国連が台湾人差別―人権理事会は知らん顔か
2017/06/20/Tue
■国連人権委員会の傍聴に訪れた台湾人に対し・・・
六月十二日のことである。台湾・中正大学の劉黄麗娟準教授が三人の学生と共に、人権理を傍聴しようとスイス・ジュネーブの国連本部を訪れた。
そして劉黄麗娟氏と一人の学生は、規定通りに申請書と台湾旅券、国際運転免許証(または国際学生証)を提示し、難なく構内に入れたのだが、別の窓口に並んだ二人の学生は、「台湾は国家ではない」などと言われ、台湾居民往来大陸通行証(台胞証)の提示を求められたのだ。
国連人権理事会の傍聴のため国連欧州本部を訪れた台湾人の師弟に対して加えられた差別とは
これは実に驚くべきことだ。そもそもこの台胞証とは中国が発行する証明書だ。「一つの中国」(台湾を中国領土の一部とするフィクション)原則を掲げるため、台湾旅券を認めることのできないあの国は、訪中する台湾人に、これを旅券代わりに所持させている。
ところがこのようなシロモノの提示を、国連までが台湾人に求めたというのだから、これは一大事である。台湾侵略を目論むあの覇権主義国家の影響下に、国連がすでに組み込まれているという話だからである。
■国連の欧州本部事務局長は中国報道官の如し
劉黄麗娟氏はその時、ミケル・モラー欧州本部事務局長に出くわした。そこで彼に助けを求めたところ、ここでも驚くべき態度をみせつけられた。
「力になりたいが無理だ。台湾が『一つの中国』を受け入れていないためだ」と言われたのである。
現在中国は、昨年台湾で発足した蔡英文政権が「一つの中国」原則を受け入れないのが許せず、WHO総会へのオブザーバー参加を阻止し、あるいはパナマとの断交を余儀なくさせるなど、台湾の国際社会での孤立化を狙い狂奔しているところだが、国連欧州本部もすっかりそれに歩調を合わせてしまっているらしい。
だから黄麗娟氏は、「中国の報道官と話しているようだ」と感じたそうだ。
台湾旅券(左)と中国発行の台胞証(右)。後者しか承認しない国連は、まさに
中国の傀儡である
■規則よりも中国の指示を優先しているか
この事件を受けAFP通信が、モラー事務局長の発言内容を確認すべく欧州本部の報道官に取材すると、次のような説明を受けた。
「(モラー氏は)国連は台湾を承認していないため、台湾の身分証では構内に入れないと言っただけだ」
しかし複数の台湾人の証言によれば、以前は台湾旅券所持者も本部内に入ることができた。実際に劉黄麗娟氏ともう一人の学生は構内に入っているのだ。だからおそらく「台湾の身分証では構内に入れない」というのは、元来の規則より中国からの指示を優先する職員たちが勝手に拵えた「新ルール」ではないか。
劉黄麗娟はこう証言する。
「今回のような事件は初めてではない。蔡英文政権が発足して間もなくの昨年六月、(国連欧州本部で開かれた)国際労働機関(ILO)の総会を傍聴しようとしたが、『ILOは中華民国旅券を承認していない』との理由で入場を拒否された。しかしそれ以前の二年間は何も問題なく入場できた。ILOの態度の変化の背後には政治的な力が働いている可能性が極めて高い」
■国連の「台湾人差別」に抗議した台湾外交部
この事件を受け、台湾外交部は十五日に声明を発し、「国連の差別的行為は受け入れられない」と抗議した。
いわく、「国連の作為はその憲章が掲げる普遍的価値観に背いている。国連は種族、国籍、政治あるいは身分などの事由に関わらず、全人類の自由、基本的人権、人格の尊厳の尊重を掲げてきたに関わらず、特定の加盟国の政治目的に服務することは、その主旨に反している」と。
劉黄麗娟氏は「中国は直接国際機関のルールを利用して台湾を封殺している。ただ傍聴券を申請しただけなのに、このような目に合わせるのは不合理だ」と憤るが、全くその通りだ。中国に迎合する者は往々にして事大主義に陥っているものだが、良識もかなぐり捨て、大国に仕えるためには、小国など徹底的に足蹴にするというのが事大主義者の一大特徴である。
■中国の宣伝通りー国連による総会決議の捏造
ちなみに最近になって国連は、「一つの中国」の立場だと強調するようになり、その根拠として一九七一年に採択の国連総会二七五八号決議を持ち出している。たしかに中国政府はこの決議を以って「『一つの中国』原則は国際社会で普遍的に受け入れられつつある」(国務院台湾事務弁公室編「一つの中国の原則と台湾問題」)実例であると強調しているが、実はこの決議は台湾を中国領土と承認したものでは断じてない。
実際の内容は以下の如しだ。
・中華人民共和国政府の代表が国連における中国の唯一の合法的な代表であり、中華人民共和国が国連安全保障理事会の五つの常任理事国の一つであることを承認する。
・中華人民共和国のすべての権利を回復させ、その政府の代表が中国の国連での唯一の合法的代表であることを承認し、蒋介石の代表を国連とすべての所属機関において不法に占拠する議席から追放することを決定する。
この決議はアルバニアの提案によるものだが、実際に案文を書いたのは中国の周恩来首相だ。その周恩来氏はこの決議案が採択される直前、米国のニクソン大統領の訪中の準備のため極秘訪中していたキッシンジャー大統領特別補佐官に対し、こう語っている。
「この決議案に台湾の地位に関する条項を挿入するのは不可能。もしそのようなものが通れば、台湾の地位は未定ということになる」
つまり周恩来氏は、決議文に「台湾が中国の領土の一部であると承認する」などと書き入れれば、「一つの中国」の真偽を巡って議論が起こり、実際には、台湾が日本によって放棄された後、その新たな帰属先は未確定のままであり、「一つの中国」が虚構であるのが暴露されることを知っていたのだ。
以上のように、この決議は中華人民共和国を国連における中国の合法的代表と認め、「蒋介石の代表」(台湾の中華民国政府代表)の国連からの追放を決定するという内容であり、中国の台湾領有権を持認めるものではなかったのである。
■事大主義に陥った国連を前に日本は沈黙して好いか
ところが二〇〇七年、中国の宣伝につき従った当時の潘基文事務総長国連が、この決議を理由に国連事務局は「一つの中国」の立場にあるとして、台湾の国連加盟申請を門前払いにした。そして米国や日本からその考えの誤りを指摘され、非を認めるとの一幕もあったが、しかし今や国連内部の中国迎合勢力は、再びこの誤った立場表明為されはじめているのである。
このように白を黒と言いくるめても大国に迎合しようというのも事大主義者ならではの作法である。
こうした台湾人の人権を平然と蹂躙する国連の所業に、国連人権理事会は沈黙し続けるのだろうか。最近では日本政府によるメディアへの圧力や組織犯罪処罰法改正案などに関し、事実誤認の好い加減な報告がなされるなど、日本官民の不信感を買っている同理事会だが、まずは国連自体の、あるいは国連を利用した中国の台湾人民二千三百万人の人権侵害を問題にしたらどうだろう。
もっともそこでは中国も理事国であるし、そもそも中国の国連への悪の影響力は甚大なのだから、そう期待しても無駄なのか。国連分担金額で第二位の日本は今後も沈黙を続けるのか。
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六月十二日のことである。台湾・中正大学の劉黄麗娟準教授が三人の学生と共に、人権理を傍聴しようとスイス・ジュネーブの国連本部を訪れた。
そして劉黄麗娟氏と一人の学生は、規定通りに申請書と台湾旅券、国際運転免許証(または国際学生証)を提示し、難なく構内に入れたのだが、別の窓口に並んだ二人の学生は、「台湾は国家ではない」などと言われ、台湾居民往来大陸通行証(台胞証)の提示を求められたのだ。
国連人権理事会の傍聴のため国連欧州本部を訪れた台湾人の師弟に対して加えられた差別とは
これは実に驚くべきことだ。そもそもこの台胞証とは中国が発行する証明書だ。「一つの中国」(台湾を中国領土の一部とするフィクション)原則を掲げるため、台湾旅券を認めることのできないあの国は、訪中する台湾人に、これを旅券代わりに所持させている。
ところがこのようなシロモノの提示を、国連までが台湾人に求めたというのだから、これは一大事である。台湾侵略を目論むあの覇権主義国家の影響下に、国連がすでに組み込まれているという話だからである。
■国連の欧州本部事務局長は中国報道官の如し
劉黄麗娟氏はその時、ミケル・モラー欧州本部事務局長に出くわした。そこで彼に助けを求めたところ、ここでも驚くべき態度をみせつけられた。
「力になりたいが無理だ。台湾が『一つの中国』を受け入れていないためだ」と言われたのである。
現在中国は、昨年台湾で発足した蔡英文政権が「一つの中国」原則を受け入れないのが許せず、WHO総会へのオブザーバー参加を阻止し、あるいはパナマとの断交を余儀なくさせるなど、台湾の国際社会での孤立化を狙い狂奔しているところだが、国連欧州本部もすっかりそれに歩調を合わせてしまっているらしい。
だから黄麗娟氏は、「中国の報道官と話しているようだ」と感じたそうだ。
台湾旅券(左)と中国発行の台胞証(右)。後者しか承認しない国連は、まさに
中国の傀儡である
■規則よりも中国の指示を優先しているか
この事件を受けAFP通信が、モラー事務局長の発言内容を確認すべく欧州本部の報道官に取材すると、次のような説明を受けた。
「(モラー氏は)国連は台湾を承認していないため、台湾の身分証では構内に入れないと言っただけだ」
しかし複数の台湾人の証言によれば、以前は台湾旅券所持者も本部内に入ることができた。実際に劉黄麗娟氏ともう一人の学生は構内に入っているのだ。だからおそらく「台湾の身分証では構内に入れない」というのは、元来の規則より中国からの指示を優先する職員たちが勝手に拵えた「新ルール」ではないか。
劉黄麗娟はこう証言する。
「今回のような事件は初めてではない。蔡英文政権が発足して間もなくの昨年六月、(国連欧州本部で開かれた)国際労働機関(ILO)の総会を傍聴しようとしたが、『ILOは中華民国旅券を承認していない』との理由で入場を拒否された。しかしそれ以前の二年間は何も問題なく入場できた。ILOの態度の変化の背後には政治的な力が働いている可能性が極めて高い」
■国連の「台湾人差別」に抗議した台湾外交部
この事件を受け、台湾外交部は十五日に声明を発し、「国連の差別的行為は受け入れられない」と抗議した。
いわく、「国連の作為はその憲章が掲げる普遍的価値観に背いている。国連は種族、国籍、政治あるいは身分などの事由に関わらず、全人類の自由、基本的人権、人格の尊厳の尊重を掲げてきたに関わらず、特定の加盟国の政治目的に服務することは、その主旨に反している」と。
劉黄麗娟氏は「中国は直接国際機関のルールを利用して台湾を封殺している。ただ傍聴券を申請しただけなのに、このような目に合わせるのは不合理だ」と憤るが、全くその通りだ。中国に迎合する者は往々にして事大主義に陥っているものだが、良識もかなぐり捨て、大国に仕えるためには、小国など徹底的に足蹴にするというのが事大主義者の一大特徴である。
■中国の宣伝通りー国連による総会決議の捏造
ちなみに最近になって国連は、「一つの中国」の立場だと強調するようになり、その根拠として一九七一年に採択の国連総会二七五八号決議を持ち出している。たしかに中国政府はこの決議を以って「『一つの中国』原則は国際社会で普遍的に受け入れられつつある」(国務院台湾事務弁公室編「一つの中国の原則と台湾問題」)実例であると強調しているが、実はこの決議は台湾を中国領土と承認したものでは断じてない。
実際の内容は以下の如しだ。
・中華人民共和国政府の代表が国連における中国の唯一の合法的な代表であり、中華人民共和国が国連安全保障理事会の五つの常任理事国の一つであることを承認する。
・中華人民共和国のすべての権利を回復させ、その政府の代表が中国の国連での唯一の合法的代表であることを承認し、蒋介石の代表を国連とすべての所属機関において不法に占拠する議席から追放することを決定する。
この決議はアルバニアの提案によるものだが、実際に案文を書いたのは中国の周恩来首相だ。その周恩来氏はこの決議案が採択される直前、米国のニクソン大統領の訪中の準備のため極秘訪中していたキッシンジャー大統領特別補佐官に対し、こう語っている。
「この決議案に台湾の地位に関する条項を挿入するのは不可能。もしそのようなものが通れば、台湾の地位は未定ということになる」
つまり周恩来氏は、決議文に「台湾が中国の領土の一部であると承認する」などと書き入れれば、「一つの中国」の真偽を巡って議論が起こり、実際には、台湾が日本によって放棄された後、その新たな帰属先は未確定のままであり、「一つの中国」が虚構であるのが暴露されることを知っていたのだ。
以上のように、この決議は中華人民共和国を国連における中国の合法的代表と認め、「蒋介石の代表」(台湾の中華民国政府代表)の国連からの追放を決定するという内容であり、中国の台湾領有権を持認めるものではなかったのである。
■事大主義に陥った国連を前に日本は沈黙して好いか
ところが二〇〇七年、中国の宣伝につき従った当時の潘基文事務総長国連が、この決議を理由に国連事務局は「一つの中国」の立場にあるとして、台湾の国連加盟申請を門前払いにした。そして米国や日本からその考えの誤りを指摘され、非を認めるとの一幕もあったが、しかし今や国連内部の中国迎合勢力は、再びこの誤った立場表明為されはじめているのである。
このように白を黒と言いくるめても大国に迎合しようというのも事大主義者ならではの作法である。
こうした台湾人の人権を平然と蹂躙する国連の所業に、国連人権理事会は沈黙し続けるのだろうか。最近では日本政府によるメディアへの圧力や組織犯罪処罰法改正案などに関し、事実誤認の好い加減な報告がなされるなど、日本官民の不信感を買っている同理事会だが、まずは国連自体の、あるいは国連を利用した中国の台湾人民二千三百万人の人権侵害を問題にしたらどうだろう。
もっともそこでは中国も理事国であるし、そもそも中国の国連への悪の影響力は甚大なのだから、そう期待しても無駄なのか。国連分担金額で第二位の日本は今後も沈黙を続けるのか。
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