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対中直接投資と対中輸入の拡大がデフレを長期化?


「2017年 アメリカ大転換で分裂する世界 立ち上がる日本」(三橋貴明著、徳間書店)


 以下は掲題書(第5章「世界から嫌われ排除されていく中国と韓国」)からの一部抜粋。(その3)


『 「対中直接投資」と「対中輸入」の拡大がデフレを長期化させた


 対外直接投資で日本国外に工場を移し、さらに外国の日系工場でつくられた製品を日本に逆輸入するとなると、国民経済としては二重の被害を受けることになるのだ。しかも国内需要が拡大していないデフレ期に、こうした組み合わせを推進されると最悪である。まさに、日本の対中直接投資がそうだったのである。


 対中輸入がピークに達した2012年の数字は、約1890億ドル(約18兆9000億円)にも達している。GDP統計上、輸入は「控除項目」だ。2012年の中国からの輸入分の生産が国内で行われていれば、わが国のGDPはそれだけで4%近くも拡大していたことになる。


 日本の「対中直接投資」と「対中輸入」の拡大の組み合わせは、国内の雇用を奪い、国民所得を引き下げ、デフレを長期化させるという「最悪のパッケージ」だったのである。アメリカにとっての「対メキシコ直接投資」と「対メキシコ輸入」の拡大と同様に。


  グローバル化は日本の中国属国化への道

 企業は工場を「人件費が安い」国、たとえば中国に生産拠点を移すしかない。
 日本が中国に資本や技術を移し、中国人民を雇用して生産する。
 中国で「安い人件費」で生産された製品を、日本市場に売り込む。
 デフレで所得が減っている日本国民は、安い製品の市場投入をむしろ歓迎する。
 日本の貴重な資本(工場)や技術が続々と中国に移転される。
 そのぶん、日本国内から雇用が失われる。
 日本国民は中国の「安い製品」を購入し、満足する(雇用不安低下や所得減少と引き換え)。
 そのぶん、日本の経済成長率は低迷し、逆に中国経済は成長する。
 中国が経済成長すると軍事支出が増える。技術投資も拡大する。

 やがて、日本は経済力でも軍事面でも技術面でも、中国にまったく勝てなくなるだろう。中国共産独裁政党が権力を独占している国に対し、経済、軍事、技術という3つの面で負けるようになれば、わが国は普通に属国と化す。


  中国の野望を打ち砕く日本の戦略

 中国の属国化を免れたいならば、わが国は成長戦略をめざす資本主義国として、当然の経済活動、すなわち、「資本」「労働」「技術」の3つを強化する「投資」を拡大しなければならない。

 日本に必要なのは、資本を強化する設備投資、公共投資、労働者の生産性を高める人材投資、そして技術開発投資という、経済力強化のための4投資なのである。


<感想>   
 今後も(中国のみならず)対外直接投資とそこからの輸入の拡大が、日本のデフレを長期化させることが想定される。著者の言う通り、安倍政権には、今こそ4投資(設備・公共・人材・技術開発)を促す政策の立案・実行が期待される。

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需給ギャップを埋めるための財政政策が必要?


「2017年 アメリカ大転換で分裂する世界 立ち上がる日本」(三橋貴明著、徳間書店)  


 以下は掲題(第6章「貧困化する世界と日本の黄金の道」)からの一部抜粋。 (その2)


『  デフレ脱却には政府の支出を増やすしかない  

 リフレの理論とは、「デフレとは貨幣現象」という認識に基づく、以下のようなものだ。 

「日銀がインフレ目標を設定し、目標達成まで量的緩和を継続することをコミットメントすることで、期待インフレ率が上昇する。期待インフレ率が上がれば、実質金利が下がる。実質金利が下がれば、設備投資や消費が増える。結果的に需要が創出され、デフレから脱却できる」 

 厳密には、 
「インフレ目標と量的緩和のコミットメントで、期待インフレ率が上昇するはず」
「期待インフレ率が上昇すれば、実質金利が下落するはず」
「実質金利が下落すれば、設備投資や消費が増えるはず」
と、いくつもの「はず」がなければ成立しない理論だったわけだが。  


 フィッシャー教授が実質金利について定義した方程式が、次にあげる「フィッシャー方程式」である。

  実質金利=名目金利-期待インフレ率 

 クルーグマン教授は1997年に、フィッシャー方程式を右辺から左辺への因果式ととらえ、実質金利の決定式とする仮説を唱えた。もともとフィッシャーの方程式はたんなる定義式だったのだが、クルーグマン教授は、「期待インフレ率を変更することで実質金利を引き下げられる」と主張したのである。  』 


<感想>
 量的緩和だけでは、期待インフレ率が上昇しないことが判明しつつある。やはり、今こそ、需給ギャップを埋めるための財政出動(by ※臨時国会)が望まれる。

http://www.kantei.go.jp/jp/pages/kokkai.html

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