台湾南部地震を利用する中国メディアの卑劣な政治宣伝ー日本人も知っておきたい情報捏造の手口(附;義捐金口座案内)
2016/02/08/Mon
台湾南部で二月六日未明、大きな地震が発生。大勢の人が犠牲になり、救助活動もいまだ継続中。みなが行方不明者の一刻も早い救出を祈っているところだが、今回発生したこの悲劇をさっそく政治宣伝に利用しようと動き出した国がある。
それは言うまでもなく中国だ。地震発生直後の同日午前、中国共産党機関紙人民日報系の国際情報紙、環球時報は、とんでもない内容の記事を配信した。
見出しは「対応が鈍い蔡英文と頼清徳の反応は不合格」。台湾駐在の蕭師言なる特約記者の電話報告を基に書かれたものである。
蕭師言記者は地震発生時、北部の台北におり、揺れにも気付かず就寝中。その後目を覚まして事態を知り、ただちにデマ報告に手を染め始めた。
台北からの報告を基に書かれた環球時報の記事。明らかに5月発足の民進党政権の中傷を
狙ったもので、作り話に満ちている
■国民党政権の対応を讃える中共のスピーカー
―――先程始まった救援活動を見ると、“馬英九政府”の対応は宜しきを得ている。早朝四時に地震が起こると、五時には防災対策センターを設置し、五時十七分に張善政“行政院長”が馬英九に状況などを報告し、馬英九も六時にはセンターに駆け付け、八時に飛行機で台南に視察へと向かい、張善政もその日の予定を取り消し、台南市へ向かった。こうした行動は相当迅速というべきだ。
(※文中、“政府”“行政院長”などと括弧附きで表記するのは、馬鹿馬鹿しいことだが、台湾の国家機関の存在を認めない中国の立場による)
何を基準に「迅速」と評価したかはわからないが、実際に迅速だったことだろうと推測する。
なぜなら約七百人の犠牲者を出した二〇〇九年の南部での水害の際、国民党の馬英九政権の対応はあまりに遅く、稚拙に過ぎるなどの無能さを曝け出し、猛非難を浴びたことがあるからだ。だから今回は迅速さを心掛けた、というのが私の想像だ。
■地震を機に民進党批判のデマ報告
しかしそれはともかく、台湾は先進的な民主主義国家なのである。この程度の「迅速」さは当然のことであり、一々特筆することではない。
だがそれでも蕭師言記者がここまで讃辞を送るのには、何かしらの目的があるからだ。
言うまでもなくそれは、民進党非難のためである。
見出しにある「蔡英文」とは言うまでもなく野党民進党の主席で、先月の総統選挙で当選を果たし、五月には総統に就任して国民党から政権を引き継ぐ予定だ。
「頼清徳」とは今回の地震で被害が最大だった台南市の市長。民進党のスター政治家で、将来の総統としても嘱望されている。
目下中国は、この民進党政権の発足に困り果てている。なぜなら国民党政権と異なり、「一つの中国」を認めず、「台湾人の台湾」を主張するなどで、台湾併呑工作にとっては大きな障害となるからだ。
そこで蕭師言記者は、地震を機に民進党のネガティブキャンペーンを展開し、その支持率を下げてやろうと狙ったようだ。
中国の本社から電話で叩き起こされ、批判的な報告を行えと指示されたことも大いに考えられる。
■卑劣な印象操作狙いの報告
そこで報告が行われたかを見てみよう。記事にはこう書き連ねられている。
―――翻って民進党を見ると、蔡英文は地震発生後、わずかに「死傷者が最小限に留まり、全てが無事であることを祈る」とだけコメントし、その後も南部の民進党籍の首長や党支部に救援活動を行うよう指示したのみ。明らかに新しい指導者としては相応しくなかった。
―――頼清徳に至ってはもっとひどい。被災地の市長でありながら、直ちに災害現場へは駆け付けず、六時二十九分になってようやくフェイスブックで、「今回の大地震を受け、市はすでに災害対策センターを開設している」と好評。市長としては絶対あってはならない対応だった。
蔡英文が「救援活動を行うよう指示したのみ」と書くが、これは卑劣な印象操作である。
■日本人が知るべき中国メディアの危険性
蔡英文はその日の八時半、台北の党本部で党主席として災害対策緊急会議を開き、南部の市長、県長(県知事)に向け、可能な限りのヒト、モノを被災地救済のため振り向けるよう「指示」するとともに、党としての今後の対応に関しても様々な指示を出している。
民進党本部で緊急対策会議を招集した蔡英文(右2)。その迅速な対応に、中国紙から批判さ
れるべきものはなかった
まさに迅速な対応といえるだろう。そして蔡英文がそこまで行ったことを、蕭師言記者は報道で知っていないわけがないのだが、しかしそれでもあえて「彼女は何もやっていない」とのイメージを作り上げようと狙ったのだ。
頼清徳についても同様だ。彼がフェイスブックで対策センターが開設されたことを知らせたのは六時二十九分ではなく四時三十八分。地震発生から四十一分後のことである。
これが問題の頼清徳市長(写真右)のフェイスブックの記事。環球時報の記事が事実捏造であ
るとの動かざる証拠だ
その時すでに彼はセンター内で指揮に当たっており、実際にその写真も公開しているのだが、実際にフェイスブックを見ている蕭師言記者が、なぜそこまでのインチキを書くのか。
日本人も知っておくべきはこういうことなのだ。
つまりこうした悪意の情報操作こそ、中国側の台湾報道の本質なのだということだ。
日本のマスメディアはしばしば中国初の台湾関連報道を引用するが、そこにはこうした捏造情報が含まれている可能性が大だと警戒すべきだ。
もっともそうした中共の宣伝工作の手口は、中国人自身もすでによくわかっているらしい。
台湾紙自由時報によると、環球時報の記事を読んだ中国のネットユーザーの間では、「民進党は悪い、蔡、頼は悪いと書くが、ではなぜ台湾の有権者は彼らを選んだのか」「合格化不合格かを決めるのは台湾の民衆。記者が勝手にやるべきことではない」といった声が聞かれたとか。
こういった中国人の意見も参考になる。
【過去の関連記事】
台湾南部で地震―日本で蘇る五年前の台湾からの友情の記憶 16/02/07
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-2757.html
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……………………
台湾南部地震緊急支援
平成28(2016)年2月6日午前4時57分、台湾南部・高雄市を震源とするマグニチュード(M)6・4の強い地震が発生しました。
亡くなられた方やそのご遺族に心からお悔やみを申し上げると共に、全ての被害に遭われた方々に対して心からお見舞いを申し上げます。
また、頑張れ日本!全国行動委員会では、現在、被害者のための支援金を募集いたします。
御支援をいただける方は、以下の口座までお願い申し上げます。
なお、御支援いただいた場合は、お手数ですが、「住所・氏名・お電話番号・メールアドレス等」を必ず事務局までご連絡ください。
集まりました支援金は、「台南市義捐金受付」にお渡し致します。
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【ゆうちょ口座からの場合】
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普通預金 91353001
台湾南部地震を支援する会
頑張れ日本!全国行動委員会
〒150-0002 東京都渋谷区渋谷1-1-16 若草ビル
電話番号 03-5468-9222 FAX番号 03-6419-3826
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見出しは「対応が鈍い蔡英文と頼清徳の反応は不合格」。台湾駐在の蕭師言なる特約記者の電話報告を基に書かれたものである。
蕭師言記者は地震発生時、北部の台北におり、揺れにも気付かず就寝中。その後目を覚まして事態を知り、ただちにデマ報告に手を染め始めた。
台北からの報告を基に書かれた環球時報の記事。明らかに5月発足の民進党政権の中傷を
狙ったもので、作り話に満ちている
■国民党政権の対応を讃える中共のスピーカー
―――先程始まった救援活動を見ると、“馬英九政府”の対応は宜しきを得ている。早朝四時に地震が起こると、五時には防災対策センターを設置し、五時十七分に張善政“行政院長”が馬英九に状況などを報告し、馬英九も六時にはセンターに駆け付け、八時に飛行機で台南に視察へと向かい、張善政もその日の予定を取り消し、台南市へ向かった。こうした行動は相当迅速というべきだ。
(※文中、“政府”“行政院長”などと括弧附きで表記するのは、馬鹿馬鹿しいことだが、台湾の国家機関の存在を認めない中国の立場による)
何を基準に「迅速」と評価したかはわからないが、実際に迅速だったことだろうと推測する。
なぜなら約七百人の犠牲者を出した二〇〇九年の南部での水害の際、国民党の馬英九政権の対応はあまりに遅く、稚拙に過ぎるなどの無能さを曝け出し、猛非難を浴びたことがあるからだ。だから今回は迅速さを心掛けた、というのが私の想像だ。
■地震を機に民進党批判のデマ報告
しかしそれはともかく、台湾は先進的な民主主義国家なのである。この程度の「迅速」さは当然のことであり、一々特筆することではない。
だがそれでも蕭師言記者がここまで讃辞を送るのには、何かしらの目的があるからだ。
言うまでもなくそれは、民進党非難のためである。
見出しにある「蔡英文」とは言うまでもなく野党民進党の主席で、先月の総統選挙で当選を果たし、五月には総統に就任して国民党から政権を引き継ぐ予定だ。
「頼清徳」とは今回の地震で被害が最大だった台南市の市長。民進党のスター政治家で、将来の総統としても嘱望されている。
目下中国は、この民進党政権の発足に困り果てている。なぜなら国民党政権と異なり、「一つの中国」を認めず、「台湾人の台湾」を主張するなどで、台湾併呑工作にとっては大きな障害となるからだ。
そこで蕭師言記者は、地震を機に民進党のネガティブキャンペーンを展開し、その支持率を下げてやろうと狙ったようだ。
中国の本社から電話で叩き起こされ、批判的な報告を行えと指示されたことも大いに考えられる。
■卑劣な印象操作狙いの報告
そこで報告が行われたかを見てみよう。記事にはこう書き連ねられている。
―――翻って民進党を見ると、蔡英文は地震発生後、わずかに「死傷者が最小限に留まり、全てが無事であることを祈る」とだけコメントし、その後も南部の民進党籍の首長や党支部に救援活動を行うよう指示したのみ。明らかに新しい指導者としては相応しくなかった。
―――頼清徳に至ってはもっとひどい。被災地の市長でありながら、直ちに災害現場へは駆け付けず、六時二十九分になってようやくフェイスブックで、「今回の大地震を受け、市はすでに災害対策センターを開設している」と好評。市長としては絶対あってはならない対応だった。
蔡英文が「救援活動を行うよう指示したのみ」と書くが、これは卑劣な印象操作である。
■日本人が知るべき中国メディアの危険性
蔡英文はその日の八時半、台北の党本部で党主席として災害対策緊急会議を開き、南部の市長、県長(県知事)に向け、可能な限りのヒト、モノを被災地救済のため振り向けるよう「指示」するとともに、党としての今後の対応に関しても様々な指示を出している。
民進党本部で緊急対策会議を招集した蔡英文(右2)。その迅速な対応に、中国紙から批判さ
れるべきものはなかった
まさに迅速な対応といえるだろう。そして蔡英文がそこまで行ったことを、蕭師言記者は報道で知っていないわけがないのだが、しかしそれでもあえて「彼女は何もやっていない」とのイメージを作り上げようと狙ったのだ。
頼清徳についても同様だ。彼がフェイスブックで対策センターが開設されたことを知らせたのは六時二十九分ではなく四時三十八分。地震発生から四十一分後のことである。
これが問題の頼清徳市長(写真右)のフェイスブックの記事。環球時報の記事が事実捏造であ
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その時すでに彼はセンター内で指揮に当たっており、実際にその写真も公開しているのだが、実際にフェイスブックを見ている蕭師言記者が、なぜそこまでのインチキを書くのか。
日本人も知っておくべきはこういうことなのだ。
つまりこうした悪意の情報操作こそ、中国側の台湾報道の本質なのだということだ。
日本のマスメディアはしばしば中国初の台湾関連報道を引用するが、そこにはこうした捏造情報が含まれている可能性が大だと警戒すべきだ。
もっともそうした中共の宣伝工作の手口は、中国人自身もすでによくわかっているらしい。
台湾紙自由時報によると、環球時報の記事を読んだ中国のネットユーザーの間では、「民進党は悪い、蔡、頼は悪いと書くが、ではなぜ台湾の有権者は彼らを選んだのか」「合格化不合格かを決めるのは台湾の民衆。記者が勝手にやるべきことではない」といった声が聞かれたとか。
こういった中国人の意見も参考になる。
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台湾南部で地震―日本で蘇る五年前の台湾からの友情の記憶 16/02/07
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台湾南部地震緊急支援
平成28(2016)年2月6日午前4時57分、台湾南部・高雄市を震源とするマグニチュード(M)6・4の強い地震が発生しました。
亡くなられた方やそのご遺族に心からお悔やみを申し上げると共に、全ての被害に遭われた方々に対して心からお見舞いを申し上げます。
また、頑張れ日本!全国行動委員会では、現在、被害者のための支援金を募集いたします。
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