「安倍内閣の研究」
「安倍内閣の研究」(岩見隆夫著、朝日新聞社)より
岸が57年2月、首相官邸入りした直後、秘書官の晋太郎が、
「治安立法なんかやるよりも、専門の経済で勝負したほうがいいのじゃないですか」
と進言したことがあった。記者出身の晋太郎にはまだ岸のハラがまったく読めていなかったのだろう。岸はこう答えている。
「総理大臣というのはそういうものではない。経済は官僚がやってもできる。なにか問題が生じたら正してやればいいのだ。総理であるからには外交や治安にこそ力をいれなければならんのだ」
たしかに、戦前の商工官僚時代、岸は旧満州の経済開発を手がけ、実績を挙げた。首相になってからは、警職法、小選挙区制、憲法改正、そして安保改定と打ち上げる政治イシューのすべてが、岸の徹底した政治主義で貫かれていた。
安倍も祖父が敷いた路線の上を走ろうとしているようにみえる。第一次でやり残したことをやると安倍は言ったが、その象徴が憲法改正による、
<「国防軍」の創設>
を政権公約に明記したことだった。
>>やっぱり、血は争えない。