オバマ「尖閣」発言に中国は余裕のポーズ/「米国に武力行使の意志なし」と
2014/04/25/Fri
■尖閣問題で中国に配慮してきた米国
来日したオバマ米大統領は四月二十四日、安倍晋三首相との共同記者会見で「あらためて言うが、日本の安全保障に対する(日米安保)条約に基づく日本防衛義務は絶対的なものであり、第五条は尖閣諸島を含め、日本の施政権下にある全ての領域を対象としている」と発言。米大統領が公の場で初めて同諸島への適用を明言したことに注目が集まっている。

尖閣諸島への日米安保条約の適用を明言したオバマ大統領。安倍首相は
「日米同盟は力強く復活した」と評価した
産経新聞は二十五日の社説で「米側の明確な意思表明を受け、安倍晋三首相は『日米同盟は力強く復活した。同盟はかつてないほど盤石だ』と語った。揺るぎない同盟を内外にアピールできた成果は大きい。それは、日本が自ら取り組むべき課題の重要性を、より明確にしたともいえよう」と論じた。
もちろん「初めての明言」だからと言って、今回初めて適用が決まったわけではない。沖縄県の一部である尖閣諸島は当初から適用対象だ。しかし七二年の沖縄返還後、ちょうどそのころから同諸島の領有権を主張し始めた中国との関係に配慮し、米政府は対象たるか否かを明言するのを嫌う傾向にあった。
「尖閣諸島を含め、日本の施政権下にある全ての領域が対象」というのは米政府が九〇年代から表明してきた見解ではあるが、「領有権」と言わず「施政権」の語を用いるのもまた、中国への配慮であり、むやみに尖閣諸島の領有権を巡る争いに巻き込まれたくないという思いが滲んでいる。事実、米政府は同諸島問題に関しては「領土権を巡る争いには、いずれにも関与しない」と、日本に対しても中国に対しても、重ねて表明してきた。
この日もオバマ氏は「尖閣諸島の最終的な主権の決定について特定の立場を取らない」と断言している。
ただだがそれに続けて再度「しかし尖閣諸島は歴史的に日本の施政権下にある」とし、「一方的な現状変更の対象になるべきではない」として中国を牽制しているから、やはり米大統領の発言としては画期的ではある。
日本政府はこの「施政権」を「領有権」と解釈しているが、それは正しいだろう。
■中国はオバマ発言に余裕のポーズ
それでは今回のオバマ発言に対し、中国の反応はどうか。
国防部の報道官は二十四日、次のように述べ、強国としての余裕を見せた。

中国国防部報道官は余裕の態度。オバマ発言に喜ぶ日本側を茶化して
みせた
「第一に釣魚島は中国領土だ。中国軍は完全なる防衛能力を有しており、他国が安全保障を提供するなど気を使う必要はない。第二に日本人の一部は大喜びで騒いでいるが、虎の威を借りているにすぎない」
中共機関紙人民日報系の環球時報も二十五日、「オバマは釣魚島に鋼線を巡らす一方で中国を懸命になだめる」と題する論評を配信。下のように論じた。
―――日本メディアは「安倍にとっては重大な勝利だ」と報じるが、しかしオバマは日本に支持を与えると同時に精力的に北京をなだめようとしている。「尖閣諸島の最終的な主権の決定について特定の立場を取らない」「我々と中国の間には強い関係がある。」「中国の平和的台頭を歓迎したい」(※実際は「中国には平和的な台頭を求める」と述べた。
―――日本のメディアはオバマの発言を重点的に取り上げた。しかし興奮するなかでも、彼が中国をなだめていることに気が付いた。NHKも「オバマが中国の平和的台頭を歓迎すると述べた」と報じた。
―――オバマは「主権の決定について特定の立場を取らない」とも述べた。この立場表明も米大統領としては初めてだ。
そしてその上で、次のように総括する。
―――拓殖大学専門家、川上高司は「オバマは中国を重視している。中国にとっては、米国は武力介入してこないと完全に解釈できる」と述べた。
ちなみにロイターが二十四日に伝えた川上高司拓殖大学海外事情研究所長のコメントは「オバマ大統領は同じく中国に対してもリバランス(重要視)した。中国にとっては、米国は武力介入してこないとも解釈できる」というもの。つまり環球時報の論説は、コメントを少し歪曲し、米国は中国との関係を重視し、安保条約を尖閣諸島に適用することはないと宣伝したわけだ。
これもまた余裕の表明(強がり)とも受け取れるが、やはりそれ以上に米国に対する牽制と見るべきだろう。
■日本は「覚悟」を示さなければ危ない
中国外交部の報道官は二十三日、すでに次のようにオバマ氏を牽制していた。
「中国は釣魚島を日米安保条約の適用対象とすることに断固反対する。米国は“領土主権の問題ではいずれの側にも立たない”とする約束を守り、言行を慎むべきである」
尖閣諸島に関する領土問題に「関与しない」「特定の立場に立たない」と表明し、中国への配慮を見せ続けてきた米国だが、そうした表明も中国により、破るべからざる「約束」「誓約」に仕立て上げられ、対米圧力の具にされているわけだ。
このように米国の中国への「なだめ」は、中国から見ればとことん衝くべき弱みに見えるのである。オバマ発言は全体的には「中国にとっては、米国は武力介入してこないとも解釈できる」のは本当に違いない。
産経の前掲社説は「首相は集団的自衛権について、政府の有識者懇談会での議論の状況を説明し、『日米同盟を有効に機能させるために(解釈改憲による行使容認を)検討している』と述べた。大統領は安倍政権の取り組みを『歓迎し、支持』した。…行使容認は同盟再強化への日本の覚悟を示すものとなる」と訴える。
一方、朝日新聞は二十五日の社説で、「首相がいくら米国との同盟の絆をうたいあげようと、中国との間に太い一線を引いたままではアジア太平洋地域の安定はあり得ない。日米中の三つの大国がそれぞれ安定した関係を保つことが、周辺諸国が求めるところでもあろう」と主張している。
要するに民主党の鳩山政権時代のような敗北主義に日本に立ち返れというわけだが、そのような日本のために米国は軍事支援を行うかということだ。
中国の国力は増強一方なのである。米国は益々尖閣問題には関わりたくなくなるだろう。
「日本の覚悟」は何としても形にして示して行かなくてはならない。
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来日したオバマ米大統領は四月二十四日、安倍晋三首相との共同記者会見で「あらためて言うが、日本の安全保障に対する(日米安保)条約に基づく日本防衛義務は絶対的なものであり、第五条は尖閣諸島を含め、日本の施政権下にある全ての領域を対象としている」と発言。米大統領が公の場で初めて同諸島への適用を明言したことに注目が集まっている。

尖閣諸島への日米安保条約の適用を明言したオバマ大統領。安倍首相は
「日米同盟は力強く復活した」と評価した
産経新聞は二十五日の社説で「米側の明確な意思表明を受け、安倍晋三首相は『日米同盟は力強く復活した。同盟はかつてないほど盤石だ』と語った。揺るぎない同盟を内外にアピールできた成果は大きい。それは、日本が自ら取り組むべき課題の重要性を、より明確にしたともいえよう」と論じた。
もちろん「初めての明言」だからと言って、今回初めて適用が決まったわけではない。沖縄県の一部である尖閣諸島は当初から適用対象だ。しかし七二年の沖縄返還後、ちょうどそのころから同諸島の領有権を主張し始めた中国との関係に配慮し、米政府は対象たるか否かを明言するのを嫌う傾向にあった。
「尖閣諸島を含め、日本の施政権下にある全ての領域が対象」というのは米政府が九〇年代から表明してきた見解ではあるが、「領有権」と言わず「施政権」の語を用いるのもまた、中国への配慮であり、むやみに尖閣諸島の領有権を巡る争いに巻き込まれたくないという思いが滲んでいる。事実、米政府は同諸島問題に関しては「領土権を巡る争いには、いずれにも関与しない」と、日本に対しても中国に対しても、重ねて表明してきた。
この日もオバマ氏は「尖閣諸島の最終的な主権の決定について特定の立場を取らない」と断言している。
ただだがそれに続けて再度「しかし尖閣諸島は歴史的に日本の施政権下にある」とし、「一方的な現状変更の対象になるべきではない」として中国を牽制しているから、やはり米大統領の発言としては画期的ではある。
日本政府はこの「施政権」を「領有権」と解釈しているが、それは正しいだろう。
■中国はオバマ発言に余裕のポーズ
それでは今回のオバマ発言に対し、中国の反応はどうか。
国防部の報道官は二十四日、次のように述べ、強国としての余裕を見せた。

中国国防部報道官は余裕の態度。オバマ発言に喜ぶ日本側を茶化して
みせた
「第一に釣魚島は中国領土だ。中国軍は完全なる防衛能力を有しており、他国が安全保障を提供するなど気を使う必要はない。第二に日本人の一部は大喜びで騒いでいるが、虎の威を借りているにすぎない」
中共機関紙人民日報系の環球時報も二十五日、「オバマは釣魚島に鋼線を巡らす一方で中国を懸命になだめる」と題する論評を配信。下のように論じた。
―――日本メディアは「安倍にとっては重大な勝利だ」と報じるが、しかしオバマは日本に支持を与えると同時に精力的に北京をなだめようとしている。「尖閣諸島の最終的な主権の決定について特定の立場を取らない」「我々と中国の間には強い関係がある。」「中国の平和的台頭を歓迎したい」(※実際は「中国には平和的な台頭を求める」と述べた。
―――日本のメディアはオバマの発言を重点的に取り上げた。しかし興奮するなかでも、彼が中国をなだめていることに気が付いた。NHKも「オバマが中国の平和的台頭を歓迎すると述べた」と報じた。
―――オバマは「主権の決定について特定の立場を取らない」とも述べた。この立場表明も米大統領としては初めてだ。
そしてその上で、次のように総括する。
―――拓殖大学専門家、川上高司は「オバマは中国を重視している。中国にとっては、米国は武力介入してこないと完全に解釈できる」と述べた。
ちなみにロイターが二十四日に伝えた川上高司拓殖大学海外事情研究所長のコメントは「オバマ大統領は同じく中国に対してもリバランス(重要視)した。中国にとっては、米国は武力介入してこないとも解釈できる」というもの。つまり環球時報の論説は、コメントを少し歪曲し、米国は中国との関係を重視し、安保条約を尖閣諸島に適用することはないと宣伝したわけだ。
これもまた余裕の表明(強がり)とも受け取れるが、やはりそれ以上に米国に対する牽制と見るべきだろう。
■日本は「覚悟」を示さなければ危ない
中国外交部の報道官は二十三日、すでに次のようにオバマ氏を牽制していた。
「中国は釣魚島を日米安保条約の適用対象とすることに断固反対する。米国は“領土主権の問題ではいずれの側にも立たない”とする約束を守り、言行を慎むべきである」
尖閣諸島に関する領土問題に「関与しない」「特定の立場に立たない」と表明し、中国への配慮を見せ続けてきた米国だが、そうした表明も中国により、破るべからざる「約束」「誓約」に仕立て上げられ、対米圧力の具にされているわけだ。
このように米国の中国への「なだめ」は、中国から見ればとことん衝くべき弱みに見えるのである。オバマ発言は全体的には「中国にとっては、米国は武力介入してこないとも解釈できる」のは本当に違いない。
産経の前掲社説は「首相は集団的自衛権について、政府の有識者懇談会での議論の状況を説明し、『日米同盟を有効に機能させるために(解釈改憲による行使容認を)検討している』と述べた。大統領は安倍政権の取り組みを『歓迎し、支持』した。…行使容認は同盟再強化への日本の覚悟を示すものとなる」と訴える。
一方、朝日新聞は二十五日の社説で、「首相がいくら米国との同盟の絆をうたいあげようと、中国との間に太い一線を引いたままではアジア太平洋地域の安定はあり得ない。日米中の三つの大国がそれぞれ安定した関係を保つことが、周辺諸国が求めるところでもあろう」と主張している。
要するに民主党の鳩山政権時代のような敗北主義に日本に立ち返れというわけだが、そのような日本のために米国は軍事支援を行うかということだ。
中国の国力は増強一方なのである。米国は益々尖閣問題には関わりたくなくなるだろう。
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