「台湾人の生命」より「中国の政治」を優先か―読売社説に見る日本メディアの限界
2019/02/01/Fri
■習近平が呼びかけたのは台湾の無血開城
習近平の所謂「中国の夢」とは「覇権主義の夢」。「中華民族の偉大なる復興」を叫んで周辺国を脅かし続けるこの赤いファシストは一月二日、人民大会堂で演説を行い、正月早々からそんな物騒な「夢」を台湾に向けて延々と語った。
「台湾同胞は中華民族の一分子。正々堂々たる中国人たれ。国家の完全統一を推進し、共に民族の偉大なる復興を無上の光栄の事業としよう」「平和統一、一国二制度が国家統一実現のための最良の方法だ」などと呼び掛けたのだ。
「平和統一」(協議による台湾併合)を求める一方で、「武力使用を放棄しない」とも明言した。
ではどのようなときに武力を使用するのか。「武力」とは「外部勢力の干渉や、極少数の台湾独立分子及びその分裂活動に向けてのものだ」と、習近平は言っていた。
要するに、こういうことだ。
台湾が無血開城(平和統一)し、現体制を維持したまま中華人民共和国の支配(一国二制度)を受け入れれば「最良」だが、しかしもしそれを拒否する台湾人(台湾独立分子)がいるのであれば、武力攻撃を行うし、その際に米軍(日米同盟)が台湾を救援(外部勢力の干渉)するというなら、それに対しても攻撃を加えるという訳だ。
■中国統一が「侵略」だという認識の欠如
ところで平和統一であれ武力統一であれ、台湾が中国の領土の一部ではない以上、それは不法な領土の拡張、つまり侵略である。
習近平は演説で「一九四五年、中華人民は世界各国の人民と共に中国人民抗日戦争と世界反ファシズム戦争で偉大なる勝利を収め、台湾もそれに伴い光復し、再び祖国に復帰した」と言っているが、これは明らかな歴史捏造というしかない。
たしかに台湾は一九四五年の終戦で、マッカーサーの命を奉じた「祖国=中国」(当時は中華民国)の軍隊の進駐を受け、またその四年後には中華民国の中央政府が国共内戦で敗れて台湾に亡命している。
しかしそれだけで、中華民国であれ中華人民共和国であれ、「中国」が台湾の領有権を得たわけではないのである(一九五三年の日本による放棄後、台湾は帰属先未定の状態となった)。だからこそ日本も米国も、その他の世界中の国々も、台湾を中国の一部であるとは承認していない。
したがって所謂「祖国復帰」というものは完全なでっち上げであり、その「祖国復帰」を法的根拠とする「一つの中国」原則なるものも、最初から破綻しているのである。
中国が「一つの中国」を叫び、世界各国にその考えを受け入れるよう執拗に迫り続けるのは、そうした都合の悪い事実を隠蔽するために他ならない。
そしてそのような中国の圧力は、日本ではマスメディアも受け続け、それに屈している。日中記者交換協定で「『二つの中国』を作り出す陰謀に参加しない」と誓約させられて以来、「一つの中国」原則に対する批判、否定をタブーにしているのがそれである。
そのため台湾に関する報道に歪みが生じ、その影響で国民の間で、台湾は中国の一部との誤解が定着した。台湾と中国はかつての東西ドイツのような分断国家であり、分断は悲劇であり統一は平和だとの印象も広く抱かれている。中国による「統一」とは、許してはならない対外侵略だとの正しい認識は必ずしも持たれていないと思う。
■差し迫る脅威―許されなくなった曖昧な報道
ところが今回の習近平演説を受け、読売新聞が的を衝いたなかなかいい論説を書いた。
一月二十九日の“中国の台湾政策 空約束に過ぎぬ「一国二制度」”と題する社説がそれである。
「問題は、習氏が米国を念頭に、台湾問題への外部勢力の介入には『武力使用を放棄しない』と主張したことである」と演説を批判し、「中国の軍事力はいまや台湾を圧倒している。中国軍は台湾周辺で軍事活動を繰り返し、武力行使が現実味を帯びる。地域の緊張を高める言動は看過できない」と強調している。
そして「東アジアの安定に重要な台湾への関与を、米国が目に見える形で示し、中国へのけん制を続けることが欠かせない」とも主張するのだから、台湾問題とは国際社会が関与すべき国際問題であって、中国の言うようなあの国の内政問題ではない(台湾は中国の一部ではない)と言っているに等しい。
中国が読めば、怒り心頭に発すること必定の内容だ。何しろ真実が書かれている。台湾問題に深入りしたがらない日本のマスメディアにしては画期的とも言えそうだ。もはや曖昧な報道が許されないほど、中国の軍事的脅威は差し迫っているということなのか。
■過剰な配慮―中国覇権主義に反対ではなく激励か
ただそれであるにかかわらず、「やはり日本メディアだ。相変わらずだな」と思える部分も見られた。以下のくだりなのだが、中国への過剰な配慮が滲んでいるのがわかるだろうか。
―――中国共産党政権は一党支配に不都合な勢力や意見を抑圧してきた。「一国二制度」で台湾の自由や民主主義を保障すると約束しても、信用は到底得られまい。
―――習氏は平和統一の目標と、香港やマカオで適用されている「一国二制度」を台湾に導入する方針を表明した。「台湾同胞の社会制度や生活方式は十分に尊重される」と述べ、融和姿勢を強調した。額面通りに受け取ることはできない。「平和統一・一国二制度」は歴代政権の基本路線だが、強権統治が強まる中で、実態との乖離かいりが大きくなっているからだ。
―――97年に英国から中国に返還された香港では、大陸の社会主義とは異なる制度の存続と「高度な自治」が保障された。だが、民主化を求める勢力は弾圧され、言論の自由が脅かされている。香港の実情を目の当たりにして、台湾が「一国二制度」への拒否感を抱くのは当然だ。独立志向の強い民進党の蔡英文政権のみならず、親中的な国民党も受け入れない考えを示している。
もし私なら、「台湾は中国の一部ではない。一国二制度の押し付けは台湾の主権を否定するものであり、停止すべきだ」とはっきり記すところだが、そんなことは書かれていない。
その代わりに「一国二制度は香港でうまく行っていない以上、台湾人が嫌がるのは当たり前だ。台湾人が統一を受け入れられるよう、中国はもっと民主的な政策を」などと建議しているではないか。諫言にも聞こえるし、激励とすら受け取れる。
■日本のメディアは良心、理性の回復を
もちろん中国を激励したい訳ではないだろう。ただ「一つの中国」原則に抵触しないよう言葉を慎んでいるうちに、こんな媚びの表現になっただけである。日本メディアにはこれまでもよくみられた表現だ。
更に言えば、先に見た「問題は、習氏が米国を念頭に、台湾問題への外部勢力の介入には『武力使用を放棄しない』と主張したことである」というくだりにも、「一つの中国」原則への配慮が見られる。
習近平は演説で「外部勢力の干渉や、極少数の台湾独立分子及びその分裂活動」に対しては武力を放棄しないと発言したのだから、社説も「台湾独立分子(統一を拒否する台湾人)には武力使用を放棄しないと主張したこと」も「問題」だと強調すべきだった。
しかしそうしなかったのはなぜか。それは中国側から「読売は台湾独立を支持している」とレッテルを張られるのを怖がったからだとしか考えられない。
しかしこんな書き方だと、台湾人への攻撃より「外部勢力」への攻撃の方が「問題」だと言いたいみたいだ。
このように、二千三百万人の台湾人の尊い生命が中国の軍事力の脅威にさらされることに声を大にしてノーと叫ぶことすら控える日本のマスメディア。人の生命より中国の政治宣伝を優先させてしまっている。
今こそ虚構の「一つの中国」宣伝の桎梏から抜け出し、良心、理性を取り戻し、国民に中国覇権主義の実態をより正しく伝えてほしい。
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台湾はChinese Taipei(中国台北)ではない! 東京五輪「台湾正名」街宣署名活動
日時 2月2日(土)12時00分~15時00分
場所 京成「上野駅」正面口前付近(西郷隆盛像階段下)
主催 台湾研究フォーラム(台湾研究論壇)、美麗島交流会、
在日台湾同郷会
協力 2020東京五輪「台湾正名」推進協議会
台湾はChinese Taipeiではない!
東京五輪「台湾正名」署名集めにご協力を!
署名用紙ダウンロード
http://www.ganbare-nippon.net/PDF/2020taiwanshomei
習近平の所謂「中国の夢」とは「覇権主義の夢」。「中華民族の偉大なる復興」を叫んで周辺国を脅かし続けるこの赤いファシストは一月二日、人民大会堂で演説を行い、正月早々からそんな物騒な「夢」を台湾に向けて延々と語った。
「台湾同胞は中華民族の一分子。正々堂々たる中国人たれ。国家の完全統一を推進し、共に民族の偉大なる復興を無上の光栄の事業としよう」「平和統一、一国二制度が国家統一実現のための最良の方法だ」などと呼び掛けたのだ。
「平和統一」(協議による台湾併合)を求める一方で、「武力使用を放棄しない」とも明言した。
ではどのようなときに武力を使用するのか。「武力」とは「外部勢力の干渉や、極少数の台湾独立分子及びその分裂活動に向けてのものだ」と、習近平は言っていた。
要するに、こういうことだ。
台湾が無血開城(平和統一)し、現体制を維持したまま中華人民共和国の支配(一国二制度)を受け入れれば「最良」だが、しかしもしそれを拒否する台湾人(台湾独立分子)がいるのであれば、武力攻撃を行うし、その際に米軍(日米同盟)が台湾を救援(外部勢力の干渉)するというなら、それに対しても攻撃を加えるという訳だ。
■中国統一が「侵略」だという認識の欠如
ところで平和統一であれ武力統一であれ、台湾が中国の領土の一部ではない以上、それは不法な領土の拡張、つまり侵略である。
習近平は演説で「一九四五年、中華人民は世界各国の人民と共に中国人民抗日戦争と世界反ファシズム戦争で偉大なる勝利を収め、台湾もそれに伴い光復し、再び祖国に復帰した」と言っているが、これは明らかな歴史捏造というしかない。
たしかに台湾は一九四五年の終戦で、マッカーサーの命を奉じた「祖国=中国」(当時は中華民国)の軍隊の進駐を受け、またその四年後には中華民国の中央政府が国共内戦で敗れて台湾に亡命している。
しかしそれだけで、中華民国であれ中華人民共和国であれ、「中国」が台湾の領有権を得たわけではないのである(一九五三年の日本による放棄後、台湾は帰属先未定の状態となった)。だからこそ日本も米国も、その他の世界中の国々も、台湾を中国の一部であるとは承認していない。
したがって所謂「祖国復帰」というものは完全なでっち上げであり、その「祖国復帰」を法的根拠とする「一つの中国」原則なるものも、最初から破綻しているのである。
中国が「一つの中国」を叫び、世界各国にその考えを受け入れるよう執拗に迫り続けるのは、そうした都合の悪い事実を隠蔽するために他ならない。
そしてそのような中国の圧力は、日本ではマスメディアも受け続け、それに屈している。日中記者交換協定で「『二つの中国』を作り出す陰謀に参加しない」と誓約させられて以来、「一つの中国」原則に対する批判、否定をタブーにしているのがそれである。
そのため台湾に関する報道に歪みが生じ、その影響で国民の間で、台湾は中国の一部との誤解が定着した。台湾と中国はかつての東西ドイツのような分断国家であり、分断は悲劇であり統一は平和だとの印象も広く抱かれている。中国による「統一」とは、許してはならない対外侵略だとの正しい認識は必ずしも持たれていないと思う。
■差し迫る脅威―許されなくなった曖昧な報道
ところが今回の習近平演説を受け、読売新聞が的を衝いたなかなかいい論説を書いた。
一月二十九日の“中国の台湾政策 空約束に過ぎぬ「一国二制度」”と題する社説がそれである。
「問題は、習氏が米国を念頭に、台湾問題への外部勢力の介入には『武力使用を放棄しない』と主張したことである」と演説を批判し、「中国の軍事力はいまや台湾を圧倒している。中国軍は台湾周辺で軍事活動を繰り返し、武力行使が現実味を帯びる。地域の緊張を高める言動は看過できない」と強調している。
そして「東アジアの安定に重要な台湾への関与を、米国が目に見える形で示し、中国へのけん制を続けることが欠かせない」とも主張するのだから、台湾問題とは国際社会が関与すべき国際問題であって、中国の言うようなあの国の内政問題ではない(台湾は中国の一部ではない)と言っているに等しい。
中国が読めば、怒り心頭に発すること必定の内容だ。何しろ真実が書かれている。台湾問題に深入りしたがらない日本のマスメディアにしては画期的とも言えそうだ。もはや曖昧な報道が許されないほど、中国の軍事的脅威は差し迫っているということなのか。
■過剰な配慮―中国覇権主義に反対ではなく激励か
ただそれであるにかかわらず、「やはり日本メディアだ。相変わらずだな」と思える部分も見られた。以下のくだりなのだが、中国への過剰な配慮が滲んでいるのがわかるだろうか。
―――中国共産党政権は一党支配に不都合な勢力や意見を抑圧してきた。「一国二制度」で台湾の自由や民主主義を保障すると約束しても、信用は到底得られまい。
―――習氏は平和統一の目標と、香港やマカオで適用されている「一国二制度」を台湾に導入する方針を表明した。「台湾同胞の社会制度や生活方式は十分に尊重される」と述べ、融和姿勢を強調した。額面通りに受け取ることはできない。「平和統一・一国二制度」は歴代政権の基本路線だが、強権統治が強まる中で、実態との乖離かいりが大きくなっているからだ。
―――97年に英国から中国に返還された香港では、大陸の社会主義とは異なる制度の存続と「高度な自治」が保障された。だが、民主化を求める勢力は弾圧され、言論の自由が脅かされている。香港の実情を目の当たりにして、台湾が「一国二制度」への拒否感を抱くのは当然だ。独立志向の強い民進党の蔡英文政権のみならず、親中的な国民党も受け入れない考えを示している。
もし私なら、「台湾は中国の一部ではない。一国二制度の押し付けは台湾の主権を否定するものであり、停止すべきだ」とはっきり記すところだが、そんなことは書かれていない。
その代わりに「一国二制度は香港でうまく行っていない以上、台湾人が嫌がるのは当たり前だ。台湾人が統一を受け入れられるよう、中国はもっと民主的な政策を」などと建議しているではないか。諫言にも聞こえるし、激励とすら受け取れる。
■日本のメディアは良心、理性の回復を
もちろん中国を激励したい訳ではないだろう。ただ「一つの中国」原則に抵触しないよう言葉を慎んでいるうちに、こんな媚びの表現になっただけである。日本メディアにはこれまでもよくみられた表現だ。
更に言えば、先に見た「問題は、習氏が米国を念頭に、台湾問題への外部勢力の介入には『武力使用を放棄しない』と主張したことである」というくだりにも、「一つの中国」原則への配慮が見られる。
習近平は演説で「外部勢力の干渉や、極少数の台湾独立分子及びその分裂活動」に対しては武力を放棄しないと発言したのだから、社説も「台湾独立分子(統一を拒否する台湾人)には武力使用を放棄しないと主張したこと」も「問題」だと強調すべきだった。
しかしそうしなかったのはなぜか。それは中国側から「読売は台湾独立を支持している」とレッテルを張られるのを怖がったからだとしか考えられない。
しかしこんな書き方だと、台湾人への攻撃より「外部勢力」への攻撃の方が「問題」だと言いたいみたいだ。
このように、二千三百万人の台湾人の尊い生命が中国の軍事力の脅威にさらされることに声を大にしてノーと叫ぶことすら控える日本のマスメディア。人の生命より中国の政治宣伝を優先させてしまっている。
今こそ虚構の「一つの中国」宣伝の桎梏から抜け出し、良心、理性を取り戻し、国民に中国覇権主義の実態をより正しく伝えてほしい。
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台湾はChinese Taipei(中国台北)ではない! 東京五輪「台湾正名」街宣署名活動
日時 2月2日(土)12時00分~15時00分
場所 京成「上野駅」正面口前付近(西郷隆盛像階段下)
主催 台湾研究フォーラム(台湾研究論壇)、美麗島交流会、
在日台湾同郷会
協力 2020東京五輪「台湾正名」推進協議会
台湾はChinese Taipeiではない!
東京五輪「台湾正名」署名集めにご協力を!
署名用紙ダウンロード
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