民進党と国民党―日本が友とすべきは
2015/06/18/Thu
■任期切れ迫る馬英九総統の媚中狂奔
台湾国内で高まる反対の声をよそに、「一つの中国」(台湾は中国の一部)を掲げて中国との宥和を急ぐのが国民党の馬英九総統だ。
来年の総統選挙で「一つの中国」を否定する民進党政権が発足する可能性が高まる中、すでに一年を切った任期中に、何としてでも「中国統一」の道筋を付け、「中華民族の歴史」に名を刻もうと、形振り構わずにいるかに見える。
残された任期内での台湾の中国化を急ぐ馬英九総統
たとえば中国との在外公館に相当する出先機関の相互設置の問題。馬英九はこれの実現を目指すが、それがウィーン条約の定める大使館機能を持つことはない。なぜなら中共は台湾を国内の一地域としか見ていないからだ。
中共の駐台機関など、台湾との「統一」に向けた協議促進のため、台湾国内の政界、財界、メディアに影響を及ぼす工作機関、あるいは諜報機関の基地になるのはわかりきっている。そのため台湾国内では警戒の声が高まり、それが相互設置を遅らせている。
ところがそうした中、馬英九は中国の海峡両岸経済貿易交流協会(海貿会)の台北弁事処の開設を許し、六月十六日には業務を開始した。
■中国政府の「統一」工作機関が台北に
馬英九政権の許可を得て中国海貿会の台北事務所が
オープン。目的は統一促進
そもそも海貿会とは何かだが、中国政府のサイトによれば、同国の「経済界を代表する機構。両岸交流に結審な企業、団体、研究機関、個人によって構成される」とのこと。
だが実際には商務部(商務省)の直属機関であり、「両岸の経済貿易の交流、協力を促進し、両岸の直接通商を推進し、祖国の平和統一の大業実現」という政治目的を堂々と掲げているのである。
したがってその台北弁事処もまた。中国統一という政治目的を達成するための立派な中共の出先機関なのである。
■国民党の総統候補に外省人の洪秀柱が内定
そしてその翌十七日、国民党の中央常務委員会は洪秀柱・立法院副院長(国会副議長)を総統選挙の公認候補に認定した。
国民党総統候補に内定した洪秀柱。知名度は低いが
中国迎合路線の継承者として中共からの評価は高い
「党内の有力者が軒並み出馬を見送るなか、消去法で浮上した格好だ。最大野党・民進党の公認候補、蔡英文主席に比べて人気は劣っており、厳しい戦いを強いられそう」(日経)とされる洪秀柱。「知名度の低さや党内基盤の弱さが指摘される上、中国との統一志向が強いとみられている点もマイナス要素」(東京)となっているが、馬英九をはじめとする党内の外省人(中国出身者)勢力は、同じ外省人である彼女を何が何でも当選させ、対中宥和路線(媚中統一路線)を継承、拡大させる構えだ。
もちろん中共とも連携を強化し、有形無形の支援を求めようとすることだろう。
実際に中共は、すでに国民党のための「選挙応援」に乗り出しているようだ。
■人民解放軍も演習で国民党を「応援」
たとえば人民解放軍が六月十日に台比間のバシー海峡で実施した演習がそれだ。水陸両用作戦による台湾進攻をも想定しており、「民進党候補に投票すると戦争になるぞ」との台湾の有権者への恫喝メッセージと受け止められている。
中共軍のバシー海峡での台湾侵略を想定した
演習は、国民党への「選挙応援」でもある
だがあまりもの強烈な「応援」に、国民党内部からも戸惑いの声が。
同党の邱文彦立法委員(国会議員)は米VOAの取材に対し、「演習は台湾に対する圧力で、総統選挙にも影響するだろう。選挙直前なので大陸(中国)側の挙動は一々誤解され、やればやるほど有権者は反撥してしまう。もっと慎重にやってほしい」と語っている。
■南支那海も台湾も中国には渡せない
つまり「中国による民進党及びその支持者層への恫喝、牽制も、度が過ぎれば逆効果なので、もっと上手にやってほしい」ということなのだろう。
さて、日本国内では、中国との緊張を高める民進党政権の誕生を警戒する声も大きいが、中国との「平和統一」(協議による台湾併呑)の攻勢を受け入れるかの如き国民党の勝利は警戒しなくていいのか。
日本は国民党と民進党のどちらを友にするかだ。
地政学的に見て、日本と台湾は運命共同体。南支那海を「中国の海」にしてはならないのと同様、台湾も「中国の島」(不沈空母)にしてはならないと思うが如何。
【過去の関連記事】
2016台湾総統選挙―民進党と親中・国民党の「対中関係」定義の異なり 15/06/11
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-2580.html
日経―中国の観点で報じる台湾総統選挙の動向 15/06/12
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-2581.html
日経の台湾報道に警戒を!ここまで大胆な中国迎合、事実捏造! 15/06/14
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-2583.html
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台湾国内で高まる反対の声をよそに、「一つの中国」(台湾は中国の一部)を掲げて中国との宥和を急ぐのが国民党の馬英九総統だ。
来年の総統選挙で「一つの中国」を否定する民進党政権が発足する可能性が高まる中、すでに一年を切った任期中に、何としてでも「中国統一」の道筋を付け、「中華民族の歴史」に名を刻もうと、形振り構わずにいるかに見える。
残された任期内での台湾の中国化を急ぐ馬英九総統
たとえば中国との在外公館に相当する出先機関の相互設置の問題。馬英九はこれの実現を目指すが、それがウィーン条約の定める大使館機能を持つことはない。なぜなら中共は台湾を国内の一地域としか見ていないからだ。
中共の駐台機関など、台湾との「統一」に向けた協議促進のため、台湾国内の政界、財界、メディアに影響を及ぼす工作機関、あるいは諜報機関の基地になるのはわかりきっている。そのため台湾国内では警戒の声が高まり、それが相互設置を遅らせている。
ところがそうした中、馬英九は中国の海峡両岸経済貿易交流協会(海貿会)の台北弁事処の開設を許し、六月十六日には業務を開始した。
■中国政府の「統一」工作機関が台北に
馬英九政権の許可を得て中国海貿会の台北事務所が
オープン。目的は統一促進
そもそも海貿会とは何かだが、中国政府のサイトによれば、同国の「経済界を代表する機構。両岸交流に結審な企業、団体、研究機関、個人によって構成される」とのこと。
だが実際には商務部(商務省)の直属機関であり、「両岸の経済貿易の交流、協力を促進し、両岸の直接通商を推進し、祖国の平和統一の大業実現」という政治目的を堂々と掲げているのである。
したがってその台北弁事処もまた。中国統一という政治目的を達成するための立派な中共の出先機関なのである。
■国民党の総統候補に外省人の洪秀柱が内定
そしてその翌十七日、国民党の中央常務委員会は洪秀柱・立法院副院長(国会副議長)を総統選挙の公認候補に認定した。
国民党総統候補に内定した洪秀柱。知名度は低いが
中国迎合路線の継承者として中共からの評価は高い
「党内の有力者が軒並み出馬を見送るなか、消去法で浮上した格好だ。最大野党・民進党の公認候補、蔡英文主席に比べて人気は劣っており、厳しい戦いを強いられそう」(日経)とされる洪秀柱。「知名度の低さや党内基盤の弱さが指摘される上、中国との統一志向が強いとみられている点もマイナス要素」(東京)となっているが、馬英九をはじめとする党内の外省人(中国出身者)勢力は、同じ外省人である彼女を何が何でも当選させ、対中宥和路線(媚中統一路線)を継承、拡大させる構えだ。
もちろん中共とも連携を強化し、有形無形の支援を求めようとすることだろう。
実際に中共は、すでに国民党のための「選挙応援」に乗り出しているようだ。
■人民解放軍も演習で国民党を「応援」
たとえば人民解放軍が六月十日に台比間のバシー海峡で実施した演習がそれだ。水陸両用作戦による台湾進攻をも想定しており、「民進党候補に投票すると戦争になるぞ」との台湾の有権者への恫喝メッセージと受け止められている。
中共軍のバシー海峡での台湾侵略を想定した
演習は、国民党への「選挙応援」でもある
だがあまりもの強烈な「応援」に、国民党内部からも戸惑いの声が。
同党の邱文彦立法委員(国会議員)は米VOAの取材に対し、「演習は台湾に対する圧力で、総統選挙にも影響するだろう。選挙直前なので大陸(中国)側の挙動は一々誤解され、やればやるほど有権者は反撥してしまう。もっと慎重にやってほしい」と語っている。
■南支那海も台湾も中国には渡せない
つまり「中国による民進党及びその支持者層への恫喝、牽制も、度が過ぎれば逆効果なので、もっと上手にやってほしい」ということなのだろう。
さて、日本国内では、中国との緊張を高める民進党政権の誕生を警戒する声も大きいが、中国との「平和統一」(協議による台湾併呑)の攻勢を受け入れるかの如き国民党の勝利は警戒しなくていいのか。
日本は国民党と民進党のどちらを友にするかだ。
地政学的に見て、日本と台湾は運命共同体。南支那海を「中国の海」にしてはならないのと同様、台湾も「中国の島」(不沈空母)にしてはならないと思うが如何。
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日経―中国の観点で報じる台湾総統選挙の動向 15/06/12
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日経の台湾報道に警戒を!ここまで大胆な中国迎合、事実捏造! 15/06/14
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