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TPP署名の裏に日本の戦略あり?


【 TPP11:日本の戦略 】

 2018/3/9、日経電子版に、表題『TPP署名式、チリに譲った日本の狙い「名捨てて実」』の記事*が掲載されていた。
*
https://r.nikkei.com/article/DGXMZO27797870X00C18A3PP8000

 今日は、この議事の内容を、日本の狙い、カナダの姿勢、チリの事情、メキシコへの働き掛けの4点に分けて整理してみたい。


【 日本の狙い 】

・3月上旬までの署名

⇒ TPP11の承認案を通常国会で提出するギリギリのタイミング

⇒ 通常国会で可決・成立すれば、日本の動きを見守る各国の承認手続きが進み、2019年発効にメドがたつ

・「署名式はチリで開く。その代わり早期署名をカナダに働きかけてほしい」

⇒ 茂木経済財政・再生相は1月上旬、チリのムニョス外相に電話で伝え、ムニョス氏は同意。カナダ政府高官に電話で署名を呼びかけた


【 カナダの姿勢 】

・カナダ:TPPはハーパー前政権の功績で、トルドー政権は慎重な姿勢


【 チリの事情 】

・現バチェレ政権の任期:3月11日
⇒ 功績を残すため、チリ開催なら「先送り論を封じ込められる」(政府関係者)との算段あり

⇒ チリにカナダの説得役を任せる。ムニョス氏は米大陸では一目置かれるベテラン外交官(国連安保理議長の経験も)。チリとカナダはリベラル政権で、ムニョス氏はフリーランド・カナダ外相とも気脈を通じる

・「署名式には世界中のメディアが来る。日本に感謝する」

⇒ ムニョス氏は2月23日、茂木大臣室を訪れて満面の笑みで礼を伝えた。茂木氏は「チリのコミットに感謝する」と応じた


【 メキシコへの働き掛け 】

・茂木氏は1月上旬にメキシコ・グアハルド経済相に対し「このままではカナダが遅延戦略をとるだけだ。TPPでは日本と共同歩調を取ってほしい」と求めた

⇒ メキシコとカナダは北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉で対米共闘する同志。この関係を「分断」する作戦。TPP交渉を進めた日本に恩義があるグアハルド氏は日本との連携を約束

・1月22日から都内で開いた最後の首席交渉官会合。署名を渋るカナダに対し、日本の交渉官は「明日は10カ国で署名日を合意したい」とカナダ外しを提案

⇒ メキシコも即座に「10カ国もやむを得ない」と応じた。孤立したカナダはようやく署名する意思を示した


<感想>
 本件は、TPPの署名に関して、外交を通じて日本の狙い通りになった事例。

 国会における野党の役割とは何か。森友問題より重要な、米国の保護主義(鉄鋼輸入制限等)や北朝鮮の拉致問題への対応に関する議論の活発化を望んでいる。

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元証券マンが「あれっ」と思ったこと
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