追求!「人間動物園」の真偽―NHKスペシャル「JAPANデビュー」問題
2009/04/30/Thu
■番組で最もショッキングだった「人間動物園」
これがNHKの言う台湾統治の象徴「人間動物園」の写真
日本の台湾統治史を台湾人弾圧史として描いた「NHKスペシャル/シリーズJAPANデビュー」(第一回 アジアの“一等国”)が最も視聴者にショックを与えたものと言えば、「人間動物園」ではないだろうか。
番組の最初の方で次のようなアナウンスが流れる。
―――日本のアジア支配の原点となった台湾。そこから近代日本とアジアとの関係が見えてきます。五十年間の日本の台湾統治を象徴する二枚の写真です。「人間動物園」、そして「台北第一中学校の生徒達」。
そしてNHKが「人間動物園」と呼ぶ台湾の原住民、パイワン族の古い集合写真が映し出され、こう説明する。
―――台湾の先住民族です。およそ百年前、日本は彼等をロンドンに連れて行き、博覧会の見世物として展示しました。この写真には世界にデビューした日本が、一等国へと登り詰めるまでの歴史が秘められています。
視聴者は驚愕したことだろう。「日本人はパイワン族を動物として扱い、無理やり連行して見世物にしたのか」と。そしてこれが「五十年間の日本の台湾統治を象徴しているのか」と。
■番組では証拠文書を映していないが
それではそこに、どのような「歴史が秘められている」のか。こうアナウンスする。
―――台湾領有から十五年後の一九一〇年。日本は統治の成果を世界に示す絶好の機会を得ます。ロンドンで開かれた日英博覧会。日本とイギリスの友好関係を祝う催しでした。近代国家として坂を駆け上ってきたジャパン。会場では日本の産業や文化が幅広く紹介されました。訪れた観客はおよそ八百万人。特に人気を集めたコーナーがありました。台湾の先住民族、パイワン族。日本は、会場内にパイワンの人々の家を作り、その暮らしぶりを見世物としたのです。
そして英語の文書が映され、
―――日英博覧会のガイドブックです。そこでは台湾の人々が「客の前で戦いの踊りをし、戦闘の真似事をする」と記されています。当時、イギリスやフランスは、博覧会で殖民地の人々を盛んに見世物にしていました。人を展示する、「人間動物園」と呼ばれました。日本はそれを真似たのです。
ここでフランス歴史学者、パスカル・ブランシャールが登場し、こう語る。
―――当時、西洋列強には、文明化の使命という考え方がありました。植民地の人間は野蛮な劣った人間であり、ヨーロッパの人々は彼らを文明化させる良いことをしている、と信じていました。それを宣伝する場が、「人間動物園」だったと言う訳です。
ここにおいて問題になるのは、日本は当時、実際に「人間動物園」としてパイワン族を見世物にしたのかだ。日本人は台湾で、平地人や日本人への襲撃を繰り返す原住民への討伐は行ったものの、帰順をすれば教育を施し、近代国家・社会の一員へと導くことに並々ならない努力を傾注したのが史実だが、本当に彼らを「動物」として扱ったのか。
ところが番組はガイドブックにある「戦いの踊りをし、戦闘の真似事をする」との字句は映し出したが、肝心の「人間動物園」の部分は示していない。
■はっきりしないNHKの簡単な回答
それは事実なのか。同じような疑問を抱いた人は多いようだ。
台湾の声編集部によると、ある読者が次のような質問をNHKに対して行った。
「『人間動物園』という言葉はいつ、誰が唱えた名称か。また出典は」
「『人間動物園』という言葉に善悪等の価値判断、批判が含まれるか」
「パイワン族の人達が興行主と契約して報酬をもらい、芸を見せていた可能性もあるが、調査はしたのか」
「『人間動物園』と称する行為は、少数異民族を紹介する一つの方法であって、当時の情報伝達の一手段ではないか」
これに対して「NHKスペシャル番組センター」からは次のような回答が寄せられた。
―――番組内でご紹介した歴史上の出来事は、関係史料・文献、台湾研究者への取材に基づき、正確に表現しています。「人間動物園」という表現についても海外の研究者の文献資料によるもので、善悪等の価値判断・批判ではなく、事実としてお伝えしています。以上、お問い合わせへのお答えとさせていただきます。
―――「人間動物園」については、参考文献として、以下を紹介させていただきます。
“HUMAN ZOO”(LIVERPOOL UNIVERSITY PRESS, 2008) 『近代日本の植民地博覧会』(山路勝彦著、風響社、2008)
つまり「人間動物園」とは「海外の研究者の文献資料によるもので事実」だと言っているのだが、NHKが「事実ではない」と言うわけがない。
番組がイメージさせたように日本人が日英博覧会で「人間動物園」と呼んだことが「事実」かどうかが問題なのだが、この簡単な回答からは、それがわからない。
なお他の読者に寄せられたNHKの回答によると、“HUMAN ZOO”の一書は番組でコメントしたパスカル・ブランシャール氏の著書だそうだ。NHKによると同氏は「『人間動物園』などヨーロッパ植民地主義、近代フランスにおけるアジア人の活動などの研究で知られています」と言うことだ。
■興行収入目当ての「ショー」だった
日英博覧会ではパイワン族のほか、アイヌの「余興」もあった。「余興」とは「見世物」、「ショー」である。これらについて宮武公夫・北海道大学教授は「植民地統治の成果と正当性を示すための、台湾館や朝鮮館とは対照的に、観客を集めるために経営上重要な、見世物や余興の一部として明確に位置づけられていたといってよい」と述べている。
これら余興は英国人の企画によるものだったそうだ。
当時の資料によると「余興」には「アイヌ村落」「台湾蕃人(※原住民)の生活状態」の以外にも、日本家屋を建てて日本の物品の製作実演、パノラマ的な日本の田園模型、演劇、活動写真などがあった。
【参考】宮武公夫「黄色い仮面のオイディプス:アイヌと日英博覧会」
http://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/handle/2115/34083
なお「ショー」に出演したパイワン族には手当ても支払われた模様だ。当然である。彼らはペットではなく、日本国民だったのだ。
今でも台湾では、原住民の伝統的舞踏などを見せるショーはいくらでもあるが、もしNHKがそれらを「人間動物園」と呼んだら、人権侵害だとして大問題になるだろう。
■NHKコールセンター「Q&A」が規定する奇妙な説明
番組問題を取り上げた「週刊新潮」の記事(4月23日号、歴史歪曲と「台湾人」も激怒したNHK「超偏向」番組)で、「この時にパイワン族が披露したのは伝統的な踊りや模擬戦闘。歌舞伎や相撲の海外興行と同じで、誇りを持って自分たちの技を披露しているのです」との私の次のコメントが掲載された。
そこでNHK視聴者コールセンターへは「『人間動物園』とは歌舞伎や相撲の海外興行と同じではないか」との意見が寄せられるようになった模様だ。
コールセンターの職員から聞かされたことだが、彼らには番組批判に対応するための「Q&A」があり、このような意見、質問には、おおよそ次のような回答をすることになっていると言う。
「歌舞伎、相撲とは違う。被統治者であるパイワン族の家を建て、生活ぶりを見世物にしている」
つまり「サルの暮らしを見せる動物園のサル山の如し。だから『人間動物園』だ」と言うことだろうか。
もしそれならば博覧会で建てられた日本家屋の中で日本人が物品の製作実演を行ったことも「人間動物園」となろう。
言うまでもなくコールセンターの「Q&A」は、番組担当者から渡されたものだ。
■問題の重大さに気付いたコールセンターの対応
問題はあくまでも当時の日本人が、あるいは博覧会が、こうしたショーを「人間動物園」と位置付けていたかどうかなのだが、コールセンターは「それについての資料は番組側から届いていない」として、回答しない。
この問題でコールセンターの二人の「責任者」と話した。
一人は「視聴者には『人間動物園』は事実だと伝えている」と言っていた。
そこで私が「『人間動物園』の五文字はあまりにも衝撃的だった。もしこれが事実でなければNHKの責任は重大だ」と言うと「その通りだ」と頷くので、「証拠となる資料を番組側に求めるべきだ」と提案すると、「それはできない。あなたから直接確認して欲しい」と断られた。
それで「では私が問い合わせる。回答がきたらお教えする。それまでの間、『動物園』は事実かと聞かれても、答えないで」と求めると、「わかった。『こちらでは回答できない』と応じよう」と約束した。
もう一人の人には、番組が「人間動物園」と表現した理由について聞いてみた。
相手は慎重に言葉を選びながら「当時の概念だ」と説明するので、私が「当時英国などで一般的に『人間動物園』と呼んだものを、日本人が真似たと言うことか」と聞いた。番組のアナウンスでも「人を展示する『人間動物園』と呼ばれました。日本はそれを真似たのです」とあるからだ。
相手は「その通りなのだ」と答えた。「よく理解してくれた」と言う感じだった。
NHKは「日本が真似たものが、たまたま英国では『人間動物園』と呼ばれていた」と主張するつもりだろうか。
■「動物園」と強調した以上は具体的証拠を
私は番組に対してメールを送り、「博覧会で実際に『人間動物園』との呼称が用いられたのか。あるいは日本はそのような言葉を使ったのか。どのような史料に基づいての解説だったのか」と問い合わせ、現在回答を待っているところだ。
もし回答が「日本が真似たものが、たまたま英国では『人間動物園』と呼ばれていた。日本人がそのような言葉を使用したかどうかは関知しない」と言うだけのものなら、そのようなものは世の中には通用しない。
すでに番組は、パイワン族の写真を「人間動物園」だと強調し、視聴者を驚かせている。
また当時「展示された青年」(故人)の子供たちに父親の写真を見せ、「悲しいね。この出来事の重さ語りきれない」と、番組の中で嘆かせてもいる。
博覧会のことを聞かされていないと言う彼らは、NHKから「あなたたちの父親は人間動物園に入れられた」と教えられ、「悲しいね」と答えたのではないか・・・。
視聴者に「日本人はパイワン族を動物として扱って英国で見世物にし、アジアの一等国として台湾統治の成果を世界に示した」との強烈な印象を与えたNHKは、それが事実であったことを示す具体的な証拠を示すべきだ。
自民党の「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」(会長・中山成彬元文部科学相)もNHK宛てに質問状を発送し、番組内容に関する十三項目の資料の有無などの明示を求めているが、その筆頭項目も「人間動物園」に関するものだ(産経新聞、四月二十九日)。
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チャンネル桜による日台共闘NHK抗議デモの報道
【NHK・JAPANデビュー】NHK偏向報道に対する抗議デモ[桜 H21/4/27]
台湾の被取材者たちが語る真の歴史、そしてNHK。
下の番組動画を広めよう!
4月21日放送 旧制台北一中卒業生らを中心にインタビュー
1/8【台湾取材レポート】台湾取材の経緯などについて[桜 H21/4/21]
http://www.youtube.com/watch?v=dDMxsesr3TY
2/8【台湾取材レポート】座談会・日本語族達の番組批評[桜 H21/4/21]
http://www.youtube.com/watch?v=s0xWSlGhCMM
3/8【台湾取材レポート】蒋松輝氏インタビュー[桜 H21/4/21]
http://www.youtube.com/watch?v=tAL0FzMAwks
4/8【台湾取材レポート】藍昭光氏インタビュー[桜 H21/4/21]
http://www.youtube.com/watch?v=8SOhCw4w_5M
5/8【台湾取材レポート】柯徳三氏インタビュー・1/3[桜 H21/4/21]
http://www.youtube.com/watch?v=eXvmpZbfooA
6/8【台湾取材レポート】柯徳三氏インタビュー・2/3[桜 H21/4/21]
http://www.youtube.com/watch?v=e9rYQ7ndA4I
7/8【台湾取材レポート】柯徳三氏インタビュー・3/3[桜 H21/4/21]
http://www.youtube.com/watch?v=9lO3fbu508A
8/8【台湾取材レポート】片倉佳史氏インタビュー[桜 H21/4/21]
http://www.youtube.com/watch?v=m76GwZ9PNoA
4月22日放送 龍山寺で戦争体験者たちにインタビュー。軍歌の大合唱も
1/5【台湾取材レポート】井上和彦・台湾取材で感じたこと[桜 H21/4/22]
http://www.youtube.com/watch?v=8dqmJrgoSHQ
2/5【台湾取材レポート】二二八紀念公園でのインタビュー[桜 H21/4/22]
http://www.youtube.com/watch?v=h7Anl-B1t1E
3/5【台湾取材レポート】龍山寺前広場でのインタビュー・前半[桜 H21/4/22]
http://www.youtube.com/watch?v=_vg5wn-EF9k
4/5【台湾取材レポート】龍山寺前広場でのインタビュー・後半[桜 H21/4/22]
http://www.youtube.com/watch?v=5EOmXXtVgD0
5/5【台湾取材レポート】台湾取材を終えて[桜 H21/4/22]
http://www.youtube.com/watch?v=Km9pUH9pBPM
【NHK・JAPANデビュー】井上和彦・台湾取材12のポイント[桜 H21/4/25]
http://www.youtube.com/watch?v=jMY9XIhhe58
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台湾の取材協力者をも侮辱!
国民の受信料で作られた反日洗脳番組に抗議を!
番組制作者の罷免要求を!
抗議先 福地茂雄会長宛てに、番組制作責任者・濱崎憲一ディレクターの罷免要求を!
[NHK]視聴者コールセンター 電話:0570-066066
[NHK] FAX:03-5453-4000 メール:http://www.nhk.or.jp/special/
※福地会長に宛てたファックスは有効だ。
[放送倫理・番組向上機構(BPO)] 電話:03-5212-7333 FAX:03-5212-7330
メール:https://www.bpo.gr.jp/audience/send/form.html
[総務省] 電話:03-5253-5776(放送政策課 直通)FAX:03-5253-5779
メール:https://www.soumu.go.jp/common/opinions.html
※鳩山邦夫総務大臣宛に問題提起を。
参加を! 台湾研究フォーラム(台湾研究論壇)第122回定例会
■講 師 永山英樹氏(台湾研究フォーラム会長)
■演 題 日本メディアの台湾史捏造が始まったーNHK「JAPANデビュー」問題
4月5日に放送されたNHKスペシャル「JAPANデビュー」第1回アジアの“一等国”は日本の台湾統治史を台湾人弾圧史として描き、歴史事実の捏造を連発し、台湾人の証言をも恣意に編集し、台湾が反日国家であるかの印象操作を行った。そこでこの問題を調査し続けている本会の永山会長が、番組映像を見ながら問題の指摘を行うとともに、このような番組を敢えて制作したNHKの企図を分析する。
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【日 時】 平成21年5月9日(土) 午後5時45分~8時
【場 所】 文京シビックセンター 3F会議室
JR「水道橋駅」徒歩10分
都営三田線・大江戸線「春日駅」徒歩1分
東京メトロ丸の内線・南北線「後楽園駅」徒歩1分
【参加費】 会員500円 一般1000円
【懇親会】 閉会後、会場付近にて。(会費3000円、学生1000円)
【申込み】 3月20日までに下記へ。Eメール [email protected]
【問合せ】 090-4138-6397 (FAX 03-5211-8810)
※台湾研究フォーラム会員募集中 年会費2000円
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(ながやま ひでき)昭和36年、埼玉県生まれ。法政大学法学部法律学科卒。中国・山西大学漢語班修了。台湾はわが国の生命線、運命共同体であるとの見地から、日台関係の強化と正常化、台湾報道の正常化、台湾独立建国の支援、台湾国連加盟の支援等を訴える言論活動を展開している。著書に『日本の命運は台湾にあり』、共著書に『台湾と日本・交流秘話』、共訳書に『台湾国民中学歴史教科書―台湾を知る』などがある。現在、台湾研究フォーラム会長、日本李登輝友の会理事。ブログ「台湾は日本の生命線!」主宰。
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第122回定例会 申込書
氏名 懇親会: 参加 不参加 (○をお付けください)
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【お知らせ】 「台湾は日本の生命線!」メルマガ版を創刊
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これがNHKの言う台湾統治の象徴「人間動物園」の写真
日本の台湾統治史を台湾人弾圧史として描いた「NHKスペシャル/シリーズJAPANデビュー」(第一回 アジアの“一等国”)が最も視聴者にショックを与えたものと言えば、「人間動物園」ではないだろうか。
番組の最初の方で次のようなアナウンスが流れる。
―――日本のアジア支配の原点となった台湾。そこから近代日本とアジアとの関係が見えてきます。五十年間の日本の台湾統治を象徴する二枚の写真です。「人間動物園」、そして「台北第一中学校の生徒達」。
そしてNHKが「人間動物園」と呼ぶ台湾の原住民、パイワン族の古い集合写真が映し出され、こう説明する。
―――台湾の先住民族です。およそ百年前、日本は彼等をロンドンに連れて行き、博覧会の見世物として展示しました。この写真には世界にデビューした日本が、一等国へと登り詰めるまでの歴史が秘められています。
視聴者は驚愕したことだろう。「日本人はパイワン族を動物として扱い、無理やり連行して見世物にしたのか」と。そしてこれが「五十年間の日本の台湾統治を象徴しているのか」と。
■番組では証拠文書を映していないが
それではそこに、どのような「歴史が秘められている」のか。こうアナウンスする。
―――台湾領有から十五年後の一九一〇年。日本は統治の成果を世界に示す絶好の機会を得ます。ロンドンで開かれた日英博覧会。日本とイギリスの友好関係を祝う催しでした。近代国家として坂を駆け上ってきたジャパン。会場では日本の産業や文化が幅広く紹介されました。訪れた観客はおよそ八百万人。特に人気を集めたコーナーがありました。台湾の先住民族、パイワン族。日本は、会場内にパイワンの人々の家を作り、その暮らしぶりを見世物としたのです。
そして英語の文書が映され、
―――日英博覧会のガイドブックです。そこでは台湾の人々が「客の前で戦いの踊りをし、戦闘の真似事をする」と記されています。当時、イギリスやフランスは、博覧会で殖民地の人々を盛んに見世物にしていました。人を展示する、「人間動物園」と呼ばれました。日本はそれを真似たのです。
ここでフランス歴史学者、パスカル・ブランシャールが登場し、こう語る。
―――当時、西洋列強には、文明化の使命という考え方がありました。植民地の人間は野蛮な劣った人間であり、ヨーロッパの人々は彼らを文明化させる良いことをしている、と信じていました。それを宣伝する場が、「人間動物園」だったと言う訳です。
ここにおいて問題になるのは、日本は当時、実際に「人間動物園」としてパイワン族を見世物にしたのかだ。日本人は台湾で、平地人や日本人への襲撃を繰り返す原住民への討伐は行ったものの、帰順をすれば教育を施し、近代国家・社会の一員へと導くことに並々ならない努力を傾注したのが史実だが、本当に彼らを「動物」として扱ったのか。
ところが番組はガイドブックにある「戦いの踊りをし、戦闘の真似事をする」との字句は映し出したが、肝心の「人間動物園」の部分は示していない。
■はっきりしないNHKの簡単な回答
それは事実なのか。同じような疑問を抱いた人は多いようだ。
台湾の声編集部によると、ある読者が次のような質問をNHKに対して行った。
「『人間動物園』という言葉はいつ、誰が唱えた名称か。また出典は」
「『人間動物園』という言葉に善悪等の価値判断、批判が含まれるか」
「パイワン族の人達が興行主と契約して報酬をもらい、芸を見せていた可能性もあるが、調査はしたのか」
「『人間動物園』と称する行為は、少数異民族を紹介する一つの方法であって、当時の情報伝達の一手段ではないか」
これに対して「NHKスペシャル番組センター」からは次のような回答が寄せられた。
―――番組内でご紹介した歴史上の出来事は、関係史料・文献、台湾研究者への取材に基づき、正確に表現しています。「人間動物園」という表現についても海外の研究者の文献資料によるもので、善悪等の価値判断・批判ではなく、事実としてお伝えしています。以上、お問い合わせへのお答えとさせていただきます。
―――「人間動物園」については、参考文献として、以下を紹介させていただきます。
“HUMAN ZOO”(LIVERPOOL UNIVERSITY PRESS, 2008) 『近代日本の植民地博覧会』(山路勝彦著、風響社、2008)
つまり「人間動物園」とは「海外の研究者の文献資料によるもので事実」だと言っているのだが、NHKが「事実ではない」と言うわけがない。
番組がイメージさせたように日本人が日英博覧会で「人間動物園」と呼んだことが「事実」かどうかが問題なのだが、この簡単な回答からは、それがわからない。
なお他の読者に寄せられたNHKの回答によると、“HUMAN ZOO”の一書は番組でコメントしたパスカル・ブランシャール氏の著書だそうだ。NHKによると同氏は「『人間動物園』などヨーロッパ植民地主義、近代フランスにおけるアジア人の活動などの研究で知られています」と言うことだ。
■興行収入目当ての「ショー」だった
日英博覧会ではパイワン族のほか、アイヌの「余興」もあった。「余興」とは「見世物」、「ショー」である。これらについて宮武公夫・北海道大学教授は「植民地統治の成果と正当性を示すための、台湾館や朝鮮館とは対照的に、観客を集めるために経営上重要な、見世物や余興の一部として明確に位置づけられていたといってよい」と述べている。
これら余興は英国人の企画によるものだったそうだ。
当時の資料によると「余興」には「アイヌ村落」「台湾蕃人(※原住民)の生活状態」の以外にも、日本家屋を建てて日本の物品の製作実演、パノラマ的な日本の田園模型、演劇、活動写真などがあった。
【参考】宮武公夫「黄色い仮面のオイディプス:アイヌと日英博覧会」
http://eprints.lib.hokudai.ac.jp/dspace/handle/2115/34083
なお「ショー」に出演したパイワン族には手当ても支払われた模様だ。当然である。彼らはペットではなく、日本国民だったのだ。
今でも台湾では、原住民の伝統的舞踏などを見せるショーはいくらでもあるが、もしNHKがそれらを「人間動物園」と呼んだら、人権侵害だとして大問題になるだろう。
■NHKコールセンター「Q&A」が規定する奇妙な説明
番組問題を取り上げた「週刊新潮」の記事(4月23日号、歴史歪曲と「台湾人」も激怒したNHK「超偏向」番組)で、「この時にパイワン族が披露したのは伝統的な踊りや模擬戦闘。歌舞伎や相撲の海外興行と同じで、誇りを持って自分たちの技を披露しているのです」との私の次のコメントが掲載された。
そこでNHK視聴者コールセンターへは「『人間動物園』とは歌舞伎や相撲の海外興行と同じではないか」との意見が寄せられるようになった模様だ。
コールセンターの職員から聞かされたことだが、彼らには番組批判に対応するための「Q&A」があり、このような意見、質問には、おおよそ次のような回答をすることになっていると言う。
「歌舞伎、相撲とは違う。被統治者であるパイワン族の家を建て、生活ぶりを見世物にしている」
つまり「サルの暮らしを見せる動物園のサル山の如し。だから『人間動物園』だ」と言うことだろうか。
もしそれならば博覧会で建てられた日本家屋の中で日本人が物品の製作実演を行ったことも「人間動物園」となろう。
言うまでもなくコールセンターの「Q&A」は、番組担当者から渡されたものだ。
■問題の重大さに気付いたコールセンターの対応
問題はあくまでも当時の日本人が、あるいは博覧会が、こうしたショーを「人間動物園」と位置付けていたかどうかなのだが、コールセンターは「それについての資料は番組側から届いていない」として、回答しない。
この問題でコールセンターの二人の「責任者」と話した。
一人は「視聴者には『人間動物園』は事実だと伝えている」と言っていた。
そこで私が「『人間動物園』の五文字はあまりにも衝撃的だった。もしこれが事実でなければNHKの責任は重大だ」と言うと「その通りだ」と頷くので、「証拠となる資料を番組側に求めるべきだ」と提案すると、「それはできない。あなたから直接確認して欲しい」と断られた。
それで「では私が問い合わせる。回答がきたらお教えする。それまでの間、『動物園』は事実かと聞かれても、答えないで」と求めると、「わかった。『こちらでは回答できない』と応じよう」と約束した。
もう一人の人には、番組が「人間動物園」と表現した理由について聞いてみた。
相手は慎重に言葉を選びながら「当時の概念だ」と説明するので、私が「当時英国などで一般的に『人間動物園』と呼んだものを、日本人が真似たと言うことか」と聞いた。番組のアナウンスでも「人を展示する『人間動物園』と呼ばれました。日本はそれを真似たのです」とあるからだ。
相手は「その通りなのだ」と答えた。「よく理解してくれた」と言う感じだった。
NHKは「日本が真似たものが、たまたま英国では『人間動物園』と呼ばれていた」と主張するつもりだろうか。
■「動物園」と強調した以上は具体的証拠を
私は番組に対してメールを送り、「博覧会で実際に『人間動物園』との呼称が用いられたのか。あるいは日本はそのような言葉を使ったのか。どのような史料に基づいての解説だったのか」と問い合わせ、現在回答を待っているところだ。
もし回答が「日本が真似たものが、たまたま英国では『人間動物園』と呼ばれていた。日本人がそのような言葉を使用したかどうかは関知しない」と言うだけのものなら、そのようなものは世の中には通用しない。
すでに番組は、パイワン族の写真を「人間動物園」だと強調し、視聴者を驚かせている。
また当時「展示された青年」(故人)の子供たちに父親の写真を見せ、「悲しいね。この出来事の重さ語りきれない」と、番組の中で嘆かせてもいる。
博覧会のことを聞かされていないと言う彼らは、NHKから「あなたたちの父親は人間動物園に入れられた」と教えられ、「悲しいね」と答えたのではないか・・・。
視聴者に「日本人はパイワン族を動物として扱って英国で見世物にし、アジアの一等国として台湾統治の成果を世界に示した」との強烈な印象を与えたNHKは、それが事実であったことを示す具体的な証拠を示すべきだ。
自民党の「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」(会長・中山成彬元文部科学相)もNHK宛てに質問状を発送し、番組内容に関する十三項目の資料の有無などの明示を求めているが、その筆頭項目も「人間動物園」に関するものだ(産経新聞、四月二十九日)。
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【NHK・JAPANデビュー】NHK偏向報道に対する抗議デモ[桜 H21/4/27]
台湾の被取材者たちが語る真の歴史、そしてNHK。
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4月21日放送 旧制台北一中卒業生らを中心にインタビュー
1/8【台湾取材レポート】台湾取材の経緯などについて[桜 H21/4/21]
http://www.youtube.com/watch?v=dDMxsesr3TY
2/8【台湾取材レポート】座談会・日本語族達の番組批評[桜 H21/4/21]
http://www.youtube.com/watch?v=s0xWSlGhCMM
3/8【台湾取材レポート】蒋松輝氏インタビュー[桜 H21/4/21]
http://www.youtube.com/watch?v=tAL0FzMAwks
4/8【台湾取材レポート】藍昭光氏インタビュー[桜 H21/4/21]
http://www.youtube.com/watch?v=8SOhCw4w_5M
5/8【台湾取材レポート】柯徳三氏インタビュー・1/3[桜 H21/4/21]
http://www.youtube.com/watch?v=eXvmpZbfooA
6/8【台湾取材レポート】柯徳三氏インタビュー・2/3[桜 H21/4/21]
http://www.youtube.com/watch?v=e9rYQ7ndA4I
7/8【台湾取材レポート】柯徳三氏インタビュー・3/3[桜 H21/4/21]
http://www.youtube.com/watch?v=9lO3fbu508A
8/8【台湾取材レポート】片倉佳史氏インタビュー[桜 H21/4/21]
http://www.youtube.com/watch?v=m76GwZ9PNoA
4月22日放送 龍山寺で戦争体験者たちにインタビュー。軍歌の大合唱も
1/5【台湾取材レポート】井上和彦・台湾取材で感じたこと[桜 H21/4/22]
http://www.youtube.com/watch?v=8dqmJrgoSHQ
2/5【台湾取材レポート】二二八紀念公園でのインタビュー[桜 H21/4/22]
http://www.youtube.com/watch?v=h7Anl-B1t1E
3/5【台湾取材レポート】龍山寺前広場でのインタビュー・前半[桜 H21/4/22]
http://www.youtube.com/watch?v=_vg5wn-EF9k
4/5【台湾取材レポート】龍山寺前広場でのインタビュー・後半[桜 H21/4/22]
http://www.youtube.com/watch?v=5EOmXXtVgD0
5/5【台湾取材レポート】台湾取材を終えて[桜 H21/4/22]
http://www.youtube.com/watch?v=Km9pUH9pBPM
【NHK・JAPANデビュー】井上和彦・台湾取材12のポイント[桜 H21/4/25]
http://www.youtube.com/watch?v=jMY9XIhhe58
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番組制作者の罷免要求を!
抗議先 福地茂雄会長宛てに、番組制作責任者・濱崎憲一ディレクターの罷免要求を!
[NHK]視聴者コールセンター 電話:0570-066066
[NHK] FAX:03-5453-4000 メール:http://www.nhk.or.jp/special/
※福地会長に宛てたファックスは有効だ。
[放送倫理・番組向上機構(BPO)] 電話:03-5212-7333 FAX:03-5212-7330
メール:https://www.bpo.gr.jp/audience/send/form.html
[総務省] 電話:03-5253-5776(放送政策課 直通)FAX:03-5253-5779
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※鳩山邦夫総務大臣宛に問題提起を。
参加を! 台湾研究フォーラム(台湾研究論壇)第122回定例会
■講 師 永山英樹氏(台湾研究フォーラム会長)
■演 題 日本メディアの台湾史捏造が始まったーNHK「JAPANデビュー」問題
4月5日に放送されたNHKスペシャル「JAPANデビュー」第1回アジアの“一等国”は日本の台湾統治史を台湾人弾圧史として描き、歴史事実の捏造を連発し、台湾人の証言をも恣意に編集し、台湾が反日国家であるかの印象操作を行った。そこでこの問題を調査し続けている本会の永山会長が、番組映像を見ながら問題の指摘を行うとともに、このような番組を敢えて制作したNHKの企図を分析する。
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【日 時】 平成21年5月9日(土) 午後5時45分~8時
【場 所】 文京シビックセンター 3F会議室
JR「水道橋駅」徒歩10分
都営三田線・大江戸線「春日駅」徒歩1分
東京メトロ丸の内線・南北線「後楽園駅」徒歩1分
【参加費】 会員500円 一般1000円
【懇親会】 閉会後、会場付近にて。(会費3000円、学生1000円)
【申込み】 3月20日までに下記へ。Eメール [email protected]
【問合せ】 090-4138-6397 (FAX 03-5211-8810)
※台湾研究フォーラム会員募集中 年会費2000円
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(ながやま ひでき)昭和36年、埼玉県生まれ。法政大学法学部法律学科卒。中国・山西大学漢語班修了。台湾はわが国の生命線、運命共同体であるとの見地から、日台関係の強化と正常化、台湾報道の正常化、台湾独立建国の支援、台湾国連加盟の支援等を訴える言論活動を展開している。著書に『日本の命運は台湾にあり』、共著書に『台湾と日本・交流秘話』、共訳書に『台湾国民中学歴史教科書―台湾を知る』などがある。現在、台湾研究フォーラム会長、日本李登輝友の会理事。ブログ「台湾は日本の生命線!」主宰。
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第122回定例会 申込書
氏名 懇親会: 参加 不参加 (○をお付けください)
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