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二階俊博幹事長起用



安倍政権「任期延長」巡る疑心暗鬼(山口敬之、週刊文春8月25日号)

 パワーバランスの変化を如実に示すもの、それが人事だ。8月3日、内閣改造に踏み切った安倍晋三首相。二階俊博幹事長起用の真意、そして政権の骨格となってきた麻生太郎副総理と菅義偉官房長官の関係。変容する安倍政権の真相を抉るインテリジェンス・レポート。

  麻生との会談で漏らした本音

 五月末の二人きりの会合の時だった。

 「憲法改正への道筋を考えたら残された時間は少ない。安倍さんが本当にやりたいことを成し遂げるためにも今回は解散すべきだと言っているんですよ」
「麻生さんのお気持ちはよくわかりますし本当にありがたいです。ただ憲法改正には国民投票という最後のハードルが待っている。私の任期中に実現できるかを考えた時、心が揺れないと言ったらウソになる」

 安倍が憲法改正を諦めていないとすれば、選択肢は二つしかない。「総裁任期を延長する」か、「憲法改正に邁進する人物に禅譲する」かである。そして、それが「二階幹事長」と「稲田防衛大臣」という今回の目玉人事につながっていく。

 五月末の手打ち式でぼんやりと漏らした安倍の本音が「二階」と「稲田」という二人の登用で、しっかりと像を結んだのである。


  官邸で真っ二つに割れた二階評

 明らかに体臭の異なる二階が幹事長としてチーム安倍に正式に加わったまさにその日、二階と麻生が早くも軋轢の火花を散らした。発端は、十月に行われる鳩山邦夫元総務大臣の死去に伴う福岡六区の補欠選挙だ。自民党福岡県連が地元の県議関係者の擁立で固まりつつあっただけに、すかさず麻生が牽制球を投げた。
「福岡県連が決めた事を、幹事長がひっくり返すようなことはないよな?」
「もちろんです」
 鳩山家は、邦夫の次男の二郎を立てて弔い選挙にしたい。そして、安倍も菅も12年の総裁選で安倍を支援してくれた邦夫への義理がある。福岡県連の擁立する候補と鳩山二郎が共に立候補すれば、自民党は都知事選に続いて血で血を洗う分裂選挙となる。そして元来麻生と緊張関係にある二階が安倍・菅側について動けば、安倍・菅・二階vs麻生という、官邸を二分する全面対決になりかねないのである。

 内外に不協和音を孕んだ新体制で、政権をどこまで引っ張っていくつもりなのか。安倍に最も近い盟友・側近ですら、安倍の真意を測れずにいる。


>>分裂選挙になった福岡六区の政権に与える影響が気になる

『総理』著者インタビュー



「私が見た素顔の安倍・麻生・菅」(山口敬之、月間ウイル8月号)


 『総理』著者インタビュー

  誰にも見せていない

山口
 今回、会社(TBS)を辞めるにあたって、次のようなことを考えました。
 いままでのテレビニュースという枠では、ご紹介できなかった、伝えることのできなかったナマの情報や真実の部分を、お伝えるすことには意味があるんじゃないか。そのときに安倍さんがどういう表情をしたとか、一瞬、間があったのかとか・・・・・・それは僕が間近にいたからわかることですよね。政治家の人となりとか、政局の一番緊張しているときの空気。そういうものをお伝えできれば、本として出す意味があるんじゃないかと。

 最初にお伝えしなければいけないのは、この本は本屋に並ぶまで、中身を誰にも伝えていないんです。つまり「ここまで書きますよ」ってことを、安倍さんはおろか、麻生さん、菅さん、誰にも言ってないんです。知っていたのは担当編集者だけです。
 要するに、僕は一応記者なんで、「これを書いていいですか」あるいは「書きますよ」って言ったら、「嫌だ」って言うかもしれない。「嫌だ」って言われた、あるいは「これ、やめといて・・・・・・」って言われたからといって、書かなかったら、そのとたん、僕は記者じゃなくなっちゃうんじゃないかと思ったんです。

 だから、もしかしたらこの本を読んで、激怒している人もいるかもしれないし、そこまで書いていいとは言ってないっていう人や、内心苦々しく思っている人もいるでしょう。
 今後、僕の電話には、出てくれなくなる人もいるかもしれない。

 ただ、やっぱりそれだけの覚悟を持って、書きました。

 それで切れちゃう関係だったらしょうがないし、とにかく、事前に是非を聞いていないから、わからないんです。

――少なくとも安倍首相の人柄を考えれば、そういう「嫌だ」はないだろう、と思いますが。

山口 いや、わからないですよ、聞いてないから。国内政治の部分は、事実を書いているだけなので大丈夫だと思いますが、外交のこととか、たとえば安倍さんが、財務省に対して、こう言っていたということを、こんなふうに公表されるとは思っていなかっただろうから、それは、もう本当にわからない。

 本の中に、何回か岸さんが出てくるのは、僕の考えとして安倍さんの骨格、DNAに当然、強い影響を及ぼしているか、深く関与している人物であることは間違いないからです。


>>誰にも伝えずに本になった後でも関係は切れずにいて欲しいと思う

「総理」①



「総理」(山口敬之著、幻冬舎)より


 第3章 消費税をめぐる攻防――麻生太郎との真剣勝負

  吉田の血、岸の血


 1951年、吉田はサンフランシスコ講和条約に署名したのと同じ日に日米安全保障条約にも署名した。その6年後に首相となった岸は、吉田が署名した日米安保条約の不平等性や片務性などを問題視し、首相としての最重要課題の一つとして安保改定を位置づけた。そして、安保改定に向けた重要局面に直面するたび、岸は吉田に意見を聞きに言ったという。幾度となく行われた吉田と岸の極秘階段のほとんどは、永田町の国会議事堂の隣にある国会図書館の一室で行われた。このうち何回かの階段に陪席していた麻生はこう証言する。
「安保改定をしたいという岸の申し出に対して、吉田は即座に『あれは当時はしょうがなかったが、変えなければならない代物だ。憲法と日米安保は、本当は俺が総理のうちに変えたかったんだ』と言っていた。傍から見ると、二人の関係は、政敵というよりは盟友にに近かったと思う」


 第5章 新宰相論――安倍を倒すのは誰か

  「国家像」「ポリティカル・アセット」という概念と、貯金の使い道


 日本のこれまでの宰相は、往々にして不人気法案を先送りにしてきた。

 ところが、二度の政権交代を経て、「広き道」を選ぶ政治家に対する有権者の不信感が、日本の政治の風景を変えつつあるのではないか。
 東京大学名誉教授で政治学者の北岡伸一は、2015年11月に訪米した際、昨今の国民意識の変化について、次のように語っていた。
「安倍は自らの祖父・岸信介以来滅多に見られなくなった『媚びない政治』を再興しようとしているのではないか。これは安倍独りの力で達成されるものではない。これまで裏切りを続けてきた、『媚びる政治家』への国民の本質的な嫌悪が安倍への静かな追い風となっていることは間違いない」

 それでは、当の安倍はどう考えているのか。総裁選が終ってしばらく経った2015年の秋、久びりに富ヶ丘の自宅を訪れた私は、次々と不人気法案に取り組むその真意を尋ねた。
「総理大臣になることや総理大臣であり続けるのことが重要なのではなく、総理大臣になって何をなすかが重要なんです」

 安倍は一貫して「保守政治家」であり、掲げる大目標は簡単にいえば「誇りの持てる国づくり」とまとめられるだろう。安倍にとっては、「強い経済」も「安心できる社会」も、大目標を実現するための方便に過ぎない。


>>安倍総理の『媚びない政治』の実行力に期待したい

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