台湾は日本の生命線！

「中国経済ニュースを始め、天気、為替、中国株、人民元、靖国、華流、f4情報など」を紹介する「日本最大の中国専門ポータルサイト」ことサーチナ・中国情報局には「今日は何の日」と言うコーナーがあって、過去のその日に中国ではどのような事件があったかを取り上げているが、十月二十五日の同コーナーのテーマは「１９４５年：台湾が祖国復帰」だった。

つまり「1945年10月15日、第二次世界大戦での日本敗北を受けて、中華民国の軍隊が台湾に上陸。10月25日、台北市内で日本の降服式典が行われ、日本の植民地支配は正式に終了した」と言う内容である。

この日を境に台湾は中国領土となり、今日に至っていると言うのが中国の主張で、日本人も台湾人も久しくそれを事実と思い込んできたが、最近はようやくそれが歴史捏造であることが知られるようになってきた。

その降伏式典で実際に何が行われたかと言えば、台湾に駐屯していた日本軍司令官による連合軍への降伏文書の署名であるが、そのときついでに中華民国は、台湾の領有権を中国に引き渡せと言う命令書にもサインを強要し、ただそれだけで「台湾は祖国に復帰した」と宣言したのだ。もっとも連合国はそのようなものはいっさい無視し、一九五一年のサンフランシスコ講和会議で、日本の台湾放棄と台湾の帰属先未定（中国に割譲せず）を決定したと言うのが厳然たる歴史事実である。

そうした指摘を受けたからだろうか、その後中国情報局は、「１９４５年：台湾が祖国復帰」のタイトルを「１９４５年：日本の台湾統治終了」に修正した。これは注目に値していいだろう。中国ニュースを扱うサイトの宿命として、中国の政治宣伝をばら撒いてきたこのサイトですら、「１０・２５台湾復帰」説を否定したのだ。

ただ「今日は（中国の）何の日」で台湾の歴史事件を取り上げること自体、「台湾は中国に復帰した」という認識に立っていることになる。「復帰していない」と認めた以上、この記事は削除するべきではないだろうか。

中国は決して認めようとしないが、「日本の植民地支配が正式に終了した」のは一九五一年になてからなのだから。

中国情報局は中国最大のウソである「台湾は中国の一部」を否定するべきだ。そうしない限り、中国の代弁者との疑念は拭われず、ニュースサイトとしての信憑性を自ら損なうだけだろう。

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■台湾の国連加盟問題は日本メディアの試金石　　

先週台湾へ行ったところ、総統府の建物から空港内の小さなサービスカウンターに至るまで、公共施設には必ず「台湾の国連加盟を」と言ったスローガンが掲げられていた。これまでも台湾政府は毎年の国連総会に対し、友好国を通じて「中華民国」としての加盟の動きをしていたが、今年七月には総統が初めて加盟の直接申請を行い、しかも「台湾」の名でそれを行ったわけだから、実質的には世界に対し「台湾は台湾だ、中華（チャイナ）ではない」と宣言したようなものだった。さらには来年三月の総統選挙と同日に台湾名義での国連加盟の是非を問う住民投票を実施して、「台湾が主権国家として加盟を果たすことを熱望する」との国民の声を世界に届けようとしており、もしこれが成功すれば、まさに「台湾独立」を宣言したに等しくなる。

この住民投票を中国が何よりも恐れている理由はそこにある。台湾による自己の存在アピールは、「一つの中国」の宣伝を根底から覆すほどの威力を持っているからだ。中国の軍事的暴走を恐れる米国が民主主義の理念をも放棄して、それに反対するのも肯けなくもない。

もしかりに中国の恫喝や米国の反対圧力によって住民投票がつぶされたなら、台湾人の意思表明の自由が否認されたなら、これは民主と自由と言う世界の普遍的価値の否定につながる一大事だ。そのとき中国に迎合ばかりする日本のマスコミは、どのような報道をするのだろうか。この住民投票政策を「選挙対策」などと言って矮小化する報道も目立つが、あれなどは明らかに中国側のチェックを意識したものだろう。この問題はすでに、日本のマスコミにとっては、民主主義を支持するか、独裁主義に屈するかの試金石となっているのだ。

■日本が米中追従を止めるべき理由

国際社会が台湾の国連加盟を許さない、さらには加盟の願望表明すら許さないとなれば、あとは中国に台湾を差し出すと言うことだろうか。だが台湾も負けてはいない。上述のように国を挙げて国連加盟運動を展開している。たとえすぐには加盟を果たせなくても、台湾人の心の声を世界に発信し続ければ、そしてそれに中国が反発し続ければ、台湾と言う中国とは切り離された存在が各国に認識され、それだけで台湾問題は世界の関心の下に置かれることとなり、中国覇権主義の動きを牽制することとなるだろう。だからこの国にとっては、絶対に米中の圧力に屈するわけには行かない。ここで諦めては、かえって世界から「やはり台湾は中国の一部だ」と誤解されてしまう。

日本などは台湾が中国に併呑されたなら、今度は自国の安全と独立が危殆に瀕するわけだから、米国、中国が何を言おうと、台湾加盟を支持しなければならないはずだ。おそらく住民投票が実施されるに先立ち、それに反対を表明するかどうかの選択に、政府は迫られることになるだろう。

政府は絶対に反対表明などをして、孤立無援の中でがんばる台湾国民の士気に影響を及ぼしてはならない。

そうしたなか、実は最近日本国民は、その台湾国民を大いに励ましている。

十月に日本で行われた台湾加盟に関する世論調査では次のような結果が出たのだが、これである。

■日本の世論に勇気付けられた陳水扁総統

「台湾に国連加盟の権利を与えるべきか否か」との設問では、「そう思う」が五〇・二％、「まあそう思う」が二三・八％と、七四・〇％が「与えるべき」と答えている。

「台湾における国民投票で台湾の名で国連に加盟することが決定された際の加盟」については「賛成」が五七・〇％、「やや賛成」が二四・二％と、八一・二％が「賛成」を表明している。

「台湾の国連加盟に対して日本政府が支持すべきか否か」では、「そう思う」が三一・六％、「まあそう思う」が三一・九％で、六三・五％が「支持すべき」。

「国連において、その国の国民による民主的な決定を日本は尊重すべきか否か」では、「そう思う」が六三・四％で、「まあそう思う」が二五・八％で、八九・二％が「日本は尊重すべき」と答えた。

各設問で見られた一～三割の反台湾的回答が恐中・媚中心理からのものか、台湾を中国の一部とする誤解からのものかは知らないが、少なくとも日本国民には良識的な考えが広く持たれていることはこれで明らかとなり、これが台湾では大きく注目されたのだ。

たとえば陳水扁総統は十月二十七日、こう述べて国民を激励している。

「日本の民衆の七四％が台湾の加盟を支持している。もし住民投票が通過したなら、八一％が台湾加盟を支持することになるだろう」

ちなみに陳総統は「日本人の台湾支持は台湾人の台湾支持以上だ。日本人は台湾人以上に台湾人である」とも言っているが、それは「台湾の国連加盟」ではなく、「中華民国の国連復帰」を訴える国民党への批判である。中華民国は国連ですでに中華人民共和国に取って代わられているのだから、国民党の訴えは馬鹿げている。そこで陳総統は「日本人の方が真剣に台湾のことを心配しているぞ」と言っているわけだ。

■東アジアの砦の人々とともに立て

こんなこともあった。十月二十四日は国連の創設記念日だが、台湾では今年から、この日を「台湾国連の日」とし、当日は国連加盟を訴える聖火リレーが始まった。そこで我々日本人有志はそれに呼応し、新宿駅前で台湾加盟の支持を呼びかける街頭演説会を行った。このささやかな行動をある台湾のメディアは、欧州議会の議員たちによる台湾加盟支持の署名行動とともに取り上げてくれた。それはおそらく日本国内で台湾加盟を支持する動き見られ始めたと言うことなのだろう。きっとこうしたアクションだけでも、台湾国民には激励のメッセージとなっているに違いない。

台湾は中国覇権主義から東アジアの平和と安定を守るための最前線の砦である以上、我々はその砦の人々を激励しなければならないのだ。だからもっと台湾の国連加盟の動きを支持しよう。

二〇〇三年一二月、政府は台湾で予定されていた中国のミサイル配備に関する住民投票に対し、中国の走狗のごとく、反対の「申し入れ」と言う内政干渉を行った前科がある。もしふたたび住民投票に干渉すると言うのなら、国民はそれを許してはならない。そのためにも台湾加盟と住民投票を支持する世論の高まりはどうしても必要なのだ。

中国の迫り来る脅威を前に台湾は孤軍奮闘している。日本人はどうしてそれとともに戦おうとしないのか。反中国を叫ぶなら、この国が最も嫌がる台湾国連加盟問題で立ち上がろう。台湾侵略を正当化するための「一つの中国」の宣伝を打ち破るのだ。

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