安保法は台湾を励ますー台湾は集団的自衛権の対象たり得るか(下)
2016/04/10/Sun
■日本と「密接な国」である台湾は対象になり得る
「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、我が国の存立が脅かされる明白な危険がある事態」に立ち至ることが、日本の集団的自衛権の行使を可能にする条件の一つだが、この「密接な関係にある他国」に台湾は含まれるのだろうか。
これについては、日本は台湾を「国」とは認めておらず、「含まれない」とする見方もあるが、政府は相変わらず、台湾絡みのシナリオへの言及を嫌う。
たとえば水野賢一参議院議員が二〇一五年七月、「密接な関係にある『他国』は国交を結んでいる国に限るのか。それとも国交はないが実態として国とみなされている地域(例えば台湾やパレスチナ自治政府)を含むのか」との質問主意書を提出した時、政府の答弁書には次のようにあった。
「お尋ねの『国とみなされている地域』の意味するところが必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難である」
これでは答弁とは言えない。回答回避の詭弁である。
ただ、こんなことは書いてあった。
「『我が国と密接な関係にある他国』については、一般に、外部からの武力攻撃に対し、共通の危険として対処しようという共通の関心を持ち、我が国と共同して対処しようとする意思を表明する国を指すものと考えており、我が国が外交関係を有していない国も含まれ得る」
ここで言う、中国の脅威に対して日本と「共通の危険として対処しようという共通の関心」「共同して対処しようとする意思」を抱く「外交関係を有していない国」とは、台湾以外にないはずだ。
■日本こそ台湾に「共同対処」の意思を示すべき
日本の集団的自衛権の対象たり得る「密接な関係にある他国』に台湾は含まれるとの見方は台湾でも少なくない。
「安倍内閣が集団的自衛権を回復・台湾が攻撃されれば日本は出兵できる」と伝え
る台湾紙。あの国の安保法への期待は大きいのだが、日本はそれに応えられるか
たとえば台湾師範大学の范世平・中国大陸研究センター主任は、自由時報(四月四日)への寄稿で次のように指摘した。
「日本は正式に新安保法を実施することになり、日本と密接な関係にある国が武力攻撃を受け、それにより日本の存立が脅かされたと判断された時、自衛隊を派遣できることになった。基本的に日本は、集団的自衛権の行使範囲に台湾を含むかどうかについては曖昧な態度だが、現在のところ、他国に攻撃される可能性が最も高く、かつ日本と密接な関係を持つ国といえば韓国でなければ台湾だ」
「特に台湾海峡は日本の石油輸送にとって重要な生命線。台湾はさらに釣魚台ヤ琉球群島にも連なっており、日本の東海の安全に関わりが深い。そのため韓国以上に台湾は日本には重要なのである」
范世平氏はそう述べ、「台湾の向け集団的自衛権を発動できるようになれば、台湾には安全保障の向上となる」と期待する。
上記の通り、日本にとり死活的に「台湾は重要」であるのは間違いない。
そのことは中国もはっきりと理解している。台湾併呑で日本が自ずと中国の勢力下に転落させるというのもまた、そもそもあの国の戦略だからだ。そしてそれだからこそ、安保法の施行は何よりも台湾攻略への障害だとし、危機感を募らせていることは間違いない。
中国の侵略主義への抑止効果力が期待される安保法だが、それはまた、新政権の発足で今後ますます中国の侵略の脅威に曝されるであろう台湾に対し、国防の自信を与え得るものでなくてはならない。何しろ台湾は、中国の膨張を食い止めている最前線の砦なのだから。
中国の脅威に対する「共通の危険として対処しようという共通の関心」「共同して対処しようとする意思」は、日本こそ台湾にはっきりと示し、あの国を励ますべきである。そうすることで中国抑止という同法の効果は、さらに増することになるだろう。
(おわり)
台湾は集団的自衛権の対象たり得るか(上) 16/04/08
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-2818.html
台湾は集団的自衛権の対象たり得るか(中)ー中国が最も恐れる日米同盟の介入16/04/09
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-2819.html
【過去の関連記事】
台湾侵略で日本は集団的自衛権を行使するかー岸田外相答弁を読み解く 15/06/17
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-2585.html
安倍首相「台湾は大切な友人」―安保法案・参院審議で 15/07/29
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-2616.html
*******************************************
ブログランキング参加中
よろしければクリックをお願いします。 運動を拡大したいので。
↓ ↓
モバイルはこちら
↓ ↓
http://blog.with2.net/link.php
link.php
「我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、我が国の存立が脅かされる明白な危険がある事態」に立ち至ることが、日本の集団的自衛権の行使を可能にする条件の一つだが、この「密接な関係にある他国」に台湾は含まれるのだろうか。
これについては、日本は台湾を「国」とは認めておらず、「含まれない」とする見方もあるが、政府は相変わらず、台湾絡みのシナリオへの言及を嫌う。
たとえば水野賢一参議院議員が二〇一五年七月、「密接な関係にある『他国』は国交を結んでいる国に限るのか。それとも国交はないが実態として国とみなされている地域(例えば台湾やパレスチナ自治政府)を含むのか」との質問主意書を提出した時、政府の答弁書には次のようにあった。
「お尋ねの『国とみなされている地域』の意味するところが必ずしも明らかではないため、お答えすることは困難である」
これでは答弁とは言えない。回答回避の詭弁である。
ただ、こんなことは書いてあった。
「『我が国と密接な関係にある他国』については、一般に、外部からの武力攻撃に対し、共通の危険として対処しようという共通の関心を持ち、我が国と共同して対処しようとする意思を表明する国を指すものと考えており、我が国が外交関係を有していない国も含まれ得る」
ここで言う、中国の脅威に対して日本と「共通の危険として対処しようという共通の関心」「共同して対処しようとする意思」を抱く「外交関係を有していない国」とは、台湾以外にないはずだ。
■日本こそ台湾に「共同対処」の意思を示すべき
日本の集団的自衛権の対象たり得る「密接な関係にある他国』に台湾は含まれるとの見方は台湾でも少なくない。
「安倍内閣が集団的自衛権を回復・台湾が攻撃されれば日本は出兵できる」と伝え
る台湾紙。あの国の安保法への期待は大きいのだが、日本はそれに応えられるか
たとえば台湾師範大学の范世平・中国大陸研究センター主任は、自由時報(四月四日)への寄稿で次のように指摘した。
「日本は正式に新安保法を実施することになり、日本と密接な関係にある国が武力攻撃を受け、それにより日本の存立が脅かされたと判断された時、自衛隊を派遣できることになった。基本的に日本は、集団的自衛権の行使範囲に台湾を含むかどうかについては曖昧な態度だが、現在のところ、他国に攻撃される可能性が最も高く、かつ日本と密接な関係を持つ国といえば韓国でなければ台湾だ」
「特に台湾海峡は日本の石油輸送にとって重要な生命線。台湾はさらに釣魚台ヤ琉球群島にも連なっており、日本の東海の安全に関わりが深い。そのため韓国以上に台湾は日本には重要なのである」
范世平氏はそう述べ、「台湾の向け集団的自衛権を発動できるようになれば、台湾には安全保障の向上となる」と期待する。
上記の通り、日本にとり死活的に「台湾は重要」であるのは間違いない。
そのことは中国もはっきりと理解している。台湾併呑で日本が自ずと中国の勢力下に転落させるというのもまた、そもそもあの国の戦略だからだ。そしてそれだからこそ、安保法の施行は何よりも台湾攻略への障害だとし、危機感を募らせていることは間違いない。
中国の侵略主義への抑止効果力が期待される安保法だが、それはまた、新政権の発足で今後ますます中国の侵略の脅威に曝されるであろう台湾に対し、国防の自信を与え得るものでなくてはならない。何しろ台湾は、中国の膨張を食い止めている最前線の砦なのだから。
中国の脅威に対する「共通の危険として対処しようという共通の関心」「共同して対処しようとする意思」は、日本こそ台湾にはっきりと示し、あの国を励ますべきである。そうすることで中国抑止という同法の効果は、さらに増することになるだろう。
(おわり)
台湾は集団的自衛権の対象たり得るか(上) 16/04/08
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-2818.html
台湾は集団的自衛権の対象たり得るか(中)ー中国が最も恐れる日米同盟の介入16/04/09
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-2819.html
【過去の関連記事】
台湾侵略で日本は集団的自衛権を行使するかー岸田外相答弁を読み解く 15/06/17
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-2585.html
安倍首相「台湾は大切な友人」―安保法案・参院審議で 15/07/29
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-2616.html
*******************************************
ブログランキング参加中
よろしければクリックをお願いします。 運動を拡大したいので。
↓ ↓
モバイルはこちら
↓ ↓
http://blog.with2.net/link.php
link.php