野中広務発言は中国の虚構宣伝の代行―存在しない尖閣「棚上げ」合意
2013/06/10/Mon
■中国に頼まれた上での発言か
野中広務元官房長官は六月三日、日中関係の改善を訴える元議員、現議員の訪中団団長として劉雲山政治局常務委員と会見。その際に「田中角栄元総理から日中国交正常化の際、尖閣問題の棚上げで両国の合意があったと聞いた」と語った。
劉雲山政治局常務委員(右)との会見で自国を裏切る発言を見せた野中元官房長官
これは「棚上げの合意はない」とする日本政府の見解に反するものだ。そこで菅義偉官房長官は四日、「尖閣諸島を巡り解決すべき領有権の問題はそもそも存在しない。棚上げすべき問題もない」と、野中発言を打ち消した。しかしそれに対して野中氏は同日、「私はそれを言うために(中国に)行ったのだから、発言の撤回などしません」などと悪びれる様子もない。
野中氏が「それを言うため」に訪中したことに注目したい。つまり中国の希望に応え、わざわざ出掛けて行ったのだろう。
■中国が宣伝工作で利用する「傀儡」たち
政府が尖閣諸島を国有化したのは昨年九月十一日だが、その直後(九月二十一日)に新華社は論評を発表し、「『争議棚上げ』は双方の指導者間の黙契。当時日本の指導者は周恩来の『棚上げ』提案に納得し、明確かつ積極的に応じていた」とし、国有化を日中間の合意(黙約)違反だと非難している。
このような宣伝で中国側は、日中対立における自国の正当性を強調する一方で、日本側に「棚上げ」(尖閣の実効支配の停止)を要求し、併せて問題解決の協議へと持ち込み、自国のペースに日本を乗せてしまおうと攻勢をかけつつある。
そしてそうした宣伝工作で利用するのが、野中氏など日本国内の親中派なのである(単に「親中派」というより、中国に長年間飼い慣らされて来た「走狗」「傀儡」と呼ぶべきかも知れない)。これら勢力の「棚上げによる日中関係改善」アピールに、日中対立が生む緊張感に耐えきれない政財界や一般国民は、思わず飛びつくことにある。
新華社は野中発言を大きく取り上げ、「安倍は老世代の政治家の諫言を聞くべきだ」と訴える論評を出した。
それでは「棚上げの合意」は、実際には存在したのだろうか。
■「棚上げ合意」は中国のでっち上げ
問題となる国交正常化交渉での田中角栄氏と周恩来氏との尖閣に関するやりとりは短いものだった。
日本側の外交文書によれば、田中氏が「尖閣諸島についてどう思うか?私のところにいろいろ言ってくる人がいる」と語りかけたのに対し、周恩来氏が「尖閣諸島問題については今回は話したくない。今これを話すのはよくない。石油が出るからこれが問題になった。石油が出なければ台湾も米国も問題にしない」と答えただけで終わっている。
これを見る限り、「合意」がなされた形跡はないのである。
野中発言について伊吹文明衆院議長は六日、「外交は文章で書いたものでない限りは効力を持たない。当時の会議のメモや内部文書があれば中国は必ず公表している」とし、合意の存在を否定したが、まったくそのとおりである。
「メモや内部文書」がないことは中国もわかっているのだ。そこで記録に残らない「黙約」と呼び、「合意」の存在をでっち上げるのである。
しかし「黙約」だけでは、外交上は何の「効力を持たない」のである。
このような外交の常識を、日本側は中国に認めさせなければならない。
■鄧小平発言で明らかな「真相」
野中氏は七日、BS朝日の番組で、田中角栄元総理大臣から聞いた「棚上げ」の経緯を次のように語っている。
「(田中氏が)尖閣の題を出したら、周恩来さんが『田中さん、その問題は、今度はやめときましょう。この問題に入ったら、この話(日中国交正常化)はできなくなりますよ』と。そしたら、(同席する)大平君(大平正芳外相)が非常に気を利かせて、『いや、田中さんは帰った時に右の方から言われるから、ここで一言言っておかなければと言ったんですよ。これは、それで結構ですから、静かにいきましょう』と言って、問題は棚上げになったんだと」
何てことはない。外交文書が示す会談内容以上のものはなかったのだ。田中氏の話した「棚上げ」というのは結局、「国交正常化交渉で尖閣の題は出さない」というだけの話に過ぎないではないか。
そしてそれが真相であることは、鄧小平氏が副首相時代の七八年十月、日中平和友好条約の批准書交換のために来日した際の記者会見での、次の発言からも明らかだ。
「国交正常化の際、双方はこれ(尖閣問題)に触れないと約束した。今回、平和友好条約交渉の際も同じくこの問題にふれないことで一致した」
このように所謂「棚上げ」とは「国交正常化の際」と「平和友好条約交渉の際」だけに限定されたものだったのである。
■世界の日本不信を呼ぶ野中発言
野中発言が中国の虚構宣伝を代弁するだけのものであるのを日本のマスメディアもわかっている。
だからこそ従来「棚上げ」を主張して来た親中メディアも、さすがに同発言には支持表明をできずにいる。
もっとも「日本政府は野中氏を批判するだけでなく、対話のチャンネルをしっかり築き、両国の緊張を解くべきだ」と主張する北海道新聞や「日本側で「棚上げ」合意を認める政府関係者は野中氏だけではない」と強弁する沖縄タイムスなどの例もあり、野中氏と同様、真実よりも中国の利益を優先する親中メディアが大手を振ってまかり通る日本の現状に強い危機感を抱かざるを得ない。
世界ウイグル会議のイリハム・マハムティ副総裁は野中発言についてこう語る。
「世界は日本をサムライの国と信頼して来たが、中国のプロパガンダに従い、自国を裏切る野中氏のような人間を見ると、日本に対する見方が変わってしまう」と。
【過去の関連記事】
中国の嘘!尖閣「棚上げ」合意はなかった 13/04/14
http://mamoretaiwan.blog100.fc2.com/blog-entry-2094.html
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野中広務元官房長官は六月三日、日中関係の改善を訴える元議員、現議員の訪中団団長として劉雲山政治局常務委員と会見。その際に「田中角栄元総理から日中国交正常化の際、尖閣問題の棚上げで両国の合意があったと聞いた」と語った。
劉雲山政治局常務委員(右)との会見で自国を裏切る発言を見せた野中元官房長官
これは「棚上げの合意はない」とする日本政府の見解に反するものだ。そこで菅義偉官房長官は四日、「尖閣諸島を巡り解決すべき領有権の問題はそもそも存在しない。棚上げすべき問題もない」と、野中発言を打ち消した。しかしそれに対して野中氏は同日、「私はそれを言うために(中国に)行ったのだから、発言の撤回などしません」などと悪びれる様子もない。
野中氏が「それを言うため」に訪中したことに注目したい。つまり中国の希望に応え、わざわざ出掛けて行ったのだろう。
■中国が宣伝工作で利用する「傀儡」たち
政府が尖閣諸島を国有化したのは昨年九月十一日だが、その直後(九月二十一日)に新華社は論評を発表し、「『争議棚上げ』は双方の指導者間の黙契。当時日本の指導者は周恩来の『棚上げ』提案に納得し、明確かつ積極的に応じていた」とし、国有化を日中間の合意(黙約)違反だと非難している。
このような宣伝で中国側は、日中対立における自国の正当性を強調する一方で、日本側に「棚上げ」(尖閣の実効支配の停止)を要求し、併せて問題解決の協議へと持ち込み、自国のペースに日本を乗せてしまおうと攻勢をかけつつある。
そしてそうした宣伝工作で利用するのが、野中氏など日本国内の親中派なのである(単に「親中派」というより、中国に長年間飼い慣らされて来た「走狗」「傀儡」と呼ぶべきかも知れない)。これら勢力の「棚上げによる日中関係改善」アピールに、日中対立が生む緊張感に耐えきれない政財界や一般国民は、思わず飛びつくことにある。
新華社は野中発言を大きく取り上げ、「安倍は老世代の政治家の諫言を聞くべきだ」と訴える論評を出した。
それでは「棚上げの合意」は、実際には存在したのだろうか。
■「棚上げ合意」は中国のでっち上げ
問題となる国交正常化交渉での田中角栄氏と周恩来氏との尖閣に関するやりとりは短いものだった。
日本側の外交文書によれば、田中氏が「尖閣諸島についてどう思うか?私のところにいろいろ言ってくる人がいる」と語りかけたのに対し、周恩来氏が「尖閣諸島問題については今回は話したくない。今これを話すのはよくない。石油が出るからこれが問題になった。石油が出なければ台湾も米国も問題にしない」と答えただけで終わっている。
これを見る限り、「合意」がなされた形跡はないのである。
野中発言について伊吹文明衆院議長は六日、「外交は文章で書いたものでない限りは効力を持たない。当時の会議のメモや内部文書があれば中国は必ず公表している」とし、合意の存在を否定したが、まったくそのとおりである。
「メモや内部文書」がないことは中国もわかっているのだ。そこで記録に残らない「黙約」と呼び、「合意」の存在をでっち上げるのである。
しかし「黙約」だけでは、外交上は何の「効力を持たない」のである。
このような外交の常識を、日本側は中国に認めさせなければならない。
■鄧小平発言で明らかな「真相」
野中氏は七日、BS朝日の番組で、田中角栄元総理大臣から聞いた「棚上げ」の経緯を次のように語っている。
「(田中氏が)尖閣の題を出したら、周恩来さんが『田中さん、その問題は、今度はやめときましょう。この問題に入ったら、この話(日中国交正常化)はできなくなりますよ』と。そしたら、(同席する)大平君(大平正芳外相)が非常に気を利かせて、『いや、田中さんは帰った時に右の方から言われるから、ここで一言言っておかなければと言ったんですよ。これは、それで結構ですから、静かにいきましょう』と言って、問題は棚上げになったんだと」
何てことはない。外交文書が示す会談内容以上のものはなかったのだ。田中氏の話した「棚上げ」というのは結局、「国交正常化交渉で尖閣の題は出さない」というだけの話に過ぎないではないか。
そしてそれが真相であることは、鄧小平氏が副首相時代の七八年十月、日中平和友好条約の批准書交換のために来日した際の記者会見での、次の発言からも明らかだ。
「国交正常化の際、双方はこれ(尖閣問題)に触れないと約束した。今回、平和友好条約交渉の際も同じくこの問題にふれないことで一致した」
このように所謂「棚上げ」とは「国交正常化の際」と「平和友好条約交渉の際」だけに限定されたものだったのである。
■世界の日本不信を呼ぶ野中発言
野中発言が中国の虚構宣伝を代弁するだけのものであるのを日本のマスメディアもわかっている。
だからこそ従来「棚上げ」を主張して来た親中メディアも、さすがに同発言には支持表明をできずにいる。
もっとも「日本政府は野中氏を批判するだけでなく、対話のチャンネルをしっかり築き、両国の緊張を解くべきだ」と主張する北海道新聞や「日本側で「棚上げ」合意を認める政府関係者は野中氏だけではない」と強弁する沖縄タイムスなどの例もあり、野中氏と同様、真実よりも中国の利益を優先する親中メディアが大手を振ってまかり通る日本の現状に強い危機感を抱かざるを得ない。
世界ウイグル会議のイリハム・マハムティ副総裁は野中発言についてこう語る。
「世界は日本をサムライの国と信頼して来たが、中国のプロパガンダに従い、自国を裏切る野中氏のような人間を見ると、日本に対する見方が変わってしまう」と。
【過去の関連記事】
中国の嘘!尖閣「棚上げ」合意はなかった 13/04/14
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