2007/04/29/Sun
乱暴者の大男であるA君が、善良で大人しいチビのB君を殴りかかろうとした。そうなればB君は身を守るために反撃し、大騒ぎになりかねない。騒ぎに巻き込まれたくない臆病者のC君はあろうことかB君に対し、「A君の言うことを聞け。騒ぎは迷惑だ」と罵った、と言うような話はどこにでもある。
さて中国の熊光楷元副総参謀長は四月二十八日、加藤紘一、山崎拓氏ら自民党訪中団一行と会見、「台湾独立の兆しがあれば、非平和的手段で解決するつもり」と告げるとともに、「もし日本が台湾海峡での戦争が厭なら、一緒に台湾独立に反対してほしい」と訴えたらしい。
要するに「オレは戦争をやるぞ。巻き込まれたくないなら、オレに協力しろ」と要求したわけだ。先日は温家宝首相が安倍首相に「台湾独立反対を表明してくれ」と再三懇願して断られたばかりだが、今回は随分と露骨な要求に出たものだ。相手を見てからものを言うのが上手な中国人だが、もしや加藤、山崎両氏を、先にあげたC君のタイプとでも見たのだろうか。
日本にC君のような卑怯者タイプが大勢いる限り、中国のそうした人々への取り込み分断工作が止むことはない。台湾海峡の防衛には、日本人の勇気が大いに関わっているのである。
2007/04/29/Sun
四月二十八日、国共両党の「懇親会」である両岸経済貿易フォーラムが北京の人民大会堂で開幕した。
胡錦濤総書記は連戦名誉主席率いる国民党代表団と会見し、「以商逼政、以和制独」、つまり経済貿易関係を発展させて民進党政権を追いつめ、一致協力して台湾独立を制止しようと呼びかけた。
これを受け連戦は、「台湾の指導者は文化大革命をやっている。台湾独立意識で両岸関係を阻害している。去中国化(中国離れ)を進めて、台湾を国際社会で不安定な地域にしている」と民進党を痛罵した。
共産党はさぞ国民党一行の媚びへつらう態度に自信を深めたことだろう。ここで中央政治局常務委員の賈慶林・全国政協主席が登場し、次のような恫喝に出た。
「中国は絶対に台湾独立を容認しない。如何なる形でも中国の分割は許さない。両岸の平和発展の目標は台湾独立に断固反対するにある。中国には台湾独立を制止する能力もあれば準備もあるのだ」
反国家分裂法の制定以来、なるべく脅しの文句を控えてきた共産党だが、この日のこうした激しい恫喝に、一行の共産党への忠誠心はますます鞏固のものとなったのではないか。「きっと今のお言葉を台湾の島民どもに伝達します」などと誓いを新たにしたり…。
中国人の懐柔と恫喝の使い分けは、まさに天下一品である。
台湾で中国との宥和を訴える国民党だが、彼らの心理形態はこのようなものなのだ。つまり醜悪な傀儡心理。
もしこんな連中が来年の選挙で政権を取ったら、それこそ台湾は「不安定な地域」になるに違いない。
2007/04/29/Sun
北京オリンピックの聖火リレーが台湾を通過すると言う話となり、それが実現すれば「東京オリンピック以来、四十四年のぶりだ」と湧き立った台湾だが、そこで問題になったのがそのルートである。「台湾は中国の一部」であるとする中国の意向に従い、「中国→台湾→中国」とでもなれば、国際社会から台湾は中国国内ルートの一通過点と見做されかねない。だから台湾側は「それだけは受け入れられない」と訴えた。そこで中国は「誠意」を見せた。かくしてこのほど発表したのが「ベトナム→台湾→香港→中国」のルートである。ところが台湾政府はこれを拒否した。これでは台湾が中国国内ルートの基点と思われる、あるいは中国にそう思わされる。だから「第三国→台湾→第三国」でなければダメなのだと。
そこで中国側は怒って言った、「台湾は五輪に政治を持ち込むな」と。だが一方的に政治を持ち込んでいるのは中国の側である。ありとあらゆる機会を借りて統一宣伝工作に打ち込むのがこの国だ。実際中国の五輪委員会のHPでの国際ルートの説明には、「ベトナム・ホーチミン市→中国香港・香港特別行政区」とあって、台湾は敢えて表示されていない。つまり台湾を純粋な国内ルートとして扱っているのだ。これでも中国は政治を持ち込んでいないと言えるのか。
ところがこうした台湾への責任の擦り付けこそ中国得意の手法なのである。こう台湾を非難することで、すでに国際社会では台湾こそがトラブルメーカーであるとの印象をもたらすことに成功しつつある。例えば日本での報道を見ればわかる。これでは「台湾がごねている」「次期総統選を視野にしたパフォーマンス」とのイメージは避けられないだろう。すでに国際五輪委員会からも、台湾は「政治的に反対している」との指摘が出ている。同委が中国の圧力に屈し、台湾イジメの片棒を担いでいることはよく知られているが。
またその一方で台湾国内においても、「政府はやりすぎ、このままでは台湾のイメージが悪化する」「政治を持ち込むな」との声が上がっている。まさに中国の「分断工作」が功を奏している形だ。
今回の騒動は最初から中国が仕組んだものなのである。だからこの国に手抜かりなどない。
だからと言って、もし台湾が中国の工作に屈したなら、台湾は「中国の一部」との印象はいっそう拡大して行くことだろう。それは「トラブルメーカー」と見做されるよりもっと恐ろしいことだ。それならこの際、もっと「トラブル」を拡大して世界の耳目を集め、「中国の一部」ではないと強調した方がいいのである。北京五輪を絶好の機会として中国は宣伝工作を展開しているのだ。それに対抗するには台湾も同様の手段に出る以外にない。
台湾の蘇貞昌行政院長は、五輪ボイコットも辞さないとの意向を示した。これまで中国は国際五輪委に圧力をかけ、台湾の国名使用を禁じさせて来た。よって台湾の選手は競技の場で「台湾」と名乗れず、「チャイニーズタイペイ」つまり「中国の台北」を国名代わりにさせられていることは周知のとおりだ。そして今回の聖火ルートの問題である。ここまできて、なおも中国に唯々諾々とできるのか、と言うところまで台湾は追いつめられているのだ。
中国は今後も台湾国内の分断工作を強化して行くことだろう。台湾側の強硬姿勢を見た中国五輪委員会のHPは、「中国・台北」の名称を、台湾側が比較的に受け入れやすい「中華・台北」に変えるなどで、懐柔に出ているのもその一環だ。
だが「中国」であれ「中華」であれ、国際社会から見ればいずれも「チャイナの台北」。世界が注視するべきなのは、こうした中国の政治的な五輪利用の実態なのだ。中国と言う侵略国家の嘘の宣伝に世界中が騙されるなど愚かなことだ。
2007/04/28/Sat
これでも日本人は「脅威」を否定するか
台湾侵略―中国自身が認めた軍拡の意図
台湾研究フォーラム会長 永山英樹
十九年連続の二桁の伸びで「国防費」の拡大を続け、国際社会で「中国脅威論」を惹起している中国。もっともそこには大きな比重を占めているはずの外国からの兵器購入、兵器の研究開発などは含まれておらず、実際には公表数値の二-三倍に上ると見られているが、それでもこの国の政府は、軍事費拡大の要因は人件費(兵員の大幅削減を進めてきたに関わらず)だと強調し続け、「脅威論」の払拭に努めてきた。
これに対し、敢えて「脅威」を見て見ぬふりをしてきたのが日本の政財界、メディアである。さきごろの温家宝首相の来日でも、その微笑外交、平和攻勢に手放しで歓迎の意を表明したことは記憶に新しい。少なくとも彼を二十一世紀における最大の侵略主義国家の首相として批判の矛先を向けた政治家、メディアはいくらもいなかったと言うのは事実である。
だが四月二十七日になり、中国共産党中央政治局の李長春常務委員は訪中した自民党の山崎拓、加藤紘氏らアジア外交・安保ビジョン研究会代表団との会見で、「軍事費の透明性の問題は台湾問題だ。台湾の独立は絶対に認めない。平和的解決を望むが、武力行使も辞さない」(朝日新聞)、「台湾解放のための装備近代化だ」(北海道新聞)と述べ、軍事費拡大の目的が台湾への攻撃にあるとはっきり認めたのである。
「平和的解決」とは何か。それは台湾を武力恫喝し、血を流さずに台湾を領土に組み込むことだ。「武力行使」とは何か。それ言うまでもなく、台湾側が併合を拒否した場合に武力侵攻でそこを攻略することだ。そのいずれにせよ台湾が中国の領土ではない以上、今日の国際社会では絶対に許容されない軍事力を行使しての領土拡大の動きであり、そのための軍事費拡大であると言うことを、中国自身が正直に認めたわけだ。
この発言に対して山崎、加藤両氏らがどのような意見を述べたかは不明だが、ここまで聞かされた自民党としては黙っているわけには行かないだろう。世界に先駆けて中国の軍備拡張、侵略準備の動きを非難するとともに、国民、そして国際社会に対しても警告を発し、注意を喚起しなければならないはずである。そして我々国民は、自民党が、政府が、それができるかできないかを注視するべきである。
そもそも中国が軍事費を急増させ、台湾、そしてその後ろ盾である日米を視野に軍隊のハイテク化を推進していることは誰も否定できない事実なのであって、日本人が「中国の脅威」を否定するなど、すでに許されないことなのである。「日中友好」と言うが、侵略主義国家といったいどのような「友好」が可能だと言うのか。国民全体が対中関係を抜本から見直すときだ。(19.4.28)
2007/04/28/Sat
韓国紙「東亜日報」は4月27日の社説で、米政府が安倍首相の訪米を前に、次期主力戦闘機(F22のこと)を日本へ供給する議論を歓迎」と述べたのを受け、「日米同盟を軸に東アジアの安保秩序を管理するという米国の意志の表現である」と評価しつつも、もし航空自衛隊がそれを保有すれば、中国は黙ってはいない、そうなると台湾も黙ってはいない、そうなれば北東アジアは深刻な軍拡競争に陥り、「米中関係が協力よりも相互牽制に流れれば、その間に挟まれた韓国は苦しくなる」との憂慮も示した。
19世紀後半以降、大陸勢力(中国やロシア)につくか、海洋勢力(日本や米国)につくかで、つまりどちらに従属した方が得かで国論を二分させてきた韓国人の事大主義だが、こうした憂慮表明に、相変わらず「その間」で苦悩しているのだなと感じる。
韓国が韓国であり続けるためには、海洋陣営、民主主義陣営に入るしかないわけなのだから、北朝鮮やその背後に連なる中国の顔色ばかり伺っていないで、しっかり腹を決めるべきだろう。かつてその事大主義のために翻弄され、日清、日露戦争を戦わなければならなくなった日本の国民としては、どうしてもそのように考えてしまう。
それともやはり日本がもっと強くならないとなびいてこないか。その日本も、今ではすっかり事大主義に陥っているのだが。
とにかくF22を。「東亜日報」も密かにそれを楽しみにしている感じだ。
2007/04/26/Thu
台湾有事で日本はターゲットになる
台湾研究フォーラム会長 永山英樹
「SAPIO」(4月25日号)に掲載の陳用林・元在シドニー中国領事館一等書記官のインタビュー記事(「亡命元大物工作員が警告!」)は中国の工作活動の一端を知る上でとても有用だが、ここで取り上げてみたいのは、そのなかの陳氏の次の証言である。
「中国は常に、日本を仮想敵国と想定し、軍部はいずれ両国間に起きる戦争の可能性をシュミレーションしている。たとえば台湾問題が一例だ。中国軍部は台湾を武力統一する場合、まず日本を先制攻撃して、無力化させることが必要だと考えている」
三月末に米ランド社が発表した報告も、中国軍は台湾有事に際して米軍の介入を阻止するため、まず日本を武力で恫喝し、米軍に基地を使用させないよう試みるとの分析を見せていた。
日本がターゲットに入るのは当然だろう。そもそも目下台湾防衛の後ろ盾となっているのは米軍であり、日米安保体制だからだ。中国はすでに台湾への武力行使の条件の一つに「外国勢力が武力介入して台湾独立が現実化した場合」と言うものを挙げているが、その「外国勢力」とは米国以外には日本なのだ。つまり中国は「台湾防衛に深入りするな。さもなければ日米を攻撃する」との警告してきているのである。
中国が立てる台湾攻略のシナリオは対米全面戦争ではなく、米空母機動艦隊が介入する前に台湾占領すると言うものとされる。それではその空母の母港はと言えば、まずそれは横須賀なのだから、日本への恫喝、攻撃に打って出ることは当然予測されることである。中国にとり圧倒的な核戦力を持つ米国本土への攻撃はまったく得策ではなくとも、それに比べて核すら持たない日本への攻撃ならリスクは低いし、少なくとも核の恫喝一つで、日本は降服する可能性は大いにある。
いや実は、はるか前から恫喝は行われていると見た方がいいだろう。日本国民はほとんど気がついていないが、中国が「日中関係の基礎に関わる問題だ」として「一つの中国」の原則を守れと執拗に要求するのも、「台湾独立の広告塔」である李登輝氏の訪日にヒステリックなまでに反対するのも、すべては台湾有事に備えた「台湾問題は中国の内政問題だ」との宣伝工作であり、「台湾問題に手を出すな」との警告なのである。恫喝はとうの昔に始まっているのだ。
そしてそのために、一旦有事に際して日本の政府、国民は、「中国の内政問題のために、日本人は血を流してはならない」との判断でも下すのだろうか。もしそうなって台湾が攻略されたなら、いやそれ以前に日本の裏切りによって日米同盟が破綻したなら、日本は孤立して中国の勢力下に組み込まれるのを待つだけになるだろう。では頼みの綱としてきた米軍はそのとき何をしているかと言えば、とうに東アジアを捨てて東太平洋にまで後退している・・・。これは単なる想像ではない。中国は戦略として現実に、そのような事態を願っているのだ。
この国がほしいのは台湾の島だけではない。その狙うところは、まずは要衝台湾を奪い、その後日本を含む東アジア・西太平洋を自らの勢力下に置くと言うことにある。だから台湾を攻略する以上、必要とあればもう一つの重要ターゲットである日本を攻撃することに躊躇などあるだろうか。こんな当然の予測も一般に語られないのは、日本人が平和ボケであると言う以外には、それほど中国の宣伝工作が効いていると言うことだろうか。
かつて田中外相は「香港のように台湾も統一されるといい」などと中国外相に語ったことがあったが、これほど馬鹿げた「外相発言」が聞かれるのが日本と言う国であることを、国民は危機感をもって考えるべきだ。日本にとって香港と台湾は全く違う。国家主権を保てるかどうかにおいて、日台はどこまでも一蓮托生の宿命にあるのである。(19.4.23)
2007/04/25/Wed
米国の有力シンクタンク、ランド社は3月下旬、台湾有事の際、中国がいかに米軍の介入を阻止するかに関し、「竜の巣に入るー中国の反介入戦略と米国への影響」と題する報告を発表したが、これをまとめたロジャー・クリフ研究員によると「中国軍は米国を破り、政治、軍事的目標を達成する(米軍の介入阻止に成功する)可能性がある」と指摘する。
では中国軍はいかなる戦術で反介入に出るのか。報告は次のように分析する。
(1)米国の同盟国に圧力を欠け、米軍にその国の軍事基地の使用を制限、もしくは阻止する。
(2)米軍の偵察衛星、警戒レーダー、コンピューター、情報システムを攻撃する。
(3)米軍の輸送、補給システムを攻撃し、増援を阻止する。
(4)米軍の西太平洋地区の空軍基地を攻撃する。
(5)西太平洋に配備した米軍空母を攻撃する。
この報告に関連して台湾高等研究協会の廖文中研究員は、「米国は台湾が7日間持ちこたえることを期待し、台湾の李傑国防部長もそれは可能と言っているが、中国側は大体48時間あれば、大量のミサイル攻撃で軍事施設を破壊し、台湾全体をメチャメチャにできると見ている」と指摘している。
一方、中国側の見方だが、ランド社の「中国脅威論」には敏感だ。新華社系の週刊紙「国際先駆報」は、近年のランド社報告は米軍の介入失敗の確立は高いと繰り返すが、解放軍の脅威を誇大に伝えることで、米軍の軍備増強の口実を与えているのだと報じている。
ところで報告にある「同盟国」とはどこかと言うと、もちろんそれは日本を指している。報告では「日本が米軍に基地使用を認めるなら、攻撃も辞さない」との中国軍幹部の発言も取り上げているが、日本がこの国の軍事恫喝を撥ね退けられるかどうかが重要なポイントとなるわけである。
2007/04/24/Tue
来年に総統選挙を控える台湾。李登輝氏は22日の台湾団結聯盟の大会席上、「2008年は台湾にとって重要な年だ」と強調、「中国の一省の省長ではなく、台湾の総統を選ぶのだ」と訴えた。
この言葉が意味するものは何か。李氏は言う、「最大野党は中国と結託までして政権を奪回しようとしている」と。
最大野党とは言うまでもなく、「民進党に投票すると中国が攻めて来るぞ。平和を望むなら国民党へ」と宣伝し、いまや中国の傀儡、代弁者になりさがっている国民党のことである。同党が中国からの国家防衛に必要な兵器購入予算案の通過を妨害し続けていることはよく知られている。
その国民党は最近では、不在籍投票法案なるものを押し通そうとしている。これは150万人とも200万人とも言われる中国在住のビジネスマン、留学生などにも現地での投票の機会を与えると言うもの。中国と言う国で、中国のアメとムチの統一工作の対象となっている人々に、国民党へ票を入れさせようと言うのが狙いである。ようするに中国の支援の下で・・・。
これが国民党の所謂「聯共制台」(共産党と連なって台湾を制する)である。たとえ中国の地方政権であっても、台湾の島の実権を握りたい、少なくとも台湾人政権の下に甘んじるよりはマシだと言うのが、国民党・中国人勢力の本音ではないだろうか。
だから国民党候補を当選させては、台湾で中国の傀儡政権ができかねないと言うわけだ。そこで李氏は「新総統は台湾を主体とする人間でなければならない。外国の力で台湾を動かそうなど、もってのほかだ」と言うのだが、そこまで叫ばなければならないほど、中国の侵略攻勢に台湾国民は無警戒であると言うことだろう。
李氏はさらに、「中露関係が緊密化へ向かい、米国も中東問題で身動きができない状況は、アジア情勢に大きく影響している。総統候補者はこのことをはっきり理解できなければならない」とも語ったが、これだけを見ても、台湾総統選挙がいかに日本の安全保障に大きく関わるものであるかが理解できるはずだ。
2007/04/24/Tue
台湾軍の漢光23号演習(コンピューター上の図上演習)が5日間にわたって実施され、4月20日に終了した。
演習は2012年、統一協議に応じず、しかも兵器購入の捗らない台湾へ中国軍が攻撃を開始するとの想定の下で行われたが、それによると台湾軍は、開戦から三日間は中国軍のミサイル攻撃、海空兵力による飽和攻撃を受けるものの、その後中国の沿海の軍事基地や主要都市に対し、巡航ミサイル(先ごろ開発に成功した「雄風2E」と見られる)で反撃を行い、最終的には両国とも甚大な損害を受け、世界の貿易経済を恐慌に陥れ、やがて米国など各国が共同で調停に乗り出し、停戦を迎える・・・このような結果に行き着いたわけだが、実際にはどうなるか。
台湾軍は「きわめて正確な分析だ」と説明するが、専門家の間では「台湾は狭いが中国は広い」、つまり台湾側にとり、攻撃目標はあまりに多く、結局中国には反撃しきれないとの見方もある。なおこの演習では、中国軍の核攻撃は想定に入っていない。
演習に立ち会った米軍視察団の関心は台湾軍戦力の精神面。例えば国内の政争の影響は受けないか、あるいは米軍が提供した兵器や技術が中国側に手に落ちることはないか。つまり台湾国内の中国傀儡勢力の動向が、どこまで自国に損害をもたらすかと言うことだ。
2007/04/23/Mon
我が国のFX(次期主力戦闘機)の最有力候補とされるF22Aラプターだが、久間防衛相は二十日、日経新聞のインタビューで、FX選定について「まず中身を知るために情報を開示してもらわなければならない。こちらの気持ちを米側に伝えたい」と語った。
現在米国は最新技術の集大成であるF22の外国への売却を禁じており、性能情報も公にしていない。そのためこの発言は同機購入への布石と見られている。
先日、同機の売り込みに来日したロッキード社のコンリン担当渉外部長は「撃破されるリスクはほとんどない。世界で最も素晴らしい戦闘機。四十年は使える」と豪語した。ステルス性能ゆえ、敵に気づかれる前での攻撃が可能、昨年はF15、F16、F18が同機と模擬空中戦を行ったところ、それ一機を落とす前に、百四十四機がバッタバッタと撃墜されている。
20日のワシントンタイムスによると、もし日本がF22を百機購入した場合、沖縄防衛はもとより、中国への攻撃も可能になり、向こう20年間における台湾海峡の軍事バランスも保障できると言う。つまり台湾の防衛力を補完することができると言うわけだろう。そこで米国内では中国や北朝鮮への対抗のため、最も親密な同盟国である日本への売却を支持する声が上がっているのだが、他方、政権内部の親中国派が、日本への売却に反対の圧力をかけているのだとか。
FXの選定は来る日米首脳会談で議題の一つとなりそうだが、日本側は来春までに最終選定にこぎつけ、平成21年度には順次購入を進める方針。
2007/04/20/Fri
中国は4月14日、長征3号AロケットでのGPS(衛星利用測位システム)「北斗5」の衛星打ち上げに成功した。北斗の打ち上げは2000年10月以来、5回目。日本の一部メディアも「これによって中国や周辺諸国へのGPSサービスが可能になる」と報じた。
もちろん中国でも、この打ち上げ成功は「温家宝の日本への融氷の旅とともに、世界に平和発展の願いと自身を表明するもの、と国際主流世論は見ている」(人民網、15日)との論評も見られたが・・・。
言うまでもなくGPSはハイテク戦におけるミサイル誘導の重要システム。米国は目下24基体制だが、中国の目標はそれを凌ぐことにある。最近の「ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー」は、「北斗の衛星打ち上げは、米国のGPS独占への挑戦」と論じたが、これに対して人民網の前出記事は、「憚らずに言おう。中国は北斗の運用によって、侵入する外敵に対する反撃能力を飛躍的に高めることになる。北斗システムとミサイルシステムの結合で、中国特有のミサイル防衛システムが構築されるのだ。そのとき我が国は「陸、海、空、宇宙」の四位一体の国防体制ができる」と強調している。
では中国が言うところの「国防」とは何か。一体中国に対しどこの国が攻撃を仕掛けようと言うのか。中国に言わせれば、目下のところそれは米国である。台湾への武力発動に際しての、米軍の介入を阻止することが「国防」なのだ。そして時が至れば、このGPSを使いましょうと・・・。
今だに「米軍がいる限り、中国は台湾には手を出せない」との言説が日本国内では見受けられるが、まさかGPSの平和利用に期待をかけるメディアもそうだったりして。それから国会議員だとか。
2007/04/20/Fri
本20日午前、海洋基本法が参院本会議で可決、成立した。
これは中国による東支那海での一方的なガス田開発など、海洋権益を巡る紛争での対応が遅れた反省を踏まえたもの。首相を本部長とする「総合海洋政策本部」を設置し、一元的に海洋政策を遂行する体制を整える
また日本の排他的経済水域内でのガス田開発で安全を確保するため、施設周辺への船舶侵入を禁止する海洋構築物安全水域設定法も可決、成立した。
海洋基本法案に国会提出に先立ち、超党派議員らの海洋基本法研究会座長の石破茂議員は「これまで日本は海に守られてきたが、海を守る国家に変わらなければならない」と訴えていたが、本当に日本が生まれ変わらない限り、自国の権益そして主権は守りきれないと言う状況に置かれているのだ。
だがこうした事態について、恨むべきは中国だけではないようだ。今国会会期中、社民党の福島党首は「この法律は領土問題や資源問題について近隣諸国との関係に影響を与えるものである。拙速に行うと、交渉に悪い影響を与えることになる。慎重に審議をすべきである」と、この立法を懸命に牽制していたが、結局は「近隣諸国」の利益を国益に優先させ、そうした国を助長してきたこれら国内勢力の責任もまた大なのである。ちなみにこの勢力は、中国による日本分断工作を受けた「日中友好人士」たちだ。それは社民党など左派だけではなく、むしろ数では与党内部の方が多い。かつて日中中間線の日本側鉱区での試掘に反対した二階経産相などは有名な例だ。
日本が本当に生まれ変わるのなら、こうした勢力は政界から淘汰されて行くはずだが、今後どうであろう。それらを淘汰するものは世論である。国が生まれ変わるには、やはりまず国民が生まれ変わらなくては。
遅きに失したとは言え、そしてささやかな第一段階とは言え、国家正常化に向けた今日の前進の一歩を喜びたい。
2007/04/20/Fri
一昨年、民主党の前原代表が中国脅威論を提示し、その後の中国訪問で胡錦濤から会見を断れた。これについて「非礼発言をしたのだから当然だ」と論じる日刊紙があったが、現実として急速かつ不透明な軍拡を続ける中国の脅威が現実である以上、非礼も何もない。もっともそれを書いた記者は中国の代弁者のような人だった。中国が今一番嫌っているのは「中国脅威論」だから、もはや恥も外聞もなかったのだろう。そう言えば当時は麻生外相も「脅威論」を言って、マスコミなどから叩かれていた記憶もある。叩く方も必死である。
このようにマスコミは中国の「情報統制」下に入っているようなものだから、それらが何を言おうと今さら驚かないが、それでも先日は一つ驚きがあった。
南日本新聞の社説を読んだところ、温家宝が日本の国会での演説で「国防費の急増や拡大する資源外交などを背景に強まる『中国脅威論』の打ち消しに努め、相互不信が強まる両国の国民感情の融和を訴えたことは受け入れたい」とあったのである。
中国が「脅威論」の打ち消しに躍起になっているのは周知の事実だが、だからと言って、なぜそれを歓迎するのだろう。今国際社会が待ち望んでいるのは中国が「脅威」を打ち消すことであって「脅威論」の打消しではない。脅威そのままで「脅威ではない」と言うことほど危険なものもないのである。
ではいったい何に「驚いた」かと言うと、親中派の代表のような一地方新聞社の社説にと言うより、ここまでも馬鹿げた論評書かせて平気でいられる読者、更に言えば日本の社会の意識の低さに、今更ながら驚き、そして日本の危うさを痛感したのだった。これでは中国常套の平和攻勢(悶着を引き起こす準備段階における詭道)には全く歯が立たないのだ。
日本人は平和ボケと自嘲するが、以上はそのボケがいかに中国の覇権主義攻勢を許しているか、と言う話である。
2007/04/20/Fri
先ごろ来日した中国の温家宝首相は国会での演説で、「戦略的互恵関係」の構築で合意した日中両国の指導者の目標は「日中関係を新たな歴史的段階に推し進め、平和共存、世代友好、互恵協力、共同発展を実現すること」であるとし、さらにその目標を実現するための原則として、一、相互信頼を増進し約束を履行する、二、小異を残し大同につく、三、平等互恵、共同発展を目指す、等々の五つを提示した。そしてこうした「融氷」を試みる温家宝の姿勢は国会議員たちからは素より、マスコミ各社からも賛辞を浴びた。
だがほとんど指摘されないことだが、第一の原則である「約束を履行する」には、中国覇権主義の看過できない意図が示されているのである。
これについて温家宝は「国と国との往来は誠実と信義を本にするべき」などともっともなことを言いながら、そこで日本側に要求したのは日中共同声明(七二年)、日中平和友好条約(七九年)、日中共同宣言(九八年)で定められた「諸原則の厳守」だった。つまり台湾問題に関する「約束」を守れと言うことだ。
温家宝はここでこう述べている。「台湾問題は中国の核心的利益にかかわるもの」「我々は台湾独立を絶対に容認しない。台湾当局による台湾の法的独立、および他のいかなる形の分裂活動にも断固として反対する」「日本側には台湾問題の高度な敏感性を認識し、約束を厳守し、この問題に慎重に対処するよう希望する」と。
しかし日本政府は過去において、中国側と一体どのような「約束」を交わしたと言うのだろうか。中国は「台湾独立を容認しない」として、あたかも台湾が中国の領土であるかのように主張するが、日本は一体いかなる形で、そのような主張に与するなどと「約束」したと言うのか。
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2007/04/19/Thu
台湾の最大野党の連戦前主席(現名誉主席)が昨16日、中国へ。彼の「友好訪問」は今回三度目。一回目は一昨年、中国が自らの台湾武力侵攻を合法化するため反国家分裂法を制定した直後だが、これこそ彼の訪中の本質を語って余りあるものがある。すなわち中国への「投降」であり、「売台」だ。
訪問初日は伝説上「中華民族」の始祖とされる黄帝の礼拝式に参列するため、河南省鄭州市へ。台中の「中華民族の絆」をアピールするためと思われる。その狙いは何か。それはこれから始まる三度目の胡錦濤との会談でも明らかになることだが、つまり総統選挙を視野に入れた台中友好ムードの演出である。そしてそのうえで「国民党に投票すれば平和が来るよ。さもなければ台湾は危ない」とアピールすること。言わば台湾人への脅迫である。
連戦にとって中国は「虎の衣を借る」の「虎」。一方中国にとっての連戦は忠良なる「走狗」。共通の敵である台湾人政権を前に、両者の利益は完全に合致しているのだ。
それにしても連戦の訪中好きは尋常ではない。何しろ台湾では全く人気のない彼も、中国では大歓迎を受けるからだ。最初の訪中で現地の児童たちから「連戦おじいさん、いらっしゃいませ」と歓迎のセレモニーを受け、感涙に咽いで台湾国内で失笑を買ったが、それは一種の子供たちによる「ハニートラップ」だったのか。いずれにせよそれ以来、それまで無気力さばかり目立った連戦も、まるで別人のように自信と活気に満ちた人間に変わってしまった。中国と言う強大な後ろ盾を背景に。
「中華民族」を侮るな。こうした「走狗」でも、歴史を大きく動かすかも知れないのだ。つまり「平和統一」(台湾無血開城)のコマとして。
もし日本で今回の訪中を「国共の和解」などと祝福、評価している人間がいたら、それは「平和ボケ」の最たるものである。
2007/04/19/Thu
4月16日、海上自衛隊は千葉・房総半島南方の太平洋上で米印両国海軍との合同演習を実施。海自の護衛艦4隻、印海軍の駆逐艦など3隻、米海軍の駆逐艦2隻が参加し、通信、戦術、防空戦訓練などを行った。日印の海軍合同演習は初めてだ。
演習は明らかに中国を牽制することが目的。産経新聞は「中国を牽制?」と遠慮がちな見出しで報じたが(本文では「牽制する意図」と断定している)、台湾の自由時報はストレートに「聯印抗中」と。
いよいよ「抗中」時代の到来か。「抗日」戦争も今は昔だ。
なおこの自由時報は記事の中で、日本政府が東支那海での衝突を避けるため、日中軍事ホットラインの設置を中国側に求めていると報じた。もっとも中国は現在、「ホットラインの設置の前例なし」として応じていない。こうした人を小ばかにしたような姿勢は、「抗日」時代もそうだったが。
あれから60有余年。日印両軍は今度こそアジアのために、再び提携の強化へと向かうか・・・。
今回の演習実現によって様々な感慨を覚えながら、緊迫へと向かうアジア新情勢に思いを巡らしたのだった。
2007/04/19/Thu
本稿は平成19年1月13日に行われた第93回台湾研究フォーラム定例会での講演録です。
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中国覇権主義と日本の事大主義
生命線・台湾を忘れた日本の危機
台湾研究フォーラム会長 永山英樹
1、中華振興―アジア新秩序建設へと驀進する中国
①既存秩序を承認できない伝統的世界観
中国では現在「海に出なければ中国の未来はない」との掛け声の下、海洋進出のために海軍、空軍、戦略ミサイル部隊の近代化と増強を推し進めていることは、昨年末に発表された「国防白書」を見ても明らかだ。
このような動きを各国は「脅威」だと呼んでいるが、中国は「国防のためだ」と反論している。つまり「海洋は国防圏なのだ」と。だが一体どこの国が中国を攻撃しようとしているだろう。要するに中国はこれから外国から攻撃をされても仕方のないようなことをしようとしているのだ。それは何かと言えば、「中華振興」である。これは既存の国際秩序を改変しようと言う危険な動きである。
今日の世界秩序は国際法によって支えられ、主権国家の対等な共存を理念とするものだ。こうした秩序は西欧で生まれたもので、アジアでは日本なども19世紀の幕末期にこれに参入している。
では隣の中国はどうかと言うと、当時は中国は中国で、独自の国際秩序を主宰していた。それは中華と言う言葉が示すように、中国が天下の中心であり、周辺諸国はその影響下に置かれると言った建前を持つ秩序である。ところが19世紀以降の帝国主義の時代、アジアに進出した列強によって、中国は天下の中心の座から引き摺り下ろされたのだ、と中国人は主張している。そして中国は五千年にわたって天下の中心であり続けたが、このアヘン戦争以降の百数十年間は異例の時期であり、やがて再び天下の中心に返り咲くことは歴史の必然だと考えている。
そしてその百数十年間の屈辱をばねに、今ある秩序に挑戦しようとしているのだ。
②対等な共存を許容できない戦国覇権主義
実際にこの国は戦後、既存秩序に決して甘んじようとはしてこなかった。米ソ冷戦構造の中でも、両陣営にはそれぞれに擦り寄ったことはあっても、その一方で自らを第三世界のリーダーと位置づけて革命輸出に励むとともに、いずれは米ソと対決しようと核開発を進めてきたのだ。
そしてソ連が崩壊してアメリカの一極支配秩序が現出して今日に至っているが、中国は目下経済成長を基盤に軍備の近代化と拡張に狂奔し、それに挑戦しようとしているのである。日本は中国を国際社会の一員にするために、せっせと援助をしてきたが、そのような金は結局は国際秩序破壊のための資金となっているのだ。
中華振興とは単なる中華帝国の再建と言った富国強兵策ではない。それは中華世界秩序を復活させようと動きであり、諸国を中国の影響会の置こうと言うものなのだ。それは主権国家の対等な共存と言う理念を否定するものだが、中国はそれでいいと考えている。中国は有史以来の戦乱国家であり、一人の覇者が天下を統一しなければ、争いは絶えることなく、平和は到来しないとの歴史経験を持っており、その経験を以って国際秩序を語ろうとしているのだ。
「一つの山に二匹の虎はいらない」と中国人はよく言うが、これは虎は一匹は必要だが、二匹以上いると喧嘩になる、戦争になると言うものだ。そしてその虎、つまり天下の中心として世界の統一と平和を達成できるのは中国以外にないと思っている。なぜなら中国が一番優秀な国だと言う信念があるからだ。これは嘘でも何でもない。事実、そのような信念こそが中華民族形成の核になっているのだ。
では中国は一体どこで覇権を打ちたてようとしているのかと言うと、すでに西へは膨脹できないので、やはり東の海である。
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2007/04/19/Thu
人民日報は3月24日、「訪中中の米軍のピーター・ペース統合参謀本部議長が23日、米国政府が『一つの中国』の原則を引き続き堅持し、台湾独立に断固として反対することを表明した」と報じた。これが事実なら、少なくともペース議長は中国の宣伝工作にやられ、「一つの中国症候群」にかかっていると言うことになる。
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2007/04/19/Thu
平和統一に向け着実に
中国の台湾企業工作
台湾研究フォーラム会長 永山英樹
中国では4月16日、同国進出の台湾企業の組織「全国台湾同胞投資企業聯誼会」(全国台企聯)が発足、北京の人民大会堂で成立大会が行われた。これは進出企業の3分の1にあたる2万社以上が加盟する中国各地の台湾企業協会の連合体で、規約によると「台湾企業が自主的に組織した非営利社会団体」。目的は「台湾企業の権利確保」であるとか。
同会の葉恵徳・常務副会長も「過去20年間に中国各地で設置された企業協会と同じもの」で「中国の政府、企業、市民と台湾企業の懸け橋にもなりたい」などと強調しているし、日本の一部メディアもそのように報道した。
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2007/04/19/Thu
「台湾」を「拉致解決」の交換条件にした温家宝
台湾研究フォーラム会長 永山英樹
4月11日に発表された日中共同プレスで日本側は、「台独反対」を盛り込めとの中国の執拗な要求を退け、単に「台湾問題で日本は日中共同声明で表明した立場を堅持」で押し通した。
中国側は、「台独反対」表明の見返り条件として、中国が日本の拉致問題解決を支持することを挙げたと言う。つまり「台湾」と「拉致」の交換と言うわけだった。首脳会談で安倍首相が拉致事件での協力を求めたところ、温首相は「台独反対」を公に表明してくれれば、中国が北朝鮮の拉致事件で応援するのも当然と言うことになるだろう」と言ったと言うのだ。これに対し安倍首相は「この二つは全く関係がない」と拒絶した。
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2007/04/19/Thu
日中共同プレスーなぜ両国はせめぎ合ったか
台湾研究フォーラム会長 永山英樹
安倍首相と来日した温家宝首相は4月12日、日中共同プレスを発表したが、それに先立ち日中間では、所謂「台湾問題」を巡って相当の「せめぎ合い」があったらしい。
中国側は共同プレスに、何としてでも日本側に「台湾独立反対」を盛り込ませようとしたが、日本側が頑なに拒否。「台湾」の二文字は絶対に入れないと言うのが安倍首相の考えだった。そのため温家宝が日本に到着した段階でも、内容は未確定のままと言う異例の事態となった。 結局日本側は、「日中共同声明で表明した立場を堅持する」とだけ表明し、その一方で安倍が口頭で、従来の「台湾独立不支持」なる立場を表明して、辛うじて温家宝の面子を立てたと言う形となったわけだ。
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2007/04/19/Thu
親台反中か否か―政治家の「人」をはかるバロメーター
台湾研究フォーラム会長 永山英樹
先ごろ石原慎太郎氏が都知事選挙で勝利をおさめたことを受け、台湾の日刊紙「自由時報」(4月10日)が論評を掲載した。タイトルは「決然とした反中親台」。ここでは石原氏の反中親台ぶりを次のように紹介する。
「決然とした反中親台の保守派政治家で、台湾に対する愛情は台湾人の想像を超えている」
「赴任したばかりの許世楷駐日代表に、具体的行動で台湾観光開発の支援ができると伝えた。それから間もなく台湾へ飛び、観光列車に乗って観光宣伝を行ったのだ」
「台湾大地震の時、直ちに被災地に飛んで被災者を見舞うとともに、現地からテレビ衛星中継で日本は台湾を支持すべきと強くアピールした」
「中国共産党は百万人ものチベット人を殺害したと強く批判した」
「中国の独裁に対しては一切遠慮なく批判する」
「東京を訪問した馬英九に、馬の『究極的には統一目指す』の発言に触れ、『時間があればぜひ池袋へ案内したいところだ。そこに大勢いる中国人たちのデタラメで非道な実態を見せられるのだが』と話した」
何年か前に私が台湾へ行ったとき、ちょうど石原氏も訪台中で(観光列車に乗ったのはそのときだった)、何人もの人たちから「あなたは日本人か。石原さんには感謝している」と言った声をかけられた。「なぜ」と聞くと、「いつも台湾のためにがんばってくれるから」と。
そのとき、在台中国人の議員やメディアは反中国で日本の尖閣領有権をはっきりと主張する同氏を批判していたが、それに対して「台湾を支持してくれる人を批判してどうする」とたしなめる言論も多々見られた。
石原氏のように、ここまで外国から感謝されている日本の政治家は珍しいのではないか。論評では「石原氏を嫌いな日本人は多い」とあったが、たしかに同氏に対する評価はさまざまだ。だが少なくとも中国から「寵愛」されるたくさんの媚中派の政治家に比べれば、やはりはるかに立派だと言えると思う。
繰り返すが、善意の国に期待され悪意の国に憎まれる人間とその逆の人間のどちらが立派かと言うことだ。よって「反中親台」であるか否かは、政治家に正義があるか否かの一つのバロメーターだと言っても過言ではないだろう。こうした「人」に対する見方を、我々はごくごく自然に持っていいと思う。そして媚中売国の政治家を蔑むような、健全な世論の形成を。(19.4.10)
2007/04/19/Thu
恫喝を恫喝と感じない日本の危うさ
台湾研究フォーラム会長 永山英樹
中国の温家宝首相の訪日を前に、同国外交部の秦剛報道官は4月5日の記者会見で、例によって例の如く「台湾問題は中日関係の政治的基礎であり、日本が一つの中国の原則に基づいて台湾問題を適切に処理するよう中国側は期待している」と述べた。
しかしそもそもなぜ台湾の問題を両国関係の基礎にしなければならないのか。日本から見れば台湾は中国の領土ではないのである。日本にはたしかに「一つの中国」と言う政策はあるが、それは中華民国政府を中国を代表する政府とは承認しないと言うものであり、台湾の島を中国領とまで認めるものではないことは、中国も百も承知のはずである。それでもなお中国がそこまで繰り返し訴えるのは、日本がそれに敢えて抗弁する勇気がないことを知った上で、[両国関係の基礎を壊したくなければ、台湾併呑に口出しするな]と恫喝したいからである。
秦剛報道官はさらに「台湾独立に反対し、台湾海峡の平和と安定を維持することは、日本を含むこの地域の国々の利益に符合する」とも言ったが、これなどは明らかに恫喝であろう。「オレに戦争をさせるなよ」と警告しているのだ。
恫喝を繰り返せば、弱い相手はその言い分や要求を「ごもっとも」だと思い込んで行くものである。日本人が台湾問題をタブー視するのも、まさにそのあらわれなのだ。
今回の秦剛報道官のコメントにしても、それを「恫喝」と受け止めることができる日本人は、果たしてどれだけいるだろう。まさに中国が得意とする心理工作に乗っているわけだ。
このような中国がどうして「友好国」などと言えるだろうか。温家宝は今回の訪日を「融氷の旅」などと位置付けているらしいが、これには次なる恫喝のため、まずはひとまず日本を安心させておこうとの、恫喝国家ならではの狡猾さを感じる。
「台湾海峡の平和と安定」を維持するには、台湾を中国から切り離した状態を守ること以外にない。そしてそれを守るからには、いざとなれば一戦をも辞さないといった気概を示さなければ、中国の脅威はますます増大するだけなのだ。なぜ日本政府は恫喝を撥ね付け、「台湾は中国領ではない」とはっきり反論することができないのか。それができるか否かが日本の独立国家としての気概を計るバロメーターとなっていると言えるだろう。
気概なき弱い国は、いつかは敗れる。目覚めろ、日本政府!(19・4・6)
2007/04/19/Thu
笑わせるな!温家宝の微笑外交
4・8反中国デモ(東京・大阪)に参加を!
台湾研究フォーラム会長 永山英樹
まもなく中国首相温家宝がやってくる。「日中の安定した関係を作りたい」のだとか。中国は恫喝外交では日本に効き目のないことを悟り、最近では歴史問題も台湾問題も引っ込めて微笑外交に転じ、再び日中友好ブームでも作ろうと言うのだろうか。だが我々日本人はそのようなものに騙されるわけには行かないのだ。
中国は十九年連続の異常きわまりない軍拡に勤しみ、台湾併呑とアジアと太平洋における覇権確立の野心をますます逞しくしている。昨年公表した国防白書を見ると、軍拡の目標は明らかに台湾と太平洋を守る米国、そして日本である。最近ではミサイルで人工衛星破壊実験までやってのけ、世界に「戦意」を示したばかりだ。
またその一方で日米同盟の離間工作にも躍起となっている。反日工作の拠点を米国に構え、「南京」キャンペーンだの慰安婦決議の後押しだのと、絶好調である。「歴史」問題の提起が、実は中国覇権主義の為せる業であることがこれではっきりとしてきた。
温家宝の微笑訪日は、日本の経済援助欲しさのためか、安倍首相の靖国神社春季例大祭参列阻止のためか。いずれにせよ日本人が期待する「友好」のためなどではない。そもそも中国の考える「日中友好」は、日本が中国の勢力下に入って、それに隷属することなのだ。それは日本の「友好人士」の面々の対中従属姿勢で一目瞭然だろう。
そこで我々は温家宝来日の直前にあたる四月八日、東京と大阪で反中国デモを実施する。道往く人々に訴えるだけではない。中国政府も注視しているのだから、そこで日本人の意思を示すのだ。中国の対日宣伝工作の対象は政府と国民。その国民は中国の覇権主義、日本属国化戦略には断固反対するとの意思を見せ付ける。
もちろん日本の生命線・台湾の防衛の決意も示す。台湾独立支持の気概を見せる。
コースは一年前の反中国デモと同じ。日本人も台湾人も、中国覇権主義を座視できない方は、ともに立ち上がろう! 雨でもやる!(19.4.5)
2007/04/19/Thu
衛星攻撃実験の禁止を唱えながら、自らはその準備を着々と進めて成功をおさめ、さきの攻撃兵器の実験成功により、衛星に頼る米軍事態勢に強烈な挑戦状をたたきつけた中国。
これに関して3月28日、米上院戦略軍小委員会の公聴会で米戦略軍のカートライト司令官(核・宇宙戦略を統括)は、「米軍衛星システムへの攻撃能力を身に付けた、そしてその能力を誇示しただけでなく、戦列に加えたと判断した」ことを明らかにした。中国は向こう3年ほどで実戦配備に必要な兵器の生産にこぎつけるとの見通しだと(産経新聞4月6日)。
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2007/04/19/Thu
中国人支配のシンボルを撤去した高雄市
台湾研究フォーラム会長 永山英樹
高雄市は三月十三日、市内の中正文化センターにある、台湾最大の蒋介石の銅像を撤去した。また同センターの名称から「中正」の二字も外された。現場では激怒した中国統一派の国会議員らが駆けつけ、フェンスを乗り越えて作業を妨害しようとしたが、警察に排除された。
この措置について陳菊市長は「文化センターに政治的色彩はいらない。自由民主の社会には偶像も神話もいらない」と説明している。そして「高雄市では族群(エスニックグループ)はそれぞれ対等でなくてはならない」とし、銅像がかつての外省人支配時代の名残であることを強調した。
これに対して統一派市議の一団は現場で、泣いたり、跪いたりしながら「族群対立を煽っている」「族群の和解のため、撤去は許さない」などと叫んだ。つまり、自分たちは迫害されていると訴える、いかにも中国人らしいパフォーマンスだが、これを見てもわかるように、この中国人の「族群」には「族群対等」の意味がまったくわかっていないのだ。再び支配者の地位に返り咲くまで、彼らはおそらくそのように訴え続けるのだろう。
目下、民進党政権は先日勃発から六十周年を迎えた二・二八事件の「元凶」として、蒋介石の責任を厳しく追及中。外省人勢力と鋭く対立している。政府のこうした動きは選挙対策だとも批判されるが、それはそれで結構なことではないのか。族群対等の社会を築くには、二度と蒋介石を神格化したがるような勢力に政権を渡してはならないのだと言うことを、台湾の有権者は気がつかなければならないのである。
撤去は遅すぎたぐらいだ。(19.3.19)
2007/04/19/Thu
李登輝氏は断じて転向していない
酒井亨論文(『諸君!』四月号)に駁す
台湾研究フォーラム会長 永山英樹
■なぜ「李登輝転向」の謬説を
一月末に台湾誌『壱週刊』に掲載された李登輝氏のインタビュー記事は「李前総統、台独を放棄し、中国資本を引き入れよう」との煽情的なタイトルのため、李登輝氏が変節かと騒がれ、これを受けて日本でも「これまでの独立追求の主張を否定」(共同)、「従来の立場を百八十度ひっくり返す発言」(朝日)と言った
報道が見られたが、実際にはその記事本文やその後の台湾や日本のメディアとのインタビュー記事を読めばわかるように、変節、転向と言った話などではなかった。
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2007/04/19/Thu
日本とよく似た台湾の教科書問題
台湾研究フォーラム会長 永山英樹
■歴史のフィクション打ち破る教育正常化の動き
台湾では今年から使用される高校の歴史教科書が従来とは大きく変わることとなり、野党、メディアなどの在台中国人勢力が「文化大革命だ」とまで非難するほど大騒ぎしている。
何がどう変わるのか。外国人にとっては信じられないことだが、台湾では中国人支配体制時代の名残で、民主化以降も学校歴史教育で台湾史は、一貫して抑圧されてきたのである。だからこれまで高校の自国史の教科書と言えば「本国史」(中国史)しかなかった。ところが今回、ようやくそこから「台湾史」が切り離されるわけである。そして中国史については「本国史」の名称から「中国史」に変えられ、しかも内容も国民党独裁時代以来の大中華史観が捨て去られることになるのだ。
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2007/04/18/Wed
(「日台共栄」平成17年2月号より)
李登輝氏歓迎の記録
「万歳」の嵐、「日の丸」の波
大感動! 日台人が訪問各地で盛大に出迎え
本会事務局は「李登輝氏の来日決定」の報を受け、会員や一般に対する「粛々かつ熱烈な歓迎」の呼びかけ、そして関係各地の友好諸団体への協力要請に着手した。
その目的は日台親善の恩人である李氏への敬意表明だけではない。いかに日本国民が李氏の来日を熱望してきたか、あるいは、いかに台湾を支持、応援しているかの事実を李氏、そして台湾全国民に伝え、両国の親善をアピールすることにあった。もちろんそれは同時に、来日妨害にの躍起となる中国政府と、それへの配慮でビザ発給に冷淡だった日本政府への「ノー」の意思表示をも意味していた。以下は歓迎活動の記録である。
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2007/04/18/Wed
原動力は日台の友情ー2・28は胸を張って (平成16年2月23日記)
永山英樹
2月28日に東京・新宿で実施される「2・28台湾正名アピール行進」への参加を呼びかけたい。
「中華民国」から「台湾」へと、台湾の国名を正す運動が台湾正名運動だが、顧みれば日本における最初の正名デモは平成13年8月、「中国」なる外国人登録証での在日台湾人の国籍記載に抗議のため、銀座―東京入管―法務省で行われた。当日の参加者は在日台湾人と日本人およそ150名。多くが高い問題意識から自発的に結集した人々で、それだけに真夏の長時間にもかかわらず、元気に満ち溢れたデモだった。ここでは多くの友情も芽生え、一つの運動勢力の基礎が形成された。
大規模とは言えないこのデモに過敏に反応したのが中国政府だ。その最高シンクタンクである社会科学院は報告書で、「日本人と結託し、悪劣な影響を及ぼす在日台湾人の台独運動」と非難したが、「台湾は中国ではない」との真実の訴えが、よほどこの国は怖いらしい。なおここで火蓋が切られた正名運動は、やがて台湾本国に波及して、今や李登輝氏を中心とする全国民的大運動にまで発展している。
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