台湾は日本の生命線！

■中国の統一攻勢―日経報道の背景状況

これの一つ前の記事で書いたとおり、日本経済新聞は七月二十五日の朝刊で「台湾の国連加盟、支持せず・外務省報道官」と題する誤報道を行った（ネットでは二十五日二十三時配信）。

http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20070724AT3S24
01F24072007.html

ところで話は遡るが、四月に来日した温家宝首相が安倍首相に執拗に求めたものに「台湾独立反対」の表明があった。それは日本にそうさせることで、中国の台湾併合の正当性を世界に宣伝し、あわせて台湾を孤立させて、「統一」を達成しようと言う戦略である。

だが国際法上、すでに日本の領土でもなく、まして中国の領土ではない台湾が独立しようとしまいと、日本にはそれにとやかく言う権限などない。そこで安倍首相は抵抗を見せ、「台湾独立は支持しない」と口頭で表明して切り抜けると言う場面があった。この「独立を支持しない」と言うのは、「台中間における統一か独立かを巡る論争で、第三者である日本はどちらか一方に加担しない」と言ったものだ。たしかに「不支持」とは「反対」ととられかねない、きわめて不適切な表現だが、それは弱腰日本が中国に対してギリギリまで譲歩した上での言葉の使い分けなのだ。

そうしたなか、台湾が国連に加盟を申請した。中国から見れば、「台湾加盟」は「台湾独立」に等しい。だから中国は国連事務局に圧力をかけ、「一つの中国」（台湾は中国の一部）を理由に門前払いを行わせることに成功した。

これを受け注目されたのが日本政府の対応だった。「台湾加盟問題をどう見るか」が問われたのだ。

■中国の意を汲んだ歪曲報道の疑い

そこで外務省の外務報道官は記者会見で、「国家であることを加盟要件とする国連への台湾加盟は支持できない」と述べたのだが、ここで日経は誤報道を行った。二十五日の記事がそれである。その報道官の発言を取り上げて、「日本政府として台湾の国連加盟に反対する立場を明らかにした」と報じたのだ。

さらに記事は、報道官が台中関係に関し、「当事者間の直接対話で平和的解決が図られる必要がある」と述べたことにも触れ、「『１つの中国』の原則に基づく中台当局間による対話の再開を求めた」と説明したのだ。

しかし報道官は「台湾独立」に対するのと同様、「台湾加盟」にも「反対」など表明していない。外務省に電話で確認したところ、「台湾を国と承認していない以上、支持はできない」と言っただけにすぎないのだそうだ。

また「１つの中国」の原則に基づく対話再開なども求めていない。外務省も言下にこれを否定した。なぜならば台湾を中国領土とする中国の「一中原則」など、政府は受け入れられないからだ。政府の所謂「一中政策」とは、中華人民共和国と中華民国の二つの「中国政府」のうち、いずれか一つしか政府承認しないと言う、国際法で言うところの「一国一政府」の原則を言っているもので、「一中原則」とはまったく異なっている。「一中原則」に基づく対話再開を求めているのは、中国政府だけなのだ。台湾はそのような原則を認めては、中国に併呑されるだけだとして、頑なに拒否しているのが現状だ。

このように今回の「誤報道」は、中国の意を汲んだ「歪曲報道」の疑いが持たれている。そして三十日、その記事を担当した政治部記者とも話をしたが、その疑念はますます深まるばかりなのだ。

■会話にならない担当記者との「会話」

その日、誤報訂正要求のため、日経東京本社に電話をすると、応答センターの職員が対応に出た。当初職員は、「訂正はしない」との日経の判断を伝えてきた。だが誤報である理由を理解すると、ようやく事の重大さに気付いた様子だった。かくして政治部の担当記者と直接話をすることとなった。

「山口（ヤマクチ）」と名乗る政治部記者は、「報道は正確だ」の一点張りだった。「報道官の発言は正確に伝えている」と言うのである。しかし問題なのは報道官の発言ではなく、それに関する周辺説明である。その点を何度も言って聞かせるのだが、「正確だ」としか答えない。

そして誤報の理由説明に対しては、「支持できないと反対するは同じ意味だ」「台湾を国家承認していないのだから、一つの中国の原則と言うことでいいではないか」「誤報と言われては黙っていられない。正確な記事だ」「あなたの誤報との認識だけは承った」などと繰り返すばかりで、一切正面から受け止めようとはしないのだ。

さらには「政府はそのような立場をとっていない」と指摘すれば、「政府ではない。坂場さん（報道官）がそう言ったのだ」として、あたかも報道官が政府見解を離れた発言をしたかのような言い方もした。しかし記事には「（報道官が）日本政府として…する立場を明らかにした」とはっきり書いているではないか。いかに苦し紛れとは言え、誤報の責任を報道官に押し付けようとするとは…。

「記者としての使命感や責任感はないのか」「日経は中国と利害関係でもあるのか。中国から指示でもあったのか」との問いに対しても、やはり「正確だ」と言って議論から逃げようとするばかりだ。

このような会話にもならない会話が、記者が一方的に電話を切るまで、じつに十分以上もつづいたのである。

■記者が決して口を割らなかった「なぜ」

この異常すぎる記者の対応に、自ら誤報と認識していることが伝わってきた。またその誤報は、記者の不勉強によるものだったとはどうしても思えない。話をしていても、日中間のこうした問題に関し、決して「素人」とは思えなかった。むしろわざわざ「一つの中国の原則に基づく…」などと書き加えるあたりに、この問題での「プロ」と言う感じもした。

だいたい、なぜ「一つの中国の原則」などと付け加えたのか。考えて見れば、これは突拍子もない補足だったと言える。その理由を何度追求しても、記者は狼狽して話をそらそうとするのみ。日本のいくつかのマスコミが中国の報道管制を受けていると指摘されるなか、そして日経が人民日報と提携して中国礼賛に傾いているなか、その「なぜ」が気になってならない。

中国の宣伝工作を見ればわかることだが、この国にとっては、必ずしも日本政府が「反対」や「一つの中国の原則」を表明しなくてもいいのである。ただ「表明した」と報道、宣伝されれば、それだけでも充分事足れりなのだ。もし日経政治部の山口記者が、その役割を担っているのだとしたら…。それでは、絶対に訂正などには応じられないだろう。

しかしそれは記者として、あるいは日本人として、断じて許されないことである。

いずれにせよ日経は、誤報は訂正すると言う、マスコミにとっては最低限の義務を果たすべきだ。

なお、記者は一つ墓穴を掘っている。自らの正当性を示すため、外務省のＨＰにある報道官の発言を読んで見ろと言うのである。

http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/kaiken/hodokan/hodo
0707.html#10-A

だがそこには、「反対」や「一つの中国の原則」といった言葉は、もちろん一つも載っていない。

※現在、日経への抗議運動はメールマガジン「台湾の声」が中心に展開しています。
登録先は　http://www.emaga.com/info/3407.html
抗議にご協力を！

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二十五日の「台湾の国連加盟、支持せず」の記事は誤報だ！
政府は国連加盟に反対していない！
一つの中国の原則など台湾に要求していない！
台湾は中国領土ではない。中国に加担するな！
記事を訂正しろ！　ネットから削除しろ！

抗議先：日本経済新聞　

記事への意見　[email protected]

東京本社　０３－３２７０－０２５１
大阪本社　０６－９４３－７１１１
西部支社　０９２－４７３－３３００
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■外務省が中国政府と同じ見解？

日本経済新聞は七月二十五日の朝刊で（ネットでは二十四日二十三時配信）、「台湾の国連加盟、支持せず・外務省報道官」と題する報道を行った。

http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20070724AT3S24
01F24072007.html

記事は、外務省の坂場三男外務報道官が同日の記者会見で、台湾が国連加盟申請を行ったことに関して「国家であることを加盟要件とする国連への台湾加盟は支持できない」と述べ、「日本政府として台湾の国連加盟に反対する立場を明らかにした」【１】とし、また台中関係に関し「当事者間の直接対話で平和的解決が図られる必要がある」として、「『１つの中国』の原則に基づく中台当局間による対話の再開を求めた」【２】とした。

もしこれが事実なら、外務省は日本政府見解ではなく、中国政府の見解に基づく「新見解」を示したことになる。

なぜなら、

【１】「日本政府として台湾の国連加盟に反対する立場を明らかにした」と言うなら、政府は「台湾は国家ではない」と認定する越権行為を行ったことになる。なぜなら日本は台湾の宗主国ではなく、台湾の帰属先を決定する権限などないからだ。たしかに政府は台湾を国家承認していない。しかし台湾と言う国家が存在するのは事実である。だからこれが事実なら、中国の政治的主張に従い、「台湾は中国領土であって、国家ではない」と言っているに等しい。

【２】「『１つの中国』の原則に基づく中台当局間による対話の再開を求めた」と言うのが事実なら、政府は台湾に対し、中国の要求に従って「台湾は中国の一部だ」との主張（一つの中国の原則）を受け入れ、中国との対話を再開しろと求めているに等しい。これにしても台湾の宗主国の立場に立って命令しているようなものだ。

■「報道は間違い」と外務省

そのため外務省中国課に報道の真偽を尋ねた。

ところが回答は以下の通りである。

【１】「外交政策には言葉の使い分けがある。支持するかと聞かれたので、国家と認めていない以上、『支持できない』と答えた」「もし記事に『反対すると表明した』と書いてあるのだとしたら、それは間違いになる」

【２】「政府は『一つの中国』の原則など採用していない。対話の再開は求めたが、そのようには言っていない」

それはそうだろう。いかに媚中外務省でも、台湾を中国の一部などとは言えないのだ。

■かくして明らかになった日経の誤報

かくして日経新聞の誤報が明らかとなった。これは「日本政府も台湾を中国領土と認めている」と思わせるような、まさに中国の希望に適った捏造報道である。中国の意を汲んで、国連加盟申請を却下されて苦境に立つ台湾に対し、追い討ちでもかけているつもりか。

この新聞はとくに中国共産党機関紙である人民日報と提携して以来、中国に迎合する記事が非常に目立つ。ことに台湾問題は歴史問題と比べ、日本人の関心が低いことをいいことに、やりたい放題と言うことか。

抗議と訂正要求にご協力を！　
外務省も日経に抗議するべきだ！

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二十五日の「台湾の国連加盟、支持せず」の記事は誤報だ！
政府は国連加盟に反対していない！
一つの中国の原則など台湾に要求していない！
台湾は中国領土ではない。中国に加担するな！
記事を訂正しろ！　ネットから削除しろ！

抗議先：日本経済新聞　

記事への意見　[email protected]

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●三十日、東京本社に電話したところ、「応答センター｣に回された。担当者は誤報である以上、「誤報だ」との指摘に困窮していた。このように「誤報」の指摘は新聞社、記者にとっては大きな圧力になる。なぜなら訂正を要する重大な責任問題となるからだ。遠慮は必要ない。報道の是正要求はすべて社会正義のため。国民の義務だ。

圧力をかけよう！　そうした積み重ねは必ず、媚中売国報道機関、そして中国への大きな抑止力となるのだ。

◎今のところ記事の担当者とは連絡がつかず、先方からの電話を待っている状況。変化があれば、ここの「コメント欄」で報告したい。

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※日経報道の真偽に関して外務省は、以下を読んで欲しいと言っている。

報道官会見記録（平成19年7月24日（火曜日）17時05分～　於：本省会見室）
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/kaiken/hodokan/hodo
0707.html#10-A

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■解説

これは日本人の多くが誤解していることだが、台湾は中国の一部などではない。それは中華人民共和国が台湾を統治したことがないと言う理由以前に、そもそも日本がサンフランシスコ条約で台湾に関する主権を放棄した後、台湾の新たな帰属先は決められず、結局それは台湾住民の自決に委ねられることになったのだが、すでにそのとき台湾は、もう一つの「中国」（中華民国）の占領独裁下にあったため、それが果たせなかった。

その台湾がようやく初めて「台湾」の名で国連に加盟申請を行ったのが七月十九日のことである。ところが国連事務局は二十一日、「一つの中国」を理由に、それの受理を拒否したのだ。この中国の所謂「一つの中国の原則」とは、「台湾は中国の領土だ」と言う、領土的野心に基づく偽りの原則であるが、国連事務局は中国の圧力に屈し、それを採用してしまったのである。そして今回、日本もそれに追随したかに見えた。

日本政府は日中共同声明で、中華人民共和国を唯一の「中国政府」と認めたが、台湾の帰属先については「中国の領土」と強弁する中国の「立場」を「理解し尊重する」（その立場に文句は言わない）と言うに留め、その台湾領有までは承認していないのだから、完全に中国の圧力に屈したかに見えたのだ。

だがこれは日経の重大な誤報だったと言うわけだ。

日本のマスコミのこうした報道は、探せばいくらでもあるのである。ただ国民がそれを問題視してこなかっただけなのだ。

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■中国に褒められるは「中国への加担者」

中国に賞賛される人間にはたいていロクな者がいない。多くは中国に利する人間。中国に媚び、その「悪事」に加担するような人間だ。中国がそのような者を盛んに褒め称えるのは、自らの行為を正当化して宣伝するため以外にないのだが、最近絶賛されているのが韓国人の潘基文国連事務総長だ。中国の王光亜国連大使から、「国連事務局は国連憲章の厳粛さと威厳を保った。中国政府はこのことを高く評価する」とまで言われている。

なぜか。それはこの七月十九日に台湾の陳水扁総統から提出された国連加盟申請書を受理することなく、突っ返したからである。

これを当然と見る日本人も多いが、とんでもないことだ。

■台湾に対する潘事務総長の僭越な過ち

潘事務総長の言い分はこうだ。「国連事務局は第二七五八号決議以降、一つの中国政策をとっている」。つまり一九七一年の同決議以降、国連は台湾を中国の一地方と見做していると言うのだ。そして僭越にも事務総長の判断で、何ら議論に付することなく、いとも簡単に送り返したのである。

潘事務総長は中国に「高い評価」を賜って喜んでいるのだろうか。それともいくらかは忸怩たるものがあるだろうか。いずれにせよ、とんでもない過ちを犯したものだ。なぜなら決議文の意味を、中国の意向に沿って大きく歪めている。

■追放したのは「国府」であって「台湾」ではない

第二七五八号決議とは何か。それは中国の差し金によるアルバニアの提案に基づき、「中国の代表権」は中華民国ではなく中華人民共和国にあるとし、中華民国の国連追放を決定したものだ。

当時中華民国の支配地域と言えば台湾のみだったが、戦後の台湾の法的地位は未定のままで中国の領土ではなく（サンフランシスコ媾和条約で日本が放棄した後、新たな帰属先は決められなかった）、終戦直後のドサクサに紛れて開始した台湾支配は不法なものだったのだ。よって国連では、合法的な領土を持たない中華民国に中国を代表する資格はないと判断されたのである。決議文には「蒋介石の代表を追放する」とあった。「台湾を追放する」ではないのである。

■中共と蒋介石―中国人の都合で孤立した台湾

だから当時、中華民国には議席を維持する方法があった。それは同国が中国の正統政権と言う看板を下ろし、中国とは別の、台湾だけを領土する国として居残ることだった。日本も米国もそうするよう勧告した。だが蒋介石はそれを受け入れず、「漢賊並び立たず」（中共とは並存できない）を理由として、追放される前に自ら国連を脱退して面子を守った。実際には面子の問題と言うより、「中国唯一の正統政権」の地位を自ら否定して、台湾で君臨する正当性が失われるのを恐れたのだろう。

台湾の住民にとっては中国の代表権など何の意味もなかったのだが、かくしてこうした二つの中国政府の都合により、彼らは国際社会で孤立して行くのである。

■潘事務総長も中国の手先になった

その後、このような状況を打破しようと、台湾人である李登輝総統は一九九二年、改めて加盟申請を行った。それ以来毎年申請をつづけているが、すべて門前払いの憂き身にあっている。そこで今年七月十九日には、「これは新規加盟である。代表権とは関係ない」と言うことを強調するため、初めて「中華民国」ではなく、「台湾」の名義で申請を行ったのだ。また従来のような友好国の提案によってではなく、「台湾国民を代表」する形で、陳水扁総統自らが申請書を提出した。

ところがその結果は、上記のとおりである。

台湾は国連追放によって国家の地位を失ったとか、中国の領土となったなどと主張する日本人は少なくない。日本共産党もそのような見解を示しているが、それは中国の阿る者の言説である。そこで問題とされたのは、あくまでも「代表権」の問題だったのだ。ところが今度は国連事務総長までが、そのような誤った見解を見せたのである。「私は孔子の教えに従い中庸だ」と語る潘事務総長だが、これでは「中庸」ではなく、完全なる「中傭」（中国の傭われ人）ではないか。

■もはや国連に理念は通じない

「中華民国」でも不可、「台湾」でも不可。台湾国民は中国に併合されないかぎり、国際社会には仲間入りできないと言うことか。陳総統は「国連憲章は『加盟国普遍化』の原則を掲げている。二千三百万の台湾の国民の政治や保健の集団的人権が剥奪されてはならない」と訴えているが、もっともなことではないか。

だが国連では、すでに理念も何も通じなくなっている。それは言うまでもなく、すでに中国の影響下に陥っているからだ。中国が世界に「一つの中国」を喧伝するのは、各国に台湾領有を容認させるための策略である。これから起こり得る中国の不法な領土拡張を阻止しなければならないはずの国連自体が、そのような策略に阿諛迎合しているとなれば、これでどうして世界平和を守って行くことができるだろうか。

■中国が勝利宣言―異議を唱える国はないのか


中国国連大使は台湾の加盟申請について、「台湾独立派勢力による露骨な分離主義の企てで、とんでもないこと。中国政府は断固としてこれに反対する」と勝利宣言を行ったが、これほど横暴な国に対して異を唱えることのできる国ははたしてどれだけ存在するのだろうか。

米国ですら「台湾」名義の申請は、中国を刺激するものとして反対を表明しているのである。

日本も潘事務総長を支持した。「日本の立場は、日中共同声明にあるとおりで、国家であることを加盟要件とする国連への台湾 の加盟は支持できない」（坂場外務報道官）などと表明している。日本はたしかに台湾を国家とは認めていないが、だからと言ってそのために、台湾が国家でなくなるわけではないのである。それであるにもかかわらず、あたかも殖民地の宗主国であるかのようにここまで表明するのは、明らかに中国の意向を意識したものだ。

かつて台湾に国連脱退を思いとどめさせようとした日米だが、今では中国のためにすっかり態度が変ってしまった。

■グローバルな視点で見るべき中国覇権主義

二十一世紀の今日、小国迫害の不条理が国際社会でこれほど通用していることを銘記するべきだ。そして中国覇権主義と言う強大な敵は、よりグローバルな観点から分析、対処しなければならない。「日中関係が大切」などと言って、その日その日の二国間関係の維持のみに日本が頭を悩ませている間、中国は着実に世界戦略を進行させているのだ。

なお、日本でも中国に褒められる媚中的人間は多い。本人たちがどこまで自覚しているかは知らないが、彼らもまた、中国覇権主義に操られ、人類の平等、共存、平和を謳う国際秩序の屋台骨を蝕むシロアリの役割を果たしているのだ。

台湾問題を見れば、そのような状況はすぐにわかる。

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中国新華社系の週刊誌「国際先駆報」は三月下旬、「今年の参議院で自民党が勝てば、安倍は内閣改造を行い、その強硬外交路線を支援する親台派などタカ派勢力も擡頭するだろう。だがもし負ければ、党内の知華派勢力も上昇する機会を得ることになる」と論じていた。

中国が言う「親台派」とは、中国の軍拡を容認しない国防に熱心な人々のことで、「知華派」とは言うまでもなく「媚中派」のことである。

安倍首相が集団的自衛権の行使を容認する方向にあるため、中国覇権主義としては、どうしても安倍・自民党の敗北が必要なのだ。反安倍は北鮮だけではないのである。

今回の選挙戦では、安保論議の盛り上がりが欠けていると指摘されるが、中国だけはその問題の観点から選挙の動向を見守っている。

明日の投票日には「集団的自衛権」をお忘れなく。

なお、維新政党新風だが、その国を守ろうとの気概に、日本国民として感動する。おそらく今回、若者を中心とした多くの選挙民の心を揺さぶっていることと思う。大躍進を期待したい。

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■周辺諸国に不安を与える？

二十三日付の米紙ニューヨーク・タイムズは一面の特集記事で、日本の海上自衛隊によるインド洋での米艦船への給油活動、イラク南部サマワへの陸上自衛隊派遣や航空自衛隊による同国内での空輸活動、防衛庁の「省」昇格、攻撃能力を持つ米最新鋭ステルス戦闘機Ｆ２２Ａラプターの調達検討など「数年前なら考えられないと思われていた変革を実行に移した」とし、こうした変化が周辺国の不安を呼び起こしていると報じた、と共同通信は配信している。

共同の見出しはそのまま、「自衛隊、徐々に制約除く　米紙報道、周辺国に不安も」。これではまるで、「日本の軍拡の動きが周辺諸国に脅威を与えている。米国もそれを懸念している」と言っているようなものだ。ニューヨーク・タイムズと言えば反日親中の論調で知られている。特集記事には他に何が書かれていたかは知らないが、とにかく共同はその部分をクローズアップし、あいかわらず「周辺国に不安」との表現で国民を惑わそうと一所懸命だ。

そのように言われれば、多くの国民は学校教育やマスコミ報道によって「戦時中に日本に占領されたアジア諸国」と連想するように仕立てられている。そこで再び世論を煽って政府の政策を牽制しようとの魂胆だが、そろそろその化けの皮を剥がしてやってもいいのではないか。

■「強盗」の立場に立つ共同通信

共同は「徐々に制約除く」などと警戒して見せるが、これまで「周辺国に不安を与えるな」との馬鹿げた世論がどれほど自衛隊を「制約」して来たことか。政府がことさら強調して自らを思考停止に陥れる「専守防衛」と言う言葉も、そもそもそうした世論に配慮して生れたものだった。

日本の強国化に不安を感じるのも、決してアジア国のすべてではない。せいぜい中国、北鮮、韓国くらいのものだろう。韓国は日本への対抗心を煽ることで国民をまとめる国だからいいとしても、中国、北鮮の場合は自らの軍事戦略の妨げとして一方的に日本を警戒している国だから、不安を抱くのは当然なのだ。

それは言わば強盗が、お巡りさんが防弾チョッキを着たり、防犯強化に乗り出したりすることに不安を抱くようなものである。そうなると共同は、強盗の気持ちになって警察を批判しているに等しいのだが、国民は「まさか天下の共同通信に限ってそんなことは」と信じないところに、戦後日本の問題があるわけだ。

■日本のヘリ空母に台湾は「嬉しい」

ところで二十五日付の産経新聞は「海自最大　これが完成間近の『ヘリ空母』」との見出しで、「対潜水艦作戦を強化する目的で、対潜ヘリの搭載能力を向上させた護衛艦」の建造が進んでいることを報じた。つまり中国が「いつでも空母への転用可能。日本軍国主義復活の兆し」などと非難して来たものがいよいよ完成するのである。

そこで台湾では、最大大手紙自由時報と中央ラジオが、この報道を取り上げた。いずれも、日本の主力「軍艦」の一つになる、とコメントしているから、日本人がこれを見たらドキッとすることだろう。

ところでここで面白かったのは、これら二つの記事の評価に関するネット投票の結果である。それぞれ「推薦に値する」「嬉しい」が九割を超えているのだ。総投票数わずか二桁の、お遊びのような調査だが、それでも台湾が日本の強国化に「不安」を感じていないことを充分に示しているように思える。

■中国牽制を期待するアジア諸国

日本ではあまり報じられていないが、実際に台湾では大統領から首相、官房長官に至るまで、機会あるごとに「日本が憲法改正などで『普通の国』になることを期待する」「すでに日台は価値観同盟を形成している。次は準軍事同盟を結んでくれることを望む」と表明しているのだ。

なぜなら日本と提携しなければ東アジアの安全は守れないことを、この最前線の国は肌身で知っているからだ。訪台してそのように聞かされた日本の国会議員は決して少なくないはずである。

東南アジア諸国にしても同様だ。たしかに近年、中国に接近するポーズを見せることも多いが、それは南支那海、さらにはインド洋にまで勢力を伸ばしつつある、そしていつ印度支那半島を南下するかも知れない中国の脅威に屈してのことであって、大国のパワーバランスに敏感なこれら諸国は、実際には中国の影響力が強くなればなるほど、日本がそれを牽制、抑止してくれることを望んでいるのだ。

■軍事強化は国民精神の健全化だ

これが中国の立場に立つ共同や朝日が報じたがらない一つの真実である。だから国民はそれらに惑わされることなく、自信を以って政府の強国化政策を支持しよう。あるいはさらなる強国化を要求しよう。

防衛体制（軍事体制と呼ぶべきだが）の強化は教育、マスコミによって自信を喪失してきた国民を励まし、国民精神の強化、健全化にも繋がるものだ。そのようにして日本は初めて、平和を希求する「周辺国」の期待に堂々と応えられる国家となれるのである。

もしそれが現実のものとなったら、まさに夢のようである。日本人なら、そうは思わないか。

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■台湾を「中国」と呼ばせる日本の自治体

大阪府吹田市役所が台北から移り住んできた市民の住民票に、「前住所」として「中華人民共和国台湾省…」と書き込んでいるのだそうだ。その理由について同市市民課は「台湾は中華人民共和国のものだから」と説明するが、これはとんでもない間違いだ。中国政府ならともかく、日本政府はあの島を中華人民共和国の領土だとは認めていない。

なぜこのような馬鹿げた状況になったのか。それには市民課の不見識もさることながら、政府にも責任があるはずだ。法務省の外国人登録がそうであるように、政府は台湾の国名を「中国」としている。この「中国」とは「一つの中国」の「中国」で、中華人民共和国を指すものではないが、中華人民共和国も「中国」と表記する以上、しかも「一つの中国」と言うものが世界のどこにも存在していない以上、これでは混乱、誤解は必至だ。おそらく市民課は政府の表記方法に従って台湾を「中国」とし、さらにご丁寧にも「中華人民共和国」としているものと思われる。

教育水準の高い日本人がそこまで混乱するのにはよほど何かの原因があるはずだが、それはもちろん中国の宣伝謀略以外に考えられない。だがこの点に関する分析や指摘がほとんどないのは、謀略が謀略と見られていないからだろう。

■「一つの中国」は長期的な対日戦略

中国は二〇〇三年から台湾攻略のため、「三戦」（世論戦、心理戦、法律戦）と言う名の策略を用いている。世論戦、心理戦とは、国内および台湾メディアなどを通じ、甘言、恫喝で敵（台湾）の世論、心理を揺ぶって、対抗心を奪うと言うもの。法律戦とはさらにその上で、自らの敵対行動を合法化し、敵や第三者を丸め込もうと言うもの。

実際に中国は現在台湾に対し、ミサイル恫喝を行う一方で、経済交流、文化交流に盛んに誘い、その世論を分断し、国民心理を惑わせ、「以経囲政」「以民逼政」を着実に進めている。そして「カイロ宣言」「一つの中国の原則」「反国家分裂法」等々で中国統一の法的正当性を喧伝し、台湾国民、国際社会を振り回している。かくして台湾は、非常に危ない状況に陥っている。

ところで、これは決して中国の新戦法であるわけではない。言わば孫子の兵法「戦わずして人の兵を屈する」と言った中国伝統の謀略そのままである。そしてこのようなものはとうの昔から、日本に対しても着実に仕掛けられているのだ。それが長期的戦略としての「一つの中国」の宣伝なのである。

■政府も国民を欺いている

「台湾は中華人民共和国の領土」と言う日本人一般の誤認識などは、それによってもたらされたものだろう。中国の宣伝さえなければ、いくら何でもそのような勘違いはしていまい。

日中共同声明で日本は、「中国は一つで、それは中華人民共和国」「台湾は中国領土」であるとする中国の立場を理解し尊重すると表明した。これらはそれぞれ「中華民国と中華人民共和国と言う二つの中国政府のうち、日本は後者だけを認めますよ」「日本は台湾を中国領とは承認しないが、中国が何を主張しようとケチはつけませんよ」と言う意味であって、決して中国の主張を承認するものではなかった。ところが中国はこれを執拗かつ巧みに利用しているのである。つまり日本が台湾と付き合おうとするたびに、この共同声明を持ち出しては「中国は一つだ」「日本は、台湾を中国のものと認めたことを忘れるな」と迫ってくるのだから、これは完全な法律戦だ。

同声明に法的効力などないのだが、もともと日本には「台湾は中国のものではない」との信念が欠如しているらしく、それを出されるたびに何も言えなくなり、「我が国は日中共同声明に基づき、一つの中国の政策を採っている」との弁明を繰り返すのである。

そして外国人登録では「中国は一つ。台湾は『中国』」としたり、「中国は一つ。教科書の地図では台湾と中国との間に国境線は描かない」としたり…。これらは明らかに国民を欺く行政上の重大ミスではないのか。

■日本のマスコミは戦略上の道具

しかし驚くことに政府は、それらがミスであると言うことすら気付かなくなってしまっている。「そうしないと中国が怒る」「日中友好のためならそのようにしよう」と考えているうちに、本当に台湾が中国領だと思い込んでしまうのだ。

これこそが心理戦の効果だろう。私は外務省中国課のなかですら、そのような心理戦の「犠牲者」を見かけたことがある。マスコミ各社も同様だ。何度テレビ画面に「台湾入りの中国地図」を使っていることか、何度「中国と台湾」ではなく「中国本土と台湾」と報じてきたことか。

ここまで来れば、あとは世論戦だ。「中国は一つ」と政治家や友好人士に吹き込む、日本のマスコミの台湾報道を規制する。日本のマスコミ各社が、台湾を「国」「中華民国」と表現するのをご法度とするのは、中国の圧力があるからで、それだけで充分、世論戦の道具として使われていると言える。

政府、マスコミ、教科書、一般刊行物等々がみなこのような状態だから、吹田市市民課をはじめ、誰もが「台湾は中華人民共和国」「やがては中国と統一するもの」と思い込んでしまうのだ。「台湾は中国の領土ではない」と言い切れる者は、はたしてどれだけいるのだろう。世論戦は充分に戦果を上げているのだ。

■破れ謀略！―「台湾は中国に非ず」が国を守る

では、日本にここまでする中国の戦略目標は何なのか。それは日本の政府と世論に、中国の「統一の大業」に反対させないこと、そして米軍の台湾防衛に協力させないこと、これである。中国が平和統一であれ武力統一であれ、台湾の島を併呑しようとする際、日本人に「台湾問題は中国の内政問題」と信じさせて傍観させること、「統一によって両岸の中国人が幸せになれますように」と祈らせることである。

そのようにして台湾の奪取に成功すれば、シーレーンを厄された日本も必然的に勢力圏内に転がり込み、かくして第一列島線は海の長城と化し、東アジアに覇権を打ち立てることができるだろう。これこそが中国の描く戦略のシナリオなのだ。台湾攻略が最終目標との考えが誤りであることは、現在の中国軍核の進捗状況を見れば明らかなはずである。

日本人はいつまで台湾問題で中国の工作に引っ掛かりつづけるのか。中国の台湾領有の主張の根拠は、戦後の日本の「台湾返還」であるが、そのような事実は一切ない。台湾は国際法上、中国の領土では断じてなく、「一つの中国」など完全な作り話にすぎないのだ。よって、「中国統一は不法な領土拡張行為だ」と言う認識を国民の常識とし、信念とすることこそが国を守ることの第一歩ではないだろうか。

これは中国の謀略との戦いなのだ。

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「東京都知事が某社の歴史教科書の不採用を都教育委員会に指示」「関東六県にも呼応を呼びかけ」などと報道されたらどうなるだろう。間違いなく国内は「教育への政治介入だ」「ファシスト知事は退任しろ」と大騒ぎとなり、本当に退任を余儀なくされ、裁判沙汰にもなるだろう。そして知事の名は平成史にしっかりと刻まれ、後世に伝えられるはずだ。

ところが台湾の首都台北市では、台北市長がそれを実際にやっているのだ。

このブログの二十四日の記事「台湾の教科書に学べー杜正勝文相の孤軍奮闘」で、台湾の教育部（文科省）が最近、「台湾地区」（台湾のこと）、「祖国」（中国のこと）など、中国思想が反映されて台湾の教科書には不適切な用語を挙げ、教科書会社の参考に供したところ、国民党が首長の県や市が反撥し、独自の教科書を編纂すると息巻いていることを書いた。そうした状況のなか、台北市長の郝龍斌（国民党、外省人）は二十四日、「不適切用語なるものを修正した教科書は採用するな」と市の教育局に指示したのだ。そして台北県、基隆市にも呼応を呼びかけたらしい。また教育部が未修正の教科書を返品するようなことがあれば、国民党議員に呼びかけて、教育部の教科書審議予算を凍結するとも宣言している。

このような反撃を受けて杜正勝教育部長（文相）は、「地方は中央の政策に介入してはならない。教育への政治介入も許されない」と批判しているが、それは民主国家としては当然の考えだ。

実際にそのようなことができるかどうかはわからない。いつもの中国人的な張ったりの恫喝かも知れない。しかしこのような無法きわまりない指示、発言が、首都の首長によって堂々と為されると言う、今日の台湾社会の実態に着目したい。外省人（中国人）の権力者、政治家にとって重要なのは自分たちの利益であり、法律などは二の次なのだ。

たしかに台湾は民主主義国家とはなった。だがそれは台湾人の李登輝氏が総統になり、外省人勢力を抑えることに成功したから実現したことである。しかし外省人勢力は相変わらず、法治よりも人治の価値観のままなのである。

ではこの勢力が来年の総統選挙で政権を奪ったならどうなるのか。反国民党の人々はよく、「台湾の民主主義は後退する」と言っているが、それは単に国民党を貶しているだけではない。本当に社会の価値観は一変すると言っているのだ。游錫堃民進党主席も「国民党が政権をとったら、本当に独自の教科書を作るかも知れない」と指摘したが、実際にそれはあり得るのだ。

簡単なことである、法律を権力者の都合に合わせて修正すれば、何でも正当化できるわけだ。これこそが中国人の伝統的な「政治」なのだ。教科書だけではない。政敵の処置も「法律次第」だ。とにかく彼らは、自分たちから権力の座を奪った台湾人への復讐心で満ちている。米国民主主義の圧力など、かつてほど効果はあるまい。なぜなら今の国民党には中国と言う大国の後ろ盾がある。

国民党政権下の歴史教育はどうなるのだろう。「中国統一」と言う理念の下、たぶん再び「中国」を「祖国」「我国」と教え、子供たちに中国人意識の再扶植をはかろうとすることだろう。せっかく教科書での記述が大幅に減った日本軍の「南京大虐殺」も、再び「抗日戦争」史における重大トピックとなり、その上で「抗日勝利」を強調して、中華民族意識を煽ることとなるだろう。そこでは台湾人が求めてきた歴史の真実などクソ食らえだ。

これではまさに民主主義の後退であり、近代文化の後退である。「中華民族」の標榜は、「祖国」に吸収される前触れとなるかも知れない。

郝龍斌は蒋経国亡き後、国民党軍を牛耳って外省人最大の実力者となった郝柏村の息子だが、彼の無法な振る舞いを見るならば、国民党執政下の台湾の状況が予測できるのである。

我が友邦台湾が危ない。

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■どこまでも似通う日台の教科書問題

　歴史教科書の偏向問題は日本だけのものではなく、ほとんど同じような形で台湾にも存在している。日本であれば左翼勢力による、反日本と言う政治的意図の下、歴史歪曲が恣に為され、それによって子供たちの歴史観、国家観に大きなダーメージを与えてきたが、台湾でも中国人意識扶植と言う国民党勢力の政策として、大中国史観の捏造歴史の押付けが行われ、その結果人々は、自分が台湾の人間であるのか、中国の人間であるのかすらわからなくなってしまったのである。

そして近年、日本でも台湾でも教科書正常化、つまり本当の歴史を取り戻そうと言う動きが活発化しているのだが、それを旧思想の勢力が妨害しようとしているから、やはり両国の状況はそっくりだ。しかもさらに旧思想勢力は、中国と提携し、それを後ろ盾にして猛威を振るっているのだから、本当にどこまでもそっくりである。

■正常化に向けた台湾人の「英断」と「断行」

さて戦後の台湾の歴史教科書と言えば、これがひどかった。戒厳令時代に自国史として教えるものはすべて中国の歴史で、台湾の歴史は意図的に抹殺されてきた。中学校のカリキュラムにようやく台湾史の教科書が導入されたのは一九九七年になってからだ。中国人ではなく台湾人が編纂したものだから、内容はきわめて公正で客観的。国民党式の政治的歴史観は一切払拭され、日本統治時代すら客観的に記述していたため、当時は中国人勢力が猛反発し、大騒ぎになったものだ。高校に台湾史教科書が使用され始めたのは、驚くなかれ、昨年秋からのことである。

つまりそれほど抵抗勢力の力が強かったと言うことだ。だからこれは政権側の「英断」「断行」とも言えたのである。そしてその陣頭指揮をとったのは杜正勝教育部長（文科相）だ。杜部長は中国史課程である「本国史」を「中国史」に改め、「中国」を実質的に外国として扱ったため、国民党、統一派メディアは騒然となった。もちろん中国政府も「台湾独立の動きだ」と恫喝姿勢を見せた。

杜部長もまた、李登輝氏と同様、中国や国民党から台独のリーダーとして最も憎悪される一人であり、日本でももっと注目されてよい人物だ。

■中華思想の排除に乗り出す

さて、つねに敵から包囲されている杜部長は最近、教科書にとっての「不適合用語」を五千も挙げ、教科書会社に参考として示した。

不適合用語は次のような基準で選ばれた。

「客観的ではない歴史価値判断に基づかないこと」（中国人特有のご都合主義を排すると言うこと）

「自らを矮小化したり、主体意識が不明瞭にしないこと」（台湾を中国の一地方として扱い、台湾人としての主体性を否定してはならないと言うこと）

「日本時代に関しては、大清帝国や中華民国の元号を用いないこと」（日本時代は日本領土だったのだから、中国の年号は必要ない）

「用語は充分に正確に」（中国人の価値観、歴史観、民族感情、政治的配慮を排除し、事実に適った正確な用語を）

そして具体的には次のようなものが「不適合」とされた。

「台湾地区」（中国の台湾地区。「台湾」とすべき）、「全省」（中国台湾省。「全国」とすべき）、「祖国」（中国を指すもの）、「中共」（国共内戦時の反乱団体を指す言葉。「中国」と正式国名で呼ぶべき）、「国父」（中華民国の父、孫中山のこと。孫中山とすべき）、「国字」（中国文字とすべき）、「古人いわく」（「古人」は「中国の古人」とすべき）、「国劇」（台湾の劇ではないのだから、「京劇」と呼ぶべき）、「日拠時代」（「日拠」は中国領土に対する「日本の占領」。「日治」（日本統治）とすべき）

これらを見てもわかるように杜部長は、いまだに台湾に蔓延る中華思想をとことん駆除しようとしているのである。

■中国人をも追いつめる信念と勇気を

そこで当然のことながら国民党やメディアは「台湾独立の動き」「中国離れ政策だ」として杜部長を猛攻している。なかには「新戒厳令だ」などとの声もあがっているが、中国人はいったい何を言っているのだ。杜部長は今、中国人による戒厳令時代の残滓を拭い去り、台湾人を救出しようとしているのだ。国民党に至っては、同党執政の十八の県と市は、独自に編集した教科書を使用するとまで宣言した。これは地方制度法や国民教育法に明らかに違反するものだが、そこまで彼らは追いつめられているのだ。

ただ問題は、ここまで中国人勢力を激怒させた杜部長を、台湾人はどこまで擁護できるかだ。国民党の大中華歴史教育を受けてきた世代の台湾人は、こうした政策の目的をきちんと理解できるのか、あるいは国内を混乱させる単なるトラブルメーカーと見做してしまうのではないかと言うことだ。また来年の総統選挙で国民党が政権を奪取すれば、同党は実際に独自の教科書を編纂してしまう可能性も高いとされている。

いずれにせよ私は、教科書検定を巡る日本の文科省の弱腰、事なかれ主義を見てきただけに、歴史の真実を追究し、台湾と台湾人のため、ここまで孤軍奮闘する杜部長に感動を禁じ得ない。日本人もそれほどの信念と勇気をもって戦わなければ、国の教育は守れないのだ。

日本国民には杜正勝教育部長と台湾の教科書正常化の動きに注目することを訴えたい。きっとそこからは多くのことを学べると思う。日本の敵もまた、中国およびその傀儡だからだ。

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■「犯罪の脅威」が「友好の架け橋」か

中国共産党機関紙「人民日報」（日本語版）は七月二十日、前東京入国管理局長である坂中英徳氏が十八日の講演会で、「60万人に上る在日中国人を高く評価し、『日本社会において非常に活躍し、日本社会のために貢献し、日中友好の架け橋になっている』と述べた」と伝えているので驚いた。

なぜならこの「６０万人」こそ、日本にとっては大いなる脅威だからである。ここで「６０万人」の実態を見てみよう。

入国管理局の統計によると、中国人の外国人登録者数は２００５年末の段階で５１万９５６１人（登録者全体に占める割合も２５・８％）で、まだ「６０万人」には達していないものの、日本で発行される中国語週刊紙「中文導報」によると、０５年初めの段階で約６２万４６００人になっている。これには日本国籍取得者約９万２３００人などのほか、不法滞在者約３万９４００人が含まれている。

このように在日中国人人口は増加の一方であり、在日韓国・朝鮮人の約５９万人をすでに抜いているかもしれないのだが、ここで国民が最も懸念するのは、何と言っても犯罪の増加である。

警視庁の統計によると、二〇〇五年の中国人犯罪の状況は次のとおりだ。

外国人の摘発数４万７８７４件、２万１１７９人のうち、中国人によるものは１万７００５件（３５・５％）、８６８９人（４１％）と第一位。刑法犯の摘発数で中国人は全体の４３・９％で、侵入強盗は５３・５％、侵入窃盗は６４・２％、カードなどの偽造犯罪は８７・８％。

中国人犯を年齢別に見ると、２０代が半数以上で３０代がそれに次いだ。また大学生や専修学生らの犯行が３割を超え、有職者は４割だった。在留資格別では「留学」「就学」「研修」が半数以上だった。

不法入国や不法残留など入管法違反での逮捕者数では４１８８人で３９・３％と最多。偽造パスポート使用事件では中国人は４１・７％を占めた。退去強制手続きをとられたのも１万７２５２人で３０・２％。

失踪した研修生、技能実習生では、中国人が全体の約６３％にあたる６７１人。罪を犯して国外へ逃げた容疑者は２８１人で全体の３４％、大半は中国へ逃亡したと見られている。

■入管に対して高まる不安

だいたい以上のような状況だ。ここでは数値のみを取り上げたが、このほか中国人犯罪の巧妙化、凶悪化、本国の犯罪組織の進出と言う問題もある。中国の伝統的弱肉競争社会と言う環境で育った彼らにとって、法とは生きるために破るものであり、他者は欺くむ前に欺くものであり、財物は盗まれる前に盗むものだ。そうした彼らから見れば、日本社会はまだまだノーガードに近く、隙だらけ、宝ものだらけである。逮捕されても量刑は軽く、拷問も強制労働もない。だいいち警察官自体が中国人を恐れている、と中国人は見ている。


だから国民は、中国人の流入だけには警戒しなければならないのだ。そこで頼りにすべきが警察と入管である。入管は自らのＨＰで「我が国にとって好ましくない外国人を強制的に国外に退去させることにより，健全な日本社会の発展に寄与しています」と言っているくらいだから、頼もしい限りと言いたいところだが、前東京入管長である坂中氏の発言を見ると、途端に不安になるのだ。

もっともこの報道をよく読むと、坂中氏が実際に「高く評価」しているのは、一部の中国人だけとも受け取れる。

彼はこう言う、「学術・経済・文化など日本の各分野で活躍しており、大学教授・準教授・専任講師の数は1千人を超え、日本社会に貢献を果たしている。在日中国人は両国の交流をたゆまず促進し、日中友好の架け橋となっている」と。

日本で「活躍」する学者、知識人のなかには、本国の息のかかった工作員が多数存在していることは常識だが、それはともかく、他に褒めることのできる中国人がいないから、このような事例を強調したのではないのか。坂中氏は「日中友好人士」の例に漏れず、あくまでも「６０万人」を手放しで褒めようとしたのだと思う。だからこそ「人民日報」に取り上げられたのではないのか。

■中国の戦略と合致する発言

実際に坂中氏はかつて、以下のような発言している。
http://www.chinacenter.jp/japanese/library/souin004.html
「今日、日本国民の在日中国人を見る目は非常に厳しい。多発する外国人犯罪と中国人が結びつけられ、在日中国人に対して抱く日本人のイメージは決して良くない。犯罪とは無縁の中国人までもが日本社会から警戒感を持たれている。そこでまず、国民の間に存在する中国人に対するマイナスイメージを取り除く必要がある」（日本人が生命、財産を守るため警戒するのは当然だろう。警戒心こそ防犯の要だ。マイナスイメージの取り除きは中国人自身に期待するしかない）

「不法就労や犯罪を目論む『好ましからざる中国人』の入国を阻止し、日本人の中国人への悪感情を引き起こす原因を断たなければならない。それは入管の仕事である」（入管は不良中国人の入国阻止に専念していればいい。中国人へのリップサービスこそ、不良中国人を助長するのだ）。

「中国人に対するプラスイメージを国民の間に広める必要がある。高学歴で知的職業に従事する人が多数に上ることを含む、在日中国人の全体像を知る日本人は少ない。私は、近年、在日中国人の中から、研究、ハイテク産業、芸術などの分野でめざましい業績を上げている人が急増している事実を指摘しておきたい」（プラスイメージを広め、あくまでも日本人の警戒心を解こうとしている）

中国人人口の海外への拡散を中国の「平和的浸透」と呼ぶ。このようなイナゴの大群の如き浸透によって、すでに台湾、ロシアと言った近隣国をはじめ、北米、南米、西欧等々の社会はとてつもない脅威を抱いている。そもそも「平和的浸透」は豊かな新天地を求める中国人の生存本能に、中国の国家戦略が重なったものだ。歴史を見ると、中国の版図拡大の前にはよく、中国人の移住、入植、あるいは住民の中国人化（漢化）が見られる。つまりその地に中国人がいて初めて、そこが中国の版図、勢力範囲、生存圏となったのだ。

ところが坂中氏は講演でこう言い切っている。

「日本は多民族共生社会を構築するべきだ。『日本人だけの世界』に安穏と暮らすことはもうできない。好むと好まざるに関わらず、異なる民族と接触し、共生の道を模索しなければならない」

「1980年代以降、在日外国人の中で常に最高の増加率を示している。在日中国人は間違いなく、在日外国人の中で最も努力しているグループだ」

これではまったく中国の戦略と合致した主張ではないか。「人民日報」が大きく報じるのも頷けると言うものだ。このような人物を要職に就かせていた入国管理局は、本当に「危険民族」の流入に対する防波堤足りうるのか。

（付記）入国管理局の「中国人」の外国人登録者数のなかには、台湾国民も含まれている。つまり入管は在日台湾人も中華人民共和国の国民として扱っているのだ。このような誤った措置の是正を在日台湾人が求めても、入管は一切耳を傾けようとはしない。おかげで台湾人は日本社会で中国国民と誤解され、それこそ多大な「マイナスイメージ」を与えられているのだ。入管と中国との関係への疑惑は深まるばかりである。

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毎年日本の防衛白書が中国の脅威に言及するたび、この国は「脅威ではない」と猛反発するが、連年軍事費の二桁成長を続け、しかもその公表額は明らかにほんの一部にすぎないのだから、反撥されればされるほど、その不透明さ、不確実さに、日本としては脅威を感じざるを得ないのだ。

七月に出た今年度の防衛白書に関してもそうだった。共産党機関紙「人民日報」（日本語版）などは、「中国に関する部分は十五頁あり、昨年より四頁増量した」「『中国の宇宙開発』に関する一節が増えている」「大陸部と台湾の軍事バランスが大陸部に有利に傾きつつあるとの分析が新しく加わった」などと騒ぎ立てている。馬鹿に細かいことまでこだわっているが、こうした「感情表明」はいつも朝日新聞など親中勢力へのメッセージとなっているのだ。今回は「中国脅威論を沈静化しろ」と言うことだ。

さらに「人民日報」は、小池百合子防衛大臣にも着目しているようだ。たとえば「白書では中国海軍・空軍の戦闘力に量的・質的変化が生じていることに注目しており、今後は地域情勢および日本の安全に対する中国の影響が大きくなることを考慮し、引き続き慎重に分析して行く」との発言を取り上げた。論評抜きではあるけれども、これは例によって新任の同大臣に対する「その言を聞き、その行いを見る」（日中関係を根底から覆すなよ。ちゃんと観察しているからな）と言った警告のつもりだろうか。

一方、台湾では陳水扁総統が七月十七日、軍幹部の叙勲と就任の式典において防衛白書に触れ、「中国の軍事的脅威に関して従来よりも深い憂慮を示し、中国の軍事力が台湾海峡問題に対処する必要量を超えているとの認識を明らかにしている」「新任の小池防衛大臣も、台湾が実質的に保有する軍事的優勢に中国との逆転が発生する可能性がきわめて高いと強調している」と、日本の積極的姿勢を好評価した。

一昔前によくあった「アジア諸国は日本の軍事力を警戒している」との伝説（反日政治宣伝）をいまだに信じている日本人は少なくないが、随分時代遅れの「誤解」と言える。中国の脅威を感じ取っているアジア諸国は、当然のことながら「抗中」のため、日本の抑止力に期待しているのだ。特に台湾はそうである。日本との軍事提携がなければ、自国の安全はまっとうできないと切実に感じているのだ。

ところで小池大臣は、台湾ではたいへん有名な人である。台湾大地震のときは日本から現地に飛んで行くなど、「台湾の友人」「李登輝氏と親しい」として好感度はとても高い。そう言えば平成十三年、李登輝氏に入国ビザの発給を拒んでいた外務省の前で発給要求のデモをやっていたとき、建物のなかから出てきて我々に激励の声をかけてくれたのが西村真悟議員や小池氏で、何でも「いま外務省に抗議して来た。これから中国大使館へ言って来る」と言うことだった。

その小池氏が今回防衛大臣に就任したことは、台湾のマスコミも大きく取り上げたが、やはりそのなかで強調されたのが同氏の「親台」姿勢である。

たとえばテレビ局ＴＶＢＳは「初の女性防衛大臣」と報じるなかで、「注目すべきは、小池氏と台湾の政壇との良好な関係。これまで彼女は何度も台湾へ招かれている。台湾海峡情勢が緊張するなか、正面から手を差し伸べてくれることが期待される」と言っている。

小池大臣に期待するのは日本国民だけではないと言うことだ。そして台湾国民による同大臣への期待は、中国覇権主義に負けない「強い日本」への期待でもあるのである。

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■懐柔される日本の政治家

訪中した日本の有力政治家が中国の指導者層と会見したと言ったニュースは日本でもよく流れるが、両国間で懸案事項が山積する中で、いつも日本側より中国側の発言の方が詳細に報じられるのはなぜだろうか。

それはニュースソースが中国の国内報道だからだろうか。中国の報道は言わば「指導者動向ニュース」。「日本人にこれこれの意見を述べ、これこれの要請を行った」と言った内容の政治宣伝である。つまり日本の政治家は中国側に宣伝利用されているのだ。

しかしもう一つの理由もあるだろう。それは日本側が、古森義久氏の言うところの「拝聴外交」をやっているからだ。つまり中国側の「日本はこうしろ、ああしろ」と言う意見、要請に、ただ「はい、はい」と頷くだけで、意見も主張も何もしない、と言う奴だ。

実際、日本の政治家はそんな感じが多いらしい。つまり「会見」と言うより「謁見」なのである。だいたい北京詣でを繰り返す政治家の多くの心理は朝貢国のそれである。中国の偉い人と会って、それで政治家としての泊を付けようと言う下心だから、古代に冊封を望んだ周辺国の人間と同じ心理形態なのだ。小野妹子のように「日の出る国の天子が…」などとやれば中国を怒らせてしまうので、とにかくおべっか以外は何も言わない。

■「中華の権威」になびく卑屈さ

訪中が中国のご招待だから、恐縮して何も言えないと言うこともあるらしい。そう言うとき、政治家たちは相当の厚遇を受けていい気分になるらしいが、そうやって彼らは骨抜きにされて行くのだ。つまり「臣下」への懐柔策である。


中国は歴史的に「権威立国」だ。外交も戦前の一時期は例外中の例外として、「中華の権威」を維持しながらのもの以外はできない。そして権威外交を進めるためには、どうしても中華の権威に屈服する外国人の存在が必要となる。

だから中国の覚えめでたい政治家は例外なく、向こうで中国に媚び、あるいは中国の利益のために「共同謀議」をやっている連中と見てよいと思う。

ところで十七日、媚中政治家の巨頭である河野洋平衆議院議長が中国全国人民代表大会（全人代）の呉邦国常務委員長（国会議長）と会見したことが、現地の国営テレビによって報じられたらしい。

映像を見ていないのでわからないが、河野はそのとき、例によって両膝をぴたりとくっ付けながら呉邦国の話を「拝聴」し、日本の名誉を損なってはいないだろうか。

■河野洋平は何を語った

それはともかく、呉邦国はそこで「歴史、台湾など両国関係の敏感な問題を適切に処理することは、中日関係の健全かつ安定した発展にとって十分に重要な意義がある」と河野に伝えたと言う。

つまり日中間で利害が真っ向から対立するこれらの問題で、「日本は中国に譲歩せよ」と要求したのである。では衆議院議長である河野はこれに対して何と応じたのか。

残念ながら、詳しい消息はわからない。ただわかっているのは、河野が日本の国益を守る立場から、歴史問題における内政干渉や、台湾問題における軍備拡張など、中国の許されざる行為に対し、断固とした抗議を行わなかったことだ。もし河野がそれをやっていれば、中国から「第二の小泉」として批判を受け、いまごろ大騒ぎになっている。

ちなみに河野は国家主権の放棄で名高い日中友好七団体の一つである日本国際貿易促進協会の会長で、今回も同協会訪中団の団長として、企業経営者ら約七十人を率いて訪中したそうだ。そこで「日本では、中国との長期的で安定した友好的な協力の展開を、心から望む人がどんどん増えている」として、同協会が今後も日中友好のために努力すると誓ったことは確かなようだ。政治家がこう言う意味のない発言ばかりを繰り返すことを、古森氏は「空疎外交」と呼んでいる。

しかしそんなことを一々文句を言っても始まらない。我々国民にとって大事なのは、政治家が訪中して向こうで何と言われ、何と応じたかをチェックし、それが日本の国益にかなった行動であったか否かを裁定することである。

売国議員をのさばらせていては、国は守れないのだ。

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これまで多くの日本人は、台湾の老世代が日本時代を懐かしんでいることで、「日本は昔いいことをしたのだ」と、自国の歴史に自信を高めた。そして台湾に親しみを覚えたわけだが、それには「よしよし、台湾は可愛い奴だ」と言った感じが目立った。だから尖閣の問題で台湾の戦後世代が反日の姿勢を見せると、「生意気なやつめ」と怒る「親台派」も少なくなかった。

しかし怒っても仕方ないのだ。なぜなら若い台湾人は「昔」を知らない。散々中国に媚びて台湾に冷淡な態度をとってきたのだから、反日くらいはあるだろう。

日本人には台湾に対する甘えがあったと思う。「台湾は日本に片思いだ」と言う言葉もよく聞かれた。「孤立しているから、日本に媚びているのだろう」と言う見方も、結構あった。だが台湾は日本の生命線であり、かけがえなき戦略上のパートナーだと言う発想はほとんどなかった。やがて台湾は、こんな日本を見捨て、中国の方へ走るのではないかと一部の台湾専門家は真剣に心配している。

ところが台湾は、まだ日本を「見捨てていない」ようだ。来年の総統選挙で民進党から出馬する謝長廷はシンガポール紙との会見で「台湾と日本は特殊な関係だ。日本が台湾関係法を制定することを望む」と語ったのだ。

多くの日本人は気が付いていないが、東アジアの安全を守っているのが日台米の三角関係である。日米間には安保条約があり、台米間には米国の国内法である台湾関係法（米国政府に台湾防衛を義務づける）がある。ただ問題は、日台間で軍事協力に関する法律が存在していないことだ。そこで謝長廷は「日本も制定を」と呼びかけたのである。

民進党政権では総統から行政院長に至るまで、日本が憲法を改正して「普通の国になること」への支持表明をしたり、台湾と軍事同盟を結ぶことを盛んに呼びかけて来たのだが、ここまで親日的な「周辺国」に、日本側はほとんど関心を示さないで来た。

そこへ今回の謝長廷の発言である。日本人はこれに注目しないままでいいのだろうか。謝長廷と一騎打ちとなる国民党候補の馬英九は、「日台米」ならぬ「日台中」の新三角形の構築を日本に呼びかける人間である。対中国敗北主義者である馬英九は、台湾と同様、日本も中国の下に馳せ参じろと言っているのだ。

こんな候補者が政権を取れば、日本は黙っていても、自ずと台湾とともに中国の影響下に陥ることとなる恐れがある。なぜなら東アジアの砦である台湾が、敵の中国に無血開城する可能性が大だからだ。

それを防ぐには日台米三角関係を強化しなくてはならないのだが、それではどうすればいいのだろうか。

じつは日本で「台湾関係法を」「台湾と軍事同盟を」と言った声が上がるだけで、台湾の選挙民は勇気付けられ、堂々と反中国の謝長廷に投票できるようになる、と言うのが目下の台湾の状況だ（だからこそ謝長廷は日本との軍事提携の意向を表明した）。だから安全保障の観点から、もっと日台関係について議論されなければならないのだが、今のところ識者の間でも、それがまだまだ足りない。

中国覇権主義を許さない日本人は、それに立ち上がろう。台湾が親日アピールをしてきたように、今度は日本が親台アピールをする番なのだ。これは中国への最大の挑戦になることだろう。無為無策のままでは、中国の暴走は加速されるだけなのだ。

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私は社民党が大嫌いだ。それは同党が反国家的な戦後思潮の象徴、と言うより、その思潮を作り上げた張本人だからだ。その社民党が参院選に向けたＣＭで、「ツヨイ国がいいですか。ヤサシイ国がいいですか」と有権者に問いかけているのでヘドが出そうになった。

だいたい社民党の言う「ヤサシサ」とは何か。人間が強くなりたい、大きくなりたい、と思うのは、生存競争の本能によるものだが、「戦後日本人」の多くは勇気と根性がなく、弱い。そこで「ヤサシサ」が大事だと言って、競争に参加できない自分を正当化したり、競争で淘汰された者同士が傷をなめあったり、競争での勝ち組、成功者を嘲笑したり非難したりで、優越感を味わい、あるいはストレスを発散している。そのようなものは「無様さ」「情けなさ」と呼ぶのであって、「優しさ」とは無関係である。

しかし社民党は、民衆の国家、社会に対する劣等感、欲求不満、憎悪などに支えられる左翼集団だから、そんな「ヤサシサ」を強調し、無気力で無責任で卑怯者に溢れる「戦後社会」作りの一翼を担ってきたのだった。

世の中を見ればわかることだが、人間は強い者こそ他人に優しい。母親だって、強いから子供に優しいのだ。それに比べて弱い人間は弱い分、自己防衛に力を注ぐことになるから、他人への関心や配慮が疎かになる。そして弱い分、自己防衛に必至になる分、他人に対して卑怯な振る舞いに出やすくなる。強者に殴られている弱者を助けるには、強い心と力が必要だ。それに欠ける者は、見て見ぬ振りをするか、強者に媚びて暴行の輪に加わるかだ。

国際関係に目を向けよう。いま我が国の目の前で、善良な台湾と言う小国が、横暴で強大な中国にミサイル恫喝を受けている。ところが我が国は、中国を恐れるあまりに台湾にあえて救いの手を差し伸べようとしないのも、「戦後日本人」の無様なところだ。

ことに社民党などはそうだ。かつては「中国統一のために国民運動を起こします」と中国に誓ったこともあった。今は中国にどんな話をしているのだろう。この間中国政府から、社民党の台湾問題での姿勢は「とてもよい。感謝する」と褒められているから、国民の知らないところで、あいかわらず「統一（台湾侵略）を支持します」とでも言っているのだろうか。

そして今回の選挙では、台湾有事を含め、周辺事態に対処するため憲法九条の改正を目指す安倍政権を非難し、「ツヨイ国よりヤサシイ国を」と訴えている。

弱者の代表のような顔をして「平和主義」（ヤサシサ）を唱え、「国家を裏切る卑怯者になろう」と叫ぶのが社民党である。世の中に卑怯者が多く存在する限り、そのような勢力の生存空間はいつまでも健在だ。

社民党的価値観が世を覆う限り、弱く卑怯な人々が幅を利かせている限り、たとえ九条を改正しても、亡国の懸念は解消されないのだ。

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■戦略的要地へのお出かけ

皇太子殿下におかれては、昨七月十一日、モンゴル国へ行啓され、エンフバヤ大統領とご会見になり、本十二日は、終戦後ソ連によってモンゴルに抑留されて亡くなった日本人二千人の慰霊碑を訪れられた。祖国帰還を果たせず無念の死を遂げた人々の魂が、これでどれほど慰められたかを思えば、涙がこぼれる。

さて、私はモンゴル行啓が行われると聞いたとき、何かハッとして、胸が高鳴る思いがした。それはなぜかと考えていたところ、今朝の産経新聞の記事「皇太子さま　モンゴルご到着」を読み、「やはり、そう言うことだったのか」と、思わず膝を打ちたくなった。

そこにはこうあった。

「皇太子さまの今回のご訪問先のモンゴルと、天皇、皇后両陛下が５月に歴訪された欧州には共通項がある。日本政府が掲げる『自由と繁栄の弧』のほぼ両側に位置する点だ」

つまり日本にとっては極めて重要な戦略的要地にお出かけになられたと言うことなのだ。

■ユーラシアを制するリムランド

麻生外相が昨年十一月に提示した「自由と繁栄の弧」は、北東アジア、中央アジア、トルコ、中・東欧、バルト諸国と、ユーラシア大陸の外周の民主国家群をひとつに結び、提携を深めようと言う外交構想だ。これに対し、「弧」に包囲される形となるロシアは反撥した。それはもっともなことである。その「弧」こそ、地政学者スパイクスマンが言う「リムランドを制するものはユーラシアを制す」の「リムランド」と合致するからだ。

スパイクスマンによると、リムランドはハートランド（大陸中央部、すなわちロシア）からの脅威に曝されると、統合しようとすると言うことだ。

「弧」の構想も、世界が多極化へと向かい、中国・ロシアと言う独裁体質の国が、周辺民主主義国家への脅威として急浮上しつつあるなかで生れた日本の国家戦略と言っていいだろう。

■行幸啓は「偶然」に非ず

皇室と政治に一線が画される今日、天皇陛下や皇太子殿下がそうした地域につづけて行幸啓されたのは偶然だろうか。産経は「ご訪問は期せずして、日本外交を後押しする効果ももたらしそうだ」と書いている。ただこれは「偶然」と言うより「必然」だったかも知れない。なぜなら海外への行幸啓は、日本と価値観を共有し、成熟した信頼関係を持つ国と親善を深める目的で行っていただくものだからである。

そういう意味では、平成三年における独裁国家中国への行幸は誠に畏れ多いことであった。

■完全に侮られてきた日本

そもそも中国による行幸の要請は、当時外相だった銭其琛が回顧録で「中国に制裁を加えていた西側の共同戦線の脆弱な部分で、最も良い突破口となった」と言っている如く、あくまでも外資を呼び込んで経済成長と軍備拡張を支えたいとの「不純」な戦略によるものだった。だから国民の反対をよそに、「日中友好のため」と言って行幸を決めた時の政府の過ちは、二度と繰り返されてはならないのである。

温家宝首相は今年四月、天皇陛下に謁見した際、中国行幸の希望を申し上げたが、それは中国が戦略の上で、完全に日本を侮っていると言うことを意味していた。

我々国民は、尊皇攘夷の精神を取り戻す必要がある。

■戦略なければ申し訳ない

「皇室外交」とは何とも戦後的浅薄さを感じさせる言葉だ。なぜなら海外行幸は政府の外交よりさらに高い次元での精神的威力をもたらすものだからだ。

よって今年の欧州行幸とモンゴル行啓は、まことにありがたいことであった。だからこれから国民は、国際社会において敵と味方をはっきりと見極めた国家戦略を推し進めなくては、これほど申し訳ないことはないのである。

そのためには日本が強くなり、各国に影響力を及ぼすほどの力を持たなくてはならない。それなくしては「自由と繁栄の弧」を唱えても、何の意味もないのである。


謹みてモンゴル行啓のご平安をご祈念申し上げる。


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台湾では昨九日、来年三月の総統選挙に出馬する民進党の謝長廷候補と国民党の馬英九候補の公開討論会が行われたが、「抗日史観」「中華民族意識」で台湾をまとめようとする国民党の意図があらわになる結果となった。

主催は蒋渭水文化基金会。蒋渭水とは大正から昭和の初期にかけ、日本統治化の台湾で台湾人の自治を要求し、台湾文化協会の設立に参与し、または台湾人初の政党である台湾民衆党を設立するなどし、総督府から睨まれた人である。

ではこの人と、来年の選挙とはどのような関係があるのだろうか。

「抗日戦争勝利六十周年」に当たった一昨年、国民党主席となった馬英九は中国に呼応し、台湾でも「中華民族の抗戦勝利」の記念キャンペーンに着手することとなったのだが、抗戦当時、台湾人は日本国民だったため、「抗日」をしていない。そこで日本時代に当局に反抗した歴史上の人物を数々引っ張り出し、それらを以って「抗日英雄」に仕立て、「台湾人も中華民族として戦ったのだ。その結果、台湾は中国の懐に戻ることができたのだ」と宣伝し、台湾人の中国離れの動きを牽制した。そしてその際、先ず宣伝用に選ばれたのが、この蒋渭水だった。

馬英九は蒋渭水を持ち出して何を試みたかと言うと、「国民党政権は外来政権」（中国から台湾人を支配しにきた政権）と言う、台湾人の間で広く持たれている見方の打ち消しである。彼はこう言った、「蒋渭水は国民党の秘密党員だった。だから国民党は外来政権ではない」と。

要するに「台湾人である蒋渭水も党員だったのだから・・・」と言う幼稚な論理である。だが蒋渭水が党員だったと言う証拠はいまだ見つかっていない。蒋渭水は昭和六年に亡くなっているから、死人に口なしである。

もっとも彼の同志達のなかには党員になったものがいたとの証言はある。しかし彼らはみな、終戦後の二二八事件で国民党と言う外来政権に抹殺されているのである。なぜなら彼らは正義感あるエリートであり闘士である。国民党は彼らの「抗中」を恐れたわけだ。蒋渭水が存命だったら、恐らく同じ運命を辿ったことだろう。

蒋渭水の名が教科書に登場したのも民進党政権時代になってからだ。国民党時代には、「中国の偉人」ならともかく、「台湾の偉人」など、ほとんど重視していなかった。

それでもこの日の討論会で馬英九は、「台湾民衆党の旗のデザインは国民党のものに似ている」などと言い張り、蒋渭水は中華民族の英雄であると強調したのだ。

会場からは「蒋渭水が生きているなら、今の中国をどう見るだろう」と、中国の横暴に立ち向かわないどころか、台湾を中国に売り飛ばそうとする国民党を皮肉る質問が出る始末だった。

国民党独裁時代、台湾人は「中華民族」「抗戦勝利」でさんざん洗脳されたわけだが、民主化後の今日でも国民党は、ふたたびそれをやろうとしているのだ。もちろんそうしたものに、今さら台湾人がひっかかることもないだろう。ただ多くの台湾人にはいまだに問題がある。それは危機感の欠如である。ここまで台湾人を騙して政権を奪取し、「中華民族」の統一を図ろうとする国民党の正体すら見破れず、「選挙では民進党と国民党のどちらに投票すればいいかなぁ」と迷っているような、そうした愚昧さである。

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■台湾の軍隊は中国と戦えるか

台湾国防部が発行する「軍人は何のために、誰のために戦うのか」と題する文書がある。そこには「中華民国の生存と発展のために戦え。中華民国の庶民の安全と福祉のため戦え」とある。

なぜこのような問いかけを国防部がするのかと言えば、中華民国軍はかつて、「軍人は中国統一のため、国民党のために戦え」と教育された国民党の軍隊だったからだ。つまり中国内戦で台湾に敗退してきてからも、依然として中国伝統である権力者の軍隊であったわけだ。

だが、今さら中国統一でもなければ国民党独裁の時代でもない。台湾は台湾人の国家であって、中国のものではないのである。そこで李登輝総統は中華民国軍の国軍化を推進した。

陳水扁総統も軍人の意識改革に力を入れた。しかし反撥が起こらないよう、進め方は慎重だった。

軍人と言うものは、そう簡単に信念を変えられるものではない。台湾独立は許しがたいことだと教育され、中華民族意識をさんざん叩き込まれてきた中華民国軍人が、本当に台湾に忠誠を尽くせるかどうか、台湾人のために中国と言う「祖国」と命がけで戦えるかどうかは、そのときになってみないとわからない。

■任期切れ前での陳総統の勇気

しかしそんな悠長なことも言っていられない。来年の選挙で国民党が政権に返り咲いたなら、ふたたび党軍に戻ってしまうかも知れない。

そこで任期切れを前に陳水扁は攻勢に出た。四月には軍内からかつての偉大なる領袖だった蒋介石の銅像を撤去した。七月一日は主義、領袖、国家、責任、栄誉と言う軍人の「五大信念」から主義（三民主義）と領袖を削除した。

そして七月六日に行われた陸海空三軍の幹部学校の合同卒業式では、将来の軍を担う若者たちの前で演説してこう言った。

「台湾の生存と発展のために戦え。台湾の庶民の安全と福祉のため戦え」

「中華民国」をはっきりと「台湾」に変えて発言したのだ。これはかつての国民党軍の感覚から見れば、明らかに「台湾独立」の主張そのものである。私は陳水扁の勇気に拍手を惜しまない。

■陳発言に見る国内情勢の緊迫感

陳水扁はさらに念を押してこう言った。

「国軍の幹部は民主憲法に従い、国家に忠誠を尽くすことを忘れてはならない。いかなる党派であれ、軍事力を政争の具にしてはならない。国軍が政治紛争に関わることを厳格に禁じる。絶対に政党競争や選挙活動の影響を軍の管理や訓練に及ぼすな」

中国との戦いを回避したいあまり、台湾の国防すら放棄しかねないのが国民党だが、中国人には二度と支配されたくないと願うのが台湾国民である。そうした意識対立のなか、たとえ来年の選挙で国民党が政権を握っても、軍は台湾国民を守らなくてはならない。台湾国民を恫喝してその願望を封じる軍隊になってはならない。こう言うことを陳水扁は訴えているのだ。

何とも緊迫感を覚えさせる発言である。もしやこの緊迫感は、「台湾人の分際」で八年間も政権の座にき、国民党勢力の復讐の対象となっている陳水扁の口から出たものだからだろうか。

先進的民主主義国家で、そのような異変が起こるものかと言う意見もあろう。しかし忘れてはならないのは、国民党が中国人の政治集団であると言うことだ。権力を握った中国人のＤＮＡは、民主主義の理念を拒否するものだ。自己の利益のために何を引き起こすかなど、日本人にも台湾人にもまったく予測できないのである。


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■「中国脅威論」の火消しが朝日の使命

「２００７年版防衛白書は、例年以上に中国の軍事力増強への警戒感を強くにじませている」と言うことで、読売新聞は七日、「中国との安保対話を深めよ」と題した社説を書き、日本は「中国に対し、安全保障上の懸念はきちんと伝えるべきだ」「国際社会の一員として責任ある行動を取る。軍事分野の透明性を高める――。こうした点を中国に粘り強く求めることが、地域の平和と安定につながる」と主張しているが、今の政府が少しぐらい強硬な姿勢に出たところで、中国は相手にもしてくれまい。「平和と安定が脅かされているのだ」とはっきりと、そして執拗に、しかも中国だけでなく国際社会に向けても訴え続けるなら、それなりに抑止効果は出るだろう。現在中国の政府から御用学者に至るまで、必死に揉み消そうとしているのが「中国脅威論」だからだ。この国はいまだ軍の近代化の途上にあるため、経済成長を支えてくれる外資に逃げられるのが怖い。

そんな中国と一緒に「脅威論」の火消しに躍起になってきたのが朝日新聞だ。その常套手段は国民に対し、脅威に関する「論」は無益だとの議論を吹っかけ、関心を「脅威」からそらせること。そしてその反面、改憲問題、集団的自衛権の問題、ＭＤ問題で、つねに中国とスクラムを組み、「日本の目覚め」への反対に全力を尽くすのである。この新聞が文革時代以来、中国に操作される傀儡であることはよく指摘されているが、やはりそれは本当のようだ。

だからこの新聞の主張を丹念に読めば、中国がそのときそのときに何を言いたいのかもよくわかる。七日の朝日の社説もそうだった。読売、産経、毎日は防衛白書を取り上げたのに対し、こちらのタイトルは「盧溝橋事件７０年―もう一歩、踏み出す勇気を」。この日が盧溝橋事件から七十周年に当たると言うことで書かれた「歴史問題」編だが、この「もう一歩…」こそ、中国の気持ちを充分に代弁している。

http://www.asahi.com/paper/editorial.html

■朝日の社説は中国の叫び

この日の社説はこれ一本のみ。つまり普段の倍の分量である。そして誰もが冷静に耳を傾けてくれるように、念入りに、そして穏やかでゆったりとした筆致で書かれている。

それはなぜか。それを書かなくてはならない使命があるからだ。それについて朝日は、「私たちがこの社説を掲げるのは、この１年が日中両国にとって特別の意味を持つと考えたからだ」と説明している。

要するに中国で盧溝橋七十年、南京虐殺七十年が強調される今年、日本でも反中感情が高まっているから、これはたいへんだと言うことだ。

内容はこう言う感じだ。

――七月七日と言えば日本人なら七夕だが、中国人にとってはそうではない。こうした記憶のずれが日中関係をぎくしゃくさせている。中国の反日は愛国教育の影響だと言うのは「確かだろう」。だが中国人の心情は批判できない。残念ながら調査では、中国が「嫌い」は日本が四十七ヶ国中最高で、中国でも「日本を嫌う傾向が強い」。これを「深刻に受け止めなくてはなるまい」――

日本人を中国嫌いにしてはならない。「中国脅威論」は打ち消さなくてはならない。「政冷」だけでなく「経冷」にもなったらオリンピックの準備に影響が出る。日本人の中国離れは中国の対日世論の分断工作に大きな支障が出る…。こんな中国の叫びを聞く思いの主張である。

■「南京虐殺」を否定しながら…

しかし朝日は論に説得力を持たせるため（中国の傀儡と思われないようにするため）、「南京虐殺」を「虚構」と認めるポーズを見せるのだ。

――犠牲者数について中国は３０万人と主張するが、いくら何でも多すぎないか。一方、あれは虚構だと言われれば、中国側が反発するのは当然だ。両国の歴史共同研究で冷静に検討が進むことを期待したい――。

そしてここで、「安倍首相になって、両国関係が修復の方向に動き出したのは歓迎すべき動きだが、もう一歩、勇気を持って踏み出せないものか」として、突然アクロバチックに、とんでもない提案を打ち出すのである。

「日本の首相が南京を訪れてはどうだろう」「論争は専門家に任せ、現地を訪ねて慰霊する」「中国の人びとからも、国際社会からも歓迎されるはずだ」と。

「中国や米国で最近、南京大虐殺などの映画がいくつも作られている。米議会では、旧日本軍の慰安婦問題をめぐる決議案が本会議でも可決されようとしている」から、みんなから「歓迎されるはずだ」と言うわけだ。

■傀儡ならではのアンバランスな主張

「歓迎される」のは当たり前だ。米国での反日騒動は、明らかに中国の差し金（謀略）の結果。そこへ首相が南京へノコノコ行けば、日本政府が「虐殺」を認めたことになり、日本の名誉と信頼を大きく損ない、国際社会に向けた中国の反日本宣伝戦略は大勝利に終わることになるだろう。ところが朝日は、それをやれと言っている。

だがもし首相がそのようなことをしたら、日本国民の猛反発は必至である。反中国感情も従来以上に高まり、朝日としては困るのではないだろうか。しかしそのことに朝日が触れないのは、中国の利益のことで頭がいっぱいだからか。こんなところにも傀儡ならではのアンバランスさがよく出ている。

実は朝日自身が「政治の役割は大きい」と言っているように、政府さえ中国に譲歩すれば、国民の反中感情の高まりなど、実際には大したことはないと考えているのだろう。

社説は最後に「この年を、感情と怒りがぶつかり合う年にしてはならない」で結ばれるが、ここでは一言も中国の反日を咎めていない。

これで明らかだろう。朝日は日本だけに自重、妥協、譲歩、屈服を求めているのである。

このように日本だけの対中屈服を訴えることが朝日の「使命」であり、まさにそのための七日の長文の社説だったわけだ。

■朝日は今後も馬脚を現す

なお、朝日は盧溝橋の「発砲事件」の犯人については、敢えて一言も触れていない。それはなぜかと言えば、共産党が犯人だからだ。この事件を契機に、共産党と国府軍が、事態の不拡大方針だと言って嫌がる日本側を挑発し、北支事変を引き起こし、ついで第二次上海事変を引き起こし、その結果、二つまとめて支那事変と言う日中全面対決に持ち込んだと言うのは疑いの余地のない、七十年前の真実である。

朝日が中国には都合の悪い歴史に決して触れようとはしないのは、中国と歩調を合わせ、学術ではなく政治の次元で「歴史」を語っている証拠であり、それはまた中国の傀儡の役割を果たしている証拠でもあるのである。そうでなければ民主主義国家の大新聞が、独裁国家の宣伝機関まがいの手口を使うはずがない。

中国の対日戦略は日本弱体化戦略であり、そのための有効手段が宣伝心理工作、政界・世論分断工作である。そしてそのための日本駐在機関の役割を果たしているのが朝日新聞なのだ。この新聞は中国の情報統制下に組み込まれていることは、これまでも盛んに論じられてきたことだが、こうした認識はもっと国民の間に広めなくてはならない。

朝日が今回長文の社説をわざわざ掲載したのは、「日本の目覚め」に対する中国と朝日の焦燥感の現われである。つまり馬脚を現したと言ったところだ。そしてそうしたものは今後ますます露となって行くはずである。国民はそれに注目すればいいのだ。

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「盧溝橋の銃撃」が引き金となった支那事変を、中国の国民党も共産党も「七・七事変」と呼んでいる。正確には日本が応戦し、支那事変が始まったのは銃撃の翌日の七月八日だが、「最初の銃撃は日本の仕業だ」と言い張って止まない中国人にとっては、あくまでも「七・七」なのである。そして本七月七日は「七・七事変」の七十周年記念日だ。

中国ではたぶん今日、それを記念して抗日勝利を祝い、反日民族主義を煽るのだろう。そして去年と同様、当時の国共合作と中華民族の奮戦を讃えながら台湾に統一を呼びかけるのだろう。

では台湾ではどうだろうか。そもそも日本人と中国人との支那事変など、台湾人にはほとんど興味がない。しかし事変の当事者であり、抗戦勝利の誇りを教育で叩き込まれてきた「中華民国軍」にとっては、やはり「七十周年」は無視してはいけないようだ。今朝のテレビの軍隊向け番組でも、十五分ほどの七十周年特集が組まれた。

特集では冒頭、「仇日意識を煽るのではない。団結が必要だと言いたいのだ」と制作側の意図が述べられた。これは民進党政権の意図でもある。軍への配慮上、「七・七」は記念しなければならないが、だからと言って「敵」である中国と歩調を合わせて反日＝中華の意識を盛り上げ、「味方」である日本との関係を損なうわけには行かない。だから昨年の「七・七」で陳総統は、「反日」ではなく「中国の脅威」を語り、軍に一致団結を訴えている。

「過去」を問題にする「反日」の中国と、「現在・未来」を問題にする「反中」の台湾は、これほど違うのだ。

さてその内容は、「中国人が当時、強国日本と戦うため、男も女も立ち上がり、団結し、最後には勝利の栄光をつかんで、中国の尊厳を守った」と強調するものだった。そしてそれにあわせて、演説で抗日を呼びかける蒋介石や民衆の姿、勇ましく突撃する中国軍等々、当時の記録映像（戦闘シーンはやらせのニュース映画か）が延々と流された。

中国軍は当時「草鞋の軍隊」と呼ばれたそうだ。そのような弱小軍隊がいかに日本軍に打ち勝ったのか。その理由を当時兵隊だったおじいさんに語らせようとするのだが、「草履はすぐダメになるので、黄麻を使ったが、それもダメになるので、古着の布を使ったがそれもダメだった。みんな草履を編めるようになった」と言うのみ。ついに「勝利の理由」を聞き出せなかった模様。それはそうだ、抗戦の勝利は米軍のおかげだからだ。

武漢陥落までの一年数ヶ月ほどは戦場を逃げ回り、その後は奥地の重慶に立て籠もった国民党軍、日本軍の正面には決して姿を現さなかった共産党軍、そして日本と和平を結んだ新しい南京政府とそれに従った大量の国民党軍将兵および人口の四割にもあたる民衆（満洲国民を含まず）。蒋介石に至っては米軍に戦争を任せるのみで、日本との和平すら考えていた（と、米軍は見ていた）。

このようなものも、当時の歴史の真実と言えるだろう。

だから「一致団結の抗戦」など、相変わらずの歴史捏造だなと思った。ただ「南京事件」の映像など、おかしなものはなかった。そもそも日本軍はほとんど登場しなかった。日本人としては、何となくホッとした。やはり台湾は、台湾人の国なのだ。

こうして特集は終わるのだが、最後に出たテロップだけが気になった。そこには「抗戦勝利は中華民族の尊厳を守った」「抗戦は台湾を日本の殖民地支配から救出し、民主と自由をもたらした」とあったのだ。それは軍内部の中国人への配慮だろう。しかしそうしたものを強調することこそ、「中国と歩調を合わせる」と言うのだ。

こうしたところに、台湾の「中華民国軍」の危うさを感じるのである。

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「公明党をよろしく」と、市議会議員が我が家へ廻って来た。とても丁寧な女性だった。地元参議院議員の宣伝を色々としたそうだったが、私はパンフレットだけを受け取り、「検討させていただきます」と言って話を打ち切ろうとした。すると彼女は最後に一言こう付け加えて来た。

「温家宝さんの来日を実現した人です」

「何だって！」

そんな話を聞かされたら、今度はこちらが黙っていられない。もちろん私が何を言ったところで公明党が変わるわけでもない。ただ選挙民の間には中国への批判的意見があるのだと言うことだけは知って欲しいと思った。「日中友好はあまり口にしない方がいい」と。

そこで「中国はミサイルを日本や台湾に向けている軍国主義国だ」「なぜ政府は温家宝に中国の軍拡を批判しなかったのか」「日本とアジアの平和は守らなくてはならない」などと話した。相手は「そんな見方もあるんだなぁ」と言う表情でじっと耳を傾けてくれた。

もっともその後で、「中国とは仲良くやりたいですね。日本は昔悪いことをしましたし…」「公明党は早くから中国と交流しているんですよ」と笑顔で言っていたところを見ると、やはり話はまったく通じていなかったようだ。それにしても、見事なお惚けぶりではある

ただ帰り際に「あなたのように、はっきり意見や主張を言える人は少ないですね」と私を「褒め」るのである。そこでハッと思った。やはりそうか、国民はそれほど「はっきり言っていない」のか、と。

年金問題でなら意見、不満を言う人は多いだろう。日本の「過去」の非難話をする人もいるはずだ。だがこと中国に関してはどうか。もしかしたら「中国の悪口は言ってはならない」と考える人、あるいは何も知らない人ばかりではないのか。だからこそ公明党は「温家宝」などで堂々と、悪びれもせず自慢できるのだろう。もしかしたら自民党でも「来日を実現しました」と言っているかも知れない。

「中国は平和の敵」を国民の常識にしなくてはいけない、媚中政治家の跋扈を防ぐには、どうしても反中国世論の圧力が必要だ、と思った。

公明党が来たら、「中国の核、ミサイル、軍拡をどう思いますか」「友好を理由に、黙ってそれを見ているだけでいいのですか」と言って見たらどうだろうか。自民、民主、その他に対しても同様だ。そのような問い掛けを、国民みんなでやることだって大切なのだ。

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■たしかに「中華民国」では困るのだが

先日このブログで、日本政府（外務省）が日台航空路線を増設するたびに、「台湾領空は中国領空」とする中国に許可を仰いでいることを批判したところ、何人かの台湾人から「台湾にも問題がある」と言ったコメントをいただいた。それは「中華民国を名乗っているからいけない」「中華航空の名前が悪い」と言ったものだった。

実際にそれはもっともな話で、「中華民国」（リパブリック・オブ・チャイナ）と名乗るのは、国際社会に向かって「台湾は中国の一部」と認めるに等しい。「中華航空」（チャイナエアライン）の飛行機などは「一中」の宣伝のため、世界の空を飛びまわっているようなものである。だから彼ら台湾人としては、「日本に文句は言えない」と言うことなのだろう。良識ある台湾人としては当然のことだ。

ところでふと思ったのだが、日本人の間でも、「航空路線の許可」の問題で、「台湾に問題がある」と考える者はいないだろうか。これまで政府が外国人登録で在日台湾人の国籍を「中国」と表記している問題や、台湾を中国領土と記述する教科書を検定で合格させている問題等に取り組んできた際、同憂の人たちからは「日本だけが悪いのではない。結局は台湾が自分で中国の一部と言っているのが問題なのだ」と言った意見を何度も聞かされているのだ。

あるいはしばしば見られる政府やマスコミの「台湾の中国領扱い」に対し、懸命に抗議の声を上げる在日台湾人グループに向かって、「台湾自身がしっかりしないからだ」とケチをつける者すらいるらしい。だがここまで来ると、「やはり日本人だなあ」と感じてしまう。大国の中国にはビクビクするが、そうした反動もあってか、小国台湾には説教なんかをしたがるのかな、と思ったりする。

■政府の媚中を弁護していいのか

たしかに台湾さえ中華民国の国名を捨てさえすれば、それが問題解決の糸口にもなるだろう。あるいは問題は自ずと解決するかも知れない。そうした「もどかしさ」は私にもある。台湾国民は、本当に国を守る気があるのか、と。

逆に政府やマスコミからは、「中国扱い」の理由説明として、「台湾自身がチャイナを名乗っている。それに配慮している」と言う話もずいぶん聞かされてきた。だがそれに至っては自らの媚中行為を正当化する口実にしか過ぎない。そういうときには、「中国に怯えるあなたたちが、いつ台湾に配慮したのか」と言ってやっている。

私がここで言いたいのは、台湾が中華民国を名乗っているからと言って、政府の媚中を許したり、弁護したりしていいのかと言うことだ。

たとえ台湾政府が将来、再び統一路線に回帰して「台湾は中国の一部だ」と主張しはじめたとしても、台湾は中国の領土ではないと言う国際法上の事実がある以上、そのような馬鹿げたフィクションに日本政府が付き合う必要はないし、付き合ってはならないのである。それで統一派政府の感情が傷つこうと傷つくまいと、そんなのは日本の知ったことではない。

■これでは中国に対抗などできない

そして「台湾は台湾であって中国ではない」との見解、立場を貫かなくてはならない。日本は誰が何を言おうと、中国の侵略から死守しなければならない生命線・台湾を、自分から進んで中国に差し出すような真似だけはやめるべきなのだ。真剣に国のことを憂えているなら、一々台湾に文句など言っているヒマはないことがわかるはず。もし国のために台湾を守ると言う気概を確立した上でなら、「もどかしい台湾」に対して説教するのも、発破をかけるも、あるいは罵声を浴びせるのも可であろう。

このように、政府が中国を恐れることなく、事実のみに従い、台湾と中国とをはっきり区別する姿勢さえ見せることができれば、それだけで台湾は「強国・日本」と言う後ろ盾の存在を再認識し、そしてそれに励まされ、それによって中華民国から台湾国へと改名（台湾正名）する勇気も高まるのではないだろうか。

せめてこれぐらいの戦略的思考を持たなければ、日本はとても中国覇権主義には対抗できないのだ。

いずれにせよ、今回の中国に許可を求める日本政府の問題は、あくまでも日本の属国根性の問題である。すでに台湾のメディアにもこれは報じられているが、日本人ならこれを恥と思うべきだ。

他人より、先ず自分のこと！　民族の名誉回復のためにも、がんばろう！


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国民党独裁体制下で捨て身の台湾独立運動を展開し、ついには１９８９年、警官隊包囲の中、壮絶な焼身自決を遂げて台湾人を奮起させ、独裁体制を根底から揺るがしたのが鄭南榕氏だが、その志を継いで国会議員となって民主と独立のために奮闘したのが未亡人の葉菊蘭氏だ。葉氏はその後、客家委員会主任委員（閣僚）、行政院副院長（副首相）、高雄市長を歴任し、民主化を推進してきた。そして来年の総統選挙では副総統候補として出馬することが多くの人々に期待されている。なぜなら民進党中枢で台湾独立の理念をもっとも堅持しているひとりが葉氏だからだ。
その葉氏がこのたび来日し、都内で講演を行うこととなった。台湾の在るべき姿、日台関係の在るべき形等々を訴えると言う。
奮って参加を。

****************************************
【日時】７月８日(日)　３時半より講演会　午後６時半より懇親会　　


【会場】ホテルオークラ東京　平安の間
　　（港区虎ノ門2-10-4）TEL：03－3224－6700
　　　交通：銀座線「虎ノ門駅」、日比谷線「神谷町駅」、南北線・銀座線「溜池山王駅」

【演題】台湾人の歴史的使命とは何か　（日本語通訳　林建良）　　

【会費】講演会　１０００円（学生無料）懇親会　１００００円（懇親会参加者は講演会会費を免除）

【主催】日本台湾医師連合

【共催】日本台医人協会、日本李登輝友の会、在日台湾同郷会、在日台湾婦女会、台湾研究フォーラム、
　　　　全日本台湾客家婦女会、東京崇正公会

【申し込み先】（７月４日まで）蕭悧悧（しょう　りり）常務理事まで　
　　　　　　　メール　tcy628@hotｍail.com
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ご氏名 講演会　　　　　懇親会

ご連絡先


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■台湾が投降すれば日本はどうなる

日本に大きな影響を及ぼす国はどこかと言えば、米国や中国の名は挙がっても、台湾を挙げる人はそういない。しかしこの小国の存在や動向は日本の存立に大きく関わっているのである。

たとえば日本の「いのち」である海上輸送路が当たり前のように安全なのは、台湾が日本に敵意を持っていないからだ。中国の海洋進出が進めば日本は強大な軍事的圧力をこうむることになるが、今のところそれを免れているのも、台湾が中国を封じ込めているからだ。

だからもし将来台湾が中国に武力併合されたどうなるか。いやその前に台湾が「平和統一」の道を選んだなら、つまり中国の恫喝に屈し、自ら我が自由主義陣営ではなく中国の側についたならどうなるか。そのときは日本の今ある平和と安定は中国の脅威に曝されて手も足も出なくなり、少なくともその影響下に置かれることになるだろう。

だが日本では「台湾が中国の陣営に降ることなどあり得ない。なぜなら米国の戦力は中国を圧倒している」と言う見方は根強いようだ。「平和統一」の恐れについて、識者の間ですらほとんど話題に上らないのもそのためだろう。

■すでに国民党は中国の傀儡

だが忘れてはならない現実がある。それは中国が「戦わずして人の兵を屈するは、善の善なるものなり」と言う孫子の兵法そのままに、台湾に対して「文攻武嚇」の恫喝を加える一方、「以商囲政」「以民逼政」、つまり台湾の企業、民間を籠絡して民進党政権を孤立させると言う硬軟両用の心理戦に力を傾けていると言うことである。そしてその結果として野党国民党がそれに呼応し、中国と「反台湾独立」（台湾人の台湾に反対すると言うこと）で提携し、中国と言う虎の威を借りて政権を奪取しようとしていることである。これは米軍も介入できない、憂えるべき事態である。

要するに国民党はすでに、中国の傀儡になっていると言うことだ。事実、国民党は国内では「台湾独立反対。中華民国を守れ」「中国は一つ。中国とは中華民国」と出張しながら、最近中国詣で忙しい同党要人たちは、現地では決して「中華民国」を口にしない。中国の軍備拡張や武力恫喝についても何の非難も行わない。そしてこのような政党が来年三月の総統選挙で、台湾の政権を奪還しようとしているのである。

すでに国民党候補の馬英九は政権獲得後の方針として、中国と平和協定を結び、経済面で台中一体化を促進すると表明しているが、それは平和統一を目指す中国の策略どおりなのだ。もし一体化が深まれば、台湾は中国から離れることはできなくなる。今日でさえ台湾は、すでに中国の磁力に抵抗できない状況なのである。

■中国の走狗の対日アピール

傀儡馬英九はもちろん日本へのアピールも忘れていない。先日の読売新聞との会見でも、中国の軍事力に関し、「（台湾は）軍拡競争をするわけにいかない」として台中宥和の必要性に触れるとともに、「台湾海峡の緊張緩和は、北朝鮮問題で忙しい日本のためにもなる」として、日本国民に支持を呼びかけている（読売新聞、六月二十九日）。

日本国民はこの「軍拡競争はしない」と言う言葉に着目するべきだ。これは中国へ降服しようということだ。そして「日本のためになる」と言う詭弁にしても同様だ。これは「日本は台湾を守るな」との中国の代弁そのものだろう。

このように中国とその走狗は「不戦而屈人之兵」の謀略で、日本を含む東アジアで中華の覇権を確立しようとしている、と言うのが今の現実なのだ。

■危機のなかでの対抗策とは

では日本人はアジアの将来に深く関わる台湾の総統選挙を、ただ手を拱いて眺めるしかないのだろうか。もし日本政府に危機感があるならば、何らかの対抗策に打って出ることは可能ではないのか。

それは民進党政権に対してエールを送ることである。その方法としては、一昨年の日米２プラス２のように台湾防衛の決意をのぞかせること、あるいは前回の総統選挙直前、公民投票政策への懸念を外交ルートで表明して台湾国民を萎縮させ、民進党候補にダメージを与えたのと同じ方法を用い、「台湾の将来は台湾人が決めるべき」とのシグナルを送って台湾国民を激励すること、等々だ。

これは中国による侵略の危機に直面する台湾へのせめてもの支持表明であり、声援である。「それは内政干渉だ」との批判があっても、それはとんでもないことだ。そのようなものは中国および台湾における中国の傀儡、あるいは日本における中国シンパの言に過ぎない。

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■日台交流の裏で対中屈服

日本と台湾を結ぶ航空路線が増加中だ。日本各地では定期便、チャーター便の開設の働きかけと観光客誘致が台湾側に対して懸命になされている。その結果、日本側のノービザ措置と相俟って、多くの台湾人が各地を訪れ、日本への理解を深めつつある。またそのために台湾の親日度は上昇中だとも言われている。もちろん台湾側も日本への誘客に力を入れている。このように、両国民の交流は拡大する一方だ。

だがこうしためでたい話の裏でも、やはり日本は中国の顔色を窺っているのだ。

近く石川県の小松空港と台湾との間でも、定期便が就航する予定だ。これは同県が台湾の政府や航空会社に働きかけを行った結果で、すでに今年の三月には両国間で合意に達している。ところがこれに関し地元紙「北國新聞」は次のような見出しの記事を配信した（六月二十九日）。

「中国政府、正式に了承」

いったい何の話だ。記事はこう書く。「中国政府は二十八日、小松空港と台湾の台北を結ぶ定期便の開設を正式に了承すると、外務省に伝えた」「これに伴い、今秋の就航に向け日本国内での調整が加速するとみられる」と。

「中国との問題はクリアした。これで大丈夫だ」との地元の安堵感が滲み出ている内容だが、それではなぜ日台両国間の問題で「中国の了承」が必要なのか。日本は中国の属国ではない。これは明らかに内政干渉ではないのか。

■横暴な要求に屈服した日本

しかし中国に言わせれば、これは「日中間の問題」なのだ。つまり「台湾は中国の領土だから」と言うわけだ。

話は日中国交正常化の直後に遡る。昭和四十九年、日中間では航空路線開設のための航空協定が結ばれたが、その交渉過程において大きな障害となったのが日台路線の取扱い問題だった。日本はそれを維持したい。だが中国からすれば「中華民国」国営で晴天白日旗の標識を付けた中華航空機が日本へ飛ぶなど罷りならない。そこで「会社名を変えさせろ」「国旗標識を消させろ」「国際空港ではなく地方空港を使わせろ」などと要求してきたのだ。そして「そうしなければ協定は結ばない」と。

そこで日本は「日台路線は民間が維持する」「日本航空機は台湾へ飛ばさない」「中華航空機には成田空港を使わせない」等々の条件でどうか、と申し出た。大変な譲歩である。しかもこの「申し出」は、中国から「そうやれ」と言われてやったものだったのだ。日本は完全に受身に立っていたのだ。日本が屈辱に甘んじた結果、日中航空協定は締結された。

もちろん「中華民国」側は日本の対抗に激怒した。一年以上にわたって日台間の運行を停止したほどだ。しかしそれでも、日本は中国の言われるままにした。

中国がここまで横暴な姿勢を見せた背景には、どのような見解があったのだろうか。平成五年にこの国の政府が発表した「台湾白書」にはこうある。

「台湾と航空路線を開設することは、中国の主権に関わる政治問題だ。……中国と外交関係を持つ国の国営航空会社は、もちろん台湾と航空路を開設してはならない。民間航空会社にしても台湾と航空路を開設したい場合、自国政府を通じて中国政府と協議し、中国政府の同意を得た上で、はじめて台湾の私営航空会社と互いに航空路を就航することができる」

■「中国の領空」と認める属国姿勢

つまり中国は「台湾は中国の領土。だからその領空も中国の領空だ」と言っているのだ。そして日本は、そのようなデタラメな主張をあえて受け入れたのである。台湾を中国領土と承認していないにもかかわらずにだ。

そしてそのような状態は今も続いているわけだ。だから今回、外務省はわざわざ「中国政府と協議し、その同意を得た」のである。

このように、台湾との交流で中国の許可を求める日本は、すでに中国の属国となっているか、中国の内政干渉に甘んじているかのどちらかだ。いずれにせよ独立国家としては、あまりにも情けない体たらくだ。いや国家主権の危機といってもいい。

北國新聞を始め日本のマスコミは、なぜこのような事態を問題視しないのか。これほど重大なことを国民に伝えなくていいのか。

以上は、日本の無様な対中エピソードの、数あるなかでの一つである。

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