中国が憎む日本と台湾独立派勢力ー中国論説「台湾は日本時代の真相に立ち帰れ」を読む(下)
2014/02/22/Sat
■「台湾独立勢力」と「日本右翼勢力」を恐れる中国
馬英九総統の国民党政権が日本の台湾統治を全面否定するなど、「台湾の主体性に反する中国史観を教科書に大きく反映させ、高校生を洗脳することを発表したのは、王張会談(※台中閣僚級会談)の前夜であり、それが中国の歓心を買うためのものであることははっきりしている」(台湾紙自由時報、二月二十一日社説)。
一方、閣僚級会談に臨んだ中国側の張志軍・国務院台湾弁公室主任は会談の翌日、同じ中華民族として日本に対する台中共闘を呼び掛けた。
そしてそれを受け人民日報などは「台湾は日拠の真相に立ち返るべき」と際する論説を掲げ、日本統治(国民党や中国は不法な日本の占拠=「日拠」と呼ぶ)下における「台湾人六十五万人大虐殺」をでっち上げるなどで、台湾の歴史教科書の反日化を激励したわけだが、これを読むと中国が敵視するのは台湾野党の民進党と日本の安倍政権であることは明確だ。
中国は前者を台湾独立勢力とし、後者を日本右翼勢力と看做している。つまりそれぞれを中国に屈服しない障害と見て、双方の結合を警戒しているのだ。
中国が「右翼」と呼ぶ安倍首相の靖国神社参拝は、中国への「服従拒否」と受け止められた
■中国が見たくない日台による「中国包囲」
次のように書いている。
―――民進党が教科書の修正に反対するのは、実際には日本の右翼に好い所を見せたいからだ。民進党主席の蘇貞昌は昨年訪日し、所謂台日民主同盟を締結し、大陸に対抗するという構想を提案した。日本の最近における「拝鬼」(安倍首相の靖国神社参拝)や挑発的言動についても、島内の一部の人々に大陸包囲の契機と見ている。
昨年3月、来日した蘇貞昌・民進党主席は与野党の要人と会い、日台の「民主
同盟」を呼び掛けた
―――日本、特に右翼勢力から見れば、台湾はかねてより中国大陸を牽制し、その東亜戦略の上で行使する重要なコマだ。
民進党が歴史教科書の改訂に反対するのは、捏造だらけの大中国史観の洗脳から台湾人および台湾を守るためである。日本時代に関する記述の改変も、そうした思いで反対している。
しかし、そうした姿勢も、そして中国の脅威に対抗すべく日本との関係強化を求める動きも、中国から見れば中華民族意識を持たないが故の媚日行為と映るのだ。
そしてそれはまた日本の対中戦略政策に利用されるところとなると恐れている。
これは当然のことである。日本と台湾とを結ぶ第一列島線を自らの影響下に置き、「偉大なる中華復興」を成し遂げたい中国は、日台の提携による「大陸包囲」だけは見たくない。
■警戒すべき国民党の「日台分断」の動き
しかしそうした中、台中反日共闘の呼びかけに呼応するかのように、国民党が「反日」傾向を強めつつあるのだ。日台分断を望む中国としては、これを励まさずにはいられない。
台湾では野党が国民党政権の教科書改竄の動きに徹底抗戦の構え。2月21日の国会では台湾団結連盟の三人の議員が躍り出て江宜樺行政院長
(首相)の施政演説を阻止。プラカードには「専門外の人間による学習指導要領改訂派台湾人を誤導する」「歴史歪曲で台湾人を洗脳をするな」
とある。しかしほどなく大挙押し寄せた国民党議員により三人は排除された
―――釣魚島や南海(※南支那海)での争いにおいて、日本は最も両岸提携を恐れている。昨年四月に日本が台湾と対日漁業協定を電撃締結したのは、日本の十数年来初の重大な譲歩で、その目的は台湾を取り込み、両岸提携を防ぐことにあった。
―――国民党当局はこれまで日本を礼遇してきたが、安倍に誤った言論に対し、馬英九は強硬な反応を見せ、その靖国神社参拝を東亜の安全に対する不安定要素とし、「中華民族の一人として、日本の隣国の歴史の痛みを弁えない行動には失望してやまない」と述べた。
―――両岸はいまだに政令敬熱の状態だが、両岸関係を今後も深めて行くには、双方が歴史を直視し、民族の大義、民衆の利益をあるべき高度な位置に置かなくてはならない。
―――台湾が混乱を糺して日拠時代の歴史の真相に立ち返り、民衆に正確な歴史観に戻る機会を与えることは、一つの突破口になるかも知れない。
このように中国は台湾の民衆に反日意識、つまり中国人意識(中華民族主義)を抱かせよとの国民党政権を揺さぶろうとするのである。
前出の「中台閣僚級会談 歴史的な一歩にはなったが」と題する読売新聞社説は、次のようにも書いている。
「中台当局間の交流が本格化しても、台湾周辺の安全保障の構図には、依然変化がない。中国は武力統一の選択肢を放棄していない。台湾は、武器購入などで米国からの支援に依存している」
「日本にとって、台湾は、尖閣諸島周辺を含む東シナ海などでの中国の覇権的行動をけん制する上でも重要な隣人である。中台接近が地域情勢に及ぼす影響を見極めながら、台湾との関係を密にしていくべきだ」
こうした訴えは正論だろう。日本人はこうした安全保障の観点からこそ、国民党政権による対中接近の情勢を見て行かなければならない。
もちろんその歴史教科書問題も含めてだ。
台湾併呑のテコとしての「反日」―中国論説「台湾は日本時代の真相に立ち帰れ」を読む(上) 14/02/20
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-2309.html
日本の「台湾人65万人大虐殺」は事実かー中国論説「台湾は日本時代の真相に立ち帰れ」を読む(中)14/02/21
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-2310.html
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馬英九総統の国民党政権が日本の台湾統治を全面否定するなど、「台湾の主体性に反する中国史観を教科書に大きく反映させ、高校生を洗脳することを発表したのは、王張会談(※台中閣僚級会談)の前夜であり、それが中国の歓心を買うためのものであることははっきりしている」(台湾紙自由時報、二月二十一日社説)。
一方、閣僚級会談に臨んだ中国側の張志軍・国務院台湾弁公室主任は会談の翌日、同じ中華民族として日本に対する台中共闘を呼び掛けた。
そしてそれを受け人民日報などは「台湾は日拠の真相に立ち返るべき」と際する論説を掲げ、日本統治(国民党や中国は不法な日本の占拠=「日拠」と呼ぶ)下における「台湾人六十五万人大虐殺」をでっち上げるなどで、台湾の歴史教科書の反日化を激励したわけだが、これを読むと中国が敵視するのは台湾野党の民進党と日本の安倍政権であることは明確だ。
中国は前者を台湾独立勢力とし、後者を日本右翼勢力と看做している。つまりそれぞれを中国に屈服しない障害と見て、双方の結合を警戒しているのだ。
中国が「右翼」と呼ぶ安倍首相の靖国神社参拝は、中国への「服従拒否」と受け止められた
■中国が見たくない日台による「中国包囲」
次のように書いている。
―――民進党が教科書の修正に反対するのは、実際には日本の右翼に好い所を見せたいからだ。民進党主席の蘇貞昌は昨年訪日し、所謂台日民主同盟を締結し、大陸に対抗するという構想を提案した。日本の最近における「拝鬼」(安倍首相の靖国神社参拝)や挑発的言動についても、島内の一部の人々に大陸包囲の契機と見ている。
昨年3月、来日した蘇貞昌・民進党主席は与野党の要人と会い、日台の「民主
同盟」を呼び掛けた
―――日本、特に右翼勢力から見れば、台湾はかねてより中国大陸を牽制し、その東亜戦略の上で行使する重要なコマだ。
民進党が歴史教科書の改訂に反対するのは、捏造だらけの大中国史観の洗脳から台湾人および台湾を守るためである。日本時代に関する記述の改変も、そうした思いで反対している。
しかし、そうした姿勢も、そして中国の脅威に対抗すべく日本との関係強化を求める動きも、中国から見れば中華民族意識を持たないが故の媚日行為と映るのだ。
そしてそれはまた日本の対中戦略政策に利用されるところとなると恐れている。
これは当然のことである。日本と台湾とを結ぶ第一列島線を自らの影響下に置き、「偉大なる中華復興」を成し遂げたい中国は、日台の提携による「大陸包囲」だけは見たくない。
■警戒すべき国民党の「日台分断」の動き
しかしそうした中、台中反日共闘の呼びかけに呼応するかのように、国民党が「反日」傾向を強めつつあるのだ。日台分断を望む中国としては、これを励まさずにはいられない。
台湾では野党が国民党政権の教科書改竄の動きに徹底抗戦の構え。2月21日の国会では台湾団結連盟の三人の議員が躍り出て江宜樺行政院長
(首相)の施政演説を阻止。プラカードには「専門外の人間による学習指導要領改訂派台湾人を誤導する」「歴史歪曲で台湾人を洗脳をするな」
とある。しかしほどなく大挙押し寄せた国民党議員により三人は排除された
―――釣魚島や南海(※南支那海)での争いにおいて、日本は最も両岸提携を恐れている。昨年四月に日本が台湾と対日漁業協定を電撃締結したのは、日本の十数年来初の重大な譲歩で、その目的は台湾を取り込み、両岸提携を防ぐことにあった。
―――国民党当局はこれまで日本を礼遇してきたが、安倍に誤った言論に対し、馬英九は強硬な反応を見せ、その靖国神社参拝を東亜の安全に対する不安定要素とし、「中華民族の一人として、日本の隣国の歴史の痛みを弁えない行動には失望してやまない」と述べた。
―――両岸はいまだに政令敬熱の状態だが、両岸関係を今後も深めて行くには、双方が歴史を直視し、民族の大義、民衆の利益をあるべき高度な位置に置かなくてはならない。
―――台湾が混乱を糺して日拠時代の歴史の真相に立ち返り、民衆に正確な歴史観に戻る機会を与えることは、一つの突破口になるかも知れない。
このように中国は台湾の民衆に反日意識、つまり中国人意識(中華民族主義)を抱かせよとの国民党政権を揺さぶろうとするのである。
前出の「中台閣僚級会談 歴史的な一歩にはなったが」と題する読売新聞社説は、次のようにも書いている。
「中台当局間の交流が本格化しても、台湾周辺の安全保障の構図には、依然変化がない。中国は武力統一の選択肢を放棄していない。台湾は、武器購入などで米国からの支援に依存している」
「日本にとって、台湾は、尖閣諸島周辺を含む東シナ海などでの中国の覇権的行動をけん制する上でも重要な隣人である。中台接近が地域情勢に及ぼす影響を見極めながら、台湾との関係を密にしていくべきだ」
こうした訴えは正論だろう。日本人はこうした安全保障の観点からこそ、国民党政権による対中接近の情勢を見て行かなければならない。
もちろんその歴史教科書問題も含めてだ。
台湾併呑のテコとしての「反日」―中国論説「台湾は日本時代の真相に立ち帰れ」を読む(上) 14/02/20
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日本の「台湾人65万人大虐殺」は事実かー中国論説「台湾は日本時代の真相に立ち帰れ」を読む(中)14/02/21
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