fc2ブログ

TOBではなく、株式交換で完全子会社化?


【 デンソー:株式交換でジェコーを完全子会社化 】

 


 2020/12/7、デンソー(6902)が、ジェコー(7768)の完全子会社化に関する株式交換を発表した。
https://www.denso.com/jp/ja/-/media/secure-news/jp/ja/news/news-releases/2020/20201207__densos-acquisition-of-jeco-jp.pdf?rev=31a6ad28b56b4d5e8e6a3239a15bbaaa

 以下は一部抜粋。

 


1.目的
・完全子会社(現在、持分法適用関連会社)でない状況下においては、デンソーグループ(DG)からジェコーグループ(JG)に対して開示される情報は限定的にならざるを得ず、DGが有する技術や情報をJDの製品開発に最大限活かすことが困難

・完全子会社となれば、DGが保有する各種情報を受けることが可能となり、製品競争力の強化に繋げることが可能になる

・ジェコー株式の非公開化に伴い、上場維持コストや株主対応コスト等の削減が図られるとともに、デンソーと他の少数株主とのあいだにおける潜在的な利益相反関係の解消により、中長期的な企業価値向上に向けて迅速かつ抜本的な経営施策の遂行が可能になると考えている

 


2.株式交換に係る割当ての内容
・ジェコー株式1株に対して、デンソー株式0.55株を割当
・交付する株式数:デンソー株式450,115株(予定)
⇒ デンソーの保有する自己株式(9/30現在13,042,200株)を充当する予定

12/4終値
デンソー:5,733円×0.55=3,153.15(a)
ジェコー:2,512円(b)
a÷b=125.5%(25.5%のプレミアム)

 


3.株式交換の方式
・簡易株式交換の手続き(会社法第796条第2項)により、デンソーの株主総会の承認を受けずに、2021/2/5開催予定のジェコー臨時株主総会において本株式交換の承認を受けた上で、2021/4/1を効力発生日として行う予定

 


4.株式交換により譲渡した場合の譲渡所得の特例
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1526.htm

(1)その株式交換完全親法人の株式の交付を受けた場合には、旧株の譲渡はなかったものとみなされる

(2)上記株式交換の場合、所有株式の取得価額は、旧株の取得価額となる

 


<感想>
 本件は、デンソーが35.5%出資する持分法適用会社のジェコーの完全子会社化目的の株式交換。デンソーは全て自己株式を充当予定。
 資金負担も不要なため、TOBより株式交換の方が取得側にとってはベターなように思われる。

 

----------------------------------------------------------------------
元証券マンが「あれっ」と思ったこと
発行者HPはこちら http://tsuruichi.blog.fc2.com/
----------------------------------------------------------------------

TOBでなく、簡易株式交換による完全子会社化?


【 三井化学:アークの簡易株式交換による完全子会社化 】

 


 2020/5/14、「三井化学によるアークの簡易株式交換による完全子会社化及び三井化学による完全子会社であるエムシーインベストメント01の吸収合併(簡易合併・略式合併)に関するお知らせ」が発表されていた。
https://jp.mitsuichemicals.com/sites/default/files/media/document/2020/kessan_200514_5.pdf

 以下はその概要。


・三井化学(4183)及びアーク(7873)は、両社の取締役会において、三井化学を株式交換完全親会社とし、アークを株式交換完全子会社とする株式交換を行うことを決議し、両社間で株式交換契約を締結

 

・2020年7月30日付で上場廃止(最終売買日は2020年7月29日)となる予定

 

・三井化学は、三井化学の完全子会社であるエムシーインベストメント01を通じて間接的にアーク株式を保有しているが、2020年7月31日を効力発生日として、三井化学を吸収合併存続会社とし、エムシーインベストメント01を吸収合併消滅会社とする吸収合併を行うことを、三井化学における取締役会において決議

 

・三井化学は、アークの株主に対して、その保有するアーク株式に代えて、本株式交換比率に基づい て算出した数の三井化学株式を割当交付する
⇒ 本株式交換に際して交付する三井化学株式は、全て三井化学が保有する自己株式(2020年3月31日現在:13,557,163株)を充当する予定であり、三井化学が新たに株式を発行することは予定していない

 

・本株式交換比率は、2020年5月13日以前3か月平均ベースと比較して35.2%、同日以前6か月平均ベースだと38.7%のプレミアムが付与されており、近年の株式交換事例におけるプレミアムの平均値と比較しても十分なプレミアム水準と考えられる

 


(ご参照)
パナソニックのパナホーム完全子会社化時に、当初の株式交換からTOBに切り替えざるを得なかった事例
https://biz-journal.jp/2017/12/post_21641_2.html

 


<感想>
 本件は、現金が必要なTOBではなく、自己株式を充当する株式交換で完全子会社化を企図する事例。三井化学にとってはTOBより株式交換の方がメリットがあるように思われる。

 

----------------------------------------------------------------------
元証券マンが「あれっ」と思ったこと
発行者HPはこちら http://tsuruichi.blog.fc2.com/
----------------------------------------------------------------------

FC2プロフ
プロフィール
最新記事
月別アーカイブ
カテゴリ
CEO (4)
夢 (8)
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR