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社外取締役の投資家宛て情報発信?


【 伊藤邦雄先生:社外取締役の責務 】

 


 2024/9/9、現代ビジネスに、『「彼が社外取締役を務める企業では不祥事が相次ぐ」…金融業界で危険視される「伊藤銘柄」の正体』が掲載された。
https://gendai.media/articles/-/136505?imp=0

 以下は一部抜粋。

 


たとえば曙ブレーキ工業。自動車部品業界では名門企業とされてきた。しかし、不適切会計の末に'19年1月には経営破綻寸前にまで追い込まれた。全国紙経済担当記者はこう語る。

 

「当時の社長の信元久隆氏のもとでは、売り上げの過大計上などの不適切会計が横行していました。当時、社外取締役だった伊藤氏は、信元氏を批判することはなく、むしろ経営危機が騒がれ始めた途端に、あっさり退任しています」

 


─小林製薬の不祥事についてはどう考えるか。

「(自主回収を発表した3月22日の2日前)3月20日に『重大事案発生』と題したメールで連絡があり、すぐに臨時取締役会を開いて、早く公表するべきだと促した」

 


─責任ある元会長に月額200万円の報酬を払うことを決めた取締役に対して批判がある。

「まず、会長はもともと辞任するつもりはありませんでした。しかし、世の中に与えた影響の大きさを考え、私も含めた社外取締役4人の連名で、辞任するよう言ってきた。ただ、本人は通常の顧問料50万円を嫌がって……。200万円で決着しましたけど、本人はもっと要求していましたから。本当はもっと金額を下げたかった」

 

ガバナンスの不備が招いた事故の拡大について、伊藤氏から被害者への謝罪の言葉はなかった。「ミスター社外取締役」の名前だけが独り歩きし、実が伴わない。伊藤氏の「大罪」についても、これから責任が問われることになるかもしれない。

 


ご参考1)小林製薬の経営に関わって11年…なぜ彼は口を閉ざすのか「ミスター社外取締役」伊藤邦雄氏を直撃した
https://gendai.media/articles/-/136504?page=1&imp=0

 

ご参考2)「伊藤レポート3.0(SX版伊藤レポート)」・「価値協創ガイダンス2.0」を取りまとめました
https://www.meti.go.jp/press/2022/08/20220831004/20220831004.html

 

ご参考3)価値協創のための統合的開示・ 対話ガイダンス 2.0
https://www.meti.go.jp/press/2022/08/20220831004/20220831004-b.pdf

 

5.4. 社外役員のスキル及び多様性
11. 企業には、社外役員の経歴や属性、実際に果たした役割等に関する情報を示すとともに、必要に応じて社外取締役等が投資家への情報発信や対話を行うなど積極的な対応が求められる。

 

5.5. 戦略的意思決定の監督・評価
12. 投資家は、十分なスキル及び多様性を備えた取締役、特に社外取締役等が、自らに代わって業務執行を担う経営陣の戦略的意思決定を適切に監督・評価(モニタリング)することを求めている。企業にはその仕組みとモニタリングの結果を投資家に示していくことが求められる。

 


<感想>
伊藤レポートと同時に出た「価値協創ガイダンス」にある通り、伊藤先生には、社外取締役として、業務執行取締役のモニタリングの結果について、投資家に情報発信する必要があるものと思われる。

 

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まだあったSPCの連結

 

【 ENECHANGE:外部調査委員会の調査報告書 】

 


 2024/6/27、ENECHANGE株式会社が「外部調査委員会の調査報告書の公表に関するお知らせ」をリリースした。
https://ssl4.eir-parts.net/doc/4169/tdnet/2467609/00.pdf

 

 以下は一部抜粋。

 


1. 外部調査委員会の調査結果について
 外部調査委員会の調査結果につきましては、別紙の調査報告書をご確認ください。なお、プライバシー、 個人情報及び機密情報保護等の観点から、部分的な非開示措置を施したうえで公表しておりますことをご了承ください。
 外部調査委員会は、約3か月の長期間にわたり、デジタル・フォレンジック調査、関係資料の精査、関係者に対する多数回のヒアリング等の入念な調査を行い、調査報告書を完成させたものと理解しております。
 一方、有限責任あずさ監査法人(「あずさ監査法人」)は、連結の範囲の判定に影響を与えうる重要な事実(1)城口氏の個人貸付が連結の範囲に与える影響、および、2)プットオプションの行使条件に関する出資者への説明内容が連結の範囲に与える影響)に関し、調査報告書の内容を踏まえてもなお、 重要な虚偽表示の原因となる不正があると判断し、そのため「監査における不正リスク対応基準」に従って、監査手続を実施している旨、あずさ監査法人より説明を受けております。
 上記を踏まえまして、当社といたしましては、あずさ監査法人の見解も踏まえつつ、外部調査委員会による事実認定及び再発防止策の提言等を真摯に受け止めたいと考えております。

 

2. 今後の対応について
(1)決算短信および四半期報告書等の訂正等
 当社は、外部調査委員会の調査結果を受けて、公表済みの決算短信の訂正の公表を2024年6月28日までに行う予定でしたが、あずさ監査法人をはじめとした関係者間と協議の結果、本日公表の「2023年12月期有価証券報告書提出遅延及び当社株式の監理銘柄(確認中)の指定の見込みに関するお知らせ」に記載のとおり、 本日現在において、監査手続が完了しておらず、2024年6月28日までに公表できない見込みとなりました。なお、現時点において、2022年12月期有価証券報告書の訂正は予定しておりません。

 

(2)2023年12月期有価証券報告書の提出等
 当社は、2024年4月1日付「2023年12月期有価証券報告書の提出期限延長申請に係る承認のお知らせ」 のとおり、2023年12月期有価証券報告書を 2024年6月28日までに提出する予定でありましたが、あずさ監査法人をはじめとした関係者間と協議の結果、本日公表の「2023年12月期有価証券報告書提出遅延及び当社株式の監理銘柄(確認中)の指定の見込みに関するお知らせ」に記載のとおり、本日現在において、監査手続が完了しておらず、 2024年6月28日までに提出できない見込みとなりました。

 

(3)再発防止策の策定
 当社は、あずさ監査法人の見解も踏まえつつ、外部調査委員会の調査結果を真摯に受け止め、同委員会の再発防止策の提言に沿って再発防止策を策定し実行いたします。 また、具体的な再発防止策につきましては、2024年12月期第1四半期報告書の提出及び第1四半期決算発表後、速やかに策定のうえお知らせいたします。

 


第6 本調査において認められた問題点に係る原因分析

 以下では、これまで詳述した本調査の調査範囲に含まれる事項に係る調査及び検証の結果、すなわち、本件会計処理の前提となる事実関係及び関連する事実関係、本件会計処理の検討過程その他の事項に係る調査において認められた問題点を踏まえ当委員会がそれらの発生原因と評価した事項を述べる。

 

1 EV充電事業の事業リスクに対応し得る態勢の不足

 

2 本件会計処理に関わった経営メンバーにおいて、会計監査人との適切なコミュニケーションが不足しており、また、そのような状況について認識を共通化することができていなかったこと
(1) 本件会計処理に関わった経営メンバーにおいて会計監査人との適切なコミュニケーションが不足していたこと
(2) 経営メンバー相互間の認識ギャップ

 

3 株価の上昇を強く志向する一方でコンプライアンスを軽視した経営トップらの姿勢

 

4 実効性のある内部統制及びガバナンスが構築されず、本件会計処理を 採用するに当たって十分な牽制・監督機能を果たすことができていなかったこと

(1) 城口氏への牽制を及ぼすことができる執行体制の不足
(2) 取締役会の監督機能を発揮する機会の不足
(3) 社内の法務コンプライアンス態勢の脆弱性

 


第7 再発防止に係る提言

 以下では、第 6 に記載した問題点及びその原因分析を踏まえ、当委員会が ENE社において検討されるべきものと思料する再発防止に係る提言を述べる。 当該提言については、第 6 に記載した問題点及び原因分析を踏まえ、以下【再発防止に係る観点】記載の 4 つの観点から行うこととする。

 

【再発防止に係る観点】
1)コンプライアンス意識の向上
2)権限分散による牽制機能の強化
3)取締役会の監督機能の強化
4)法務コンプライアンス及び会計・経理に係る機能の強化、会計監査人との信頼関係の再構築

 


ご参考)前代未聞のエネチェンジ100人監査 あずさの異論
https://financial.nikkei.com/article/DGXZQOTG271X30X20C24A7000000

 


<感想>
問題点の真因は、城口元CEO氏への牽制を及ぼすことができる執行体制の不足にあったものと思われるが、いまだにSPCの連結外しの手法が取られていることに驚いた。

 

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社外取締役が取締役会議長に就任?


【 小林製薬:社外取締役の役割 】

 


 2024/8/8、日経電子版に、『小林製薬、4カ月ぶり会見詳報 創業家の関与「批判は理解」』が掲載された。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF0824N0Y4A800C2000000/?n_cid=SPTMG002

 

 以下は、一部抜粋。

 


【午後5時12分】「社外取締役への報告遅れを反省」

社外取締役に対する健康被害の報告が遅れたことに対する質問が出た。小林取締役は「常勤監査役から監査役会へは報告があり、経営会議や執行役員会議で隠していたわけではないと理解してほしい。製品と症状に関連があったかを調べていた。ただ、製品に関連があろうがなかろうが一報を入れたらいいのではと叱責はあった。その通りだったと反省している。調査に時間がかかったことで報告が遅くなり反省している」と説明した。

 


【午後4時50分】「社外取締役は指導的役割果たす」

紅麹の一連の問題に関して「社外取締役がどのように関わり、適切に機能したのか」との質問が出た。

山根社長は「死亡症例の公表については4、5、6月と取締役会で協議していた。様々な議論があった。社外取締役から積極的な意見があり指導的な役割を果たした。今回の問題について、発生以後、けん引してくれたのは事実だ。創業家出身者が辞任に至る過程で、社外取締役は正しい判断をした」と説明した。

 

小林取締役は「最初の症例報告があってから告知まで、報告書に記載の通り、製品と症状の関連を調べている時間が長くかかった。取締役会に正しく報告できていなかった。死亡症例は非常に複雑な状況ではあったが、最終的に報告することに基準を切り替えて発表した」と述べた。

 


【午後3時45分】「取締役会議長は社外取締役から」

山根社長がガバナンス(企業統治)の体制について説明した。「取締役会の議長は以前は会長か社長だったが、ガバナンス強化のため今回から社外取締役から議長を選ぶことにした。今後もガバナンスの強化に努める」

 


【午後3時37分】「痛恨の極み」

山根社長は「医薬品と食品を販売するものとして、あってはならないことを起こしてしまったことは痛恨の極み。私自身も責任を重く感じている」と陳謝した。

 

「1月以降、今から思えば、原因究明に傾注し、誰にどういう結果をもたらすか想像力が経営陣に働かなかったのが真の原因だ。他者をおもんぱかる想像力がなく、事業の出発点を見失っていた」と説明。「この現実に直面した今、当社の歴史において最大の難局にある。説明責任を果たせなかった」と述べた。

 


ご参考1)日本監査役協会の「監査役基準」(ひな型)
(社外取締役等との連携)
第17条
1.監査役会は、会社に社外取締役が選任されている場合、社外取締役との情報交換及び連携に関する事項について検討し、監査の実効性の確保に努める。監査役及び監査役会は、社外取締役がその独立性に影響を受けることなく情報収集力の強化を図ることができるよう、社外取締役との連携の確保に努める。

 

2.筆頭独立社外取締役が選定されている場合、当該筆頭独立社外取締役との連携の確保に努める。

 

3.前2項のほか、監査役は、社外取締役を含めた非業務執行役員と定期的に会合をもつなど、会社が対処すべき課題、会社を取り巻くリスクのほか、監査上の重要課題等について意見を交換し、非業務執行役員間での情報交換と認識共有を図り、信頼関係を深めるよう努める。

 


ご参考2)投資家と企業の対話ガイドライン(2021/6/11 改訂)
https://www.fsa.go.jp/news/r2/singi/20210611-1/01.pdf

 

【独立社外取締役の選任・機能発揮】
3-8.取締役会全体として適切なスキル等が備えられるよう、必要な資質を有する独立社外取締役が、十分な人数選任されているか。必要に応じて独立社外取締役を取締役会議長に選任することなども含め、取締役会が経営に対する監督の実効性を確保しているか。

 


<感想>
小林製薬の紅麹事案では、原因究明に傾注し過ぎた結果、悪い情報の共有が遅れた。
1)社外取締役を取締役会議長に選任し、2)常勤監査役が社外取締役と監査上の重要課題等を素早く共有できるようになれば、「取締役会が経営に対する監督の実効性」を確保し易くなるものと思われる。

 

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社外取締役へのリスク情報の共有?

 

【 社外取締役:リスク情報の共有 】

 


 2024/8/6、日経電子版に、『監査役「閑散役」と言うなかれ 日本で見失われた重み』が掲載された。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB222LD0S4A720C2000000/

 

 以下は一部抜粋。

 


小林製薬の健康被害問題についての調査報告書は、日本のコーポレートガバナンス(企業統治)に足りないものを教えてくれる。

 

消費者への注意喚起や製品回収の判断が遅れた背景に、社外取締役に情報が適時に伝わらなかったことがある。常勤監査役は「社外取締役へのリスク情報の共有については、社内ルールがなく、判断が曖昧」と問題に言及していたが、対応はとられなかった。

 

リスク情報を社外取に伝えるハブになれるのが常勤監査役だが、機能強化どころか逆行すらみられる。監査等委員会設置会社や指名委員会等設置会社には監査等委員・監査委員の常勤者を置く義務がなく、実際にいない企業も多い。社内スタッフが社外取を支援する立て付けだが、社内スタッフへの指示の適格性もあり、高橋教授は「常勤を義務化すべきだ」と主張する。

 


ご参考1)事実検証委員会の調査報告を踏まえた取締役会の総括について(「総括」)
https://www.kobayashi.co.jp/info/files/pdf/20240723_01.pdf


ご参考2)有価証券報告書 P54
https://www.kobayashi.co.jp/ir/report/asr/pdf/2023_4yuho.pdf

小林製薬の監査役の体制:常勤監査役2名+社外監査役2名

 


<感想>
上記総括は文字通り「取締役会」の総括であるが、取締役(会)の一連の意思決定プロセス等に関する「監査役会」の総括も併せて開示頂ければ、なお良かったように思われる。

 

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伊藤レポートの伊藤社外取締役の情報発信に期待?


【 小林製薬:伊藤邦雄社外取締役 】

 


 2024/7/26、日経電子版に、「小林製薬、前会長に月200万円 辞任後、特別顧問に 企業統治の課題浮き彫り」の記事が掲載された。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO82328050V20C24A7TB1000/

 

 以下は、一部抜粋。

 


「小林製薬が会長を辞任し特別顧問に就いた小林一雅氏に月200万円の報酬を支払うことが25日、わかった。サプリメントによる健康被害問題の対応について経営責任を明確にするために辞任した人物への処遇としては異例に映る。株主や金融機関などからの監視が行き届かない、オーナー企業における企業統治(ガバナンス)の課題が浮き彫りになっている。

 

 08年に初めて社外取締役を起用。その後、社内と社外が同数の時期が続いたが、22年10月に社内取締役の1人が亡くなったことで社内が3人となり、社外が4人と過半となった。社外は現在、一橋大学の名誉教授の伊藤邦雄氏、イー・ウーマン社長の佐々木かをり氏、日銀出身の有泉池秋氏、コマツ顧問の片江善郎氏が務める。

 

 一雅氏の月200万円の顧問料について、取締役会がどう関与したかを小林製薬は説明していない。青山学院大学の八田進二名誉教授は「不祥事に関わった会長が、特別顧問に就いて報酬をもらい続けることは、再生を目指す会社のガバナンスとしてあり得ない」と厳しい。「厚遇は実質的に何も変わっていないことの証左ではないか」(企業不正に詳しい弁護士)との指摘もでる。

 

社外過半の取締役会にも限界
 また6月の取締役会では社外取締役が、サプリ摂取との因果関係を調査中であっても死亡事例数などを国に報告した上で世間に公表すべきだと主張したとされる。一雅氏は数字が独り歩きし、報道が過熱する可能性などを指摘し、公表に反対していたという。」

 


ご参考1)会社のニュースリリース
https://www.kobayashi.co.jp/newsrelease/
上記内容の開示なし

 


ご参考2)2024/7/23「代表取締役の異動及び役員報酬の一部自主返上に関するお知らせ」
https://www.kobayashi.co.jp/newsrelease/2024/20240723_02/
会長の役員報酬の一部自主返上はなし

 


ご参考3)2022/8/30「伊藤レポート3.0(SX版 伊藤レポート)」
https://www.meti.go.jp/press/2022/08/20220831004/20220831004-c.pdf

 

5.4. 社外役員のスキル及び多様性
11. 企業には、社外役員の経歴や属性、実際に果たした役割等に関する情報を示すとともに、必要に応じて社外取締役等が投資家への情報発信や対話を行うなど積極的な対応が求められる。

 

5.8. 取締役会の実効性評価のプロセスと経営課題
17. 投資家は、取締役会が自らの意思決定の責任を負い、実効性あるものとなっているかを客観的に評価することを求めている。企業には、その評価の結果や改善に向けて取り組むべき優先課題を投資家に示すことが求められる。

 


<感想>
伊藤レポートの伊藤さんが社外取締役を務める小林製薬。
上記伊藤レポート(ご参考3)にあるように、今こそ、伊藤社外取締役による「投資家への情報発信による積極的な対応や取り組むべき優先課題の提示」が必要であるように思う。

 

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