日本共産党「欺瞞の愛国」―台湾も千島列島と同じはずだが
2016/10/19/Wed
■千島列島「全面返還」の主張に感動するか
菅義偉官房長官(右1)と会談した志位和夫委員長(右2)ら共産党員
日ソ共同宣言の調印六十年を翌日に控える十月十八日、日本共産党の志位和夫委員長は菅義偉官房長官と会談し、「ロシアとの北方領土交渉ではあくまで千島列島の全面返還を求め、歯舞群島と色丹島の『2島先行返還』が実現した場合でも平和条約を締結しないよう要請した」(産経)。それではなぜ同党は千島列島の「全面返還」を求めるのか。産経はこう報じる。
―――志位氏は要請文で、1855年の日魯通好条約と1875年の樺太・千島交換条約で「全千島列島が日本の歴史的領土になった」と主張。日本領土の範囲を画定した1951年のサンフランシスコ講和条約は、ソ連が対日参戦の条件とした「千島列島の引き渡し」を米英側が受け入れたもので「『領土不拡大』という大原則に背く不公正なもの」と位置づけた。
―――志位氏は、サンフランシスコ講和条約の千島関連条項を無効化し、千島列島の全面返還を内容とする平和条約を結ぶよう主張。
これらは従来の共産党の主張の繰り返しだが、こんなものを聞かされると、反共産党の愛国者あたりが最も感動するかもしれない。
日本は戦後、千島列島と南樺太を放棄させられた。しかしソ連=ロ
シアに割譲したわけではなく、その帰属先は未定。そうした中で共
産党が主張するのは・・・
■反日反米宣伝としての愛国主義
ただ共産党の愛国主義には欺瞞に満ちているので注意が必要だ。彼らはこんなことを言っているのだから。
「対米従属から脱却して国の主権を本当の意味で確立することを大前提に、日本の国土と自然、歴史と伝統、文化の破壊と正面からたたかい、それらの積極的な擁護、継承、発展をはかる、日本共産党のこの立場こそ、国を愛する広範な国民の気持ちと要求を真の意味で代表しうる立場であって、その意味ではこれこそ真の愛国者の立場であるということができます」(「伝統・文化の継承 真の愛国の立場とは?」、二〇〇七年)。
ここでいう「対米従属から脱却」とは党綱領が掲げる「日米安保条約の廃棄」「自衛隊の解消」とイコールだと見ていい。要するに反日反米宣伝としての愛国主義の強調なのだ。千島列島の「全面返還」の主張にも、サンフランシスコ講和条約を主導した米国への批判が滲んでいる。
ちなみに共産党は、以下のように同条約を憎悪している。
「1952年4月28日に発効したサンフランシスコ平和条約と、同日発効した日米安保条約によって、日本は形式的には独立国となったものの、実質的にはアメリカへの従属国の地位に縛り付けられたというのが歴史の真実である」(「従属と屈辱の日を『祝う』のか――『主権回復の日』式典の中止を求める」、二〇一三)
愛国というより単なる反米か。共産党は米国主導だったサンフランシスコ講和条約が気に入らない
■国際法に基づいた正論と言えそうだが・・・
共産党の千島列島についての主張を、今少し以下に見てみよう。
「そもそも日ロの領土問題は、第2次世界大戦末期の45年2月のヤルタ会談で、ソ連が対日参戦条件として千島列島のソ連への『引き渡し』を求め、アメリカとイギリスが認めたことに始まります。これは米英ソ自身が公約した『領土不拡大』という第2次大戦の戦後処理の大原則に反する行為であり、日本政府はそれを正すという大義を明確にする必要があります。具体的には、サンフランシスコ条約にある千島放棄条項を絶対視せず、歴史的な根拠、国際的な道理を示して堂々と全千島返還をロシアに求めるべきです。(「千島問題をなぜ『北方領土問題』と呼ぶ?」、二〇一〇年)
米英ソの「領土不拡大」原則とは大西洋憲章(一九四一年)やカイロ宣言(一九四三年)で表明された、戦争による領土拡大は求めないという方針を指す。
下のサンフランシスコ講和条約の第二条c項は、その原則に基づいたものと言えよう。日本に千島列島と南樺太を放棄せしめただけで、すでにそれらを占領しているロシアなど戦勝国への帰属を規定しなかった。
「日本国は、千島列島並びに日本国が千九百五年九月五日のポーツマス条約の結果として主権を獲得した樺太の一部及びこれに近接する諸島に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄する」
それであるに関わらず、米英がソ連への千島列島引き渡しを認め、ソ連、そしてロシアがそれを支配したまま今日に至っているのはおかしい、と共産党は考える訳で、そのあたりは国際法に基づいた正論と言えるだろう。
しかしここで気になるのは同党が、千島列島と同時に行われた南樺太のソ連への引き渡し、それに対するソ連、ロシアの支配を批判していないことだ。
■「南樺太」には口を閉ざす反日プロパガンダ
いかなるご都合主義か。
共産党は南樺太の帰属問題をいかに考えているかだが、こんな説明をしている。
「この千島列島全体が、1855年に江戸幕府と帝政ロシアが結んだ日魯通好条約と、75年に明治政府と帝政ロシアが結んだ樺太・千島交換条約とにより、戦争ではなく平和的な交渉で日本領土として確定しました」
この「戦争ではなく平和的な交渉で日本領土として確定」した千島列島に対し、南樺太は日露戦争の結果、一九〇五年のポーツマス条約によって帝政ロシアが日本に割譲したものだった。つまりこちらは「戦争で日本領土として確定」したものだから、ソ連・ロシアの支配下に置かれても批判はしないということのようだ。
共産党がそのあたりをはっきりと言わないのは、あまり言いたくないからだろう。なにしろこうした考え方は、国際法とは無関係だからだ。
国際法というより、「日露戦争は、日本と帝政ロシアが、満州、朝鮮の支配をめぐって戦った双方からの侵略戦争」(「日清、日露戦争は、よい戦争だったか?」、二〇〇八年)と断罪する党の見解(プロパガンダ)を優先させているのである。
千島列島に関する主張が反米プロパガンダに基づくなら、南樺太についての見解は反日プロパガンダに従っているということか。
■戦後の台湾は千島列島と同じ状況
サンフランシスコ講和条約を再度見よう。
第二条c項は、
「日本国は、千島列島並びに日本国が千九百五年九月五日のポーツマス条約の結果として主権を獲得した樺太の一部及びこれに近接する諸島に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄する」
これに対して同条b項は次の如しだ。
「日本国は、台湾及び澎湖諸島に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄する」
つまりこの条約に基づいて、日本は千島列島、南樺太とまったく同じ形で台湾(本当及び澎湖列島)をも放棄し、国際法上の地位(帰属先)は未確定のまま放置されているのだ。
この条約の締結当時、千島列島及び南樺太がすでにソ連の占領下にあったように、台湾も中華民国の占領下に置かれ、そうした状態は今も続いているが、共産党はこうした不法状態を批判しないのはどうしてだろうか。
それは台湾もまた南樺太と同様、「侵略戦争」の結果として日本領土となったためという理屈からだろう。日本はあの島を日清戦争との講和条約である一八九五年の下関条約で清国から割譲されている。
だが、実際にはそうした反日プロパガンダからだけではなく、それ以上に媚中プロパガンダも大きく影響しているに違いない。
台湾もまた千島列島、南樺太と同じように、日本の放棄後は帰属先未定のままである。しかし共
産党は中国に迎合し、ご都合主義の宣伝を行っている
■台湾問題に関する中国の捏造宣伝への呼応
どれほど媚中なのか。共産党の台湾問題に対する立場を示すものに「中国・台湾問題(東京・武道館での不破議長の演説からの抜粋)」(二〇〇一年)という文書がある。そこにはつぎのようにある。
「私どもは、中国と台湾の問題に関しては、日本は『一つの中国』という国際法の枠組みを守らなくてはいけないと、確信しています。
「『一つの中国』というのは、国連でもその立場で中国の代表権を台湾の政権から今の中国の政権に交代させたのだし、日本と中国の間でも、アメリカと中国の間でも、『中国は一つ』という原則が確認されています。破るわけにはゆかない国際的原則です」
「しかも日本は、一八九五年に、日清戦争に勝ったというので中国から台湾をとりあげ、五十年後の一九四五年にポツダム宣言で返した国です。ですから、世界で一番この原則を守らなくてはならない立場にあるのは日本だといっていいでしょう」
これは全てが中国の捏造宣伝の代弁である。
そもそも「一つの中国」という「国際法の枠組み」「国際法の原則」など存在しない。「一つの中国」の法的根拠はここで強調される如く、一九四五年における日本によるポツダム宣言に基づいた中国(当時は中華民国)への台湾返還だが、たしかに連合国は当初はそれを日本に行わせる方針ではあったが、結局日本は台湾を放棄せしめられ、返還は永遠に不可能となった。かくて日本も米国も、台湾を中国領土とは認めていないのである。
日米によって「『中国は一つ』という原則が確認されています」というが、それは国際法の「一国一政府」原則に基づき、中華人民共和国を唯一の中国政権と承認しているだけで、台湾の中国への帰属を認めている訳ではない。
■中国の侵略戦争の準備を批判すべきだ
そもそも「返還」というが、それは「割譲」のことである。「割譲」と呼べば「領土不拡大」原則に抵触するため、「返還」との言葉が用いられるのだが、「返還」であれ「割譲」であれ、日本はそのようなことはしていない。
共産党が、あるいは中国が何と宣伝しようと、日本はサンフランシスコ講和条約に基づき、あの島を放棄しただけなのであり、「一つの中国」などあくまでフィクションにすぎないのである。
千島列島を巡る領土問題が「45年2月のヤルタ会談で、ソ連が対日参戦条件として千島列島のソ連への『引き渡し』を求め、アメリカとイギリスが認めたことに始まった」というなら、台湾を巡るそれは、「43年11月のカイロ会談で、中華民国が対日戦争継続の見返りとして台湾の中華民国への『引き渡し』を求め、アメリカとイギリスが認めたことに始まった」というのが史実だ(イギリスは反対したが、アメリカに押し切られ、中華民国への『返還』方針が定まった)。
共産党は千島列島に関し「『領土不拡大』という第2次大戦の戦後処理の大原則に反する行為であり、日本政府はそれを正すという大義を明確にする必要があります」と訴える共産党。それと同じことを台湾に関しても行うべきなのだが、それをしない。
そればかりか中華民国に続いて中華人民共和国が台湾を支配することに賛意を示すのである。
「中国・台湾問題」には、「香港やマカオの現行の制度を変えない、『一国二制度』――今の制度のままで中国に復帰するという新しいやり方をあみだして成功していることを、われわれはよく知っている。台湾について、その考え方を(中略)持っていることもたいへん結構だと思う」とあるのだ。
「一つの中国」という虚構宣伝で自らの「領土拡大」政策を正当化する中国と、それに呼応する共産党。
ロシアによる千島列島の占領が不法というなら、中国の台湾併呑の不法な動きにも反対するべきだろう。
もっとも欺瞞で凝り固まった共産党には多くを求めてもしかたがない。ただ国民には、同党のご都合主義の有害宣伝に惑わされないようにとだけ訴えたい。
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菅義偉官房長官(右1)と会談した志位和夫委員長(右2)ら共産党員
日ソ共同宣言の調印六十年を翌日に控える十月十八日、日本共産党の志位和夫委員長は菅義偉官房長官と会談し、「ロシアとの北方領土交渉ではあくまで千島列島の全面返還を求め、歯舞群島と色丹島の『2島先行返還』が実現した場合でも平和条約を締結しないよう要請した」(産経)。それではなぜ同党は千島列島の「全面返還」を求めるのか。産経はこう報じる。
―――志位氏は要請文で、1855年の日魯通好条約と1875年の樺太・千島交換条約で「全千島列島が日本の歴史的領土になった」と主張。日本領土の範囲を画定した1951年のサンフランシスコ講和条約は、ソ連が対日参戦の条件とした「千島列島の引き渡し」を米英側が受け入れたもので「『領土不拡大』という大原則に背く不公正なもの」と位置づけた。
―――志位氏は、サンフランシスコ講和条約の千島関連条項を無効化し、千島列島の全面返還を内容とする平和条約を結ぶよう主張。
これらは従来の共産党の主張の繰り返しだが、こんなものを聞かされると、反共産党の愛国者あたりが最も感動するかもしれない。
日本は戦後、千島列島と南樺太を放棄させられた。しかしソ連=ロ
シアに割譲したわけではなく、その帰属先は未定。そうした中で共
産党が主張するのは・・・
■反日反米宣伝としての愛国主義
ただ共産党の愛国主義には欺瞞に満ちているので注意が必要だ。彼らはこんなことを言っているのだから。
「対米従属から脱却して国の主権を本当の意味で確立することを大前提に、日本の国土と自然、歴史と伝統、文化の破壊と正面からたたかい、それらの積極的な擁護、継承、発展をはかる、日本共産党のこの立場こそ、国を愛する広範な国民の気持ちと要求を真の意味で代表しうる立場であって、その意味ではこれこそ真の愛国者の立場であるということができます」(「伝統・文化の継承 真の愛国の立場とは?」、二〇〇七年)。
ここでいう「対米従属から脱却」とは党綱領が掲げる「日米安保条約の廃棄」「自衛隊の解消」とイコールだと見ていい。要するに反日反米宣伝としての愛国主義の強調なのだ。千島列島の「全面返還」の主張にも、サンフランシスコ講和条約を主導した米国への批判が滲んでいる。
ちなみに共産党は、以下のように同条約を憎悪している。
「1952年4月28日に発効したサンフランシスコ平和条約と、同日発効した日米安保条約によって、日本は形式的には独立国となったものの、実質的にはアメリカへの従属国の地位に縛り付けられたというのが歴史の真実である」(「従属と屈辱の日を『祝う』のか――『主権回復の日』式典の中止を求める」、二〇一三)
愛国というより単なる反米か。共産党は米国主導だったサンフランシスコ講和条約が気に入らない
■国際法に基づいた正論と言えそうだが・・・
共産党の千島列島についての主張を、今少し以下に見てみよう。
「そもそも日ロの領土問題は、第2次世界大戦末期の45年2月のヤルタ会談で、ソ連が対日参戦条件として千島列島のソ連への『引き渡し』を求め、アメリカとイギリスが認めたことに始まります。これは米英ソ自身が公約した『領土不拡大』という第2次大戦の戦後処理の大原則に反する行為であり、日本政府はそれを正すという大義を明確にする必要があります。具体的には、サンフランシスコ条約にある千島放棄条項を絶対視せず、歴史的な根拠、国際的な道理を示して堂々と全千島返還をロシアに求めるべきです。(「千島問題をなぜ『北方領土問題』と呼ぶ?」、二〇一〇年)
米英ソの「領土不拡大」原則とは大西洋憲章(一九四一年)やカイロ宣言(一九四三年)で表明された、戦争による領土拡大は求めないという方針を指す。
下のサンフランシスコ講和条約の第二条c項は、その原則に基づいたものと言えよう。日本に千島列島と南樺太を放棄せしめただけで、すでにそれらを占領しているロシアなど戦勝国への帰属を規定しなかった。
「日本国は、千島列島並びに日本国が千九百五年九月五日のポーツマス条約の結果として主権を獲得した樺太の一部及びこれに近接する諸島に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄する」
それであるに関わらず、米英がソ連への千島列島引き渡しを認め、ソ連、そしてロシアがそれを支配したまま今日に至っているのはおかしい、と共産党は考える訳で、そのあたりは国際法に基づいた正論と言えるだろう。
しかしここで気になるのは同党が、千島列島と同時に行われた南樺太のソ連への引き渡し、それに対するソ連、ロシアの支配を批判していないことだ。
■「南樺太」には口を閉ざす反日プロパガンダ
いかなるご都合主義か。
共産党は南樺太の帰属問題をいかに考えているかだが、こんな説明をしている。
「この千島列島全体が、1855年に江戸幕府と帝政ロシアが結んだ日魯通好条約と、75年に明治政府と帝政ロシアが結んだ樺太・千島交換条約とにより、戦争ではなく平和的な交渉で日本領土として確定しました」
この「戦争ではなく平和的な交渉で日本領土として確定」した千島列島に対し、南樺太は日露戦争の結果、一九〇五年のポーツマス条約によって帝政ロシアが日本に割譲したものだった。つまりこちらは「戦争で日本領土として確定」したものだから、ソ連・ロシアの支配下に置かれても批判はしないということのようだ。
共産党がそのあたりをはっきりと言わないのは、あまり言いたくないからだろう。なにしろこうした考え方は、国際法とは無関係だからだ。
国際法というより、「日露戦争は、日本と帝政ロシアが、満州、朝鮮の支配をめぐって戦った双方からの侵略戦争」(「日清、日露戦争は、よい戦争だったか?」、二〇〇八年)と断罪する党の見解(プロパガンダ)を優先させているのである。
千島列島に関する主張が反米プロパガンダに基づくなら、南樺太についての見解は反日プロパガンダに従っているということか。
■戦後の台湾は千島列島と同じ状況
サンフランシスコ講和条約を再度見よう。
第二条c項は、
「日本国は、千島列島並びに日本国が千九百五年九月五日のポーツマス条約の結果として主権を獲得した樺太の一部及びこれに近接する諸島に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄する」
これに対して同条b項は次の如しだ。
「日本国は、台湾及び澎湖諸島に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄する」
つまりこの条約に基づいて、日本は千島列島、南樺太とまったく同じ形で台湾(本当及び澎湖列島)をも放棄し、国際法上の地位(帰属先)は未確定のまま放置されているのだ。
この条約の締結当時、千島列島及び南樺太がすでにソ連の占領下にあったように、台湾も中華民国の占領下に置かれ、そうした状態は今も続いているが、共産党はこうした不法状態を批判しないのはどうしてだろうか。
それは台湾もまた南樺太と同様、「侵略戦争」の結果として日本領土となったためという理屈からだろう。日本はあの島を日清戦争との講和条約である一八九五年の下関条約で清国から割譲されている。
だが、実際にはそうした反日プロパガンダからだけではなく、それ以上に媚中プロパガンダも大きく影響しているに違いない。
台湾もまた千島列島、南樺太と同じように、日本の放棄後は帰属先未定のままである。しかし共
産党は中国に迎合し、ご都合主義の宣伝を行っている
■台湾問題に関する中国の捏造宣伝への呼応
どれほど媚中なのか。共産党の台湾問題に対する立場を示すものに「中国・台湾問題(東京・武道館での不破議長の演説からの抜粋)」(二〇〇一年)という文書がある。そこにはつぎのようにある。
「私どもは、中国と台湾の問題に関しては、日本は『一つの中国』という国際法の枠組みを守らなくてはいけないと、確信しています。
「『一つの中国』というのは、国連でもその立場で中国の代表権を台湾の政権から今の中国の政権に交代させたのだし、日本と中国の間でも、アメリカと中国の間でも、『中国は一つ』という原則が確認されています。破るわけにはゆかない国際的原則です」
「しかも日本は、一八九五年に、日清戦争に勝ったというので中国から台湾をとりあげ、五十年後の一九四五年にポツダム宣言で返した国です。ですから、世界で一番この原則を守らなくてはならない立場にあるのは日本だといっていいでしょう」
これは全てが中国の捏造宣伝の代弁である。
そもそも「一つの中国」という「国際法の枠組み」「国際法の原則」など存在しない。「一つの中国」の法的根拠はここで強調される如く、一九四五年における日本によるポツダム宣言に基づいた中国(当時は中華民国)への台湾返還だが、たしかに連合国は当初はそれを日本に行わせる方針ではあったが、結局日本は台湾を放棄せしめられ、返還は永遠に不可能となった。かくて日本も米国も、台湾を中国領土とは認めていないのである。
日米によって「『中国は一つ』という原則が確認されています」というが、それは国際法の「一国一政府」原則に基づき、中華人民共和国を唯一の中国政権と承認しているだけで、台湾の中国への帰属を認めている訳ではない。
■中国の侵略戦争の準備を批判すべきだ
そもそも「返還」というが、それは「割譲」のことである。「割譲」と呼べば「領土不拡大」原則に抵触するため、「返還」との言葉が用いられるのだが、「返還」であれ「割譲」であれ、日本はそのようなことはしていない。
共産党が、あるいは中国が何と宣伝しようと、日本はサンフランシスコ講和条約に基づき、あの島を放棄しただけなのであり、「一つの中国」などあくまでフィクションにすぎないのである。
千島列島を巡る領土問題が「45年2月のヤルタ会談で、ソ連が対日参戦条件として千島列島のソ連への『引き渡し』を求め、アメリカとイギリスが認めたことに始まった」というなら、台湾を巡るそれは、「43年11月のカイロ会談で、中華民国が対日戦争継続の見返りとして台湾の中華民国への『引き渡し』を求め、アメリカとイギリスが認めたことに始まった」というのが史実だ(イギリスは反対したが、アメリカに押し切られ、中華民国への『返還』方針が定まった)。
共産党は千島列島に関し「『領土不拡大』という第2次大戦の戦後処理の大原則に反する行為であり、日本政府はそれを正すという大義を明確にする必要があります」と訴える共産党。それと同じことを台湾に関しても行うべきなのだが、それをしない。
そればかりか中華民国に続いて中華人民共和国が台湾を支配することに賛意を示すのである。
「中国・台湾問題」には、「香港やマカオの現行の制度を変えない、『一国二制度』――今の制度のままで中国に復帰するという新しいやり方をあみだして成功していることを、われわれはよく知っている。台湾について、その考え方を(中略)持っていることもたいへん結構だと思う」とあるのだ。
「一つの中国」という虚構宣伝で自らの「領土拡大」政策を正当化する中国と、それに呼応する共産党。
ロシアによる千島列島の占領が不法というなら、中国の台湾併呑の不法な動きにも反対するべきだろう。
もっとも欺瞞で凝り固まった共産党には多くを求めてもしかたがない。ただ国民には、同党のご都合主義の有害宣伝に惑わされないようにとだけ訴えたい。
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