親日台湾を中華台湾に変えたい中華民族主義の情念―台湾の「反日感情」とは(中)
2016/02/25/Thu
台湾で歴史問題、尖閣問題等々で日本を批判しない李登輝元総統を売国奴のように罵るのが在台中国人を中枢とする国民党、メディアの中華民族主義勢力だ。中共とも結ばれる彼らの反日言論を見ると、その非難の矛先が実は日本以上に、中華民族主義に染まらない台湾人に向けられているのが分かる。
■日本寄りの言論を委縮させる中国人の言葉狩り
そうした中華民族主義者の情念を知るのに打って付けの論文が、中国時報系の中国問題紙、旺報(二月十八日)に掲載されたので紹介しよう。
執筆は王正という世新大学助理教授。日本人の感覚に照らせば、とても大学の先生とは思えないヒステリックな内容で、捏造、歪曲に満ちている。そもそも中華民族主義者のレベルはそんなものだ。
書き出しは「李登輝が昨年八月以来講演や寄稿で、または新著『余生』で見せる媚日言動はすでに全台湾から無数の非難を受けている」。
ちなみにその「媚日言動」には次のようなものがあるそうだ。
「釣魚台は台湾に帰属しない」「釣魚台は日本のもの」
「台湾は日本統治に感謝している」
(※正しくは「(台湾の近代的管理体制の確立を助けたことに関し)台湾人は日本に感謝している」)
「台湾人は日本人だ」「七十年前、台湾人は日本人として祖国のために戦い光栄だ」
(※正しくは「当時われわれ兄弟は、紛れもなく『日本人』として、祖国のために戦ったのである」」
「慰安婦問題はすでに解決している」
こうした発言だけで「媚日」の烙印を押すのが中華民族主義者だ。こうした問答無用の言葉狩りを恐れ、日本寄りの発言に慎重になる台湾の政治家、識者は少なくない。
それは日本の言論界、学界等々が左翼に支配され、愛国的、反中的な発言に不寛容できた状況に似ているので理解しやすいと思う。
李登輝氏が尖閣問題や歴史問題で日本を批判しない発言を見せるたびに政治問題化す
るのは、中華民族主義勢力が大騒ぎするからだ
■日本は台湾人六十万人を殺したというデマ
ではその「媚日言動」がどうしたというのか。
論文は「李登輝は十二年間も台湾のリーダーを務め、今でも税金から巨額の退任礼遇金を受け取りながら、何と台湾を売り、人民を侮辱し、自らを卑しめる媚日言動を見せたため、馬英九総統から『抗日烈士や二千万人もの軍民同胞の犠牲者にどう顔向できるのか』と厳しく批判された」などと書き、「中国、琉球、日本の古文書はどれも釣魚台の中国帰属を認定している」などとでっち上げながら、李登輝は「実に喪権辱国」だと強調する。
そして、中国人お決まりのパターンといえるだろう。台湾の歴史の真相を語った李登輝氏に対し、捏造だらけの中華抗日史観で反撃を加えるのである。
「一八九五年以来、台湾では武装抗日と文化抗日が五十年も続いた。歴史学者の研究によれば、この間の台湾人犠牲者は六十万人。当時の台湾の人口の十分の一。日本軍の台湾侵略から五カ月間で十万人以上が犠牲になった。それでも李登輝は、台湾人は日本に感謝しているというのか。我々に日本を祖国と見ろというのか。およそ気概ある台湾人なら死を選ぶ!」というのである。
ここでは「台湾人犠牲者は六十万人」と書いているのに注目しよう。
日本統治下五十年間で日本に反抗して死んだ台湾人は約三万人(最初の五カ月間の島内平定戦で亡くなったのは一万数千人)だとするのが通説だが、それに対して中国で、思い付きのように打ち出されているのが「六十五万人」説だ。これはあの国で一九四五年、日本批判のために案出された数値で、近年では胡錦濤主席がこれを採用していたが、しかしあまりにも大胆な誇張につき、台湾ではほとんど無視されている。
もっともこの旺報は中国ベッタリのメディアにつき、かねてから「六十五万人」説を取り入れている。そしてこの論文も、ここでは「六十万人」だと断じるのだ。
■反日捏造史観による台湾人思想改造の試み
胡錦濤にしてもそうなのだが、なぜ中華民族主義者はこうも平気で嘘を付けるのか。嘘が嘘とばれて恥をかき、信用を失うことを恐れないのか。ネット情報も発達した今日、台湾人にはすでにそうしたデマは通用しないということに気付かないのか。
必ずしもそうではない。彼らにとって重要なのは、自らが発信する反日情報が台湾人に受け入れられるか否かというより、それを台湾人に押し付けられるか否か、そしてさらにはそれを押し付けて反日意識と中華民族主義を扶植し得るか否かなのだ。
そのためにもこの勢力は、台湾人を統制し得る国家権力の獲得に躍起となるわけである。そしてその権力を獲得し、強化するために、どうしても中共の後ろ盾を必要とするのだ。
「血は水より濃し」だ。台湾人政権の下で台湾人と対等に生きるより、中共の隷属してでも台湾人の上に君臨したいというわけだらう。
日本では「中台関係の改善の動き」などと好意的に受け止められもするが、国民党の所謂「聯共制台」(中共と提携して民進党など台湾人政治勢力を制圧する)という動きなどは、そうした在台中国人の情念の産物に他ならない。
そしてその中共の期待を浴びながら国民党政権が教科書会社に対し、日本の台湾統治の残虐性を強調するよう指導したのが昨年のことだ。これは一種の洗脳教育、思想改造の試みに他ならない。
洗脳教育を企てる国民党政権に対し高校生が抗議デモ。どんなに反撥を招いても、中華
民族主義勢力は台湾人の思想改造を諦めない
こうした台湾全体の思想統制を希求するのが中華民族主義者である。だから論文はもちろん李登輝氏だけでなく、同氏に近い台湾人の現役政治家にも非難の矛先を向けている。
「李登輝氏の個人の歴史経験を尊重しよう」「異なる歴史の記憶を尊重しよう」「あの時代の台湾人は日本軍人だった」「慰安婦が全て強制されたことを示す証拠はあるのか」といった彼らの、とても理智的、良識的な発言を取り上げ、こう罵っている。
「オーストリアはナチスの反人類的犯罪を否定することを禁じたが、台湾社会は日本軍国主義者を支持する言論に対して放置し過ぎではないか」
「李登輝の媚日言論に対し、台湾の全ての政治家は偽りなき明確な態度を表明し、台奸の李登輝、そして日本皇軍の岩里政男(李登輝氏の日本時代の日本名)の共犯者になりたいかどうかをはっきりさせるべきだ!」
中華民族主義勢力にとり李登輝氏は、民主化の名の下で「中国の台湾」を「台湾人の台湾」へと変えた民族の裏切り者。日本教育を受け、日本軍人にもなり、今なお日本に親しみを抱くなど、愚かにも日本人化して中華民族であることを忘れた最低最悪の人間と映る。かくして同氏は中国人に対抗する憎むべき台湾人の代表と看做されているわけだ。
日本を批判せず、しかも台湾を台湾人の国に変えた李登輝氏に対する在台中国人勢力
の憎しみの大きさは日本人の想像を絶する
このように中華民族主義者は、マスメディアと連携しながら、ヒステリックな言論弾圧を台湾人に加え続けるのである。そして中共も、彼らの後ろ盾となり、こうした台湾人批判キャンペーンには、つねにその御用メディアも歩調を合わせている。
(つづく)
台湾の「反日感情」とは(上)―実は在台中国人の「反台感情」でもあり 16/02/24
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■日本寄りの言論を委縮させる中国人の言葉狩り
そうした中華民族主義者の情念を知るのに打って付けの論文が、中国時報系の中国問題紙、旺報(二月十八日)に掲載されたので紹介しよう。
執筆は王正という世新大学助理教授。日本人の感覚に照らせば、とても大学の先生とは思えないヒステリックな内容で、捏造、歪曲に満ちている。そもそも中華民族主義者のレベルはそんなものだ。
書き出しは「李登輝が昨年八月以来講演や寄稿で、または新著『余生』で見せる媚日言動はすでに全台湾から無数の非難を受けている」。
ちなみにその「媚日言動」には次のようなものがあるそうだ。
「釣魚台は台湾に帰属しない」「釣魚台は日本のもの」
「台湾は日本統治に感謝している」
(※正しくは「(台湾の近代的管理体制の確立を助けたことに関し)台湾人は日本に感謝している」)
「台湾人は日本人だ」「七十年前、台湾人は日本人として祖国のために戦い光栄だ」
(※正しくは「当時われわれ兄弟は、紛れもなく『日本人』として、祖国のために戦ったのである」」
「慰安婦問題はすでに解決している」
こうした発言だけで「媚日」の烙印を押すのが中華民族主義者だ。こうした問答無用の言葉狩りを恐れ、日本寄りの発言に慎重になる台湾の政治家、識者は少なくない。
それは日本の言論界、学界等々が左翼に支配され、愛国的、反中的な発言に不寛容できた状況に似ているので理解しやすいと思う。
李登輝氏が尖閣問題や歴史問題で日本を批判しない発言を見せるたびに政治問題化す
るのは、中華民族主義勢力が大騒ぎするからだ
■日本は台湾人六十万人を殺したというデマ
ではその「媚日言動」がどうしたというのか。
論文は「李登輝は十二年間も台湾のリーダーを務め、今でも税金から巨額の退任礼遇金を受け取りながら、何と台湾を売り、人民を侮辱し、自らを卑しめる媚日言動を見せたため、馬英九総統から『抗日烈士や二千万人もの軍民同胞の犠牲者にどう顔向できるのか』と厳しく批判された」などと書き、「中国、琉球、日本の古文書はどれも釣魚台の中国帰属を認定している」などとでっち上げながら、李登輝は「実に喪権辱国」だと強調する。
そして、中国人お決まりのパターンといえるだろう。台湾の歴史の真相を語った李登輝氏に対し、捏造だらけの中華抗日史観で反撃を加えるのである。
「一八九五年以来、台湾では武装抗日と文化抗日が五十年も続いた。歴史学者の研究によれば、この間の台湾人犠牲者は六十万人。当時の台湾の人口の十分の一。日本軍の台湾侵略から五カ月間で十万人以上が犠牲になった。それでも李登輝は、台湾人は日本に感謝しているというのか。我々に日本を祖国と見ろというのか。およそ気概ある台湾人なら死を選ぶ!」というのである。
ここでは「台湾人犠牲者は六十万人」と書いているのに注目しよう。
日本統治下五十年間で日本に反抗して死んだ台湾人は約三万人(最初の五カ月間の島内平定戦で亡くなったのは一万数千人)だとするのが通説だが、それに対して中国で、思い付きのように打ち出されているのが「六十五万人」説だ。これはあの国で一九四五年、日本批判のために案出された数値で、近年では胡錦濤主席がこれを採用していたが、しかしあまりにも大胆な誇張につき、台湾ではほとんど無視されている。
もっともこの旺報は中国ベッタリのメディアにつき、かねてから「六十五万人」説を取り入れている。そしてこの論文も、ここでは「六十万人」だと断じるのだ。
■反日捏造史観による台湾人思想改造の試み
胡錦濤にしてもそうなのだが、なぜ中華民族主義者はこうも平気で嘘を付けるのか。嘘が嘘とばれて恥をかき、信用を失うことを恐れないのか。ネット情報も発達した今日、台湾人にはすでにそうしたデマは通用しないということに気付かないのか。
必ずしもそうではない。彼らにとって重要なのは、自らが発信する反日情報が台湾人に受け入れられるか否かというより、それを台湾人に押し付けられるか否か、そしてさらにはそれを押し付けて反日意識と中華民族主義を扶植し得るか否かなのだ。
そのためにもこの勢力は、台湾人を統制し得る国家権力の獲得に躍起となるわけである。そしてその権力を獲得し、強化するために、どうしても中共の後ろ盾を必要とするのだ。
「血は水より濃し」だ。台湾人政権の下で台湾人と対等に生きるより、中共の隷属してでも台湾人の上に君臨したいというわけだらう。
日本では「中台関係の改善の動き」などと好意的に受け止められもするが、国民党の所謂「聯共制台」(中共と提携して民進党など台湾人政治勢力を制圧する)という動きなどは、そうした在台中国人の情念の産物に他ならない。
そしてその中共の期待を浴びながら国民党政権が教科書会社に対し、日本の台湾統治の残虐性を強調するよう指導したのが昨年のことだ。これは一種の洗脳教育、思想改造の試みに他ならない。
洗脳教育を企てる国民党政権に対し高校生が抗議デモ。どんなに反撥を招いても、中華
民族主義勢力は台湾人の思想改造を諦めない
こうした台湾全体の思想統制を希求するのが中華民族主義者である。だから論文はもちろん李登輝氏だけでなく、同氏に近い台湾人の現役政治家にも非難の矛先を向けている。
「李登輝氏の個人の歴史経験を尊重しよう」「異なる歴史の記憶を尊重しよう」「あの時代の台湾人は日本軍人だった」「慰安婦が全て強制されたことを示す証拠はあるのか」といった彼らの、とても理智的、良識的な発言を取り上げ、こう罵っている。
「オーストリアはナチスの反人類的犯罪を否定することを禁じたが、台湾社会は日本軍国主義者を支持する言論に対して放置し過ぎではないか」
「李登輝の媚日言論に対し、台湾の全ての政治家は偽りなき明確な態度を表明し、台奸の李登輝、そして日本皇軍の岩里政男(李登輝氏の日本時代の日本名)の共犯者になりたいかどうかをはっきりさせるべきだ!」
中華民族主義勢力にとり李登輝氏は、民主化の名の下で「中国の台湾」を「台湾人の台湾」へと変えた民族の裏切り者。日本教育を受け、日本軍人にもなり、今なお日本に親しみを抱くなど、愚かにも日本人化して中華民族であることを忘れた最低最悪の人間と映る。かくして同氏は中国人に対抗する憎むべき台湾人の代表と看做されているわけだ。
日本を批判せず、しかも台湾を台湾人の国に変えた李登輝氏に対する在台中国人勢力
の憎しみの大きさは日本人の想像を絶する
このように中華民族主義者は、マスメディアと連携しながら、ヒステリックな言論弾圧を台湾人に加え続けるのである。そして中共も、彼らの後ろ盾となり、こうした台湾人批判キャンペーンには、つねにその御用メディアも歩調を合わせている。
(つづく)
台湾の「反日感情」とは(上)―実は在台中国人の「反台感情」でもあり 16/02/24
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