侮れず!後ろ盾は中共―台湾の「反日感情」とは(下)
2016/02/26/Fri
台湾で歴史問題、尖閣問題等々で過激な日本批判を展開するのが在台中国人の中華民族主義勢力だ。その攻撃対象が、実は第一に反日思想、つまり中華民族主義に染まることを拒否する台湾人の政治勢力であることはすでに見て来た通りだが、間もなく行われる政権交代やそれに伴う日台関係の深化を受け、これまでになく中共との提携関係を強化し、日本に対しても怒りの矛先を向けてきそうだ。
■少数ながらも侮れない中華民族主義勢力の影響
かつて国民党独裁政権によって中華民族主義教育が強行された台湾だが、政治大学選挙研究センターが毎年実施する世論調査での「自分を台湾人と考えるか、中国人と考えるか」との設問への回答を見よう。
独裁時代が終焉した直後の一九九二年は、「台湾人」が一七・六%で、「台湾人であり中国人」が四六・四%、「中国人」が二三・五%。ところがその後変化が進み、二〇一四年には「台湾人」六〇・四%、「台湾人であり中国人」三二・七%、「中国人」三・五%。
このように現在、「台湾人意識」は広がる一方であり、自身を「台湾人ではなく中国人だ」と言い張る層は人口の一割以下にまで落ち込んでいるのだが、その少数層こそが、今ここで問題にしている台湾の中華民族主義勢力なのだ。
もっとも、少数だからといって、この反台反日勢力の社会的影響力は決して侮ることはできない。なぜなら彼らは主要メディアの多くを牛耳っている。また、間もなく野党に転落するとはいえ、国民党が彼らの大本営だ。そして、たとえ国民党が衰退に向かうとしても、この勢力にはさらに、中共という絶大なる後ろ盾がある。
■台湾新政権が「尖閣は日本」と認められない外的要因
一方の民進党だが、すでに見たように同党は「釣魚台は台湾に属する」との宣伝を受け入れている。こうした国民党が作り上げた反日虚構宣伝を、同党の政治家達は本気で信じているのかと言えば、勉強不足ゆえに真に受けている者もいれば、そうでない者もいるらしい。
そこで想像しよう。仮に民進党が政権樹立後、「台湾に属しない」との認識を示したとする。
そうなればもちろん、日本の台湾への信頼感は一気に高まり、日台関係は従来になく深化すること必定だが、しかしやはり同党は、敢えてそこまではしないのではないか。
なぜなら第一に、国内の混乱が恐ろしい。もしそれをやれば国民党やメディアなどの中華民族勢力は総力を結集し、「媚日・喪権辱国だ」との非難キャンペーンに狂奔し、有権者を惑わすことだろう。
しかもそれだけではない。この勢力は中共の脅威をも引きこんで対抗するだろう。
中共もまた、絶対に台湾側が尖閣領有の主張を放棄することを許さない。
尖閣は「中国台湾に属する」との主張は国民党の案出だが、中共もこれを採用している。そして台湾とその反日の主張を共有することで台中の一体感を醸成し、それを「統一」に向けた第一歩としたいところだ。また台湾併呑の最大の障害である日米同盟を弱体化するためにも、尖閣問題を巡る日台対立は何としても煽らなくてはならない。
しかし逆に台湾がこの主張を捨てれば、日台関係が強化されるばかりか、それは「中国台湾」の自己否定、つまり「台湾独立の動き」と映り、断じて許容することはできない。
2012年に尖閣に上陸した香港の活動家たちが掲げた台中の国旗。両国の反日提携のアピー
ルだった
したがって、もし民進党政権がこの問題で譲歩の動きを見せようとすれば、中共は直ちに反撥し、台湾海峡の緊張を大いに高め、同政権を圧迫するばかりか、国際社会をも震え上がらせることだろう。
■政権交代後に懸念される中共との反台・反日連携
このように尖閣問題をも含め、在台中国人勢力は今後さらに中共との連携を強化することが予測される。国民党の下野に伴い、これまで以上に「聯共制台」、つまり中共の支援に依存せざるを得なくなるからだ。
窮鼠猫を噛むというが、不利な状況に追い詰められた時の中国人の敵愾心の強烈さは、戦時中の日本軍がしばしば目撃して来たところ。いかなる謀略を展開するかに警戒を要しよう。
もちろん民進党政権にだけでなく、日本に対しても、敵としての存在を強めて行くことになる。日本が今後、対中抑止力の強化を進めた場合、中でも尖閣諸島での実効支配を強化したり、安保面で民進党政権に接近するかのような動きを見せた場合、彼らは必ずや中共を利するような反日キャンペーンに乗り出すことだろう。
上述の台湾での尖閣を巡る反日デモも、主体は中共の息のかかった中華民族主義団体だ。だからこの手のグループは、台湾の国防にとって「百利あって一害なし」の日米安保条約や日本の集団的自衛権の行使容認に反対するデモも行っていた。
こうした台湾人に似つかない陰湿、粗暴な反日言動をよく見れば、反台反日の中華民族主義者達であるとすぐわかるはずである。
台北で行われた日本の集団的自衛権行使容認や日米安保条約に反対する抗議デモ。中共の
意を体した在台中国人が中心。彼らの反台反日情念が見事に映し出されている
そこで日本人はニュースで彼らの姿を見ても、「あれが台湾人だ」などとはくれぐれも誤解しないように(本人達も「台湾人」であるのを否定しているわけだし)。親日と信じていた台湾が「反日」の顔を少しのぞかせるだけで、落胆したり激怒したりする傾向がしばしば見られるが、そういった不必要なナイーブさは克服した方が好い。
要するに日本には、台湾国内の誰が警戒すべき敵であり、誰が提携すべき友であるかを見分けることが常に求められているのだ。
もしそうした能力を日頃から身に付けておかないと、日台離間工作を推進し続ける中共を励ますことにもなるのである。
(おわり)
台湾の「反日感情」とは(上)―実は在台中国人の「反台感情」でもあり 16/02/24
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-2774.html
台湾の「反日感情」とは(中)―親日台湾を中華台湾に変えたい中華民族主義の情念 16/02/25
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-2775.html
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■少数ながらも侮れない中華民族主義勢力の影響
かつて国民党独裁政権によって中華民族主義教育が強行された台湾だが、政治大学選挙研究センターが毎年実施する世論調査での「自分を台湾人と考えるか、中国人と考えるか」との設問への回答を見よう。
独裁時代が終焉した直後の一九九二年は、「台湾人」が一七・六%で、「台湾人であり中国人」が四六・四%、「中国人」が二三・五%。ところがその後変化が進み、二〇一四年には「台湾人」六〇・四%、「台湾人であり中国人」三二・七%、「中国人」三・五%。
このように現在、「台湾人意識」は広がる一方であり、自身を「台湾人ではなく中国人だ」と言い張る層は人口の一割以下にまで落ち込んでいるのだが、その少数層こそが、今ここで問題にしている台湾の中華民族主義勢力なのだ。
もっとも、少数だからといって、この反台反日勢力の社会的影響力は決して侮ることはできない。なぜなら彼らは主要メディアの多くを牛耳っている。また、間もなく野党に転落するとはいえ、国民党が彼らの大本営だ。そして、たとえ国民党が衰退に向かうとしても、この勢力にはさらに、中共という絶大なる後ろ盾がある。
■台湾新政権が「尖閣は日本」と認められない外的要因
一方の民進党だが、すでに見たように同党は「釣魚台は台湾に属する」との宣伝を受け入れている。こうした国民党が作り上げた反日虚構宣伝を、同党の政治家達は本気で信じているのかと言えば、勉強不足ゆえに真に受けている者もいれば、そうでない者もいるらしい。
そこで想像しよう。仮に民進党が政権樹立後、「台湾に属しない」との認識を示したとする。
そうなればもちろん、日本の台湾への信頼感は一気に高まり、日台関係は従来になく深化すること必定だが、しかしやはり同党は、敢えてそこまではしないのではないか。
なぜなら第一に、国内の混乱が恐ろしい。もしそれをやれば国民党やメディアなどの中華民族勢力は総力を結集し、「媚日・喪権辱国だ」との非難キャンペーンに狂奔し、有権者を惑わすことだろう。
しかもそれだけではない。この勢力は中共の脅威をも引きこんで対抗するだろう。
中共もまた、絶対に台湾側が尖閣領有の主張を放棄することを許さない。
尖閣は「中国台湾に属する」との主張は国民党の案出だが、中共もこれを採用している。そして台湾とその反日の主張を共有することで台中の一体感を醸成し、それを「統一」に向けた第一歩としたいところだ。また台湾併呑の最大の障害である日米同盟を弱体化するためにも、尖閣問題を巡る日台対立は何としても煽らなくてはならない。
しかし逆に台湾がこの主張を捨てれば、日台関係が強化されるばかりか、それは「中国台湾」の自己否定、つまり「台湾独立の動き」と映り、断じて許容することはできない。
2012年に尖閣に上陸した香港の活動家たちが掲げた台中の国旗。両国の反日提携のアピー
ルだった
したがって、もし民進党政権がこの問題で譲歩の動きを見せようとすれば、中共は直ちに反撥し、台湾海峡の緊張を大いに高め、同政権を圧迫するばかりか、国際社会をも震え上がらせることだろう。
■政権交代後に懸念される中共との反台・反日連携
このように尖閣問題をも含め、在台中国人勢力は今後さらに中共との連携を強化することが予測される。国民党の下野に伴い、これまで以上に「聯共制台」、つまり中共の支援に依存せざるを得なくなるからだ。
窮鼠猫を噛むというが、不利な状況に追い詰められた時の中国人の敵愾心の強烈さは、戦時中の日本軍がしばしば目撃して来たところ。いかなる謀略を展開するかに警戒を要しよう。
もちろん民進党政権にだけでなく、日本に対しても、敵としての存在を強めて行くことになる。日本が今後、対中抑止力の強化を進めた場合、中でも尖閣諸島での実効支配を強化したり、安保面で民進党政権に接近するかのような動きを見せた場合、彼らは必ずや中共を利するような反日キャンペーンに乗り出すことだろう。
上述の台湾での尖閣を巡る反日デモも、主体は中共の息のかかった中華民族主義団体だ。だからこの手のグループは、台湾の国防にとって「百利あって一害なし」の日米安保条約や日本の集団的自衛権の行使容認に反対するデモも行っていた。
こうした台湾人に似つかない陰湿、粗暴な反日言動をよく見れば、反台反日の中華民族主義者達であるとすぐわかるはずである。
台北で行われた日本の集団的自衛権行使容認や日米安保条約に反対する抗議デモ。中共の
意を体した在台中国人が中心。彼らの反台反日情念が見事に映し出されている
そこで日本人はニュースで彼らの姿を見ても、「あれが台湾人だ」などとはくれぐれも誤解しないように(本人達も「台湾人」であるのを否定しているわけだし)。親日と信じていた台湾が「反日」の顔を少しのぞかせるだけで、落胆したり激怒したりする傾向がしばしば見られるが、そういった不必要なナイーブさは克服した方が好い。
要するに日本には、台湾国内の誰が警戒すべき敵であり、誰が提携すべき友であるかを見分けることが常に求められているのだ。
もしそうした能力を日頃から身に付けておかないと、日台離間工作を推進し続ける中共を励ますことにもなるのである。
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台湾の「反日感情」とは(上)―実は在台中国人の「反台感情」でもあり 16/02/24
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台湾の「反日感情」とは(中)―親日台湾を中華台湾に変えたい中華民族主義の情念 16/02/25
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