「小さいおうち」
「小さいおうち」(中島京子著、文藝春秋)より
「ときどき、うちに頭のいい女中がいたらと、思うことがあるんだよ。僕が書いたものを、世間へ出さないでおこうと思えば暖炉にくべて、世間へ出してしまえば気持ちが楽になるがどうも出せないと迷っているようなものを、さっさと投函してくれるような女中がね」
「いちばん頭の悪い女中は、くべてはいけないものを火にくべる女中。並の女中は、くべておきなさいと言われたものを火にくべる女中。そして優れた女中は、主人が心の弱さから火にくべかねているものを、何も言われなくても自分の判断で火にくべて、そして叱られたら、わたくしが悪うございました、という女中なんだ」
>>タキさんは、優れた女中さんだったと思う