中国が喜ぶ産経の反台湾記事―「一つの中国」宣伝に従ってどうする
2017/05/30/Tue
■台湾への武力行使を正当化する宣伝
かつてキッシンジャー曰く、「台湾を中国領土と認めることは中国の武力行使の権利を認めること」だと。
まさにその通りである。もし実際に台湾が中国領土の一部であるなら、台湾の政府、軍隊、人民を煮ようと焼こうと中国内政の問題ということになる。台湾防衛のための米国の支援や日米同盟の発動も国際法が禁じる内政干渉と位置付けられるだろう。
だからこそ中国は、「一つの中国」(一中)なるフィクションの宣伝に多大なエネルギーを投入し、「一つの中国、一つの台湾」という現実の状況の否定や隠蔽に躍起となるのだ。
国内メディアに対しては「中国と台湾」との表現を禁じ、「大陸と台湾」(中国大陸と中国台湾)と報じるよう強要するなど「一中」宣伝工作に徹しているわけだが、そこで気になるのが日本のメディアだ。
「中国と台湾」と言えばいいものを、たまにわざわざ「中国大陸と台湾」であるとか「中国本土と台湾」とする「一中」的表現を用いるのはなぜなのか。
中国の「一中」宣伝に騙されているのか、それとも自ら進んで呼応しているのか。
最近では産経新聞が、台湾に対して中国を「中国本土」と表記した。
■まるで台湾を「中国の離島」のように扱い
五月十一日の掲載の「中国にミサイル情報漏洩か 台湾少将、工作員と接触の疑い」と題する記事がそれだ。
そこには以下のようにある。
―――報道によると、この少将は昨年12月末まで防空ミサイル指揮部の指揮官を務めていた。(中略)ミサイル指揮部の部隊が保有する米国製の地対空誘導弾「パトリオット(PAC3)」や、台湾が自主開発した中国本土を攻撃できる巡航ミサイル「雄風2E」の情報が中国側に漏れた恐れがある。
5月11日の産経記事(ウェブ版は10日配信)。「中国」を「中国本土」と書き、台湾を中国の属領として扱っている
「台湾が自主開発した中国本土を攻撃できる巡航ミサイル」などと書かれては、まるで台湾という名の中国の離島が本土に対して内戦を企て、ミサイル配備を進めているかのようではないか。
このように、「一中」なるフィクションを前提に記事を書くと、こうした荒唐無稽な内容となってしまう訳である。
もっとも多くの読者は、「中国本土」の呼称に何の違和感も持たなかったはずである。日本人一般はすでにそれほどまでに「一中」宣伝を刷り込まれているからだ。
それではこれを書いた記者も、そのように惑わされている口だろうか。
■なぜわざわざ「一つの中国」宣伝を
それはあり得ないだろう。
何しろこの人は台北支局長である。「一中」が事実に反することくらい知っていよう。だから「一中」宣伝にあえて加担した可能性が濃厚で。実際にこの人は日頃より、記事で「中国大陸」という言葉を好んで使っている。その使用頻度はマスメディア記者の中ではおそらく全国一だろう。
今回の記事は紙面より先にウェブ上でも掲載されていたが、こちらは次のように、紙面とは若干の違いがある。
―――同日(※九日)の蘋果日報(電子版)によると、この少将は防空ミサイル指揮部の前指揮官で、対空ミサイル「パトリオット(PAC3)」や、中国本土を攻撃できる巡航ミサイル「雄風2E」の情報が漏れた恐れがあるという。
ここで判明するのはこの記事が、台湾紙蘋果日報の報道を参考にしていたということだ。
そこで私は蘋果日報のその記事を探したところ、そこには「中国を攻撃できる地対地ミサイルの機密資料が漏れた恐れがある」(可攻擊中國的地對地飛彈的機密資料恐將外洩)とあった。
産経記事が引用した蘋果日報の報道。ここでは「中国本土」ではなく「中国」となっている
この部分を産経記者は翻訳したようだが、その際に「中国」の部分をわざわざ「中国本土」へと書き変えた訳である。「一中」宣伝に忠実に従いながらだ。
■産経本社は誤りを認めたが
なぜそのようなことをしたのだろう。私は産経東京本社の読者窓口に電話を入れ、「中国は台湾の本土ではない」と指摘したところ、相手は「その通りだ」と即座に誤りを認め、申し訳なさそうにするのだが・・・。
残念ながら私の産経に対する誤りの指摘と今後の改善の要求は今回が初めてではない。したがって今後改善があるかどうかは何とも言えない(なお今回のウェブ上の記事に訂正はない)。
中共に脅されているのか、それとも利で釣られているのか。実はこの「一中」記者の従来の台湾報道を見ると、日本人には珍しくも国民党贔屓であるらしい。国民党も中華民族主義政党として「一中」を主張しているため、それへの配慮があるのかも知れないが、しかし中共であれ、その傀儡たる国民党であれ、そんな勢力の虚構宣伝に基づいた報道を行うなど、読者に対する裏切りではないだろうか。
また今回は、台湾軍少将の売国容疑に関する記事だったが、この記事自体にも「売台」の疑いが持たれているのである。
「台湾を中国領土と認めることは中国の武力行使の権利を認めること」なのだから。
産経新聞に求めよう!
中国の宣伝に従うな!台湾に対し中国を「本土」「大陸」と呼ぶなと
■産経新聞記事に対する意見・要望
【読者サービス 東京】 MAIL:[email protected] TEL :0570-046460
【読者サービス 大阪】 MAIL:[email protected] TEL :06-6633-9066
※受付時間 平日09:00~18:00 土曜09:00~17:00 日祝日休み
※メールの場合は住所・氏名・電話番号を明記。
参考―台湾との対比で中国を「中国本土」と呼んだ記事
中国にミサイル情報漏洩か 台湾軍現役少将を聴取(2017.5.10 19:58)
http://www.sankei.com/world/news/170510/wor1705100044-n1.html
*******************************************
ブログランキング参加中
よろしければクリックをお願いします。 運動を拡大したいので。
↓ ↓
モバイルはこちら
↓ ↓
http://blog.with2.net/link.php
link.php
かつてキッシンジャー曰く、「台湾を中国領土と認めることは中国の武力行使の権利を認めること」だと。
まさにその通りである。もし実際に台湾が中国領土の一部であるなら、台湾の政府、軍隊、人民を煮ようと焼こうと中国内政の問題ということになる。台湾防衛のための米国の支援や日米同盟の発動も国際法が禁じる内政干渉と位置付けられるだろう。
だからこそ中国は、「一つの中国」(一中)なるフィクションの宣伝に多大なエネルギーを投入し、「一つの中国、一つの台湾」という現実の状況の否定や隠蔽に躍起となるのだ。
国内メディアに対しては「中国と台湾」との表現を禁じ、「大陸と台湾」(中国大陸と中国台湾)と報じるよう強要するなど「一中」宣伝工作に徹しているわけだが、そこで気になるのが日本のメディアだ。
「中国と台湾」と言えばいいものを、たまにわざわざ「中国大陸と台湾」であるとか「中国本土と台湾」とする「一中」的表現を用いるのはなぜなのか。
中国の「一中」宣伝に騙されているのか、それとも自ら進んで呼応しているのか。
最近では産経新聞が、台湾に対して中国を「中国本土」と表記した。
■まるで台湾を「中国の離島」のように扱い
五月十一日の掲載の「中国にミサイル情報漏洩か 台湾少将、工作員と接触の疑い」と題する記事がそれだ。
そこには以下のようにある。
―――報道によると、この少将は昨年12月末まで防空ミサイル指揮部の指揮官を務めていた。(中略)ミサイル指揮部の部隊が保有する米国製の地対空誘導弾「パトリオット(PAC3)」や、台湾が自主開発した中国本土を攻撃できる巡航ミサイル「雄風2E」の情報が中国側に漏れた恐れがある。
5月11日の産経記事(ウェブ版は10日配信)。「中国」を「中国本土」と書き、台湾を中国の属領として扱っている
「台湾が自主開発した中国本土を攻撃できる巡航ミサイル」などと書かれては、まるで台湾という名の中国の離島が本土に対して内戦を企て、ミサイル配備を進めているかのようではないか。
このように、「一中」なるフィクションを前提に記事を書くと、こうした荒唐無稽な内容となってしまう訳である。
もっとも多くの読者は、「中国本土」の呼称に何の違和感も持たなかったはずである。日本人一般はすでにそれほどまでに「一中」宣伝を刷り込まれているからだ。
それではこれを書いた記者も、そのように惑わされている口だろうか。
■なぜわざわざ「一つの中国」宣伝を
それはあり得ないだろう。
何しろこの人は台北支局長である。「一中」が事実に反することくらい知っていよう。だから「一中」宣伝にあえて加担した可能性が濃厚で。実際にこの人は日頃より、記事で「中国大陸」という言葉を好んで使っている。その使用頻度はマスメディア記者の中ではおそらく全国一だろう。
今回の記事は紙面より先にウェブ上でも掲載されていたが、こちらは次のように、紙面とは若干の違いがある。
―――同日(※九日)の蘋果日報(電子版)によると、この少将は防空ミサイル指揮部の前指揮官で、対空ミサイル「パトリオット(PAC3)」や、中国本土を攻撃できる巡航ミサイル「雄風2E」の情報が漏れた恐れがあるという。
ここで判明するのはこの記事が、台湾紙蘋果日報の報道を参考にしていたということだ。
そこで私は蘋果日報のその記事を探したところ、そこには「中国を攻撃できる地対地ミサイルの機密資料が漏れた恐れがある」(可攻擊中國的地對地飛彈的機密資料恐將外洩)とあった。
産経記事が引用した蘋果日報の報道。ここでは「中国本土」ではなく「中国」となっている
この部分を産経記者は翻訳したようだが、その際に「中国」の部分をわざわざ「中国本土」へと書き変えた訳である。「一中」宣伝に忠実に従いながらだ。
■産経本社は誤りを認めたが
なぜそのようなことをしたのだろう。私は産経東京本社の読者窓口に電話を入れ、「中国は台湾の本土ではない」と指摘したところ、相手は「その通りだ」と即座に誤りを認め、申し訳なさそうにするのだが・・・。
残念ながら私の産経に対する誤りの指摘と今後の改善の要求は今回が初めてではない。したがって今後改善があるかどうかは何とも言えない(なお今回のウェブ上の記事に訂正はない)。
中共に脅されているのか、それとも利で釣られているのか。実はこの「一中」記者の従来の台湾報道を見ると、日本人には珍しくも国民党贔屓であるらしい。国民党も中華民族主義政党として「一中」を主張しているため、それへの配慮があるのかも知れないが、しかし中共であれ、その傀儡たる国民党であれ、そんな勢力の虚構宣伝に基づいた報道を行うなど、読者に対する裏切りではないだろうか。
また今回は、台湾軍少将の売国容疑に関する記事だったが、この記事自体にも「売台」の疑いが持たれているのである。
「台湾を中国領土と認めることは中国の武力行使の権利を認めること」なのだから。
産経新聞に求めよう!
中国の宣伝に従うな!台湾に対し中国を「本土」「大陸」と呼ぶなと
■産経新聞記事に対する意見・要望
【読者サービス 東京】 MAIL:[email protected] TEL :0570-046460
【読者サービス 大阪】 MAIL:[email protected] TEL :06-6633-9066
※受付時間 平日09:00~18:00 土曜09:00~17:00 日祝日休み
※メールの場合は住所・氏名・電話番号を明記。
参考―台湾との対比で中国を「中国本土」と呼んだ記事
中国にミサイル情報漏洩か 台湾軍現役少将を聴取(2017.5.10 19:58)
http://www.sankei.com/world/news/170510/wor1705100044-n1.html
*******************************************
ブログランキング参加中
よろしければクリックをお願いします。 運動を拡大したいので。
↓ ↓
モバイルはこちら
↓ ↓
http://blog.with2.net/link.php
link.php