB応じず」
 
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO2184174003102017TJ1000/


(3)アサツーDK社長「ベインの戦略的支援期待」 数年で再上場めざす
 
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO21842020T01C17A0TJ1000/


(4)アサツーDK、2位株主も買収案に反対表明-ベインの提示額に不満
 
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-10-04/OXB50J6K50XS01


2.2017/10/2の会社プレスリリース


(1)ベインキャピタルによる当社に対する公開買付けに関する意見表明のお知らせ
 
https://www.adk.jp/wp/wp-content/uploads/2017/10/431288c69c7ab0ef4535c81bb3ee3a6c.pdf

(2)WPPグループとの資本及び業務提携解消に関するお知らせ
 
https://www.adk.jp/wp/wp-content/uploads/2017/10/26076683b3a44626cdf24aeb15e21a9c1.pdf


【 上記の超大要 】

1.アサツーDKの意思
・1998年からWPPグループとの間で資本・業務提携してきたが、考え方の違いから、資本・業務提携を解消したい
⇒ベインキャピタルによるTOBに賛同する

2.WPPとシルチェスター(第2位株主の英投資ファンド)の意思
・上記参考記事によれば、TOBに応じるつもりはない(大量保有報告書上:WPP24.7%/平均取得単価@2,902、シルチェスター17.2%/同@2,711)

3.ベインキャピタルの意思
・50.1%を下限としたTOB(@3,660)を実施したい


<感想>
 大株主かつ提携先であるWPP宛てへの一方的な提携解消の申し入れ。本件は、発行企業側からベインに仕掛けた新手の(逆敵対的な)TOBのようにも見える。WPP・シルチェスター(両者合算で41.9%保有)を除いた大半の株主がTOBに応募しなければ、下限の50.ichi%には届かない。強行突破の(逆敵対的)TOBが成功するのか。ウォッチして行きたい(公開買付期間:2017/10/3~11/15の30営業日)。


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共感性と自己の確立が大事?


【 「司馬遼太郎」で学ぶ日本史 】


 以下は、「司馬遼太郎」で学ぶ日本史(磯田道史著、NHK出版新書)(「終章 二一世紀に生きる私たちへ」)からの一部抜粋。


『 最後に遺された言葉

 ここまで過去を清算したうえで、司馬さんは最後に、未来のことを考えた文章を私たちに書き遺してくれました。それが「二十一世紀に生きる君たちへ」というエッセイで、400字一枚の原稿用紙に換算して10枚ほどの短いものです。

 大阪書籍という教科書会社から「小学生の子どもたちにメッセージを書いてください」と依頼された司馬さんは、快く引き受けました。そして、膨大な時間をかけて執筆したそうです。そのなかで、司馬さんは「(自分は)二十一世紀というものを見ることができないにちがいない」と書かれましたが、読んだ私たち読者はとても驚きました。発表当時(1989年)、司馬さんはまだ60代半ばで、二一世紀までご健在だろうとみんなが思っていたからです。

 ところが、実際に司馬さんは二一世紀を迎える前に亡くなられ、この文章が読者に向けた遺言として位置付けられました。

 司馬さんが子どもたちに伝えたかった主旨は、おそらく日本人の最も優れた特徴である「共感性」を伸ばすことだったと思います。司馬さんのこの文章内の言葉で言えば「いたわり」です。他人の弱みを自分の痛みと感じること──どうしたら相手は辛いだろう、どうしたら相手は喜ぶだろうといった、相手を慮る心が日本人は非常に発達していることを司馬さんは指摘します。


 これからの世界は「おれが、おれが」と自分の意見や利益を口にするだけでは何も解決しない時代に入ると思います。現在の世界は、どちらが強いか、どちらの利益を優先するかばかりが議論されているように見えます。グローバル化がさらに進めば、異なる価値観を持つ国家や人間どうしが向き合わざるを得なくなる局面が増えてきます。

 相手よりいかに優位に立つかに汲々とするより、むしろ、相手の気持ちがわかる、共感性が高いといった、どんな文化の違う人にも適用し理解することができる能力が重要になるはずです。その共感性が高いのが日本人なのです。


  日本の歴史を動かしたのは誰か

 そして、司馬さんはもうひとつ、「自己の確立」が大事だと述べています。中世の鎌倉武士を例に挙げて、「たのもしい人格を持たねばならない」と言います。

 若き日の司馬さんが目にしたのは、国家が命令を下してみんなが「一億玉砕」を叫んで戦争に行く、付和雷同してついていく日本人の姿でした。しかし、自分の考えをしっかり持って行動する人間が日本の歴史を動かしてきたという事実を、司馬さんは小説に描き出したわけです。

 「二十一世紀に生きる君たちへ」の核心の部分を引きましょう。


 「もう一度繰り返そう。さきに私は自己を確立せよ、と言った。自分に厳しく、相手にはやさしく、とも言った。いたわりという言葉も使った。それらを訓練せよ、とも言った。それらを訓練することで、自己が確立されていくのである。そして、“たのもしい君たち”になっていくのである」


 司馬さんが歴史上で愛した人物は、坂本龍馬のように、周りがどうであれ、しっかりと自己を持って時代を動かした人たちでした。黒田官兵衛にしても、最初は豊臣秀吉に付き従っていましたが、秀吉が挑戦を攻めるにあたり、それが間違いであると思ったら、さっさと隠居して自分の道を歩みます。秋山真之も、自分がいるから日本の海軍と日本の安全は保てるのだと、一身でもって日本全体を背負うほどの覚悟を抱いていました。

 こうした「たのもしい」人物を司馬さんは愛し、その肖像を描いてきたのです。

 
  司馬遼太郎からの問いかけ

 司馬さんは、「二十一世紀に生きる君たちへ」の兄弟編とも言える「洪庵のたいまつ」というエッセイで、軍人でもなければ政治家でもない、英雄でもない一人の人物──緒方洪庵を紹介しています。

 自分が西洋の医学を学ぶばかりではなく、西洋の医学や言葉や考えを多くの弟子たちに教え、日本の明示を開くことにつなげた人物です。洪庵は、灯したたいまつの火をひとつずつ弟子へ──大村益次郎や福沢諭吉橋本佐内。大鳥圭介といった人たちへ移していきます。

 司馬さんは、真の愛国者というのは緒方洪庵のような人物だと思っていたにちがいありません。この国がうまくいくように、自分で考えて行動し、他人に共感性をもって、人の命を救うことに生涯をささげた人です。

 幕末の日本ではコレラがはやりました。コレラ治療に取り組む意思は、ひどいときは三人に一人、四人に一人が死んだとされます。治療にあたった洪庵は「事に望んで賤丈夫(心の卑しい男)となるなかれ」と言い、さらに「世のため、人のため」と常に口にして、掛け軸にも残しました。

 自分の「技術」を人の命を救うために使った人──。緒方洪庵は、自己を確立して、他人をいたわることのできる、非常に共感性の強い人物だったのです。「二十一世紀に生きる君たちもそうした人物になってほしい」。それが、何千、何万、何十万という人の人生を、日本を見つめた司馬遼太郎さんの結論だったのではないでしょうか。

 やはりあれだけ膨大な歴史の海を見続けると、人間や社会が幸せになる定石というか、法則がわかるのでしょう。共感性と自己の確立──この司馬さんの問いかけは、いま、私たちに、とても大切なものとして響いてきます。


<感想>
 グローバル社会における「共感性と自己の確立」。北朝鮮もこの二つを身に付けることが出来たなら、今日のような事態には至っていなかったに違いない。司馬遼太郎の遺作を読んでみたい。

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賃料削減のための受益権取得?


【 高島屋(8233)が信託受益権を取得 】


 以下は、2017/10/3の日経電子版記事より。
http://mw.nikkei.com/sp/#!/article/DGKKZO21804500S7A001C1DTA000

『 高島屋、新宿店の土地100%取得 賃料削減狙う


 高島屋は2日、新宿店が入居する「タイムズスクエアビル」(東京・渋谷)の土地を9月29日に210億円で取得したと発表した。今回の取得で高島屋は同ビルの土地・建物を100%所有することになる。年間10億円強と推定される新宿店の地代家賃がなくなり、2018年2月期から連結営業利益にプラス影響を与える可能性がある。

 タイムズスクエアビルは高島屋が東急不動産ホールディングスの関連会社から段階的に買い増しを進めていた。14年には土地・建物の4割ずつの所有から、建物の残り6割を約1050億円で取得した。今回は土地の残り6割を買い増した。

 完全所有に伴い、賃料削減や機動的な店舗運営による収益改善を狙う。資金は現預金や銀行借り入れなどで充当。業績への影響は、10日に予定する17年3~8月期決算発表時に、18年2月期通期の業績予想を修正する形で織り込む。』


1.高島屋(8233)プレスリリース


(1)固定資産(信託受益権)の取得に関するお知らせ(2017/10/2)
https://www.takashimaya.co.jp/base/corp/topics/171002c.pdf

取得の理由:
当社新宿店の地代家賃圧縮による販売管理費の削減
不動産活用の自由度向上
⇒国内における少子高齢化や人口の減少に加え、今後の消費増税により厳しい消費環境が予想される局面においても安定した利益創出を図る

取得価額:210億円

(2)固定資産の取得に関するお知らせ(2013/12/26) 
https://www.takashimaya.co.jp/base/corp/info/topics/pdf/201312/1312263.pdf

取得価額:1,050億円(消費税別)


2.総資産営業利益率 < 不動産賃借料率

・2017/2期の総資産営業利益率3.45%(340億円÷約9,865億円)

・記事にある地代10億円前提時の賃借料率4.76%(10億円÷約210億円。2017/2期の不動産賃借料(販売費及び一般管理費):約355億円)

⇒取得した方が経費削減メリットあり(2017/5末の現預金約997億円([ゼロ]金利)を活用⇒総資産も変わらず)


3.信託受益権(みなし有価証券)のメリット
(参考:
http://www.nomura-un.co.jp/explanation_trust/

(1)不動産取得税:非課税
(2)登録免許税 :受益者変更1000円/件
⇒東急不動産HDサイドは不動産流通税(取得税・登録免許税)を支払うことなく、取得・処分可能(別途、受託者(三菱UFJ信託)宛て信託報酬は必要)
(参考:
https://www.j-cast.com/2006/12/06004169.html
⇒高島屋として、今後、長期保有するのであれば、信託解除(信託受益権ではなく、不動産現物で保有)の可能性あり(「Σ信託報酬>不動産取得税」の場合等)


<感想>
 このような、目に見えた合理的なコスト削減策は、今後益々増えていくことが想定される。下期に入ったことでもあり、身の回りに放置されたままの不要なコトがないか、改めて考えてみたい。

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3%以上所有株主が取締役を解任請求?


【 大株主による平取締役の解任請求 】


 以下は、2017/9/30の日経電子版記事*より。
 *
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO2172595029092017DTA000/


『 取締役の解任を前社長が要求 JPHD

 JPホールディングス(HD)は29日までに、大株主で前社長の山口洋氏から臨時株主総会の招集請求を受けたと発表した。取締役1人の解任などを求めている。今年6月の株主総会で山口氏は取締役の任期短縮などを提案し、否決された。

 山口氏が提出した大量保有報告書によると、同氏のJPHD株の保有比率は共同保有分を含めて33.44%で3分の1を超えている。その前の報告書の保有比率は32.33%だった。JPHDは「山口氏の保有増の目的はわからない」としている。』


 以下は、2017/9/28の会社プレスリリース*より。
 *
http://www.jp-holdings.co.jp/wordpress/wp-content/uploads/2017/09/20170928.pdf


Ⅰ.株主による臨時株主総会の招集請求に関するお知らせ

招集請求者:山口洋氏(総株主の議決権の 100 分の3以上の議決権を6ヶ月前から引き続き有する株主)

目的:
1.定款の一部変更の件
2.取締役西井直人*の解任の件
3.取締役1名選任の件

*有価証券報告書より
取締役 西井直人(1971//5/5生まれ)

2013/6 当社取締役(現任)
⇒この時点では、山口洋氏が代表取締役社長(=取締役就任を了承)

2016/9 (株)アメニティライフ取締役(現任)
2017/2 KODOMOLOGY(株)取締役(現任)
2017/4 COHAS VIETNAM CO.,LTD代表取締役社長(現任)


Ⅱ.株主総会(2017/6/29)の概要
http://disclosure.edinet-fsa.go.jp/の書類検索(臨時報告書)より)

決議事項の内容
<会社提案(第1号議案及び第2号議案)>
第1号議案 剰余金の処分の件
イ 株主に対する剰余金の配当に関する事項及びその総額 
 1株につき金 2円50銭 総額219,619,235円
ロ 効力発生日 平成29年6月30日
⇒可決(57.93%)(注1)

第2号議案 監査役1名選任の件
森敏仁を監査役に選任するものであります。
⇒可決(52.20%)(注2)

<株主提案(第3号議案及び第4号議案)>
第3号議案 定款変更の件
取締役の任期を2年から1年に変更するものであります。
⇒否決(62.09%)(注3)

第4号議案 監査役1名選任の件
戎正晴を社外監査役に選任するものであります。
⇒否決(47.48%)(注2)

(注1)出席した株主の議決権の過半数の賛成による。
(注2)議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の過半数の賛成による。
(注3)議決権を行使することができる株主の議決権の3分の1以上を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の3分の2以上の賛成による。


Ⅲ.山口洋氏:2017/9/26提出の変更報告書(大量保有報告)
http://disclosure.edinet-fsa.go.jp/の書類検索(大量保有報告書)より)

[当該株券等に関する担保契約等重要な契約]
提出者1(山口洋)、提出者2(山口明美)、提出者3(株式会社保育サポート)、提出者4(山口稜)、提出者5(山口哲)、提出者6(王厚龍)、提出者7(株式会社医薬情報研究所)、提出者8(株式会社じほうビジネスサービス)及び提出者9(佐原忠一)は、発行者の株主としての議決権その他の権利を共同して行使することを平成29年6月27日に合意しました。また、平成29年9月12日に提出者10(合同会社ワイ企画)及び提出者11(じほう1922株式会社)が、左記合意に参加しました。

金銭消費貸借契約にかかる担保として944,400株を大和証券株式会社に差し入れております。

[共同保有における株券等保有割合]
山口洋氏:23.83%、上記11名合計:33.44%


Ⅳ.代表取締役社長の異動に関するお知らせ(2015/2/17)
http://www.jp-holdings.co.jp/ir/library_data/20150217.pdf

1.異動の理由 体調不良による入院のための辞任

2.新旧代表取締役社長の氏名及び役職名
荻田 和宏:常務取締役管理部長⇒代表取締役社長
山口洋:代表取締役社長⇒辞任


Ⅴ.その他

(1)参考情報
『保育園大手JPHDでも経営陣と創業者が対立か 創業者等が株主提案に賛同、背景に何が?』
(2017年08月22日東洋経済ONLINE、
http://toyokeizai.net/articles/-/185366?display=b

(2)会社法
(株主による招集の請求)
第二百九十七条 総株主の議決権の百分の三(これを下回る割合を定款で定めた場合にあっては、その割合)以上の議決権を六箇月(これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間)前から引き続き有する株主は、取締役に対し、株主総会の目的である事項(当該株主が議決権を行使することができる事項に限る。)及び招集の理由を示して、株主総会の招集を請求することができる。

第二款 解任
(解任)
第三百三十九条 役員及び会計監査人は、いつでも、株主総会の決議によって解任することができる。


<感想>
 上記(参考情報)の通りであれば、「本業に集中(大株主) vs 多角化(業務執行者としての代表取締役)」という、クックパッドのような「企業として目指すべき戦略の相違」と位置付けられる(
http://mw.nikkei.com/sp/#!/article/DGKKZO13669000T00C17A3TJ1000/)。本件は、前社長が、他の大株主の賛同も得た上で、代表取締役ではない取締役を解任請求等したもの。担当役員として海外戦略を主導した(?)等、許せない理由があったに違いない。

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回転寿司業界での提携⇒縮小する国内市場への対応?


【 スシローと元気寿司の資本業務提携 】

 以下は、2017/9/30の日経新聞電子版記事*からの一部抜粋。
 *
https://www.nikkei.com/nkd/company/article/?DisplayType=1&n_cid=DSMMAA13&ng=DGXLZO21729380Z20C17A9LKA000&scode=3563&ba=1


『 神明、海外に成長託す 傘下の元気寿司、スシローと統合  日本食、アジア積極出店 コメ卸と相乗効果狙う

 コメ卸最大手の神明(神戸市)がすしなど日本食の海外展開に弾みをつける。29日、傘下の元気寿司と回転ずしチェーン最大手、あきんどスシローの経営統合について協議すると発表した。神明は水産や青果の企業を買収する一方、香港の外食大手と合弁会社を設けるなど海外販路を開拓してきた。財務などのリスクを抱えつつも、水産品などとの相乗効果を生かして成長市場に攻め込む。 』


 以下は、スシローグローバルホールディングス(3563)(「SGH」)のIR情報*からの概要。
 *
http://www.sushiroglobalholdings.com/financial/


[ SGH、神明及び元気寿司の資本業務提携に関するお知らせ ]
SGH:「うまいすしを、腹一杯。うまいすしで、心も一杯。」を使命として、国内では「スシロー」ブランドにて直営方式による回転すし店を中心に展開

神明:「私たちはお米を通じて、素晴らしい日本の水田、文化を守り、おいしさと幸せを創造して、人々の明るい食生活に貢献します。」の企業理念のもと、基幹事業である米穀卸売事業、パックご飯や炊飯米等の加工米飯事業、国内外での外食事業に加え、近時では青果物や水産品を含めた「川上から川下までの食のバリューチェーン」構築に向け積極的に展開

元気寿司(神明の連結子会社):「回転寿司を超える寿司レストランの創造」を基本方針に掲げ、「元気寿司」、「魚べい」等のブランドにて、回転レーンをなくし、タッチパネルと三段の高速レーンを設置したオールオーダー型店舗「回転しない寿司」を展開


[ 資本業務提携の背景 ]
低価格回転寿司業態は他の国内外食産業と比較して高い成長性を見込むことのできる業界であるものの、
1.依然として消費者の節約志向は根強く、また、
2.少子高齢化による労働力減少や人件費の高騰、業種・業態の垣根を越えた顧客獲得競争の激化など、経営環境は厳しさを増している


1.長期的には成熟が見込まれる国内市場では強固な事業基盤・調達力・店舗網を構築し、量・質ともに圧倒的な規模の企業へと成長すること
2.有望なホワイトスペースが広がる海外市場では競合他社に先行した展開を行うこと
が、事業価値の最大化を図ることができる戦略であるとの認識にもとづき、協議を進めてきた

⇒SGHと神明の子会社である元気寿司の間の経営統合に関する協議を開始することを目的とした本資本業務提携を行うことに合意


[ SGH:資本金の額の減少に関するお知らせ ]
目的:今後の資本政策の機動性及び柔軟性を図ること
資本金の推移:現状1億円⇒CEIのWT行使後1,814,900,571円⇒資本金減少後1億円


[ CEIの大量保有報告書より ]
年月日 株券等の種類  数量   割合  市場 取得/処分 単価
2017/2/1 新株予約権 1,019,655  3.58% 市場外 取得 1,606.98円
2017/3/30 普通株式 18,923,900 66.45% 市場外 処分 *3,434.72円


[ SGHの沿革(概要) ]
2008/9
ユニゾン・キャピタル・グループに属する投資ファンドにより設立されたエーエスホールディングス株式会社は、2008年9月に旧株式会社あきんどスシローのマネジメント・バイ・アウト(MBO)を発表

2012/9
ペルミラ・ファンド*に異動するにあたり、ペルミラ・ファンドにより設立されたCEILジャパン株式会社は、201/9/2に前株式会社あきんどスシローの全株を取得し、同社を子会社化
*親会社であるCEIの株式の過半を間接的に保有

2015/3
株式会社あきんどスシローは単独株式移転により、株式会社あきんどスシローホールディングスを設立し、持株会社体制に移行(2015/10に商号をSGHに変更)

2017/2
SGHはIPO(売出価格*3,600円)し、CEIは所有株式の一部を売出し(15,331千株×3,434.72円(*の▲4.6%)=約527億円)

2017/10
第1取引:神明は、CEIから売出しにより当社普通株式5,400,000株を取得(@4,000円/株)(総額216億円)

第2取引:CEIが保有する当社普通株式2,539,459株及びCEIがその保有する当社の新株予約権を行使することにより取得する当社普通株式1,553,576株の合計4,093,035株を、CEIから取得(@4,000円/株の場合⇒約164億円)

⇒神明の議決権比率は19.67%(第1取引)⇒32.72%(第2取引)


<感想>
 今回の資本業務提携は、SGH株主(CEI)のIPO(2017/3)に続く出口戦略であるが、(1)縮小する国内市場での効率的展開と、(2)拡大する海外市場での積極的展開の両面を追求しようとする企業戦略でもある。今後もこの種の動きは加速して行くものと思われる。

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