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IPO承認前に届出書を提出?

 

【 IPO:承認前届出書の提出 】

 


 2023/9/15、『「企業内容等の開示に関する内閣府令」等の一部改正(案)に対するパブリックコメントの結果等について』が公表された。

https://www.fsa.go.jp/news/r5/sonota/20230915-2/20230915-2.html

 


 本件は、「IPO時の初値が公開価格を大幅に上回る」ケースが散見されたために、『上場承認前より、機関投資家等に対して価格目線探索のためのヒアリングを行うべく、上場日程・株式数・価格に関する記載を柔軟化した承認前届出書を提出することができるようにする趣旨』の改正である。

 

 2022年1月、公正取引委員会から「*新規株式公開(IPO)における公開価格設定プロセス等に関する実態把握」が公表されていたが、その1年9ヶ月後での改正&施行は、比較的早いタイミングでの実施と評価できそうだ。

*https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2022/jan/220128_IPO/220128_summary.pdf

 

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IPOでの優越的地位の濫用?

 

【 公正取引委員会:IPOにおける優越的地位 】

 


 2023/4/13、公正取引委員会が、みずほ証券を注意した。
https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2023/apr/20230413dai2.html

 以下は、一部抜粋。

 


注意の概要等

(1) みずほ証券は、令和2年6月から令和3年5月までの間に東京証券取引所に上場した新規株式公開案件96件のうち、21件において主幹事を務めた。

  新規株式公開は、推薦審査の終了後に公開価格設定プロセスを経て行われるところ、上場予定日の延期を希望しない新規上場会社にとっては、公開価格設定プロセスの段階で主幹事を変更することは困難であるため、主幹事が、新規上場会社にとって著しく不利益な要請等を行っても、新規上場会社はこれを受け入れざるを得ないと考えられ、みずほ証券は、主幹事を務めた新規株式公開案件の公開価格設定プロセスにおいて、主幹事を変更することが困難である新規上場会社に対し、優越的地位にあったと認められる可能性がある。

 

(2) みずほ証券は、主幹事を務めた上記21件の新規株式公開案件の公開価格設定プロセスにおいて、同社が優越的地位にあったと認められる可能性がある新規上場会社に対し、下記ア及びイのように想定発行価格又は仮条件を設定し、これを受け入れるよう要請していた事例が認められた。

 


  そして、2社の新規株式公開案件における初値は、いずれについても公開価格の倍以上となるなど、公開価格を大幅に上回っており、2社は、自らが主張した想定発行価格又は仮条件に基づき設定されたであろう公開価格により新規株式公開ができていれば、より多くの資金を調達した可能性がある。

 


 「新規株式公開(IPO)における公開価格設定プロセス等に関する実態把握について」を踏まえた取組

 

 公正取引委員会は、新規株式公開における公開価格設定プロセス等に関する実態把握を行い、令和4年1月28日に報告書を公表した。本報告書においては、「優越的地位にある主幹事が、一方的に公開価格を設定するなどして主幹事業務の取引を実施し、新規上場会社に正常な商慣習に照らして不当に不利益を与えたと認められる場合には、独占禁止法上問題となるおそれがある」旨指摘したところであり、

 公正取引委員会は、今回のような行為も含め、当該報告書において指摘した独占禁止法上問題となる行為に係る情報に接した場合には、厳正・的確に対処していく。
(以下略)

 


ご参考)(令和4年1月28日)新規株式公開(IPO)における公開価格設定プロセス等に関する実態把握について
https://www.jftc.go.jp/houdou/pressrelease/2022/jan/220128_IPO.html

 


<感想>
 本件は、みずほ証券が、IPOの公開価格設定プロセスに優越的地位の濫用があったとして、注意されたもの。
 IPOの初値は、その時点における相場環境にも左右されるため、初値がIPO価格の2倍以上であることを理由として、優越的地位の濫用と看做すことには違和感を感じる。

 

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制度ロックアップ違反による株式の売却?

 

【 制度ロックアップと任意ロックアップ 】

 


 2022/7/22、坪田ラボが、「第三者割当により割り当てられた株式の譲渡に関する報告書」の提出に関するお知らせ、を発表した。
https://contents.xj-storage.jp/xcontents/AS82482/d5a95e3d/e61a/4015/bed8/5b80a56fcc7e/140120220722503258.pdf

 

 以下は、一部抜粋。

 


1.概要

 上場申請直前事業年度以降に行った第三者割当等により株式の割当てを受けた者は、株式上場日(2022年6月23日)以後6ヶ月を経過する日までの間は、当社株式を第三者に譲渡しない 旨、また当社株式を第三者に譲渡する場合は事前に当社に書面にて通知をする必要がある旨等の確約(いわゆる、制度ロックアップ)がされておりました。

 

 しかしながら、当社株主であった学校法人慶應義塾(以下、慶應義塾といいます。)との打ち合わせの際に、慶應義塾が譲渡制限期間内に下記の通り所有株式の全部を市場で売却していたことが判明致しました。

 

 そのため、当該事項判明後、当社は慶應義塾及びSMBC日興証券株式会社(以下、日興証券といいます。)と事実関係の詳細な確認等を行ないました。この詳細確認ができましたので、 本日付けで、有価証券上場規程及び有価証券上場規程施行規則に基づき、東証に対して「第三者割当により割り当てられた株式の譲渡に関する報告書」を提出致しました。


確認の結果、以下の事項が判明しました。

 

・当社は「継続保有確約書の締結先に対して、制度ロックアップを再周知する様に」という主旨の通知を日本取引所自主規制法人の上場審査部から4月15日に受領したものの、この対応を失念していたこと。

 

・上記もあって、慶應義塾が確約書におけるロックアップ条項の存在を認識ないままになっていたこと。

 

・日興証券は慶應義塾が所有する当社株式の口座受入れに当たり、当該株式が制度ロックアップの対象であることの確認が不十分であったことから、当該株式に売却規制登録の社内手続きを採ることの確認が漏れていたこと。

 

・このため慶應義塾は売却前に日興証券に対してロックアップの対象であるかについて問い合わせを行ったものの、日興証券は当該規制の対象ではない旨の回答を行っていたこと。

 

・なお慶應義塾は決して制度ロックアップ対象であることを把握したうえでの故意の売却でなく、あくまで制度ロックアップについて認識もれであったこと。

 


< 制度ロックアップ >

有価証券上場規程施行規則(東京証券取引所)
https://jpx-gr.info/rule/tosho_regu_201305070041001.html

 

第3款 上場前の第三者割当等による募集株式の割当て等
(第三者割当等による募集株式の割当てに関する規制)

 

第268条
 新規上場申請者が、新規上場申請日の直前事業年度の末日から起算して1年前より後において、第三者割当等による募集株式の割当てを行っている場合には、当該新規上場申請者は、割当てを受けた者との間で、次の各号に掲げる事項について確約を行うものとする。

 

(1)割当てを受けた者は、割当てを受けた株式を、原則として、割当てを受けた日から上場日以後6か月間を経過する日まで所有すること。この場合において、割当株式について株式分割、株式無償割当て、新株予約権無償割当て又は他の種類の株式若しくは新株予約権への転換が行われたときには、当該株式分割、株式無償割当て、新株予約権無償割当て又は他の種類の株式若しくは新株予約権への転換により取得した株式又は新株予約権についても同日まで所有すること。

 


< 任意ロックアップ >

東京証券取引所
新規上場申請者に係る各種説明資料の記載項目について
https://www.jpx.co.jp/equities/listing-on-tse/documents/nlsgeu000005n6e4-att/16_growth.pdf

 

(13) ロックアップ等又は株主間契約の状況
上場申請日(既上場会社においては直前の基準日等)における大株主(上位15名程度)が、申請会社、 申請会社役員又は他の大株主との間で、申請会社の株式の譲渡(ロックアップ、アーンアウト等)又は申請会社の業務運営(取締役候補の選定、株主に対する事前承認等)に関して、協定又は契約を結んでいる若しくは結ぶ見込みである場合には、その内容(締結年月、契約の当事者、契約の概要等) を記載してください。

 


<感想>
 本件は、三者(坪田ラボ:株式上場会社、慶應義塾:投資家、日興:主幹事証券)三様のミスが重なった結果、制度ロックアップの譲渡制限期間内に、所有株式の全部を市場で売却してしまった事例。
 本件を他山の石として、同じようなミスが発生しないよう、努めて参りたい。

 

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トップ100社の半数以上にAIソリューションを提供?

 

【 エクサウィザーズ:東証マザーズ上場 】

 


 2021/11/19、日経電子版に、「エクサウィザーズ上場へ 時価総額800億円超」が掲載された。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO77701440Y1A111C2DTA000/

 

 人工知能(AI)開発のエクサウィザーズ(東京・港)が12月23日に東証マザーズに上場する。東京証券取引所が18日に上場を承認した。AIを生かしたデジタル技術に強みがあり、企業の課題解決を主力事業とする。同日開示した有価証券届出書に記載した想定価格ベースの時価総額は800億円超で、比較的大型の上場案件になるとみられる。

 


2021.11.18 プレスリリース
「東京証券取引所マザーズ市場への上場承認に関するお知らせ」
https://exawizards.com/archives/18646

 

 エクサウィザーズは「AIを用いた社会課題解決を通じて、幸せな社会を実現する」をミッションに掲げ、AIプラットフォーム「exaBase」を基軸にこれまで国内時価総額トップ100社の半数以上を含む500社超の企業にソリューションを提供しています(2021年11月時点)。

 

 AIの理解促進から企画・設計、開発と運用までワンストップで実行し、様々な業種で利用可能なSaaSのAIアプリケーションをはじめ、各業界の課題解決に応用可能なAIアルゴリズム・API、MLOps(※)など、AI/DXに関わる100以上の豊富なアセットを組み合わせることで、クイックなAI導入から共同でのサービス開発まで幅広いニーズに対応しています。

 

 また、AIプラットフォームを通じて抽出した汎用的な業界・社会課題を解決するためのAIプロダクトを開発・提供。介護スタッフの間接業務をAI×音声入力でサポートするアプリ「CareWiz ハナスト」や、5mの歩行動画から高齢者の転倒リスクをAIが解析するアプリ「CareWiz トルト」などの提供を通じ、AIの社会実装を推進しています。

 

 このたびの上場を機に、当社に集まるエンジニア、戦略コンサルタント、UI/UXデザイナー、ドメイン専門家等の多様なウィザードたちの力を結集し、社会課題解決に向けたさらなる事業拡大に取り組んでいきます。

 

(※) Machine Learning Operations / 機械学習オペレーション。データ収集やモデル構築等のAI開発フローと、データの再解析とモデル更新等のAI運用フローを持続的に実現する仕組み。

 


<感想>
 「AIを用いた社会課題解決を通じて、幸せな社会を実現する」をミッションとするエクサウィザーズが東証マザーズに上場する。
 国内時価総額トップ100社の半数以上を含む500社超の企業にソリューションを提供する同社の動向には注視してゆきたい。

 

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上場ラッシュで初値も弱め?


【 上場ラッシュ:売却タイミング 】

 


 2021/4/7に上場した2銘柄(表示灯、ファブリカコミュニケーションズ)。

 久しぶりに当選した両銘柄の上場日と翌日の価格推移を追ってみた。

 


   公募価格 公募株数・売出株数(OA含む)
表示灯 2,000円 650千株・753千株  (a)
ファブ 6,000円 100千株・488.2千株 (b)

 


   始値 高値 安値 終値 出来高 
2021/4/7
表示灯 2,672 3,175 2,590 3,175 9,159,700(a×6.5) 
ファブ 6,900 7,250 6,410 6,410 2,480,800(b×4.2)

2021/4/8
表示灯 3,170 3,250 2,911 2,999 3,698,500
ファブ 6,810 7,410 6,650 6,700 2,913,500

 


<感想>
 仕事で手が離せなかったこともあり、上場初日の前場は見送り、後場の14:45過ぎに売却した。
 上場ラッシュの供給過多からか、想定以下の売却益で終了した。

 

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