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金融リテラシー調査を踏まえた機構の設立?

 

【 金融リテラシー調査(2022年)】

 


 2024年4月に、「金融経済教育推進機構」(「機構」)が設立され、金融広報中央委員会の金融経済教育/調査活動が機構に移管された。
https://www.boj.or.jp/about/release_2024/rel240301a.pdf

 


1.金融リテラシー調査(2022年、まとめ)
https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/literacy_chosa/2022/pdf/22lite_point.pdf

 

P14
・ 今回の調査では、引き続き金融教育にはプラスの効果があること、また、世の中の金融教育に対するニーズが強いことが確認された。

 

・こうした状況を踏まえ、当委員会では、eラーニング講座「マネビタ*」の普及促進に向け積極的に取り組んでいく方針。

 

―― 今回の調査結果は、今後、各地域における金融広報活動においても有効に活用。若年層のうちから、継続的な教育を通じて金融リテラシーを高める取り組みを続けるとともに、自己の知識に対する過信はトラブルに繋がりかねない点についても啓発していく。

 

*金融経済教育推進会議(事務局:金融広報中央委員会)が2021年に制作・公開した金融リテラシーに関する基本的な内容を網羅した動画教材(動画で学ぶお金の知恵「マネビタ」|知るぽると :https://tradersholdings.slack.com/archives/D03LZF6AVHD/p1714643866611159)

 


2.機構のKPI(2024年4月)
https://www.j-flec.go.jp/wpimages/uploads/pressconference_240425.pdf

 

P16
(1) 金融リテラシーの向上 : 正答率を欧米並みの(70%)に引き上げ(現状の正答率は40~50%)

 

(2) 金融意識・行動の変容 : (1) 生活設計等への意識を持つ割合・取組み率、(2) 外部知見の活用率
 ⇒ (1)・(2)の割合を受講前比10%以上向上

 


ご参考)自民党「国民の金融リテラシー向上へ金融経済教育推進機構設立に向けて提言」
https://www.jimin.jp/news/policy/207862.html

 


<感想>
金融リテラシー調査結果をも踏まえて、金融経済教育推進機構が設立されたことが理解できる。

 

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日銀が事務局を務める事業を機構に移管?


【 金融経済教育推進機構 】

 


 以下は、2024/4/25にリリースされた「金融経済教育推進機構」に関連する添付Webサイトからの一部抜粋。

 


1.理事長就任記者会見
https://www.j-flec.go.jp/wpimages/uploads/pressconference_240425.pdf

 

P1 組織概要

名称:金融経済教育推進機構

 

根拠法:金融サービスの提供及び利用環境の整備等に関する法律(2024年2月1日施行)

 

設立:2024年4月5日 ※ 本年8月より、本格稼働

 

目的:適切な金融サービスの利用等に資する金融又は経済に関する知識を習得し、これを活用する能力の育成を図るための教授及び指導(金融経済教育)を推進すること

 

資本金:10億5,729万6千円
 政府:10億729万6千円(うち5千万円を除く9億5,729万6千円は、設立に係る初期費用に充てる予定。
 日本銀行:2,500万円
 全国銀行協会:1,250万円
 日本証券業協会:1,250万円

 


2.補足資料
https://www.j-flec.go.jp/wpimages/uploads/pressconference_240425_supplement.pdf

 

P10 講師派遣(出張授業)事業

大学生・若手社会人(10代~20代)

「社会人として知っておきたいお金の話」
・家計管理や給与明細の見方、資産形成の基本(長期・積立・分散)や支援制度(NISAなど)、社会保険と民間保険、クレジット、奨学金、金融トラブルの防止など

 


ご参考1)日本銀行「金融経済教育推進機構に対する出資について」
https://www.boj.or.jp/about/release_2024/rel240301a.pdf

 

当該出資(25百万円)は、本行が事務局を務めてきた金融広報中央委員会から同機構に事業が移管されるにあたり、物価の安定および信用秩序の維持に資する観点から、同機構において同委員会がこれまで実施してきた金融経済教育および調査活動等を承継および継続していくために必要な支援として、2 月 9 日の政策委員会・通常会合における決定により行うものです。

 


ご参考2)自民党「国民の金融リテラシー向上へ金融経済教育推進機構設立に向けて提言」
https://www.jimin.jp/news/policy/207862.html

 


<感想>
政府は、日銀の事務局を務めてきた金融広報中央委員会から金融経済教育推進機構に事業を移管した上で、国民の金融リテラシー向上を目指している。民間サイドから可能な限り、協力してまいりたい。

 

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マイナス金利解除の理由は非合理的?

 

【 マイナス金利解除の理由 】

 


 2024/3/25、高橋洋一さんが、現代ビジネスに『マイナス金利解除は「完全にタイミングを間違えた」…!政府がこの体たらくで、日銀はやりたい放題になっている』を掲載された。
https://gendai.media/articles/-/126448

 

 以下は、一部抜粋。

 


3月19日に公表された日銀の「金融政策の枠組みの見直しについて」をみると、冒頭に「2%の「物価安定の目標」が持続的・安定的に実現していくことが見通せる状況に至ったと判断した」とし、「これまでの「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の枠組みおよびマイナス金利政策は、その役割を果たした」とし、「短期金利の操作を主たる政策手段」とした。

 

筆者は、この冒頭を読んでダメだと思った。今後、物価が目標の2%から大きく逸脱するおそれがあるから、利上げするのであれば理解できる。今のインフレ目標が維持されるのであれば、今の政策が継続されるべきだ。

 

要するに、金融政策の観点からいえば、落第だ。2%のインフレ目標は、インフレ率が2%を超えたら、すぐに引き締めになるのではない。実際、欧米でも、インフレ率が5%程度までは金融引き締めを行わなかった。これは、「ビハインド・ザ・カーブ」(behind the curve)といい、物価の動きに遅れて金融政策を行う鉄則だ。

 


<感想>
高橋さんの言う「今後、物価が目標の2%から大きく逸脱するおそれがあるから、利上げするのであれば理解できる。今のインフレ目標が維持されるのであれば、今の政策が継続されるべきだ。」という内容はその通りだと思われる。

 

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より柔軟で機動的な政策運営が必要?

 

【 日銀が3月にマイナス金利を解除する理由 】

 


 2024/3/13、楽天証券の愛宕伸康氏が、「日銀が3月にマイナス金利を解除する理由とその後の政策運営」について、解説された。
https://media.rakuten-sec.net/articles/-/44552

 以下は、その概要。(その2)

 


< 追加利上げには慎重な姿勢 >

「深刻なあるいは大きな不連続性が発生するような政策運営は、現在みている経済の姿からすると、避けられるのではないかというふうにみております。」

 

 つまり、植田総裁の頭に中に追加利上げがあることは明らかですが、追加利上げを行っていくとしても、そのペースは緩慢なものになるということが、上の発言から読み取れます。内田副総裁も2月8日の講演で、同様の発言をしています(下記)。

 

「仮にマイナス金利を解除しても、その後にどんどん利上げをしていくようなパスは考えにくく、緩和的な金融環境を維持していくことになると思います。」

 

 このように、日銀が追加利上げに対して慎重であることは間違いないわけですが、注意しなければならないのは、それを3月のマイナス金利解除時に強調し過ぎると、為替が円安に振れる可能性があるということです。

 かといって、追加利上げの可能性を匂わせると長期金利が不安定化する恐れもありますので、日銀はかなりデリケートなコミュニケーションを迫られることになりそうです。

 


< 重みを増す「多角的レビュー」~柔軟で機動的な政策運営への転換~ >

そもそも「物価安定の目標」の実現が「十分な確度をもって見通せる状況になった」と宣言してしまって大丈夫なのでしょうか。

 

植田総裁ならずとも、今の段階で2%実現が見通せると宣言することには、ためらいを感じるのではないでしょうか。

 

しかし、そもそもインフレーション・ターゲティング(物価目標)という金融政策手法は、インフレ率を特定の数値にピンポイントで誘導するような厳格なものではありません。金融政策運営の柔軟性や機動性を担保するため、目標値にある程度インプリシットな幅を持たせ、柔軟に捉えるのが普通のやり方です。

 

日銀でも、現在のようなガチガチな運営から、インフレーション・ターゲティング本来の柔軟な運営に移行する必要があります。そうした運営の下でなら、2%実現が見通せると宣言するハードルは高くないですし、金融政策の柔軟性・機動性も回復、市場の副作用も軽減することになります。


以前から指摘している通り、そうした柔軟な運営へ移行するための仕掛けが「多角的レビュー」ではないかとみています。多角的レビューとは、現在日銀が行っている、これまで長年にわたって行ってきた非伝統的金融政策に対する検証のことで、昨年12月に1回目のワークショップが開催され、今年5月に2回目のワークショップが開催される予定です。

 

そこで、消費者物価上昇率が2%に収束する蓋然(がいぜん)性や、物価安定の目標「2%」の政策運営における位置付けなどが議論され、その結果をもって、その後の金融政策運営を柔軟な本来のインフレーション・ターゲティングに移行することが、現時点で想定され得るベストシナリオだと考えています。

 


<感想>
マイナス金利解除後については、愛宕氏の言うように、物価安定の目標「2%」を「2%プラスマイナス1%」という柔軟なものに切り替えた上で、利上げの余地をより大きく残しておくことが望ましいものと思われる。

 

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マイナス金利を解除する理由?


【 日銀が3月にマイナス金利を解除する理由 】


 2024/3/13、楽天証券の愛宕伸康氏が、「日銀が3月にマイナス金利を解除する理由とその後の政策運営」について、解説された。

 以下は、その概要。(その1)


「日米金利正常化カレンダー」予想(2024年前半)

日銀・金融政策決定会合:3月(18-19日)マイナス金利解除(政策金利0~0.1%)、4月(25-26日)現状維持、6月(13-14日)利上げ(0~0.2%、当座預金への付利0.2%)

米国FOMC:3月(19-20日)、5月(4/30-5/1日)、6月(11-12日)、いずれも現状維持

 


< 3月にマイナス金利が解除されると予想する背景 >

 

1.日銀による春闘を強調した積極的な情報発信

 

内田眞一副総裁(奈良県金融経済懇談会、2024年2月8日)

・好循環を確認したうえで、2%を見通せるようになったというふうに判断する かどうか、・・・当然ですけれども、春季労使交渉の状況というのは、重要なファクターの一つになるというふうに思っています。

・賃金と物価というのが、きわめて重要なファクターであり、その中にあって 春闘というタイミングで賃金の部分が確認できるということはですね、これは重要なイベントであろうというふうに思っています。


高田創審議委員(滋賀県金融経済懇談会、2024年2月29日)

・私自身としては、現在の日本経済について、不確実性はあるものの、2%の「物価安定の目標」実現が漸く見通せる状況になってきたと捉えています。

・今日のきわめて強い金融緩和からのギアシフト、例えば、イールドカーブ・ コントロールの枠組みの解除、マイナス金利の解除、オーバーシュート型コミットメントの在り方など、出口への対応も含め機動的かつ柔軟な対応に向けた検討も必要と考えています。


中川順子審議委員(島根県金融経済懇談会、2024年3月7日) 
・わが国経済は、高水準の企業収益に支えられ、賃金と物価の好循環が展望できると考えています。

 


2.春闘の賃上げ率が4%を超える可能性が高いこと→実際は5.28%!(3月15日)

3月15日の第1回回答集計結果(連合):初回集計5.28%(5%超は1991年以来33年振り)

 


3.為替:円安加速→インフレ助長

春闘が強い結果→3月MPMで動かない→ 再び円安が大きく進むリスク→インフレ助長→実質所得目減り→消費ますます抑圧(「これでも日銀は弱いと見ているのか」と市場に受け取られる)

 


4.その他
(1) 「展望レポート」は政策判断に優先しない
「展望レポート」が出るという理由でマイナス金利解除は4月という声あり→展望レポートが政策決定に優先することはない(展望レポートは重要なコミュニケーション・ツールの一つだが、金融政策の判断は展望レポートが出る出ないにかかわらず、MPMごとにその時の指標や情勢に基づいて下されるのが原則)

 

(2) 4月まで判断を持ち越すケース

春闘要因を打ち消す何か、例えば景気の急変とか自然災害といった突発的な事象が生じた場合と考えられる

 


< マイナス金利解除後の政策金利:0~0.1% >

異次元緩和が開始される直前まで設定していた、無担保コールレート(オーバーナイト物)「0~0.1%程度」に戻される

 

内田副総裁の2月8日の講演(下記)もそれをサポートする内容

 

「マイナス金利の導入前には、日本銀行の当座預金取引先の超過準備に0.1%の金利を付利し、取引先でない金融機関との裁定取引が行われる結果、短期金融市場では、無担保コールレートが0~0.1%の範囲で推移していました。
仮にこの状態に戻すとすれば、現在の無担保コールレートは-0.1~0%ですので、0.1%の利上げということになります。」

→ 政策金利を0~0.1%にするのであれば、超過準備に対する付利も0.1%に一本化するのが最も自然

 


<感想>
3月15日の第1回春闘賃上げ率の回答集計結果(連合)は5.28%(5%超は33年振り)で、ゼロ金利解除の可能性が高まってきた。3月18-19日の金融政策決定会合の結果が待ち遠しい。

 

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