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キリスト教世界は自由貿易を重視しない?


【 日本型資本主義 その精神の源 】


 先日、寺西重郎著「日本型資本主義 その精神の源」を読んだ。

 以下はその一部抜粋。


< 自由貿易システムの問題 >

 宗教的基盤に立つ精神の視点からは、アメリカなど西洋のキリスト教世界の立場は、基本的に自由貿易を重視しないことに特色がある。キリスト教的精神を人類全体に広める、あるいは自己の世界観に立った世界秩序を構築する、という目的に対しては、各国経済の個性や要素賦存に基づく自由な発展形態をもたらす自由貿易は、ある意味で逆の効果をもたらすからである。キリスト教的な人類の厚生を高めるという使命は、自由貿易ではなく自由な要素移動によって達成されるほうが望ましいのである。

 アメリカがしばしば歴史上で一国孤立主義を主張し、個別の産業利害を前面に押し出す自由貿易否定の動きに傾いてきたことはこうした点に基本的な理由があるのである。同様に英米が金融資本主義の興隆を国是のようにして、官民一体となって推進しようとすることの裏には、自由貿易によらずして、金融のグローバル化によって世界経済の効率化と人類の幸福の増進という宗教的使命を達成したい、という思惑があるとみる必要がある。

 さらに言うなら、この点において英米的な価値観の特質が鮮明に現れている。真に人類の幸福を感がある考えるならば、各国の多様な形での発展によって、世界が創造性を高めることが必要であると考えるのが普通であろう。しかし英米的な価値観では、自分たちの構築してきた社会の普遍的価値を固く信じているために、英米的システム一色に世界を塗りつぶすことが、人類のためになると固く信じているとも考えられる。

 いずれにしても、日本としては日本の経済社会のよさを今後とも進化させ、そのよさを世界に向かって積極的に発信する必要がある。すなわち、日本の伝統的な資本主義の精神、すなわち身近な他者との深い交わりを大事にして、人格者陶冶としての労働を尊び、自然とともに生きる姿勢を持つなどの、世界に発信すべき価値の視点から、自由貿易の主張を組み立て、かつ要素市場のグローバル化の意味を考える必要があろう。


<感想>
 英米の金融のグローバル化による、世界経済の効率化と人類の幸福の増進という宗教的使命 vs 
日本の身近な他者との深い交わりを大事にした、自由貿易。
 日本の経済社会のよさを世界に共感させられれば、日本的自由貿易をより進化させることができるに違いない。

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成功する確率が一番高いのは事業所得者?


【 年収1億円になる人の習慣 】


 先日、日本最大級の240店舗を展開する美容室「EARTH」を運営するアースホールディングスの山下誠司取締役著「年収1億円になる人の習慣」を読んだ。

 以下はその内容からの抜粋。


【 習慣 27 】
 年収1億円を狙うカテゴリーは、
 「経営者」が、一番ハードルが低い

 私は、「職業」を4つのカテゴリーに分けて考えています。

【1】事業所得者(ビジネスオーナー、起業家、権利所得者)
【2】投資家(事業投資家)
【3】労働者(サラリーマン)
【4】自営業者(個人事業主、税理士、職人、スポーツ選手、専門家)

 そして、この中でもっとも「年収1億円」の可能性が高いのは、「【1】事業所得者」だと考えています。

 その理由を私は次のように考えています。

◎専門的な能力を必要としない
 芸能人、スポーツ選手、医師、弁護士などとは違って専門的な能力を必要としません。

◎自分が働くだけではなく、「自分以外」も働いてくれる
 自分の不得意分野は、迷わず得意な人の力を借りることができます。

◎自分の時間のすべてを「仕事」に注ぐことがてきる
 経営者の特権は、労働基準法が適用されないことです(労働基準法は労働者を保護するもの)。とにかく時間を使えます。

◎成功する確率が高い
 中小企業庁が発行する『中小企業白書』(2016年)によると、「起業後、10年後には約3割の企業が退出」するそうですが、見方を変えると「約7割の企業が継続している」といえます。

 私は「経営者はサラリーマンより優秀だ」と言いたいのではありません。私よりも優秀なサラリーマンは大勢います。ですが、優秀な彼らが「年収1000万円」に届いていないのであれば、企業という枠組みの中で、才能を活かしきれていないからではないでしょうか。10回やったら1回はうまくいくのであれば、「起業」は、もはや「リスクが高い」とはいえません。一等の当選確率が1/1000万の「宝くじ」の行列に並ぶより、よほど成功の確率は高いと思うのです。


<感想>
 本書の中で一番共感できたのがこの【習慣27】。
 事業所得者になるのに、年齢制限などない。
 確かに、仮に失敗し続けたとしても、挑戦し続けられれば、成功した事業所得者になれる確率は高まるに違いない。

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廣済堂・ベインキャピタル vs 創業家・監査役の争い?


【 廣済堂MBO:会社 vs 創業家・監査役の争い 】



 2019/2/19、廣済堂(7868)が、「当社監査役の MBO に対する反対の意見表明について」と題するプレスリリースを実施した。
https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS01383/b54cb83f/5823/4794/80e3/af4dcedafe40/140120190219479220.pdf

 以下はその概要。


1.中辻監査役と創業家株主の反対理由


(1)TOBによって当社の企業価値が向上するか否かが不明であり、企業価値を毀損するおそれがあること

(2)公正な手続を通じた株主への配慮がないこと


2.上記(1)・(2)に対する会社の反論、論点のすり替え

(1)TOBを主導するベインキャピタルは、当社の事業に対する十分な理解の下で、

ア)国内の印刷事業は上流工程、所謂マーケティング領域からの一気通貫の展開により、

i)付加価値と高収益性を生むためのベインキャピタルの保有する既存ポートフォリオの紹介

ii)それらと当社グループの協業を推進し、「インクを紙に落とす」という従来型の印刷(製造部分)の基盤を維持しつつも価格競争ではなく、印刷物(成果物) がもたらす価値を共に共有できるパートナーシップの構築を目指すこと

イ)印刷事業以外の事業(主に人材事業)についても、将来的な海外人材紹介事業の成長を見据えた上で、例えば海外現地企業とのパートナーシップ構築の支援や、M&Aを通じた 高成長セグメント事業への進出・拡大の支援といった様々な具体的な施策を提案していること

⇒ 当該施策の実行は企業価値の向上や当社の持続的な成長につながるものと評価


(2)中辻監査役への攻撃に終始

ア)中辻監査役に対しても、TOBに関して、2019/1/17開催の取締役会に先立って、当日、他の監査役に共有していた内容と同程度の内容について説明を行い、TOBの意義・内容について十分に理解いただけたものと認識していること

イ)実際に中辻監査役は、当該取締役会においてTOBへの賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対してTOBへの応募を推奨する 旨の決議を行うことに対して、異議がないことを明示した上で、決議の直後に、「成立に向けて頑張って下さい」と述べて、改めて異議がないことを示すとともに、他の取締役を激励する発言をしていること

⇒ 当社としては、TOBに関する手続について、公平性・公正性に欠けるところはないものと考えている


ウ)中辻監査役の、TOBの真の目的は、当社の現経営陣らの自己保身と、公開買付者による当社の廉価買収である可能性があるとの推測は、以下の通り該当せず

i)取締役の具体的な人数、時期及び候補者等については現時点では未定であること

ii)土井氏及びベインキャピタルの当初提示額である550円/株から610円/株にまで引き上げ、また、第三者委員会も合計11 回開催し、価格の最大化に向けて尽力

⇒ 廉価買収を企図したとの事実はない


エ)創業家株主の代理人を務め、かつ、自身が当社の株式を相当数有する株主でもある者が中辻監査役の顧問弁護士に就任した(なお、中辻監査役の顧問弁護士として名を連ねているその他の弁護士も全て当該弁護士と同じ法律事務所に所属しており、かつ、創業家株主の代理人を務める)として、当社の内部情報を複数記載した通知書が、突如、当社に届いた

⇒ 会社法第381 条第2項に基づく報告請求として、TOBに関する報告の要請あり

⇒ 中辻監査役の上記(2)イ)の言動と反し、明示的に異議を述べなかったに留まるとの主張


< 会社の強い疑念 >
 その報告先として、創業家株主の代理人を務め、かつ、自身が当社の株式を相当数有する株主でもある中辻監査役の顧問弁護士の所属法律事務所が指定されていたことから、当社としては、当該報告要請は、監査役としての職務遂行の目的ではな く、一部の特定の当社株主(の代理人)が当社の内部情報を取得する目的のために行われたものなのではないかとの強い疑念を持つに至った


< 会社の回答 >
1)取締役会での中辻監査役の言動について事実と異なる記載がされているのか理解に苦しむ

2)当社に対して善管注意義務を負う当社取締役としては、創業家株主の代理人を務め、かつ、自身が当社の株式を相当数有する株主でもある者に対して当社の内部情報を報告することには応じかねる


3)創業家株主にTOBの意義を理解いただけるよう、引き続き努力したい


3.株価終値推移

 1/17 419円、1/18 499円、1/21 579円、1/22 609円
 2/1 688円、2/5 731円、2/6 792円、2/22 711円


(ご参考)
 http://tsuru1.blog.fc2.com/blog-entry-642.html


<感想>
 本件は、廣済堂のMBOを巡る、会社側と創業家・監査役の争い 。

 予め、筆頭株主(9.6%保有)である創業家と相談することのない、敵対的TOBの変形(一形態)のようにも見える。

 株価は、TOB価格610円を上回って推移してきるため、TOBでの取得株式数は下限の66.7%を下回る可能性大。

 TOB期間終了日は3月1日。今後のTOB価格引き上げを含めた、MBOの行方を注視していきたい。

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民主党時代の「悪夢」?


【 民主党時代:「悪夢」と言われて仕方なし 】


 2019/2/18、高橋洋一さんが、現代ビジネスで『経済政策を振り返れば、民主党時代は「悪夢」と言われて仕方なし』と題する記事を掲載していた。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/59931 

 以下はその概要。


1.経済政策の評価基準
(1)雇用
(2)所得(総所得と賃金)


⇒ まず金融緩和(これに財政出動も加えて)によって有効需要を創出し、雇用を作るのがマクロ経済政策の手順

⇒ 民主党政権と安倍政権の成果の比較(添付下段部分)
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/59931?page=4 


2.典型的な失敗政策
「金融緩和を行って雇用を作る前に、先に賃金を上げてしまうと結果として雇用が失われる」

⇒ 民主党の政策


3.大学卒者の卒業年の就職率(日本)

 民主党時代(2011年):91%
 安倍政権(2018年):98%

⇒ 若い人の安倍政権政権支持が多いのは、右傾化ではなく、就職ができるようになったからであろう


< 感想 >
 大卒者の就職率を含んだ雇用や所得(総所得と賃金)の観点からは、民主党時代は「悪夢」と言われても仕方がないように思われる。

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KDDIも金融事業に注力?


【 KDDI:カブドットコム証券/じぶん銀行へのTOB/第三者割当増資 】


2019/2/12、KDDI(9433)が、カブドットコム証券(8703)・じぶん銀行の資本異動について、プレスリリースした。
https://news.kddi.com/kddi/corporate/newsrelease/2019/02/12/3594.html

以下はその概要。


1.背景・目的

< MUFG(三菱UFJFG)とKDDIとの連携 >
目的:両社のネット金融ビジネスの推進力を高め、じぶん銀行およびカブドットコム証券の双方の企業価値をさらに高めていくこと
⇒KDDIグループの顧客基盤、デジタルマーケティングリソース、ビッグデータを活用し、モバイルの利便性と金融サービスを組み合わせた新しい金融体験を創造することが必要との認識で一致
MUFGの基盤:国内個人3,400万人、国内法人130万社の強固な顧客基盤、金融ノウハウ
KDDIの基盤:auの約4,000万の顧客、約1,500万超の「auスマートパス」会員、約2,500のauショップ、決済プラットフォームなどの基盤、ITノウハウ


2.カブドットコム証券

・KDDI子会社がTOBを実施(最大約914億円)
⇒社名を「auカブコム証券」に変更

< 株式保有割合 >
異動前 MUFG 53.0%/三菱UFJ銀行 6.3%
異動後 MUFG 51%/KDDI子会社 49%


3.じぶん銀行

・KDDIが第三者割当増資 (約250億円) を引受
⇒連結子会社化&社名を「auじぶん銀行」に変更

< 株式保有割合 >
異動前 KDDI 50%/三菱UFJ銀行 50%
異動後 KDDI 63.8%/三菱UFJ銀行 36.2%


<感想>
楽天の収益*も、今や「金融事業」が「国内EC事業」を大きく上回っている。
*
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO41173300S9A210C1DTB000/
KDDIも両社を通じた金融事業の強化により、収益構造の多角化を図ったものと思われる。

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エヌ・デーソフトウェアがMBO?


【 エヌ・デーソフトウェア:MBO 】


2019/2/7、 エヌ・デーソフトウェア(3794)が、MBOを発表した。
https://ssl4.eir-parts.net/doc/3794/tdnet/1671605/00.pdf

以下はその概要。


1.MBO

マネジメント・バイアウト(MBO):公開買付者が、対象者の役員の依頼に基づき公開買付け(TOB)を行い、対象者の役員と利益を共通にする公開買付け

当社の代表取締役社長である佐藤廣志氏(「佐藤氏」)は、自身が議決権の100%を所有する資産管理会社である森の学校(所有割合:20.03%)が、TOB成立後、公開買付者に出資することを予定。また、佐藤氏は本取引後も継続して当社の経営にあたることを予定


2.公開買付者

株式会社ジェイ・ケイ・イー:
ジェイ・ウィル・パートナーズ(「JWP」)が運営管理する合同会社ジェイ・ヴイ・エー100%出資のSPC(2018/12/20に設立)

目的:当社株式の全てを取得・所有し、当社の事業を支配・管理すること

【 JWP 】
2003年4月に設立された独立系の投資ファンド運営会社。資金運用は累計3,500億円超。主に国内の地方都市を中心とし、約170件の投資実績有り

投資哲学:国内の投資家に健全な利と意義を提供することに責任を持ち続けること
⇒能動的な事業・財務支援を通じて投資先企業が本来発揮すべき価値を具現化

投資ファンドの資金の出し手:日本国内の金融機関や年金基金等を中心とする機関投資家等

主な投資実績:
2015年5月 江守グループホールディングス(福井県福井市)
2015年3月 三洋テクノソリューションズ鳥取(鳥取県鳥取市)における親会社(三洋電機)からの独立支援

< ヘルスケア(介護施設、医療機関等)領域 >
2008年8月 ボンセジュール(東京都港区)
2012年10月 生活科学運営(東京都新宿区)

ノウハウ:ヘルスケア領域・IT領域で多数の投資実績・経営支援ノウハウ等を有する

⇒ JWPのノウハウ・ネットワークを活用し、経営戦略の実行力を強化し、実現性を高めることが望ましいと考えた


3.MBOの背景

以下(a)〜(c)を考慮の上、株主には現在の市場株価に対してプレミアムを付した価格でのTOBによる売却の機会を提供し、当社が非公開会社となった後に企業成長に向けた施策を進めることが妥当であるとの結論に至る

(a)i.次世代システムの開発・導入、ii.事業領域の更なる深化・拡大の推進は、中長期的に見れば事業成長や収益安定化が見込まれるものの、 直ちに会社の利益には貢献しない可能性が相応に高く、大規模なシステム開発・導入投資、人材採用・育成の強化、新製品や技術開発のための研究開発等、経営基盤を強化するための投資の実行には相当程度の事業リスクを伴うことが想定されること

(b)アプリケーションソフトの開発・導入を推進するに当たり、従来の主力商品で あるパッケージソフトと収益構造が異なるため、業績が一時的に不安定になる可能性があること

(c)周辺事業者との連携やM&A等、当社の経営課題を早期に解決するために必要な施策について積極的に取り組んでまいりたいと考えているところ、このような非連続的成長の実現過程においては一時的に当社の収益を悪化させる可能性もあること等によって、一時的な財務状態の悪化等により当社の市場株価が下落若しくは不安定化するリスクも懸念され、安定的な収益向上を期待される当社の株主へ不利益をもたらす可能性が相応に予想されること


4.MBOの概要

TOB価格:1,700円(2/6終値1,320円に対して 28.8%のプレミアム)
TOB期間:2019/2/8〜3/25(30営業日)


5.株価終値推移
2/6 1,320円、2/7 1,321円、2/8 1,621円(ストップ高比例配分)、2/12 1,701円


<感想>
本件は、ジェイ・ウィル・パートナーズと組んだMBO。
MBOの背景にある通り、合理的な内容であるように思われる。

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NTTデータがネットイヤーGにTOB?


【 NTTデータ:ネットイヤーGにTOB 】

 2019/2/5、NTTデータ(9613)が、ネットイヤーG(3622)株式に対する公開買付け(TOB)・資本業務提携を発表した。
 
https://www.netyear.net/e/wp-content/uploads/2019/02/20190205ir_03.pdf


1.両社の強み

 ネットイヤーGの強み:オウンドメディアやアーンドメディアのデータ活用を通じた経営・マーケティング部門に対する問題解決力
 NTTデータの強み:デジタルコマース・ペイメントサービス等のソリューション、システム開発の経験やIT部門との対話能力


2.NTTデータ:TOBの目的
・両社の強みの融合
⇒両社のリソースやノウハウを密に連携させる
⇒従来提供が出来なかった広範なサービスの提供が可能となる
⇒お客様の経営・マーケティング・ITを横断した包括的なデジタルマーケティングサービスの提供を実現する国内トップクラスの企業集団となれる


3.ネットイヤーGの沿革
2003/7 Net Year Group, Inc.と資本関係を解消
2008/3 東証マザーズ上場
2011/4 筆頭株主:ソラン⇒TISへ
2016/3 同:TIS⇒コニカミノルタビジネスソリューションズ(現コニカミノルタジャパン)へ


4.TOBの概要
(1)買付期間:2019/2/6〜3/6(20営業日)
(2)TOB価格:850円/株(2/4終値416円×204.3%)
(3)買付予定株数:*2,130,200株(下限。議決権比率:30.4%)〜4,198,300株(上限。同60%)
*コニカミノルタジャパンは保有する同株式(をTOBに応募することに合意

⇒TOB成立後もネットイヤーGのブランドと経営の自主性を維持・尊重するために、上場を維持


5.株価終値推移
 2/5 416円、2/6 496円(ストップ高比例配分)、2/7 576円(同)
 (以下は想定)
 2/8 676円(同)、2/12 826円(同)


<感想>
 本件は、NTTデータによるネットイヤーG株式のTOB(出資比率60%まで)。
 これまでの筆頭株主のコニカミノルタより、NTTデータの方が、より両社の強みを融合することができるように思われる。

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伊藤忠によるデサントへの敵対的TOB?


【 伊藤忠によるデサント株式へのTOB 】

 2019/1/31、伊藤忠(8001)子会社による、デサント(8114)株式に関する公開買付け(TOB)が発表された。


1.デサントの主張
 
http://www.descente.co.jp/jp/ir/190131.pdf

・本TOBの公表は、当社取締役会に対して何らの連絡もなく、また事前協議の機会も無いまま、一方的に行われたもの

・当社としては、今後、本TOBに係る公開買付届出書等の内容その他の関連情報を精査した上で、速やかに当社の見解を公表する予定

・株主の皆様は、当社から開示される情報に十分ご留意いただき、慎重に行動していただきますようお願い申し上げる


2.伊藤忠の主張
 
https://www.itochu.co.jp/ja/ir/news/2019/__icsFiles/afieldfile/2019/01/31/ITC190131_j.pdf

・近時の対象者のコーポレート・ガバナンス体制を含む経営体制や経営方針に問題があり、その結果、対象者の今後の企業価値向上が疑問視されると判断するに至った

・そのため、伊藤忠グループとしては、対象者の更なる企業価値向上のためには、これまで以上に伊藤忠商事グループと対象者との資本関係を強化し、経営体制の見直し及び健全なコーポレート・ガバナンスの再構築を行い、対象者の成長戦略及び施策について伊藤忠グループと対象者とが建設的に協議を行える協力関係を構築する必要があると判断した

・そして、対象者の経営体制及び経営方針の見直しについて、対象者の現経営陣に対してより具体的な提案を行うとともに、対象者の関係者(対象者の株主、役職員、取引先等)との間で協議を行い、対象者の企業価値向上に向けた施策について、真剣に見直す必要があると考えた


< 伊藤忠グループが対象者株式を買い増すことが望ましいと判断した背景 >

1)対象者に対してより具体的な提案を行うのであれば、対象者の経営についてより責任を持つべく、対象者株式を一定程度買い増すことが望ましいと考えられること

2)他方で、優れた企画・開発力を有する対象者の社員の方々に、今後もその能力を最大限に発揮していただけるよう、対象者の独自性を維持する観点からは、現段階では対象者を子会社化することまでは必要ないと考えられること

3)対象者の経営体制及び経営方針が見直された場合には、対象者の企業価値は向上し、対象者株式の投資価値も向上すると考えられること


< TOBとした背景 >
・近時の対象者の株価動向や市場環境等を総合的に考慮のうえ、株価によっては対象者株式の売却を希望される対象者株主の皆様に対して適切な売却機会を提供するために、直近の市場株価に対して適切なプレミアムを付した価格でのTOBが、伊藤忠グループによる対象者株式の買い増し手続の透明性を確保するとともに、一般投資家の皆様にもご理解いただける方法であると考えたため


< TOBの買付予定数の上限を40%にした背景 >
・法令上買付予定数の上限を具体的に定める必要があることから、伊藤忠グループの考え方にご賛同いただける対象者株主の見込みの観点や、対象者の優秀な社員の皆様の能力や高いブランド力を十分に発揮できるような経営の独立性の確保という観点を総合的に考慮


< 経営体制刷新のための取締役選任議案 >
・伊藤忠らは、対象者の経営体制の見直しにあたって、TOB終了後に対象者と協議を行うことを予定しており、対象者との協議が整わなかった場合には、TOBの結果も踏まえ、対象者の経営体制の刷新のため、取締役選任に関する議案等を、本年6月に開催される予定の定時株主総会において提案する可能性がある


< 伊藤忠出身の取締役等 >
・伊藤忠から1985年に派遣された飯田洋三氏が 1994年6月に対象者の代表取締役社長に就任して以降、 2013年6月まで伊藤忠出身者が対象者の代表取締役を務め、この間、伊藤忠と対象者は信頼関係を深めていた

・2013/2/26の取締役会において、伊藤忠から派遣されていた取締役らには事前に何らの連絡もなく、石本雅敏氏(当時常務取締役)の社長昇格について決議がなされた

・なお、現在の対象者の取締役である、石本雅敏氏(現代表取締役社長)、田中嘉一氏(現取締役専務執行役員)、三井久氏(現取締役常務執行役員)、羽田仁氏(現取締役常務執行役員)及び辻本謙一氏(現取締役常務執行役員)は、2013年当時より継続して取締役を務めている

・2013年6月に石本雅敏氏が対象者の代表取締役社長となって以降、伊藤忠から派遣する対象者の取締役は代表権を持たない取締役会長及び非常勤の取締役に留まり、対象者出身の取締役中心の経営体制となってから5年超が経過

・この間、石本雅敏氏が代表取締役社長となる直前の 2013年3月期と直近の2018年3月期の対象者の業績を比較すると、連結ベースの業績で、売上高で約1.5倍、営業利益で約1.8倍、経常利益で約1.7倍まで拡大しており、業績面では一定の成果を残してきたと考えられる一方、これは主に2013/3期〜2016/3期までの韓国事業の収益拡大に拠るところが大きい

・そのため、伊藤忠から派遣されている非常勤の取締役からは、2016年3月期までの間に十分な成長を遂げてきた韓国事業に過度な成長期待をかけずに日本及びその他のエリア(特に中国)での収益拡大に取り組むべきであるという事業戦略に関する問題提起を行うとともに事業方針の見直しの検討を求めていた

・しかしながら、かかる要請について真摯に検討する姿勢が見られず、伊藤忠グループとの事業面での協働も少なくなり、 伊藤忠から派遣されている非常勤の取締役に対しても、取締役会において取締役として意見を述べるに当たっての最低限の情報のみが共有されるという事態に陥っている

・対象者の業績が韓国事業に過度に依存している状況において、韓国事業の市況低迷に起因して業績見通しが悪化したことで、伊藤忠としては対象者の企業価値が毀損する虞が増したと判断せざるを得なくなったことを受けて、2018年6月に改めて事業戦略に関する問題提起や方針の見直し、改善策の検討、実施を強く要請したものの、対象者の経営陣において真摯に検討する姿勢が見られなかったため、対象者の経営陣に危機意識を持たせ、伊藤忠からの指摘に対して真摯に対応することを期待し、2018年7月〜10月にかけて対象者株式の買い増しを行った


< 株式の買い増し >
 2018年7月 769,300株/1,975円/株(議決権の26.56%を保有)
 2018年8月  130万株/1,944円/株(同28.28%)
 2018年10月  165万株/2,411円/株(同30.46%)

・しかしながら、伊藤忠の指摘に対して経営陣から明確な回答が示されることはなく、また、 2018/8/30には、伊藤忠商事から派遣されている非常勤の取締役に事前に何らの連絡 や説明もなく、ワコールとの包括的業務提携契約の締結に関する議題が緊急動議として取締役会に付議されるなど、対象者の成長戦略及び施策について 伊藤忠らと対象者とが建設的に協議を行える関係ではなくなってしまっている

・伊藤忠らとしては、現在の対象者は、以下に挙げる経営上の問題を抱えていると考えており、対象者の経営体制に大きな懸念を抱いている


< 懸念事項 >

1)中期経営計画(Compass 2018)の目標未達と韓国事業への過度な依存

2)コーポレート・ガバナンス体制の脆弱性

3)現経営陣の社員軽視の可能性
・伊藤忠は、2018年11月中旬頃、代表取締役社長である石本雅敏氏(「石本氏」)から、特定の投資ファンド(「本件ファンド」)との間で対象者の非公開化(「本件非公開化」)について協議をしている旨の連絡を受けた

・伊藤忠は、本件ファンドから本件非公開化の内容に関する説明を受けたが、その内容は、本件ファンド傘下の事業体が多額の資金を外部から借り入れた上で本件非公開化を実行し、本件非公開化後に当該事業体と対象者の合併等を行うことで、最終的に対象者が多額の債務を負担することになるスキームであり、現在優良な上場会社の社員という立場にある社員の皆様が、本件非公開化により、財務体質が極めて不安定な非公開会社の社員の地位に置かれることになる内容だった

・伊藤忠商事は、優秀な社員の皆様の存在が対象者の企業価値向上の源泉であると判断しているところ、本件非公開化は、社員の皆様の士気を大幅に低下させることにつながり、ひいては、対象者の企業価値が大幅に低下することになると判断したため、本件非公開化に反対した。本件非公開化は、石本氏を含めた現経営陣による経営の継続を前提としたものであり、伊藤忠としては、本件非公開化は現経営陣の保身を優先し、社員の皆様を軽視している可能性のあるスキームと考えている

・なお、伊藤忠は、2019/1/30に、本件ファンドに対して、正式に本件非公開化に反対する旨を通知している


3.TOBの概要

 出資比率:現在約30%(筆頭株主) ⇒ TOB後40%(721万株取得)
 TOB価格:2,800円/株(1/30終値1,871円の49.65%のプレミアム)
 取得総額:約200億円
 取得期間:1月31日〜3月14日(30営業日)


4.株価終値推移
 1/30 1,871円、1/31 2,271円(ストップ高比例配分) 


<感想>
 本件は、伊藤忠によるデサント株式の敵対的TOB(出資比率40%まで)。
 デサント側の相談なしのMBOに対して、伊藤忠の堪忍袋の緒が切れたTOBであると言える。
 今後のデサント側の出方を注目して行きたい。

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