台湾は日本の生命線！

昨日来日した李登輝氏が靖国神社への参拝希望を表明したことは、台湾でも随分話題になっているが、現地のテレビニュースでの取り扱いは、各局とも比較的に落ち着いたもので、本土派の民視の場合は、やはり靖国神社に「兄が祀られている」と言うことで、昨日はアナウンサーが微笑みを浮かべながら報道していた。今日は統一派のＴＶＢＳも、李氏が「兄の印象はフィリピンへ出征する前に家族で記念撮影をした六十年前のときのまま」と語って嗚咽したことを取り上げ、李氏が「真情を吐露した」と報じた。つまり政治性を抜きにした「暖かみ」ある報道が目立つのだ。

台湾の外交部も「個人の信仰を尊重する」として、李氏批判、靖国神社批判をするようなことはしていない。

それに比べて中国はどうか。やはり中国人と台湾人とは違うなと思う。

それと言うのは今日、この国の外交部スポークスマンは、李登輝氏の参拝問題に関し、日本政府への「強烈な不満」を表明したのだ。つまり「李登輝の訪日の目的は台独分子の勢いづけと日中関係の破壊にある。それを日本政府は許してしまった」と言うわけだ。そして「一つの中国の原則を堅持し、台独分子とその勢力にいかなる活動の舞台も提供してはならない」と。それから「日本側が台湾問題と歴史問題を適切に処理することは、日中関係の健康的な発展の基本条件だ」とも。

いったい何を言いたいのかよくわからない発言である。日本の首相が参拝するなら「中国人民の感情を傷つける」とか「日本軍国主義の復活だ」などと罵ることはできても、今回は台湾人の参拝問題だから、適当なセリフが見つからないのだろう。

おそらく李氏の参拝で、日本人が自信を回復するのが怖いのに違いない。日本軍国主義と台湾独立派の「結託」をつねに非難しているように、中国にノーを言う日本と台湾の連携を、この国が極度に恐れていることだけは確かだ。安倍首相が「日本は自由な国だから、私人として当然、信仰の自由がある。（李氏）ご本人が判断されることだ」と、中国に一切配慮のない発言を見せたことにも、相当刺激されたことだろう。

李氏の参拝希望表明で、日本では相変わらず「中国の反発必至」との報道も見られたが、今回の「反発」の場合に限っては中国の勝手な政治的都合によるものだから、日本人としてはいちいち歴史の贖罪意識を持つ必要はなさそうだ。

もっとも台湾でも、反靖国で売名に走る高金素梅議員はもとより、国民党議員が大騒ぎだ。「李登輝は歴史の罪人」などと李氏を罵っているが、やはり彼らは「中国人」だなと思う。これに対して台湾団結連盟の議員からは「兄を参拝するのは当然の人情」との反論が出たが、これが「台湾人」の落ち着きであり、良識である。

ところでＴＶＢＳの報道によると、日本の外務省も李氏に対し、「敏感な問題だから、靖国神社に関する発言はしないで欲しい」と頼んでいるのだとか。

それではそう言う外務省は、いったい「何人」なのだ。


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李登輝前総統は来日二日目の今日午後、都内深川の江東区芭蕉記念館を参観した。
記念館前ではおよそ百人もの「李登輝ファン」が詰め掛け、日の丸や緑の台湾旗を振って大歓迎した。

館内は狭いために随行員やメディア以外は一緒に入れなかったため、中での模様はわからないが、江東区長（同館館長）らが案内をしたようだ。李氏は自ら詠んだ俳句の色紙を区長へ贈っている。あとでそれを見る機会があったが、それは次のようなもの。

深川に　芭蕉を慕い来　夏の夢

およそ三十分で参観を終えた李氏は、建物裏手の隅田川畔の遊歩道に現れ、周囲をゆっくりと散策。芭蕉の旧居跡などを訪ねた。その後を歓迎者の一群も嬉しそうについて歩くなど、なんともほのぼのとした光景だった。地元の老人たちもお茶やお菓子を用意して李氏一行を歓迎。李氏は楽しそうに人々に声をかけていた。

そして皆の拍手を受けながら車で離れた李氏。ここを起点として、いよいよ奥の細道が始まったわけだ。

静かな下町での静かな散策ではあったが、ここで感じられたのも日台の輪である。こうした輪がこれから数日をかけてどんどん広がって行くのだろうと予感された。

（ただ李氏と身近に歩くことはすばらしいことだが、警備の観点からこれを見ると、非常に危険なことなのだろう。やはり歓迎者には自重が必要であると反省している。）

なお李氏には今日も大勢のメディアが同行したが、やはり「靖国神社へはいつ参拝するか」との質問が出たと言う。仲間たちの目撃談だが、今朝は六時から靖国神社には日台の記者やカメラが李氏を待ち受けていたらしい。

聞くところによれば、李氏は今日記者に対し、「兄が祀られている。それを自分の身になって考えながら記事を書いて欲しい」と言った話をしたとか。

台湾の友人から聞いたが、台湾人はこうした李氏の心情を理解しているらしい。そのことはメディアの一連の報じ方を見ても、何となく感じられる。

日本人だってそのことはきっとわかるはずだ。

もし李氏が参拝するのなら、我々も台湾人英霊への感謝の気持ちを持って見守ろう。そしてそのような気持ちで、日本にとっての台湾とは何かを考えよう。

李氏の心こそ、台湾の心だ。


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本五月三十日、来日する李登輝氏を歓迎すべく、我々日本人や在日台湾人などおよそ二百人は成田空港の到着ロビーに集まった。

李氏がロビーに姿を現したのは午後一時過ぎ。通路の左右に歓迎陣が立ち並ぶなかを、手を振りながら、あるいは握手を交わしながら、笑顔でゆっくりと通り過ぎた。歓迎者もいっせいに日の丸、緑の台湾旗、李登輝友の会旗を打ち振りながら大歓声を上げ、「台湾万歳」「李登輝先生万歳」の合唱も轟き渡っるなど、実に感動溢れる光景だった。

李氏は午後四時にホテルに到着する予定だった。そこで我々は都内の宿泊ホテルに向かい、花束であらためて歓迎することにし、参加を呼びかけた。急な呼びかけであり、また李氏のホテル到着が十五分ほど早まったため、ホテルの玄関前で出迎えることのできた歓迎者は二十～三十人に止まったが、それでもここでも華やかな歓迎ができた。

帰宅後、衛星放送で台湾のテレビ各局のニュースを見たが、空港での歓迎ぶりが大きく映し出されていた。「台湾に冷たい」と思われがちな日本人の熱狂的な歓迎振りに、意外に思う台湾人は多かったのではないだろうか。私は台湾人記者たちからインタビューを受けたが、やはりまず聞いてくるのは、「なぜ日本人はここまで李登輝氏を歓迎するのか」だった。

これでだいぶ日本人の名誉も挽回ができたのではないだろうか。

なお今日の日台メディアの関心は、李氏が靖国神社に参拝するかどうかに集中した。李氏は機内や空港において、靖国神社参拝を検討していると語ったからだ。
日本のテレビ局が報道するかどうかはわからないが、台湾のテレビ局は次のように語る李氏を報じていた。

「（参拝の）時間は決めていません。折角来たのだから、兄貴に会わないといけないと思っています」（※込み上げる涙を抑えた、絞り出すような声に聞こえた）

「自分の兄貴が祭られている。もしあなたがそうだったら、（参拝するかどうかに関して）どういう気持ちでいるかは言わなくてもわかるでしょう」、（※マイクを向ける記者に指を指しながら、優しく教え諭すように。周りを取り巻く日本人記者たちはそれを聞きながら、「その通りだ、その通りだ」と、何度も頷いていた）

ついに李氏は東京に入られた。これまで中国の顔色をうかがう日本政府のため、困難とされていたことがようやく実現したのだ。それが可能となった理由の一つとして、李氏の政治的影響力が減退していることを指摘する向きもある。たしかに総統を退任して七年が経ち、台湾国内での影響力がかつてほどはないことはたしかだろう。だが日本に対する影響力はどうであろうか。

これまでの日本人の台湾への認識や好感の高まりは、李氏の存在あってこそのものである。言わば李氏あってこその今日の日台関係なのだ。その李氏が東京に入り、そしていよいよ奥の細道へと、日本文化の探求の旅に出かけるのだ。少なくとも「台湾人は中国人ではない」「台湾は中国とは違う」と言った理解は、日本人の間でさらに深まることだろう。李氏の靖国参拝の意向表明だけでも、大勢の日本人が感激し、励まされたはずである。日台の絆はいっそう強いものとなって行くはずだ。

これほどの威力を持つ人物は、他にそうはいまい。今日の日本人の歓迎振りを見ながら、そのようなことを強く思った。


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中国の軍事力はすでに台湾海峡はおろか、その他の地域の紛争に対応できるまでに増強されていると指摘した米国防総省の年次報告が発表されたことを受け、さっそく中国政府は「中国脅威論を撒き散らす米国の内政干渉だ」と噛み付いた。

中国外交部の姜瑜報道官は五月二十八日、次のようなコメントを出している。

「中国は平和を心から愛する国であり、平和発展の路線を堅持し、防御的な国防政策を遂行している。中国はアジア太平洋地域と世界の平和を促す重要なパワーだ。国際社会にはこれについて、自ずから天下の公論がある」

ここまで軍拡を進めておいて、今さら何を言っているのだろうか。だが、このような中国政府の主張を以って、開き直りの抗弁だなどと一笑に付すことは禁物だ。中国人は策略、謀略にだけは長けた民族である。こうした馬鹿げたコメントにも、巧妙な戦略が隠されているのだ。

たとえば日本の国内の媚中勢力を見てみよう。中国が平和主義国家であるとの前提、建前の下で日中友好の促進を訴える彼らは、これまで「中国は脅威ではない」と叫んできた。よって今回のようなコメントは、彼らに対する慰めと言うより、激励のメッセージとなるわけだ。あるいはこのコメントを広く代弁せよとの「指令」ともなる。

「国際社会には天下の公論がある」と言うのは、このような媚中派の言論であるに他ならない。それは中国が建国以来、世界革命のため、そして現在では中華振興のため、各国で懸命に工作を加えて形成してきた呼応勢力の声であり、宣伝戦における武器なのだ。

姜報道官は次のようにも言っている。

「国家の安全と領土の保全を守るために必要な防衛整備を進めることは、いかなる主権国家にとっても責務である」

「 台湾は中国の領土の不可分の一部だ。中国は自国への、いかなる国によるいかなる形の内政干渉にも断固として反対する」

「台湾への兵器売却と台湾との軍事関係を停止し、台湾独立分裂勢力にいかなる誤ったシグナルも送らないよう、米国側に切に促す」

これらは何てことはない、「中国の台湾併呑を邪魔するな」と言っているのである。「領土保全」とは台湾併呑のこと。「台湾は中国の領土の不可分の一つだ」とは言うものの、それが事実ではない以上、台湾併呑は他国への侵略を意味するのであって、それを目的に軍備拡張を進める中国は、やはり世界にとっては脅威以外の何物でもない。

言わば中国はここで正直に、自らの恐るべき侵略の野心を吐露してしまっているわけだが、日本人が意外とそれに気付かないのは（ほとんど問題にしないのは）、それほど媚中勢力による中国の宣伝代行活動の影響を大きくこうむっていると言うことだろう。これまで「台湾は中国領土」とするデマがどれほどばら播かれたことだろう。「平和統一を支持する」などと言った主張は、メディアにおいてさえ、いまだに散見できるが、こうしたものに、日本人はすっかりやられている。

日本人の平和ボケは中国およびその傀儡たちの宣伝によるところが大きい。言うなれば中国の対日宣伝工作の勝利であるが、それを打ち破るための一つの突破口となるのは、「台湾は中国の一部ではない」としっかり認識し、中国の動きの本質を見さだめることではないだろうか。


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明日、中国政府が日台離間戦略上、最も恐れてきた李登輝前総統の日本訪問が始まります。そこで我々は成田空港において李氏をお迎えして「台湾万歳」を叫び、以って中国と台湾に対し、日台連帯を求める日本人の志を知らしめますので、奮ってご参加下さい。

【集合】３０日正午、成田空港第二ターミナル到着ロビー

注意事項

１、成田空港に入るときに身分証の提示が求められます。
　　できるだけ免許証、外国人登録証等々をご用意下さい。

２、成田空港構内では以下の規則がありますのでご注意下さい。
・横断幕の持ち込み禁止
・旗竿の持ち込み禁止
・プラカードは紙で作った肩幅程度の大きさまで。

３、混乱を避けるため、現場責任者の指示にお従いください。


なお現地では日の丸、緑の台湾旗などの小旗をお配りします。

問合せ　台湾の声　[email protected]
　　　　日本李登輝友の会　０３－５２１１－８８３８　

当日連絡先　０９０－８７５７－７０２３　片木
　　　　　　０９０－４１３８－６３９７　永山




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米国防総省は二十五日、中国の軍事力に関する年次報告書を発表した。

それによると、台湾独立の阻止が中国の軍事近代化の目標とされるが、中国軍の能力はすでにそのレベルをはるかに超え、台湾海峡以外の地域での資源、領土紛争に対応できるまでになっており、東アジアの軍事バランスが変わる恐れが強まっている。そうしたなかでとくに強化されているのが、米軍の台湾有事介入に対する阻止能力だ。

たとえば２０１０年までに核ミサイルを運用する戦略部隊が強化されるとの見通で、すでに〇六年の段階で太平洋地域の米軍基地や米本土を射程内に収める大陸間弾道ミサイル「東風３１」の実戦配備が可能になっており、またさらに射程を伸ばした改良型の「東風３１Ａ」も０７年中に配備可能になると言う。

また、射程距離８千キロの潜水艦発射弾道ミサイル「巨浪２」の開発も進み、新型の晋級原子力潜水艦五隻に十二基ずつ搭載される見通しだ。

台湾に照準を当てる短距離弾道ミサイルの配備に関しては、すでに「東風１５」「東風１１」などが九百基配備され、さらに年間約百基の速度で増強中だ。

このほか、今年一月の衛星攻撃兵器の実射実験についても触れ、「台湾有事介入の防止に大きな影響力がある」「宇宙空間を利用するすべての国の利益に対する脅威」「二〇一〇年には多数の米国の衛星を破壊する能力を備えるだろう」と指摘している。

こうした核戦力増強を受けて報告書が警戒するのが、中国が従来の核先制不使用の方針を変更することだ。中国がスホイ３０戦闘爆撃機や長距離航行が可能な潜水艦、無人戦闘機などの調達を進める動きなどにも注目し、先制攻撃の体制を整えつつあると指摘している。

つまり中国にとっては、さらに露骨な核恫喝が可能な段階に突入しつつあると言うことだろう。

今年の報告書が例年と異なるのは、台湾侵攻は米中関係を長期的な敵対関係に変えるなど、深刻な結果をもたらすことになると、中国の指導者に対して強く警告していることだ。

たとえば「台湾は中国にとり外資獲得の最大の源。もし戦争でその経済基盤を破壊すれば、その復興で支払う代価は大きい。また国際社会による経済制裁はさらに中国経済の発展を損なうだろう」「五輪開催は中止になり、あるいは中国内部の争乱を惹き起こす可能性もある。この二点を中国はわかっているはずだ」と訴えている。

それでは中国の戦争発動の可能性についてはどうか。報告書は「中国政府は、両岸がともに統一の方向へと向かえば、台湾統一の時期は先延ばしにしたいようだが、武力での問題解決の選択肢を放棄することは考えていない」としている。

報告書が指摘する以上の状況は、中国の急速な軍拡状況に基づき、早くから予測されてきたものであるが、日本ではそれほど危機感を持って見られてこなかった。ただこの報告書に関しては、マスコミ各社が競って報道していることから、ようやく日本人も事態の深刻さに気付きはじめたと言うことか。

だが事態に気が付くことと、それに有効に対処することとは、なお別次元の話である。まずは台湾や米国に対する中国の脅威が、直接日本に対する脅威であると言うことを深く認識することが必要であろう。ただそれは可能かどうかについては、今日の集団的自衛権を巡る議論一つを見ていても、非常に心もとなさを感じるのである。


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朝日新聞は今日、三十日から始まる李登輝氏の日本訪問に関して報道を行った。タイトルは「日中ハラハラ」。おおよそこんな内容だ。

＜李氏はすでに同紙に対し、日本訪問の目的は「観光と学術交流」にあると強調しているが、李氏を「台湾独立派の親玉」と警戒する中国の対応は、李氏の来日後の言動にかかっている＞
＜０１年、０４年の訪日時には中国は日本に強く抗議した。日本側は李氏の訪日が「観光と学術交流」の枠内で終われば中国の批判は原則論にとどまると見る。ただ、中国は台湾問題には歴史問題以上に敏感だ。温家宝首相は今年４月の来日演説で台湾問題を「中国の核心的利益」と強調。日本側にクギを刺した＞

要するにどんな目的の訪問であれ、李氏が「台独派の親玉」である以上、中国は黙っているわけはないよ、そんなものを容認する日本政府は楽観的に過ぎはしないか、と警告しているわけだ。

もっとも今回の訪日を巡って、中国側はやけに静かだ。それは前二回のときのように騒いでも、それは単なる不条理な内政干渉以外の何物でもなく、日本で高まるのは反中国感情と李氏への関心、共感だけだと知っているからだ。これは日本国民の良識が、中国の工作への抑止力となっていると言うことであり、もっと注目されてもいいことだ。

しかしだからと言って中国は、「核心的利益」を守るために、すでに水面下で（日本国民の知らないところで）、日本政府にさまざまな圧力をかけているらしい。そうした状況の中でこのような記事を読むと、朝日新聞は相変わらず中国の意向を受けて動いていると感じられる。これはどう見ても読む者を「ハラハラ」させるために書かれたもので、言わば中国の恫喝代行である。

それはともかく、ここでは中国の恫喝に謙虚に耳を傾けてみよう。

中国が言っているのは要するに、台湾併呑の戦略上、李氏が日本において台独の広告塔の役割を果たすことは看過できないと言うことだ。記事にある李氏の「来日後の言動」とはそのことであるに他ならない。

それであるなら我々日本国民は、思う存分李登輝氏に歓迎の意を表明しよう。これは李氏個人への歓迎表明に止まるものではない。日本国民は中国の台湾侵略には断固反対であるとの意思表明になるのだ。そして台湾国民への激励にもなる。これもまた中国への一つの大きな抑止力となることだろう。「いざと言うときは日本人は黙っていない」と言う強烈なメッセージとして。

朝日記事　http://www.asahi.com/international/update/0524/TKY200705240418.html



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台北にある中正記念堂は広大かつ荘厳な蒋介石の廟で、日本人の観光ツアーがたいていは訪れる場所だが、台湾政府は五月十九日、この施設を「台湾民主記念館」に改め、その改名の式典を挙行した。

今回の改名の意義は、式典席上での陳水扁総統の次の言葉で語りつくされているようだ。

「全世界のなかで独裁国家だけにこのような記念堂が存在している。中国の天安門広場に前ある毛沢東記念堂が最もいい例だ」

「もし記念堂を存続させ、個人崇拝の場としたままなら、二・二八事件や戒厳令時代の受難者やその家族の感情はどうなるのか。台湾の民主主義にとり、これほどの皮肉はあるか」

「これまでは独裁者の廟だったが、今日からは全国民のものとなった」

これまで「気楽」な気持ちでここを訪れてきた日本人客も、今後は戦後台湾人の苦難に満ちた歴史に理解を深めることができるようになるのではないだろうか。

さて、民主化時代に入ってすでに十数年も経ちながら、今回ようやく改名が実現したのは、一言で言えば蒋家独裁時代の支配者層である中国人勢力がいまだに健在で、政治、社会において強大な影響力を持っているからだ。だから今回の措置は遅きに失したとの見方もあろうが、台湾人政治勢力のそれなりの果敢な反撃だったと評価してもいいかも知れない。

ただ「それなりの」と言うのは、「反撃」がなお徹底したものにはなっていないからだ。たとえば堂内の巨大な蒋介石像の撤去には至っていない。これについて陳総統は「撤去の必要はない。門を閉めれば外からは見えない」と説明する。あるいは廟前での衛兵の交替式も存続されるが、「それは軍隊の訓練のためだ」と断る有様だ。

つまりそれほど中国人勢力の抵抗が大きいと言うことだ。改名式典では多くの警察官が動員されたが、これについて「民主の歩みでは、一歩一歩がたいへんなのだ」との、蘇貞昌行政院長のコメントは何とも印象的である。

今回の措置に対し、国民党執政下の台北市は、「戒厳令時代さながらの強権発動だ」と猛反撥している。三月にはすでに「暫定」と言う形ながらも記念堂を史跡に指定し、史跡保護法を楯にして、建物や名称のいかなる改変も許さないとの姿勢を示している。そのため正殿の「中正紀念堂（記念堂）」や牌楼の「大中至正」の扁額も、直ちには変更できないでいる。政府が「紀念堂」の額を巨大な布で隠せば、市はさっそく史跡の景観を遮断したとの理由で、十万元の罰金の支払いを命じた。

こうした茶番とも言える措置に籠るのは、中国人勢力の怨念である。台湾人への復讐心を原動力に、政権奪還、支配者への返り咲きのみを目指すこの勢力にとり、手段は選ぶべきものではないわけだ。

そもそも彼らが記念堂を死守しようとする目的は、蒋介石が台湾の支配者たるべき中国人勢力のシンボルだからだ。記念堂は蒋介石亡き後も、台湾人を支配統制を継続するための道具として建設されたものである。だからそれが反民主的であろうが何であろうが、彼らには関係がない。いや反民主だからこそ守り抜きたいのだろう。彼らはもともと「民主」（台湾の民を国の主とすること）を憎んできた勢力なのだ。

今回の一件ではっきりと浮き彫りになったのは、与党と野党のせめぎ合いと言った程度のものではない。それは共存しがたい台湾人と中国人との民族対立、民主文化と反民主文化の摩擦と言う台湾社会の基本構図ではないのか。




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十七日に開かれた自民党の集団的自衛権に関する特命委員会で、同委員会の顧問である山崎拓・元幹事長は、集団的自衛権の研究を掲げることは「日中関係にも一石を投じるような議論をわざわざする必要があるのか」と批判した。

その際山崎氏は、四月末に訪中した際に中国共産党幹部が中国の軍備拡大の狙いについて「台湾解放への備え」と説明したことに触れ、中国は「靖国問題より台湾問題に敏感と知ったうえで議論を進める必要がある」とし、集団的自衛権の問題で十八日に初会合を開く首相の私的諮問機関に関して「必ず台湾問題の議論が出る。後方地域支援に限られる自衛隊の活動を広げるため周辺事態法の改正となれば、日中関係に大きな影響を及ぼす」と懸念を示したと言う（朝日新聞、十七日）。

つまり山崎氏はこう言ったのである。

①中国は靖国神社問題より、台湾問題（台湾解放問題）における日本の動きに敏感である。

②日本が台湾有事問題にも関わるかたちで自衛隊の活動拡大を許せば、中国は黙っていない。

③日本は中国の台湾解放（台湾併合）を阻害してはならない。中国が武力を行使して「周辺事態」の局面を迎えても、自衛隊は動いてはならない。

「四月末に会った中国共産党幹部」とは、熊光楷元副総参謀長のことだろう。山崎氏は熊氏から、「もし日本が台湾海峡での戦争が厭なら、一緒に台湾独立に反対してほしい」と協力を要請されている。

日本が集団的自衛権の行使容認に踏み込もうとしている今、いよいよ侵略者の手先となった者が活動を活発化させたわけだ。恥も外聞もなく、本性を曝け出しながら。


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先月末の日米防衛相会談でゲーツ米国防長官は、「米国を狙った北朝鮮などの弾道ミサイルを日本のミサイル防衛システムで迎撃できるよう」にと、集団的自衛権行使の容認を日本側に迫った。こうした米側の要求には、軍事的に擡頭する中国への抑止力強化を目指す国防戦略が反映していると言う（共同、五月十六日）。

日本の憲法問題に関わる問題でここまで要求してきた背景には、安倍首相が集団的自衛権の行使容認の方向に進んでいることがある。同首相はすでにこの問題に関する私的諮問機関を発足させている他、自民党内にも特命委員会を設置している。ところが同委員会の山崎拓顧問（党安全保障調査会長）は本十七日の委員会席上、この問題の検討は「慎重な対応が必要だ」との考えを示した。その理由は「日中関係に悪影響を与えかねない」と言うものだ。

中国に慮るこうした主張はよく聞かれるもので、それに賛意を示す国民も少なくないが、米側が従来になく集団的自衛権の重要性を日本に訴えるようになった原因の大きな一つは、共同が報じているように、その中国の軍事的擡頭なのだ。だから山崎氏の考えはいかにもトンチンカンである。

もっとも山崎氏はおそらく、中国とは「話し合いで解決すべきだ」などと言うに違いない。だがもちろんそれは実現不可能なことである。

中国は建国以来、米国勢力をアジアから駆逐することを国家目標にしてきた国だ。そしてそのために日米の離間工作をはじめ、日米安保体制の解消工作に力を注入してきた。たしかに一時は日米安保容認の姿勢を示したこともあったが、それがソ連を敵視した「遠交近攻」「以夷制夷」の戦略に過ぎなかったことは常識だ。そして今日では台湾有事への米軍の介入を阻止するため、軍拡に躍起となっている。つまり台湾を併合し、そこを太平洋進出の基地とし、いよいよ米国には東太平洋までお引取り願おうと言うわけだ。この国の目的は最初からただ一つ、それは周辺諸国との平和共存ではなく、軍事大国にのし上がってアジアで覇権を打ち立てることなのだ。そしていよいよその仕上げの段階に突入しようとしているのに、どうして話し合いなどで軍備拡張に歯止めをかけることができると言うのか。だからこそ米国は焦燥し、日本が台湾有事で米軍の後方支援をまっとうできるよう、集団的自衛権の行使を認めさせようとしているわけである。

ところがそれを承知で「中国に配慮を」などと言っている連中は何なのか。中国の日米離間、日本分断の工作の上で暗躍してきたのが、その国の影響下にある国内の親中派、特に自民党内の連中だが、つまりその手合なのだろう。そういった人々の特徴は、さきの山崎氏のようにトンチンカンな主張を平然とすること。要するに中国の代弁者だ。

山崎氏の訴えを受ける形で塩崎恭久官房長官は、安倍首相の諮問機関での集団的自衛権行使の事例研究は、「よく配慮し、よく説明」しながら「内外の理解を得たい」などとわざわざ断っているくらいだから、親中派の圧力と言うか、中国の威力とは相当なものだなと感じてしまう。

日米防衛相会談ではシーファー駐日米大使も、「日本がミサイルを迎撃できなければ、日米同盟が変質しかねない」と訴えている。それはそのとおりだろう。もし日本が自国上空を通過するミサイルを黙って見ているだけなら、米国国民は絶対に日本を許さない。そうなれば米国は日本防衛の義務を放棄し、中国とはミサイルの通わない平和共存の道を選ぶかもしれない。もちろん東アジアと西太平洋と言う勢力圏は中国に差し出して。

そもそも日米同盟を解消させて米国を追い出し、日本を孤立させることこそ中国の戦略目標なのだ。中国はこれからも日本の政治家やメディアを通じて世論をどんどん操作し、日本の弱体化や米国に対する日本の信頼失墜を画策して行くことだろう。

それでも国民はなお、親中派の蠢動を許容できるのか。


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ここ数年、台湾のＷＨＯ総会へのオブザーバー参加を支持し続けてきた我が国政府。「防疫に国境はない」とし、中国の反対などものともしなかったこの姿勢が、どんなに台湾の政府、国民を励ましてきたかは、陳水扁総統が日本の要人と会見するたびに、この件で感謝の意を表明してきたことでもわかる。だが台湾がオブザーバー参加ではなく、正式加盟を行った今年は異なった。五月十四日の総会では台湾の加盟問題を討議しないことに我が国は賛成票を投じたのだ。その結果、賛成百四十八反対十七で、台湾の申請は却下された。

台湾は二千三百万人の人口を擁する国家だ。例え我が国がそこを国家と承認していなくても、そこが中国の「一省」であると承認していないことも確かだ。なぜなら台湾は「一省」などではないからである。だが「一省だ」と強弁する中国に配慮して、日本は今回、その加盟に反対を表明したのだ。

何が「防疫に国境はない」だ。防疫ネットワークに穴が開いても、台湾国民が疫病の脅威に曝されても、そしてそれによって日本国民の健康に影響が出ようとも、結局は中国の圧力に屈したのである。

ＷＨＯは今回の総会で台湾メディアには取材すら許さなかった。その理由は「台湾のパスポートは認めていない」である。だが台湾パスポートは、中国を除けば世界中で認められているのだ。もはやＷＨＯが中国のコントロール下に入っていることは疑いようがない。先日も「台湾の加盟には中国の同意が必要である」とするＷＨＯと中国との密約が暴露されたばかりだ。人類の健康保健問題に政治を持ち込む国際保健組織がＷＨＯなら、そのような組織に忠実な加盟国の一つが我が国であると言うことを、国民は深刻に受け取らなくてはならない。

台湾の加盟問題を討議することに賛成は十七ヵ国だが、我が国もその輪に入って道義を世界に示せと言ったレベルの話をしたいのではない。それよりも我が国には我が国しかできない、もっと大きなことが一つあるのだ。

それは、中国が台湾を「一省」と主張する根拠は、「日本が台湾を返還したから」である以上、「そのような事実はない」と国際社会に訴えることなのだ。我が国がそれをしない限り、台湾の加盟は実現しない。そして今後さらに強化されるであろう中国の国際組織支配は食い止められない。ＷＨＯが本来在るべき姿に立ち戻れるかいなかは、日本次第であると言っても過言ではないのだ。

だが現状では我が国は、とてもそんなことはできそうもない。何しろ台湾国民の人権を蹂躙してでも、中国の怒りを回避しようとしているのである。

一事が万事だ。日本は今後、中国の台湾併呑と言う動きを、果たして阻止することができるのだろうか。

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本五月十四日、国民投票法が成立したが、共同通信の報道によると、同法成立によって中国は、「自衛隊に替わる『自衛軍』の創設を明記した自民党新憲法草案を土台とした新憲法の策定に弾みがつくと受け止め」、神経を尖らせているそうだ。

これは短い報道ではあるが、考えるべき問題が多々あるようだ。

ここではわざわざ「戦力不保持を定めた憲法９条の改正を視野に入れた動き」と批判的に分析する劉江永・清華大国際問題研究所副所長のコメントも伝えているが、この劉なる人物は、中国では日本研究の第一人者とされているものの、実際には何かにつけ日本の「軍国主義復活」を論う御用学者で、日本の文化水準に照らせば、とても「学者」などとは言えない存在。こんな似非学者の発言を取り上げるなど、共同通信はマスコミの良識を疑われるべきだ。

さらには報道では、同草案が邦人保護を理由に自衛軍を派遣できるとしているとして、「戦前の軍国主義に通じる」と非難する中国の「対日専門家」のコメントも取り上げている。つまり例により、アジア諸国民は日本の憲法改正を危惧していると言いたいのだろうが、そう言った古臭い手法は止めた方がいい。

アジアの声に耳を傾けようとするのは結構。しかしその「声」が中国の御用学者のものであるなら、報道する価値はないし、報道してはいけない。

中国が日本が改憲によって「普通の国」になることを牽制したがるのは、日本が中国の安保上の脅威になるからではなく、中国の膨脹戦略の阻害になるからだと考えるのが常識だろう。だからそのような覇権主義国家の身勝手な言い分を無批判に伝えるなど、その代弁者であるに等しく、とんでもないことなのだ。

そしてさらに知らなくてはならないのは、中国の「声」をさりげなく報じて国内世論に影響を与えようとする共同通信は、すでに中国の対日世論分断工作のコマ、あるいは内政干渉の水先案内人になっていると言うことだ。今回の共同通信と中国御用学者たちとの迅速な連携振りを見れば、それは十分に頷けよう。その反体制志向は、早くから中国の対日戦略に取り込まれているわけだ。そもそも中国を利用すること自体、中国に利用されることを意味することは、これまで歴史問題などを中心に、厭と言うほど見てきたはずだが、それでもお構いなしなのが日本のメディアの亡国的実態である。

さりげない中国報道でも、危険はしばしば包蔵されている。国民にはこうしたものを見抜く能力が求められているのだ。


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三月下旬、自民党の親台湾派の議員約二十人が「民主主義、市場経済の価値観を共有する国・地域との連携」を掲げる議員連盟を結成する見通しだと、日経新聞などが伝えた。それによると議連には中川昭一政調会長も顧問格で参加し、米国やＡＳＥＡＮ、そして台湾との関係強化を訴え、アジア外交重視を旗印に活動している山崎拓氏らに対抗する狙いもあると言うのだから、中国側は黙っていられない。ただちに新華社系の週刊誌「国際先駆報」は「親台派が議連結成で知華派に挑戦」と題する批判的論評を掲載した。

この「知華派」とは中国でよく用いられる言葉で「知中派」。日本では「親中派」と置き換えることができる。「親」ではなく「知」が使われるのは、「親」では「媚」の響きがあって中国にとっては不都合なのだろうか。

さて論評は、「一部の親台派は議連を作り、対華強硬政策を主張し、水と火の関係である知華派グループの安倍首相の包囲に対抗しようとしている」「親台派と知華派は、日本の対華外交政策の決定に影響を及ぼしてきた二大勢力で、それぞれの消長は日中関係の転変の原因の一つだ」と分析した上で、両派を次のように解説するのだ。

まず親台派について。

「小泉時代における日中間の政冷経熱は、日台の暗流が湧きかえるなど、親台派の影響もあった」

「親台派は自民党の右翼が中心だ。最も早い時期では台湾に対して深い植民地の感覚を持った旧官僚戦犯、軍国主義分子が源だが、この勢力が全面に出始めるようになったのは九〇年代末からだ」

「現在の親台派には小泉、森喜朗、扇千景、古屋圭司、麻生太郎などがいる。安倍内閣の中で多数を占める親台派は戦後生まれが中心だ。彼らは米国を崇拝し思想は右に偏っている。民主と自由、市場経済を普遍的な価値として極端に強調しながら、それを口実に台湾問題に干渉している」

一方日本の政界における知華派だが、添えは次の三種類に分けられると言う。

一、中国の文化と歴史を尊重し、あるいは日本の中国侵略への贖罪意識を抱き、中国に親近感を抱いている人々。

二、政治上、中国が大国であると言う現実は避けることができないと考えている人々。

三、経済の利害関係がある人々。

では知華派はどのような状況にあるかと言うと、目下相当の困難に直面しているらしい。

「今年に入り、加藤紘一、山崎拓などの知華派は二階俊博らと接触し、『アジア外交』を標榜してハト派勢力を盛り上げようとした。また加藤は対華態度がソフトな福田康夫、高村正彦らに『日中新時代、日米中新時代』を主張し、団結を呼びかけたものの、保守化の趨勢のなか、激しい民族主義的情緒が高揚する日本社会では、知華派はつねにメディアや右翼政治家に包囲されているのだ」

「例えば二階俊博は去年、東支那海ガス田の問題で、産経新聞から朝貢外交だと称されて、右翼から『媚中派』『売国者』と誹謗されている」

論評によれば、アジア外交に関する主張で親台派は、知華派とは「はなはだしく違う」と言う。例えばほとんど「戦前の思想を踏襲」し、「台湾海峡を日本の生命線と見做し、あれこれ方法を考えては台湾問題に介入し、両岸統一を妨害する」のだそうだ。

ここまで見ればもはや明らかだろう。中国で日本の政治家は、中国の意向を尊重し、それに付き従うかどうかで二つに分類されているのだ。そしてその一つが「親台派」だ。これは特に台湾と深い関係を持っていると言うより、例え中国がどんなに嫌がっても意に介さず、台湾とも普通に付き合っている人々と言ったところだろう。しかし台湾問題における日本の完全屈服を求める中国からすれば、こうした小癪な政治家たちの存在は、まさに「両岸統一を妨害」する脅威であり、憎むべき存在なのだ。

論評が「小泉時代における日中間の政冷経熱」も「親台派の影響」だと言うのも頷ける。そもそも「政冷」なるものは何てことはない、日本が中国に妥協しないため日本の従属を前提とする「日中友好関係」が損なわれる状況を指すのである。そしてこの妥協しない人々のことを中国では「戦前の思想を踏襲」した「親台派」と呼ぶわけだ。

それではもう一つの「知華派」とはどうかと言うと、最早言を俟たない。台湾問題と言う我が国の安保にも深く関わる問題においてすら、中国に妥協するような属国根性の連中と言うことになるのだろう。

「親台」がどうかなど、一般の日本人はこれまで関心を持ってこなかったが、中国にとってはそれこそが日本の政治家を測る重要判断基準になっているのだ。つまり中国にとって台湾問題が日中関係上どれほど大きなものになっているかと言うことだ。中国の国策、戦略の「狙い」は何かを知る上で、このことは決して忘れてはならないのではないか。

論評は最後に、「今年の参議院で自民党が勝てば、安倍は内閣改造を行い、その強硬外交路線を支援する親台派などタカ派勢力も擡頭するだろう。だがもし負ければ、党内の知華派勢力も上昇する機会を得ることになる」と論じ、「知華派」こと媚中派の擡頭に強い期待感を表明している。

それなら日本人も中国と同じく「親台」か「知華」かと言う分類基準で政治家を選ぶべきではないだろうか。すなわち日本の主権と独立を守り抜ける人物か否かで。


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北京五輪組織委は四月二十六日、北京オリンピックの聖火リレーに関し、「ホーチミンー台北―香港」とのルートを決定した。台湾政府は台湾を中国の国内扱いにする「中国―台湾―中国」とのルートに早くから反対してきたが、今回のルート案も台湾を「国内ルート」の基点とするものとして反撥、陳水扁総統は同案の拒否を表明した。これについで蘇貞昌行政院長も「不参加も辞さない」との姿勢を表明。その背景には台湾が「チャイニーズ・タイペイ」、つまり「中国領土の台北」の名称でしか参加が許されないとの事情もある。台湾国民の多くは「台湾」の名での参加を望んでいるが、この島を自国の領土と位置付けたい中国の反対により、それはほとんど不可能な状況である。

讀賣新聞（五月九日）によると、その後台湾政府は「当然参加する」（陳明通・大陸主任委員）との意向を表明した。それはそうだろう。これに参加しなくては、ますます台湾は国際社会で忘れられた存在になる恐れがあるからだ。そこでなお「ホーチミン―台北―長野」「平壌―台北―ホーチミン」など、第三国から入り第三国に抜ける国際ルートを求めて行くと言うが、ここまで台湾を追いつめている中国が、今さら妥協などするだろうか。

ところで我が国では、今回台湾側が見せた強い一連の拒否姿勢を「選挙対策だ」の一言で説明するかのような報道も見られたが、これでは問題の本質がさっぱりわからなくなる。真の問題は聖火リレールートと言い、台湾の名称と言い、台湾が中華人民共和国の領土として扱われていることなのだ。

これは大きな国際問題であるはずである。なぜなら台湾はその国の領土などではないからだ。「選挙」があろうとなかろうと、台湾が拒否姿勢を見せるのも至極当然のことなのである。ところがこうした不条理な状況が厳然と目の前に横たわっているのに、マスコミはなぜそれを正面から取り上げようとしないのか。

さらに言おう。中国は台湾のリレールート拒否に関し、台湾は「スポーツの祭典」に政治を持ち込んだと非難したが、言うまでもなく「持ち込んだ」のは中国の側である。それだけではない。中国がこの「平和の祭典」に持ち込んでいるのは、台湾を併呑しようとの領土拡張の野心に他ならないのだ。中国にとってオリンピックはまさに、台湾が自国領土であると世界に印象付け、自らの野心を正当化する絶好のチャンスである。

ここまで来ると、問題はもはや中国一国だけでなく、その横暴な姿勢を黙認するＩＯＣならびに我が国を含む加盟各国にもあると言うことがわかるだろう。同じ加盟国である台湾がここまで迫害されている以上、「なぜ我が国政府は抗議をしないのか」と訴えるのが、マスコミの本来の使命であるはずなのだが、そのマスコミ自体が政府に勝るとも劣らない中国恐怖症に陥っているのだからどうしようもない。

オリンピックであれＷＨＯであれ、台湾の「参加」問題を通じてわかることは、中国覇権主義による国際社会支配が、かくも強化されていると言うことだ。だがこのことで警鐘を打ち鳴らす者があまりに少ないのは、いったいどう言うことだろう。（19.5.10）




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日本には台湾の公館として、東京の台北駐日経済文化代表処（大使館）があり、その下に横浜、大阪、福岡の同処弁事処（総領事館）があるが、このたび那覇分処が増設された。いや正しくは「増設」ではなく「正名」されたと言うべきだろう。

実はこの公館はこれまで「中琉文化経済協会駐琉球弁事処」と呼ばれ、駐日代表処とは区別されていたのだ。

「中琉」とは「中国と琉球」の意味だ。ちなみに「中国」とは、一般の日本人にはわかりにくいが、「中華民国」のことである。それではなぜ沖縄を「琉球」などと呼んだのか。それは同協会が発足した昭和三十三年当時、沖縄に「琉球政府」が置かれていたからではない。「中華民国」はそもそも沖縄を日本の領土であるとは認めておらず、あいかわらずそこは「琉球王国」時代以来、「琉球」のままであると言うわけだ。

清国時代の中国人にとり、琉球は自国の朝貢国であり、従属国に他ならなかった。牡丹社事件に端を発した日本の台湾出兵の結果、清国は日本の沖縄における主権を承認したものの、その後まもなく言を翻し、日本の主権を否認した。そして清国が崩壊してもはや冊封朝貢秩序などは完全に過去の話となっても、中華民国はあいかわらず否認を続けたのだ。

そして昭和二十年、沖縄は米国の施政下に入るのだが、中華民国は台湾で沖縄独立運動団体に支援を行うなど、依然として沖縄とは特殊な関係を維持しようと試みてもいた。

さらに同四十七年における沖縄の本土復帰に際しては、「中華民国」は何の相談も受けなかったと反撥、米国が日本に移譲したのはあくまで施政権のみであり、沖縄に関する主権ではないと言う立場をとって今日に至っていたのだからかたくななものである。たとえば台湾発行の地図では、「中華民国」と沖縄との間には国境線が引かれなかった。

これこそ近代国際法秩序を公然と踏みにじる中華意識の現われだと言うことができるだろう。「中華民国」で民主化（台湾化）がはじまり、中華思想に基づく非現実的な国際関係観は否定されたようで、実際にはこうした中華の建前は払拭されなかったと言うのが、台湾における一つの深刻な現実である。たとえ政府発行の「中華民国」地図から中華人民共和国やモンゴル国の領土は外されるようになっても、沖縄に関しては放置され、台湾人の民主主義政権ですら、そこを「琉球」と呼び続けてきたのだ。

それは外省人勢力との摩擦を避けたい、沖縄問題は外国の問題だから、こんなことで摩擦を起こすのは面倒だとの判断でもあったのだろうか。とにかくこれは台湾人の怠慢だった。

それでも馬鹿げたことは解消したいとの思いもあったのだろう。中琉協会はそれまでの内政部（内務省）管轄から外交部（外交部）管轄へと移され、許世楷駐日代表の就任後は、駐日代表処の管轄下に置かれるようになったらしい。そして今回、名実ともに駐日代表処の下部機関となり、「中華民国」は事実上、沖縄を日本の領土と承認したわけだ。

だがその一方で駐日代表処では、今回の名称変更の理由に関し、「沖縄との貿易や人的往来が密接になってきているから」と説明し、主権の問題への言及はなお避けているから、とても「静か」な正名である。

よほどナイーブな問題なのだろう。台湾の中華民国体制と言うものは、ここまでも台湾人の判断や思想の自由を束縛しているのである。

もちろん尖閣諸島の領有権問題についても同じことが言える。台湾人は今でも、「尖閣は中国人が発見した土地だ」を根本的な理由として、その領有を主張しているのだが、そのことを台湾人はどこまで認識しているのか。

所謂「現状維持」（中華民国体制の維持）と言うものが、中国の統一攻勢の前でいかに脆弱、無防備なものであるかもわかるだろう。台湾人は「独立」（中華民国体制からの脱却）をはっきりと選択し、中華意識の残滓を払拭しない限り、精神上の「統一」の受け皿はいつまでも保持され続けるのである。

台湾人に「怠慢」はもはや許されない。




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李登輝報道改善のススメ

　　　　　　　　　　　　　　台湾研究フォーラム会長　永山英樹

共同通信は５月４日、李登輝前総統が訪日を準備中であると報じ、もし実現すれば「李氏を『台湾独立勢力の代表的な人物』とみる中国政府の反発は必至だ」と、いつもながらの「一言」を付け加えた。これは日本メディアの李登輝報道におけるお決まり文句のようなもので、中国が反撥するから「やめてほしい」と言う意味か、中国に対する「どうぞ反撥して下さい」とのご注進のつもりかとも受け止められ、心ある日本人からすればあまりいい気分はしないだろう。ともかく進歩も成長も芸もない、思考停止にも似た報道姿勢だと言えそうだ。

たしか共同通信は、李氏の「壱週刊」インタビュー発言当時、「独立追求否定／李登輝氏　方針転換」などと報道していたが（一月三十一日）、李氏は相変わらず「独立勢力の代表者」と言うことなのか･･･。

それはともかく、李氏の訪日で中国がこれまで猛反撥してきたのは事実である。だが「なぜそこまで」と言うのが一般の日本人の疑問だろう。

しかしそれにはそれなりの理由があるのだ。中国は李氏を「台湾独立の広告塔」と批判するのはなぜか。それは李氏がほかならぬ「ミスターデモクラシー」だからだ。「台湾は中国の一部」との宣伝に躍起になってきた中国にとって、台湾で民主化を遂げて、この島が中国とは異質の存在であることを世界に宣伝してしまった李氏ほど厄介な存在はないと言うことなのだ。だからかつてはミサイル演習まで行って総統選挙で李氏の当選を阻止しようとし、米空母出動と言う大騒動まで惹き起こしていたのだ。

そして中国には「他の国ならともかく、日本だけへは行かせてはならない」との思いがある。それについてはある中国の高官がこう言ったことがある。「李登輝が日本で日本語でも話したら、日本人は李登輝を支持してしまう」と。

それはそうだろう。事実として多くの日本人はこれまで、「台湾は台湾人の国」と言う李氏の訴えを聞き、共感を抱きながら台湾認識を深めてきたのである。

将来の台湾併呑の際、何としてでも日本の介入（日米安保条約の発動）を阻止したい中国にとり、これほど困ることはないのだ。逆に言えば日本にとって、日本人を覚醒し、台湾の重要性を認識させると言う「李登輝効果」ほどありがたいものもない。そう言えば「台湾は日本の生命線」と言う言葉を最初に用い出したのは、近年では李登輝氏だと言われている。「日台は運命共同体」と言うのもそうだった。

だからメディアがいつまでも「中国の反撥必死」などと騒いだところで、世の中には何の得もないのである。そもそも日本政府が李氏の入国を認めた以降、もはや手も足も出なくなった中国は、それまでの「反撥」のトーンを下げていたではないか。どうせなら「日本人の台湾理解が高まることが期待される」くらいのコメントを添えるくらいの方が、報道に深みが出ていいのではないだろうか。（１９･５･６）


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台湾は「主権国家ではないので資格がない」との理由でＷＨＯに加盟できないでいる。そこで台湾政府は自らを矮小化して「衛生実体」だと名乗り、オブザーバー参加を申請してきたが、つねに門前払いを受けてきた。そして今年四月には正式加盟を行った。国際社会にこれまでの不公正な扱いを直視させるのが狙いらしい。だがＷＨＯはすでに拒否する方針を示している。

日本政府は台湾のオブザーバーとしての参加は支持している。「国」ではなくてもオブザーバーならいいだろうと。しかし中川政調会長の最近の講演によると、政府与党は正式加盟にはやはり反対の意向らしい。日本政府までそこまで反対するほど、台湾には本当に加盟資格はないのだろうか。

実は台湾が「国」ではないと誰が認定しているかと言えば、それはＷＨＯではなく中国である。「台湾は中国の一省」だから「国」ではないと。オブザーバー参加すら認めることはできないと。最近では中国とＷＨＯ事務局との間で、台湾の加盟には中国の同意を必要とする密約が存在していることが明らかになった。

しかし台湾が中国の領土だと言うのは中国の嘘の宣伝だ。ではなぜそんな嘘をつくのか。それはこの島を併呑したいからである。つまり台湾侵略を正当化するためについた嘘なのだ。そしてその嘘に基づいて台湾のＷＨＯ加盟に反対し、あるいはＷＨＯや日本を含む加盟諸国にも反対を強要しているわけだ。

台湾がＷＨＯに関与できない理由は「国ではない」からではない。中国が反対するからだ。中国さえ反対しなければ、こうした問題はそもそも起こていない。だいいち七二年に脱退を余儀なくされること自体なかっただろう。

台湾のＷＨＯ加盟問題は台湾の二千万人以上の国民の人権問題と言われているが、そうした人権蹂躪が、侵略主義国家の圧力に屈したＷＨＯ及び加盟諸国によってなされていると言う視点を持つべきなのだ。

日本政府が加盟に反対するなど以ってのほかだ。なぜなら中国の台湾侵略の野心に加担しているに等しいからだ。

そこで本日は都内において日本人、在日台湾人の諸団体が合同で、台湾ＷＨＯ加盟の支持を訴えるデモを実施する。どうもこれから大雨になりそうだが、問題の深刻さに比べれば、雨など微々たる話である。

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台湾のＷＨＯ加盟を支持するデモと講演会のご案内

◇日　時　 平成19年（2007年）5月6日（日）




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先ごろの日米２プラス２の共同発表文書で示された「共通戦略目標」に、「台湾問題の平和的解決」は掲げられなかった。一昨年の協議では、それはきちんと盛り込まれ、日本も台湾有事に介入の決意ありと言うことが表明された。もちろん中国は大慌てで、その年の反日デモや露中共同演習などは、こうした日米の動きへの対抗策だったと言われている。中国の反応に、日米のちょっとした決意表明が、いかに大きな抑止力になるのかを知らされた思いがした。

だが今回は中国を刺激ないよう、敢えて取り上げなかったようだ。この問題に関してライス国務長官は「米国政府の立場は変わらない。両岸の指導者は誤解しないように」と強調したが、中国の脅威は一昨年よいもさらに増大しているのに、それでよかったのだろうか。中国の指導者が「誤解」（増長）しないことを祈るばかりだ。

その一方で「戦略目標」では豪、印との提携強化の方向性が打ち出された。麻生外相の「平和と繁栄の弧」構想が取り入れられた形だが、この麻生構想は民主自由を理念とする東アジア、中央アジア、バルトの他、ＮＡＴＯに至るまでの各国の連帯を実現すると言うものだ。ロシアなどは対露包囲網だと反撥したが、中国社会科学院日本研究所の金熙副院長は、「こうした同盟が中国を完全に包囲しようとするものであることは地理的分布を見ても明らか。日本は地域での主導的地位を中国に奪われたくないのだ」と指摘していた。日本の中国への「悪意」に関する同研究所の分析は、いつも本質をついているので参考になる。

ただ問題は、戦略目標にも麻生構想にも、その弧に台湾が入っていないことだ。外務省が作成した弧の図説に台湾が入っていないことが問題になっているが、それは中国を刺激したくないからに決まっている。台湾はできるだけ曖昧に、と言うのが外相以下の考えだろう。台湾は中国の領土かも知れない、と言う顔だけしておこうと言うわけだが、しかしそれでいいのか。

これまでそんな曖昧さで、どれほど中国を増長させてきたことか。または国内での台湾認識を混乱させ、敵の宣伝工作に付け入る隙を与えてきたことか。

地政学的に見て台湾は対中国包囲網の最重要地点にある砦のようなもので、そこを失っては包囲は成功しないのである。日本もアメリカも、もし真剣に包囲網を築きたいなら、台湾の存在意義はつねに明確にし、正しいメッセージを中国、そして自国民へも送るべきだろう。

そして台湾の人々へも。日米の曖昧さが砦の人々の士気にどれほど悪影響を及ぼしているかも、両国は一度よく知っておいた方がいい。

『自由時報』（2007年4月27日）「自由廣場」より。
（翻訳＝台湾の声）。
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番の島？ 番主化？

■永山英樹

日本のネットの台湾の歴史に関する議論の中で、「台湾番主主義」と言う言葉が現れた。

清国統治時代の台湾では、住民は「民」と「番」とに分けられた。「番」とは華夏の民の異民族に対する蔑称である。自らこそ人間であると誇る華夏から見れば、「番」は禽獣、未開の半人半獣と異ならなかった。

当時「民」と呼ばれた台湾住民は漢人の他、多くの漢化された原住民も含まれていた。そして漢化しない「番」は差別され、落後した。

華夏は「番の島」台湾をずっと軽視してきた。一八八五年に台湾省が設置された時、劉銘伝は「台湾の沿海八県の地は、番は六割で民は四割」との理由で、野蛮の地での省設置は時期尚早であるとして反対し、あるいは清朝廷は一八九五年、下関条約で惜しげもなく台湾を日本に割譲しているが、これらを見てもそれはわかる。

日本時代、台湾人は国民教育を受け、近代文明知識や遵法の精神などを身につけたため、一九四五年に台湾が中華民国に占領された時、新統治者の振る舞いには驚愕する以外になかった！　ところが皮肉なことに新統治者の側は、台湾人が日本時代に近代教育を受けていても、それは中華文明を消滅させるための奴隷化教育に過ぎないとし、中華文明とは何かも知らない劣等民族（つまり「番」）だとして軽視したのだ。例えば当時自動車が何物であるかを知らない外省人は運転を試みようとした。それは台湾人ですら運転できるのだから、それより高等な自分たちならそれは可能だと考えたわけだ。彼らの傲慢さがよくわかる。

その後、台湾人は民主化を達成し、台湾人は国民党の人治を受けながらも、なお近代法治文明思想を忘れていなかったことが証明された。だが人治だけを知って法治を理解しない外省人勢力から見れば、「民主化」とはただ台湾人が政治実権を奪取したと言うだけの「番主化」にしか過ぎないのだろう。

目下、この復辟勢力はひたすら政権奪回を主要目標にして、民主制度を守ることなく、政局を混乱させることに精を出し、あるいは中国の恫喝の代弁者になるなどの状況を見ると、台湾の民主主義を尊重していないことは明らかだ。その結局の原因は「番」が「国の主」になることを受け入れることができないからだろう。これら復辟勢力分子が求めているのはすなわち、台湾人が永久に華夏の民であることを忘れず、国民党統治の中華正統政権に従うことだけなのだ！

「番」と扱われる台湾人は、どこまで外省人に愚弄されれば目を醒ますのか。

（筆者は日本・台湾研究フォーラム会長）

原文
http://www.libertytimes.com.tw/2007/new/apr/27/today-o1.htm

『自由時報』（2007年4月27日）「自由廣場」より。
http://www.libertytimes.com.tw/2007/new/apr/27/today-o1.htm
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番之島？ 番主化？

■ 永山英樹


日本某網站討論到有關台灣的歴史時，出現「台灣番主主義」這句話。

清統治時的台灣，把住民分為「民」與「番」。「番」一詞是華夏之民對異民族的蔑稱，對自詡是人類的華夏之民來説，「番」無異是指禽獸、民智未開的半人半獸。

當時被歸為「民」的台灣住民除漢人外，包括多數已被漢化的原住民。不接受漢化的「番」則受到歧視並使其落後。

例如，一八八五年設台灣省時，劉銘傳就曾以「台灣沿海八縣之地，番居其六，民居其四」為由，並認為蠻荒之地設省之時期尚早而反對，以及清廷於一八九五年的馬關條約，也毫無留念地將台灣割讓給日本，可知「番之島」台灣一直被華夏所輕視。

日本時代後，台灣人經由國民教育學習到近代文明知識與守法精神，以至於一九四五年台灣被中華民國政府佔領時，台灣人對新統治者的作為無不感到驚愕！反諷的是，新統治者認為儘管台灣人於日本時代受過近代教育，但那也不過是為了消滅中華文明的奴化教育而已，不知何謂中華文明的都是劣等民族（即「番」）並將其輕視。又如，當時從不知汽車為何物的外省人，也想試開汽車，因為連台灣人都會開的話，自認高人一等的外省人怎會有做不到的道理，就可知道他們的傲慢。

之後，台灣人能達成民主化，證明了即使受國民黨的人治統治，台灣人還是沒有忘記近代法治文明思想。可是這對只知人治而不懂法治的外省人勢力來説，「民主化」只是台灣人奪取政治實權的「番主化」而已吧。

目前這群復辟勢力者只想以奪回政權為主要目的，不但不遵守民主制度及刻意引發政局混亂，並成為中國對台灣恐嚇的代理人等作法，都看得出是不尊重台灣民主主義下的作為。最終原因應是無法接受「番」竟成為「國之主」吧。對這些復辟勢力份子來説，台灣人永不忘為華夏之民，遵從國民黨統治的中華正統政權，才是他們所要的！

台灣人要被當「番」對待，要被外省人愚弄到何時才會看清呢？

（作者為日本．台灣研究論壇會長）

４月３０日の産経新聞に掲載された世論調査結果を読んで目眩がした。「公海上で並んで航行している米軍艦船が攻撃された場合、海自艦船は反撃すべきか」との設問に対し、「いいえ」との回答が実に４２．６％にも達していたからだ。

思わず回答者に社民党支持者が大勢含まれているのかとも疑ったが、回答者の内、同党支持者はわずか１．０％。「非武装中立論」の時代はもうとっくに終わっている。

街中や電車の中で暴力をふるわれている人を誰も助けない、と言われるのが今の時代だ。もしや回答者の多くは、そんな卑怯者連中に占めているのだろうか。「日本まで戦争に巻き込まれてはたまらない」と。

自国の防衛を大きく支える同盟国の将兵が血を流しているのを、もし海自が手を拱いて見ているだけだとしたらどうなるのか。日本の信頼は１００％失墜し、日米同盟は解消され、米国が世界最大の反日国家になるだけではない。世界の国々からも憎悪され、嘲れ、唾棄され、発言権を奪われ、国際社会で孤立し、しかも子々孫々の時代まで、人類史に汚名を残し続けることだろう。いやそれ以前に、米軍を攻撃した第三国が中国であるなら、その時点で日本はその属国の道を歩むことになるだろう。

想像するだけでも恐ろしい話だ。

そこでそうした事態を避けるためにも、政府はようやく集団的自衛権の憲法解釈の見直しに乗り出し、先日はそのための諮問会議を発足させた。

ところがこれを受けて朝日新聞はどうか。同紙は４月２７日の社説で「『集団的自衛権を行使しないという政府の解釈は、外国から見れば日本がエゴイスト、危険を避けて重要な安全保障問題にノータッチで、経済的利得だけを求めているととられかねない』　そんな見方も確かにあるだろう。しかし、わが国は集団的自衛権を持ってはいるが、その行使は憲法上、許されない」

つまり憲法解釈見直しへの反対表明であるが、その理由はただ「憲法上、許されない」のみ。これではまるで思考停止である。なぜそれしか言わないかと言えば、それしか言えないからだ。いくら何でも「エゴイストと思われても結構」「危険を避けてノータッチがいい」と主張しては、自らを卑怯者だと認めてしまうことになるからだ。

今回の回答者の多くも、「憲法が許さないから」との理由で「いいえ」を選択したことと思われるが、恐らく朝日同様、本音は「危険を避けるのが一番」と言ったところに違いない。まさに今日の世相が反映されている。

朝日社説は諮問会議について、「集団的自衛権の行使容認に前向きな意見の持ち主ばかりがずらりと並ぶ」「これでは、初めに結論ありきの出来レース」と批判するが、何を言っているのだろう。このような国の命運に関わる場に、臆病で卑怯で愚昧な一国平和主義者を加えるなどできるわけがないのである。

日本の超党派議員で作る日中友好議員連盟は対中国従属関係を維持するためいつもご苦労なことだが、北京詣にでかけた同連盟の一行は四月二十九日、「ゲンメイ」で知られる唐家璇国務委員から「日本政府は一つの中国の原則を堅持せよ」と要求され、さらには「台湾問題はすなわち日台関係だ」とまで言われたと言う。

二十八日には自民党の北京詣一行が熊光楷元副総参謀長から「台湾海峡で戦争を見たくないなら、台湾独立反対で協力せよ」とまで言われたばかり。その前には来日した温家宝が日本側に「台湾独立反対」を表明するよう無理を承知で要求していた。台湾を支えるのは日本（日米安保体制）と言うことになっている。だから一昨年の２＋２協議で日米が台湾問題を戦略目標に盛り込んで以来、そして台湾侵攻のための準備が急ピッチで進展している状況の中、「日本は台湾併呑の邪魔をするな」との要求がここまで露骨化してきたわけだが、多くの日本人はまだそれにあまり気がついていない。

中国はこれまで数え切れないほど、「歴史問題と台湾問題は日中関係の政治的基礎」と言って、それぞれの問題で日本が妥協するよう圧力をかけてきた。これに対して日本人は「歴史問題」だけには大きく反応を示し、中国に呼応する者と反撥する者で国論は二分され、小泉首相以降は政府が妥協を拒否して大きな外交問題ともなったのだが、それに対して「台湾問題」では、マスコミも世論も無反応に等しく、政府も表立って反撥することは控えてきた。まるで腫れ物に触るように。

世論の無反応はなぜか。保守派は「歴史」では日本の尊厳をかけていきり立ったが、「台湾問題」はそれと異なり、外国の問題と考えてきたからだろう（左派も政府が中国と揉めない以上、「台湾」を反体制カードとして振り回す必要がないのだろう）。

だが本当に外国の問題だろうか。台湾が中国の併合されることは日本の死活に関わるのだ。つまりこれは完全に日本の国防問題なのである。だが日本で国防問題として語られる多くは北朝鮮の核問題。それは拉致問題に端を発した反金正日ナショナリズムの高揚によるところも大だが、それに比べて反中国ナショナリズムは「歴史問題」止まりと言うことなのだろう。中国の核、軍拡、ミサイル配備などで大騒ぎするマスコミはほとんどない。

しかしその中国が「台湾問題は日台関係」とまで言い切って圧力をかけてきているのだ。議連一行がその日、何と応じたかは知らないが、我々はその言葉の意味に一刻も早く気がつくべきである。敵国が本当に欲しているものは何かと言うことを。