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持ち株比率の譲れぬ一線?


  • 【 大和証券SMBC:2009年に役割を終焉 】


     2020年1月の日経新聞私の履歴書は、元大和証券社長の鈴木茂晴氏。
     以下は1月26日の内容から。
    https://www.nikkei.com/article/DGXKZO54797240U0A120C2BC8000/


    決別 出資金見直し 譲れぬ一線 役割終えた住友銀との合弁 


    出資比率の見直し議論

    5000億円の出資金のうち、住友は2000億円で40%だった。この比率を高めて連結決算の対象にしたいと打診されていたが、私にその気はなかった。50%ならともかく、こちらの連結決算の対象から外れるような持ち株比率の変更は到底、応じられなかった。


    日興証券買収

    2008年にリーマン・ショックが起き、米シティグループが傘下の日興証券を手放すことになった。3メガバンクに日興買収の打診があった。大和と住友は投資銀行を立ち上げたとき、「この会社と競合するようなビジネスには関わらない」という前提で動いていた。だから「応札しますよ」と連絡があったものの、三井住友銀行が日興を買うことはないと思っていた。ところが三井住友は動き、今のSMBC日興証券グループが誕生した。


    大和証券SMBCの終焉

    三井住友から40%分の株式を買い戻し、大和証券SMBCは歴史的な役割を終えた。経営危機を乗り越えるため交渉会議のメンバーとして乗り込み、発足後は役員として経営にも関わった。そんな会社がなくなるのは感慨無量だったが、大和の経営の自由度は飛躍的に高まり、会社の士気は上がった。


    <感想>
     あの当時、2009年10月以降、「証券に残る」ではなく「銀行に戻る」を選択した。
     仮にあの時「証券に残る」を選択したとしても、現状とそれほど違いがなかったように思う。

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本邦初のスピンオフ上場?


【 カーブスHD:コシダカHDからのスピンオフ上場 】


 2020/1/27、コシダカホールディングス(2157。「KH」)は、フィットネス事業を展開するカーブスホールディングス(7085。「CVH」)の東証への新規スピンオフ上場が承認されたと発表した。
https://pdf.irpocket.com/C2157/xFFN/epDH/tlI0.pdf

 以下は、KHのCVHのスピンオフに関する案内資料からの一部抜粋。
https://www.koshidakaholdings.co.jp/spin-off/pdf/hSXm.pdf


1.株式分配型スピンオフの主な効果
(1)経営の独立による効果
・スピンオフされた会社は迅速、柔軟な意思決定が可能になるとともに、経営者や従業員のモチベーションも向上

(2)資本の独立による効果
・スピンオフされた会社の独自の資金調達により、必要な投資が実施可能

(3)上場の独立による効果
・各事業のみに関心の投資家を引きつけることが可能


2.株式の分配方法
・基準日時点の株主に完全子会社の株式を配当として交付(株主に対する配当課税は対象外、譲渡損益課税は繰り延べ)

・分配基準日(2020/2/29)時点の株主に対して、保有するKH株式1株当たりCVH株式1株が特段の手続きなく交付される


3.スピンオフの目的・理由
目的:カラオケ・カーブス両事業の成長戦略の一層の推進によって、株主価値の向上を目指す

(1)カラオケ事業の中期経営ビジョン
・エンタメを必要不可欠なインフラとする「EIP(Entertainment Infrastructure Plan)」のもとで成長戦略を推進

(2)カーブス事業の中期経営ビジョン
・病気と介護の予防を実現する「社会課題解決企業、健康寿命延伸事業」としての成長戦略を追求


(ご参考) 
「スピンオフ」の活用に関する手引
平成30年4月 経済産業省 産業組織課
https://www.meti.go.jp/press/2017/03/20180330004/20180330004-1.pdf
P5:デュポンからの高機能化学事業の分離
P6:イーベイからのweb決済事業の分離


<感想>
 本件は、平成29年の税制改正後、本邦初のスピンオフ上場事例。
 スピンオフが、海外同様、日本にも根付くことになるのか。
 3月2日上場(予定)後の株価推移等を含めて注視して行きたい。

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昭和飛行機工業のTOBに応募?


【 三井E&S:昭和飛行機工業のTOBに応募 】


 2020/1/23、三井E&Sホールディングス(7003。「MES」)が、子会社の昭和飛行機工業(7404。「SAI」)のTOBに応募した。
https://www.mes.co.jp/press/2020/uploads/20200123.pdf


1.応募概要
Bain Capital Private Equity, LP(「ベインキャピタル」)が投資助言を行うBCPE Planet Cayman, L.P.が行う公開買付け(「TOB」)に、MESグループが所有する株式の全てを応募


2.理由
1957年 SAI株式を取得
2014年 TOBによりSAIを連結子会社化(現在:MES49.8%+子会社退職給付信託15.7%)
2019/5/10 事業再生計画を公表
https://www.mes.co.jp/press/2019/0510_001223.html

1)財務体質・収益体質の強化

2)ベインキャピタルが有するグローバルなネットワーク・経営ノウハウを活用
⇒ SAIの輸送用機器関連事業・不動産賃貸事業等について、海外市場での顧客や販路開拓等により、SAIの更なる成長の加速と企業価値の向上を実現できると判断


3.TOB概要
https://ssl4.eir-parts.net/doc/7404/tdnet/1785452/00.pdf
(1)TOB価格
2,129円/株(2,760円ー*特別配当額631円を控除した額)

2,760円:MESによる対象者株式の譲渡に関する一部情報配信会社による情報配信がなされた2019/11/28の東証終値1,899円の45.34%(同日までの過去1ヶ月間の終値平均の71.86%、同3ヶ月間の87.76%、同6ヶ月間の98.13%)のプレミアム

*特別配当金のメリット:関連法人株式等を1/3超保有時(=本件)は、受取配当金全額が益金不参入となる

譲渡価額:約455億円
受取配当金:約134億円
簿価:約1,214円/株(大量保有変更報告書より)

(2)買付予定株式数
自己株式控除後の全株式数。下限は66.7%

(3)財務アドバイザー
野村證券


<感想>
 本件は、MESの事業再生計画の一環としての連結子会社のSAI株式の売却事例。
 資本の論理によって、親会社が離脱することにSAI社員はどう思っているのだろうか。
 ベインキャピタルのグローバルなネットワーク・経営ノウハウ活用による飛躍を祈念している。

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ABBによる海外での新株式募集?


【 マネーフォワード:海外募集による新株式発行 】


 2020/1/22、マネーフォワード(3994)が、「海外募集による新株式発行に関するお知らせ」を発表した。
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120200122449194.pdf


1.募集の概要
募集市場:欧州及びアジアを中心とする海外市場(但し、米国及びカナダを除く)

主幹事:Mizuho International plc

募集形態:ABB(Accelerated Book Building)方式
⇒ マーケットインパクトを極小化※

※案件公表後、即日又は数日程度の短期間でブックビルディングを実施し、募集・売出条件を決定する手法


2.発行価格等の決定
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120200122449423.pdf

決定日時:1/22 22:15(プレスリリースの時間)

発行価格(募集価格):4,577円/株
⇒ ディスカウント率:8%(1/22終値4,975円)

払込金額(注) :4,353.12円/株
⇒ 引受手数料率:4.5%


3.株価終値推移(円)
1/22 4,975、1/23 4,905
1/24 4,865、1/27 4,700円


(ご参考)新株式発行による資金調達について
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120200122449198.pdf


<感想>
 本件は、ABBにより、ローンチ即日に海外でプライシング(値決め)を実施した事例。
 国内公募*(通例:ディスカウント率3%、引受手数料4%)は、一般的に値決め日までに希薄化(マーケットインパクト)を織り込む結果、値決め日(算定基準日)の基準株価が下落していることが多い。
 1/27終値時点では、1/22終値からのディスカウント率は5.5%で「5.5%+*7%≒8%+4.5%」となり、ABBの「マーケットインパクトを極小化」したとまでは言い難いような気もする。

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自衛隊の中東派遣に関する法的不備?



  •  2020/1/15、日経ビジネス電子版に「自衛隊の中東派遣をめぐる議論が示した安保法制の瑕疵」が掲載された。
    https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00023/011400132/
     
     以下はその概要。


    < 議論すべきは「法の乱用」ではなく「法の不備」 >

    1.中東派遣の根拠
    防衛省設置法第4条18
    「所掌事務の遂行に必要な調査及び研究を行うこと」
    (1)条文の表現が抽象的であいまい
    (2)国会の承認が必要ない
    ⇒ 「乱用につながりかねない」との懸念


    2.この問題の本質
    「法の乱用」ではなく「法の不備」

    (1)2015年の安全保障法制
    「情報収集と警戒・監視」についての法整備、すなわち自衛隊法に組み入れられず

    (2) 自衛隊法に基づく自衛隊
     日本は法治国家であり、自衛隊は自衛隊法に基づいて行動(侵略に対処する「防衛出動」、東日本大震災などに対応する「災害派遣」)
    ⇒ 国民が法律に基づいて自衛隊の行動を監督するシビリアンコントロールが働いている

    (3) 「警戒・監視」は自衛隊法に定められず
     すべての行動の基礎となる情報収集を含む「警戒・監視」は、自衛隊法に定められていない

    (4)防衛省設置法第4条を適用
     海上自衛隊は、侵略事態のほか領海侵犯などの事態に対処すべく、我が国の領海とその周辺の海域を24時間365日、警戒監視 & 防衛に必要な情報を継続的に収集(特に宗谷、対馬、宮古といった重要な海峡は厳重に監視)

    (5)例外は自衛隊法84条
     「領空侵犯に対する措置」(いわゆるスクランブル)だけ

    ⇒ 本来なら「警戒・監視」を自衛隊の平戦時を通じて行う常態の任務として自衛隊法に規定すべき

    ⇒ さらに言えば、普段からの常態としての「警戒・監視」の対象として、ペルシャ湾などもカバーできるようにすべき
    (中国の太平洋進出を監視する宮古海峡も、エネルギー輸送の大動脈の起点となるペルシャ湾も、日本にとっての重要性は同じ)


    <感想>
     元海将・香田自衛艦隊司令官は、「防衛省設置法第4条を乱用している」のが問題ではなく、「警戒・監視」を自衛隊法に定めていないことが問題だと言う。
     野党を含めた国会での真摯な議論を経た、早期の自衛隊法改正を期待している。

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日中間の「4つのトゲ」?


【 中国・習首席来日:国賓扱いは正しいか 】


 2020/1/23、日経ビジネス電子版に、『中国・習主席来日「国賓扱いは正しいか」』が掲載された。
https://business.nikkei.com/atcl/seminar/19/00070/012100026/?P=3

 以下は一部抜粋。


1.佐藤参議院議員の考える「4つのトゲ」
尖閣諸島周辺の領海侵入
日本人の拘束問題
日本産食品・飼料の輸入規制
香港 ウイグルなどの人権問題


2.河野防衛大臣のワシントンでの講演(2020/1/14)
「中国が状況を改善する努力をしなければ、4月に予定している習主席の国賓としての日本訪問に支障を来す可能性がある」


3.2019年12月の日中韓サミット
安倍首相も習首席宛て、人権問題だけではなく、尖閣の問題についても、直生、懸念を伝えている


4.国賓/公賓の取り仕切り
国賓:宮内庁。宮中晩餐会あり
公賓:外務省

フランスのマクロン大統領やローマ教皇(法皇)は国賓ではない


5.何をすべきか
安倍首相から習主席を国賓として招きたいと申し入れた経緯はあるものの

安倍首相が「下からの付き上げがあるが、何とか習主席の来日を成功させたいので、これくらいの条件はのんでほしい」と交渉できる環境を整えるのが大事


<感想>
 1998年の江沢民主席と2008年の胡錦濤主席来日時に国賓として迎えたことを考えるとメンツ的に国賓以外はあり得ないように思われる。
 来日前に、佐藤議員の日中間に刺さった「4つのトゲ」をどう抜いていくのか、今後の交渉を注視して行きたい。

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意見書に基づいた第三者割当WT?


【 希薄化率25%以上の第三者割当 】


 2020/1/21、リミックスポイント(3825)が下方修正条項付新株予約権(WT)をローンチした。
https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS08938/3c519ca0/af32/4fc6/bde7/3c605d906e5b/140120200120448079.pdf

 以下は希薄化率が25%以上に関する部分のプレスリリースより。
https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS08938/ab6a4195/03fd/4ab9/9868/d8fc861d007a/140120200120448088.pdf


1.企業行動規範上の手続きに関する事項
本第三者割当により、希薄化率が25%以上となる場合(東証・有価証券上場規程第432条)
http://jpx-gr.info/rule/tosho_regu_201305070007001.html

希薄化率:41%(全てのWT行使時)

1)経営者から一定程度独立した者による当該割当の必要性及び相当性に関する意見の入手

2)当該割当に係る株主総会決議などによる株主の意思確認手続

のいずれかが必要


1)株式の発行と異なり、直ちに株式の希薄化をもたらすものではないこと

2)また現在の当社の財務状況及び迅速に本第三者割当による資金調達を実施する必要があること

⇒ 日数を要し、相応のコストを伴う臨時株主総会決議ではなく、経営者から一定程度独立した第三者委員会による本第三者割当の必要性及び相当性に関する意見を入手することとした


2.第三者委員会
当社及び割当予定先との間に利害関係のない社外有識者である石井絵梨子弁護士(新幸総合法 律事務所パートナー)、清水勝士氏(当社監査等委員)、安田博延弁護士(当社監査等委員)及び江田健二氏(当社監査等委員)の4名


3.第三者委員会からの意見書
2020/1/21に入手
(意見)
1)本第三者割当増資は、当社にとって必要であると認められる。

2)本WTの発行方法は、他の資金調達手段との比較においても、相当であると認められる。 

3)本WTの発行価額その他の発行条件は、相当であると認められる。


(理由)
1)本資金調達の必要性

2)本WTの発行方法の相当性 
(1) 他の資金調達手段との比較等
(2) 増資金額の妥当性

3)本WTの発行価額その他の発行条件の相当性等 
(1) 発行条件の相当性
(2) 割当予定先の相当性
(3) 既存株主への影響


<感想>
 本件は、独立した者による意見書に基づいてMSWT(10%ディスカウント)をローンチした事例。
 意見書不要な、希薄化率を25%未満に抑えるのが一般的であるが、本件は41%。資金調達ニーズの旺盛さが理解できる。

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株式保有目的を変更?


【 象印の株主:保有目的を変更 】


 以下は、象印の大量保有変更報告書からの一部抜粋。


1.大量保有変更報告書
報告義務発生日:2019/12/23

保有目的:
新)投資及び状況に応じて経営陣への助言、重要提案行為等を行うこと
旧)純投資

株券等保有割当:
Great Fortune Int’l Development Ltd. 12.68%
Ace Frontier Ltd. 0.88%
ギャランツジャパン 0%
合計 13.50%
簿価 約1,282円
(1/23終値 2,243円 ⇒ 含み益 約9,419億円)


2.Ace Frontier Ltd. からの株主提案
https://www.zojirushi.co.jp/corp/ir/library/pdf/disclose/20200114_01.pdf

取締役1名(日銀出身者)選任の件
⇒ 会社取締役会で反対を決議(1/14)


3.株価推移
2018/12/26  792円(ザラ場安値)
2020/ 1/ 9 2,518円(ザラ場高値)
1/23終値   2,243円


4.1/21の日経電子版記事
「中国家電大手、象印株買い増し 来月総会で取締役提案 13.5%保有、泥沼の展開も」
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO54618440Q0A120C2FFE000/


<感想>
 本件は、象印マホービン株式を13.5%持つ、中国電子レンジ大手のギャランツ創業家の保有目的が変更されたもの。
 「純投資」から「経営陣への助言、重要提案行為等を行うこと」に変更され、取締役1名選任の株主提案がなされた。
 2/19開催の株主総会での賛否に注目したい。

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TOBに対するカウンター・オファー?


  • 【 前田道路:前田建設工業のTOBに対するカウンター・オファー 】


     2019/1/20、前田建設工業(1824)からの株式公開買付け(TOB)に対して、前田道路(1883)は、「前田建設工業が保有する当社株式の取得及び資本関係解消提案に関するお知らせ」を発表した。
    http://www.maedaroad.co.jp/ir/2020/info_20200120.pdf


    1.前田建設が保有する当社株式の取得
    20,460,000株(持株比率:約24.37%)の全ての自己株式としての取得


    2.背景と理由 
    (1)当社と前田建設との間で事業シナジーが見込まれないこと

    1964年 前田建設と業務提携を開始
    1968年 現在の社名への商号変更(旧社名:高野建設)
    ⇒ 50年以上経った現在も当該提携関係を継続

    当社と前田建設との直接の取引:当社の年間売上高の約1%

    ⇒ 当社業績に与える影響は非常に軽微、また、そもそも当社と前田建設の事業上の関係性が極めて乏しい

    ⇒ 今後も、上記提携関係に基づく事業シナジーの創出、増加は見込まれない状況

    前田建設が保有する当社株式:持株比率約24.37%
    当社が保有する前田建設株式:持株比率約4.06%

    ⇒ 建設事業と並んで製造販売事業が当社の主要セグメントであることなど、今般、将来においても事業シナジーが創出される見込みはなく、上記資本関係を維持することは適正ではないとの判断に至った

    ⇒ 前田建設との資本関係を速やかに解消した上で、企業価値向上に向けて経営資源を最適に活用することが両社にとって最善であると考え、本提案を行うこととした


    (2)更なる内部留保水準の適正化(自己資本利益率(ROE)の向上)が必要であること

    当社の直近5事業年度の営業利益率:約10.34% ⇒ 同業他社の平均的な営業利益率を上回っており、安定的かつ良好に推移

    一部株主からの指摘:当社のROEの水準は引き続き改善の余地があり、内部留保の適正な水準を再考すべき
    ⇒ 当社は、ROEの向上と内部留保の適正水準について継続的に検証してきた

    自己株式の取得
    当期実施:取得株式数の上限400万株、取得総額の上限100億円
    ⇒ 自己株式の取得が実現された場合には、当社のROEは更なる改善が見込まれ、建設業セクターにおいて上位の水準となる


    (3)当社経営陣の独立性が確保された事業遂行を継続する必要があること

    当社の業績は極めて安定的かつ良好に推移しており、今後も現在の経営体制を維持した経営を継続していくことが最適であると判断している

    前田建設による当社株式の保有:当社の経営の独立性に対する重大な憂慮であると判断せざるを得ない事態

    ⇒ 今後も当社経営陣の独立性が確保された事業遂行を行うことこそが、当社の持続的な企業価値向上に資するものであると判断しており、前田建設との資本関係の解消は、当社の企業価値を維持・向上するために必要な施策であるといえる

    前田建設の姿勢:本提案に対して積極的な姿勢を示す場合
    ⇒ 当社が保有する前田建設株式の全てについて、売却その他前田建設との協議に従って処分を行う予定


    3.株価終値推移(円)
           1/17  1/20   1/21
    前田建設工業 1,022 1,083  1,098
    前田道路   2,633 3,135  3,835


    < 前田建設工業による当社株式に対するTOBに関するお知らせ >
    http://www.maedaroad.co.jp/ir/2020/info_20200120-2.pdf

    2020/1/20
    前田建設工業及び前田建設の完全子会社である前田総合インフラより、前田総合インフラによる当社株式対象のTOB開始に関し公表

    ⇒ TOBの公表は、当社に対して何ら正式な連絡もなく、一方的かつ突然に行われたもの


    < 前田道路(1883)(「対象者」)に対するTOBの開始に関するお知らせ >
    https://www.release.tdnet.info/inbs/140120200120448104.pdf

    2019/12/4
    前田建設工業 ⇒ 対象者へTOB等を提案

    12/6
    対象者 ⇒ 前田建設工業へに対し、 否定的な回答

    12/13
    前田建設工業 ⇒ 対象者に対し、粘り強く資本関係強化の必要性及び重要性について再度説明

    12/20
    対象者 ⇒ 前田建設工業の提案に対し、改めて否定的な回答

    1)今後、さらに対象者に対して協議を求めたとしても、対象者から、TOBを含む資本関係の強化に対する賛同を得られる見通しがないと考えたこと

    2)総合インフラサービス企業グループへの移行は一刻を争う切迫した課題であり、速やかにその実現に向けて始動する必要があると考えたこと

    ⇒ 前田建設工業は、本TOBについて対象者との間の協議を打ち切り、本TOBを実施することを決定した

    TOB価格:3,950円/株(公表日の前営業日である2020/1/17の東証終値2,633円に対して 50.02%プレミアム


    <感想>
     本件は、前田建設工業のTOBに対する、前田道路からのカウンター・オファー。そもそも50年以上前の高野建設時代に出資を受けたことが問題だったのであろうか。
     お互いがじっくり本音で話し合えれば、解決策が見つかる可能性もあるだろう。今後の両社の対応/動向を注視して行きたい。

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大塚家具に見る代表取締役の解任?


  • 【 大塚家具に見る代表取締役の解任 】


     以下は2014年から2015年にかけての大塚家具(8186)の事例。


    2014/7/23
    代表取締役社長の異動(解任)
    http://www.idc-otsuka.jp/company/ir/tanshin/h-26/h26-7-23.pdf

    異動の理由
    経営環境の変化を鑑み、機動的な経営判断を行うことを目的

    大塚久美子:代表取締役社長 ⇒ 取締役


    2015/1/28
    代表取締役の異動
    http://www.idc-otsuka.jp/company/ir/tanshin/h-27/h27-1-28.pdf

    大塚勝久:代表取締役会長兼社長 ⇒ 代表取締役会長
    大塚久美子:取締役 ⇒ 代表取締役社長


    2015/2/17
    株主提案に対する当社取締役会の意見
    http://www.idc-otsuka.jp/company/ir/tanshin/h-27/h27-2-17.pdf

    当社は、下記株主より受領した下記提案に反対することを決議

    提案株主:大塚勝久(3,500,000株保有)
    株主提案の概要
    <議題1>
    取締役10名(大塚勝久、他9名)選任の件
    <議題2> 
    監査役2名選任の件

    当社取締役会の反対理由:
    1.経営体制の刷新による経営改革の断行
    2.会社提案が当社の企業価値・株主共同の利益の向上の観点から最良の選択肢であること
    3.株主提案が承認された場合の企業価値毀損のおそれ


    2015/3/12
    会社側提案に対する議決権行使のお願い
    http://www.idc-otsuka.jp/company/ir/tanshin/h-27/h27-3-12.pdf


    2015/3/27
    代表取締役の異動に関するお知らせ(総会の結果)
    http://www.idc-otsuka.jp/company/ir/tanshin/h-27/h27-3-27-2.pdf
    大塚勝久:代表取締役会長 ⇒ 任期満了により取締役を退任


    <感想>
     本件は、2014年度の大塚家具における代表取締役の異動/解任の事例。
     親子間の感情的対立の解消を祈念している。

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代表取締役の辞任に至る背景?



【 代表取締役の辞任 】


 以下は、代表取締役の辞任までの一事例。


1.代表取締役の異動:2019年4月10日
https://ssl4.eir-parts.net/doc/1448/tdnet/1691298/00.pdf

(1)異動理由
今般の決算延期の状況を鑑み、経営体制の変更を行い、一日も早い信頼回復に向けて取り組んでいく

(2)異動内容
森岡篤弘 代取会長兼社長CEO ⇒ 取締役
森岡直樹 取締役グループ営業管理本部長 ⇒ 代取社長CEO


2.取締役の辞任:4月18日
https://ssl4.eir-parts.net/doc/1448/tdnet/1693274/00.pdf

辞任取締役 森岡篤弘
辞任の理由 第三者委員会*の調査結果を踏まえ、経営責任を重く受け止め、本日付で取締役を辞任したい旨の申し出があり、当社はこれを受理
* http://tsuruichi.blog.fc2.com/blog-entry-1683.html


<感想>
 本件は、代表取締役の異動とその8日後に元代表取締役が取締役を辞任した事例。
 プレスリリースからは、取締役会で代表取締役が解職された(会社法第362条2項3号)訳ではなく、本人の意思で辞任したように見えるが、そこに至る背景がとても気になる。

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東芝機械がニューフレアテクノロジーのTOBに応募?


  • 【 東芝機械:ニューフレアテクノロジーのTOBに応募 】


     2020/1/15、東芝機械(6104)が、「ニューフレアテクノロジー株式(6256)に対する公開買付けへの応募および特別利益の計上(見込み)に関するお知らせ」を発表した。
    https://www.toshiba-machine.co.jp/documents/jp/ir/library/kohyo/2020/20200115.pdf


    『当社は、2020年1月15日開催の取締役会において、当社が保有するニューフレアテクノロジー (「NFT社」)の普通株式について、東芝デバイス&ストレージ(「東芝D&S社」)が実施する公開買付け(「TOB」)に対して応募することを決議した』


    1.応募に応じた背景
    東芝D&S社は、NFT社の普通株式 6,000,100株(所有割合:52.40%)を保有

    HOYA(「HOYA社」)より2019年12月13日付で開示された「NFT社に対するTOBの開始予定に関するお知らせ」に対し、東芝D&S社は2019年12月20日付で開示した「(開示事項の経過)NFT株式(6256)に対するTOBの開始に関するお知らせ」に記載のとおり、HOYA社のTOBに応募しないことを決議したことから、 HOYA社がTOBの下限と定めている 7,634,000株(所有割合:66.67%)が成立する見込みがなくなったと判断した

    当社は、この事情に加えて、東芝D&S社とNF T社の事業上のシナジーを検討した結果、本TOBに応募することとした


    2.本TOBに応募する所有普通株式数
    全所有株式1,808,900株(所有割合:約15%)


    3.本TOB価格 
    普通株式1株につき金11,900円


    4.本TOBの日程
    TOB開始公告:2019年11月14日
    TOB期間:2019年11月14日〜2020年1月16日


    5.業績への影響について 
    本TOBが成立し、当社が保有するNFTの全株式を売却した場合、2020年3月期第4四半期に
    おいて、約100億円の投資有価証券売却益を特別利益として計上する見込み


    < 東芝機械株式の大量保有変更報告書 >
    報告義務発生日:2019/11/29
    提出者:オフィスサポート・村上絢・エスグラントコーポレーション(村上ファンド系)
    保有目的:投資及び状況に応じて経営陣への助言、重要提案行為等を行うこと
    株券等保有割合:9.19%
    簿価:約2,182円
    1/16終値:3,090円
    含み益:約25億円


    < NFT株式の大量保有変更報告書 >
    報告義務発生日:2019/12/20
    提出者:南青山不動産(村上ファンド系)
    保有目的:投資及状況に応じて経営陣への助言、重要提案行為等を行うこと
    株券等保有割合:3.21%
    (11/29義務発生日時点:6.22%)
    簿価:約11,889円
    1/16終値:11,850円
    ⇒対抗TOB等による株価上昇を見込んだ購入?
    ⇒12/13(終値13,530円)〜12/20(同12,300円)で約3%相当分を売却。その後も売却継続か?
    (5%割れでその後の動きは不明)


    <感想>
     本件は、HOYAが予定するTOB価格(@12,900)より千円低い価格で、東芝D&S社が実施するNFT社株式のTOB(@11,900)に東芝機械が応募したもの。
     今後、東芝機械の大株主の村上ファンド系に動きがあるのか、注目したい。

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イラン司令官殺害は自衛行為?

 

【 国連憲章と憲法の自衛権 】


 2019/1/8、ロイターに「イラン司令官殺害は自衛行為、米が国連に正当性主張」の記事が掲載された。
https://jp.reuters.com/article/usa-un-Iran-idJPKBN1Z80D8


『米国は8日、国連安全保障理事会に宛てた書簡で、イラン革命防衛隊のソレイマニ司令官殺害を国連憲章第51条に基づく自衛措置と説明。米国人と権益を守るため「必要なら」中東で追加的行動を取ると表明した。』


< 国連憲章 >
https://www.unic.or.jp/info/un/charter/text_japanese/
第51条
この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。この自衛権の行使に当って加盟国がとった措置は、直ちに安全保障理事会に報告しなければならない。また、この措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持または回復のために必要と認める行動をいつでもとるこの憲章に基く権能及び責任に対しては、いかなる影響も及ぼすものではない。


武力攻撃が生じた場合:
1.安保理が必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない
2.自衛権の行使に当って加盟国がとった措置は、直ちに安保理に報告しなければならない


< (日本国)憲法と自衛権 >
https://www.mod.go.jp/j/approach/agenda/seisaku/kihon02.html

1.個別的自衛権
憲法前文で確認している「国民の平和的生存権」や憲法第13条が「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利」は国政の上で最大の尊重を必要とする旨定めている趣旨を踏まえて考えると、憲法第9条が、わが国が自国の平和と安全を維持し、その存立を全うするために必要な自衛の措置を採ることを禁じているとは到底解されない


2.集団的自衛権
 パワーバランスの変化や技術革新の急速な進展、大量破壊兵器などの脅威などによりわが国を取り巻く安全保障環境が根本的に変容し、変化し続けている状況を踏まえれば、今後他国に対して発生する武力攻撃であったとしても、その目的、規模、態様などによっては、わが国の存立を脅かすことも現実に起こり得る

 現在の安全保障環境に照らして慎重に検討した結果、わが国に対する武力攻撃が発生した場合のみならず、わが国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これによりわが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合において、これを排除し、わが国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないときに、必要最小限度の実力を行使することは、従来の政府見解の基本的な論理に基づく自衛のための措置として、憲法上許容されると考えるべきであると判断するに至った

 


< 憲法第9条のもとで許容される自衛の措置としての「武力の行使」の新三要件 >
・わが国に対する武力攻撃が発生したこと、またはわが国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これによりわが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること

・これを排除し、わが国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないこと

・必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと



<感想>
 以下の判断が速やかにできることを祈念している。
1)「国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険」であるか
2)「必要最小限度の実力行使」の範囲


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そもそもはイラク国内のイラン批判の矛先を米国に向けるため?


【 イラク国内:イラン批判の矛先を米国に向けるため 】


 以下は、1月3日のロイター記事からの概要。
https://jp.reuters.com/article/iraq-security-soleimani-idJPKBN1Z5111


< イラン批判の矛先を米国に向ける >

昨年10月中旬、イラン革命防衛隊を指揮するソレイマニ司令官は、イラクのシーア派民兵組織の協力者(トップはアブ・マフディ・アル・ムハンディス氏)に、イランが提供する先進的な兵器を使ってイラク駐留米軍への攻撃を強化するよう指示

会合が開かれたのは、イランの影響力拡大に反発するイラク民衆の抗議が勢いを増していた時期

ソレイマニ氏には、米軍に対する武力反撃を挑発し、イラク国民の怒りの矛先を米国に向ける狙いがあった

同司令官の策動は、最終的に、3日の米国による攻撃を誘発。彼自身とムハンディス氏は首都バグダッドに向かう途中、搭乗する車列が空爆を受けて死亡し、米国・イラン両国間の緊張は一気に高まった


<感想>
 イラク大統領が、イランの米軍のイラク駐留基地をミサイルで攻撃したことについて、主権侵害にあたるとして非難した。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO54194130Z00C20A1000000/

 なかなかシナリオ(イラク国民の怒りの矛先を米国に向ける)通りには行かないのが現実のようだ。

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取締役選任議案の否決事例?


  • 【 アスクル:取締役選任議案の否決 】


     本年度の株主総会における取締役選任議案が否決された事例として、記憶に新しいのが、2019/8/2開催のアスクル(2678)事案。


    1.取締役選任議案(第2号案件)否決(8月2日)
    https://pdf.irpocket.com/C2678/GDpy/I9lu/ponO.pdf

    (1)代表取締役
     岩田彰一郎社長/CEO ⇒ 退任
     ※同日の取締役会で、吉岡晃取締役が新社長/CEOに就任(←取締役 BtoCカンパニー最高執行責任者(COO))

    (2)社外取締役
     戸田 一雄・宮田 秀明・斉藤惇 ⇒ 退任


     以下は、8月2日以降においても大株主ヤフーに対して複数の挑戦的な内容。


    2.総会第2号案件(上記1)に係る賛成割合のお知らせ(8月5日)
    https://pdf.irpocket.com/C2678/GDpy/bfaJ/igtI.pdf

    < ヤフー/プラス(共同保有者分を含む)の議決権行使を除いた賛成割合 >

     岩田彰一郎 75.7%
     戸田一雄  95.6%
     宮田秀明  94.7%
     斉藤惇   93.2%

    特に独立社外取締役候補であった戸田氏、宮田氏、斉藤氏の賛成割合はいずれも9割を超えており、少数株主から圧倒的な支持を得ていたことが判明
    この結果から、今回のヤフー・プラスの行った一連の行為は、少数株主の意思と合致しているものとは到底言えず、当社は改めて遺憾であることを表明する


    3.支配株主等に関する事項について(8月20日)
    https://pdf.irpocket.com/C2678/PMgI/ewC3/KkpP.pdf

    < 会社側の認識 >

    (1)ヤフーは議決権の45.1%を所有するが、同社からの制約なく、当社の独立性は確保されていると認識

    (2)独立社外取締役不在に対して、大いなる憂慮すべき事態と認識


    4.(暫定)指名・報酬委員会の設置および同委員の選定について(9月12日)
    https://pdf.irpocket.com/C2678/vXXx/szmm/lRwF.pdf

    当社の独立社外取締役には、経営陣のみならず支配的株主(ヤフー社/プラス社)からの独立性が強く求められること、また、透明性、公平性、客観性を担保して独立社外取締役選任のプロセスを進めることが必須であることを考慮し、本日開催の取締役会において、独立社外取締役不在の状況下における次善の策として、暫定的に顧問弁護士(2名)*、独立社外監査役(2名)および当社代表取締役社長を委員とする指名・報酬委員会を設置することを決定し、あわせて以下のとおり5名の指名・報酬委員を選任した

    *新たに本日付けで顧問契約を締結。両氏は過去において当社の顧問弁護士を含め契約関係にあったことはなく、一切の利害関係はない


    <感想>
     本件は、アスクルの定時株主総会で大株主(ヤフー/プラス)が取締役の選任を否決した事例。
     それ以降も会社側のスタンスは一向に変わらないように見える。何とも不思議な会社である。

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自衛隊の中東派遣は情報収集のため?

    • 【 閣議決定:船舶の安全確保に関する政府の取組について 】


       2019/12/27、「船舶の安全確保に関する政府の取組について」が閣議決定された。
      https://www.mod.go.jp/j/approach/defense/m_east/20191227kakugi.html

       以下は、一部抜粋。


      3.自衛隊による情報収集活動

       中東地域においては、日本関係船舶の防護の実施を直ちに要する状況にはないものの、中東地域で緊張が高まっている状況を踏まえると、日本関係船舶の安全確保に必要な情報収集態勢を強化することが必要である。そのため、我が国から中東地域までの距離、この地域における活動実績及び情報収集に際して行う各国部隊・機関との連携の重要性を勘案し、自衛隊による情報収集活動を行うこととする。

       この自衛隊による情報収集活動は、政府の航行安全対策の一環として日本関係船舶の安全確保に必要な情報を収集するものであり、これは、不測の事態の発生など状況が変化する場合への対応として以下(4)に定める自衛隊法第82条に規定する海上における警備行動(「海上警備行動」)に関し、その要否に係る判断や発令時の円滑な実施に必要であることから、防衛省設置法第4条第1項第18号の規定に基づき実施する。


      (4)不測の事態の発生など状況が変化する場合への対応
       不測の事態が発生するなど状況が変化する場合には、関係省庁は連携して状況の把握に努め、相互に緊密かつ迅速に情報共有するとともに、政府全体としての対応を強化する。その上で、当該状況への対応として、自衛隊による更なる措置が必要と認められる場合には、自衛隊法第82条の規定に基づき、海上警備行動を発令して対応する。当該発令に際しては、迅速な意思決定に努めることとする。
       海上警備行動に際してとり得る措置は、旗国主義の原則をはじめとする国際法を踏まえ、保護対象船舶が日本籍船か外国籍船かの別、侵害の態様といった個別具体的な状況に応じて対応することとなる。』


      自衛隊法第82条
      (海上における警備行動)
       防衛大臣は、海上における人命若しくは財産の保護又は治安の維持のため特別の必要がある場合には、内閣総理大臣の承認を得て、自衛隊の部隊に海上において必要な行動をとることを命ずることができる。


      防衛省設置法(第4条第1項第18号)
      (所掌事務)
      第4条 防衛省は、次に掲げる事務をつかさどる。

      18 所掌事務の遂行に必要な調査及び研究を行うこと。


      <感想>
       現状の中東情勢を鑑みると、自衛隊の中東派遣において、不測の事態が発生した際の海上警備行動が迅速に発令できるのかをシミュレーションしておく必要があろう。
       閣議決定ではなく、野党の協力による、この点を含めた国会での真摯な議論を期待したい。

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株主提案による取締役の解任と選任?


【 アルファクス・フード・システム:取締役解任/選任 】
 

 昨日のレオパレス21の株主提案事例に続いて、本日はアルファクス・フード・システム(3814)の2014/10〜12の株主提案による取締役の解任/選任事例。


1.臨時取締役会による代表取締役の解職
http://www.second-opinion.co.jp/wp-content/uploads/2018/08/b68fc32f9bdf30f70f9106aa5c0067ba.jpg

2014/10/18 
取締役5名のうち、代表取締役田村氏を除く4名の賛成により同氏を代表取締役から解職し、松崎取締役を代表取締役にする動議が承認・可決


2.定時株主総会の株主提案による取締役の解任/選任
http://www.second-opinion.co.jp/wp-content/uploads/2018/08/80e91c9e7d45d47ad50438e05737bd82.jpg

2014/12/28
1)田村氏からの株主*提案(取締役4名の解任/新取締役の選任)が承認・可決
2)総会後の取締役会で田村氏が代表取締役に就任
* 発行済の約48%、除自己株式の議決権ベースの51%超を保有


<感想>
 本件は、一旦は取締役会で代表取締役を解職された社長が、逆に、株主提案によって解職に追い込んだ取締役4名を株主総会で解任した事例。 
 取締役4名は、第三者割当増資により議決権の過半数確保を目指したが、地裁から新株式発行の差止仮処分の決定を受けて、結果的に敗北した。
 議決権の過半を押さえた、負けない戦いとしない限り、勝ち目はない。

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村上ファンド側がレオパレス21宛て臨総招集請求?


  • 【 レオパレス21:村上ファンド側からの臨総招集請求 】



     2019/12/27、レオパレス21(8848)から、「株主による臨時株主総会(臨総)の招集請求に関するお知らせ」が発表された。
    https://www.leopalace21.co.jp/ir/news/2019/pdf/1227.pdf

     以下は、その概要。


    1.本請求株主
    株式会社レノ
    株式会社エスグラントコーポレーション

    < 12月11日報告義務発生日の大量保有変更報告書 >
    共同保有者・株券等保有割合
    レノ・0.2%
    エスグラントコーポレーション・6.2%
    大村将裕・0.2%
    シティインデックスイレブンス・7.6%
    合計 14.5%

    保有株式総数:35,413,600株
    取得資金:10,042百万円
    簿価:283.6円
    (1月7日終値369円:含み益約30億円)


    2.本請求の内容
    (1) 株主総会の目的である事項
    議題1:取締役10名解任の件(解任対象取締役:宮尾文也、蘆田茂、斜木克彦、岡本誠司、早島真由美、児玉正之、田矢徹司、笹尾佳子、村上喜堂、古賀尚文)

    議題2:取締役3名選任の件(候補者:大村将裕、福島啓修、中島章智)

    (2) 招集の理由(要旨)  
    当社の現経営陣には、 

    1)当社が開発・販売した集合住宅において界壁工事がなされていないという施工不備問題が発覚して以降、業績予想の大幅な下方修正を繰り返し、不適切な情報開示を許容していること

    2)本件施工不備問題に関する調査・改修工事の完了時期について、その公表から短期間の後に延期を発表しており、本件施工不備問題を解決する能力が欠けていること

    3)当社が 2018年5月から8月にかけて行った自己株式取得により分配可能額の欠損を生じさせており、これに関する欠損填補責任を負うこと

    といった問題点があるため


    3.スケジュール
    基準日   2020年1月24日(金曜日)
    臨総開催日 2020年2月下旬ないし3月上旬を目処


    <感想>
     本件は、村上ファンド側からのレオパレス21宛て、取締役解任/選任に関する臨総の招集請求。
     臨総で過半数超の賛同を得ることができるか。今後の進展に注目していきたい。

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Jフロントリテイリングが完全子会社化目的でパルコをTOB?


【 Jフロント:パルコへのTOBによる完全子会社化 】


 2019/12/26、Jフロントリテイリング(3086。Jフロント)が、パルコ(8251)の株式公開買付け(TOB)を発表した。
https://www.j-front-retailing.com/_data/news/191226_tob_ppt_J.pdf

 以下はその概要。


1.TOB概要
・TOB価格:1,850円/株(12/25終値1,364円の35.6%のプレミアム)
・買付予定株式数:Jフロント保有株式及びパルコ保有自己株式を除くすべて
・買付総額:約658億円


2.資本関係の経緯
2012/3 パルコ株式33.2%を取得し持分法適用関連会社化
2012/8 TOBにより約65%まで追加取得し連結子会社化


3.完全子会社化で目指すシナジー
(1)小売・不動産事業グループとしての事業基盤強化

(2)マルチサービスリテイラーとしての発展に向けた関連事業強化

(3)経営効率の向上

(4)人材の相互交流を通じたノウハウの共有による競争力強化


4.株価終値推移
(1)Jフロント
12/25 1,432円、12/26 1,436円、12/27 1,511円
12/30 1,530円、1/6 1,585円

(2)パルコ
12/25 1,364円、12/26 1,378円、12/27 1,678円
12/30 1,845円、1/6 1,848円


<感想>
 本件は、Jフロントによるパルコの完全子会社化目的のTOB。Jフロント株価を見る限り、市場は好感した模様。
 今後の人口減少等の環境変化に対応した、斯の種のTOB案件は益々増えるものと思われる。

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ゴーンの依頼人弁護士が日本の司法制度を絶望?


【 日本の司法制度への絶望 】


 2019/1/4、カルロス・ゴーンの依頼人である高野弁護士は「彼が見たもの」というタイトルでブログを更新した。
http://blog.livedoor.jp/plltakano/archives/65953670.html

 以下はその一部抜粋。


クリスマス・イブの昼下がり、島田一裁判官が1ヶ月ぶりに認めた妻との1時間のビデオ面会に私は立ち会った。二人はお互いの子どもたち、親兄弟姉妹その他の親族や友人、知人ひとりひとりの近況や思い出話を続けた。話題が尽きない。そろそろ制限時間の1時間が経とうとするとき、彼はノート・パソコンの画面に向かって言った。

「君との関係は、子供や友人では置き換えることはできない。君はかけがえのない存在だ。愛してるよ、Habibi。」

私は、日本の司法制度への絶望をこのときほど強く感じたことはない。ほとんど殺意に近いものを感じた。

「カルロス、とても申し訳ない。本当に日本の制度は恥ずかしい。一刻も早くこの状況を改善するために私は全力を尽くすよ。」

返事はなかった。彼は私の存在などないかのように、次の予定を秘書と確認していた。

その1週間後、大晦日の朝、私はニュースで彼がレバノンに向けて密出国したことを知った。まず激しい怒りの感情がこみ上げた。裏切られたという思いである。

しかし、彼がこの国の司法によって扱われてきたことを思い返すと、怒りの感情は別の方向へ向かった。実際のところ、私の中ではまだ何一つ整理できていない。

が、一つだけ言えるのは、彼がこの1年あまりの間に見てきた日本の司法とそれを取り巻く環境を考えると、この密出国を「暴挙」「裏切り」「犯罪」と言って全否定することはできないということである。彼と同じことをできる被告人はほとんどいないだろう。しかし、彼と同じ財力、人脈そして行動力がある人が同じ経験をしたなら、同じことをしようとする、少なくともそれを考えるだろうことは想像に難くない。

それは、しかし、言うまでもなく、この国で刑事司法に携わることを生業としている私にとっては、自己否定的な考えである。寂しく残念な結論である。もっと違う結論があるべきである。

確かに私は裏切られた。しかし、裏切ったのはカルロス・ゴーンではない。

*これは私の個人的な意見であり、弁護団の意見ではありません。


<感想>
 上記は、カルロス・ゴーンの依頼人の高野弁護士の個人的なブログ。
 今後、ゴーン側海外勢 vs 日本の司法制度となった場合、日本側が糾弾されるような気がしてならない。

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遊び尽くす人生?


【 堀江貴文:遊ぶが勝ち! 】


 2020/1/4、現代ビジネスに、『堀江貴文さんが語る2020年、「本気で遊び尽くす人」が生き残る』が掲載された。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/69550

 以下はそのキーワード。


・大切にしているもの:「時間」「自由」「情報」「健康」、そして「遊び」

・大切にしていること:人生を遊び尽くすこと──

・常になにか理由を持ち出して、自分ができないことの言い訳にしている人こそ、人生を無駄にして生きている人だと思う

・時間:人生で「やりたいこと」をするためになにより必要な資源

・「好奇心」:「やりたいこと」を駆動させる原動力。時間の次に大切

・もっとも大切なのは「行動」すること

・他人と差別化できるかどうかは、ひとえに「情熱」にかかっている

・いまなにかに徹底的にハマること。そして、情熱の赴くままに続けていくこと
⇒ やがて思いがけない成功につながっていく

・がまんするな
・嫌々やるな
・楽しいことだけをしろ

・まわりからどう見られるかなんて、一切気にするな

・やりたいことをしているだけで他人から叩かれたなら、それは最高の宣伝になったと考えたほうがいい

・常識なんか捨て去って、レールから外れて、自分だけの考えに従って生きてみよう

・人生を、目一杯遊び尽くせ!


<感想>
 ここに記されているように、今年も(上司にどう思われようが)やりたいことをやり続けて行きたいと思う。

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箱根駅伝の出場を逃した背景?


【 山梨学院大学:箱根駅伝の出場を逃した背景 】


 2020年の箱根駅伝は、青山学院大学の復活優勝で終わった。
 出身県の山梨学院大学は33年連続の出場を逃したが、その背景には何があったのだろうか。


1.駅伝監督の変更

 2019/2に、駅伝新監督に飯島コーチが昇格し、上田監督は陸上部の監督に

陸上競技部メッセージ
https://www.ygu.ac.jp/sports/long-ekiden/about/about_message.php

陸上競技部 上田監督
地方の大学に箱根は無理と言われる中から立ち上がり、果敢にチャレンジし、そして何度も優勝を成しえてきた。山梨学院の陸上競技部は "チャレンジ" から始まったチームです。そして、夢を簡単に手放さないチームです。
箱根は各自がめざす目標の延長線上、または通過点としてチームの中に存在しています。


陸上競技部 飯島駅伝監督
箱根はチームとして大きな目標ですが、駅伝のほかにもトラック種目からマラソンまで様々なレースがあります。各選手の適性を見極めながらそれぞれの目標達成をサポートするのがコーチの役割。選手に年齢が近いので、いろんな悩みの相談も引き受けています。僕らの選手時代に比べれば環境は格段に良くなりました。箱根のみならず、日本のトップ、世界のトップをめざす選手を育てていきたいですね。大きな夢を持っていいと思います。


2.2019/10/26 競走予選会 試合結果

総合17位 11時間6分14秒

https://www.ygu.ac.jp/sports/long-ekiden/schedule/result.php?y=2019&r=1479#rl3728_tp

個人結果(上位3名)
10位 63’38 ボニフェス ムルア(1年)
90位 65’30 渡邊 晶紀(2年)
140位 66’16 日影 優哉(3年)

Comment
総合17位となり、33年続いてきた箱根駅伝連続出場が途切れる形になってしまいました。
来年の予選会でこの悔しさを晴らし、必ず箱根路へ戻ります。


<感想>
 駅伝監督が往年の上田氏から飯島氏へ変更されたのが昨年2月。
 両者間の考え方の違いに出場を逃した背景があったとは思い過ぎであろうか。

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夏目漱石の木屑録?


【 伯父と漱石 】


 本家を元日の挨拶に訪ねた際、(この1月に91歳になる) 酔った伯父から夏目漱石の話などを聞いた。


 昔は「明暗」などをよく読んだものだが、最近は「吾輩は猫である」が面白い。(理由は聞かなかったが、国内外情勢に対する漱石の考えが分かることもその背景か)

 森鴎外も「舞姫」、「ヰタ・セクスアリス」など読んで文章は良いと思ったが、漱石が素晴らしい。

〜「今、日経新聞の小説が、伊集院静による漱石(「ミチクサ先生」)で、ちょうど正岡子規と出会った頃の話」との私の返しに〜

 その頃、房総の旅行を書いたものが『木屑録』で、英文科ながら漢文で記したもの。これには子規も驚いた。
 本来、朝日新聞で連載されるべきかなぁ。

〜12月30日の「ミチクサ先生」より〜
『木屑録(ぼくせつろく)』と題された旅行記は、金之助が初めて創作したまとまったものである。しかしこれはたった一人の読み手のために創作された作品であった。
読み手とは、勿論(もちろん)、子規こと正岡常規である。


 人生とは難しい。長年連れ添っている嫁のことも未だによく分からない。

 自分で年齢毎に決めてきた。花屋を止める、車の免許の返上・・・


<感想>
 祖父が商売をやっていたためか、商学部に行った伯父。機織り屋をたたみ、長年花屋をやっていたが、でもしか先生と馬鹿にしていた、文学の先生などをしていたらどうだったのだろうか。

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