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忠実義務違反等に基づく行政処分の勧告?

 

【 投資助言業者:行政処分の勧告 】

 


 令和7年4月11日、証券取引等監視委員会が、「株式会社G&Dアドヴァイザーズに対する検査結果に基づく勧告について」をリリースした
https://www.fsa.go.jp/sesc/news/c_2025/2025/20250411-1.html

 

 以下は一部抜粋

 


1.勧告の内容
 関東財務局長が株式会社G&Dアドヴァイザーズ(投資助言・代理業)を検査した結果、下記のとおり、当該金融商品取引業者に係る問題が認められたので、本日、証券取引等監視委員会は、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、行政処分を行うよう勧告した

 

2.事実関係
(1) 顧客のため忠実に投資助言業務が行われていない状況

ア 単体スポット銘柄の投資助言前に当該銘柄を買い付け、投資助言後に売り付ける行為

 

 当社における投資助言業務統括者である甲部長は、投資助言を行った単体スポット銘柄231銘柄のうち、少なくとも65銘柄について、当社の顧客ではない第三者名義の証券口座を使い、当該第三者の計算において、単体スポット銘柄の配信前に同銘柄を買い付け、配信後に売り付ける取引を行っていた事実が認められた。なお、当該取引により、当該証券口座において計約228万円の売却益が生じており、甲部長は当該第三者から一定の報酬を受け取っていた

 

イ 上記の行為を見過ごし、かつ、これを防止する態勢を構築していない状況

 

 顧客のため忠実に投資助言業務を行っていない状況と認められ、金融商品取引法(「金商法」)に定める「忠実義務」に違反するものと認められる

 

(2) 金融商品取引契約の締結の勧誘に関して顧客に対し虚偽のことを告げる行為等

ア 顧客に対し虚偽のことを告げる行為

イ 重要な事項につき誤解を生ぜしめるべき表示をする行為

 

「金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して、顧客に対し虚偽のことを告げる行為」、「金融商品取引契約の締結又はその勧誘に関して、重要な事項につき誤解を生ぜしめるべき表示をする行為」に該当するものと認められる

 

(3) 金融商品取引契約につき顧客に対し特別の利益を提供する行為

 当社のこの行為は、「金融商品取引契約につき、顧客に対し特別の利益を提供する行為」に該当するものと認められる

 


<感想>
「投資助言」配信前に個別株式を買付け、配信後に当該株式を売付る行為ー「忠実義務」を始めとする各種法令違反のオンパレードーを繰り返した当該社宛てには「業務停止命令」を発出すべきと思われる

 

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クロスボーダー案件へのSESCの対応?

 

【 SESC:クロスボーダー取引への対応 】

 


 2025/1/17、証券取引等監視委員会(SESC)が、「株式会社出前館との契約締結交渉者の従業員から伝達を受けた海外居住者による内部者取引に対する課徴金納付命令の勧告について」を発出した
https://www.fsa.go.jp/sesc/news/c_2025/2025/20250117-1.html

 

 以下は、添付Webサイトからの一部抜粋(P25)

 


令和5年度 金融商品取引法における課徴金事例集~不公正取引編~ 令和6年6月 証券取引等監視委員会事務局
https://www.fsa.go.jp/sesc/jirei/torichou/20240627/01.pdf

 


クロスボーダー事案の特色
 令和 5 年度については、海外に居住する会社役職員がクロスボーダー取引を利用したインサイダー取引事案 1 件について勧告を行った。

 

 この事案は、我が国の上場会社の海外子会社の役職員が、当該上場会社の公開買付けの実施に関する事実の伝達を受けながら、公表前に自己の計算において、その上場会社株式を買い付けていたというものである。

 

 近年、我が国企業のグローバル化が著しく進展している中、今後、このような類型のインサイダー取引が行われるリスクは高い。現在、国境を越えたインサイダー取引が疑われる事例が引き続き散見されており、複数の事案の調査を継続している。

 

 証券監視委としては、このようなクロスボーダー取引によるインサイダー取引事案に対して、海外当局との緊密な連携強化を図りながら、より一層、適正・厳正に対処していく方針である。

 


<感想>
クロスボーダーやグローバルの案件が増える中、今後とも、SESCは海外当局との連携による対応を強化してゆくものと思われる

 

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野村證券も相場操縦?

 

【 野村證券:長期国債先物に係る相場操縦 】

 


 2024/9/25、野村證券が「本日の証券取引等監視委員会による勧告について」をリリースした。
https://www.nomuraholdings.com/jp/news/nr/nsc/20240925/20240925.pdf

 


違反行為事実の概要図
https://www.fsa.go.jp/sesc/news/c_2024/2024/20240925-1.html#%E6%A6%82%E8%A6%81%E5%9B%B3

 


<感想>
最大手の野村證券においても、その長期国債先物に係る相場操縦が行われていたことに驚いた。

 

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掲示板投稿が風説の流布に該当?

 

【 掲示板への投稿:風説の流布 】

 


 2024/9/19、金融庁から「ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ(株)株式に係る風説の流布に対する課徴金納付命令の決定について」がリリースされた。https://www.fsa.go.jp/news/r6/shouken/20240919.html

 

 以下は添付Webサイトからの一部抜粋。

 


ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ株式に係る風説の流布に対する課徴金納付命令の勧告について
https://www.fsa.go.jp/sesc/news/c_2024/2024/20240726-1.html#%EF%BC%90%EF%BC%91

 


1.勧告の内容
 証券取引等監視委員会は、ヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ株式に係る風説の流布について検査した結果、下記のとおり法令違反の事実が認められたので、本日、内閣総理大臣及び金融庁長官に対して、金融庁設置法第20条第1項の規定に基づき、課徴金納付命令を発出するよう勧告を行った。

 


2.法令違反の事実関係
 課徴金納付命令対象者はヒューマン・メタボローム・テクノロジーズ株式会社(以下「HMT」という。)の株式の価格を上昇させ、同株式を売り抜けて利益を得ようと考え、 別表へジャンプ別表記載のとおり、令和3年7月8日午前9時45分頃、インターネット上の金融情報サイト「Yahoo!ファイナンス」内の電子掲示板に、HMTに関して、合理的根拠のない情報を投稿し、不特定かつ多数の者が閲覧できる状態に置き、これにより、同社の株式の価格を上昇させ、もって有価証券の売買のため、かつ、相場の変動を図る目的をもって、風説を流布し、当該風説の流布により有価証券の価格に影響を与えたものである。

 


<感想>
本件は、「Yahoo!ファイナンス」電子掲示板への合理的根拠のない情報の投稿が「風説の流布」に当たり、課徴金が課された事例。誰もが可能な事案であり、投稿内容には留意が必要だ。

 

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内部管理態勢の整備状況等をモニタリング?

 

【 証券モニタリング基本方針 】

 


 2024/8/2、証券取引等監視委員会から「令和6事務年度 証券モニタリング基本方針」がリリースされた。
https://www.fsa.go.jp/sesc/news/c_2024/2024/20240802-2/01.pdf

 

 以下は一部抜粋。

 


1.金商業者等を取り巻く環境等
(1)金商業者等を取り巻く環境
 1)顧客本位の業務運営等
 2)詐欺的な投資勧誘による被害急増
 3)持続的なビジネスモデルの構築や新たな金融商品の広がり 
 4)サイバーセキュリティリスクの高まり
 5)マネー・ローンダリング及びテロ資金供与対策の重要性

 

(2)金商業者等を取り巻く規制の枠組み等の変更
 1)顧客本位の業務運営の確保に向けた対応
 2)デジタル化の進展等への対応
 3)資産運用の高度化・多様化

 

(3)昨事務年度の証券モニタリングを通じて判明した事項

 1)第一種金融商品取引業者、登録金融機関、金融商品仲介業者
 外国為替証拠金取引業者においては、ストレステスト結果の悪化を回避するため、社長の指示により、改ざんしたデータを使用してストレステストを実施している状況が認められた。

 


2.業態横断的な検証事項
 1)適合性原則を踏まえた適正な投資勧誘等に重点を置いた内部管理態勢の構築や、顧客本位の業務運営を踏まえた販売状況等

 2)デジタル化の進展等を踏まえたビジネスモデルの変化と、それに対応した内部管理態勢の構築

 3)サイバーセキュリティ対策(インターネット取引における不正アクセス対策を含む)の十分性やデジタル化の進展に伴うシステムリスク管理(システム開発・運用管理や外部委託先の管理を含む)の対応状況

 4)AML/CFT に係る内部管理態勢の定着状況

 5)内部監査の結果及び自主規制機関の監査等で指摘された事項に係る改善策及び再発防止策の取組状況

 


3.規模・業態別の主な検証
(5)外国為替証拠金取引業者
 昨今のサイバー攻撃の洗練化・巧妙化やリスクの急激な高まりを踏まえ、サイバーセキュリティ対策を含むシステムリスク管理態勢の整備状況について検証を行う。
 また、広告規制違反、販売・勧誘における適正な内部管理態勢の整備状況、ストレステストの実施を含めた店頭FX業者の決済リスク管理の状況について検証を行う。

 


<感想>
業態別FX業者宛てモニタリング対象としては、1)サイバーセキュリティ対策を含むシステムリスク管理態勢の整備状況、2)広告規制違反、販売・勧誘における適正な内部管理態勢の整備状況、3)ストレステストの実施を含めた店頭FX業者の決済リスク管理の状況について、特に留意する必要がありそうだ。

 

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