高速取引行為者の先物・オプション件数比率は99%?
【 高速取引行為の動向 】
2024/10/2、金融庁から「2024年10月 高速取引行為の動向について」が公表された。
https://www.fsa.go.jp/news/r6/sonota/20241002-3/HFT.pdf
以下は一部抜粋。
P3 高速取引行為者の登録者数
・高速取引行為者に係る登録制の導入(2018年4月)後、登録が進み、高速取引行為者数は足元50社程度で推移。2024年6月末時点では、52社。
・今回更新分(2024年1月~6月)では、新規登録は3社、廃業は3社。
< 東京証券取引所上場銘柄(株式)>
P5 1-1. 高速取引行為者等の売買代金比率と売買代金の推移
・売買代金全体に占める高速取引行為者等の売買代金比率は、足元35%程度で推移。
・戦略ごとの内訳は、マーケットメイク戦略が15%程度、アービトラージ戦略が15%程度、ディレクショナル戦略が45%程度、その他の戦略が25%程度で推移。
P6 1-2. 注文サーバー拠点別・取引主体別の注文件数比率・売買代金比率の推移
・注文件数全体に占めるコロケーション経由・高速取引行為者等の注文件数比率は75%程度で推移。一方、売買代金全体に占めるコロケーション経由・高速取引行為者等の売買代金比率は35%程度で推移。
P7 1-3. 高速取引行為者等の取引状況 (1)注文件数 (新規注文、取消注文、変更注文)・約定件数
・注文件数(新規、取消)全体に占める高速取引行為者等の注文件数比率は、70%~90%程度で推移。
・他方、変更注文・約定件数全体に占める高速取引行為者等の注文変更・約定件数比率は、足元30%~40%程度に低下。
P8 1-3. 高速取引行為者等の取引状況 (2)高速取引行為者等の注文形態
・高速取引行為者等の注文件数のうち、条件付き以外の注文(注1) (主に指値注文)は90%程度で推移しており、残り10%程度のほとんどはIOC注文(Immediate or Cancel orderの略。指定した値段かそれよりも有利な値段で、即時に一部あるいは全数量を約定させ、成立しなかった注文数量を失効させる条件付き注文)。
< 大阪取引所上場銘柄(先物・オプション)>
P10 2-1. 高速取引行為者等の売買代金比率と売買代金の推移
・売買代金(注1)全体に占める高速取引行為者等の売買代金比率は、35%~50%程度で推移。
・また、戦略ごとの内訳としては、マーケットメイク戦略が20%、アービトラージ戦略が15%、ディレクショナル戦略が25%、その他の戦略が40%程度で推移。
P11 2-2. 高速取引行為者等の取引状況 (1)注文件数 (新規注文、取消注文、変更注文)・約定件数
・注文件数(新規、取消)全体に占める高速取引行為者等の注文件数(新規、取消)比率は、99%程度で推移。
・一方、変更注文件数全体に占める高速取引行為者等の変更注文件数比率は足元40%程度に低下し、約定件数全体に占める高速取引行為者等の約定件数比率は、60%程度で推移。
P12 2-2. 高速取引行為者等の取引状況 (2)高速取引行為者等の注文の条件別件数・成行注文件数
・高速取引行為者等の注文件数のうち、 足元、残数量取消 (FAK)注文(注)は80%程度で推移しており、残り20%程度は通常条件(GFD)注文。
・また、FAK注文件数全体に占める高速取引行為者等のFAK注文件数比率は、概ね100%。一方、成行注文件数全体に占める高速取引行為者等の成行注文件数比率は、概ね0%。
(注)残数量取消条件(FAK(Fill And Kill))とは、指定した値段かそれよりも有利な値段で、即時に一部あるいは全数量を約定させ、成立しなかった注文数量を失効させる条件のこと。
通常条件(GFD(Good For Day))とは、当日の日中立会終了まで有効とする条件のこと。
P13 2-3. 高速取引行為者等の売買代金と売買代金比率(注1)(商品別(注2))
・商品別の売買代金全体に占める高速取引行為者等の売買代金比率は、長期国債先物では20~40%、日経225miniでは60~70%、日経225先物では40~60%、 TOPIX先物では30~60%程度で推移。
< 高速取引行為者向けの監督指針 令和4年6月 >
https://www.fsa.go.jp/common/law/guide/hft/index.html
I-1 高速取引行為者の監督に関する基本的考え方
金融商品に係る取引の発注や変更、取消し等をアルゴリズムを用いて高速かつ自動的に行う取引(以下本I-1において「アルゴリズム高速取引」という。)については、こうした取引の存在により市場に流動性が供給されているとの指摘や、流動性が厚くなることでスプレッドが縮まり一般投資家にもその恩恵が及んでいるとの指摘がある。他方、このようなアルゴリズム高速取引については、市場の安定性や効率性、投資家間の公平性、中長期的な企業価値に基づく価格形成、システムの脆弱性等について、様々な懸念が指摘されたところである。
高速取引行為者の監督の目的は、このような懸念を踏まえ、高速取引行為者によるアルゴリズム高速取引の実態を把握するとともに、高速取引行為者の業務の適切な運営を確保しつつ、その機能を適切に発揮させることで、日本において、多様な投資家が安心して参加できるような厚みのある市場の実現を図っていくことにある。
このため、監督部局にとっては、継続的なヒアリング等により高速取引行為者の業務の状況を適切に把握することや、高速取引行為者から提供された各種の情報の蓄積及び分析を行い、業務の適切性の確保等に向けた自主的な取組みを早期に促していくこと等により、高速取引行為者に対して高速取引行為を公正かつ適確に遂行するための業務管理体制の整備をはじめとする法令等遵守の徹底を求めていくことが、重要な役割となる。
一方、高速取引行為者については、金融商品取引業者等ではないこと等から、これらの業者等と同等の業務管理体制等の整備を求めることが過度になる可能性もある。監督部局においては、この点を十分に踏まえて対応するものとする。
< 金融商品取引業者等向けの総合的な監督指針 令和6年10月 >
https://www.fsa.go.jp/common/law/guide/kinyushohin/
<感想>
(金商業者ではない)高速取引行為者等の1)東証(株式)売買代金比率/注文件数比率は35%/75% 程度、2)大阪(先物・オプション)の同比率は35%~50%/99% 程度で推移しており、件数の比率が(大阪は極めて)高い
金融庁には、特に「投資家間の公平性」の観点からの適切な監督を期待する
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元証券マンが「あれっ」と思ったこと
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