未成年の実名報道は世界の常識?
【 少年法第61条 】
2017/8/19の「辛坊治郎ズームそこまで言うか!」(http://www.1242.com/program/zoom/2017/08/19101710.html)で、バルセロナのテロ事件での17歳の実行犯は顔や名前が報道されたのに対して、少年法(第61条)で通常は実名報道されないのは、ダブルスタンダードでおかしいとするコメントがあった。
少年法
(記事等の掲載の禁止)
第六十一条 家庭裁判所の審判に付された少年又は少年のとき犯した罪により公訴を提起された者については、氏名、年齢、職業、住居、容ぼう等によりその者が当該事件の本人であることを推知することができるような記事又は写真を新聞紙その他の出版物に掲載してはならない。
以下は「ニッポンのアホを叱る!」(辛坊治郎著、光文社)からの一部抜粋。
『 「少年法第61条は全面的に廃止すべし」
この法律が報道を禁じているのは、「審判に付されたか起訴された」ケースだけですから、逮捕段階での報道はできるはずです。でも一度報道されてしまえば、その後、匿名にしても意味がありませんので、一律、少年事件で名前の報道はされないんですね。放送局も、この法律の規制対象になります。いったいなんのために少年法ができたのかというと、「可塑性」という言葉で説明されることが多いです。
「可塑性」とは、形が変わりやすいことを意味します。粘土細工を「塑像」っていいますよね。少年は「形の決まった」成人と違って変わりやすいから、過去の犯罪歴についてみんだが知っていると、「変わる」のに支障が出るだろうってことで、「匿名」がマスコミに義務づけられているんです。
それじゃあ、インターネットで少年たちの顔を晒すことに問題はないのか? 「少年法第61条は個人に適用されない」のが一般的な解釈です。もともとこの規定違反に罰則はなく、ネットに加害少年の顔をアップしただけで、いきなり逮捕されることはありません。でもその行為が、「名誉棄損」と判断されると、警察官に自宅に踏み込まれて、「パソコン押収」なんていう事態になることはありえます。
間違って関係ない人の写真や名前やネットに書き込むとアウトです。大津のいじめ自殺問題の際には、間違ったネット情報を拡散させた芸能人が多額の賠償金を支払わされました。
じつは少年法第61条の問題は、これらの誤報騒動に凝縮されています。ネットの書き込みの多くは匿名で行われます。つまり書き込まれた情報には、誰も責任を取る人がいないんです。なかには自分が嫌いな人物を陥れようと、何かの凶悪事件でネットが盛り上がっているタイミングで嘘情報を流す人も出るでしょう。最近のネット利用者は、そんなことは百も承知ですから、ネットでアップされている情報については、当然疑いの目を向けます。
ネットで晒された多くの少年少女たちは冤罪を被ったわけです。もし少年法第61条の縛りがなく、マスコミがしっかりと逮捕された3人の顔写真と名前を報道していれば、「冤罪」は一発で晴れます。ところがそれができないために、デマ情報が永久にネット上を徘徊することになるんです。
近年、被告人の少年に死刑判決が確定した場合に、一部メディアは「更生の可能性がなくなった」という判断から、実名報道に切り替えるケースもありますが、現状の法律のもとでは「少年法違反」で起訴を起こされる可能性もゼロではありません。公開法廷が基本の民主主義社会で、刑事裁判の被告について報道が禁じられ、どこの誰に死刑が執行されるのか、市民がまったくわからないなんて聞いたことがありません。この一点だけ見ても、少年法第61条は完全に間違ってます。
まとめます。私は、少年法第61条の削除を提案します。また、少年法の適用範囲は、国民投票年齢や2015年の通常国会で可決された選挙年齢の18歳未満に引き下げられるべきです。さらに、家裁事件についての被疑者匿名は維持するにしても、検察官に逆送されて刑事裁判のプロセスに入った場合、ほかの成人事件と同じ扱いにするのが民主主義国家として当然の法運用です。皆さん、少年事件に関する「日本の常識」は「世界の非常識」だってことを、しっかりと心に刻んでおいてください。』
<感想>
少年法第61条は、個人には適用されず、デマ情報がネット上に残り続ける可能性等を考えると、(辛坊さんの言うように、)見直す必要があるように思われる。
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元証券マンが「あれっ」と思ったこと
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