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税務メリット



キーエンスの事業年度の変更


キーエンス(6861)は、2016/4/27に事業年度の変更を発表した(出所:http://www.keyence.co.jp/company/outline/disclosure.jsp の2016/4/27)。



『 変更の理由

 平成28年度税制改正により、平成28年4 月1日以降に開始する事業年度から法人税率が引き下げ られることになりましたが、当社の場合、従来の事業年度では平成29年3月21日以降の適用となり ます。この遅れを少なくするため平成28年6月21日から新事業年度を開始することで、税務メリッ トより早く享受企業価値の最大化が図れると考えております。 』


法人税の税率に関する改正
(出所:https://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/hojin/kaisei_gaiyo2016_4/pdf/03.pdf

 改正前 平27.4.1以後開始年度 23.9%
 改正後 平28.4.1以後開始年度 23.4%(▲0.5%)
      平30.4.1以後開始年度 23.2%(▲0.2%)


法人税額の簡易試算(例)

 H29/3期第1Q(6/21~9/20)の当期純利益 374億円×4(倍)=1,496億円(1年分)
 1,496億円÷(1-23.9%)×0.5%=約10億円


キーエンス、高収益企業が決算期を変えるワケ
(出所:http://toyokeizai.net/articles/-/69763?display=b

『 営業利益率5割超に達してもなお、税務メリット追求するために臆面もなく決算期の変更までやってのける――。こうしたところにも、高収益企業の利益に対する飽くなき貪欲さをうかがい知ることができる。 』



 収益を追求し続けるキーエンスの飽くなき貪欲さを見習ってゆきたい。


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テーマ : 税金
ジャンル : 政治・経済

「税金の抜け穴」②



「税金の抜け穴」(大村大次郎著、KADOKAWA)より


  第4章  相続税、贈与税・・・・・・田中角栄の完璧な税対策とは

  史上最大の節税“武富士事件”とは?


 当時の日本の税法では、「海外にもっている資産」を「海外に居住するもの」に贈与した場合は、贈与税はかからないということになっていたのだ。武富士一族はこの抜け穴を利用し、武富士の株をオランダの会社の持たせることで、自分の資産を海外に移し、息子を香港に住まわせてそれに贈与するこおで、「海外にもっている資産」を「海外に居住するもの」に贈与した、のである。
 この抜け穴に気づいた税務当局は2000年に、海外の資産を海外に居住するものに与えても税金がかかるように改正した。が、それも後の祭りだった。

 2011年2月、最高裁判決で、追徴課税の取り消しというこになったのだ。息子が香港に居住していた事実はあるので、当時の法律から見れば課税をするわけにはいかないというのだ。

 武富士側は、もし贈与税をまともに払っていたとしても、数百億円の贈与を受けていたわけであり、庶民感覚から見ればそれだけでも十二分すぎる贈与である。しかも、追徴税1300億円がさらに還付され、国税から(14%の)利子400億円が払われたわけである。合計2000億円を手にしたわけだ。


  第6章  自動車は「オプション後付け」で買いなさい

  固定資産税の抜け穴――「評価額」を下げる方法


 固定資産税の税額は、課税標準価格×税率で算出される。税率は、1.4%である。この課税標準価格というのは、役所の職員の調査をもとにして決めるのだ。
 固定資産税において、土地に関しては安くする余地はあまりないが、建物に関しては安くする方法があるのだ。
 というのは建物の固定資産税は、役所の職員が建物を「見て」決めるからだ。ある程度の基準は決まっているが、最終的には、役人の判断で決められる。
 また役人は、建物に関する細かい資料を見るわけではない。だいたいの印象で決め手しまうのである。その建物が豪華に見えればそれだけ税金が安宅区設定されるし、貧弱に見えれば安くなる可能性が高いのだ。
 だから新築住宅の場合は、外装、周辺設備などは貧弱な状態で引渡しを受けて、固定資産税の額が決定してからいろいろ手直しをしてもらうと、固定資産税が安くなる可能性が高い。厳密には、外装、周辺設備なども、固定資産税の対象となるが、後から追加したものまでチェックされることは、ほとんどない。

 固定資産税の評価額が高すぎると思った場合、固定資産評価審査委員会に不服を申し出ることができる。


  第七章  国際的な税金の抜け穴・・・・・・日本の税収の死活問題

  税金の逃れるための商品“タックスシェルター”とは?


 最近、新たにガン保険を使った租税回避商品が出回っている。

 以前、このガン保険は、保険期間の保険料を全額一括払いし、支払った年の経費に算入するという凄い節税策も採ることができていた。
 数百万円から数千万円の保険料を一度に経費に算入できるわけなので、予想外に儲かって多額の税金がかかってきそうな場合には、またとない節税策だった。ただ平成13年に税制改正され、さすがにその方法での節税はできなくなった。
 また平成24年の税制改正により、ガン保険は全額ではなく、半額しか経費にできないことになった。
 というように、租税回避商品は、開発されては国税当局に規制される、ということをくり返しているのだ。


  おわりに

 現在の税制は欠陥だらけである。はっきり言うと、現在の税制は、公平か不公平かなどは考慮されず、「取りやすいところから取る」という状況にある。

 本文でも紹介したように、昨今、大企業や富裕層は大幅に税金を下げられている。その一方で、消費税の増税など、中間層以下の負担が増す施策が次々と打ち出されている。
 なぜこのようなことになっているかといえば、大企業や富裕層は、あらゆる方法で政治に圧力をかけ、税金を下げさせているからだ。
 しかし、一般市民は政治に圧力をかける方法を知らない。また一般市民は、税金についてあまり知識がないので、増税してもあまり文句を言わない。
 だから税金の世界は、「うるさいものが得をする」という状態になっているのだ。

 「税金の抜け穴」という下世話なタイトルで興味を持っていただこうという計算もあったが、本書の真の目的は、一般の人たちに「騙されている」ことに気づいてもらうことである。


>>まずは、非常にわかりにくい現在の税制の内容を知ることから始めてみたい

「税金の抜け穴」①



「税金の抜け穴」(大村大次郎著、KADOKAWA)より


  第2章  税金の「制度的な抜け穴」を知る人々

  「政治家の税金は、一般市民の10分の1」?


 税務の世界には、十五三一(とうごうさんぴん)という俗語がある。
 これは、各業界が税務当局に収入を正確に把握されている割合を示すものだ。サラリーマンは所得を10割把握されているが、自営業者は5割しか把握されていない。農業は3割で、政治家に至っては1割しか把握されていないという意味だ。

 政治家の収入は、大きく二つある。
 一つは、歳費といって、国や自治体からもらえる議員としての給料である。
 もう一つの収入は、支持者や関係団体からもらう寄付金である。
 政治家の税金は、歳費にはかかることになっているが、寄付金には事実上かかってこないのである。
 寄付金は、政治献金と呼ばれ「税法上の収入」にはならないのだ。
 というのは、献金は政治家本人にされるのではなく、政治団体にされる建て前になっている。政治団体には税金はかからない。だから政治家の献金収入には、税金がかからないようになっているのだ。

 また政治家は歳費のほかに、通信費、秘書費など各種の手当をもらっている。
 この手当にも税金はかからない。これらの手当は、かかった金額が支給されるのではなく、あらかじめ決められた金額が無条件に払われるものである。


  「開業医の」優遇税制

 日本では開業医に、超優遇税制が敷かれている。
 社会保険診療報酬の72%が経費として認められていのだ。簡単に言えば、開業医は収入のうちの28%だけに課税をしましょう、72%の収入には税金はかけませんよ、ということである。

 開業医は、、社会保険診療報酬が5000万円以下であれば収入から最高72%の経費を差し引くことができるのだ。実際の経費がいくらであろうと、である。
 開業医が儲かるはずなのだ。
 なぜこういう制度ができたかというと、昭和29年に、「社会保険診療報酬の額が少ないから引き上げろ」という要求が医者の側からなされた。でも当時はまだ釈迦保険制度が十分でなく原子が不足気味だったので、政府は引き上げに応じなかった。その代わり、診療報酬の28%にしか税金はかけないという措置を暫定的に行ったのだ。
 その措置がいしゃの既得権益になってしまい、その後、診療報酬が引き上げられたあとも、この72%ルールは残されてしまったのだ。
 
 日本医師会は、日本で最強の圧力団体と言われている。
 この団体は、実は医者の集まりではない。基本的に開業医の集まりなのだ。日本医師会というのは、開業医の利権を守る団体なのである。
 日本医師会は自民党の有力な支持母体であり、政治献金も多いため、かなり強い権力を持っている。そのため、開業医の優遇税制は、なかなか廃止できないのである。


  「宗教法人」の優遇税制

 宗教行為で生じた収入は非課税ということになっているのだ。
 具体的にいえば、僧侶は檀家から受け取る「お布施」、神社が販売している「おみくじ」などの収入には税金がかからないのである。その他にも「祈祷」など、宗教行為とされるものについては税金がかからない。
 宗教活動というのは、普通の企業のような利益を得る活動ではないので、税金はかけてはならない、ということになっているのだ。

 土地建物の固定資産税はかからず、信者からの寄付金にも税金はかからない。進行宗教法人が、信者から莫大なお布施を集めても、それには一切税金がかからないのだ。

 それにしても、日本では、政治家と開業医と宗教法人が、税金で超優遇されているのだ。一番金にきれじゃなければならない業界が、一番税金を払っていないということなのである。


  「大地主さん」の優遇税制

 固定資産税というのは、土地や建物評価額に対して、1.4%かかることになっている。そして住宅用の狭い土地(200㎡以下)に関しては、固定資産税は6分の1でいいという規定がある。

 「6分の1の規定」は1戸あたりの住宅用地が200㎡以下であれば適用されるということになっており、巨大マンションでも一部屋あたりの住宅用地は200㎡になるからである。つまり、この「6分の1の規定」は持ち家だけではなく、貸家、貸マンション、貸アパートにも適用されているということだ。

 なぜ貸マンションなどにも「6分の1の規定」が適用されているのか、というと、表向きは「貸家の固定資産税が高くなると、家賃に上乗せされてしまうから」ということになっている。


>>我々にも適用される優遇税制をもっとよく理解しておく必要がある

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