期待される安倍首相の「作戦」-台湾から見た日本政府の台湾支持姿勢(下)
2020/05/04/Mon
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4月29日の参院予算委員会で、台湾のWHO参加問題に関する外務省の取り組みについて、茂木敏充外相への質問を終えた白眞勲議員は、その後再び安倍晋三首相に質問を行った。
「台湾は本当にWHOに入れるのか。オブザーバー参加について強く働き掛けないと、今の(WHOの)事務局長さんは、『ああ、そうですか』でおしまいにしてしまう。総理として強くイニシアチブを取ってもらいたい」と迫ったのだ。
これに対し安倍首相はこう述べた。
「ご承知のように台湾は、かつてはオブザーバー参加をしていた。ただその時は、台湾の政権が国民党政権だった。その後、蔡英文政権になって、(WHOの)態度が変わってしまったという問題がある。そういう政治性をなくしていくというのが、本来のWHOでなければならないのだから、当然私も、その点を国際社会に向かって主張していきたいと思う」
これを要するに、「国民党の馬英九政権は、台湾は中国領土だとする『一つの中国』原則を認めたため、中国はWHO事務局が台湾政府に総会への招待を行うのを許したが、今の民進党の蔡英文政権はその原則を受け入れないため、中国は同政権を揺さぶろうと招待させずにいる。これは政治的に中立であるべきWHOにとっては、あってはならないことであると訴えていきたい」と言っている訳である。「中国」という国名にこそ触れていないが、問題の本質はしっかりと衝いている。
これに対し白議員は、「自分で向かって行くのはいいのだが、他の国と連携して向かって行かなければいけない。その部分を(はっきりと話すよう)お願いします」と畳み掛けた(日本を含む各国が、この問題で連携しつつある現状を知らないのか)。これに対して安倍首相は、こう応じた。
「どこが反対しているかはご承知の通り。その大変反対している国が影響力を行使している。私も様々な努力をしてきた。白議員がおっしゃる通りであるが、ここで私がどういう作戦を考えているかを申し上げると、それはまたブロックに繋がってくるので(言わない)。考え方は(あなたと)同じであるので、成果を上げるべく努力して行きたい」。
このように安倍首相はWHO事務局を裏で操縦する中国こそ最大の障害であることを明確にした。「中国の嫌がることは言わない」という政界の掟が身に染み付いているのか、「中国」とは名指しこそしなかったが、これはこれで従来にない突っ込んだ発言と言えるのではないか。
むろん台湾では、これも報じられている。自由時報は、「WHO参加を阻止するのは中国だと暗示した」「成果を上げるまでは全力で行きたいと述べた」と強調。これが「さすがは日本だ」と言いたいのか、「日本にしてはよくやる」という意味なのかは分からないが、とにかく評価しているのは事実だ。日本の首相のこうした親台発言が、台湾側を大いに励ましていない訳がない。
4月29日発行の米外交専門誌「フォーリンポリシー」の報道によれば、日米は英、豪、仏、独を誘い、今年5月に開催予定のWHO総会に台湾を招くようテドロス事務局長に求める書簡への連名を求めたという。これなどもまた、安倍氏の言う「作戦」の一つなのだろうか。
もっとも台湾の呉釗燮外交部長(外相)は23日の国会答弁で、「国際的な支持の声は効きつつあるが、総会に招かれる可能性は今年はまだ低い」との見方を示している。しかし戦いはこれからである。
武漢ウイルス禍の中にあったも公衆衛生より中国の政治を優先させ、台湾排除を続けるWHOは、中国の影響下に陥りつつある国際社会の腐敗堕落状況の、正に縮図と言えるだろう。そうした状況を打破するため、日本政府は目下、身を乗り出しつつあるのだろうか。
少なくとも台湾側は、そう感じ取っているようだ。
(おわり)
【過去の関連記事】
台湾から見た日本政府の台湾支持姿勢(上)―日本の「勇気」が喜ばれる 20/05/02
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-3485.html
台湾から見た日本政府の台湾支持姿勢(中)―骨のある外務省! 20/05/03
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-3486.html
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「台湾は本当にWHOに入れるのか。オブザーバー参加について強く働き掛けないと、今の(WHOの)事務局長さんは、『ああ、そうですか』でおしまいにしてしまう。総理として強くイニシアチブを取ってもらいたい」と迫ったのだ。
これに対し安倍首相はこう述べた。
「ご承知のように台湾は、かつてはオブザーバー参加をしていた。ただその時は、台湾の政権が国民党政権だった。その後、蔡英文政権になって、(WHOの)態度が変わってしまったという問題がある。そういう政治性をなくしていくというのが、本来のWHOでなければならないのだから、当然私も、その点を国際社会に向かって主張していきたいと思う」
これを要するに、「国民党の馬英九政権は、台湾は中国領土だとする『一つの中国』原則を認めたため、中国はWHO事務局が台湾政府に総会への招待を行うのを許したが、今の民進党の蔡英文政権はその原則を受け入れないため、中国は同政権を揺さぶろうと招待させずにいる。これは政治的に中立であるべきWHOにとっては、あってはならないことであると訴えていきたい」と言っている訳である。「中国」という国名にこそ触れていないが、問題の本質はしっかりと衝いている。
これに対し白議員は、「自分で向かって行くのはいいのだが、他の国と連携して向かって行かなければいけない。その部分を(はっきりと話すよう)お願いします」と畳み掛けた(日本を含む各国が、この問題で連携しつつある現状を知らないのか)。これに対して安倍首相は、こう応じた。
「どこが反対しているかはご承知の通り。その大変反対している国が影響力を行使している。私も様々な努力をしてきた。白議員がおっしゃる通りであるが、ここで私がどういう作戦を考えているかを申し上げると、それはまたブロックに繋がってくるので(言わない)。考え方は(あなたと)同じであるので、成果を上げるべく努力して行きたい」。
このように安倍首相はWHO事務局を裏で操縦する中国こそ最大の障害であることを明確にした。「中国の嫌がることは言わない」という政界の掟が身に染み付いているのか、「中国」とは名指しこそしなかったが、これはこれで従来にない突っ込んだ発言と言えるのではないか。
むろん台湾では、これも報じられている。自由時報は、「WHO参加を阻止するのは中国だと暗示した」「成果を上げるまでは全力で行きたいと述べた」と強調。これが「さすがは日本だ」と言いたいのか、「日本にしてはよくやる」という意味なのかは分からないが、とにかく評価しているのは事実だ。日本の首相のこうした親台発言が、台湾側を大いに励ましていない訳がない。
4月29日発行の米外交専門誌「フォーリンポリシー」の報道によれば、日米は英、豪、仏、独を誘い、今年5月に開催予定のWHO総会に台湾を招くようテドロス事務局長に求める書簡への連名を求めたという。これなどもまた、安倍氏の言う「作戦」の一つなのだろうか。
もっとも台湾の呉釗燮外交部長(外相)は23日の国会答弁で、「国際的な支持の声は効きつつあるが、総会に招かれる可能性は今年はまだ低い」との見方を示している。しかし戦いはこれからである。
武漢ウイルス禍の中にあったも公衆衛生より中国の政治を優先させ、台湾排除を続けるWHOは、中国の影響下に陥りつつある国際社会の腐敗堕落状況の、正に縮図と言えるだろう。そうした状況を打破するため、日本政府は目下、身を乗り出しつつあるのだろうか。
少なくとも台湾側は、そう感じ取っているようだ。
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