独自の強みを活かした模倣の難しさ?
【 ストーリーとしての競争戦略 】
先日、「ストーリーとしての競争戦略 ~優れた戦略の条件~ 」(楠木建著、東洋経済新報社、https://str.toyokeizai.net/books/9784492532706/)を読み返してみた
以下は一部抜粋(その2)
ポジショニングと組織能力
ポジショニング(SP)とは「位置取り」のこと
組織能力(OC)のカギは「模倣の難しさ」
レストランの例を考えましょう。料理がとてもおいしいという評判で流行っているレストランがあるとします。なぜ評判が良いのでしょうか。その料理を考案したシェフのレシピが優れているのかもしれません。使っている素材や料理人たちの腕やチームワークが良いのかもしれません。シェフのレシピに注目するのがポジショニング(SP:Strategic Positioning)の戦略論です。これを、以下ではSPの戦略と呼びます。厨房の中に注目するのが組織能力(OC:Organizational Capability)に注目した戦略で、これをOCの戦略と呼びます。
ポジショニングとは「位置取り」のことです。SPの戦略論では、戦略とは企業を取り巻く構想環境の中で「他社と違うところに自社を位置づけること」です。もっと平たくいえば「他社と違ったことをする」、これがSPの戦略論の考える競争優位の源泉です。
かつての松井証券は小さな「株屋さん」でしたが、個人の株取引では大手企業をしのぐ存在になりました。
松井道夫料理長の描いた「レシピ」に注目するのがSPの戦略論です。 何をやるかをはっきりさせて、違ったことをやろうというのがSPの発想です。「選択と集中」という言葉は、SPを意味しているといってよいでしょう。
SPの戦略とは活動(activity)の選択、つまり「何をやり、何をやらないか」を決めるということです。 明確なポジショニングによる違いを構築するためには、「何をやるか」よりも、「何をやらないか」を決めることがずっと大切です。
なぜかというと、SPの戦略論を支えているのは「トレードオフ」、つまり「あちら立てればこちらが立たぬ」という論理だからです。
SPとは、競争上必要となるトレードオフを行うことにほかなりません。 「何をやらないか」という選択が大切になるのです。ポジショニングの戦略論の根底には、このシンプルな論理があります。
SPが「他社と違ったことをする」のに対して、OCは「他社と違ったものを持つ」という考え方です。SPがシェフのレシピだとすれば、OCは厨房の中に注目する視点です。冷蔵庫の中にある素材とか料理人の腕前に違いの源泉を求めます。
SPの戦略論が企業を取り巻く外的な要因(その際たるものが業界の競争構造)を重視するのに対して、OCの戦略論は企業の内的な要因に競争優位の源泉を求めるという考え方です。
「競争に勝つためには独自の強みを持ちましょう」という考え方です。 大切なのは、ここでいう「独自の強み」とは何なのかということです。
さまざまな経営資源の中で、「組織特殊性」(firm-specificity)の条件を満たすものを、一般の経営資源と区別してOCといいます。組織特殊性とは、平たくいえば「他社が簡単にはまねできず(まねしようと思っても大きなコストがかかる)、市場でも容易には変えない」ということです。SPがトレードオフを強調するのに対して、OCのカギは「模倣の難しさ」にあります。
他社がそう簡単にはめんできない経営資源とは何でしょうか。組織に定着している「ルーティン」だというのが結論です。ルーティンとは、あっさりいえば「ものごとのやり方」(ways of doing things)です。さまざまな日常業務の背景にある、その会社に固有の「やり方」がOCの正体であるいことが多いのです。
なぜ、このようなルーティンとしてのOCは模倣が難しいのでしょうか。 第一の理由は、暗黙性です。「因果関係の不明確さ」といってもよいでしょう。 第二の理由は、経路依存性(path dependency)です。その企業のそれまでのビジネスの経験や経路と切り離しては考えられません。 第三の理由は、OCそのものが時間とともに変化するということです。
<感想>
他社と違った独自の強みを活かして、模倣が難しいもので競争を優位に進めてみたい
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元証券マンが「あれっ」と思ったこと
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