さようなら台湾の馮寄台大使/後任が「善良」であるのを祈る
2012/05/28/Mon
■中国迎合路線を自慢する馬英九政権
台湾の馬英九政権発足後に着任し、三年八カ月の任期を終え、五月二十八日に帰任する台北駐日経済文化代表処の馮寄台代表(駐日大使に相当)が都内のホテルで「感謝の夕べ」と題するレセプションを開いた。そこへは実に三百名に達する国会議員など、各界から大勢の人々が出席し、馮寄台氏との別れを惜しんだ。
離任する馮寄台駐日代表が謝恩パーティー。大勢の国会議員も参加するなど
日本での人気ぶりを見せたが、しかしこの人物の実態は
着任当初、前任者のような親日的な台湾人でもなく(馮氏は在台中国人)、反日の馬英九・国民党政権の一員であり(馬総統のブレーンでもあった)、そもそも日本との人脈もないとされ、不適任だとの批判も浴びた馮寄台氏だが、しかしいつのまにかこのように、各界での受けがよくなっている。
その理由の一つとして指摘される一つは、中国人ならではの社交の上手なところだ。とても人当たりがよく、台湾人からも日本人からも親しまれるという。
もちろんそれだけでなく、日台関係が良好に発展しつつある情勢も大きく影響していることだろう。
この日は馮寄台氏自身も、台湾メディアに対して次のようにコメントしている。
「台日の今日の関係は(断交後の)四十年来最良の時期を迎えている。そしてそれには二つの側面がある。一つは理性的な面。馬英九総統の両岸和解政策の下で日本、あるいは世界の前で台湾は立ち上がったのだ。日本人はそれを見て安心した。だから台日間で多くの協定が結ばれたのだ」
ここで言う「両岸和解政策」だが、一方的に武力恫喝を行って統一を求める大国との小国の「和解」とはどういうものかを考えてみたらいい。「和解」とは響きはいいが、その本質は「抵抗放棄」の「投降」路線といったあたりである。
そして日本国内では、こうした馬英九政権の危うさに懸念が高まったのだが、その一方で中国は馬英九政権に花を持たせようというのか、台湾と日本との交流にあまりケチをつけなくなってきたことに「安心」する者もいるのである。
そもそも中国傾斜と言えば、馬英九政権より日本政府の方が先輩だ(もちろん馬政権ほど魂は売っていないかも知れないが)。
そうした状況に馮寄台氏は「四十年来最良の時期」と強調し、馬英九政権、そして自分自身の功績を強調する宣伝に余念がないのだ。
■政敵批判のため日本のメディアを利用
中央社の報道によると、この日出席した衛藤征四郎衆議院副議長など、「馮寄台氏のように台湾の存在感を発揮させた中華民国の代表は見たことがない。たとえば読売新聞や産経新聞など大手紙で台湾の主張を宣揚してきた。台湾の存在感が高まるほど、アジアの平和、安全、繁栄への影響も大きくなる」などと語ったらしいが、衛藤氏は馮寄台氏が日本の「大手紙」に、いったいいかなる投書をしたのかを知っているのだろうか。
中国による併呑から台湾の国家主権を守ろうとして中国と対立した民進党政権をトラブメーカーと罵り、馬英九政権の主権放棄とも言える中国への傾斜、迎合を正当化するものが大半を占めているのだ。
日本で広く持たれる馬英九氏の親中路線への嫌悪感、警戒感を払拭し、それと同時に李登輝氏、民進党といった台湾本土路線に抱かれる共感、親近感を払拭する宣伝が、どうも馮寄台氏の日本における重大任務だったようだ。
それを言いかえれば、「馬英九政権の都合のいいように日本人や在日台湾人を騙すことが任務だった」となろう。
これは09年2月17日の朝日新聞に載った投書。馬政権の
対日重視を強調し、日本の取り込みを狙ったが、そこには
台湾人政党である民進党への罵詈雑言が溢れ、心ある者の
眉を顰めさせた
このような馮寄台氏の手口を、民進党政権時代に外交部長(外相)を務めた陳唐山氏はかつてこう批判している。
「馮寄台氏は国民の同意を得ることなく、 日本の大手紙において民意の納得を得ていない文章を発布するばかりか、大々的に民進党の前政権を『鎖国』『両岸平和を破壊』『台湾独立を主張している』『台湾人の中国での権益を保護できない』と非難してきた。そこで聞きたいのは、『台湾独立の主張』がもし民意を反映したものであるなら、馮寄台氏は誰から の指示で、台独を主張する者を『アジアの平和の破壊者』と呼ぶのかということだ」
「民進党は台湾の合法政党の一つだ。馮寄台氏は公職にありながら国外で政敵を攻撃するという個人的行為に及んでいるが、それは外交部や馬英九氏の指示によるものか」
日本人である私も、まったく同感である。本当に「台湾の主張」(台湾人の心の声)を伝えていたのは前任の許世諧氏だろう。
日本全国を回り、台湾の主権を守る決意を語り続け、大勢の日本人を感動させていたが、政治的には逆の立場に立つ馮寄台氏に、それと同じことはできるのか。
【参考】馮寄台駐日代表の日本メディア利用問題に関する過去の記事
朝日に掲載―馮寄台・台湾大使の親日宣伝に騙されるな 09/02/19
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-664.html
台湾駐日大使の有害宣伝―国民党政権で日台関係は増進したか 09/09/14
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-879.html
国民党の馮寄台・台湾大使の政治宣伝に反論する―台湾の地位は未確定にして中国領土ではない! 10/01/08
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-1015.html
産経に寄稿し日本を欺く馮寄台・台湾駐日代表 10/02/27
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-1072.html
台湾人を誹謗する台湾の馮寄台大使は日台関係の障害だ 10/07/31
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-1244.html
日本の媚中教科書に対する台湾・馮寄台大使の批判とその限界―毎日新聞は台湾の味方か敵か 10/12/27
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-1380.html
まるで中国外交官/民進党主席の訪日妨害か―馮寄台・台湾駐日大使の新聞投書に警戒を 11/09/06
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-1631.html
産経に寄稿し日本を欺く馮寄台・台湾駐日代表 10/02/27
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-1072.html
読売新聞、逃げる!ー台湾・馮寄台大使の「歴史捏造記事」掲載の責任に耐えかね 11/12/07
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-1713.html
日本の「台湾への感謝」を自らの外交実績と宣伝する国民党は日台の敵 12/03/29
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-1813.html
■李登輝氏大嫌いの駐日大使の「仕事」とは
馬英九政権の宣伝のため、日本のメディアを利用する手口を使った馮寄台氏。中国から圧力を受ける心配もないため、媚中メディアはすんなりと応じたのではないか。
馮寄台氏は新聞投書に先立ち、新聞社の幹部のために一席設け、そこで掲載を了承してもらったりしたそうだ。
そして掲載後は、そのコピーを日本国内の様々な方面に、郵便やファックス、あるいは手交という形でばらまいた。本人はそれで得意気だったが、内容の欺瞞性を知る人々からは嘲笑され続けた。「投書が唯一の仕事ではないか」などと。
新聞、雑誌に掲載された記事のコピーを得意げにばらまき、自らの存在と功績をアピールし続けた
実際には宣伝に関する「仕事」は他にもあったようだ。
馬英九政権を批判し、李登輝氏を褒める日本のメディアに抗議し、相手を困惑させたとの噂もある。
ちなみに馮寄台氏は大の李登輝氏嫌いだったとか。
では馮寄台氏は、本当にあまり仕事をしなかったのだろうか。たしかに「酒とゴルフに明け暮れている」との話はよく聞かされる。「あの酒は台湾人の血税だ」と陰口をたたかれるほど、とても「いい飲みっぷり」だったらしい。
ただそれはともかく、馮寄台氏が運が良かったのはたしかである。
何しろ前任者が在任中、日台の関係強化のためさまざまな下地を作り、レールを敷いてくれていた。そしてそれらの上で有能な代表処職員(大使館員)が懸命に働き成果を上げてくれた。そんな見方を私は何度となく聞かされている。
レセプションで馮寄台氏は「私の三十数年にわたる外交官の生涯で最もすばらしい経験をさせていただいた」と話しているが、それならまず前任者や職員に対してお礼を言うべきだろう。
さてその時に馮寄台氏は、自らの実績として「駐日代表処札幌分処開設」「外国人在留カードの国籍欄の記載を従来の『中国』から『台湾』へと改める法案」「台湾の国立故宮博物院の文物の日本展示を可能にする法案の日本での法制化」「台日間の投資保障協定、航空自由化協定、特許審査の覚書、マネーロンダリング防止の覚書などの調印といった、台日間における長年の懸案事項を一歩ずつ着実に実現」等々を紹介していた。
しかし「投資保障協定」「航空自由化協定」は日本の政財界が日本の民間のニーズに応えるようと推進したものであり、馬英九政権の中国傾斜政策の成果ではない。
■「国籍改正」は我々民間の台湾独立運動の成果だ
さらに言えば「外国人在留カードの国籍欄の記載を従来の『中国』から『台湾』へと改める法案」だが、馮寄台氏はこれを自分の実績と強調する割には、事情をよく理解していないようだ。
なぜなら言い方が間違っている。
これを正確に言うなら、「台湾人の外国人登録での国籍欄における記載は『中国』だったが、外登証が在留カードに切り替えられるにあたり、従来の『中国』から『台湾』へと改める法案」である。
そしてそれを推進したのは馮寄台氏でも馬英九政権でもなく、台湾独立建国を支持する我々民間の日本人や在日台湾人による要求運動なのだ。
法案が可決される前年の二〇〇八年十一月(馮氏着任から二ヶ月後)、私はそのことを法務省の関係部署からはっきりと聞かされている。その際「台湾政府からの要請」といった話は一切なかった。
ところが馮寄台氏は法案が可決された後、馬英九政権の功績だと宣伝し始めた。そしてその後、批判を受けたためかどうかは知らないが、しばらくそうは強調しなくなったようだ。だが離任を間近に控える最近になり、再び盛んに宣伝し始めた。
たとえば四月二十五日。自身の官邸で開いた日本駐在の台湾メディア関係者を招いた懇親会でのこと。
中央社によれば、馮寄台氏はその場で「中華民国政府が十数年来努力したにもかかわらず達成できなかったことが、私が日本へ来た後に達成された。両岸和解と政府の合理的政策の下、日本との間で協議が行われ、今年の七月から在日台湾人の居留証(報道原文ママ)国欄で『中国』から『台湾』へ切り替えることを日本政府に促した」と述べたそうだ。
そして「どうしても心残りなものと言えば、それはこの目で在日台湾人の居留証の国籍欄が変更されるのを見ることができないこと」と付け加えた。
まるでこの問題で心血を注いできたかのような言い方ではないか。
台湾紙中国時報によると、そこではこんな場面を見られたそうだ。
「記者会見ではいつも姿を見せる連根藤氏(日本で台湾独立運動機関紙である「台生報」の発行人)に、馮寄台氏は『国民党政権下で我が国国民の在留カードの国籍欄でついに台湾と書かれることになった』と書くよう求めた」
こんなことを要求したのか。「馬英九政権はここまで『台湾』を愛している」といった情報を台生報に流させ、台湾独立派を籠絡しようと狙っているのか。
馬英九政権が「中国」を「台湾」に切り替えるよう日本側に求めたなどとはどうしても思えない。だいいち台湾ウォッチャーであればまず疑問に思うだろう。「それほど中国が嫌がることを、あの政権が外交の舞台でやるだろうか」と。
■台湾人の日本への義捐金まで自分たちの「功績」にするか
話を戻そう。
レセプション会場で馮寄台氏は「四十年来最良の台日関係」を語る上で「二つの側面」があると話したが、「理性的な面」と並ぶもう一つは「心情的な面」だという。
つまり「東日本大震災に際し、台湾人民は日本に対し最大の愛と関心を示し、日本人に台湾の存在、心情を感得させた」というのだ。
そうした両国国民の感動的な心の触れ合いが、日台関係を増進させたのは事実である。
日本人の親台感情は今までになく大きな広がりを見せているところだが、それまでも馬英九政権の功績にするような印象操作だけはやらないでほしい。
なぜなら、もしそのようなことを行えば、台湾、そして日本の人々の心情を踏みにじることになるからである。
ところが三月二十二日の毎日新聞に掲載された馮寄台氏の投書「馬政権以降 深まる『台日』」にはこうあるのだ。
「馬総統は常に対日関係を重視している。昨年3月の東日本大震災では、馬総統は積極的にチャリティー活動に参加し、台湾の全民衆に『日本へ支援の手を差し伸べよう』と呼びかけた。馬総統が08年に就任して以来、総統府で会見する外国人訪問客は4年連続で日本人が最多である。最近でも、現在の台日関係は過去40年で最高に友好関係にあると表明した」
これを読めば、まるで台湾では馬英九政権の音頭で義捐金が集められ、それに日本人が感激して、日台関係は過去四十年来最良となったとの印象を受けてしまう。
レセプションで馮寄台氏は、次のように述べて盛大な拍手を浴びた。
「日本人は強くたくましい民族であり、この震災を必ず乗り越えると固く信じている。また四月十九日には天皇皇后両陛下ご主催の『春の園遊会』に招かれ、天皇陛下から私に『台湾ありがとう』とお言葉を賜り、皇后陛下からも英語で私の家内に感謝の言葉をかけていただいた。台湾の代表として初めて園遊会にお招きいただき、両陛下からお言葉を賜ったことは、私の外交官の生涯で、また親子二代にわたり駐日外交官を務めた馮家にとり最高の栄誉となった」
「最高の栄誉」と感じたことに偽りはないと信じたいが、ただそれをも馬英九政権の対日政策の成果などと宣伝しないことを望む。
日本人は震災後、台湾人の善良さに感激し、かくして素晴らしい日台関係が現出した。馮寄台氏と入れ替わりで着任する新しい駐日代表も、そのような「善良な台湾人」であること祈りたい。
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台湾の馬英九政権発足後に着任し、三年八カ月の任期を終え、五月二十八日に帰任する台北駐日経済文化代表処の馮寄台代表(駐日大使に相当)が都内のホテルで「感謝の夕べ」と題するレセプションを開いた。そこへは実に三百名に達する国会議員など、各界から大勢の人々が出席し、馮寄台氏との別れを惜しんだ。
離任する馮寄台駐日代表が謝恩パーティー。大勢の国会議員も参加するなど
日本での人気ぶりを見せたが、しかしこの人物の実態は
着任当初、前任者のような親日的な台湾人でもなく(馮氏は在台中国人)、反日の馬英九・国民党政権の一員であり(馬総統のブレーンでもあった)、そもそも日本との人脈もないとされ、不適任だとの批判も浴びた馮寄台氏だが、しかしいつのまにかこのように、各界での受けがよくなっている。
その理由の一つとして指摘される一つは、中国人ならではの社交の上手なところだ。とても人当たりがよく、台湾人からも日本人からも親しまれるという。
もちろんそれだけでなく、日台関係が良好に発展しつつある情勢も大きく影響していることだろう。
この日は馮寄台氏自身も、台湾メディアに対して次のようにコメントしている。
「台日の今日の関係は(断交後の)四十年来最良の時期を迎えている。そしてそれには二つの側面がある。一つは理性的な面。馬英九総統の両岸和解政策の下で日本、あるいは世界の前で台湾は立ち上がったのだ。日本人はそれを見て安心した。だから台日間で多くの協定が結ばれたのだ」
ここで言う「両岸和解政策」だが、一方的に武力恫喝を行って統一を求める大国との小国の「和解」とはどういうものかを考えてみたらいい。「和解」とは響きはいいが、その本質は「抵抗放棄」の「投降」路線といったあたりである。
そして日本国内では、こうした馬英九政権の危うさに懸念が高まったのだが、その一方で中国は馬英九政権に花を持たせようというのか、台湾と日本との交流にあまりケチをつけなくなってきたことに「安心」する者もいるのである。
そもそも中国傾斜と言えば、馬英九政権より日本政府の方が先輩だ(もちろん馬政権ほど魂は売っていないかも知れないが)。
そうした状況に馮寄台氏は「四十年来最良の時期」と強調し、馬英九政権、そして自分自身の功績を強調する宣伝に余念がないのだ。
■政敵批判のため日本のメディアを利用
中央社の報道によると、この日出席した衛藤征四郎衆議院副議長など、「馮寄台氏のように台湾の存在感を発揮させた中華民国の代表は見たことがない。たとえば読売新聞や産経新聞など大手紙で台湾の主張を宣揚してきた。台湾の存在感が高まるほど、アジアの平和、安全、繁栄への影響も大きくなる」などと語ったらしいが、衛藤氏は馮寄台氏が日本の「大手紙」に、いったいいかなる投書をしたのかを知っているのだろうか。
中国による併呑から台湾の国家主権を守ろうとして中国と対立した民進党政権をトラブメーカーと罵り、馬英九政権の主権放棄とも言える中国への傾斜、迎合を正当化するものが大半を占めているのだ。
日本で広く持たれる馬英九氏の親中路線への嫌悪感、警戒感を払拭し、それと同時に李登輝氏、民進党といった台湾本土路線に抱かれる共感、親近感を払拭する宣伝が、どうも馮寄台氏の日本における重大任務だったようだ。
それを言いかえれば、「馬英九政権の都合のいいように日本人や在日台湾人を騙すことが任務だった」となろう。
これは09年2月17日の朝日新聞に載った投書。馬政権の
対日重視を強調し、日本の取り込みを狙ったが、そこには
台湾人政党である民進党への罵詈雑言が溢れ、心ある者の
眉を顰めさせた
このような馮寄台氏の手口を、民進党政権時代に外交部長(外相)を務めた陳唐山氏はかつてこう批判している。
「馮寄台氏は国民の同意を得ることなく、 日本の大手紙において民意の納得を得ていない文章を発布するばかりか、大々的に民進党の前政権を『鎖国』『両岸平和を破壊』『台湾独立を主張している』『台湾人の中国での権益を保護できない』と非難してきた。そこで聞きたいのは、『台湾独立の主張』がもし民意を反映したものであるなら、馮寄台氏は誰から の指示で、台独を主張する者を『アジアの平和の破壊者』と呼ぶのかということだ」
「民進党は台湾の合法政党の一つだ。馮寄台氏は公職にありながら国外で政敵を攻撃するという個人的行為に及んでいるが、それは外交部や馬英九氏の指示によるものか」
日本人である私も、まったく同感である。本当に「台湾の主張」(台湾人の心の声)を伝えていたのは前任の許世諧氏だろう。
日本全国を回り、台湾の主権を守る決意を語り続け、大勢の日本人を感動させていたが、政治的には逆の立場に立つ馮寄台氏に、それと同じことはできるのか。
【参考】馮寄台駐日代表の日本メディア利用問題に関する過去の記事
朝日に掲載―馮寄台・台湾大使の親日宣伝に騙されるな 09/02/19
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-664.html
台湾駐日大使の有害宣伝―国民党政権で日台関係は増進したか 09/09/14
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国民党の馮寄台・台湾大使の政治宣伝に反論する―台湾の地位は未確定にして中国領土ではない! 10/01/08
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産経に寄稿し日本を欺く馮寄台・台湾駐日代表 10/02/27
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台湾人を誹謗する台湾の馮寄台大使は日台関係の障害だ 10/07/31
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日本の媚中教科書に対する台湾・馮寄台大使の批判とその限界―毎日新聞は台湾の味方か敵か 10/12/27
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まるで中国外交官/民進党主席の訪日妨害か―馮寄台・台湾駐日大使の新聞投書に警戒を 11/09/06
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産経に寄稿し日本を欺く馮寄台・台湾駐日代表 10/02/27
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-1072.html
読売新聞、逃げる!ー台湾・馮寄台大使の「歴史捏造記事」掲載の責任に耐えかね 11/12/07
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-1713.html
日本の「台湾への感謝」を自らの外交実績と宣伝する国民党は日台の敵 12/03/29
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-1813.html
■李登輝氏大嫌いの駐日大使の「仕事」とは
馬英九政権の宣伝のため、日本のメディアを利用する手口を使った馮寄台氏。中国から圧力を受ける心配もないため、媚中メディアはすんなりと応じたのではないか。
馮寄台氏は新聞投書に先立ち、新聞社の幹部のために一席設け、そこで掲載を了承してもらったりしたそうだ。
そして掲載後は、そのコピーを日本国内の様々な方面に、郵便やファックス、あるいは手交という形でばらまいた。本人はそれで得意気だったが、内容の欺瞞性を知る人々からは嘲笑され続けた。「投書が唯一の仕事ではないか」などと。
新聞、雑誌に掲載された記事のコピーを得意げにばらまき、自らの存在と功績をアピールし続けた
実際には宣伝に関する「仕事」は他にもあったようだ。
馬英九政権を批判し、李登輝氏を褒める日本のメディアに抗議し、相手を困惑させたとの噂もある。
ちなみに馮寄台氏は大の李登輝氏嫌いだったとか。
では馮寄台氏は、本当にあまり仕事をしなかったのだろうか。たしかに「酒とゴルフに明け暮れている」との話はよく聞かされる。「あの酒は台湾人の血税だ」と陰口をたたかれるほど、とても「いい飲みっぷり」だったらしい。
ただそれはともかく、馮寄台氏が運が良かったのはたしかである。
何しろ前任者が在任中、日台の関係強化のためさまざまな下地を作り、レールを敷いてくれていた。そしてそれらの上で有能な代表処職員(大使館員)が懸命に働き成果を上げてくれた。そんな見方を私は何度となく聞かされている。
レセプションで馮寄台氏は「私の三十数年にわたる外交官の生涯で最もすばらしい経験をさせていただいた」と話しているが、それならまず前任者や職員に対してお礼を言うべきだろう。
さてその時に馮寄台氏は、自らの実績として「駐日代表処札幌分処開設」「外国人在留カードの国籍欄の記載を従来の『中国』から『台湾』へと改める法案」「台湾の国立故宮博物院の文物の日本展示を可能にする法案の日本での法制化」「台日間の投資保障協定、航空自由化協定、特許審査の覚書、マネーロンダリング防止の覚書などの調印といった、台日間における長年の懸案事項を一歩ずつ着実に実現」等々を紹介していた。
しかし「投資保障協定」「航空自由化協定」は日本の政財界が日本の民間のニーズに応えるようと推進したものであり、馬英九政権の中国傾斜政策の成果ではない。
■「国籍改正」は我々民間の台湾独立運動の成果だ
さらに言えば「外国人在留カードの国籍欄の記載を従来の『中国』から『台湾』へと改める法案」だが、馮寄台氏はこれを自分の実績と強調する割には、事情をよく理解していないようだ。
なぜなら言い方が間違っている。
これを正確に言うなら、「台湾人の外国人登録での国籍欄における記載は『中国』だったが、外登証が在留カードに切り替えられるにあたり、従来の『中国』から『台湾』へと改める法案」である。
そしてそれを推進したのは馮寄台氏でも馬英九政権でもなく、台湾独立建国を支持する我々民間の日本人や在日台湾人による要求運動なのだ。
法案が可決される前年の二〇〇八年十一月(馮氏着任から二ヶ月後)、私はそのことを法務省の関係部署からはっきりと聞かされている。その際「台湾政府からの要請」といった話は一切なかった。
ところが馮寄台氏は法案が可決された後、馬英九政権の功績だと宣伝し始めた。そしてその後、批判を受けたためかどうかは知らないが、しばらくそうは強調しなくなったようだ。だが離任を間近に控える最近になり、再び盛んに宣伝し始めた。
たとえば四月二十五日。自身の官邸で開いた日本駐在の台湾メディア関係者を招いた懇親会でのこと。
中央社によれば、馮寄台氏はその場で「中華民国政府が十数年来努力したにもかかわらず達成できなかったことが、私が日本へ来た後に達成された。両岸和解と政府の合理的政策の下、日本との間で協議が行われ、今年の七月から在日台湾人の居留証(報道原文ママ)国欄で『中国』から『台湾』へ切り替えることを日本政府に促した」と述べたそうだ。
そして「どうしても心残りなものと言えば、それはこの目で在日台湾人の居留証の国籍欄が変更されるのを見ることができないこと」と付け加えた。
まるでこの問題で心血を注いできたかのような言い方ではないか。
台湾紙中国時報によると、そこではこんな場面を見られたそうだ。
「記者会見ではいつも姿を見せる連根藤氏(日本で台湾独立運動機関紙である「台生報」の発行人)に、馮寄台氏は『国民党政権下で我が国国民の在留カードの国籍欄でついに台湾と書かれることになった』と書くよう求めた」
こんなことを要求したのか。「馬英九政権はここまで『台湾』を愛している」といった情報を台生報に流させ、台湾独立派を籠絡しようと狙っているのか。
馬英九政権が「中国」を「台湾」に切り替えるよう日本側に求めたなどとはどうしても思えない。だいいち台湾ウォッチャーであればまず疑問に思うだろう。「それほど中国が嫌がることを、あの政権が外交の舞台でやるだろうか」と。
■台湾人の日本への義捐金まで自分たちの「功績」にするか
話を戻そう。
レセプション会場で馮寄台氏は「四十年来最良の台日関係」を語る上で「二つの側面」があると話したが、「理性的な面」と並ぶもう一つは「心情的な面」だという。
つまり「東日本大震災に際し、台湾人民は日本に対し最大の愛と関心を示し、日本人に台湾の存在、心情を感得させた」というのだ。
そうした両国国民の感動的な心の触れ合いが、日台関係を増進させたのは事実である。
日本人の親台感情は今までになく大きな広がりを見せているところだが、それまでも馬英九政権の功績にするような印象操作だけはやらないでほしい。
なぜなら、もしそのようなことを行えば、台湾、そして日本の人々の心情を踏みにじることになるからである。
ところが三月二十二日の毎日新聞に掲載された馮寄台氏の投書「馬政権以降 深まる『台日』」にはこうあるのだ。
「馬総統は常に対日関係を重視している。昨年3月の東日本大震災では、馬総統は積極的にチャリティー活動に参加し、台湾の全民衆に『日本へ支援の手を差し伸べよう』と呼びかけた。馬総統が08年に就任して以来、総統府で会見する外国人訪問客は4年連続で日本人が最多である。最近でも、現在の台日関係は過去40年で最高に友好関係にあると表明した」
これを読めば、まるで台湾では馬英九政権の音頭で義捐金が集められ、それに日本人が感激して、日台関係は過去四十年来最良となったとの印象を受けてしまう。
レセプションで馮寄台氏は、次のように述べて盛大な拍手を浴びた。
「日本人は強くたくましい民族であり、この震災を必ず乗り越えると固く信じている。また四月十九日には天皇皇后両陛下ご主催の『春の園遊会』に招かれ、天皇陛下から私に『台湾ありがとう』とお言葉を賜り、皇后陛下からも英語で私の家内に感謝の言葉をかけていただいた。台湾の代表として初めて園遊会にお招きいただき、両陛下からお言葉を賜ったことは、私の外交官の生涯で、また親子二代にわたり駐日外交官を務めた馮家にとり最高の栄誉となった」
「最高の栄誉」と感じたことに偽りはないと信じたいが、ただそれをも馬英九政権の対日政策の成果などと宣伝しないことを望む。
日本人は震災後、台湾人の善良さに感激し、かくして素晴らしい日台関係が現出した。馮寄台氏と入れ替わりで着任する新しい駐日代表も、そのような「善良な台湾人」であること祈りたい。
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