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ボラタイルな業績で配当還元策は限定的?

 

【 日本郵船:配当性向25% 】



 2022/8/3、日経新聞に、「日本郵船は配当増額」の記事が掲載された。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC032ZN0T00C22A8000000/


 以下は一部抜粋。


 
 日本郵船も同日、今期の配当を増額すると発表した。コンテナ船事業の好調や為替の円安で業績が拡大しており、株主への配分を積極化する。
 郵船は同日、今期の年間配当を分割前ベースで1435円(前期実績は1450円)と従来予想から380円積み増すと発表した。すでに商船三井も今期の配当増額を発表している。

 


配当情報
https://www.nyk.com/ir/stock/dividends/


配当還元策
 当社は、株主の皆様への安定的な利益還元を経営上の最重要課題の一つとして位置づけ、連結配当性向25%を目安とし、業績の見通し等を総合的に勘案し利益配分を決定しております。合わせて、業績の変動に左右されない最低限の配当を継続することを基本とし、1株当たり年間20円を当面の下限金額としました。


配当金の推移
 日本郵船株式会社の過去の配当実績および見込みは以下の通りとなります。
 当社は、2022年9月30日を基準日および10月1日を効力発生日として普通株式1株につき3株の割合で株式分割を実施予定です。株式分割前基準での2022年度年間配当は1,435円/株、株式分割後基準での期末配当は145円/株を予定しております。

 


予想配当性向:25%(1,435円÷5,672円)


DOE(株主資本配当率):14%(1,435円×169百万株÷1,713,560百万円)


ROE:56%(960,000百万円÷ 1,713,560百万円)



<感想>

 本件は、日本郵船の株主還元策(配当性向25%、下限配当金額20円)を確認したもの。

 業績がボラタイルなため、配当還元策は限定的にならざるを得ないように思われる。


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株主還元策は配当性向40% only?


【 コクヨ:配当性向40%onlyの株主還元策 】

 


 2022/8/1、日経電子版に、「コクヨの22年1~6月、純利益108億円 通期を上方修正」が掲載された。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF296W00Z20C22A7000000/

 以下は一部抜粋。

 


22年12月期通期の連結純利益が前期比20%増の164億円となる見通しだと発表した。従来予想を5億円上回る。黒田英邦社長は「今後は出社率の回復や中国でのロックダウンの解除、インドの学校再開も見込まれ、業績は好調の見込み。下期の営業利益は過去最高となる可能性もある」と説明した。配当予想も前期を10円上回る57円と従来予想から1円上方修正した。


2021/11/29 第3次中期経営計画(P45)
https://www.kokuyo.co.jp/ir/strategy/pdf/20211129_Outline_of_the_Third_Medium-Term_Management_Plan.pdf

 

株主還元
・配当性向40%と安定的な増配を目指す
・中長期の成長ストーリーについて説明責任を果たす

 

予想配当性向 40%(予想配当57円÷予想純利益142円)

ROE 7.5%(予想純利益164億円÷株式資本2,183.76億円)


配当利回り 3.3%(57円÷8/5終値1,743円)

DOE(株主資本配当率) 3.0%(57円×115.5百万株÷2,183.76億円)



<感想>

 本件は、株主還元を配当性向40%に設定した事例。
 もう一歩踏み込んだ策が欲しいように思われる。

 

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具体的数値の還元策が望ましい?


【 積水化学工業:株主還元策 】

 


 2022/7/28、日経新聞に、「積水化学、4~6月純利益16%増 半導体製造向け材料好調」記事が掲載された。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC241K00U2A720C2000000/

 

 以下は一部抜粋。

 


 積水化学工業が28日発表した2022年4~6月期の連結決算は、純利益が前年同期比16%増の145億円だった。半導体の製造工程で用いるテープなど樹脂材料が好調で、円安による為替差益もふくらんだ。

 

 23年3月期の連結純利益は前期比89%増の700億円の見通しだ。想定を上回る円安や原燃料高騰に伴う値上げ浸透を受けて従来予想を35億円上方修正した。

 


積極的かつ安定的な株主還元を維持
https://www.sekisui.co.jp/ir/investor/dividend/


当社は、企業価値を増大させ、株主の皆様への利益還元を積極的に行うことを経営上の重要課題の一つとして位置付けています。

 

株主還元につきましては、連結配当性向35%以上、DOE(自己資本配当率)3%以上、またD/Eレシオ0.5以下の場合には総還元性向50%以上を確保し、業績に応じて、かつ安定的な配当政策を実施していきます。

 


予想配当 53円/株 a
予想純利益 161円/株 b(h÷g)
予想配当性向 33% c=a÷b

 

自己株式取得 16,000百万円 d

 

発行済株式数 464百万株 e
自己株式数 27百万株 f
 除自己株式数 436百万株 g=e-f

 

予想純利益 70,000百万円 h
総還元性向 56% i=(a×g+d)÷h

 

株主資本 601,337百万円 j
DOE(株主資本配当率) 4% k=a×g÷j

 

ROE 12% l=h÷j

 


<感想>
 本件は、連結配当性向35%以上、DOE(自己資本配当率)3%以上、または総還元性向50%以上(D/Eレシオ0.5以下の場合)の株主還元策。
 株主にとっては、具体的な数値の提示が望ましいように思われる。

 

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商船三井が一転して増配予想?


【 商船三井:配当性向等 】

 


 2022/7/30、日経新聞に、『商船三井、今期500円に増配 4~6月純利益2.7倍で最高 コンテナ運賃「10月まで堅調」』が掲載された。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO63048110Z20C22A7DTB000/

 以下は、一部抜粋。

 


 商船三井は29日、2023年3月期の年間配当を500円に増やすと発表した。従来予想は350円だった。4月の株式分割を考慮すると、減配予想から一転して増配となる。

 


配当方針
https://www.mol.co.jp/ir/stock/dividend/index.html

 

・内部留保による資金を活用し、企業体質の強化を図りつつ1株あたりの企業価値向上に努めます。

 

・株主還元については、22年度は配当性向25%を予定し、23年度以降については当社投資計画の進展を確認しながら、東証プライム市場の動向を踏まえた見直しを検討します。

 

・当社は、積極的な事業投資による企業価値向上及び配当を通じた株主への直接的な利益還元を経営上の重要政策と認識しております。


予想配当 500円/株 a
予想純利益 1,939円/株 b
 予想配当性向 26% c=a÷b

 

予想純利益 700,000百万円 d
株主資本 1,233,039百万円 e
 ROE 57% f=d÷e

 

発行済株式数(除自己株式数) 361百万株 g
 DOE 15% h=a×g÷e

 


<感想>
 本件は、コンテナ運賃が好調な商船三井の減配予想から一転して増配予想になったもの。
 配当性向を意識した株主還元方針に沿った増配であると思われる。

 

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バランスシートKPI?

 

【 アドバンテスト:バランスシートKPI等 】

 


 2022/7/29、日経新聞に、「アドテスト上振れ、49%増益今期最終、自社株買い500億円」が掲載された。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO62998110Y2A720C2DTC000/

 以下は一部抜粋。

 


アドバンテストは28日、2023年3月期の連結純利益(国際会計基準)が前期比49%増の1300億円になりそうだと発表した。円安が収益を押し上げ、最高益更新の従来予想をさらに175億円上方修正した。先端半導体の量産化などで試験装置の引き合いはに、「好調が続くとみている。発行済み株式数の5.3%に相当する上限500億円の自社株買いなどで株主還元を増やす。

 

22年4~6月期の連結純利益は前年同期比89%増の364億円だった。売上高は40%増の1359億円、営業利益は71%増の447億円で、いずれも四半期として過去最高を更新した。これまで未定としていた4~9月期の配当(中間配当)は1株当たり65円と前年同期に比べて15円増やす。

 


【総還元性向(仮)】57.5%((a×b+c)÷d)
a:発行済株式数(除自己株式) 190,169千株
b:配当金 130円(仮)
c:自己株式取得 50,000百万円
d:当期純利益 130,000百万円


【配当性向(仮)】19.1%(65円×2÷680円)
(EPS(仮):680.0円(130,000百万円÷(199,542-9,373)千株))


【株主資本比率(仮)】61.7%
(327,879÷531,098(百万円、22/6ベース))


【ROE(仮)】39.6%
(130,000÷327,879(百万円、22/6ベース))

 


株主還元、バランスシートKPI、今期の株主還元について(出所:https://www.advantest.com/ja/investors/pdf/J_BIZ_220728_note.pdf、P25~P27)

 


株主還元

自己株式取得を含めた通期総還元性向も引き続き、50%以上を目処とする

 


バランスシートKPI
 財務健全性:株主資本比率50%以上
 資本効率:ROE30-35%(前回公表値:20%以上)
 ROICベースの事業・投資管理

 


今期の株主還元について
 予想配当:中間配当65円
 自己株式取得の総額:500億円
 自己株式消却:800万株(発行済の4.0%)

 


<感想>
 本件は、アドバンテストの株主還元やバランスシートKPIについて。
 株主宛てへの約束が分かり易く纏まっているように思われる。

 

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