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海外配当等で経常収支は10年ぶりの高水準?


【 2017年:国際収支状況(速報)】


 2018/2/8、財務省が、2017年の国際収支状況(速報)の概要を公表した。
http://www.mof.go.jp/international_policy/reference/balance_of_payments/preliminary/pg2017cy.htm


[ 経常収支 ]

・21兆8742億円の黒字
http://www.mof.go.jp/international_policy/reference/balance_of_payments/preliminary/bpgaiyou2017.pdf

1.貿易・サービス収支:4兆2,246億円の黒字(前年比▲1,524億円、黒字幅縮小)

・「貿易収支」が黒字幅を縮小 ⇒ 「貿易・サービス収支」は黒字幅を縮小

(1) 貿易収支:4兆9,308億円の黒字(前年比▲5,943億円、黒字幅縮小)

・輸入額の増加 > 輸出額の増加 ⇒ 「貿易収支」は黒字幅を縮小

輸出:77兆1,955億円(前年比+8兆2,158億円[+11.9%]増加)
輸入:72兆2,647億円(前年比+8兆8,101億円[+13.9%]増加)

(2) サービス収支:▲7,061億円の赤字(前年比+4,418億円、赤字幅縮小)

「旅行収支」の黒字幅拡大等 ⇒ 「サービス収支」の赤字幅縮小


2.第一次所得収支:19兆7,397億円の黒字(前年比+1兆6,386億円、黒字幅拡大)(うち再投資収益:4兆4,261億円の黒字)

「直接投資収益」の黒字幅拡大等 ⇒ 「第一次所得収支」の黒字幅拡大


[ 金融収支 ]

・「直接投資」の純資産増加等 ⇒ 「金融収支」の純資産が17兆1,077億円増加

1.金融収支・資産(居住者による投資)

(1) 対外直接投資:18兆4,905億円の資産増
・本邦企業による海外企業の買収等 ⇒ 資産増(実行超)

(2) 対外株式・投資ファンド持分投資:11兆1,784億円の資産増
・投資信託委託会社等の買い越し等 ⇒ 資産増(取得超)

(3) 対外中長期債投資:▲7,978億円の資産減
・銀行等(銀行勘定)の売り越し等 ⇒ 資産減(処分超)


2.金融収支・負債(非居住者からの投資)

(1) 対内直接投資:2兆615億円の負債増
・本邦企業による海外子会社からの借入等 ⇒ 負債増(実行超)

(2) 対内株式・投資ファンド持分投資:1兆8,684億円の負債増
・電気機器等の業種において買い越し ⇒ 負債増(取得超)

(3) 対内中長期債投資:10兆8,860億円の負債増
・中長期国債の買い越し等 ⇒ 負債増(取得超)


<感想>
 好調な海外経済や円安を背景に、第一次所得収支(企業が海外子会社から受け取る配当金や投資収益)が寄与して、経常収支は07年以来10年ぶりの高水準となった。
 「貿易収支<第一次所得収支」≒「外需に依存した海外拠点頼みの構造」は、当面継続するように思われる。

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国際収支に占める直接投資収益



対外収支の変化


 2017/2/8、財務省から「平成28年中 国際収支状況(速報)の概要」が公表された。
http://www.mof.go.jp/international_policy/reference/balance_of_payments/preliminary/pg2016cy.htm 

経常収支(20.6兆円)=貿易・サービス収支(5.6兆円)+第一次所得収支(18.1兆円)+第二次所得収支(▲2.1兆円)


 小さい頃、「日本は資源がないので、貿易で稼がざるを得ない」と教わった記憶がある。

 しかし、対GDP比率の数字の他国比較で見る限り、そのような事実はない。


<2015年 世界の貿易依存度 国別ランキング・推移>
http://www.globalnote.jp/post-1614.html

GDP÷貿易額(貿易輸出総額+輸入総額)

 香港   3.37
 シンガポール 2.33
 韓国   0.72
 ドイツ   0.71
 フランス 0.44
 イギリス 0.37
 中国   0.33
 日本   0.28
 米国   0.21


<輸出額とGDPに占める割合>
http://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/data/data_list/kan-i/files/pdf/gaku-mcy_kan-i.xls


プラザ合意(1985年9月)前後(兆円)
       1984年 1985年 1986年  1987年
輸出額   44.9   46.2   38.1↓   36.2↓
GDP比率 14.7% 14.1% 11.1%↓ 10.1%↓

 急激な円高の進行に伴い、生産拠点を海外に移転し、現地生産比率を高めた(⇒結果、プラザ合意後は、輸出額・比率とも急減した)


<第一次所得収支>
http://www.mof.go.jp/international_policy/reference/balance_of_payments/bpnet.htm

 第一次所得収支(18.1兆円)の内、主なものは、直接投資収益(7.3兆円)と証券投資収益(10.3兆円)。


直接投資収益

 議決権割合が10%以上の現地法人等に対するクロスボーダー投資で配当金や内部留保として積み立てられた収益等で、プラザ合意以降、海外拠点が拡充された結果、経常収支に安定的に寄与している。

 「通商白書2016」http://www.meti.go.jp/report/tsuhaku2016/whitepaper_2016.html)では、「外で稼ぐ力」として、詳しく検証されている。


証券投資収益

 直接投資に該当しない、金融取引で外国株式や外債に投資して得る配当金や債券利子等で、債券利子(中長期債)の受取増加が主なものである。


<まとめ>

 貿易収支は、輸入に頼る原油価格に左右される傾向がある(2011年〜2015年まで輸入超)。

 国際収支においては、今後も第一次所得収支をウォッチして行く必要がありそうだ。


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