インドの敵は日本の敵―警戒すべき中国の真珠の紐戦略
要するに南支那海、インド洋において中国を中心とした海洋秩序(世界秩序)の確立を民族の夢としているのである。これは中華帝国伝統の世界観から来る夢で、もしそうした事態となれば世界の自由貿易は計り知れないダメージを受けることになる。
例えば中国国内での通行料徴収の伝統そのままに、船舶がマラッカ海峡で通航料を要求されるとなれば、各国はそのような不条理に従うことができるだろうか。しかし帰服しない国家には懲罰を加えようとするのが中華帝国だ。たとえばかつて明国が勘合貿易体制に従わない私貿易勢力を討伐対象とした如く。
このような中国の動きについては、台湾の大陸委員会が先ごろ公表した報告でも、「海南島の三亜に潜水艦基地を建造するなど、中国の軍事力の南方への伸長に伴い、その勢力は『真珠の紐』戦略によってインド洋に伸びている」と指摘する。
南支那海・海南島の三亜に建造された広大な海軍基地。将来は原子力潜水
艦、空母の基地として周辺に脅威を与えることとなる
「真珠の紐」戦略(the string of pearls strategy)との名は二〇〇五年、米国防総省の報告書で初めて見られたものだ。
中東から中国に伸びるシーレーンを防衛するため、中国はペルシャ湾の出入り口に位置するパキスタンの要衝グワダル港で軍事、物流の拠点を設け、ミャンマーから貸与されたアンダマン海の小ココ島で海軍基地、レーダー基地を構築し、中国への陸路のアクセスも確保している。
2007年3月、中国の援助で完成したグアダル港。記念式典ではムシャラフ大統
領(左1)、アジズ首相(同2)の隣に中国の李盛霖交通部長の姿が
さらにタイのクラ地峡での運河建設への協力を計画し、スリランカのハンバントタ港開発に関与し、さらにはパラセル(西沙)諸島のウッディ(永興)島に飛行場も建設しているが、こうした沿海における拠点作りとその連結を、いくつもの「真珠」を結ぶ「紐」の戦略だと言うわけだ。
南支那海、東南アジア諸国を睨むウッディ島の中国航空基地
中国の「真珠の紐」戦略。沿海諸国に拠点を設け、シーレーンを睨んでいる
米統合戦力軍も二〇〇八年十二月に公表した「二〇〇八年合同作戦環境評価報告書」は「中国は米国に対する将来の軍事衝突が予測される主要な潜在的脅威である」とした上で、「中東へ至る石油航路に沿って政治的影響力と軍事力の構築に汲々としている」と、この戦略が大きく進められていることを指摘する。
これに対して王宝東・駐ワシントン中国大使館スポークスマンは「中国に『真珠の紐』戦略があると言うのは幻想だ。たしかに港湾建設など、いくつかのアジア諸国と多領域における協力は進めているが、これらは純粋な商業行為だ」と反論し、「もっと中国の活動には合理的でバランスある見方をするべきだ」と、あいかわらず「中国脅威論」の否定に躍起である。
さて大陸委員会の報告だが、次のように指摘する。
―――解放軍は昨年末、南海艦隊を三亜から艦船護衛のためにアデン湾、ソマリア海域へ派遣したが、これは中国にとっては初の太平洋海域以外への積極的な軍艦派遣で、遠洋作戦能力のテストとなるだけでなく、政治的にも大きな意義があった。
―――該海域の海賊対策には不必要なミサイル駆逐艦を派遣した。その主要な意義は石油輸送の生命線の防衛にある。とくに中国は輸入原油の六割を中東に頼っており、アフリカからも大量の原料を運んでいる。北京の軍事力を利用した経済利益保護の企図はさらに強烈になっている。中国の軍艦は一路南支那海、インド洋からソマリア海域へ向かったが、そこには日本、インド、米国、アセアン諸国に実力を見せ付けようとの意図が隠されていた。
ソマリア海域へのミサイル駆逐艦派遣は、インド洋への勢力拡張を目指す中
国海軍の示威行動でもあった
米政府は三月十六日、インドへの武器売却としては過去最大規模となるP8I哨戒機八機の売却を決めたが、これについても大陸委員会は、「中国を意識したもの」としつつ、米印両国が毎年行う海軍合同演習は当初の海上救援、反テロを目的としていたが、現在では空中戦、防空、艦船護衛、対潜水艦戦の演習を実施しており、「それが中国をさらにいっそう反撥させている」と述べている。
インドにとり、周辺諸国への影響力を拡大する中国の動きはとてつもない脅威と映る。中国は年内にはSLBM「巨浪2号」搭載の晋級原子力潜水艦を実戦配備し、インド全域を射程内に収めるものと見られるが、こうしたインドにとっての脅威は、すなわち日本にとっての脅威でもあると言う認識が、今我々には求められているのである。
三亜海軍基地に停泊する晋級原子力潜水艦。これが脅かすのはインドだけではない
我がシーレーンが通うインド洋、南支那海の安全保障に関与しないでいるなど、日本にはまったく考えられないことなのだ。
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第5回 鄭南榕記念・台湾問題講演会
台湾建国烈士・鄭南榕氏
戒厳令下の台湾において、公開の場で初めて台湾の独立建国を叫び、あるいは2・28事件の真相究明を求め、遂には一死をもって国民党の圧政に抗し、台湾に民主・自由の道を開いた台湾建国の鄭南榕烈士。
鄭烈士は1988年末、台湾独立建国聯盟主席だった許世楷氏(前駐日代表)の「台湾共和国憲法草案」を、自由時代社を主宰し自ら編集長をつとめる週刊誌「自由時代」に掲載。1989年の年が明け、検察は叛乱罪容疑で召喚しようとしたが鄭烈士は頑として応じず、台北市内の自社に籠城、完全な言論の自由を求めて抗議し続けた。「国民党が私を逮捕できるとすれば私の屍だけだ」と宣言、4月7日午前9時過ぎ、警官隊が包囲する中、ガソリンをかぶって覚悟の自決を遂げられた。享年42。
今年は自焚後20年という節目の年にあたり、葉菊蘭夫人(前行政院副院長、前高雄市長)と一人娘の竹梅さんも臨席。鄭烈士と親しかった本会の宗像隆幸会長と、日台安全保障問題の第一人者の川村純彦氏を講師に「台湾問題講演会」と銘打って開催いたします。奮ってご参加くださいますよう謹んでご案内申し上げます。
■日 時 2009年4月5日(日) 午後2時30分~7時30分(開場:2時)
■会 場 文京区民センター 3A
東京都文京区本郷4-15-14 TEL:03-3814-6731(文京シビックセンターの斜向い)
【交通】都営地下鉄:三田線・大江戸線「春日駅」徒歩1分
東京メトロ:丸ノ内線・南北線「後楽園駅」徒歩3分
JR総武中央線「水道橋駅」徒歩10分
■講演1 宗像隆幸氏(鄭南榕顕彰会会長、アジア安保フォーラム幹事)
演題「日台運命共同体の意味」
■講演2 川村純彦氏(元海将補、川村研究所代表、岡崎研究所副理事長)
演題「日台関係の戦略的な重要性」
■参加費 1,000円
■懇親会 同会場にて、午後5時30分~7時30分【懇親会費:3,000円】
■お申込 4月4日(土)まで
申込フォーム:http://www.ritouki.jp/cgi-bin/enquete/form0043.reg
FAX: 03-5211-8810 E-mail:[email protected]
■主 催 鄭南榕顕彰会(日台交流教育会、日本李登輝友の会、台湾研究フォーラム)
■後 援 在日台湾同郷会、在日台湾婦女会、台湾独立建国聯盟日本本部、日本台湾医師連合、怡友会
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第5回「台湾建国烈士・鄭南榕記念 台湾問題講演会」 申込書
ご氏名: TEL:
懇親会:出席 欠席(いずれかに○をつけてください)
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