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ユキちゃん先生は、雪野先生?


【 新海誠監督、声優:花澤香菜 】

 『君の名は。』のユキちゃん先生の声が、『言の葉の庭』の雪野先生の花澤香菜だとは知らなかった。

 三葉の通う学校の古典教師とタカオの通う学校の古典教師。

 ユキちゃん先生:「誰そ彼と われをな問ひそ 九月の 露に濡れつつ 君待つわれそ」(万葉集10巻2240番) 黄昏の語源について教えている。

 雪野先生:「鳴る神の少し響みてさし曇り雨も降らぬか君を留めむ」(万葉集第11巻2513番) タカオからの返し歌を待っている。


<感想>
 監督の(単独ではない)連続の仕掛けに気付いたときに、何とも言えない幸せを感じる。

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高村副総裁が怒ってる?


【 政治家のこだわり 】


 以下は、(毎日楽しみにしている)2017/8/27付けの日経新聞「私の履歴書」高村正彦(28)「平和安全法制最高裁判決踏まえ発言 集団的自衛権巡る論議 主導」)からの一部抜粋。


『 最近、わが党の村上誠一郎さんが月刊誌で、砂川事件は在日米軍基地の合憲性を争った裁判であり、これを根拠に集団的自衛権を認めるのは「黒いカラスを『白い』と言うような常軌を逸した状況」と私を名指しで批判した。

 砂川事件は米軍基地の合憲性について判断する前提として、大法廷の15人の判事全員が一致した判決理由のなかで「必要な自衛の措置を講じ得ることは、主権国家固有の権限として当然だ」という一般法理を明らかにした。

 私はこの一般法理を現在の安全保障環境に当てはめ、集団的自衛権も一部認められるとしただけだ。

 村上さんは27回開かれた平和安全法制推進本部の全体会合にいちども出席しなかった。それでいて党外に向けて独自の見解を発信し続けた。

 推進本部長かつ幹事長の石破茂さんは「次の選挙で絶対に公認しない」といっていた。その後、幹事長が谷垣さんに交代したが、私は武士の情けで、このことを谷垣さんには伝えなかった。』


 以下は、最高裁判決砂川事件:昭和三四年一二月一六日最高裁判所大法廷)からの一部抜粋。
 
http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/816/055816_hanrei.pdf

『 国際連合憲章がすべての国が個別的およひび集団的自衛の固有の権利を有することを承認しているのに基き、わが国の防衛のための暫定措置として、武力攻撃を阻止するため、わが国はアメリカ合衆国がわが国内およびその附近にその軍隊を配備する権利を許容する等、わが国の安全と防衛を確保するに必要な事項を定めるにあることは明瞭である。』


<感想>
 元高村派でもある村上議員への怒りを「私の履歴書」の中でまで露わにするとは。政治家同士の信頼関係が壊れた後の修復はなかなか難しそうだ。

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「打ち上げ花火」、どちらが好き?


【 打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか? 】


 2017/8/26、「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」を府中の東宝シネマズで見た。  
 
http://www.uchiagehanabi.jp/specialtalk.html

 実写版ではなずな(奥菜恵)が
「今度会えるの2学期だね。楽しみだね。」
と言う。

 ドラマ版(「世にも奇妙な物語」の姉妹番組「if もしも」の一編)ではタモリが
「典道(山崎裕太)がどちらを選んでも悲しい結末にたどり着き、典道が気づくのは夏休みが終わった九月の教室なのです。」
と言う。

 個人的には、岩井俊二監督の実写版の方が好きだ。

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未成年の実名報道は世界の常識?


【 少年法第61条 】

 2017/8/19の「辛坊治郎ズームそこまで言うか!」(http://www.1242.com/program/zoom/2017/08/19101710.html)で、バルセロナのテロ事件での17歳の実行犯は顔や名前が報道されたのに対して、少年法(第61条)で通常は実名報道されないのは、ダブルスタンダードでおかしいとするコメントがあった。

少年法
(記事等の掲載の禁止)
第六十一条   家庭裁判所の審判に付された少年又は少年のとき犯した罪により公訴を提起された者については、氏名、年齢、職業、住居、容ぼう等によりその者が当該事件の本人であることを推知することができるような記事又は写真を新聞紙その他の出版物に掲載してはならない。


 以下は「ニッポンのアホを叱る!」(辛坊治郎著、光文社)からの一部抜粋。


 「少年法第61条は全面的に廃止すべし」

 この法律が報道を禁じているのは、「審判に付されたか起訴された」ケースだけですから、逮捕段階での報道はできるはずです。でも一度報道されてしまえば、その後、匿名にしても意味がありませんので、一律、少年事件で名前の報道はされないんですね。放送局も、この法律の規制対象になります。いったいなんのために少年法ができたのかというと、「可塑性」という言葉で説明されることが多いです。

 「可塑性」とは、形が変わりやすいことを意味します。粘土細工を「塑像」っていいますよね。少年は「形の決まった」成人と違って変わりやすいから、過去の犯罪歴についてみんだが知っていると、「変わる」のに支障が出るだろうってことで、「匿名」がマスコミに義務づけられているんです。

 それじゃあ、インターネットで少年たちの顔を晒すことに問題はないのか? 「少年法第61条は個人に適用されない」のが一般的な解釈です。もともとこの規定違反に罰則はなく、ネットに加害少年の顔をアップしただけで、いきなり逮捕されることはありません。でもその行為が、「名誉棄損」と判断されると、警察官に自宅に踏み込まれて、「パソコン押収」なんていう事態になることはありえます。
   

 間違って関係ない人の写真や名前やネットに書き込むとアウトです。大津のいじめ自殺問題の際には、間違ったネット情報を拡散させた芸能人が多額の賠償金を支払わされました。

 じつは少年法第61条の問題は、これらの誤報騒動に凝縮されています。ネットの書き込みの多くは匿名で行われます。つまり書き込まれた情報には、誰も責任を取る人がいないんです。なかには自分が嫌いな人物を陥れようと、何かの凶悪事件でネットが盛り上がっているタイミングで嘘情報を流す人も出るでしょう。最近のネット利用者は、そんなことは百も承知ですから、ネットでアップされている情報については、当然疑いの目を向けます。


 ネットで晒された多くの少年少女たちは冤罪を被ったわけです。もし少年法第61条の縛りがなく、マスコミがしっかりと逮捕された3人の顔写真と名前を報道していれば、「冤罪」は一発で晴れます。ところがそれができないために、デマ情報が永久にネット上を徘徊することになるんです。


 近年、被告人の少年に死刑判決が確定した場合に、一部メディアは「更生の可能性がなくなった」という判断から、実名報道に切り替えるケースもありますが、現状の法律のもとでは「少年法違反」で起訴を起こされる可能性もゼロではありません。公開法廷が基本の民主主義社会で、刑事裁判の被告について報道が禁じられ、どこの誰に死刑が執行されるのか、市民がまったくわからないなんて聞いたことがありません。この一点だけ見ても、少年法第61条は完全に間違ってます。

 まとめます。私は、少年法第61条の削除を提案します。また、少年法の適用範囲は、国民投票年齢や2015年の通常国会で可決された選挙年齢の18歳未満に引き下げられるべきです。さらに、家裁事件についての被疑者匿名は維持するにしても、検察官に逆送されて刑事裁判のプロセスに入った場合、ほかの成人事件と同じ扱いにするのが民主主義国家として当然の法運用です。皆さん、少年事件に関する「日本の常識」は「世界の非常識」だってことを、しっかりと心に刻んでおいてください。』


<感想>
 少年法第61条は、個人には適用されず、デマ情報がネット上に残り続ける可能性等を考えると、(辛坊さんの言うように、)見直す必要があるように思われる。

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後醍醐天皇以来の明治天皇?


「日本人なら知っておきたい 皇室のしくみ」 (著/五味洋治ほか、宝島社)


 以下は掲題書(第七章「時代をつくった天皇」)からの一部抜粋。(その3)


  
明治以降  明治天皇、大正天皇、昭和天皇
  日本の近代化とともに生きた天皇


 明治以降の日本の近代化の歴史は、天皇の歴史でもあった。江戸時代までは、政治の舞台に天皇が登場することはほとんどなく、伝統と文化を引き継ぐ存在でしかなかった。

 明治天皇は嘉永五年(1852)に生まれている。行為についたのは慶応三年(1867)である。この年、徳川慶喜が大政奉還し、翌年1月には王政復古の大号令があり、新政府が誕生。4月には明治がスタートしている。

 明治天皇の若い頃の逸話として、禁門の変の号砲を聞いて、肝をつぶし失神したというものがある。明治以降の「御真影」の勇猛さを、より強調するために若かりし頃のひ弱さを強調したものだろう。実際、明治になって、天皇の役割は大きく変わった。大日本帝国憲法では、国家元首となり、統治権を総攬する、行政、立法、司法を掌握した全権の君主となったのだ。もちろん、そうはいっても天皇の統治権は内閣などの補佐が必要であり、全農の統治者ではなかった。

 さらに、明治政府は、中央集権化をはかるため「御真影」などを通して、天皇の神格化に力を注いだ。

 天皇は神になった。そして日本は天皇を中心にしてひとつにまとまっていく。


  激動の時代を生きた昭和天皇

 それを引き継いだのが大正天皇である。しかし、若い頃から病弱で、学校に通い続けることができず、個人教授によって帝王学を学んだ。

 大正天皇は結婚されて、皇太子妃の献身もあり、健康状況は改善に向かった。そして、裕仁親王が誕生し、明治45年(1912)、明治天皇が崩御されると、皇位継承し大正に改元した。

 しかし、天皇の激務には耐えられなかった。対象10年から皇太子の裕仁親王(昭和天皇)が摂政となる。そして、大正15年、大正天皇は心臓麻痺で崩じた。

 大正天皇が崩御すると、皇太子裕仁親王は、ただちに践祚し皇位を継承、昭和が始まった。昭和天皇ほど激動の歴史を生きた方はいない。「現人神」として祀られたが、実際は軍部に力を握られた。戦争への否定の思いも強く、張作霖事件では田中儀一首相を厳しく叱責し、226事件では青年将校を批判した。

 しかし、軍部の暴走を止めることはできなかった。そして、太平洋戦争が始まり、敗色が濃厚となり、自ら玉音放送で敗戦を受け入れた。戦後は人間宣言をし、昭和64年(1989)に崩御。
が激動の近現代史を生きた稀有の存在だったのだ。


<感想>
 後醍醐天皇以来の明治天皇による中央集権化が進展し、昭和天皇の太平洋戦争後に天皇中心の時代が終焉。象徴天皇の世の中の方がベターなように思われる。

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あれっ、後醍醐天皇以来の明治天皇?


「日本人なら知っておきたい 皇室のしくみ」 (著/五味洋治ほか、宝島社)


 以下は掲題書(第七章「時代をつくった天皇」)からの一部抜粋。(その3)


  
明治以降  明治天皇、大正天皇、昭和天皇
  日本の近代化とともに生きた天皇


 明治以降の日本の近代化の歴史は、天皇の歴史でもあった。江戸時代までは、政治の舞台に天皇が登場することはほとんどなく、伝統と文化を引き継ぐ存在でしかなかった。

 明治天皇は嘉永五年(1852)に生まれている。行為についたのは慶応三年(1867)である。この年、徳川慶喜が大政奉還し、翌年1月には王政復古の大号令があり、新政府が誕生。4月には明治がスタートしている。

 明治天皇の若い頃の逸話として、禁門の変の号砲を聞いて、肝をつぶし失神したというものがある。明治以降の「御真影」の勇猛さを、より強調するために若かりし頃のひ弱さを強調したものだろう。実際、明治になって、天皇の役割は大きく変わった。大日本帝国憲法では、国家元首となり、統治権を総攬する、行政、立法、司法を掌握した全権の君主となったのだ。もちろん、そうはいっても天皇の統治権は内閣などの補佐が必要であり、全農の統治者ではなかった。

 さらに、明治政府は、中央集権化をはかるため「御真影」などを通して、天皇の神格化に力を注いだ。

 天皇は神になった。そして日本は天皇を中心にしてひとつにまとまっていく。


  激動の時代を生きた昭和天皇

 それを引き継いだのが大正天皇である。しかし、若い頃から病弱で、学校に通い続けることができず、個人教授によって帝王学を学んだ。

 大正天皇は結婚されて、皇太子妃の献身もあり、健康状況は改善に向かった。そして、裕仁親王が誕生し、明治45年(1912)、明治天皇が崩御されると、皇位継承し大正に改元した。

 しかし、天皇の激務には耐えられなかった。対象10年から皇太子の裕仁親王(昭和天皇)が摂政となる。そして、大正15年、大正天皇は心臓麻痺で崩じた。

 大正天皇が崩御すると、皇太子裕仁親王は、ただちに践祚し皇位を継承、昭和が始まった。昭和天皇ほど激動の歴史を生きた方はいない。「現人神」として祀られたが、実際は軍部に力を握られた。戦争への否定の思いも強く、張作霖事件では田中儀一首相を厳しく叱責し、226事件では青年将校を批判した。

 しかし、軍部の暴走を止めることはできなかった。そして、太平洋戦争が始まり、敗色が濃厚となり、自ら玉音放送で敗戦を受け入れた。戦後は人間宣言をし、昭和64年(1989)に崩御。
が激動の近現代史を生きた稀有の存在だったのだ。


<感想>
 後醍醐天皇以来の明治天皇による中央集権化が進展し、昭和天皇の太平洋戦争後に天皇中心の時代が終焉。象徴天皇の世の中の方がベターなように思われる。

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きっかけはあのロケ地巡り?


【 少年たちは花火を横から見たかった 】(岩井俊二著、角川文庫)


 以下は、掲題書(「短い小説のための長いあとがき」)からの一部抜粋。


『 あれからはや24年である。

 プロデューサーの川村元気氏から連絡が来て、この作品をアニメにしたいのですがと申し込まれたのが2年前。「まあ、どうぞ」という気持ちで快諾した。ファンの方々には異論もあるかも知れないが、僕の中では自分の作品を苗床に何らかの新しい作品が誕生するのは冥利である。それはこの作品が愛された証明でもあるのだろうから。

 脚本は大根仁氏にお願いできないだろうかと僕の方から提案した。大根氏は『モテキ』の第二話で、『打ち上げ花火・・・・』のファンなる女性に連れられて主人公がロケ地巡りをするという話を作っていた。

 アングルやカットまで精緻に再現され、凝りに凝った作りだった。作者には無断許可である。しかもオンエア直前に僕のドラマを勝手にYouTubeにアップして視聴者に予習するようにとTwitterで呼びかけていた。作者に無断でこんなことして、見つかったらおこられるなあと呟いていた。そこで僕は彼にツイートしたのである。「俺は怒らないよ」と。すると彼が驚きながら、「怒るよ!」と返した。もちろんこれは典道となずなの「俺は裏切らないよ」「裏切るよ!」を踏襲した掛け合いだったのだが、これが大根氏との出会いだった。


 打ち合わせがようやく決着した頃、川村元気氏からノベライズを書いてくれないかと頼まれた。24年前に書いた作品の小説版を書く。こんな体験はかつてない。聞けば大根さんもアニメ版脚本をベースにノベライズを書くという。ある意味競作である。それも初体験だった。そして僕は何につけ初体験に目がない。是非にとお引き受けしたわけだが、これが奇しくも生れ損なった子供たちに光を当てる機会になったのである。


 24年という歳月をまるで感じなかった。この物語の世界が生き生きと自分の中にあった。それは子供時代に遊んだ懐かしい川が、今も変わらず豊かに流れるさまを見るかのようであった。

 物語の発想を得た大学時代の春から数えると、32年の歳月である。


 多くの皆様に、感謝。

 2017年4月 』


<感想>
 24年前の岩井俊二監督のテレビドラマが、時を経て、ロケ地巡りをするモテキ(テレビ第2話)の大根仁監督の脚本により新たなアニメに甦ると同時に、新たにこの小説も生まれた。プロデューサーは「君の名は。」の川村元気氏。作品のみならず、その制作過程に興味惹かれる内容だった。

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八十にしてどうなる?


【 八十、九十にして? 】

 2017/7/22の「サワコの朝※」のゲスト、おんとし61歳になった浅田美代子が選んだ2曲目は、歳を重ねていく自分と重なる曲という、竹内まりやの「人生の扉」だった。
 ※
http://www.mbs.jp/sawako/sp/backno.shtml


 「人生の扉」(作詞作曲:竹内まりや)と「論語」(孔子)(括弧書き)を比較してみる。

 I say it's fun to be 20
 (吾十有五にして学に志す)

 You say it's great to be 30
 (三十にして立つ)

 And they say it's lovely to be 40
 (四十にして惑はず)

 But I feel it's nice to be 50
 (五十にして天命を知る)

 I say it's fine to be 60
 (六十にして耳順ふ)

 You say it's alright to be 70
 (七十にして心の欲する所に従ひて矩(のり)を踰えず(こえず))

 And they say still good to be 80
 But I'll maybe live over 90


<感想>
 「気がつけば五十路を 越えた私がいる  満開の桜や 色づく山の紅葉を この先いったい何度 見ることになるだろう」の歌詞。国立の大学通りの桜もこの先何度見られるだろうか。(七十にして矩を踰えなくなった孔子は、八十、九十にしてどうなるのだろう。)

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財団への資産承継?


【 財団への資産承継 】

 以下は、2017/8/23付の日経新聞朝刊記事。

『 ショーボンド、財団が2位株主 保有比率、10.05%

 ショーボンドホールディングスは22日、同社の創業者である故上田昭氏が設立した財団が第2位株主になったと発表した。0.48%だった財団の議決権ベースの保有比率が10.05%に高まった。

 3月に死去した上田氏の保有株式を財団に譲渡したことで比率が上昇した。財団はこれまで学生の奨学金の給付などの慈善活動を続けており、今後は株式配当で学術研究の助成などにも取り組むという。』

 以下は、2017/3/8提出の上田記念財団の大量保有報告書*からの一部抜粋。


 *http://www.kabupro.jp/edp/20170308/S1009ULD.pdf

第2【提出者に関する事項】

1【提出者(大量保有者)/1)】

(5)【当該株券等に関する最近60日間の取得又は処分の状況】

年月日  種類    数量    割合  市場内外 取得/処分 単価
H29/3/1 普通株式 2,574,800 8.85% 市場外  取得    遺贈

(6)【当該株券等に関する担保契約等重要な契約】
 株式会社SMBC信託銀行を受託者とする管理有価証券契約に基づき、一般財団法人上田記念財団が新受益者として、法27条の23第3項2号に該当する株券を取得。(信託契約開始日:平成29年2月22日、契約株式数2,574,800株)


<感想>
 信託を活用したオーナー保有株式の財団への資産承継スキーム(当初受益者:オーナー、新受益者:財団)。特に、事業を承継する相続人がいない場合には、このような財団への資産(上場株式)承継策が今後も増えていくように思われる。

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中国の機関紙が北朝鮮のミサイルを止めた?


【 北朝鮮が軟化した背景 】


 2017/8/21の「ザ・ボイスそこまで言うか!(http://www.1242.com/program/voice/)の「番組インフォメーション」
は以下の通り。


8月21日(月) 長谷川幸洋(ジャーナリスト)×石平(評論家) 

 北朝鮮情勢で、アメリカから再三の圧力を受けながら、のらりくらりとかわす中国!その本当の狙いはどこにあるのか?』


 2人の対話が大変面白かった。長谷川さんの記事(
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52624)は、同様の内容で、以下はその概要等の一部抜粋。


『 ミサイルを止めた「共産党機関紙の社説」

8月8日:トランプ大統領「米国をこれ以上脅せば、世界が見たこともないような炎と怒りに直面するだろう」

 10日:北朝鮮「米領グアム近海に中長距離弾道ミサイル4発を発射する計画を発表」

 10日:環球時報(中国共産党機関紙、人民日報の国際版)社説※「もしも北朝鮮が米国本土を脅かすミサイルを先に発射して米国が報復した場合、中国は中立を保つだろう。もしも米国と韓国が攻撃して、北朝鮮の体制を転覆し、朝鮮半島の政治的版図を変えるようなら、中国はそうした行動を阻止することも明確にすべきである」

 14日:金正恩氏「米国の行動をしばらく見守る」

 14日:マティス国防長官とティラーソン国務長官がウォール・ストリート・ジャーナル紙に連名で寄稿「米国は体制転換や朝鮮半島統一の加速には関心がない。…米国は北朝鮮と交渉することをいとわない」

 21日:米韓合同軍事演習開始

 この社説(※)は米朝の挑発合戦が最高潮に達した時点で書かれた。日本のマスコミはなぜか産経新聞を除いて大きく報じなかったが、このあたりに日本マスコミのピンぼけぶりが表れている。

 今回、中国は「北朝鮮の攻撃に対する報復なら介入しない」という保証を米国に与えた。米国は「体制転覆も半島の政治的版図変更も目指さない」と中国に約束した。つまり米中の基本姿勢が明らかになった。両国は公開の場で了解し合ったのである。

 となると、残るはロシアだけだ。プーチン大統領はどうするのか。大統領も習近平国家主席と足並みをそろえて米国の報復攻撃を容認するなら、米国は安心して報復できる。あとは金正恩氏に先に手を出させればいいだけだ。先に手を出させるのは戦いの鉄則である。

 本当の危機は実は、ここから始まる。』


<感想>
 長谷川さんの、新聞紙上での往復書簡を通じて、米中の政治的スタンス--北朝鮮が暴発して、米国が報復しても、朝鮮半島の統一など(the political pattern of the Korean Peninsula)なければ、中国は介入しない--が確認できたとする見方、説得力があるように思う。北朝鮮が暴発しないことを祈りたい。

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象徴天皇とは真逆の時代?


「日本人なら知っておきたい 皇室のしくみ」 (著/五味洋治ほか、宝島社)


 以下は掲題書(第七章「時代をつくった天皇」)からの一部抜粋。


天智天皇 乙巳の変、大化の改新


  天皇による中央集権を推し進めた賢帝

 天智天皇は乙巳の変、大化の改新を推し進めた第三八代の天皇である。

 当時、天皇の外戚となり、さらに物部氏を滅ぼすことによって、最大の豪族として力を誇っていたのが、蘇我氏宗家である。その蘇我氏宗家の血を引きつつも、その力を抑えていたのが厩戸皇子(聖徳太子)であったが、彼がなくなると、誰も蘇我氏宗家を抑えるものがいなくなった。

 天智天皇は、この蘇我氏宗家を倒すことで天皇の権力基盤を強固にし、厩戸皇子がはかった天皇による中央集権を推し進めた。

 天智天皇が、まだ中大兄皇子であったとき、中臣鎌足とともに起こしたクーデターが「乙巳の変」だ。皇極四年(645)、三韓(新羅、百済、高句麗)からの貢物を携えた使者を迎える「三韓進調」の儀式の際に、クーデターは実行された。ここで蘇我入鹿を暗殺し、さらに、その親である蘇我蝦夷を自殺に追い込んで、蘇我氏を滅ぼしたのだ。

 その後、中大兄皇子は、実母の皇極天皇を退位させ、その弟で叔父の孝徳天皇を即位させた。そして自らが皇太子になる、ともに乙巳の変を実施した中臣鎌足は天皇の側近として内臣にもちいている。


  中央集権国家をめざす大化の改新

 このように人事を一新した中大兄皇子は、大化の改新を実行する。それまで、有力豪族の連合体で、その名手的存在であった天皇の権力を強化して、天皇による中央集権国家を目指したものだ。

 土地・人民を天皇に帰属するとした「公地公民制」、天皇の土地を人民に貸与する「班田収授法」の詔、そして国家財政の安定のために全国的な税制を目指された。この後の中大兄皇子は白雉五年(654)孝徳天皇が崩御すると、齊明天皇として皇極天皇を再即位させる。

 斉明七年(661)には唐・新羅軍と戦う百済支援のため、齊明天皇とともに大軍を派遣するが、その斎明天皇が急死。中大兄皇子は「称制」(即位せずに天皇に代わって政治を執ること)となり戦争を続けるが(「白村江の戦い」)で破れ、唐に備えて都を飛鳥から近江に遷すことになる。
 
 都を遷した翌天智七年(668)に中大兄皇子は天智天皇として即位。しかし、五年後に崩御している。皇太子時代が二十数年あったことを考えると、即位後の治世は短かった。』


<感想>
 大化の改新を通した天智天皇を改めて考えてみると、戦後の天皇の位置付けとは全く異なることが分かる。今後、天皇を頂点とする政治体制が復活する可能性は極めて小さいだろうが、国家的危機に陥った際にお頼みする機会はないとも限らない。天皇制が途絶えない枠組みは確り考えておかねばなるまい。

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「post-truth」による世論形成は恐ろしい?


【 国民のしつけ方 】 (斎藤貴男著、集英社インターナショナル)


 以下は掲題者(「あとがきに代えて──生存のためのメディアリテラシー」)からの一部抜粋。


『 メディアリテラシーがなければ生き残れない

 英語辞典の最高峰と言われる『オックスフォード英語辞典』は2016年11月、恒例のWorld of the Year(今年の単語)に、「post-truth」(ポスト事実)を選んだ。

 英国のEU離脱や米国大統領選を語る際に多用された形容で、『世論形成において、客観的事実が感情に訴えるもの以上の影響力を持たない状況』を指している。「反~」を表す一般的な接頭辞「anti-」ではなく、「post-(~以後)」が用いられているのは、この奔流がこれからも長く続くというニュアンスだ。「post-truth」が英語圏に初めて登場したのは1992年とされるが、情報源としてのソーシャルメディアの台頭と、既存メディアの「事実」にこだわる報道への不信感の増大で、使用頻度が一気に高まった。
  
 嘘が罷(まか)り通る社会は恐ろしい。すでに日本でも英語圏同様、post-truthな政治および社会が到来してしまっている状況に、多くの人々は気づいているはずだ。情報を伝えるプロとしてのジャーナリストが改善に向けた努力を重ねるのが当然だが、今後は読者・視聴者の側もよほど情報の真贋を見抜く能力、いわゆるメディアリテラシーを磨かないと、生きていけない時代になりかねない。
 メディアリテラシーを丁寧に定義した文章を示しておく。


 コミュニケーションは人間にとって不可欠な営みであり、日常的な実践である。そのコミュニケーションを媒(なかだち)するのがメディアである。媒はコミュニケーションを成立もさせるし、断絶もする。私たちはともすればコミュニケーションを当たり前のできごととみなし、それを媒介するメディアの存在に注意を払うことはない。
 メディアリテラシーとは、そのようなメディアを意識的に捉え、批判的に吟味し、自律的に展開する営み、およびそれを支える術や素養のことである。端的にはメディアの読み書き能力とも説明されるが、能力・学力を個別の人間に実態的に備わった素質と捉えるのではなく、共同体における学習コミュニケーションによって個人の中に構築される思考と行動の様態だとする批判的検討が、学習理論などにおいて展開されてきており、ここでもリテラシーを能力ではなく営みとして位置付けておく。(武田徹ほか『現代ジャーナリズム辞典』三省堂)』


<感想>
 「post-truth」≒「感情に訴えるもの」(>「客観的事実」)による世論形成による、本来選ばれるべきではない候補者が選ばれることほど、恐ろしいものはない。メディアに翻弄されることのないよう、メディアを意識的に捉えて「メディアリテラシー」を高めた思考と行動を身に着けてゆきたい。

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新海誠監督に浮かんだ「Rain」?


【 新海誠監督『言の葉の庭』と大江千里「Rain」 】


 以下は、添付HPからの一部抜粋。
 
http://www.animatetimes.com/news/details.php?id=1369999495


『──主題歌に大江千里さんの「Rain」が使われているのは、監督の選曲ですか?

新海:もともと、僕が好きな曲なんです。最初に聴いたのは大学生の時で、同じ学部の女の子に大江千里さんが大好きな子がいいて、その子と一緒にライブに行ったり、カセットテープをいっぱい渡されて聞いたりしたんですけど、「Rain」も好きな曲の中のひとつでした。今回、雨の物語を描いて行く中で「どんな物語がいいかな」と考えた時に最初に浮かんだのが「Rain」だったんです。それを、実際にビデオコンテの段階で勝手にあてはめているうちに「この映画には、この曲以外にないんじゃないか」という気持ちになって来ました。


──歌詞が作品にぴったりですよね。

新海:ぴったりだと思います。特に最初の歌い出しの“言葉にできず”ってところが、すごく良くて。二人の気持ちは、最終的に言葉からはみ出た部分へ行くと思うんですよね。過剰にメロディアス過ぎない所と、雨が降り注ぐような淡々としたメロディがすごくぴったりだと思いました。とはいえ、80年代に発表された大江千里さんの原曲をそのまま使っても、サウンド感が80年代のものなので2013年の映画にはマッチしないんですよね。』


<感想>
 最近まで、『言の葉の庭』の「Rain」も『君の名は。』の(RADWIMPSの)「前前前世」同様、作品と歌が同時進行で作られたものと思っていた。それほど歌がぴったりだったからだ。ほぼ30年前(1988年)の大江千里の「Rain」を聞いてみたくなった。

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事業を承継しない長男が創業者株式を相続?


【 船井電機、創業者の株式を長男が相続 】


 2017/8/17の日経新聞に、掲題記事が掲載されていた。

 以下は、変更報告書(大量保有)からの一部抜粋(一部追記)。
 

【変更報告書提出事由】(出所:http://www.kabupro.jp/edp/20170817/S100B6UN.pdf
 実父である船井哲良が平成29年7月4日に逝去し、平成29年8月8日に相続の手続きが完了した為、保有株式数が1%以上増加するので変更報告を提出致します。 

第2【提出者に関する事項】
(1)【提出者の概要】
 【提出者(大量保有者)】
  個人・法人の別 個人 
  氏名又は名称 船井哲雄  
  住所又は本店所在地 北海道旭川市 
 【個人の場合】
  職業 医師 
  勤務先名称 旭川十条病院 
  勤務先住所 北海道旭川市9条通21丁目2番8号

(2)【保有目的】
 船井電機の創業者の実子(長男)であり、安定株主として長期保有を目的としております。

(5)【当該株券等の発行者の発行する株券等に関する最近60日間の取得又は処分の状況】
 年月日  数量     割合    市場内  取得/処分 単価 
 H29/8/8 12,359,288  34.21(%) 市場外  取得    相続

(7)【保有株券等の取得資金】
 【取得資金の内訳】
  自己資金額(千円) 15,857,737(相続による取得のため、相続前(保有株数1,079,492株)時点から変化なし。相続後の単価:1,180円/株)


[ 追記 ]
 その他、本人の既保有分が発行済株式数の2.99%、共同保有者として資産管理会社2社(有限会社エフツー、有限会社T&N)で各1.30%×2保有
 ⇒ 発行済株式数の39.80%保有

(ご参考)No.4632 上場株式の評価(出所:https://www.nta.go.jp/taxanswer/hyoka/4632.htm
 上場株式は、その株式が上場されている金融商品取引所が公表する課税時期(相続の場合は被相続人の死亡の日、贈与の場合は贈与により財産を取得した日)の最終価格によって評価します。
 ただし、課税時期の最終価格が、次の三つの価額のうち最も低い価額を超える場合は、その最も低い価額により評価します。
1 課税時期の月の毎日の最終価格の平均額
2 課税時期の月の前月の毎日の最終価格の平均額
3 課税時期の月の前々月の毎日の最終価格の平均額


<感想>
 本件は、発行済株式総数の1/3超を保有する船井電機創業者(取締役相談)が逝去し、事業を承継しない医者の長男が全株を相続したケース。創業者亡き後、今後も経営を安定的に運営できることになるのか。当面は株式を継続保有することになろうが、株主総会特別決議で拒否権を持つ株式の将来の行方が大いに気になる。

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GDP成長率はデフレと外需関連企業のお陰?


【 4-6月GDP年率4%増、11年ぶり6期連続-市場予想上回る 】


 以下は、藤井聡内閣官房参与の記事(https://38news.jp/economy/10944)からの一部(概要の)抜粋。


1.「4-6月GDP年率4%増、11年ぶり6期連続-市場予想上回る」の数値について

 政府の目標:実質成長3%と名目成長4%(つまり、デフレータ1%増)対比

 ・実質成長率:前期比年率3.9%(○)、前年比2.1%(△)
 ・名目成長率:前期比年率4.6%(○)、前年比1.7%(△)
 ・デフレータ変化率:前期比0.2%(×)、前年比-0.4%(×)

 ⇒「景気は良好!」とは決して言えない


2.「6期連続成長」をもたらしたのは「デフレ=物価下落」である

「実質成長率」:「デフレが加速してデフレータ(物価)が下落」すれば、上昇するもの(
https://38news.jp/economy/10862
 ⇒「実質成長率は、デフレの深刻さの尺度」にすらなり得る
 ⇒ 日本経済は、本格的な好景気状況からはほど遠い状況にある


3.今の「よい数字」を導いた原因は「外需」である

「公共投資は5.1%増-補正予算の効果でプラスに寄与」というもの
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-08-13/OUAL466S972801
 ⇒ 昨年夏に調整した、アベノミクスにおける「大型景気対策」の効果がようやく効き始めた、と言うのが、「今期」における一部良好な数字の原因
 ⇒ 景気回復基調を確実なものにするためにはやはり、政府の経済対策の当面の継続が必要である


4.民間企業の消費と投資の拡大

 民間企業が、儲けたオカネを貯金する(=内部留保する)のでなく、消費や投資に使うようになってきた
 ⇒「今期の消費と投資の拡大」を意味する統計値の理由:「海外の貯蓄率が下がってきた」こと≒(相対的に)「輸出が増えてきた」ということ(ここ最近景気の良い企業の多くが、「輸出企業」だった。
http://datazoo.jp/w/%E8%BC%B8%E5%87%BA/32830318


5.まとめ

(1)ここ2,3年間、外需が伸びてきた事を受けて、外需関連企業の収益が改善した

(2)その影響を受け、ここにきてようやく、民間企業がトータルとして「内部留保」を縮小させ、消費と投資を拡大しはじめる程に景気が改善してきた

(3)これを受けて、ようやく(物価の力強い上昇は達成されていないものの)「名目GDP」も上向き始めた
 ⇒ 今の「よい数字」を導いた基本的な原因は「外需」だった
 ⇒ それがここにきてようやく、民間企業の力強い成長に結びついてきた


6.結論

 円高や外需低迷が生ずる前に、大型経済対策で完全デフレ脱却をすべし

(1)(金融緩和→円安→外需拡大をもたらした)アベノミクスは着実に、一定成功していることが見て取れる。それと同時に、未だ、我が国経済の「成長の兆し」はとても確実で安定的なものだとは言えない(我が国の現時点の成長の兆しは、「外需頼み」のものに過ぎず、したがって、極めて不安定なものと言わざるを得ない)

(2)今後、例えば朝鮮半島の緊張の高まりを受けて世界経済の成長が鈍化して外需が冷え込んだり、あるいは、円高で輸出企業が厳しくなったり、あるいは、石油価格が高騰したりすれば───この好景気への僅かな兆しも、瞬く間に失われ、完全デフレ状態に舞い戻ってしまう

 ⇒ そうなる前に───一刻も早く、デフレを終わらせ、「外需頼み」で回復し始めた日本経済を、力強い確実な成長軌道に乗せるべく、徹底的な景気対策を図る必要がある


<感想>
 第3次改造内閣発足に当たり、安倍首相は「最優先は経済再生だ。経済を好循環させ、デフレ脱却をなし遂げる。アベノミクスをさらに加速させる」と強調した。藤井参与の言うように、大型経済対策による完全なるデフレからの脱却が今こそ必要なのだろう。安倍内閣の政策運営に大いに期待している。

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既得権益を破る方についた者勝ち?


「日本人なら知っておきたい 皇室のしくみ」(著/五味洋治ほか、宝島社)


 以下は、掲題書(第七章「時代をつくった天皇」)からの一部抜粋。


  
後醍醐天皇 建武の新政
  足利尊氏の武士政権と対立して南朝を打ち立てる



 武家政権を倒すために、一生をかけた天皇が後醍醐天皇である。

 鎌倉時代半ば、持明院統と大覚寺統が皇位の継承をめぐって争っていた。その対立を解決するため、鎌倉幕府が、皇位は両党が交代で継承すると決めた。

 これに対し、後醍醐天皇は幕府による朝廷への介入と危機感を持つ。朝廷が引き起こした問題とはいえ、古代より天皇は朝廷が決めてきた。

 幕府の弱体化もあり、後醍醐天皇は幕府討伐をはかるようになる。しかし、討伐の計画は二度失敗する。「正中の変」と「元弘の乱」である。「正中の変」はなんとか幕府の追及を逃れたが、「元弘の乱」では、笠置山で挙兵するが、幕府軍に捕らえられ、隠岐島に流されてしまう。そして、その間に幕府側は光厳天皇を擁立。これが北朝の始まりである。


  ついに鎌倉幕府の打倒に成功する

 だが、それでめげる後醍醐天皇ではない。天皇が不在の間は、天皇の第一皇子である護良親王が討幕の工作を担った。吉野で幕府打倒の兵を挙げ、諸国に令旨を送った。

 これに呼応したのが楠木正成、赤松円心などの地方の武士たちである。そして、後醍醐天皇が隠岐島から脱出すると、幕府側だった足利尊氏が天皇側へ寝返った。

 尊氏は京都の幕府の出先機関である六波羅探題を改め、新田義貞が鎌倉を攻めて、ついに鎌倉幕府は崩壊する。ここに、天皇が自ら政治を担う「建武の新政」が始まる。

 しかし、時代は武力を背景に武士が権力を持つ時代になっていた。

 武家を抑えるために征夷大将軍になっていた護良親王と足利尊氏が対立。親王が尊氏に幽閉され殺されてしまう。そして、尊氏は朝廷打倒の兵を挙げたのだ。

 最初は尊氏側が守勢であった。朝廷側の楠木正成などの奮戦もあり、尊氏は一時九州に逃れるが、再起。登場して楠木正成を湊川の戦いで破ると、京都を制圧。後醍醐天皇にかわって光明天皇を擁立した。

 これに対し、後醍醐天皇は吉野に逃れ、南朝を樹立。ここに南北朝の時代が到来するが、これ以降、天皇の力は急速に弱まっていく。

 そして、時代は武士のものになり、明治維新まで天皇が政治の表舞台に立つことはほとんどなくなる。後醍醐天皇も南朝を樹立した三年後に崩御した。


<感想>
 いつの時代においても既得権益を侵す側と守る側との戦いはあり得る。その際、どちらに付くのが得だったかは、その後の歴史が明らかにしてくれる。

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10~15兆円の財政政策で物価が1%アップ?


【 内閣府データが示す、10~15兆円規模の大型補正予算の必要性 】

 以下は、藤井聡内閣官房参与のHP*からの一部(内容の)抜粋。
 *
http://www.mag2.com/p/money/279225/3

1.半年後のCPI変化率 = 0.28 × GDPギャップ + 0.117 - 0.02 × seq
 ⇒CPIを年率1%上げるためには、GDPギャップを年率で3~4%程度大きくすること(=需要を15~20兆円(年)程度拡大)が必要

2.乗数効果:政府支出を1兆円増やせば、GDPは1.5~2兆円程度増える
 ⇒10~15兆円規模の政府支出(大型の補正予算)を組むことで物価が1%上がる
 ⇒2%の物価上昇のためには、この規模の大型景気対策を少なくとも2~3年継続することが必要


<感想>
 金融政策のみでは物価が上昇し難いことはここ数年で確認済み。藤井内閣官房参与の言うように、10~15兆円規模の政府支出(大型景気対策)を実施してみて、物価が2%上昇するかどうか試してみる価値は十分あるように思う。

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甲子園の次なる夢?


【 夢の続き 】

 2017/8/13、友人の初めての甲子園は終わった。選手の笑顔が絶えないチームだった。
http://www.asahi.com/sp/koshien/articles/photo/AS20170813001270.html?ref=yahoo

 54歳からの新天地での挑戦に、同級生は驚き、感動した。来年の新たな夢へ。心から応援している。

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これからの本当の自由?


「自由のこれから」 (平野啓一郎著、ベスト新書)


 以下は、掲題書(「はじめに」)からの一部抜粋。

『 「自由」について考えることか多くなった。
 一つの理由は、今世紀に入ってから、しきりに耳にするようになった、あの「新自由主義」と呼ばれる経済思想のせいだろう。
 昨今では、ほとんど市場原理主義と同義的に用いられているこの言葉の意味するところは、いわば競争の自由であり、個々人の貧富の差は、すべてその結果だと見なされている。
 富める者は努力を惜しまず、貧しい者は怠けているといった自己責任論を公然と口にする政治家さえいるが、もちろん、そんな世界観には到底同意できないという人も少なくない。私もそうである。
 そもそも私たちは自由なのか? 何に対して? あるいは、何から?

 奴隷的拘束を受けていれば、明らかに自由ではないだろう。では、たとえば、日々の買い物はどうか? 私たちは、本当に自由に「自分が欲しいもの」を買っているだろうか?
 アマゾンを利用して、ネット上で買い物をするときには、「レコメンド機能」がついている。

 このとき、私たちは、「自分が欲しいもの」を自由に選択して買っていると言えるだろうか?


 他方で、社会は人間の自由を「リスク」として管理する方向に向かいつつある。

 昨今では、この新しい医学の発想に完全に無自覚に同化して、病気になるのは、健康管理不行き届きの自己責任であり、医療保険の対象とすべきではないなどという呆れた暴論まで目にするようになった。

 リスク要因として疑われないためには、私たちは絶えず、不安に怯えながら、自身の言動を検閲し続けなければならない。違法行為をしない、という心がけではなく、違法行為をしそうな人間に見られないようにする、という心がけである。しかし、その自由の抑圧の代償として、本当に犯罪のリスクの管理は可能なのだろうか?
 リスク管理とは、「まだ何も起きていない」状態の中に、「何か起きそうな予兆」を見出して、予防することである。しかし、病気や犯罪然り、地震のような自然災害然り、その予測システムと対処方法は、どの程度信頼できるものだろうか?

 分人主義とは、人間を「個人」という「分けられない」一つの単位としてではなく、複数の人格──分人──の集合体として捉える考え方だ。
 当然のことだが、私たちは、接する相手によって言動や行動、態度、感情の動きや思考が異なっている。複数の顔を持っている。複数の「分人」を生きているからこそ。精神のバランスが保たれている。もちろん、そのどれもが「本当の自分」だ。
 分人主義の視点からは、人間の自由とは、自分の分人の厚生とその比率をコントロールし得ることだと、ひとまず言えるだろう。
 私たちにとって理想的なのは、自分にとって心地よい分人だけを、心地よい比率で生きることであり、不快な分人を生きることを押し付けられないことだ。
 私たちはたった一つのコミュニティに拘束されることに不自由を感じる。複数のコミュニティに多重参加しながら、自分の好きな、さまざまな分人を生きるところにこそ自由がある。
 そこから、今し方語ってきたような現代における自由の状況は、どのように関連づけられるだろうか?

 自由のこれからは、一体どうなってゆくのか? 本書がその困難な思考の一助となるのであれば幸いである。』


 以下は、第5章「分人の自由」からの一部抜粋(最後の部分)。

『 「はじめに」で、私はいま、「新しい運命劇の時代」が来ているのではないかと述べた。

 だが、分人という発想を導入すれば、自由もまた複数化・多様化される。

 ある分人にとっては、何らかの自由が損なわれるにしても、別の分人にとって異なる自由が手に入ることもある。運命的に見える分人もあれば、かなり自由意志が発揮されているように見える分人もあるだろう。繰り返しになるが、そのためには、基盤となる基本的人権が尊重されているという前提が重要である。

 過去に対して運命論はある種の慰めになるが、未来の運命論には閉塞感を感じる。その狭間で、私たちは最大限、自由に現在を生きようとしている。

 膨大な選択の可能性に対して、私たちは複数的な人生を同時に生きることで、リスクに過剰に自己抑制的になることもなく、一つの分人の失敗を他の分人の持続で支えながら、日々を過ごしてゆくことができる。

 私たちは、死の瞬間まで自由に分人の種類と数、構成比率を変化させ続けることになろう。それが、私たちとこの世界との関係の有り様であり、何歳で死を迎えようと、それは変化し続ける個性の過渡的な姿しかないのである。』


<感想>
 京大在籍中の芥川受賞(「日蝕」)から早18年。人工知能、自動運転、ドローン、ビッグデータとレコメンド機能──技術の変化によって、私たちの生活からは「自分で選択する機会」が失われつつある今日、人間の自由意志はどこに向かうのか?予測不可能な未来と、その過渡期を乗り越えるための、新しい自由論の答えを「分人」に見出す著者、発想の着眼点が素晴らしい。

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寝技中心の七帝柔道?


「七帝柔道記」(増田俊也著、角川書店)より


 以下は掲題書(第15章「おまえは退くのか、それとも進むのか」)からの一部抜

『 学問だってスポーツだって同じだ。他のあらゆることだって同じだ。たまたま与えられた環境や、天から貰った才能なんて誇るものでもなんでもない。大切なのは、いま目の前にあることに真摯に向き合うことなのだ。自分がいま持っているもので真摯に向き合うことなのだ。それを、私はこの一年間の北大柔道部の苦しい練習と、今回の入院生活を突き合わせるなかで反芻していた。

 一年前、去年のやきそば研究会の夜、和泉さんが言っていた言葉──これから練習積んでいくうちにいろいろわかってくじゃろうて。練習そのものがあんたに教えてくれるじゃろうて。この北大柔道部っちゅう畳の上には生きることの意味すべてが詰まっちょる。それを一つひとつ見つめて、深く深く考えていくことじゃ。それがあんたのこれからの宿題じゃ──この言葉と一緒に反芻していいた。』

<感想>
 今日の立ち技中心ではなく、寝技中心で、1本取るまで続ける15人制の旧帝大七校による七帝柔道(大会)。1989年に北大柔道部の副主将を務めた著者による作品(主将は準主役の滝澤宏昌)。(出所:
http://blog.livedoor.jp/masuda_toshinari-about/archives/38792656.html
 2010年の以降の七帝(男子)の北大の結果は、10年優勝、11年・15年準優勝、13~14年・17年3位と上位を占めており、弱小だった当時からの歴史の積み重ねが今日の成果に繋がったように思われる。(出所:
http://www2.jimu.nagoya-u.ac.jp/judobu/2017nanadaisen/past_result.htmlhttp://www2.jimu.nagoya-u.ac.jp/judobu/2017nanadaisen/

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日米軍事協力による北朝鮮対策?


「在日米軍 変貌する日米安保体制」 (梅林宏道著、岩波新書)


 以下は掲題書(第5章「在日米軍の将来を考える」)からの一部抜粋。(その3)


『 海外プレゼンスと日米軍事協力

 トランプ大統領は2017年1月27日にマティス国防長官に対して新「国防戦略」の作成を命じる「大統領覚書」を発した。そのなかで明かにした方針は、「力による平和を目指す」「米軍を建て直す」「最大限の戦略的柔軟性を確保する戦力攻勢を目指す」ということだけである。具体的なことは未知数であるが、大胆な軍拡を目指していることは明らかである。


  新安保法制下で拡大する日米軍事協力

 安倍政権による安保法制が実施段階に入って、日米の軍事協力は新しい拡大の時期を迎えている。将来この傾向は強まるであろう。2017年2月に訪日したトランプ政権のマティス国防長官は「2015年の日米ガイドラインと安全保障関連法は、我々がより多くのことを一緒にできる基礎となるものだ。平時から有事における自衛隊の能力も強化されるだろう」と述べた。まさに的確に言い当てている。

 すでに新しいことが始まっている。自衛隊が米海兵隊とともに米国で行ってきた上陸訓練「暁の猛攻(ドーン・ブリッツ)」では、2015年になって戦闘部隊が上陸前進したすぐ後方で自衛隊が後方支援活動を行う訓練が行われており、「重要影響事態」や「国際平和共同対処事態」を先取りした訓練だと受け取られている。

 タイにおいて毎年行われてきた多国間訓練「コブラゴールド」においては、2017年になって初めて日本人とともに米国人を国外に脱出させる訓練が加わった。また、2017年の朝鮮半島危機においては、周辺に展開する米艦に補給を行う米補給艦を日本の自衛艦「いずも」が護衛するという、史上初めての任務が実行された。』


<感想>
 2017/8/10、『北朝鮮「ミサイル4発、日本上空を通過」グアム周辺へ発射計画』なる記事が飛び込んできた。
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM10H0N_Q7A810C1000000/?dg=1
 このまま、北朝鮮にやられる訳には行かない。今こそ、日米軍事協力による北朝鮮対策を確りと練っておきたい。

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編集者の仕事?


【 編集者の仕事 】


 以下は、添付インタビュー記事からの一部抜粋。https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170806-00003623-bunshun-soci

『 「手持ちの札を使うしかないんです」

 正午さんは会社勤めをした経験がないんですね。『月の満ち欠け』全体の物語がある意味で荒唐無稽なものだとすると、それを支える細部はリアルなものじゃないと。細部に嘘があれば、全体が嘘になってしまう。「できるだけ細かいところに嘘がないように、注意しましょう」と正午さんとお話をして。そうすると手持ちの札を使うしかないんです。


 週刊誌の“書き手”と“データマン”のような関係

 正午さんが「東京駅の近くで人目につかないような喫茶店とかない?」って。あるわけないじゃないですか(笑)。それで東京駅や、その周辺のホテルや店を僕がロケハンして、11時に開店しているお店を探し回りました。「はやぶさ」の到着時刻の都合上、より雰囲気がぴったりのお店でも11時30分開店ではダメだったんです。新幹線の到着ホームは20番線としていたところ、直前のダイヤ改正で21番線に変わっていて、あわてて修正したりもしました。

 たとえば小山内の住んでいるところは、東京から日帰りで行き来できる場所なら新潟でも名古屋でもいいんです。でも、僕も正午さんも土地勘がない。「じゃあ八戸にしましょう」と。もう一人の主人公・三角哲彦のアルバイト先は、僕が学生時代に働いていたようなレンタルビデオ店の設定です。他の登場人物の背景も、僕の友人たちの仕事をいくつか挙げて、「この業界だったらきちんと詳しく話を聞くことができます」と一緒に検討して。

 そういう意味では、データマンとして集めて提供して、それをもとに正午さんが骨格を組み立てて、物語の中にうまくおさめていただいたという感じですね。

 高田馬場にあったレンタルビデオ店です。場所は、現在のTSUTAYA高田馬場店のすぐそば。早稲田通りから細い路地を入ったビルの地下で営業していた「アドベンチャー」というお店でした。』


<感想>
 細部のリアルさへのこだわり。職場の様子、東京駅からレンタルビデオ店まで、編集者がいろんなリアルを提供して作品になる。直木賞受賞、20万部、正に編集者冥利に尽きる。

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大企業2社によるTOB?


【 大企業2社によるTOB 】

 以下は、添付プレスリリース(2017.08.07付「支配株主である東レ株式会社及び三井物産株式会社による当社株式に対する公開買付けに関する意見表明のお知らせ」)からの要約。http://www.soda.co.jp/


【 合意した運営方針 】

(A)当社、東レ、三井物産の一体となった事業運営を通じて経営体制を強化し、経営戦略遂行の迅速化を図る。

(B)当社、東レ、三井物産及び各グループ会社の国内外ネットワークを活用して販売機能を強化し、新規市場開拓を推進する。東レ及び三井物産の積極的な関与により、当社のより効率的な経営、各種コストの適正化を支援する。当社によるM&Aや資本提携を東レ及び三井物産が支援し、事業基盤の強化、グローバル展開の実現可能性を高める。

(C)東レ及び三井物産の教育システムや人材交流を通じ、国際的な営業人材など当社が必要とする人材を強化・育成する。


<感想>
 大企業2社(東レ+物産、三井グループ二木会メンバー)による、珍しいタイプのTOB(議決権比率:66%+34%)での非公開化。リリースにもあるように、両者の強み/シナジーを活かした斯種TOBが成功すれば、今後もこのようなTOB等が増える可能性があるように思われる。

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「核兵器廃絶決議」と「核兵器禁止条約」との違い?


「核兵器廃絶決議」と「核兵器禁止条約」



 以下は国政モニター平成28年11月28日付の「「核兵器禁止条約の交渉開始を求める決議について(回答:外務省)」からの要約。

http://monitor.gov-online.go.jp/html/monitor/h28/qa/ans20161128_01.html

1.日本が国連*に提出した核兵器廃絶決議(*国連総会第一委員会)

1)日本の立場
 唯一の戦争被爆国として、核兵器のない世界の実現のためには、核兵器の非人道性に対する正確な認識と厳しい安全保障環境に対する冷静な認識の下で、核兵器国と非核兵器国との間の協力による現実的かつ実践的な措置を積み重ねていくことが不可欠である
⇒核兵器国と非核兵器国の協力がなければ、核軍縮の具体的な成果には繋がらない


2)2016/12/5の国連決議の内容(出所:http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press4_004008.html
(1)核兵器不拡散条約(NPT)体制の強化
(2)包括的核実験禁止条約(CTBT)の早期発効,核兵器用分裂性物質生産禁止条約(FMCT)の早期の交渉開始の呼びかけ
(3)核戦力の透明性向上
(4)核兵器の非人道性への深い懸念が全ての取組の基本にあること
(5)各国指導者・若者等による被爆者を含むコミュニティ等への訪問等を通じ,被爆の実相に関する認識を向上させるあらゆる取組を奨励すること
(6)北朝鮮による最近の核実験及び弾道ミサイル技術を使用した発射に対する最も強い表現での非難
(7)北朝鮮に対し更なる核実験の実施を自制し,直ちに全ての核活動を完全な,検証可能な,かつ,不可逆的な方法で放棄するよう強く要求すること,等


3)採択結果(出所:同上)
賛成:167
反対:4(中国,北朝鮮,ロシア,シリア)
棄権:16(キューバ,エクアドル,エジプト,フランス,インド,イラン,イスラエル,キルギスタン,モーリシャス,ミャンマー,ナミビア,パキスタン,韓国,南スーダン,英国,ジンバブエ)

2.核兵器禁止条約に反対する理由

1)上記1の我が国の基本的立場に合致しない
2)北朝鮮の核・弾道ミサイル開発が我が国の安全に対する重大かつ差し迫った脅威となっている中で、厳しい安全保障環境に関する冷静な認識を欠いている
3)核兵器国と非核兵器国との間の対立を一層助長し亀裂を深めるものである


<感想>
 何とも分かりにくい両者であるが、「核兵器廃絶決議」について何故マスコミの報道がないのか、「核兵器禁止条約」に関するネガティブな報道ばかりなのか、は問題のような気がする。

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 以下は、平成28年11月28日付の国政モニター「核兵器禁止条約の交渉開始を求める決議について(回答:外務省)」からの要約。

http://monitor.gov-online.go.jp/html/monitor/h28/qa/ans20161128_01.html

1.日本が国連*に提出した核兵器廃絶決議(*国連総会第一委員会)
1)日本の立場
 唯一の戦争被爆国として、核兵器のない世界の実現のためには、核兵器の非人道性に対する正確な認識と厳しい安全保障環境に対する冷静な認識の下で、核兵器国と非核兵器国との間の協力による現実的かつ実践的な措置を積み重ねていくことが不可欠である
⇒核兵器国と非核兵器国の協力がなければ、核軍縮の具体的な成果には繋がらない
2)2016/12/5の国連決議の内容(出所:
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press4_004008.html
(1)核兵器不拡散条約(NPT)体制の強化
(2)包括的核実験禁止条約(CTBT)の早期発効,核兵器用分裂性物質生産禁止条約(FMCT)の早期の交渉開始の呼びかけ
(3)核戦力の透明性向上
(4)核兵器の非人道性への深い懸念が全ての取組の基本にあること
(5)各国指導者・若者等による被爆者を含むコミュニティ等への訪問等を通じ,被爆の実相に関する認識を向上させるあらゆる取組を奨励すること
(6)北朝鮮による最近の核実験及び弾道ミサイル技術を使用した発射に対する最も強い表現での非難
(7)北朝鮮に対し更なる核実験の実施を自制し,直ちに全ての核活動を完全な,検証可能な,かつ,不可逆的な方法で放棄するよう強く要求すること,等
3)採択結果(出所:同上)
 賛成:167
 反対:4(中国,北朝鮮,ロシア,シリア)
 棄権:16(キューバ,エクアドル,エジプト,フランス,インド,イラン,イスラエル,キルギスタン,モーリシャス,ミャンマー,ナミビア,パキスタン,韓国,南スーダン,英国,ジンバブエ)

2.核兵器禁止条約に反対する理由
(1)上記1の我が国の基本的立場に合致しない
(2)北朝鮮の核・弾道ミサイル開発が我が国の安全に対する重大かつ差し迫った脅威となっている中で、厳しい安全保障環境に関する冷静な認識を欠いている
(3)核兵器国と非核兵器国との間の対立を一層助長し亀裂を深めるものである


<感想>
 何とも分かりにくい両者であるが、「核兵器廃絶決議」について、何故マスコミの報道がないのか、「核兵器禁条約」のネガティブな情報に偏り過ぎているような気がする。

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トヨタが次世代EVにおける囲い込み?


『車、110年目の大転換 トヨタ「前例なき闘い」グーグル・アップルと競う』


 以下は、2017/8/5の日経新聞朝刊の掲題表題記事からの一部抜粋。
http://mw.nikkei.com/sp/#!/article/DGKKASDZ04ICG_U7A800C1EA2000/

豊田社長「グーグル、アップル、アマゾンという新しいプレーヤーが現れている。前例なき闘いだ。車をコモディティー(汎用品)にはしたくない」

 自動運転に電気自動車(EV)、コネクテッドカー(つながる車)、シェアリング──。人工知能(AI)や通信の発達で、自動車を巡る環境は劇的に変わっている。両社長の現状認識は、「T型フォード」が誕生し、移動の主役が馬から自動車に代わった約110年前と重なる。


小飼社長「EVでは、将来の予測が難しい。変動にフレキシブルに対応できる体制が必要だ。(提携を生かし)しっかり準備したい」

 マツダにとっても今回の提携の意義は大きい。17年度計画の研究開発費は約1400億円とトヨタの約13%にすぎない。電動化技術やマツダが力を入れるエンジン開発、安全技術、つながる車向け技術など単独ではすべてで競争力を維持できないのが実態だ。電動化ではハイブリッド車(HV)などでトヨタが培ったノウハウを生かし、世界各地での市場変化に対応できるようにする。』


<感想>
 豊田社長から、グーグル、アップル、アマゾンという、かつては競合とは位置付けられなかったIT企業名が飛び出す。マツダとのより踏み込んだ提携には、(80年代に松下電産(現パナソニック)がVHS陣営を築いてベータを一掃したような、)自動車業界におけるEV囲い込み戦略への布石のようにも見える。(トヨタの親密会社:ダイハツ(完全子会社)、スズキ(業務提携)、いすゞ(資本業務提携))

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成長の追及に代わる、紛争解決を通じた新たな平和の構築?


『国際紛争を読み解く五つの視座 現代世界の「戦争の構造」』 (篠田英朗著、講談社)


 以下は掲題書(「むすびに-現代世界の紛争と日本」)からの一部抜粋。

『 日本は世界的な規模の格差社会のなかで、植民地化された ことのない非欧米国として、独特の位置づけをもつ。二十世紀前半の日本は、自国の内部の巨大な格差社会の矛盾に苦しみ、いわば矛盾を解消するために破局的な戦争へと向かっていった。戦後の日本は、劇的な改革をおこなうチャンスを活かして、社会構造の変革を進めて格差社会の構造を是正した。

 しかし戦後七十年が経ついま、格差忌避社会として日本社会の性格は変わり、人びとの考えかたもまた大きく変わった。格差社会の問題は、今後の日本社会のありかたを占う大きな意味をもちはじめている。

 そして格差社会を是正するためには、単純に成長を追い求めるだけの方策では十分ではないかもしれない。成長に限界があるとすれば、やみくもに成長しうる領域を開拓しようとするだけではなく、まさに成長の限界と折りあいをつけていく姿勢が求められるのかもしれない。資本主義の行き詰まりが、日本において顕在化しているのだとすれば、日本は安定的な国際社会の枠組みを維持しながら、成長の限界を受け止める方法を示す使命をもっているとも言えるだろう。

 本書は、冒頭において、人間の社会における複数の目的をめぐる矛盾の顕著が、紛争であるという視点を紹介した。紛争解決とは矛盾の解消であり、平和構築とは矛盾の管理である。しかし解決したり管理したりするためには、どのような矛盾が存在しているのかを分析しなければならないのである。』


<感想>
 確かに、戦後七十年経過した今日の資本主義社会においては、単純な成長の追及に代わる、紛争解決(特に、短期的には北朝鮮との、中長期的には中国との)を通じた新たな平和の構築を目指す必要があろう。

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敵基地攻撃能力開発には世論の賛成が不可欠?


【 敵基地攻撃能力 】

 Yahoo! Japanで、「各社新聞名 社説 敵基地攻撃」で検索してみた。結果は以下の通り。(各社HPの社説にヒットしなかった、読売は出典ブログ内容を、日経は直近記事を掲載)

 
産経ニュース(2017.2.21 05:03更新)
【主張】 敵基地攻撃能力 国民守る方策を決断せよ
http://www.sankei.com/column/news/170221/clm1702210002-n1.html
『 自民党の高村正彦副総裁がNHKの番組で、外国からのミサイル攻撃を防ぐ敵基地攻撃能力の保有について、政府としての検討に前向きな考えを示した。日本維新の会の片山虎之助共同代表も同調した。
 北朝鮮の核・弾道ミサイル戦力は現実の脅威である。弾道ミサイル防衛の能力を高めることに加え、敵基地攻撃によって危機を回避する方策を考えるのは当然といえる。
 安倍晋三首相も1月の国会答弁で、検討に意欲を示した。いかにして国民を守り抜くかは、すべての政治家に課せられた責任だ。意欲を口にするだけでなく、導入を決断し、具体的検討を防衛省自衛隊に指示してもらいたい。
 安倍政権は平成25年に閣議決定した防衛計画の大綱の中で、「弾道ミサイル発射手段等に対する対応能力の在り方についても検討の上、必要な措置を講ずる」と、保有に含みを持たせてきた。
 しかし、これまで具体的な進展はなかった。その間にも、北朝鮮の核・弾道ミサイル戦力の強化が進んだ。北朝鮮が今回発射した新型弾道ミサイルは固体燃料で自走式車両から発射された。見つかりにくく奇襲的に運用できるため、脅威度は格段に増している。
 残念なのは同じ番組での公明党の山口那津男代表の発言だ。「敵基地攻撃能力は米国しか持っていない」と、自衛隊のミサイル防衛の整備しか言及しなかった。
 日本が攻撃能力を持つことへの拒否反応がある。だが、それはすべてを米国に依存しようという姿勢の表れともいえる。
 北朝鮮が近い将来、米本土への核攻撃能力を持ち、米国の対北姿勢が及び腰になったらどうするのか。自らの抑止力を考えておかなければ、有事の際の対処力は損なわれてしまう。
 敵基地攻撃能力や、将来的には「敵地攻撃能力」を整えることは日米同盟の抑止力を確かなものとする上でも欠かせないだろう。
 指摘しておきたいのは、安倍首相や高村氏らが、いまなお専守防衛を強調している点である。これは、軍拡に余念がない中国や北朝鮮を相手に、自らの抑止力に大きなブレーキをかける元凶だ。
 政府は耳に心地よい言葉として専守防衛を唱えてきた。だが、それでは平和を守りきれなくなっている。現実を国民に正直に説明すべきである。』


読売新聞(2017年04月06日) 
敵基地攻撃能力 新たな脅威へ的確に対応せよ
http://shasetsu.seesaa.net/article/448771844.html
『 北朝鮮の脅威は今、新たな段階にある。的確に対応できる防衛政策を本格的に検討する時だ。
北朝鮮がまた、日本海に向けて弾道ミサイルを発射した。飛距離は60キロだが、固体燃料を使う射程2000キロの新型ミサイルとされる。
 昨年以降、核実験や様々なミサイルの発射を繰り返し、その技術は確実に進展している。在日米軍基地を標的に名指ししたのは看過できない。小型化した核の弾道ミサイル搭載にも警戒が必要だ。
自民党は先週、ミサイル防衛の「迅速かつ抜本的な強化」を提言した。陸上配備型イージスシステムなど新たな防衛装備の導入に加え、敵基地「反撃能力」の保有の検討を政府に促している。
 「攻撃能力」との表現を避けたのは専守防衛を強調したものだ。だが、政府は、憲法上、ミサイル攻撃が明白な場合の先制攻撃は「自衛の範囲」として認めている。最初から第一撃を甘受する「反撃」に限定することはあるまい。
ミサイル防衛の強化だけで十分か、という自民党の問題意識は理解できる。北朝鮮は、大量のミサイルを保持し、4発の同時発射など実戦能力を向上させている。
 すべてのミサイルを完璧に迎撃するのは容易でない以上、巡航ミサイルや、ステルス機による対地攻撃など、敵基地を攻撃する手段を確保することは理に適(かな)う。
従来、自衛隊は防衛に徹し、相手国への打撃力は米軍に依存してきた。今後は、その一部を補完するため、自衛隊が攻撃力を持つことを真剣に考えるべきだろう。
 防衛予算が限られる中、ミサイル防衛を偏重すれば、他の装備にしわ寄せが出て、防衛体系を歪(ゆが)めかねない。迎撃ミサイルは他の用途にほとんど使えないが、攻撃型兵器は離島防衛などの汎用(はんよう)性があり、抑止力も向上しよう。
費用対効果の観点も重視し、防衛の総合力を高めたい。
 無論、敵基地攻撃能力に過大な期待を持つことはできない。そもそも敵基地の位置の特定は、米軍の偵察衛星の情報に頼らざるを得ない。移動式発射台を攻撃する場合はさらにハードルが上がる。
 米海空軍の圧倒的な打撃力を活用しない、自衛隊単独の攻撃は非現実的だ。米軍と緊密に連携し、適切に役割分担することが敵基地攻撃能力保有の前提となる。
 北朝鮮の核・ミサイルに対する日米の共同対処能力を実質的に高めるには、どうすべきか。政府は、本腰を入れて議論し、米側と建設的な協議を進めねばならない。』


毎日新聞(2017年3月6日)
社説 敵基地攻撃能力 専守防衛を超える恐れ
https://mainichi.jp/articles/20170306/ddm/005/070/005000c
『 北朝鮮の核・弾道ミサイル開発の進展を受け、攻撃される前に敵のミサイル基地などをたたく敵基地攻撃能力の議論が進んでいる。
 安倍晋三首相は検討に前向きな考えを示し、自民党の弾道ミサイル防衛に関する検討チームも議論を始めた。2019年度からの次期中期防衛力整備計画をにらんだ動きだ。
 敵基地攻撃能力を持つことが、憲法に反しないかどうかについて、政府は法理論的には可能としてきた。
 1956年に鳩山一郎内閣は「座して自滅を待つべしというのが憲法の趣旨とは考えられない」として、攻撃を防御するのに「他に手段がない」場合に限り、ミサイル基地をたたくことは「法理的には自衛の範囲」との見解を示している。
 さらに政府は、先制攻撃とは区別し、第一撃を受けたり、ミサイルに燃料を注入するなど敵が攻撃に着手したりした時点で、敵基地攻撃が可能になるとの見解も示している。
 しかし、こうした政府の見解はあくまで法理を説明したものだ。現実の状況をあてはめた時、数多くの問題点が浮上する。
 ポイントの一つは「他に手段がない」場合をどう考えるかだ。
 日米安全保障条約によって、米国は日本防衛の義務を負っている。
 米軍が「矛」としての打撃力を持ち、日本は憲法や専守防衛のもと「盾」である防御力に徹するという役割分担になっている。
 いざという時、在日米軍による報復攻撃という手段がありながら、自衛隊が敵基地攻撃をすることは、日米の役割分担の枠組みを超える。
 さらに大きいのが装備の問題だ。日本は専守防衛のもと攻撃的防衛力を持たないことを原則にしてきた。
 敵基地攻撃で考えられる装備には、精密誘導爆弾を搭載した戦闘機や、弾道ミサイル、巡航ミサイルなどがあるが、自衛隊はこうした装備を持っていない。
 敵基地攻撃をするためには、まず敵基地の場所を正確に把握し、次に敵の防空用レーダーの機能をつぶし、そのうえで敵基地をたたくわけで、それぞれに装備が必要だ。
 専守防衛の武器の体系を抜本的に変える必要が出てくるだろう。
 防衛費は大幅に増え、逆に安全保障環境を悪化させかねない。
 そもそも、移動式発射台や潜水艦から撃たれるミサイルの発射場所をどう把握し、正確にたたくことができるのか。実効性や費用対効果への疑問も尽きない。
 課題はあまりに多いのに、軍事的な対抗策に議論が偏り過ぎていないだろうか。そんな状況で首相が前のめりに検討する姿勢を示していることに懸念を覚える。』

朝日新聞DIGITAL(2017年3月31日05時00分)
(社説)敵基地攻撃力 専守防衛が空洞化する
http://www.asahi.com/articles/DA3S12868919.html
『 敵のミサイル基地をたたく敵基地攻撃能力の保有について、検討を開始するよう政府に求める──。そんな提言を自民党の検討チームがまとめ、安倍首相に提出した。首相は「しっかり受け止めていきたい」と応じたが、とうてい賛成できない。
 北朝鮮の核・ミサイル開発に対処は必要だが、敵基地攻撃能力を持っても問題の解決にはつながらない。一方で、憲法にもとづく専守防衛の原則を空洞化させる恐れがある。
 敵基地攻撃について、政府はこれまで法理論上は憲法に反しないと説明してきた。
 1956年に鳩山一郎内閣は、わが国に対し「攻撃が行われた場合、座して自滅を待つべしというのが憲法の趣旨とは考えられない」とし、攻撃を防ぐのに「他に手段がない」場合に限り、ミサイル基地をたたくことは「法理的には自衛の範囲」との見解を示した。歴代内閣も踏襲してきた。
 だが、この見解はあくまで法理を説明したものであり、現実に目を向ければ問題が多い。
 まず「他に手段がない」とは言えない。日米安保条約に基づき、米軍が日本防衛の義務を負っているからだ。
 日本の安全保障は、米軍が攻撃を担う「矛」、自衛隊が憲法や専守防衛の下、守りに徹する「盾」の役割を担ってきた。この分担を壊し、日本が敵基地攻撃をすれば、自衛隊が戦争を拡大することになりかねない。
 また、敵基地攻撃には長距離巡航ミサイルのような攻撃的な兵器が必要だ。提言は敵基地の位置情報の把握や、それを守るレーダーサイトの無力化、精密誘導ミサイルなども例示しているが、従来の専守防衛に基づく装備体系を大きく逸脱する。
 59年の防衛庁長官答弁は「平生から他国を攻撃するような、攻撃的な脅威を与えるような兵器」を持つことは憲法の趣旨ではないとしている。違憲の疑いが濃いと言わざるを得ない。
 これらを整備すれば、防衛費の大幅な増額も避けられない。そこまでしたとしても、移動式発射台や潜水艦からミサイルが撃たれれば、位置の特定も発射の兆候をつかむのも困難だ。
 敵基地を攻撃すれば反撃を受け、全面戦争への発展を想定する必要がある。原発が攻撃対象になる可能性も否定できない。
 むしろ日本は、北朝鮮への先制攻撃も視野に入れる米トランプ政権に対し、外交的な対応の強化を説くべき時ではないか。
 多くの問題をはらむなか、敵基地攻撃能力の検討に踏み込もうとする姿勢は危うい。』


日本経済新聞(2017/8/5付[有料会員限定])
敵基地攻撃能力 検討へ 防衛省、北朝鮮脅威受け 来夏メド結論
http://www.nikkei.com/article/DGKKASFS04H6G_U7A800C1MM8000/
『 防衛省は敵国の弾道ミサイル発射基地などを攻撃する敵基地攻撃能力(総合2面きょうのことば)の保有の是非をめぐり、近く議論を始める。来年末にも予定する防衛大綱の見直しに合わせ、北朝鮮の核・ミサイルへの抑止力として将来導入できないかを検討する。近隣諸国の反発だけでなく、国内でも議論を呼ぶ可能性が高い。(関連記事総合3面に)
 敵基地攻撃能力は、巡航ミサイルなどで敵国の基地をたたく装備。護衛艦などから発射する米国の巡航ミサイル「トマホーク」や、戦闘機から地上を攻撃する空対地ミサイルなどがある。「専守防衛」を掲げる日本は戦後、他国を攻撃する装備を持ったことはない。
 専守防衛は「攻撃を受けたときに、初めて防衛力を行使し、その力は自衛のための必要最小限にとどめる」ことを指す。
 ただ1956年、鳩山一郎首相は「(我が国に)攻撃が行われた場合、座して自滅を待つことを憲法は規定しない」と答弁。政府は、攻撃を防ぐため「他に手段がない場合」は、敵基地を攻撃することは自衛の範囲内、との見解を示してきた。
 政府は過去の国会答弁でも、敵国が日本に対し攻撃の意思表示をしたり、ミサイル攻撃の準備・兆候が判明したりした場合に敵基地攻撃は認められる、と説明してきた。とはいえ、防衛省が公式に検討を始めれば、国内外から「専守防衛方針を超えるのでは」と議論を呼ぶ可能性が高い。
 政府・与党内では、具体的な装備として米国の「トマホーク」の配備を求める声が上がっている。その場合は米国が価格や納期に主導権を持つ「対外有償軍事援助(FMS)」契約を使う。
 防衛省が検討を急ぐ背景には核・ミサイル開発を進める北朝鮮の存在がある。北朝鮮は今年に入り大陸間弾道ミサイル(ICBM)や、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)を地上配備型にした新型ミサイルを発射。核の小型化も進めている。
 これを受け、自民党安全保障調査会は3月、敵基地攻撃能力の保有を政府に提言。政府に「ただちに検討を開始すること」を求めた。同提言を主導したのが、今月3日に防衛相に就任した小野寺五典氏だった。防衛省は同提言を参考に、小野寺氏の下で具体的な課題を整理する見通しだ。
 安倍晋三首相も3日、北朝鮮への懸念の高まりを受け、小野寺氏に防衛大綱の見直し検討を指示した。政府は2018年末に新たに中期防衛力整備計画(中期防)をつくる予定。中期防は5年、防衛大綱は10年程度の方針を定める。防衛省は中期防にあわせて大綱を見直し、敵基地攻撃能力保有の明記を目指す。
 大綱見直しの方針は19年度予算に反映させるため、防衛省は18年夏の概算要求までに敵基地攻撃能力の保有の是非の結論を出す考えだ。
 小野寺氏は4日、日本経済新聞社などのインタビューで「北朝鮮のミサイル技術が進展している」と強調。敵基地攻撃能力に関しては「弾道ミサイル防衛にいま何が必要なのかを突き詰める」と述べた。自民党の提言についても「しっかりと検討状況を聴取する。問題意識と危機感をもって検討を進める」と話した。』


<感想>
 敵基地攻撃についての姿勢はいつも通りだが、推進するためには世論の賛成が不可欠。国民(世論)に絶大な影響のあるテレビを中心としたマスコミで前向きな取り組みに期待したい。

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わが国独自の敵基地反撃能力の保有を推進?


【 敵基地反撃能力 】

 2017/8/3の「ザ・ボイスそこまで言うか!」で、有本香(ジャーナリスト)さんが、(1)北朝鮮のミサイル(固体燃料を搭載したICBM)で死にたくない、(2)国民の命(憲法25条の生存権)を守るためには、迎撃システムだけではなく、北朝鮮(敵基地)を攻撃する能力(開発)による抑止力が必要、という趣旨の話をしていた。(詳細はこちら。
https://m.youtube.com/watch?v=jxdc6USKVUg

 一方、小野寺防衛大臣のHPにはこうある。(http://www.itsunori.com/contents/2017/03/index.html


『2017年3 月30日 (木)
 私が座長を務める「自民党弾道ミサイル防衛に関する検討チーム」で取りまとめた「弾道ミサイル防衛の迅速かつ抜本的な強化に関する提言」を総理に申し入れました。敵基地反撃能力について、相手の攻撃の形が変わってきた中で、あくまで専守防衛の範囲で、それに対応するやり方が国民を守るために必要ではないかという内容です。総理から「こうした提言を取りまとめていただいたことに敬意を表したい。しっかりと受け止めて、今後も党とよく連携させていただきたい」との言葉をいただきました。』

 「弾道ミサイル防衛の迅速かつ抜本的な強化に関する提言」(平成29年3月30日)はこちら。(
https://jimin.ncss.nifty.com/pdf/news/policy/134586_1.pdf

 1.弾道ミサイル防衛能力強化のための新規アセットの導入 
 2.わが国独自の敵基地反撃能力の保有
 3.排他的経済水域に飛来する弾道ミサイルへの対処


<感想>
 わが国独自の敵基地反撃能力の保有を推進する「自民党弾道ミサイル防衛に関する検討チーム」座長の小野寺さんが防衛大臣に就任した。国民のコンセンサスを得た上で、是非とも早期に敵基地反撃能力を保有して欲しい。(いつ何時暴発するかもしれない北朝鮮を前に、我々に残された時間はそう多くはないはずだから。)

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日本の軍事協力がグローバルに拡大?


「在日米軍 変貌する日米安保体制」(梅林宏道著、岩波新書)


 以下は掲題書(序章「在日米軍と日米軍事協力の新段階」)からの一部抜粋。(その2)


  米軍海外基地の正体

 「代替資産価値」が10万ドル以上の基地を仮に「大型基地」と分類すると、海外に有する米軍の大型基地の総数は36か所であり、その数のトップ4は、日本(13)、ドイツ(7)、韓国(5)、イタリア(3)の順となる。この四か国で世界の大型米軍基地の八割近くを占める。

 四つの国になぜ米軍基地が多いのか?その理由は明らかであろう。ドイツ、イタリア、日本はいずれも第二次世界大戦において敗北した枢軸国であり、戦後、占領軍として米軍の支配下にあった。

 朝鮮半島は戦時には日本の植民地支配下にあり、連合軍の分割統治によって38度線以南に生まれた韓国は米軍によって占領された。つまり、米軍基地の出生の正体は敗戦国への米軍駐留であり、その既得権を米国は今も手放さないでいるのである。朝鮮半島の分断はもちろん、韓国における米軍基地の存在もまた日本に責任があることを、私たちは忘れてはならないであろう。


  日米軍事協力のグローバル化

 2017年2月10日、安倍首相とトランプ米大統領が発した日米共同声明は、次のように始まった。

 「揺らぐことのない日米同盟はアジア太平洋地域における平和、繁栄および自由の礎である。核および通常戦力の双方による、あらゆる種類の軍事力を使って日本を防衛するという米国の約束は揺るぎない。アジア太平洋地域において厳しさを増す安全保障環境の中で、米国は地域におけるプレゼンスを強化し、日本は同盟におけるより大きな役割および責任を果たす。」

 この一節は、今日の日米安保体制を考える際に留意すべき2つの重要な特徴を持つ示している。

 1つは、在日米軍はもはや日本を防衛対象とした米軍ではなく、アジア太平洋全域を対象とする米軍になっているということである。

 在日米軍が日本の領域の外に移動すれば、それはもはや在日米軍ではなくてただの米軍であって、どこで何をしてもよいもいう理屈である。ただし、日本の防衛が第一義的な任務なので、その条件が満たされることを条件とした。日本の外務省のこのような見解は、独立国として米軍の行動を縛るという、1960年の日米安保条約改定時の議論をまったく無視したものであるが、それが今日の在日米軍の現実となっている。この意味では、米軍は法的基盤である日米安保条約とほとんど無関係に行動していると言える。

 これと関連して、今日の日米安保体制にはもう1つの重要な特徴がある。それは、日米安保体制下における日本の軍事的な役割と責任もまたグローバルに拡大しているという事実である。日本の軍事協力が行われる地理的範囲は、「日米防衛協力のためのガイドライン」の改訂とともに拡大されてきた。米軍はガイドラインを明確化することによって、「在日米軍基地の安定的確保」と「自衛隊の役割の強化」という2つの目的を追求してきた。このうち自衛隊の役割分担への要求は、米軍の財政難が増大することと比例して強まっていった。

 2015年の改訂では、安倍政権の戦後日本の平和体制を否定する政策と軌を一にして、日米軍事協力の分野は地理的にも内容的にも一気に拡大した。ガイドラインの目的に、日本の防衛に加えて「アジア太平洋地域及びこれを越えた地域が安定し、平和で繁栄したものとなる」という目的が明記されたのである。

 結果として、日本の自衛隊と米軍との協力は地理的に無制限となった。大きな反対世論の結果、新安保法制は集団的自衛権の行使について厳しい条約が付けられた。しかし、厳しい条件下であるにせよ集団的自衛権の行使が容認されたことによって実質的な変化が起こる。その最前線が日米軍事協力の新しい訓練であろう。実際2017年には、2005年以来参加している多国間共同訓練コブラゴールドにおいて初めて邦人救出と同時に米国人を含む訓練が行われたり、「武器等防護」の一環として米艦を自衛艦が防護する任務が始まった。


<感想>
 日本の軍事的な役割と責任がグローバルに拡大している。緊迫を増す北朝鮮への日米共同による確りした対応を、小野寺防衛大臣に期待する。

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まずは、経済対策に集中すべき?


【 支持率急落でも日本にはアベノミクスが必要 】

 月~木曜日、毎日Podcastで楽しみに聞いている「ザ・ボイスそこまで言うか!」(http://www.1242.com/program/voice/)。
2017/8/1の番組冒頭で、宮崎哲弥さんがFTの社説に共感していたので、検索してみた。

 [FT]支持率急落でも日本にはアベノミクスが必要(社説)(2017/7/13 14:04)
http://mw.nikkei.com/sp/#!/article/DGXLASGM13H3L_T10C17A7000000/)だと思われる。概要は以下の通り。


<国民の信頼を回復するための方法>
1.大幅な内閣改造に踏み切ってアベノミクスから離れ、変革を示すこと

2.経済に対する取り組みを一層強めること、それも経済政策に一意専心して決意を示すこと⇒正しい道筋


<安倍氏の間違い>
1.経済から離れて憲法と外交の問題に重点を移したこと(安倍氏にとっては非常に重要でも、一般の有権者はほとんど重視していない)

2.2015年の安全保障関連法と今夏の「共謀罪」法(共に安倍氏の支持率低下につながった)

3.20年までに憲法を改正するとの公約(安倍氏が求める改憲の内容は完全に妥当だが、客観的に日本が直面している課題の中での優先順位は極めて低い)


<安倍氏のなすべきこと>
1.経済対策に集中すべき(表面的なアベノミクスのテコ入れであってはならず、日銀の黒田東彦総裁の再任、あるいは同氏が応じなければ、デフレ終息に同等の決意を持つ候補を選ぶこと)

2.物価上昇が弱いうちに増税せよという要求にあらがう必要も(構造改革の重要性は誇張されているが、サラリーマンの長時間労働に終止符を打つという大衆受けを狙った取り組みだけでなく、労働市場の真剣な改革が必要)


<安倍氏の政治的遺産>
 小さな改憲ではなく、20年にわたるデフレを終わらせた人物になるかどうか(最大の貢献は、自らの党と国民に、アベノミクスを続けなければならないとわからせることだ──自分が権力の座を去った後までも)

(2017年7月13日付 英フィナンシャル・タイムズ紙 
https://www.ft.com/


<感想>
 安倍首相が実行しておきたいことが沢山あるのは分かるが、記事の通り、今一度、経済対策に集中してみては(結果として支持率が回復)如何だろうか。

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