台湾は「歓迎」、朝日は「反対」―日米安保条約の尖閣適用
2014/04/28/Mon
■「日米同盟の再強化の契機」と産経社説
来日したオバマ米大統領は四月二十四日、安倍晋三首相との共同記者会見で日米安保条約が尖閣諸島にも適用されると明言。安倍政権の集団的自衛権行使に向けた取り組みにも支持を表明した。
これを受けて翌二十五日、産経新聞は社説で次のように論じた。
―――「尖閣」という日本が直面する具体的な危機を前に、日米両国の強い絆が改めて確認された。今回の日米首脳会談を同盟再強化の契機として評価したい。
―――尖閣諸島の領有権を主張し、公船で挑発行為を繰り返し、一方的に防空識別圏を設定している中国に対し、大きな抑止力となる。
―――米側の明確な意思表明を受け、安倍晋三首相は「日米同盟は力強く復活した。同盟はかつてないほど盤石だ」と語った。揺るぎない同盟を内外にアピールできた成果は大きい。
―――大統領自らの発言を受けて、安倍首相は(集団的自衛権の)行使容認に向けた政府与党内の議論をさらに加速する必要がある。
「尖閣」と言う危機に直面している以上、これは産経の社説は至極もっともだ。
しかしこうしたもっともな主張に相反する社説を掲げたメディアもあった。それは朝日だ。
■朝日社説は安倍政権牽制の印象操作
朝日の同日の社説は、「首相は大統領から、ほぼ望み通りの『お墨付き』をもらったということなのだろう」としながら、こう述べるのだ。
―――閣僚レベルで何度も確認していることでも、大統領の口からはっきり宣言してもらう。これが尖閣周辺海域で緊張を高めている中国への牽制になるというのが日本政府の狙いだ。首脳会談に先立つ調整でも、そこに力点が置かれた。
―――だが、オバマ大統領の発言の主眼は、日本側の期待とは少しずれていた。
―――大統領はこう語った。「私が強調したのは、この問題を平和的に解決することの重要性だ。言葉による挑発を避け、どのように日本と中国がお互いに協力していくことができるかを決めるべきだ」。さらに「日本と中国は、信頼醸成措置をとるべきだ」とも。
―――首相がいくら米国との同盟の絆をうたいあげようと、中国との間に太い一線を引いたままではアジア太平洋地域の安定はあり得ない。日米中の三つの大国がそれぞれ安定した関係を保つことが、周辺諸国が求めるところでもあろう。
つまり朝日のこの社説は、オバマ氏は中国牽制だけでなく、むしろ日中対立の平和的解決の方を望んでいるかのような印象操作を行った上で、安倍政権に対し、あまり浮かれるなと「牽制」しているわけだ。
「中国との間に太い一線を引いたまま」ではならないと注文するが、常日頃「対話のドアは常にオープンにしている」として対中関係の改善の意向を示している安倍首相に対し、さらに何をせよと求めているのか。
中国側は領土問題の存在を認めて問題の「棚上げ」を行うことを日中首脳会談の条件としている。朝日はそうした条件を呑めと要求しているのだ。これを言い換えれば「盗人の言い分に一定の理解を示し、抵抗を止めろ」となる。
「日米中の三つの大国がそれぞれ安定した関係を保つことが、周辺諸国が求めるところでもあろう」というが、日米同盟による対中抑止力を下げるのを求める「周辺諸国」とは、もちろん中国自身と北朝鮮だ。
ちなみに社説のタイトルは「日米首脳会談―アジアの礎へ一歩を」。朝日の言う「アジア」とはいったい…。
■台湾「自由時報」の社説と朝日を比べよ
朝日の眼中には入っていないようだが、「周辺諸国」には台湾も含まれる。こちらも尖閣諸島とは至近の距離にあり、しかも尖閣諸島の領有権を主張しているわけだが、オバマ発言へのこの国の反応はどうか。
実は台湾外交部は記者会見の前日、オバマ氏が読売新聞のインタビューで安保条約が尖閣に適用されると述べたのを受け、すでに次のようなコメントを出している。
「釣魚台に関する発言は、行政管轄範囲に関して触れただけで、主権の帰属問題には触れていない。米国は中華民国の立場を理解している(台湾政府は、日本は尖閣諸島に「行政権だけは及ぼしている」という立場)
このようにオバマ発言に対し、まったく反撥しなかった。
一方、最大の発行部数を誇る自由時報は二十五日、「米国の時宜にかなった表明を歓迎する」と題する社説を掲げ、下のように論じた。
―――オバマ大統領は東京で日米安保条約は釣魚台に適用されると明確に表明した。これは米大統領が初めて釣魚台問題において日本の防衛に協力する義務があると公に表明したものだ。
―――中国が五カ月前に東支那海で一方的に防衛識別圏を設定した後の最初のアジア訪問で、日米同盟の確認を強調して見せたことは、東亜の安定と繁栄の維持には必要だ。
―――オバマは日中が釣魚台問題の平和的解決に希望を表明したほか、「もし米中露などの大国が一方的に小国に不利な行動を起こせば、世界が長期的に安定し繁栄することはない。国際秩序は守られなければならない」とも述べた。
―――オバマの国際秩序への言及は、まさに東亜の安定の障害たる中国こそが問題の根源だと指摘したものだ。中国は「平和的台頭」などと標榜するが、しかし軍事費は二十数年間にわたって二桁台の成長だ。大々的に軍拡を行い、周辺国とも領土紛争を引き起こすなど、東亜の平和の最大の脅威になっている。
―――米国の時宜に適った表明は、台湾から見ても必要なものなのだ。台湾は中国の併呑攻勢への抵抗で奮闘中。米国の道義的、実質的な支援が欲しい。
この自由時報の社説からは、小国として大国中国に恫喝、翻弄されつづける台湾の人々の日米同盟の強化への期待がどれほど切実なものかが伝わってくるだろう。
朝日の社説には中国への配慮は見られても、こうした中国の脅威に脅えるアジアの小国への配慮と言うものが一切ないのである。
いやむしろ日米同盟に反対しないアジアの小国は、黙殺の対象とするのが朝日数十年来の報道姿勢である。
根強い朝日新聞信仰のため、産経と朝日との対比では朝日の方を信用してしまう日本の大衆は、いちど台湾など中国、韓国、北朝鮮以外のアジアメディアと朝日を比べたらいいかと思う。
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来日したオバマ米大統領は四月二十四日、安倍晋三首相との共同記者会見で日米安保条約が尖閣諸島にも適用されると明言。安倍政権の集団的自衛権行使に向けた取り組みにも支持を表明した。
これを受けて翌二十五日、産経新聞は社説で次のように論じた。
―――「尖閣」という日本が直面する具体的な危機を前に、日米両国の強い絆が改めて確認された。今回の日米首脳会談を同盟再強化の契機として評価したい。
―――尖閣諸島の領有権を主張し、公船で挑発行為を繰り返し、一方的に防空識別圏を設定している中国に対し、大きな抑止力となる。
―――米側の明確な意思表明を受け、安倍晋三首相は「日米同盟は力強く復活した。同盟はかつてないほど盤石だ」と語った。揺るぎない同盟を内外にアピールできた成果は大きい。
―――大統領自らの発言を受けて、安倍首相は(集団的自衛権の)行使容認に向けた政府与党内の議論をさらに加速する必要がある。
「尖閣」と言う危機に直面している以上、これは産経の社説は至極もっともだ。
しかしこうしたもっともな主張に相反する社説を掲げたメディアもあった。それは朝日だ。
■朝日社説は安倍政権牽制の印象操作
朝日の同日の社説は、「首相は大統領から、ほぼ望み通りの『お墨付き』をもらったということなのだろう」としながら、こう述べるのだ。
―――閣僚レベルで何度も確認していることでも、大統領の口からはっきり宣言してもらう。これが尖閣周辺海域で緊張を高めている中国への牽制になるというのが日本政府の狙いだ。首脳会談に先立つ調整でも、そこに力点が置かれた。
―――だが、オバマ大統領の発言の主眼は、日本側の期待とは少しずれていた。
―――大統領はこう語った。「私が強調したのは、この問題を平和的に解決することの重要性だ。言葉による挑発を避け、どのように日本と中国がお互いに協力していくことができるかを決めるべきだ」。さらに「日本と中国は、信頼醸成措置をとるべきだ」とも。
―――首相がいくら米国との同盟の絆をうたいあげようと、中国との間に太い一線を引いたままではアジア太平洋地域の安定はあり得ない。日米中の三つの大国がそれぞれ安定した関係を保つことが、周辺諸国が求めるところでもあろう。
つまり朝日のこの社説は、オバマ氏は中国牽制だけでなく、むしろ日中対立の平和的解決の方を望んでいるかのような印象操作を行った上で、安倍政権に対し、あまり浮かれるなと「牽制」しているわけだ。
「中国との間に太い一線を引いたまま」ではならないと注文するが、常日頃「対話のドアは常にオープンにしている」として対中関係の改善の意向を示している安倍首相に対し、さらに何をせよと求めているのか。
中国側は領土問題の存在を認めて問題の「棚上げ」を行うことを日中首脳会談の条件としている。朝日はそうした条件を呑めと要求しているのだ。これを言い換えれば「盗人の言い分に一定の理解を示し、抵抗を止めろ」となる。
「日米中の三つの大国がそれぞれ安定した関係を保つことが、周辺諸国が求めるところでもあろう」というが、日米同盟による対中抑止力を下げるのを求める「周辺諸国」とは、もちろん中国自身と北朝鮮だ。
ちなみに社説のタイトルは「日米首脳会談―アジアの礎へ一歩を」。朝日の言う「アジア」とはいったい…。
■台湾「自由時報」の社説と朝日を比べよ
朝日の眼中には入っていないようだが、「周辺諸国」には台湾も含まれる。こちらも尖閣諸島とは至近の距離にあり、しかも尖閣諸島の領有権を主張しているわけだが、オバマ発言へのこの国の反応はどうか。
実は台湾外交部は記者会見の前日、オバマ氏が読売新聞のインタビューで安保条約が尖閣に適用されると述べたのを受け、すでに次のようなコメントを出している。
「釣魚台に関する発言は、行政管轄範囲に関して触れただけで、主権の帰属問題には触れていない。米国は中華民国の立場を理解している(台湾政府は、日本は尖閣諸島に「行政権だけは及ぼしている」という立場)
このようにオバマ発言に対し、まったく反撥しなかった。
一方、最大の発行部数を誇る自由時報は二十五日、「米国の時宜にかなった表明を歓迎する」と題する社説を掲げ、下のように論じた。
―――オバマ大統領は東京で日米安保条約は釣魚台に適用されると明確に表明した。これは米大統領が初めて釣魚台問題において日本の防衛に協力する義務があると公に表明したものだ。
―――中国が五カ月前に東支那海で一方的に防衛識別圏を設定した後の最初のアジア訪問で、日米同盟の確認を強調して見せたことは、東亜の安定と繁栄の維持には必要だ。
―――オバマは日中が釣魚台問題の平和的解決に希望を表明したほか、「もし米中露などの大国が一方的に小国に不利な行動を起こせば、世界が長期的に安定し繁栄することはない。国際秩序は守られなければならない」とも述べた。
―――オバマの国際秩序への言及は、まさに東亜の安定の障害たる中国こそが問題の根源だと指摘したものだ。中国は「平和的台頭」などと標榜するが、しかし軍事費は二十数年間にわたって二桁台の成長だ。大々的に軍拡を行い、周辺国とも領土紛争を引き起こすなど、東亜の平和の最大の脅威になっている。
―――米国の時宜に適った表明は、台湾から見ても必要なものなのだ。台湾は中国の併呑攻勢への抵抗で奮闘中。米国の道義的、実質的な支援が欲しい。
この自由時報の社説からは、小国として大国中国に恫喝、翻弄されつづける台湾の人々の日米同盟の強化への期待がどれほど切実なものかが伝わってくるだろう。
朝日の社説には中国への配慮は見られても、こうした中国の脅威に脅えるアジアの小国への配慮と言うものが一切ないのである。
いやむしろ日米同盟に反対しないアジアの小国は、黙殺の対象とするのが朝日数十年来の報道姿勢である。
根強い朝日新聞信仰のため、産経と朝日との対比では朝日の方を信用してしまう日本の大衆は、いちど台湾など中国、韓国、北朝鮮以外のアジアメディアと朝日を比べたらいいかと思う。
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