尖閣問題―現地で見た台湾「反日」の実態/実は高まる日本への期待
2012/11/30/Fri
■台湾漁船団の領海侵犯当日に台湾へ
所用のため九月二十五日から十月三日まで台湾に滞在していた。
入国したのは台湾の漁船団と巡視船が尖閣諸島周辺の領海内に侵入したその日、その直後である。そこで現地では、さぞや日本では台湾の「聯共抗日」(中国との反日提携)に対する反撥が高まっていることだろうと想像し、「馬鹿なことをしてくれたものだ。日台離間を目指す中国が喜ぶだけだ」などと懸念した。
だが現地ではインターネットで日本のニュースをゆっくりチェックできる環境におらず、また現地のテレビニュース(NHKなども含む)をゆっくりと見る時間もなかった。そこで主に現地紙の報道に頼って動向を注視しつづけていたわけだが、その結果見えてきたのが、台湾側の現在の対日観だった。
私が連日読んでいたのは、主に自由時報と中国時報などである。
前者は発行部数最大で、中国にはっきりとモノを言うことのできるメディアだ。中国人とは異なる台湾人の理性的な記事、論評が多く載り、なかなか信頼できる論調である。尖閣諸島は日本領であるとの主張も公正に取り上げることもある。
後者は大手紙ながら、在台中国人系の親中国、反台湾、反日本メディアと言える。中国人ならではの感情的で事実捏造も厭わない姿勢が目立ち、ことに中国に従属する旺旺グループの蔡衍明会長に買収されてからは、ますますその傾向に磨きがかかっている。ちなみにその蔡衍明氏こそ、今回の漁船群行動の資金面での後援者である。
さて、それでは各紙はいかに尖閣問題を報道していただろうか。
■尖閣への関心は民族主義とは無関係
まず漁船団、巡視船の領海侵入については、どのメディアも快哉を叫んでいた。
自由時報は漁民たちを「勇士」と呼び、中国時報は「国民の八割が満足している」との自社の世論調査結果を伝えていた。
放水で漁船団を駆逐する日本の巡視船に対し、放水攻撃を加える台湾の巡視船による「水戦」の写真も、各紙は大きく掲載した。
日台の巡視船「攻防」を一面トップで報じた自由時報
もっとも中国時報は、台湾側の放水は日本側に比べてはるかに威力で劣り、まるで「小便のしぶき」だとして、装備の改良を訴えてはいたが。
こうした報道に、国民も歓喜に沸いたのは事実である。
一部の在台中国人などを除けば、台湾人は一般的に親日であり、中国人の如く反日で愛国主義、民族主義を高揚させることはなく、また領土拡張欲もなため、「尖閣問題には概して無関心」とは台湾人自身がつねに指摘するところだ。
しかし親日でありながら、今回の漁船団の「反日」行動に拍手喝采したのはなぜか。
人々がこの尖閣問題に関心を寄せるとしたら、それは主に同諸島海域から締め出される台湾漁民への同情心からだとされる。
尖閣問題で日台対立が深まることを懸念する親日反中の識者も、台湾に友好的であるはずの日本が頑なに台湾漁船を排除することを残念がる論評を自由時報に寄せていた。
おそらくこれまで台湾が、国際社会からの無視、排斥にも忍耐を余儀なくされ、しかも今日の尖閣諸島問題においても日中対立の陰に隠れ、はっきりと世界に向けて領有権の主張を行う機会がなかったため、今回の壮挙で溜飲を下げたという側面もあるのではないだろうか。
ある識者に「そういうことではないか」と聞いたところ、「その通りだ」との返事が返ってきた。
■広がる「日本領土」との認識と不勉強な政治家
台湾国民は蒋介石政権時代以来、国内で尖閣諸島が台湾の領土であるとしか聞かされていないため、多くはそう信じている。
しかしその一方で、正確な認識が広まっているのも事実だ。
台北で台湾独立運動の人々と会ったが、こうした反国民党層は、国民党が尖閣諸島の領有権を主張すればするほど、それに疑いを抱きつつあるように見えた。なかでもネット世代はネット情報で、そうした主張に根拠がないことを知っていた。「台湾人はみな日本領だと知っている」と断言する人もいたくらい、そうした見方は着実に広がっているようだった。
私が会った独立派の人々は、尖閣は日本領であることを知っていた
しかし他方、同じ反国民党でも、民進党の政治家たちは必ずしもそうではないらしい。ちょうど帰国中だった黄文雄氏とも会ったが、「彼らはあまりこの問題に関心がなく、何も知らない。驚くほど不勉強だ」と聞かされた。
だが、それでいいはずがない。国民党政権の尖閣諸島を巡る「反日」行為を容認すれば、日本国民から「台湾は中国と同じ敵性国家だ」「台湾人も中国人だ」と誤解され、日台関係を支える両国民の信頼関係に悪影響を及ぼしかねない。あるいは中国の同諸島への野心を増長させ、台湾の安全自体も危うくなる。
はっきり言って、この問題が及ぼす安全保障上の影響の深刻さに対し、台湾の国全体が無防備に感じられた。
■中国と妥協しない「強い日本」に期待感
各紙は日中間の対立の激化についても、連日のように大々的に報じていた。
日本側の国連総会での中国に対する反論、あるいは自衛隊の中国に向けたサイバー部隊新設等々のニュースを伝えるために大きくページを割いていた。そういったものを見るだけで、まるで日本がふたたび強国の道を歩み出したかのような印象を受けた。
「野田は妥協せず」との見出しで、日中対立をセンセーショナルに伝える中国時報
だが台湾側は実際に、日本に対してそういった印象を抱いているのだろう。安倍晋三氏の自民党総裁への選出も、そうした文脈の中で大きく伝えられていた。
中国時報は、安倍氏を尖閣問題における最強硬派と位置付け、「安倍首相が就任すればアジアは警戒する」などと、まるで中国の代弁するかのような記事を書いていた。
一方自由時報は、安倍氏が親台湾であり、中国の台湾侵略には関与し、尖閣周辺での漁業権交渉も再開するはずだと、期待感を込めて報じていた。
これを見れば明らなように、中国時報は中国の側に立ち、自由時報は日米同盟を支持する立場である。そして少なからざる国民は自由時報のように、「強い日本」に好意的であると思われる。
なぜならそれは親日反中だからだ。自国の脅威である中国を牽制する「強い日本」に期待を寄せるのが人情というものである。台湾にミサイルを向ける中国に屈従し、日本に対抗したいなどと思う者は、やはり在台中国人などごく一部だけなのだ。
そのため尖閣諸島を巡る問題においても、日中対立を目の当たりにすれば、多くは日本を応援したくなるのである。私は現地で多くの人と接し、その人々自身の感想や、その人々から聞かされた国内の思想状況から、そのようなものではないかと強く感じた。
■脚光浴びた大江健三郎、村上春樹の売国発言
そうした傾向は、尖閣諸島問題を契機に、台湾と提携して日本に対抗し、日台を離間させ、最後は台湾を自国の影響下、支配下に組み入れるようとしている中国にとっては、非常に見たくないものに違いない。
またそうした台湾国内の思潮は、台湾と中国との接近を阻止しなければならない日本にとり、大切にしなければならないものであるはずだ。
言うまでもなく台湾社会は中国社会と違い、反日狂気は逆巻いていない。
そのため日本旅行を取り消した中国人の観光ツアーとともに、中国旅行を避けた日本人ツアーも台湾に押し寄せているとも報じられていた。現地の旅行会社のガイドの心配は、日本人客が台湾人から危害を加えられることではなく、中国人客と鉢合わせにし、トラブルに巻き込んでしまうことなのだとか。
これほど日本に深い思いやりを示し続ける台湾の人々を、中国への配慮で無視してしまう「弱い日本」であってはならないのである。
ちなみに、日本で大江健三郎氏や村上春樹氏が、尖閣諸島を守ろうとする日本の対応を批判する主張を行ったが、中国時報やその姉妹紙の中国情報紙旺報などは、そうしたものを大々的に報じていた。
親中メディアは大江、村上両氏の中国迎合発言を嬉々として速報した
こうした「弱い日本」の姿は、中国にだけでなく台湾にも見せたくなかった。台湾にも大きな影響力を持つ二人があのような発言を行っては、中国に必死に抵抗する「強い日本」が間違っているかのようなイメージをもたらしてしまう。
台湾の地で私はこれら売国の徒に対し、言い得も知れない憤りを覚えたのだった。
■台湾には毅然と「共同抗中」を呼び掛けろ
私は八月十九日、「頑張れ日本!全国行動委員会」による尖閣諸島漁業活動に参加した際、船上で魚釣島をバックに、「尖閣諸島は日本の領土。日本と台湾は共に東支那海の平和と安全を守ろう」と漢語で書いたプラカードを広げ、台湾国民に中国の拡張に対する日台共闘をアピールし、その模様を写真やユーチューブ動画にして、ネットで拡散した。
その結果、台湾の親中メディアである中天テレビ(最大株主は上記の蔡衍明氏)が九月二十二日のニュースで、「日本右翼が出鱈目を言っている」と報道、動画もノーカットで放映した(※その映像は下掲)。
そこで気になるのが、それに対する視聴者の反応だ。台湾国民の誰もが私の訴えに反撥するとはとても思えなかった。
そこで試みに、現地で知り合った男性に私のその写真を見せると、その人は尖閣諸島で撮影したものであることに目を丸くして驚き、「この写真がほしい!」と叫んだ。そしてそれを持って同僚の女性がいる別室に飛び込むと、それから数秒後に女性の「わぁー!」と叫ぶ声が響いた。そして私に聞こえるように大きな声で「ありがとう!」とも。
二人とも「尖閣諸島は日本の領土」の文字に対してと言うより、「日本と台湾は共に東支那海の平和と安全を守ろう」との文言を大喜びしたのである。
それもまた、国際社会で排斥され、孤立感を深める台湾の人々ならではの真情だったのだと思っている。
台湾人に対しては「台湾は中国の一部ではない。国際社会への発言を支持する」「台湾と共に東支那海の平和と安全を守る」との決意を伝えたい。そしてそれと同時に「中国人の宣伝に惑わされるな。尖閣諸島は日本の領土である。それが中国に奪取されれば、日本だけでなく台湾も危険だ」と説得したい。日本さえ台湾に対し、毅然として提携を呼びかければ、あの国の国民はきっと勇気づけられ、それに呼応するものと確信している。
中国が台湾に「共同抗日」の罠を仕掛ける以上、日本には「共同抗中」の誘いこそ急務であるというのが、私が現地で痛感したことである。
*******************************************
ブログランキング参加中
運動を拡大したいので、
よろしければクリックをお願いします。
↓↓
モバイルはこちら → http://blog.with2.net/link.php
link.php
本文で言及した台湾・中天テレビのニュース映像。
日台共闘の訴えを批判するが、多くの視聴者は共鳴したと信じる。
■映像の日本語訳
[アナウンサー]
釣魚台情勢の収拾がつかなくなっているにかかわらず、日本の右翼団体は台湾の民衆に対し、日本が釣魚台の主権を主張する根拠に理解を求めました。右翼団体「頑張れ日本!全国行動委員会」は特にネット上で映像まで制作し、「これは台湾の友人たちへのメッセージだ」と言っていますので、見てみましょう。(※映像は個人が製作したもので、「頑張れ日本」とは無関係)
[ナレーター]
8月中旬、釣魚台列島に一隻の船が出現。船上では撮影が行われました。話をしているのは「頑張れ日本!全国行動委員会」の常任幹事、永山英樹。テーマは「台湾の友人たちへのメッセージ」。
[永山英樹氏]
台湾の友人の皆さん。尖閣諸島は100%、日本の領土です。なぜなら1895年の馬關(下関)条約が規定する「台湾附属島嶼」に尖閣は含まれてはいないからです。無主の地だった尖閣は日本に領有され、条約締結の時にはすでに日本の領土になっていたのです。台湾の友人の皆さんにはこの事実を理解してほしいと思います。そして日本と台湾は東シナ海の平和と安全のため、共同して中国に対抗していかなくてはなりません。ありがとうございます。
[ナレーター]
この人が台湾人に向けて話しているのは言うまでもなく一方的な事実の主張。事実を言えば釣魚台を日本へ渡したのは米国人。1972年、米軍が沖縄での軍事基地の利益を維持できるようにするため、(沖縄と共に)釣魚台も渡したのだ。中華民国政府は1972年に抗議を行ったが、地域政治、冷戦への利益配慮により、国際強権下において中華民国の利益はこのように犠牲となったのでした。現在の紛糾は、明らかに40年前の出来事の後遺症なのです。
【大阪】参加を!
12.1 国難突破!安倍救国政権樹立!反日メディア糾弾!国民総決起集会&国民大行動 in 大阪
平成24年12月1日(土)
集合場所 新町北公園 (西区新町1-15)
12時00分 集合
12時15分 集会 開始
13時00分 デモ行進 出発 (新町北公園 → 難波・元町中公園)
14時00分 到着
15時00分 街頭演説 於・南海電鉄「難波」駅前
17時00分 終了
※ プラカード持参可(ただし、民族差別的なものは禁止)
※ 国旗以外の旗類・拡声器の持込は御遠慮下さい。
主催 頑張れ日本!全国行動委員会・本部
TEL 03-5468-9222 MAIL [email protected]
http://www.ganbare-nippon.net
御連絡先
現地窓口:頑張れ日本!全国行動委員会・京都府本部
担当・桑瀬 TEL 080-5634-5790
所用のため九月二十五日から十月三日まで台湾に滞在していた。
入国したのは台湾の漁船団と巡視船が尖閣諸島周辺の領海内に侵入したその日、その直後である。そこで現地では、さぞや日本では台湾の「聯共抗日」(中国との反日提携)に対する反撥が高まっていることだろうと想像し、「馬鹿なことをしてくれたものだ。日台離間を目指す中国が喜ぶだけだ」などと懸念した。
だが現地ではインターネットで日本のニュースをゆっくりチェックできる環境におらず、また現地のテレビニュース(NHKなども含む)をゆっくりと見る時間もなかった。そこで主に現地紙の報道に頼って動向を注視しつづけていたわけだが、その結果見えてきたのが、台湾側の現在の対日観だった。
私が連日読んでいたのは、主に自由時報と中国時報などである。
前者は発行部数最大で、中国にはっきりとモノを言うことのできるメディアだ。中国人とは異なる台湾人の理性的な記事、論評が多く載り、なかなか信頼できる論調である。尖閣諸島は日本領であるとの主張も公正に取り上げることもある。
後者は大手紙ながら、在台中国人系の親中国、反台湾、反日本メディアと言える。中国人ならではの感情的で事実捏造も厭わない姿勢が目立ち、ことに中国に従属する旺旺グループの蔡衍明会長に買収されてからは、ますますその傾向に磨きがかかっている。ちなみにその蔡衍明氏こそ、今回の漁船群行動の資金面での後援者である。
さて、それでは各紙はいかに尖閣問題を報道していただろうか。
■尖閣への関心は民族主義とは無関係
まず漁船団、巡視船の領海侵入については、どのメディアも快哉を叫んでいた。
自由時報は漁民たちを「勇士」と呼び、中国時報は「国民の八割が満足している」との自社の世論調査結果を伝えていた。
放水で漁船団を駆逐する日本の巡視船に対し、放水攻撃を加える台湾の巡視船による「水戦」の写真も、各紙は大きく掲載した。
日台の巡視船「攻防」を一面トップで報じた自由時報
もっとも中国時報は、台湾側の放水は日本側に比べてはるかに威力で劣り、まるで「小便のしぶき」だとして、装備の改良を訴えてはいたが。
こうした報道に、国民も歓喜に沸いたのは事実である。
一部の在台中国人などを除けば、台湾人は一般的に親日であり、中国人の如く反日で愛国主義、民族主義を高揚させることはなく、また領土拡張欲もなため、「尖閣問題には概して無関心」とは台湾人自身がつねに指摘するところだ。
しかし親日でありながら、今回の漁船団の「反日」行動に拍手喝采したのはなぜか。
人々がこの尖閣問題に関心を寄せるとしたら、それは主に同諸島海域から締め出される台湾漁民への同情心からだとされる。
尖閣問題で日台対立が深まることを懸念する親日反中の識者も、台湾に友好的であるはずの日本が頑なに台湾漁船を排除することを残念がる論評を自由時報に寄せていた。
おそらくこれまで台湾が、国際社会からの無視、排斥にも忍耐を余儀なくされ、しかも今日の尖閣諸島問題においても日中対立の陰に隠れ、はっきりと世界に向けて領有権の主張を行う機会がなかったため、今回の壮挙で溜飲を下げたという側面もあるのではないだろうか。
ある識者に「そういうことではないか」と聞いたところ、「その通りだ」との返事が返ってきた。
■広がる「日本領土」との認識と不勉強な政治家
台湾国民は蒋介石政権時代以来、国内で尖閣諸島が台湾の領土であるとしか聞かされていないため、多くはそう信じている。
しかしその一方で、正確な認識が広まっているのも事実だ。
台北で台湾独立運動の人々と会ったが、こうした反国民党層は、国民党が尖閣諸島の領有権を主張すればするほど、それに疑いを抱きつつあるように見えた。なかでもネット世代はネット情報で、そうした主張に根拠がないことを知っていた。「台湾人はみな日本領だと知っている」と断言する人もいたくらい、そうした見方は着実に広がっているようだった。
私が会った独立派の人々は、尖閣は日本領であることを知っていた
しかし他方、同じ反国民党でも、民進党の政治家たちは必ずしもそうではないらしい。ちょうど帰国中だった黄文雄氏とも会ったが、「彼らはあまりこの問題に関心がなく、何も知らない。驚くほど不勉強だ」と聞かされた。
だが、それでいいはずがない。国民党政権の尖閣諸島を巡る「反日」行為を容認すれば、日本国民から「台湾は中国と同じ敵性国家だ」「台湾人も中国人だ」と誤解され、日台関係を支える両国民の信頼関係に悪影響を及ぼしかねない。あるいは中国の同諸島への野心を増長させ、台湾の安全自体も危うくなる。
はっきり言って、この問題が及ぼす安全保障上の影響の深刻さに対し、台湾の国全体が無防備に感じられた。
■中国と妥協しない「強い日本」に期待感
各紙は日中間の対立の激化についても、連日のように大々的に報じていた。
日本側の国連総会での中国に対する反論、あるいは自衛隊の中国に向けたサイバー部隊新設等々のニュースを伝えるために大きくページを割いていた。そういったものを見るだけで、まるで日本がふたたび強国の道を歩み出したかのような印象を受けた。
「野田は妥協せず」との見出しで、日中対立をセンセーショナルに伝える中国時報
だが台湾側は実際に、日本に対してそういった印象を抱いているのだろう。安倍晋三氏の自民党総裁への選出も、そうした文脈の中で大きく伝えられていた。
中国時報は、安倍氏を尖閣問題における最強硬派と位置付け、「安倍首相が就任すればアジアは警戒する」などと、まるで中国の代弁するかのような記事を書いていた。
一方自由時報は、安倍氏が親台湾であり、中国の台湾侵略には関与し、尖閣周辺での漁業権交渉も再開するはずだと、期待感を込めて報じていた。
これを見れば明らなように、中国時報は中国の側に立ち、自由時報は日米同盟を支持する立場である。そして少なからざる国民は自由時報のように、「強い日本」に好意的であると思われる。
なぜならそれは親日反中だからだ。自国の脅威である中国を牽制する「強い日本」に期待を寄せるのが人情というものである。台湾にミサイルを向ける中国に屈従し、日本に対抗したいなどと思う者は、やはり在台中国人などごく一部だけなのだ。
そのため尖閣諸島を巡る問題においても、日中対立を目の当たりにすれば、多くは日本を応援したくなるのである。私は現地で多くの人と接し、その人々自身の感想や、その人々から聞かされた国内の思想状況から、そのようなものではないかと強く感じた。
■脚光浴びた大江健三郎、村上春樹の売国発言
そうした傾向は、尖閣諸島問題を契機に、台湾と提携して日本に対抗し、日台を離間させ、最後は台湾を自国の影響下、支配下に組み入れるようとしている中国にとっては、非常に見たくないものに違いない。
またそうした台湾国内の思潮は、台湾と中国との接近を阻止しなければならない日本にとり、大切にしなければならないものであるはずだ。
言うまでもなく台湾社会は中国社会と違い、反日狂気は逆巻いていない。
そのため日本旅行を取り消した中国人の観光ツアーとともに、中国旅行を避けた日本人ツアーも台湾に押し寄せているとも報じられていた。現地の旅行会社のガイドの心配は、日本人客が台湾人から危害を加えられることではなく、中国人客と鉢合わせにし、トラブルに巻き込んでしまうことなのだとか。
これほど日本に深い思いやりを示し続ける台湾の人々を、中国への配慮で無視してしまう「弱い日本」であってはならないのである。
ちなみに、日本で大江健三郎氏や村上春樹氏が、尖閣諸島を守ろうとする日本の対応を批判する主張を行ったが、中国時報やその姉妹紙の中国情報紙旺報などは、そうしたものを大々的に報じていた。
親中メディアは大江、村上両氏の中国迎合発言を嬉々として速報した
こうした「弱い日本」の姿は、中国にだけでなく台湾にも見せたくなかった。台湾にも大きな影響力を持つ二人があのような発言を行っては、中国に必死に抵抗する「強い日本」が間違っているかのようなイメージをもたらしてしまう。
台湾の地で私はこれら売国の徒に対し、言い得も知れない憤りを覚えたのだった。
■台湾には毅然と「共同抗中」を呼び掛けろ
私は八月十九日、「頑張れ日本!全国行動委員会」による尖閣諸島漁業活動に参加した際、船上で魚釣島をバックに、「尖閣諸島は日本の領土。日本と台湾は共に東支那海の平和と安全を守ろう」と漢語で書いたプラカードを広げ、台湾国民に中国の拡張に対する日台共闘をアピールし、その模様を写真やユーチューブ動画にして、ネットで拡散した。
その結果、台湾の親中メディアである中天テレビ(最大株主は上記の蔡衍明氏)が九月二十二日のニュースで、「日本右翼が出鱈目を言っている」と報道、動画もノーカットで放映した(※その映像は下掲)。
そこで気になるのが、それに対する視聴者の反応だ。台湾国民の誰もが私の訴えに反撥するとはとても思えなかった。
そこで試みに、現地で知り合った男性に私のその写真を見せると、その人は尖閣諸島で撮影したものであることに目を丸くして驚き、「この写真がほしい!」と叫んだ。そしてそれを持って同僚の女性がいる別室に飛び込むと、それから数秒後に女性の「わぁー!」と叫ぶ声が響いた。そして私に聞こえるように大きな声で「ありがとう!」とも。
二人とも「尖閣諸島は日本の領土」の文字に対してと言うより、「日本と台湾は共に東支那海の平和と安全を守ろう」との文言を大喜びしたのである。
それもまた、国際社会で排斥され、孤立感を深める台湾の人々ならではの真情だったのだと思っている。
台湾人に対しては「台湾は中国の一部ではない。国際社会への発言を支持する」「台湾と共に東支那海の平和と安全を守る」との決意を伝えたい。そしてそれと同時に「中国人の宣伝に惑わされるな。尖閣諸島は日本の領土である。それが中国に奪取されれば、日本だけでなく台湾も危険だ」と説得したい。日本さえ台湾に対し、毅然として提携を呼びかければ、あの国の国民はきっと勇気づけられ、それに呼応するものと確信している。
中国が台湾に「共同抗日」の罠を仕掛ける以上、日本には「共同抗中」の誘いこそ急務であるというのが、私が現地で痛感したことである。
*******************************************
ブログランキング参加中
運動を拡大したいので、
よろしければクリックをお願いします。
↓↓
モバイルはこちら → http://blog.with2.net/link.php
link.php
本文で言及した台湾・中天テレビのニュース映像。
日台共闘の訴えを批判するが、多くの視聴者は共鳴したと信じる。
■映像の日本語訳
[アナウンサー]
釣魚台情勢の収拾がつかなくなっているにかかわらず、日本の右翼団体は台湾の民衆に対し、日本が釣魚台の主権を主張する根拠に理解を求めました。右翼団体「頑張れ日本!全国行動委員会」は特にネット上で映像まで制作し、「これは台湾の友人たちへのメッセージだ」と言っていますので、見てみましょう。(※映像は個人が製作したもので、「頑張れ日本」とは無関係)
[ナレーター]
8月中旬、釣魚台列島に一隻の船が出現。船上では撮影が行われました。話をしているのは「頑張れ日本!全国行動委員会」の常任幹事、永山英樹。テーマは「台湾の友人たちへのメッセージ」。
[永山英樹氏]
台湾の友人の皆さん。尖閣諸島は100%、日本の領土です。なぜなら1895年の馬關(下関)条約が規定する「台湾附属島嶼」に尖閣は含まれてはいないからです。無主の地だった尖閣は日本に領有され、条約締結の時にはすでに日本の領土になっていたのです。台湾の友人の皆さんにはこの事実を理解してほしいと思います。そして日本と台湾は東シナ海の平和と安全のため、共同して中国に対抗していかなくてはなりません。ありがとうございます。
[ナレーター]
この人が台湾人に向けて話しているのは言うまでもなく一方的な事実の主張。事実を言えば釣魚台を日本へ渡したのは米国人。1972年、米軍が沖縄での軍事基地の利益を維持できるようにするため、(沖縄と共に)釣魚台も渡したのだ。中華民国政府は1972年に抗議を行ったが、地域政治、冷戦への利益配慮により、国際強権下において中華民国の利益はこのように犠牲となったのでした。現在の紛糾は、明らかに40年前の出来事の後遺症なのです。
【大阪】参加を!
12.1 国難突破!安倍救国政権樹立!反日メディア糾弾!国民総決起集会&国民大行動 in 大阪
平成24年12月1日(土)
集合場所 新町北公園 (西区新町1-15)
12時00分 集合
12時15分 集会 開始
13時00分 デモ行進 出発 (新町北公園 → 難波・元町中公園)
14時00分 到着
15時00分 街頭演説 於・南海電鉄「難波」駅前
17時00分 終了
※ プラカード持参可(ただし、民族差別的なものは禁止)
※ 国旗以外の旗類・拡声器の持込は御遠慮下さい。
主催 頑張れ日本!全国行動委員会・本部
TEL 03-5468-9222 MAIL [email protected]
http://www.ganbare-nippon.net
御連絡先
現地窓口:頑張れ日本!全国行動委員会・京都府本部
担当・桑瀬 TEL 080-5634-5790