「歴史家の心眼」
「歴史家の心眼」(会田雄次著、PHP研究所)より
バサラの化身――織田信長
古い体制を打破するために武士を土地から切り離し、官僚組織による統治を行うという政治プランと、国内外の商業交易を盛んにして国力を上げるという経済プランは、信長の革命思想の根幹をなす二大方針であったが、そのヒントはやはり宣教師たちから得た情報にあったと見るのが自然であろう。
だが、信長以外の誰にもこの新しい社会の輪郭は見えなかった。その点家来たちはみんな秀吉ほどの男でも難儀な思いをしたはずである。そしてとうとう家康によって歴史は逆の方向に進んで行くのである。
>>信長が長生きした場合の今日に至る日本の歴史を考えてみる