【 制度ロックアップと任意ロックアップ 】
2022/7/22、坪田ラボが、「第三者割当により割り当てられた株式の譲渡に関する報告書」の提出に関するお知らせ、を発表した。
https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS82482/d5a95e3d/e61a/4015/bed8/5b80a56fcc7e/140120220722503258.pdf
以下は、一部抜粋。
1.概要
上場申請直前事業年度以降に行った第三者割当等により株式の割当てを受けた者は、株式上場日(2022年6月23日)以後6ヶ月を経過する日までの間は、当社株式を第三者に譲渡しない 旨、また当社株式を第三者に譲渡する場合は事前に当社に書面にて通知をする必要がある旨等の確約(いわゆる、制度ロックアップ)がされておりました。
しかしながら、当社株主であった学校法人慶應義塾(以下、慶應義塾といいます。)との打ち合わせの際に、慶應義塾が譲渡制限期間内に下記の通り所有株式の全部を市場で売却していたことが判明致しました。
そのため、当該事項判明後、当社は慶應義塾及びSMBC日興証券株式会社(以下、日興証券といいます。)と事実関係の詳細な確認等を行ないました。この詳細確認ができましたので、 本日付けで、有価証券上場規程及び有価証券上場規程施行規則に基づき、東証に対して「第三者割当により割り当てられた株式の譲渡に関する報告書」を提出致しました。
確認の結果、以下の事項が判明しました。
・当社は「継続保有確約書の締結先に対して、制度ロックアップを再周知する様に」という主旨の通知を日本取引所自主規制法人の上場審査部から4月15日に受領したものの、この対応を失念していたこと。
・上記もあって、慶應義塾が確約書におけるロックアップ条項の存在を認識ないままになっていたこと。
・日興証券は慶應義塾が所有する当社株式の口座受入れに当たり、当該株式が制度ロックアップの対象であることの確認が不十分であったことから、当該株式に売却規制登録の社内手続きを採ることの確認が漏れていたこと。
・このため慶應義塾は売却前に日興証券に対してロックアップの対象であるかについて問い合わせを行ったものの、日興証券は当該規制の対象ではない旨の回答を行っていたこと。
・なお慶應義塾は決して制度ロックアップ対象であることを把握したうえでの故意の売却でなく、あくまで制度ロックアップについて認識もれであったこと。
< 制度ロックアップ >
有価証券上場規程施行規則(東京証券取引所)
https://jpx-gr.info/rule/tosho_regu_201305070041001.html
第3款 上場前の第三者割当等による募集株式の割当て等
(第三者割当等による募集株式の割当てに関する規制)
第268条
新規上場申請者が、新規上場申請日の直前事業年度の末日から起算して1年前より後において、第三者割当等による募集株式の割当てを行っている場合には、当該新規上場申請者は、割当てを受けた者との間で、次の各号に掲げる事項について確約を行うものとする。
(1)割当てを受けた者は、割当てを受けた株式を、原則として、割当てを受けた日から上場日以後6か月間を経過する日まで所有すること。この場合において、割当株式について株式分割、株式無償割当て、新株予約権無償割当て又は他の種類の株式若しくは新株予約権への転換が行われたときには、当該株式分割、株式無償割当て、新株予約権無償割当て又は他の種類の株式若しくは新株予約権への転換により取得した株式又は新株予約権についても同日まで所有すること。
< 任意ロックアップ >
東京証券取引所
新規上場申請者に係る各種説明資料の記載項目について
https://www.jpx.co.jp/equities/listing-on-tse/documents/nlsgeu000005n6e4-att/16_growth.pdf
(13) ロックアップ等又は株主間契約の状況
上場申請日(既上場会社においては直前の基準日等)における大株主(上位15名程度)が、申請会社、 申請会社役員又は他の大株主との間で、申請会社の株式の譲渡(ロックアップ、アーンアウト等)又は申請会社の業務運営(取締役候補の選定、株主に対する事前承認等)に関して、協定又は契約を結んでいる若しくは結ぶ見込みである場合には、その内容(締結年月、契約の当事者、契約の概要等) を記載してください。
<感想>
本件は、三者(坪田ラボ:株式上場会社、慶應義塾:投資家、日興:主幹事証券)三様のミスが重なった結果、制度ロックアップの譲渡制限期間内に、所有株式の全部を市場で売却してしまった事例。
本件を他山の石として、同じようなミスが発生しないよう、努めて参りたい。
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元証券マンが「あれっ」と思ったこと
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