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東証が将来予測情報の積極的な開示を要請?

 

【 東証:将来予測情報の積極的な開示の要請 】

 


 3月決算会社の第2Q決算短信のリリース時期に当たり、東証の「決算短信等の開示に関する要請事項」を確認してみた

 


「決算短信等の開示に関する要請事項」
https://faq.jpx.co.jp/disclo/tse/web/knowledge7142.html

 

上場会社の決算に関する情報は、投資者の投資判断の基礎となる最も重要な会社情報であることを踏まえて、東証では、決算短信等の開示について、以下のような要請を上場会社に対して行っています。

 


< 将来予測情報の積極的な開示の要請 >
・ 我が国では、上場会社が自社の将来の経営成績・財政状態等について、主要な経営指標(例えば、売上高、利益、ROEなど)の見込みや、将来の経営成績に影響を与える財務指標(例えば、設備投資や研究開発に係る支出など)の見込みその他の将来の見通しに係る情報(以下「将来予測情報」といいます。)を開示することが、長年に亘る実務慣行として広く定着しています。

 

・ 投資者の投資判断は、一般に、上場会社の将来の企業価値(株式価値)の予測に基づいて行われることとなりますので、自社の状況及び将来の経営方針に関して最も詳細かつ正確な情報を有する上場会社自身によって開示される将来予測情報は、証券アナリスト等の高い企業分析能力を有する専門家によっても、完全に代替生産することは困難であり、投資者にとって有用な投資判断情報であると位置付けられます。

 

・ 東証では、上場会社と投資者との間の重要な情報格差を解消し、投資者との充実した対話を通じて証券市場における公正かつ円滑な価格形成を確保する観点から、上場会社が、それぞれの実情に応じて将来予測情報の積極的な開示に取り組むよう要請しています。


・ また、将来予測情報の開示内容や開示形式の変更を行う場合には、過去の実績数値や同業他社の開示内容との間の比較可能性の低下など、投資者の利便性にも影響が生ずることが想定されますので、
例えば、設備投資計画やそれに伴う減価償却負担の変動見込み、事業環境に係る見通し(前提条件)や前提条件の変動による業績の感応度など、投資者の投資判断に有用な将来予測情報の開示の継続及び一層の充実のほか、「次期の業績予想」を含む将来予測情報の開示全般に関する自社の考え方の提示など、投資者との積極的なコミュニケーションの実践を通じて、安易な情報開示の後退との批判を招くことのないよう留意してください。

 


ご参考)「連結業績予想などの将来予測情報に関する説明」事例

通期の連結業績予想に対する当中間期末における進捗率(利益ベース)は約85%となり、極めて高い進捗率に達しましたが、当社グループの業績は短期的には為替相場の変動率の影響を大きく受けることから、下期の相場状況を正確に予測することは困難であり、収益予測の不確実性が高い状況であると認識しております。

従って、今回は通期の連結業績予想を修正せず据置くこととし、第3四半期までの状況を総合的に勘案して、改めて通期の連結業績予想を見直すことといたします。

 


<感想>
東証の開示要請に基づいて、将来予測情報に関する説明を以前と比べて充実させる会社が増えているものと思われる

 

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適時開示や倫理観上等に問題あり?

 

【 小林製薬:適時開示上等の問題 】

 


 小林製薬の紅麹関連被害が連日広がっている。

 添付ニュースが正しいとすれば、上場企業として、適時開示上等の問題があったものと思われる。(その1)

 


『小林製薬、遅きに失した決断 「ブランドに悪影響」紅麹原材料の納入先企業からも批判』
https://www.sankei.com/article/20240326-GE5H55ZJNVJSZOOSI3YWFQIWWI/

 

(一部抜粋)
 小林製薬に最初の腎疾患の入院の症例報告が医師から入ったのは1月15日で、2月27日までに6人の入院事例を確認した。自主回収が3月22日にずれ込んだことについて、渡辺淳執行役員は「調査にかける人員が限られ、製品が原因で症状が起こったと特定できなかった」と説明するが、大阪市保健所と消費者庁に対しては22日の発表直前に相談。行政との情報共有も遅きに失した。

 


1.適時開示が求められる会社情報(日本取引所グループ)(出所:https://www.jpx.co.jp/equities/listing/disclosure/info/index.html)

 

 有価証券の投資判断に重要な影響を与える会社の業務、運営又は業績等に関する情報(一部抜粋)

 

 上場会社の発生事実

27.その他上場会社の運営、業務若しくは財産又は当該上場株券等に関する重要な事実(に該当するものと思料)

 


2-1.コーポレートガバナンス(小林製薬)(出所:(https://www.kobayashi.co.jp/ir/report/cg/pdf/cg_230413.pdf)

 

内部統制システム等に関する事項(P14)

 

1.当社およびグループ各社の取締役および従業員の職務の執行が法令および定款に適合することを確保するための体制

1)当社グループでは、役員および従業員等が、法令遵守の精神と高い倫理観をもって行動するための指針として「グローバルコンプライアンスポリシー」を制定し、役員および従業員等全員に周知するとともに、当該ポリシに基づきコンプライアンス推進活動に取り組み、コンプライアンス意識の更なる向上を図ります。

 

*会社リリース:2424/3/22「紅麹関連製品の使用中止のお願いと自主回収のお知らせ」
https://www.kobayashi.co.jp/newsrelease/2024/20240322/)

 


ご参考)2024/3/29 日経電子版『小林製薬・紅麹記者会見 社長「今は進退考えず」』

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF293EB0Z20C24A3000000/



<感想>

1/15に腎疾患の入院の症例報告、2/27までに6人の入院事例を確認していながら、1)保健所/消費者庁への相談、及び 2)*会社リリースは3/22で、適時開示上及び法令遵守の精神/高い倫理観上、問題があったものと思われる。

 

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今後の見通しを適時開示?

 

【 上場会社に求められる適時開示 】

 


 2024/3/26、デンカが「投資有価証券売却益(特別利益)の計上に関するお知らせ」を発表した。
https://www.denka.co.jp/storage/news/pdf/1214/20240326_denka_ir_record.pdf

 

 以下は、一部抜粋。

 


1. 投資有価証券売却の理由
政策保有株式の縮減と、資産効率化を図るため。

 


2. 投資有価証券売却の内容
(1) 売却株式 : 当社及び子会社保有の上場及び非上場有価証券 23銘柄

(2) 売却期間 : 2023年4月1日から 2024年3月21日

(3) 投資有価証券売却益 : 174億円(うち 2024年 3月期第4四半期連結会計期間において155億円を特別利益に計上)

 


3. 今後の見通し
上記の投資有価証券売却益は、2024年3月期第4四半期累計期間において特別利益として計上いたします。なお、当該影響については、2024年2月7日に公表いたしました 2024年3月期通期業績予想に織り込んでおります。

 


ご参考)2024/2/7「2024年3月期通期連結業績予想の修正に関するお知らせ」
https://www.denka.co.jp/storage/news/pdf/1201/20240207_denka_ir_revision.pdf

 

(2)業績予想の修正理由
(略)
上記の減益要因に加え、特別損失として、本日開示しました「海外連結子会社におけるノロウイルスワクチン開発中止および特別損失の計上に関するお知らせ」のとおり、のれんの減損損失等を計上しましたが、第 4 四半期以降に政策保有株式の売却を更に推進する見通しのため、親会社株主に帰属する当期純利益は前回公表値を据え置きとしております。

 


<感想>
本件のように、期中、決算短信発表等のリリース時点における会社の見通し等について、適時開示する必要性は益々高まっているように思われる。

 

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不適切な会計処理で開示が遅延?

 

【 グッドスピード:開示・提出の遅延 】

 


 2023/12/28、日経新聞に「グッドスピード、有報提出できず 不適切会計調査で遅れ」の記事が掲載された。
https://www.nikkei.com/nkd/company/article/?DisplayType=1&ng=DGKKZO77330080X21C23A2DTA000&scode=7676&ba=1

 以下は、開示時期等について。

 


1.決算短信の開示時期について(出所:http://faq.jpx.co.jp/disclo/tse/web/knowledge7142.html)

 事業年度又は連結会計年度に係る決算については、遅くとも決算期末後45日以内に内容のとりまとめを行い、その開示を行うことが適当であり、決算期末後30日以内の開示が、より望ましいものと考えられます。
 なお、事業年度又は連結会計年度に係る決算の内容の開示時期が、決算期末後50日を超えることとなった場合には、決算の内容の開示後遅滞なく、その理由及び翌事業年度又は翌連結会計年度以降における決算の内容の開示時期に係る見込み又は計画について開示してください。


2.上場廃止基準(出所:https://www.jpx.co.jp/equities/listing/delisting/outline/01.html)

有価証券報告書等の提出遅延:
監査報告書又は四半期レビュー報告書を添付した有価証券報告書又は四半期報告書を法定提出期限の経過後1か月以内に提出しない場合(提出期限延長の承認を得た場合には当該承認期間経過後8日目までに提出しない場合)

 


3.グッドスピードの事例

2023/11/10 「2023年9月期決算発表の延期に関するお知らせ」(出所:https://ssl4.eir-parts.net/doc/7676/tdnet/2359175/00.pdf)

決算発表延期の理由:第三者調査委員会による調査が現在進行中であり、第三者調査委員会から調査報告書を受領後に、決算数値の確定までに一定の時間を要することも想定されることから、決算発表を延期することとした
⇒ 2023/12/27時点で、未提出

 


2023/12/27 「第三者調査委員会による調査の状況に関するお知らせ」(出所:https://ssl4.eir-parts.net/doc/7676/tdnet/2376991/00.pdf)

今後の見通し:本件事案に係る会計処理の妥当性の分析及び評価に基づき、本件事案の範囲と影響額を確認し、 財務諸表を最終確定する必要がある。そのため、会計監査人による監査手続きを完了することができず、法定期限である2024/1/4までに当該有価証券報告書を提出できない見込みとなった。今後、関係当局と調整のうえで対応し、詳細が決定次第、速やかにお知らせする。

 


4.グッドスピードの過去のプレスリリース

2023/08/24 「過去の保険金請求に関する自主調査の経過報告/お客様専用相談窓口設置のお知らせ」(https://ssl4.eir-parts.net/doc/7676/ir_material_for_fiscal_ym1/140681/00.pdf)

調査方法:当社による自主調査、調査開始日:2023/7/20、調査対象:2023/4/1~8/8に保険金を請求した案件の一部、調査した案件の請求先:損害保険会社4社、調査した案件総数:1,051件、うち再協定が必要な案件数・金額 :30件 / 633,950円

 


2023/09/29 「調査委員会設置のお知らせ」(出所:https://ssl4.eir-parts.net/doc/7676/tdnet/2340989/00.pdf)

調査委員会の設置:公表済みの決算に関して不適切な会計処理がある旨の疑義が生じているとの監査法人からの指摘が2023/9/14にあり、その対応方法について監査法人と協議してきたが、公正性を確保した調査が必要と判断し、本日開催の取締役会にて審議のうえ、外部の有識者で構成される調査委員会を設置することとした。

 


2023/10/06 「第三者調査委員会による調査の状況に関するお知らせ」(出所:https://ssl4.eir-parts.net/doc/7676/tdnet/2343334/00.pdf)

調査委員会の構成
委員長:井上 寅喜 公認会計士(株式会社アカウンティング・アドバイザリー)
委 員:高野 哲也 弁護士(大知法律事務所)
委 員:能勢 元 公認会計士・税理士(能勢公認会計士事務所)
委 員:後藤 幸男 公認会計士・税理士・公認情報システム監査人(後藤公認会計士事務所)

 


2023/10/20 「過去の保険金請求に関する社内調査委員会による調査報告のお知らせ」(出所:https://ssl4.eir-parts.net/doc/7676/tdnet/2347208/00.pdf)

社内調査委員会の設置:2023/8/24付け公表の自主調査経過報告を踏まえ、より踏み込んだ調査を行う ため、調査範囲を拡大し、客観性を担保するため独立役員である社外取締役監査等委員3名(内、弁護士1名)による社内調査委員会を2023/8/29に立ち上げ、調査を行った。

調査結果:調査案件数は1,664件で、うち調査委員会が不適切疑義案件と判断したのは91件(5.5%)

 


<感想>
本件は、過去の保険金請求が不適切に行われた疑義に伴い、会計監査が完了せずに、適時開示・法定開示が遅延した事案。上場廃止を避けるためにも早期に監査手続きを完了する必要がある。

 

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四半期開示が見直される?

 

【 四半期開示の見直し 】

 


 2023/11/22、「四半期開示の見直しに関する実務の方針」が発表された。https://www.jpx.co.jp/news/1023/bkk2ed0000002ovx-att/bkk2ed0000002oz7.pdf

 

 以下は、一部抜粋。

 


P12 1Q・3Q決算短信の開示タイミング
【具体的な方針】

・決算の内容が定まり次第開示を求める
・なお、四半期末から45日を経過する場合にはその状況について適時開示を求める

<「決算の内容」について>
・1Q・3Qは、短信に一本化されることから、決算短信において開示を予定している事項(義務付けられる事項(P.10)のほか、投資判断に有用な情報として開示する事項(P.11)を含む)が定まった場合に開示とする。


P10 1Q・3Q決算短信の開示内容
【基本的な考え方】
・四半期報告書で開示されていた事項のうち、投資者の要望が特に強い事項を四半期決算短信に追加し、開示を義務付け

<開示の内容>
【基本的な考え方】
・四半期報告書で開示されていた事項のうち、投資者の要望が特に強い事項を四半期決算短信に追加し、開示を義務付け

サマリー情報
 ⇒「レビューの有無」を注記事項に記載(義務のレビューと任意のレビューを区別)
 ⇒「当四半期累計期間における連結範囲の重要な変更の有無」に変更(※1)


添付資料

 財務諸表
  日本基準、IFRS、米国基準で取扱いに差は設けず、以下の事項は一律義務付け
  ⇒ 連結貸借対照表、連結損益計算書及び連結包括利益計算書(※2)
   (CF計算書は投資判断に有用な情報として、投資者ニーズに応じた開示を要請)

 注記事項
  現行の注記事項に「セグメント情報等の注記」「キャッシュ・フローに関する注記」を追加
  ⇒ 継続企業の前提に関する注記
  ⇒ 株主資本の金額に著しい変動があった場合の注記
  ⇒ 会計方針の変更・会計上の見積りの変更・修正再表示
  ⇒ 四半期特有の会計処理
  ⇒ セグメント情報等の注記(新制度における半期報告書と同水準)
  ⇒ キャッシュ・フローに関する注記(CF計算書を省略する場合)

 その他
  経営成績等の概況(※3)
  継続企業の前提に関する重要事象等(現行と同じ)
  レビュー報告書(レビューを受ける場合のみ添付)

※1:現行の 「重要な子会社の異動(特定子会社の異動)」から、四半期報告書に合わせて、「連結範囲の重要な変更」とすることを意味している

※2:四半期会計期間に係る連結損益計算書及び連結包括利益計算書については、新制度における半期報告書において2Q会計期間に関する開示はなされないことが想定されること等を踏まえ、省略を認める

※3:決算説明資料など決算短信以外での開示を行うことも可(その場合、該当書類を参照すべき旨・参照方法を記載)


P11 1Q・3Q決算短信の開示内容
<「投資判断に有用と考えられる情報」の具体例>

※ 業種や事業内容等によって投資者ニーズは異なることから、開示する情報については投資者ニーズに応じて各社が判断

(新制度の財規等(※1)のうち、開示を義務付ける事項以外の事項)
・キャッシュ・フロー計算書
・財務諸表に係る注記
  ・ 貸借対照表関係の注記/損益計算書関係の注記
  ・ 金融商品/有価証券/デリバティブ関係の注記(※2)
  ・ 重要な後発事象の注記、など

(その他)
・経営成績等に関する説明に当たって、投資判断に有用と考えられる事項(※3)
  ・ 経営管理上重要な指標
  ・ 設備投資・研究開発費
  ・ 適時開示を行った事象が決算に与える影響
   (例)企業結合関係や子会社の取得等による四半期業績への具体的な影響、など

※1 「新制度の財規等」の定義については、P.13を参照。

※2 現行の四半期報告書では以下の取扱いとなっている。
  ⇒ 企業集団の事業の運営において重要であり、かつ、前事業年度末から著しい変動が見られる場合に注記が必要。
   また、企業集団の総資産や総負債の大部分を金融資産や金融負債等が占める場合を除き、第1四半期及び第3四半期は省略可。

※3 経営成績等に関する説明に当たっては、四半期報告書における「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」として開示が求められている事項を参考とすることが考えられる。

 


<感想>
 「決算の内容が定まり次第開示を求める」ことが要請されているため、四半期決算のための「臨時取締役会」の開催が必要になるものと思われる。

 

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