「反日」捏造が再び―台湾の歴史教科書が危機!(上)
2014/01/30/Thu
■日本評価を巡って対立する二つの歴史観
日本統治時代に関して台湾では、日本の不法な台湾支配と看做す在台中国人の反日捏造史観(政治宣伝)と、史実は史実として受け止め、台湾の近代発展期として積極的に評価を加える台湾人の冷静、客観的な歴史観との対立がある。
前者は国民党が一党独裁時代の中国人化政策の下で、子供たちに有無を言わさず押し付けたものだが、民主化後の李登輝政権時代、陳水扁政権時代は真実の台湾の歴史を学ばせようと、後者に基づく歴史教科書が採用された。
台湾の高校用歴史教科書。政治的な捏造史観を拝し、客観的に日本統治時代
を記述しているが…
それは「脱中国化」(中国式捏造史観から脱却し、台湾人意識の高揚を図る)の教育改革の一環でもあった。だからこそ〇八年に国民党の馬英九政権が発足すると、馬英九総統をはじめとする在中国人の政治勢力は、再び歴史教科書を過去の捏造史観で埋め尽くしたいとの衝動に駆られ、着々と高校の歴史領域の学習指導要領の「微調整」(実際には大改編)を強行に進めている。
そしてこの件に関し、お隣の中国では一月二十七日、中共機関紙人民日報の姉妹紙、環球時報(電子版)が「台湾の高校、日本の殖民統治を美化せず」と題する記事を配信した。
報道はかなり詳細。日台分断を望む中国人には、やはりこれは朗報なのだろう。日本でも新華経済の中国情報ニュースサイト「XINHUA.JP」が日本語に翻訳し、ネットで拡散している。日本国民が台湾に反感を抱くのを期待してのことか。
■中国も報道する台湾歴史教科書の書き換え
以下に記事の抄訳を掲げよう。
◎台湾の高校学習指導要領で「脱日本化」/日本の殖民統治を美化せず
台湾の教育部(文科省に相当)は二十七日、課程審議会を開き、高校の国語、社会の学習指導要領を如何に調整するかを決定。台湾独立派からの「脱台湾化だ」との批判に対して蒋偉寧教育部長(文科相に相当)は「今回の微調整は教科書内容を中華民国憲法の精神に符合させるもので、脱台湾化などでは全くない。しかし少しだけ脱日本化を図る」と語った。
台湾現行の高校用歴史教科書は日本の台湾殖民統治期間に関し、その功績、仁徳を称えすぎで、まるで現在の台湾の建設の基礎はみなかつての日本人が作ったかのように説明する。微調整後の学習指導要領は、日本殖民統治を美化せず、台湾の主体性を強調するよう求めることになる。
文化大学歴史学部の王仲孚教授は「現在の台湾の教科書は日本の台湾殖民統治をあまりにも称えすぎで不適切。たとえば、当時の日本人の台湾における衛生事業は良かったとするが、しかしその理由はより多くの日本人移民を呼びたかったからであり、そもそも出発点において台湾人を考慮に入れていない。教科書はこうした点をはっきりと書くべきだ」と語る。
さらに「日本人は台湾で鉄道を建設し、それが後の台湾鉄道の発展の基礎となったというが、実際にはそれ以前に清朝の劉銘伝が台湾で鉄道を敷設している」とも語った。
記事で登場する王仲孚なる台湾の大学教授は「脱中国化」の歴史教科書改革を批判してきた人物だが、この人の発言を読めば、現行教科書に対する在台中国人勢力の歴史観が浅薄、出鱈目であるかがわかるのだ。
■日本の功績を認めたがらない歴史学者
たとえば「当時の日本人の台湾における衛生事業は良かったとするが、しかしその理由はより多くの日本人移民を呼びたかったから。そもそも出発点が台湾人を考慮に入れていない」との指摘だが、これで本当に歴史学者かと疑いたくなる。
史実を言えば、日本が台湾で実施した衛生事業は、全島に蔓延する疫病を根絶し、台湾を人間が生活できる島に変えるという大事業で、先ずは台湾人全般に衛生観念を持たせ、その生活風習を改善することを「出発点」とする歴史的な大事業だった。そしてその結果、住民の平均寿命が高まり、人口が飛躍的に増加しているのだが、こうした日本の功績を、反日学者としては何としても認めたくないのだろう。
また「清朝の劉銘伝が台湾で鉄道を敷設している」というのも、反日学者が常々強調するものだが、これも史実を言えば、「劉銘伝の鉄道」は、「短距離かつ杜撰な作りで使い物にならなかった」との一言に尽きる。
記事にある「現在の台湾の建設の基礎はみなかつての日本人が作ったかのように説明する」との現行教科書批判は、台湾の親中メディア、中国時報からの引用だが、これも誤った見方である。日本の衛生政策、教育政策、食糧増産政策をも含む社会経済産業基盤の建設が「現在の台湾の建設の基礎」に当たることは紛れもない事実なのである。
■中国人意識と表裏一体の反日感情を
このように「日本殖民統治を美化せず、台湾の主体性を強調」して「脱日本化」を図るという歴史教科書改革の実態は、実は反日教育という中国人化教育を再開するための、すぐれて政治的な日本統治時代の否定なのだ。
教育部によると、日本当時時代に関する記述は次のように「微調整」するという。
多々書き換えられる日本統治時代に関する記述。在台中国人勢力
の反日情念の表れだ
「日本統治時期」→「日本殖民統治時期」に変える。
「日本帝国“大東亜共栄圏”構想」→「日本帝国“大東亜共栄圏”侵略構想」に変える。
「台日間の商業交流について討論しよう」→「台湾人民の経済面における搾取、土地剥奪、台日間の商業交流、日本の商社による多くの貿易の壟断について討論しよう」に変える。
日本統治の負の面を強調したい在台中国人の反日情念が伝わってくるようだ。
また新たに「五四運動、新文化運動の台湾に対する影響」「甲午戦争(日清戦争後)に清朝が直面した問題や変法自強運動、辛亥革命、および台湾とそれらとの連動」についての説明を加えさせるともいう。
たしかに「五四運動」は日本の大正デモクラシーなどとともに台湾の住民の政治運動に影響を与えたのは事実だが、それ以外がどれほど台湾社会に重要な作用を及ぼしたというのか。要するに日本統治時代の台湾歴史は中国歴史と連動していたと、何が何でも強調したいのだ。
その目的は他でもない、台湾の歴史は中国の歴史の一環であるとする歴史教育の復活にある。その歴史観に従えば、日本統治時代は日本の不法な中国台湾省への侵略、殖民支配と位置付けられることとなる。
そしてその位置付けのために史実を書き換えようとするわけだが、もちろんこうしたことによって懸念されるのは、台湾の子供たちに中国人意識と表裏一体の反日感情が植え付けられることだ。
情報が発達する今日の台湾で、洗脳教育など通用しないとの見方もあるが、「教育」の威力を侮ってはならない。
繰り返すが、こうした馬英九政権の動きは、何より日本と台湾の離間、台湾と中国の融和(統一)を目指す中国が喜ぶものなのである。
(つづく)
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日本統治時代に関して台湾では、日本の不法な台湾支配と看做す在台中国人の反日捏造史観(政治宣伝)と、史実は史実として受け止め、台湾の近代発展期として積極的に評価を加える台湾人の冷静、客観的な歴史観との対立がある。
前者は国民党が一党独裁時代の中国人化政策の下で、子供たちに有無を言わさず押し付けたものだが、民主化後の李登輝政権時代、陳水扁政権時代は真実の台湾の歴史を学ばせようと、後者に基づく歴史教科書が採用された。
台湾の高校用歴史教科書。政治的な捏造史観を拝し、客観的に日本統治時代
を記述しているが…
それは「脱中国化」(中国式捏造史観から脱却し、台湾人意識の高揚を図る)の教育改革の一環でもあった。だからこそ〇八年に国民党の馬英九政権が発足すると、馬英九総統をはじめとする在中国人の政治勢力は、再び歴史教科書を過去の捏造史観で埋め尽くしたいとの衝動に駆られ、着々と高校の歴史領域の学習指導要領の「微調整」(実際には大改編)を強行に進めている。
そしてこの件に関し、お隣の中国では一月二十七日、中共機関紙人民日報の姉妹紙、環球時報(電子版)が「台湾の高校、日本の殖民統治を美化せず」と題する記事を配信した。
報道はかなり詳細。日台分断を望む中国人には、やはりこれは朗報なのだろう。日本でも新華経済の中国情報ニュースサイト「XINHUA.JP」が日本語に翻訳し、ネットで拡散している。日本国民が台湾に反感を抱くのを期待してのことか。
■中国も報道する台湾歴史教科書の書き換え
以下に記事の抄訳を掲げよう。
◎台湾の高校学習指導要領で「脱日本化」/日本の殖民統治を美化せず
台湾の教育部(文科省に相当)は二十七日、課程審議会を開き、高校の国語、社会の学習指導要領を如何に調整するかを決定。台湾独立派からの「脱台湾化だ」との批判に対して蒋偉寧教育部長(文科相に相当)は「今回の微調整は教科書内容を中華民国憲法の精神に符合させるもので、脱台湾化などでは全くない。しかし少しだけ脱日本化を図る」と語った。
台湾現行の高校用歴史教科書は日本の台湾殖民統治期間に関し、その功績、仁徳を称えすぎで、まるで現在の台湾の建設の基礎はみなかつての日本人が作ったかのように説明する。微調整後の学習指導要領は、日本殖民統治を美化せず、台湾の主体性を強調するよう求めることになる。
文化大学歴史学部の王仲孚教授は「現在の台湾の教科書は日本の台湾殖民統治をあまりにも称えすぎで不適切。たとえば、当時の日本人の台湾における衛生事業は良かったとするが、しかしその理由はより多くの日本人移民を呼びたかったからであり、そもそも出発点において台湾人を考慮に入れていない。教科書はこうした点をはっきりと書くべきだ」と語る。
さらに「日本人は台湾で鉄道を建設し、それが後の台湾鉄道の発展の基礎となったというが、実際にはそれ以前に清朝の劉銘伝が台湾で鉄道を敷設している」とも語った。
記事で登場する王仲孚なる台湾の大学教授は「脱中国化」の歴史教科書改革を批判してきた人物だが、この人の発言を読めば、現行教科書に対する在台中国人勢力の歴史観が浅薄、出鱈目であるかがわかるのだ。
■日本の功績を認めたがらない歴史学者
たとえば「当時の日本人の台湾における衛生事業は良かったとするが、しかしその理由はより多くの日本人移民を呼びたかったから。そもそも出発点が台湾人を考慮に入れていない」との指摘だが、これで本当に歴史学者かと疑いたくなる。
史実を言えば、日本が台湾で実施した衛生事業は、全島に蔓延する疫病を根絶し、台湾を人間が生活できる島に変えるという大事業で、先ずは台湾人全般に衛生観念を持たせ、その生活風習を改善することを「出発点」とする歴史的な大事業だった。そしてその結果、住民の平均寿命が高まり、人口が飛躍的に増加しているのだが、こうした日本の功績を、反日学者としては何としても認めたくないのだろう。
また「清朝の劉銘伝が台湾で鉄道を敷設している」というのも、反日学者が常々強調するものだが、これも史実を言えば、「劉銘伝の鉄道」は、「短距離かつ杜撰な作りで使い物にならなかった」との一言に尽きる。
記事にある「現在の台湾の建設の基礎はみなかつての日本人が作ったかのように説明する」との現行教科書批判は、台湾の親中メディア、中国時報からの引用だが、これも誤った見方である。日本の衛生政策、教育政策、食糧増産政策をも含む社会経済産業基盤の建設が「現在の台湾の建設の基礎」に当たることは紛れもない事実なのである。
■中国人意識と表裏一体の反日感情を
このように「日本殖民統治を美化せず、台湾の主体性を強調」して「脱日本化」を図るという歴史教科書改革の実態は、実は反日教育という中国人化教育を再開するための、すぐれて政治的な日本統治時代の否定なのだ。
教育部によると、日本当時時代に関する記述は次のように「微調整」するという。
多々書き換えられる日本統治時代に関する記述。在台中国人勢力
の反日情念の表れだ
「日本統治時期」→「日本殖民統治時期」に変える。
「日本帝国“大東亜共栄圏”構想」→「日本帝国“大東亜共栄圏”侵略構想」に変える。
「台日間の商業交流について討論しよう」→「台湾人民の経済面における搾取、土地剥奪、台日間の商業交流、日本の商社による多くの貿易の壟断について討論しよう」に変える。
日本統治の負の面を強調したい在台中国人の反日情念が伝わってくるようだ。
また新たに「五四運動、新文化運動の台湾に対する影響」「甲午戦争(日清戦争後)に清朝が直面した問題や変法自強運動、辛亥革命、および台湾とそれらとの連動」についての説明を加えさせるともいう。
たしかに「五四運動」は日本の大正デモクラシーなどとともに台湾の住民の政治運動に影響を与えたのは事実だが、それ以外がどれほど台湾社会に重要な作用を及ぼしたというのか。要するに日本統治時代の台湾歴史は中国歴史と連動していたと、何が何でも強調したいのだ。
その目的は他でもない、台湾の歴史は中国の歴史の一環であるとする歴史教育の復活にある。その歴史観に従えば、日本統治時代は日本の不法な中国台湾省への侵略、殖民支配と位置付けられることとなる。
そしてその位置付けのために史実を書き換えようとするわけだが、もちろんこうしたことによって懸念されるのは、台湾の子供たちに中国人意識と表裏一体の反日感情が植え付けられることだ。
情報が発達する今日の台湾で、洗脳教育など通用しないとの見方もあるが、「教育」の威力を侮ってはならない。
繰り返すが、こうした馬英九政権の動きは、何より日本と台湾の離間、台湾と中国の融和(統一)を目指す中国が喜ぶものなのである。
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