2007/04/20/Fri
先ごろ来日した中国の温家宝首相は国会での演説で、「戦略的互恵関係」の構築で合意した日中両国の指導者の目標は「日中関係を新たな歴史的段階に推し進め、平和共存、世代友好、互恵協力、共同発展を実現すること」であるとし、さらにその目標を実現するための原則として、一、相互信頼を増進し約束を履行する、二、小異を残し大同につく、三、平等互恵、共同発展を目指す、等々の五つを提示した。そしてこうした「融氷」を試みる温家宝の姿勢は国会議員たちからは素より、マスコミ各社からも賛辞を浴びた。
だがほとんど指摘されないことだが、第一の原則である「約束を履行する」には、中国覇権主義の看過できない意図が示されているのである。
これについて温家宝は「国と国との往来は誠実と信義を本にするべき」などともっともなことを言いながら、そこで日本側に要求したのは日中共同声明(七二年)、日中平和友好条約(七九年)、日中共同宣言(九八年)で定められた「諸原則の厳守」だった。つまり台湾問題に関する「約束」を守れと言うことだ。
温家宝はここでこう述べている。「台湾問題は中国の核心的利益にかかわるもの」「我々は台湾独立を絶対に容認しない。台湾当局による台湾の法的独立、および他のいかなる形の分裂活動にも断固として反対する」「日本側には台湾問題の高度な敏感性を認識し、約束を厳守し、この問題に慎重に対処するよう希望する」と。
しかし日本政府は過去において、中国側と一体どのような「約束」を交わしたと言うのだろうか。中国は「台湾独立を容認しない」として、あたかも台湾が中国の領土であるかのように主張するが、日本は一体いかなる形で、そのような主張に与するなどと「約束」したと言うのか。
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2007/04/19/Thu
「台湾」を「拉致解決」の交換条件にした温家宝
台湾研究フォーラム会長 永山英樹
4月11日に発表された日中共同プレスで日本側は、「台独反対」を盛り込めとの中国の執拗な要求を退け、単に「台湾問題で日本は日中共同声明で表明した立場を堅持」で押し通した。
中国側は、「台独反対」表明の見返り条件として、中国が日本の拉致問題解決を支持することを挙げたと言う。つまり「台湾」と「拉致」の交換と言うわけだった。首脳会談で安倍首相が拉致事件での協力を求めたところ、温首相は「台独反対」を公に表明してくれれば、中国が北朝鮮の拉致事件で応援するのも当然と言うことになるだろう」と言ったと言うのだ。これに対し安倍首相は「この二つは全く関係がない」と拒絶した。
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2007/04/19/Thu
日中共同プレスーなぜ両国はせめぎ合ったか
台湾研究フォーラム会長 永山英樹
安倍首相と来日した温家宝首相は4月12日、日中共同プレスを発表したが、それに先立ち日中間では、所謂「台湾問題」を巡って相当の「せめぎ合い」があったらしい。
中国側は共同プレスに、何としてでも日本側に「台湾独立反対」を盛り込ませようとしたが、日本側が頑なに拒否。「台湾」の二文字は絶対に入れないと言うのが安倍首相の考えだった。そのため温家宝が日本に到着した段階でも、内容は未確定のままと言う異例の事態となった。 結局日本側は、「日中共同声明で表明した立場を堅持する」とだけ表明し、その一方で安倍が口頭で、従来の「台湾独立不支持」なる立場を表明して、辛うじて温家宝の面子を立てたと言う形となったわけだ。
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2007/04/19/Thu
恫喝を恫喝と感じない日本の危うさ
台湾研究フォーラム会長 永山英樹
中国の温家宝首相の訪日を前に、同国外交部の秦剛報道官は4月5日の記者会見で、例によって例の如く「台湾問題は中日関係の政治的基礎であり、日本が一つの中国の原則に基づいて台湾問題を適切に処理するよう中国側は期待している」と述べた。
しかしそもそもなぜ台湾の問題を両国関係の基礎にしなければならないのか。日本から見れば台湾は中国の領土ではないのである。日本にはたしかに「一つの中国」と言う政策はあるが、それは中華民国政府を中国を代表する政府とは承認しないと言うものであり、台湾の島を中国領とまで認めるものではないことは、中国も百も承知のはずである。それでもなお中国がそこまで繰り返し訴えるのは、日本がそれに敢えて抗弁する勇気がないことを知った上で、[両国関係の基礎を壊したくなければ、台湾併呑に口出しするな]と恫喝したいからである。
秦剛報道官はさらに「台湾独立に反対し、台湾海峡の平和と安定を維持することは、日本を含むこの地域の国々の利益に符合する」とも言ったが、これなどは明らかに恫喝であろう。「オレに戦争をさせるなよ」と警告しているのだ。
恫喝を繰り返せば、弱い相手はその言い分や要求を「ごもっとも」だと思い込んで行くものである。日本人が台湾問題をタブー視するのも、まさにそのあらわれなのだ。
今回の秦剛報道官のコメントにしても、それを「恫喝」と受け止めることができる日本人は、果たしてどれだけいるだろう。まさに中国が得意とする心理工作に乗っているわけだ。
このような中国がどうして「友好国」などと言えるだろうか。温家宝は今回の訪日を「融氷の旅」などと位置付けているらしいが、これには次なる恫喝のため、まずはひとまず日本を安心させておこうとの、恫喝国家ならではの狡猾さを感じる。
「台湾海峡の平和と安定」を維持するには、台湾を中国から切り離した状態を守ること以外にない。そしてそれを守るからには、いざとなれば一戦をも辞さないといった気概を示さなければ、中国の脅威はますます増大するだけなのだ。なぜ日本政府は恫喝を撥ね付け、「台湾は中国領ではない」とはっきり反論することができないのか。それができるか否かが日本の独立国家としての気概を計るバロメーターとなっていると言えるだろう。
気概なき弱い国は、いつかは敗れる。目覚めろ、日本政府!(19・4・6)
2007/04/19/Thu
笑わせるな!温家宝の微笑外交
4・8反中国デモ(東京・大阪)に参加を!
台湾研究フォーラム会長 永山英樹
まもなく中国首相温家宝がやってくる。「日中の安定した関係を作りたい」のだとか。中国は恫喝外交では日本に効き目のないことを悟り、最近では歴史問題も台湾問題も引っ込めて微笑外交に転じ、再び日中友好ブームでも作ろうと言うのだろうか。だが我々日本人はそのようなものに騙されるわけには行かないのだ。
中国は十九年連続の異常きわまりない軍拡に勤しみ、台湾併呑とアジアと太平洋における覇権確立の野心をますます逞しくしている。昨年公表した国防白書を見ると、軍拡の目標は明らかに台湾と太平洋を守る米国、そして日本である。最近ではミサイルで人工衛星破壊実験までやってのけ、世界に「戦意」を示したばかりだ。
またその一方で日米同盟の離間工作にも躍起となっている。反日工作の拠点を米国に構え、「南京」キャンペーンだの慰安婦決議の後押しだのと、絶好調である。「歴史」問題の提起が、実は中国覇権主義の為せる業であることがこれではっきりとしてきた。
温家宝の微笑訪日は、日本の経済援助欲しさのためか、安倍首相の靖国神社春季例大祭参列阻止のためか。いずれにせよ日本人が期待する「友好」のためなどではない。そもそも中国の考える「日中友好」は、日本が中国の勢力下に入って、それに隷属することなのだ。それは日本の「友好人士」の面々の対中従属姿勢で一目瞭然だろう。
そこで我々は温家宝来日の直前にあたる四月八日、東京と大阪で反中国デモを実施する。道往く人々に訴えるだけではない。中国政府も注視しているのだから、そこで日本人の意思を示すのだ。中国の対日宣伝工作の対象は政府と国民。その国民は中国の覇権主義、日本属国化戦略には断固反対するとの意思を見せ付ける。
もちろん日本の生命線・台湾の防衛の決意も示す。台湾独立支持の気概を見せる。
コースは一年前の反中国デモと同じ。日本人も台湾人も、中国覇権主義を座視できない方は、ともに立ち上がろう! 雨でもやる!(19.4.5)