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「家族と法」④


「家族と法――個人化と多様化の中で」(二宮周平著、岩波新書)より


  家族単位戸籍から個人単位へ

 今日、多様な家庭生活・私生活が存在しているにもかかわらず、夫婦と子という特定の家庭像を基本にすることは、現状にも合わない。さらに家族単位であるがために、婚外子の父の氏への変更に、妻や婚内子が反対したり、離婚後300日以内に出生した子が前夫の戸籍に登録されることを心配して、出生届が出されなかったりする現象が生まれる。氏を名乗る権利、戸籍に登録される権利という子の基本的人権が抑圧されるようなシステムはおかしい。


 私は、現行戸籍は「家」の克服という使命を果したとはいえないように思う。今なお性別役割分業意識や慣行が根強いのは、日本的な家意識が残っているからであり、戸籍にはこれを温存する作用があったと考えるからである。憲法は個人の尊厳と両性の平等を原則とし、男女共同参画社会基本法も、ライフスタイルの選択に対して制度が中立的であるべきことを規定する。また社会的な差別を除去し、多様な家族のあり方を保障し支え、子の基本的権利を守る必要がある。したがって、戸籍制度の個人単位化は必然的である。


>>戸籍制度の個人単位化⇒日本的な家意識の排除により、日本の新たな道を開く必要があるように思う


「家族と法」③

「家族と法――個人化と多様化の中で――」(二宮周平著、岩波新書)より


  家族単位戸籍から個人単位へ

 選択的夫婦別氏制度を導入する場合に問題になるのは、戸籍のあり方である。現行戸籍制度は、一組の夫婦と、この夫婦と氏を同じくする子を単位として編製されている。この同氏同籍の原則からすると、夫婦が別氏を選択するときに、氏が違う夫または妻を同じ戸籍に登録できるかどうかが問題となる。

 各国と比較すると、日本のような家族単位の戸籍制度を設けているのは、かつて日本が植民地支配をしていた韓国*と台湾だけであり、多くの国では、個人単位の登録で、かつ出生・結婚・死亡といった事件別の証書制度を採用している。家族登録簿のようなものを設けている国々でも、戸籍筆頭者を定めて、筆頭者を基準に入籍・除籍を繰り返すような仕組みを採用している例はない。その意味で日本の戸籍制度は「日本の民芸品」(戸籍実務に詳しい人の表現)だともいえる。しかし、この仕組みは、個人の尊厳や両性の平等に反する面がある。

*韓国の戸籍制度改革  韓国では、2005年3月の戸主制の廃止に伴い、2008年1月から、戸籍を廃止し、個人単位の登録制度に改正する。日本が1947年の法改正でできなかった個人単位化を、韓国は一気に導入しようとしている。


>>これまで何の疑問も持たずにいた戸籍制度。個人単位へ見直すことで、日本の新たな道が開かれる可能性があるように思う


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「家族と法」②


「家族と法――個人化と多様化の中で」(二宮周平著、岩波新書)より


  婚外子の相続分差別の撤廃へ向けて

 今日、女性の経済的自立の傾向が進み、婚姻だけが女性の幸福に結びつくものではないという意識が広がり、自分に合ったライフスタイルの選択が求められはじめている。こうした個人の家庭生活、私生活の多様性を前提にするとき、家庭生活に「正当性」という基準を持ち込み、婚姻のみを正当とみて、その尊重を説くことに、合理性を見出すことは難しい。婚外子の平等化とは、同じ父あるいは同じ母の子であれば、同じ法的扱いを受けるべきであり、家族の一人ひとりを差別してはならないことを意味している。婚外子の相続分差別は、家族の中の個人の尊厳、人権の問題として捉えられるべき課題であると同時に、親のライフスタイル選択の自由にもかかわる問題として認識される必要がある。


>>1年半前(平成25年12月5日)にようやく民法の一部を改正する法律が成立し、嫡出でない子の相続分(それまでは2分の1)が嫡出子の相続分と同等になって(同月11日公布・施行)、良かったと思う


「家族と法」①

「家族と法――個人化と多様化の中で」(二宮周平著、岩波新書)より


  子どもの平等――婚外子差別をなくすこと

 住民票の世帯主との続柄、戸籍の父母との続柄で、婚内子は「長女」「長男」「二女」「二男」と記載されるが、婚外子は、住民票では「子」、戸籍では「男」「女」と記載された。
 
 1980年代後半、あるカップルが自分たちの子の住民票を見て、驚いた。こうした取り扱いは子どもの平等に反すると考え、差別のない住民票の交付を求める裁判を起こした。1995年、裁判所は住民票の記載区別は法の下の平等に反し、プライバシー権を侵害することを理由に違憲であると判断した(東京高裁1995年3月22日判決)。カップルは戸籍の記載についても裁判を起こし、2004年、裁判所は戸籍の記載区別はプライバシーを侵害するから違法であると判断した(東京地裁2004年3月2日判決)。

 これらの裁判が契機となり、住民票は、1995年3月から、婚内子も婚外子も「子」に統一され、行政の責任ですべての住民票の続柄記載を訂正した。戸籍は、2004年11月から、婚外子について母を基準に「長女」「長男」型で記載される改正が行われ、婚内子との記載差別は廃止された。二つの息の長い裁判だったが、市民の異議申立てが制度を動かした。その努力には頭が下がる。


>>このカップルのように、取り扱いが不当な場合はその解消のために行動したい



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